以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
図1において、6は流路壁7に囲まれた計測流路であり、8および9は互いに対向するように流路壁7に振動伝達抑止体10を介して取付けた上流側および下流側の超音波送受信器であり、上流側の超音波送受信器8と下流側の超音波送受信器9は距離Lを隔てるとともに計測流路6の流動方向に対して角度θ傾けて設置されている。
11、12は超音波送受信器8、9を計測流路6に臨ませる上流側および下流側の開口穴であり、流路壁7内の窪みとして設けられている。13は対向する超音波送受信器8および9間で送信された超音波が壁面に反射すること無く直接相手側の超音波送受信器に伝搬する超音波伝搬路(二点鎖線で示す)である。
14は上流側の開口穴11部に設け上流側の開口穴11への被測定流体の流れ込みを低減させる第一の流入抑制体であり、15は下流側の開口穴12部に設け下流側の開口穴12への被測定流体の流れ込みを低減させる第一の流入抑制体15である。16は超音波伝搬路13の上流側に設け上流側および下流側の開口穴11、12への被測定流体の流れ込みを低減させる第二の流入抑制体であり、流路壁7に設けた窪み部7aに嵌め込むようにして設置している。
図2は下流側の開口穴12に設けた第一の流入抑制体15を示すもので、21は超音波が通過できる超音波通過口22を多数持つ開口穴封止部であり、この開口穴封止部21は超音波伝搬路13を横切り開口穴12を覆うように配置し、かつ計測流路面6aに面一になるように設けることにより開口穴12への被測定流体の流れ込みを防いでいる。
ここでは、開口穴封止部21として超音波が通過できる超音波通過口22を多数持つメッシュなどを開口穴12の計測流路6の計測流路面6aに直接配置し、かつ流れを乱さないように面一に設けている。
図3は上流側の開口穴11に設けた第一の流入抑制体14を示すもので、流路壁7から突出されるとともに上流側の開口穴11の上流側近傍に設けた滑らかな突起状の流れ偏向体14aとこの流れ偏向体14aの上流側に滑らかに突出高さを増加させた案内面14bを設けている。
第二の流入抑制体16は被測定流体の流れ方向を整える方向規制部16aと流速分布の均一化あるいは流れの脈動を低減する変動抑制部16bを有している。この方向規制部16aは計測流路6の横断面を細かく分割する仕切壁が設けられており、変動抑制部16bは流れ方向の長さが短く計測流路6の横断面に対して多数の微細形状の連通路を有している。
17は計測流路6の上流側に設けた開閉弁(図示せず)に連通する上流側の屈曲部、18は計測流路6の下流側に設けた出口(図示せず)に連通する下流側の屈曲部であり、屈曲部17、18により流路がコンパクトに構成されている。19は超音波送受信器8,9に接続され超音波の送受信をさせる計測制御部であり、20は計測制御部19での信号を基に流速を計算し流量を算出する演算部である。
次に超音波による流量計測動作を説明する。計測流路6の超音波伝搬路13では、計測制御部19の作用により超音波送受信器8,9間で計測流路6を横切るようにして超音波の送受が行われる。すなわち、上流側の超音波送受信器8から発せられた超音波が下流側の超音波送受信器9で受信されるまでの伝搬時間T1を計測する。また一方、下流側の超音波送受信器9から発せられた超音波が上流側の超音波送受信器8で受信されるまでの伝搬時間T2を計測する。
このようにして測定された伝搬時間T1およびT2を基に、以下の演算式により演算部20で流量が算出される。
いま、計測流路6の長手方向の被計測流体の流速をVとし、流れの方向と超音波伝搬路13とのなす角度をθとし、超音波送受信器8,9間の距離をL、被測定流体の音速をCとすると、流速Vは以下の式にて算出される。
T1=L/(C+Vcosθ)
T2=L/(C−Vcosθ)
T1の逆数からT2の逆数を引き算する式より音速Cを消去して
V=(L/2cosθ)((1/T1)−(1/T2))
θおよびLは既知なのでT1およびT2の値より流速Vが算出できる。いま、空気の流量を計ることを考え、角度θ=45度、距離L=70mm、音速C=340m/s、流速V=8m/sを想定すると、T1=2.0×10-4秒、T2=2.1×10-4秒であり、瞬時計測ができる。
次に、計測流路6の流れ方向に直交する横断面積Sより、流量Qは
Q=KVS
ここで、Kは横断面積Sにおける流速分布を考慮した補正係数である。このようにして演算部20で流量を求める。
次に、この超音波流量計測装置の計測流路内の流れ状態と計測動作について説明する。被計測流体が計測流路6の上流側に設けた開閉弁(図示せず)での流路断面積の拡大縮小あるいは屈曲部17を流れることなどにより偏流あるいは流れの脈動を生じたまま計測流路6に入る。
そして、超音波伝搬路13の上流側に設けた第二の流入抑制体16の方向規制部16aにより計測流路6内の流れは開口穴11、12に流入しにくい方向に整流された流れにするとともに流れの乱れを低減させ、さらに変動抑制部16bにより脈動などの流れ変動による乱れを低減して開口穴11、12への流入をより一層抑える状態にして超音波伝搬路13に流入させる。
この変動抑制部16bは網状のメッシュ、発泡体、微細多孔板、不織布体などで開口率の高いものを流れ方向に薄くすることで変動抑制部16bによる圧力損失を小さくでき、圧力損失を高めずに計測流路での流れの変動を低減できるとともに、流速の速い領域においても流れの変動を緩和することで超音波の伝搬時間の変動を抑制して、計測可能な流速あるいは流量の上限値を拡大でき、さらに計測精度を高めることができる。
次に、計測流路に対して鋭角で交わるため強い渦が発生し易い下流側の超音波送受信器9の前に開口する開口穴12では、第二の流入抑制体16により整流された流れに対して、超音波が通過できる超音波通過口22を多数持つメッシュなどの開口穴封止部21をの計測流路6の計測流路面6aに配置し、かつ流れを乱さないように面一に設けているので、下流側の開口穴12への被測定流体の流入抑制効果を一層高めて超音波伝搬路13での渦や流れの乱れを大幅に低減できる。
一方、上流側の開口穴11では、開口穴11の上流側の近傍に設けられた突起状の流れ偏向体14aで形成した第一の流入抑制体14により図3に矢印で示すように開口穴11内への流れの流入をより一層低減して渦などの流れの乱れを低減して安定化させる。上流側の開口穴11が計測流路6に対して鈍角で交わるため渦の強度は下流側の開口穴12の場合より小さくその悪影響は小さく必ずしも第一の流入抑制体14を設ける必要はないが、上流側の開口穴11に第一の流入抑制体14を設けることでより一層流れが安定化できる。また、第一の流入抑制体14は流路壁7に一体で成形することにより構成が簡略化されて低コスト化ができる。
このように流れが安定化された超音波伝搬路13に対して超音波送受信器8、9間で超音波を送受信して超音波の受信レベルを高めて精度の高い流速計測が実現できるとともに、流れの変動による超音波の減衰を低減して計測できる流量の上限値を高めることができるものである。
さらに、流れの安定化により超音波の受信レベルを向上できるので超音波の送信のための消費電力を低減できるだけでなく、下流側の開口穴12のみに開口穴封止部21を配置することで、開口穴封止部21を通過することによる超音波の減衰量を低減させ、超音波送受信器8、9への駆動電気入力の低減により低消費電力化ができ、家庭用のガスメータのように電池で駆動する場合では、少ない電池容量で長期間にわたって継続して利用できる。
図4は別の第一の流入抑制体を示す超音波流量計測装置の断面図であり、図1〜図3の実施の形態と同一部材、同一機能は同一符号を付し詳細な説明は省略し、異なるところを中心に説明する。下流側の開口穴12には図1の実施の形態と同様に超音波通過口22を有する開口穴封止部21aが第一の流入抑制体15として設けられ、上流側の開口穴11にも第一の流入抑制体14として超音波通過口22を有する開口穴封止部21bが設けられている。
いずれの開口穴封止部21a、21bも計測流路面と面一に設けられている。このように上流側の開口穴11と下流側の開口穴12の両方に開口穴封止部21a、21bを設けることにより、開口穴へ流体が流れ込むのが抑制されて渦や流れの乱れを防止して計測精
度を向上できるだけでなく、瞬時の逆流を伴うような脈動流に対しても精度を高めた計測ができる。
さらに、開口穴11、12内での流れの乱れが大幅に低減できるので、乱れによる超音波の屈折や反射を低減してS/N特性に優れた超音波の送受信が実現でき、送信出力の低減が可能となり駆動入力の低減による低消費電力化ができる。
また、開口穴封止部21a、21bの他の実施の形態を次に図を用いずに説明する。上流側の開口穴11では計測流路6に対して鈍角で交わるため渦の発生強度が小さいので、上流側の開口穴11に設けた開口穴封止部21bの開口率は下流側の開口穴12に設けた開口穴封止部21aの開口率よりも大きくしても流入抑制の効果は期待できる。
そこで、本実施形態では、上流側の開口穴封止部21bは下流側の開口穴封止部21aよりも開口率を大きくしている。このため、上流側の開口穴封止部21bは超音波の通過口の面積が大きいので超音波の伝搬損失が下流側の開口穴封止部21aよりも低減できるものである。
従って、上流側と下流側に同じ開口率の開口穴封止部を使用する場合よりも超音波の伝搬損失を低減でき、超音波送受信器への駆動入力の低減により低消費電力化できる。
図5は下流側の開口穴12に設けた第一の流入抑制体15の他の実施の形態を示すもので、23は開口穴封止部21を備えた下流側の開口穴12の上流側近傍に設けた流れ偏向体であり、この流れ偏向体23は板状あるいは翼状のもので形成され開口穴12内に被測定流体が流れ込まないように流れ方向を規制している。このように、開口穴12は第一の流入抑制体15として開口穴封止部21と流れ偏向体23の両方を備えている。
ここで、開口穴12に対して流れ偏向体23で流れ方向を規制して開口穴12内に向かう流れを低減し、さらに僅かながらも向かってきた流れには開口穴封止部21により開口穴12内への流入を防止して開口穴12内での渦などの流れの乱れ発生を防ぎ、超音波伝搬路13での流れを安定させて計測精度を一層向上できる。
また、流れ偏向体23により開口穴封止部21に衝突する流れが低減できるため、ダストなど微細な粉末状の異物が被測定流体に含まれている場合でも開口穴封止部21への異物の付着が低減できる。このため開口穴封止部21は超音波の通過性を第一に考えた仕様が可能となり、選定あるいは設定の自由度が向上するとともに超音波の通過性を一層高めて高感度化ができ、低消費電力化あるいは高精度化が実現できる。なお、上流側の開口穴11においても同様にすることにより一層の計測精度の向上ができる。
図6は開口穴封止部の他の実施の形態を示すもので、24は網目状の超音波通過口22を有する網状体であり、網状体24を開口穴封止部21として開口穴12上に計測流路面6aに沿って設けている。ここでは計測流路6の被測定流体の流動方向をほぼ水平とし、開口穴11、12が設けられる計測流路面6aをほぼ垂直方向になるように設置されている。この計測流路の設置姿勢に対して、この網状体24は水平に対して傾きαを有する傾斜網目部25で形成して水平に配置される網目の部分がないようにしている。
ここで、被測定流体がダストなど微細な粉末状の異物を含んだまま流動を続けると開口穴12に設けた網状体24に付着することが有る。しかし、網状体24は水平に対して傾いた傾斜網目部25で形成されているため、付着した微細な粉末状の異物は傾斜に沿って滑り落ちることが促進される。従って、付着した微細な粉末状の異物が堆積による網状体24の目詰まりが防止でき、超音波の通過が確保されて安定した流速、流量の計測を持続できる。ここでは下流側の開口穴12で説明したが、上流側の開口穴11に対しても同様である。
図7は図1に示した計測流路のA−A断面図であり、計測流路6の流れに直交する方向の断面は超音波送受信器8、9が対向配置される面の幅がWで、断面の高さがHの矩形であり、凹部を持つ流路壁7bと凸部を持つ流路壁7cを嵌め合わせた流路壁7により計測流路6を形成している。この矩形断面により計測流路6内で二次元流れが可能となるとともに、矩形断面のコーナー部で発生し易い流れの変動は第二の流入抑制体16により変動が抑制されるため計測流路6内での二次元流れが促進できる。さらに、超音波送受信器間の計測流路6の高さHが一定のため、全流路断面積に対する超音波が伝搬する計測領域の割合を高めることで流体の平均流速を精度高く計測できる。
なお、ダイキャストなどで流路壁7を形成する場合のように金型などの生産設備の耐久性を確保するため、矩形断面の角に丸み(コーナーR)を設けた略矩形のものもここでいう矩形断面に含めるのは言うまでもない。
図8は図7に示した矩形断面の計測流路6の計測流路面6aでの開口穴12の開口形状であり、開口穴12の計測流路面6aでの開口形状は計測流路6の流れ方向(図中矢印で示す)に対してほぼ直交する方向を一辺12aとし、流れ方向にほぼ平行な方向を他辺12bとする矩形としている。
このため、計測流路6において、開口穴12の流れ方向の開口長さはどの高さ位置Hでも図中Dで示すように同じとなり、高さH方向に対して均等に超音波を発信、受信することができ、計測流路6内を均等に計測することにより精度の高い計測ができる。また、開口部の流れ方向の長さDは同じ開口面積の丸穴や弧状部を持つ形状の場合よりも短くできるため計測流路6内での流れの乱れ発生や開口穴12内への流れ込みを一層低減して計測精度を向上できる。
なお、ここでは下流側の開口穴12の場合を示したが、上流側の開口穴11の計測流路面6aでの開口形状を矩形とすることでさらに計測精度を向上できるのは言うまでもないものである。
このように、本実施例の超音波流量計測装置によれば、少なくとも下流側の開口穴に設けた第一の流入抑制体15により開口穴12への被測定流体の流れ込みが低減されて超音波送受信器8、9間の流れの乱れを大幅に低減することができ、計測精度を高め、流量計測できる上限値を高めることができ、第一の流入抑制体15は超音波透過口22を有する開口穴封止部21として、開口穴への被測定流体の流入抑制効果を一層高めて開口穴内での流れを安定化でき、また超音波通過口22により超音波の伝搬は確保できるとともに開口穴封止部21を下流側の開口穴12のみに配置して超音波の減衰を一層少なくして超音波送受信器への駆動入力を低減させて低消費電力化を実現でき、計測精度を向上できる。
また、上流側の開口穴11に設けた第一の流入抑制体14は超音波透過口22を有する開口穴封止部21bを備えて、上流側および下流側の開口穴への流体の流れ込みの大幅な低減が実現でき、流量計測できる上限値を高めることができるとともに逆流を伴う流れに対しても計測精度を高めることができる。
また、上流側の開口穴11に設けた開口穴封止部21bの開口率は下流側の開口穴12に設けた開口穴封止部21aの開口率よりも大きくして、超音波の伝搬損失の低減がなされ、流量計測の上限値の向上と逆流に対する計測精度の向上を可能にするとともに、超音波送受信器への駆動入力の低減により低消費電力化できる。
また、第一の流入抑制体15は超音波透過口22を有する開口穴封止部21と開口穴11あるいは12の近傍に設けた流れ偏向体を備えて、開口穴への被測定流体の流入抑制効果をなお一層高めることで計測精度の一層の向上ができるとともに、流れ偏向体により開口穴封止部へのダストなどの異物の付着を低減できるので、開口穴封止部は目詰まりを重視せずに超音波の通過性を第一として自由度を高めた選定ができ、超音波の通過性を一層高めることで低消費電力化あるいは感度を高め計測精度に優れた装置が実現できる。
また、開口穴封止部21は水平に対して傾きを持つ傾斜網目の網状体24として、水平に対して傾けることで傾斜網目部25に付着したダストなどの微粉体の落下を促進せしめて堆積量を低減し、網状体の目詰りを防止することで超音波の伝搬を確保し、長期間にわたり安定した計測精度を維持でき耐久性、信頼性が向上できる。
また、計測流路6の流れに直交する断面は矩形として、矩形断面化により計測断面における計測領域の割合が大きくでき超音波伝搬路13の上流側から下流側にわたり流れに対して同じ条件で計測できること、および計測流路6内の流れの二次元化が促進できることにより流体の平均流速を精度高く計測でき、また第二の流入抑制体16を備えることにより流れの二次元化が一層促進できる。
また、開口穴11、12の計測流路6への開口形状は計測流路6の流れ方向に対してほぼ直交する方向に一辺を有する形状としたものである。そして、計測流路6の高さ方向に対して均等に超音波を発信、受信できるとともに、開口穴の計測流路での流れ方向の開口寸法を短くできるため開口穴による流れの乱れを一層低減して計測精度を一層向上できるものである。
なお、本実施例では屈曲部17、18を計測流路6の幅Wの方向に曲げた場合を示したが、屈曲部17、18の曲がり方向は計測流路6の高さHの方向でも良いだけでなく任意の方向でも良く、さらに屈曲部17と屈曲部18の曲がり方向が異なっていても良いのは言うまでもない。
また、第一の流入抑制体14、15の作用として開口穴への流体の流れ込みを抑制する効果を説明したが、計測流路を流れる流体の粘性により開口穴内の流体が誘引されて開口穴内に渦を生じることに対する誘引抑制効果も当然期待できるものであるのは言うまでもない。
(実施例2)
図9において、図1〜図8の実施の形態と同一部材、同一機能は同一符号を付し詳細な説明は省略し、異なるところを中心に説明する。
26は計測流路6の入口となる導入部27に設けられ微細な流通口26aを多数有する偏流抑制体であり、この偏流抑制体26は導入部27に流入する流速分布に偏りが有る場合に流速分布を均等化して計測流路6に供給する。
28は屈曲部17の上流側に接続され導入部27に開口する接続口29を有する弁ブロックであり、この弁ブロック28には弁座30に対向する弁体31を有する開閉弁32が設けられている。33は弁座30の上流側に設けられ流体が流入する流体入口である。34は屈曲部18の下流側に接続され流体が流出する流体出口35を有する出口ブロックである。36は弁体31を弁座30の方向に付勢するスプリングであり、37は開閉弁32を開成あるいは閉成させるべく弁体31を駆動するソレノイドやモータなどの駆動部である。
次に、この超音波流量計測装置の動作について説明する。開閉弁32の開成とともに被測定流体は流体入口33から流入して弁座30を通過し接続口29を通って導入部27に流入する。この導入部27に流入した流れは、流体入口33の上流側の配管の影響や弁ブロック28の屈曲した通路を通過することにより、流れ方向や流速分布の均一性が低下すると共に流れの脈動など不規則な状態となっている。
しかし、導入部27に設けられた偏流抑制体26の微細な流通口26aを通過することにより、流れ方向や流速分布の不均一性が改善されると共に流れの脈動が低減されて安定した流れとなって計測流路6に流入する。
計測流路6では前述のように第二の流入抑制体16の方向規制部16aにより計測流路6断面内の流速分布が均等になり、開口穴11、12に流入しにくくなる方向に整流するとともに、変動抑制部16bにより脈動などの流れの変動がより一層低減されて超音波伝搬路13に流入し、さらに上流側および下流側の開口穴11、12では、その上流側の近傍に設けられた第一の流入抑制体14、15により開口穴11、12内への流れの流入が低減される。
このようにして上流側の配管形状などに関わらず流れを一層安定化させた超音波伝搬路13に対して超音波送受信器8、9間で超音波を送受信してより精度の高い流速計測が実現できるとともに、流れの変動による超音波の減衰を低減して計測できる流量の上限値を一層高めることができる。
図10は導入部27の平面図であり、偏流抑制体26は導入部27の全域に配置したもので、29aは開閉弁32を図9のように図面の左右方向に配置し接続口29を紙面左側に設けた場合での接続口29の第一の開口位置(二点鎖線で示す)であり、29bは開閉弁32を図9の紙面表裏方向に配置し接続口29を紙面裏面側に設けた場合での接続口29の第二の開口位置(二点鎖線で示す)を示している。
これらの第一の開口位置29aと第二の開口位置29bがどちらも導入部27に配置できるように、導入部27の断面積Saは幅W、高さHの矩形で示す計測流路6の断面積Sb(図11参照)よりも大きな(Sa>Sb)断面として、偏流抑制体26の設置面積を大きくしている。このため、偏流抑制体26による被測定流体の圧力損失を小さくできるとともに、弁ブロック28の種々の配置構成に対して第一および第二の開口位置29a、29bが導入部27に対して偏りが有っても偏流抑制体26の微細な流通口26aにより流れ分布を均等化して計測流路6に流入させることができる。従って、弁ブロック28などの計測流路6の上流側の流路形状や配管形状が異なっていても計測精度を確保できるため設置の自由度を向上できる。
さらに、図11に示すように偏流抑制体26に設けた微細な開口を持つ流通口26aの開口寸法Taは第二の流入抑制体16の変動抑制部16bの微細な開口の流通口16cの開口寸法Tbより小さく(Ta<Tb)している。このため、流れの脈動や流速分布の偏りに対する均等化の作用は偏流抑制体26の方が第二の流入抑制体16よりも強くでき、偏流抑制体26を設けることで計測流路6により一層安定した流れを供給できる。
従って、上流側の流体が流入する接続口29が偏って配置されても計測流路6へは一層均等に流体を流入させることで精度を高めた計測ができるとともに、流入する流体に脈動があっても計測流路6には脈動を低減した流れを供給でき、脈動流に対しても計測精度を向上できる。
また、偏流抑制体26の流通口26aを第二の流入抑制体16の変動抑制部16bの流通口16cより小さい開口寸法とすることで、ゴミ、ダストなどの異物の計測流路6への侵入を低減させ計測動作を確実にして信頼性を高めることができる。さらに、偏流抑制体26の断面積Saを計測流路6の断面積Sbよりも大きくすることで、被測定流体の圧力損失を低減できるとともに異物が偏流抑制体26に付着しても計測特性の低下を防止できる。
図12は偏流抑制体26の他の実施の形態を示したもので、導入部27に設けた第一の偏流抑制体26bと、計測流路6の下流側の導出部38に設けた第二の偏流抑制体26cとを設けたもので、第二の偏流抑制体26cは第一の偏流抑制体26bと同様に微細な流通口26dを多数有している。
この構成において、計測流路6の上流側に流れの変動や流入の偏りが有る場合は第一の偏流抑制体26bにより前述の脈動低減と偏流抑制効果を発揮するとともに、計測流路6の下流側に流れの変動や偏りの原因がある場合にも第二の偏流抑制体26cにより脈動
の低減と偏流抑制効果を発揮して計測精度の向上ができるとともに、計測流路6の上流側および下流側の流路形状や配管状態に関わらず安定した計測が実現でき、計測装置の設置の自由度が一層向上できる。
さらに、脈動により瞬間的に逆流を生じる場合でも精度を高めた計測ができ、脈動発生源の位置に関わらず安定した計測ができる。また、第二の偏流抑制体26cの流通口26dの開口寸法を第二の流入抑制体16の流通口16cより小さくしたり、第二の偏流抑制体26cを配置する導出部38の断面積を計測流路6の断面積より大きくすることで導入部27の場合と同様に前述した効果が発揮でき、計測精度の向上、設置の自由度の向上、異物に対する信頼性の向上ができる。
このように、実施例2によれば、計測流路6の上流側に配置した導入部27に微細な開口を持つ流通口26aを有する偏流抑制体26を設けて、上流側の流路形状や配管形状に関わらず安定した流れを計測流路6に供給することで超音波送受信器8、9間の流れの乱れを低減でき、計測可能な上限値を一層高めることができるとともに計測精度を一層向上でき、さらに計測流路6の上流側の流路形状や配管状態に関わらず安定した計測が実現でき、計測装置の設置の自由度が向上できる。
また、計測流路6の上流側に配置した導入部27と下流側の導出部38に微細な開口を持つ流通口26a、26dを有する偏流抑制体26b、26cを設けて、逆流を伴う脈動を持つ被測定流体あるいは下流側に脈動源を持つ被測定流体のいずれにおいても、安定した流れを計測流路6に供給することで超音波送受信器8、9間の流れの乱れを低減でき、計測可能な上限値を一層高めることができるとともに計測精度を一層向上でき、さらに計測流路6の上流側あるいは下流側の流路形状や配管状態や脈動発生源に関わらず安定した計測が実現でき、計測装置の設置の自由度が一層向上できる。
また、導入部27あるいは導出部38の断面積は計測流路6の断面積よりも大きくして、偏流抑制体26の設置断面積を大きくして偏流抑制体26の圧力損失を低減して圧力損失の増大を防止でき、さらに導入部27あるいは導出部38を大きな断面とすることで上流側あるいは下流側の流路形状や配管形状が異なっていても導入部あるいは導出部の形状を変えることなく取付け可能にでき、設置の自由度を高めた計測装置が実現できる。
また、偏流抑制体26の流通口の開口寸法は第二の流入抑制体16に設けた流通口の開口寸法よりも小さくしたものである。そして、上流側あるいは下流側の接続口が偏って配置されていても計測流路では均等に流体を流動させることで精度を高めた計測ができ、さらに被測定流体に脈動があっても小さい開口寸法の流通口により計測流路には脈動を低減した流れとして供給でき脈動流に対しても計測精度を向上できる。さらに、偏流抑制体の小さい開口寸法の流通口は計測部へのゴミ、ダストなどの侵入を低減して計測流路での計測動作の信頼性を高めることができる。
なお、本実施例2では屈曲部17、18を計測流路6の幅Wの方向に曲げた場合を示したが、屈曲部17、18の曲がり方向は計測流路6の高さHの方向でも良いだけでなく任意の方向でも良く、さらに屈曲部17と屈曲部18の曲がり方向が異なっていても良いのは言うまでもない。
(実施例3)
図13において、図1〜図12の実施の形態と同一部材、同一機能は同一符号を付し詳細な説明は省略し、異なるところを中心に説明する。
39は被測定流体が計測流路6を順方向あるいは逆方向のいずれの方向に流れても開口穴11への被測定流体の流れ込みを低減させる第一の流入抑制体であり、開口穴11の上流近傍に設けた流れ偏向体40aと開口穴11の下流近傍に設けた流れ偏向体40bを備えている。41は超音波伝搬路13の下流側に設けた第二の流入抑制体であり、第二の流入抑制体41は被測定流体の流れ方向を整える方向規制部41aと流速分布の均一化あるいは流れの脈動を低減する変動抑制部41bを有している。また、下流側の開口穴12には前述の超音波通過口22を持つ開口穴封止部21を含む第一の流入抑制体15が設けられ、超音波伝搬路13の上流側には方向規制部16aと変動抑制部16bを備えた第二の流入抑制体16が設けられている。
次に、この超音波流量計測装置の計測流路内の流れ状態と計測動作について説明する。まず、被測定流体が計測流路6を順方向に流れる場合は実施の形態1で説明したように、偏流あるいは流れの脈動を生じた流れが計測流路6に流入してきても、第二の流入抑制体16あるいは第一の流入抑制体39、15により開口穴11、12への流入を抑えられた流れとなって超音波伝搬路13で流れが安定化され、計測精度の向上や計測可能な上限値の向上がなされる。
次に、脈動により瞬間的な逆流を生じた場合や流動方向が変化する場合や配管の接続間違いなどにより逆方向に流した場合など計測流路6に逆方向流れが流入しても、第一の流入抑制体15、39あるいは第二の流入抑制体41は逆方向流れに対しても順方向流れの場合と同様に開口穴11、12への流入を抑える流れを実現できる。従って、脈動を伴った流れで瞬時的な逆流を生じる場合でも、順方向流れ時と同様に開口穴への被測定流体の流れ込みが低減されて超音波送受信器8、9間の流れの乱れを大幅に低減することができ、計測精度を高め、流量計測できる上限値を高めることができる。また、逆方向流れにも精度を高めた計測ができ、設置の自由度が高く利便性を向上できる。
なお、第一の流入抑制体39は開口穴11の上流側近傍および下流側近傍に設けた流れ偏向体40a、40bによる突起を開口面に配置した例を示したが、この突起を開口穴11、12の全周を囲う(図示せず)ように設けて良いのは言うまでもなく、また第一の流入抑制体39として図2あるいは図5に前述した開口穴封止部を用いた構成として、大きな逆方向の流れに対しても計測精度を向上でき、利便性を高めることができる。
図14は第一の流入抑制体の他の実施の形態であり、下流側の開口穴12に設置した場合で説明する。23は開口穴封止部21を備えた開口穴12の上流側近傍に設けた流れ偏向体であり、42は開口穴12の下流側近傍に設けた流れ偏向体である。この流れ偏向体23、42は板状あるいは翼状のもので形成され開口穴12内に被測定流体が流れ込まないように流れ方向を規制している。このように、本実施形態では、第一の流入抑制体は開口穴封止部21と開口穴11、12の上流側と下流側に流れ偏向体23、42をそれぞれ備えている。
ここで、計測流路6を順方向に流れる流体に対しては開口穴12の上流側に配置した流れ偏向体23で流れ方向を規制して開口穴12内に向かう流れを低減し、計測流路6を逆方向に流れる流体に対しては開口穴12の下流側に配置した流れ偏向体42で流れ方向を規制して開口穴12内に向かう流れを低減し、さらに僅かながらも開口穴12に向かってきた流れには開口穴封止部21により開口穴12内への流入を防止して開口穴12内での渦などの流れの乱れ発生を防ぎ、順方向および逆方向のいずれの流れに対しても超音波伝搬路13での流れを安定させて計測精度を一層向上できる。
また、流れ偏向体23、42により開口穴封止部21に衝突する流れが低減できるため、ダストなど微細な粉末状の異物が被測定流体に含まれている場合でも開口穴封止部21への異物の付着が低減できる。このため開口穴封止部21は超音波の通過性を第一に考えた仕様が可能となり、選定あるいは設定の自由度が向上するとともに超音波の通過性を一層高めて高感度化ができ、低入力化あるいは高精度化が実現できる。
さらに、上流側の開口穴11にも下流側の開口穴12と同様に開口穴封止部21と流れ偏向体23、42を設けることで開口穴11においても同様の効果があるとともに、逆方向の流れに対してより一層計測精度の向上が可能となり、超音波の通過性を高めて高感度化と低消費電力化あるいは高精度化が実現できる。
このように、実施例3によれば、脈動を伴った流れで瞬時的な逆流を生じる場合でも、順方向流れ時と同様に開口穴への被測定流体の流れ込みが低減されて超音波送受信器間の流れの乱れを大幅に低減することができ、計測精度を高め、流量計測できる上限値を高めることができる。また、逆方向流れにも精度を高めた計測ができ、設置の自由度が高く利便性を向上できる。
また、流れ偏向体は開口穴の上流側および下流側に設けて、計測流路の順方向、逆方向のいずれの流れに対しても計測精度の一層の向上と開口穴への流入抑制と開口穴への異物侵入防止ができ、脈動流れに逆流を伴っても長期間にわたり安定した計測精度を維持でき耐久性、信頼性が向上できる。
なお、本実施例3では屈曲部17、18を計測流路6の幅Wの方向に曲げた場合を示したが、屈曲部17、18の曲がり方向は計測流路6の高さHの方向でも良いだけでなく任意の方向でも良く、さらに屈曲部17と屈曲部18の曲がり方向が異なっていても良いのは言うまでもない。
(実施例4)
図15において、図1〜図14の実施の形態と同一部材、同一機能は同一符号を付し詳細な説明は省略し、異なるところを中心に説明する。
43はこの超音波伝搬路13の上流側に設けた伝搬路流れ規制体であり、伝搬路流れ規制体43は計測流路6に対して斜めに横切る超音波伝搬路13に沿ってほぼ平行に配置されるとともに超音波の伝搬を邪魔しないように超音波伝搬路13から少し離れたところに設けている。
図16は計測流路6の流れ方向から見た伝搬路流れ規制体43であり、伝搬路流れ規制体43は横断面が円形の計測流路6内に配置されている。13aは図15の紙面方向(計測流路6の高さ方向)に沿った計測流路6の断面中に示した超音波伝搬路であり、伝搬路流れ規制体43は、高さ方向の幅を2点鎖線で示す超音波伝搬路13aよりもその高さ方向の幅を大きくとるとともに流れの中に露出する規制部44が多数設けられている。
次に、この超音波流量計測装置の動作について説明する。被計測流体が計測流路6の上流側に設けた開閉弁(図示せず)での流路断面積の拡大縮小あるいは屈曲部17を流れることなどにより流れの変動を生じたまま計測流路6に入り、超音波伝搬路13の上流側直前に設けた伝搬路流れ規制体43の規制部44により乱れが促進される。
上流側の超音波送受信器8に近い所から下流側の超音波送受信器9に近い所まで超音波伝搬路13の全域にわたり上流側直前に伝搬路流れ規制体43が配置されているため、超音波伝搬路13の全域にわたり均等に乱流促進がなされる。このように上流側から下流側まで超音波伝搬路13内の流れ状態の違いを小さくして超音波伝搬路13内での平均流速の測定をし易くする。
特に、流速が小さく(流量が小さい時)流れ状態が層流で計測流路6に流入してきた場合でも超音波伝搬路13内での流れ状態は伝搬路流れ規制体43により乱流化が促進される。このため、この乱流状態と、流速が大きく(流量が大きい時)計測流路6に乱流状態で流入した場合での超音波伝搬路13内の乱流状態との差が小さくなる。
従って、小流量から大流量までの幅広い流量域で安定して超音波伝搬路13内の流れを乱流化できる。また、伝搬路流れ規制体43は計測流路6に斜めに配置するため、計測流路6に直交配置するよりも計測流路6内の長さを大きくできる。従って、開口割合の大きい伝搬路流れ規制体43が可能となり圧力損失を低減した計測装置が実現できる。
このように構成した計測流路6において、前述したように超音波の伝搬時間T1、T2を基に流速Vを求め、計測流路6の断面積Sおよび補正係数Kから流量を求める。ところで、この補正係数Kは超音波伝搬路13に沿った伝搬路流れ規制体43が無い場合では、図17に示すように層流域から乱流域に移行する遷移域において補正係数が大きく変化し、計測流量に誤差ΔQmが発生すると補正係数はΔK1と大きく変わり、流量計測誤差が拡大されることになる。
この誤差は流体の温度変化あるいは流体の組成割合の変化などにより動粘性係数が変わり、レイノルズ数の違いにより流れ状態の違いにより発生したりする。とくに、都市ガス、LPG(液化石油ガス)等の流量を計測する場合では、季節あるいは地域の違いによるガス組成の変化が考えられる場合はこのことを考慮する必要がある。
しかし、本実施例のように超音波伝搬路13に沿って伝搬路流れ規制体43を設置した場合の補正係数Kは、図18に示すように流速の小さい層流域においても超音波伝搬路13内は上流側から下流側まで均等に乱流化できるため、流速の大きい乱流域の補正係数との差が小さくでき、層流から乱流へ移行する遷移域でも補正係数の変化は小さく、補正係数の平坦化がなされる。
従って、計測流量に誤差ΔQmを生じても補正係数の変化はΔK2(K2<K1)と十分小さくでき、計測精度を高めた計測ができる。温度変化あるいは流体の組成変化が有る場合は有効であり、特に組成変化および温度変化が考えられる都市ガス、LPGなどの燃料ガスの流量を計測する場合はより一層精度を高めた計測が実現できる。
なお、伝搬路流れ規制体43は入口側43aから出口側43bまでの長さが計測流路6の幅W方向に対してほぼ均等な例を示したが、図19に示す伝搬路流れ規制体43の他の実施例のように、超音波伝搬路13側の出口側43bだけを超音波伝搬路13に沿うようにして入口側43aは超音波伝搬路13に沿わないようにしても、超音波伝搬路13内は上流側から下流側まで均等に乱流促進されるため、入口側43aから出口側43bまでの長さを幅方向の位置により違えても良いのは云うまでもない。
また、伝搬路流れ規制体43は計測流路6の円形断面に対して超音波伝搬路13の部分だけに配置されているが、断面の高さH方向全域に設けてることにより上記補正係数Kの平坦化が促進できるのは云うまでもない。また本実施例では、伝搬路流れ規制体43の出口側43bは超音波伝搬路13に沿うようにほぼ平行に配置されているが、超音波伝搬路13の上流側端部から下流側端部までの計測流路6の幅W方向にほぼ均等の位置に配置すれば良いのであり、出口側43bに多少の凹凸が有っても良いのは云うまでもない。
図20は伝搬路流れ規制体の他の実施例を示す超音波流量計測装置の構成図である。図20において、図1〜図19の実施例と同一部材、同一機能は同一符号を付し詳細な説明は省略し、異なるところを中心に説明する。
45は超音波伝搬路13の下流側に設けた伝搬路流れ規制体であり、下流側の伝搬路流れ規制体45は計測流路6に対して斜めに横切る超音波伝搬路13に沿ってほぼ平行に配置されるとともに超音波の伝搬を邪魔しないように超音波伝搬路13から少し離れたところに設けている。46は伝搬路流れ規制体45に設けられ計測流路6の流れに触れる規制部である。このように超音波伝搬路13は上流側の伝搬路流れ規制体43と下流側の伝搬路流れ規制体45により囲われている。
次に、この超音波流量計測装置の動作について説明する。計測流路6の幅W方向全域にわたり超音波伝搬路13の上流側直前に設けられた伝搬路流れ規制体43の規制部44により、超音波伝搬路13内では幅W方向全域にわたり均等に流れの乱れが促進される。
また、下流側に設けた伝搬路流れ規制体45は上流側の伝搬路流れ規制体43とで超音波伝搬路13を囲うことで超音波伝搬路13内の流れに背圧を加えて流れ状態をより均一化、安定化させるとともに補正係数の一層の平坦化が実現でき、さらに計測流路6の下流側の配管形状の違いあるいは被計測流体の使用条件などによる脈動などで超音波伝搬路13内の流れ状態が影響されるのを低減して安定した流量計測ができるとともに、逆流が発生した場合でも補正係数の平坦化が維持できて計測精度の向上ができる。
図21は上流側の伝搬路流れ規制体43と下流側の伝搬路流れ規制体45を一体化した伝搬路流れ規制体47の斜視図であり、48は上流側の伝搬路流れ規制体43と下流側の伝搬路流れ規制体45とを接続して一体化する連結部であり、49は超音波伝搬の邪魔にならないように穴明き構造とした超音波伝搬窓である。
伝搬路流れ規制体47は連結部48により互いに連結され一体化されて上流側と下流側の規制部44、46の相互位置のずれが防止されるため、超音波伝搬路13内の流れ状態のバラツキを低減して安定化でき、バラツキの小さい計測が実現できる。また、伝搬路流れ規制体47は連結部48により構造上の強度を高めることができ、それぞれの伝搬路流れ規制体43、45は規制部44、46を含めて薄肉化あるいは微細化が可能となり計測流路6の断面位置に関わらず超音波伝搬路13内の流れ状態の均等化ができる。
また、規制部44、46の薄肉化あるいは微細化により被計測流体が流れるための開口面積を拡大できるため計測流路の圧力損失の低減ができる。また、伝搬路流れ規制体43、45は連結部48により補強されるため、長期の使用にわたって変形を防いで耐久性、信頼性を向上できる。
なお、連結部48は伝搬路流れ規制体47のコーナー部に設置する場合を示したが、超音波の伝搬に邪魔にならない位置であれば補強に適した任意の位置に設けることができるのは言うまでもない。
図22は実施例4における計測流路6の他の断面形状を示すA−A断面図であり、50は計測流路6の断面形状を幅W、高さHの矩形とした流路壁であり、この矩形断面全域に規制部44、46が配置されている。
次に、この矩形断面における計測動作を説明する。超音波伝搬路13は矩形断面の幅W方向全域を横切るとともに、矩形断面の高さH方向に対しては計測領域の割合を高めることができ、かつ上流側から下流側まで幅W方向全域にわたり高さH方向の計測領域の割合を同じにできるため超音波伝搬路13における流体の平均流速の精度高い計測が可能になる。
また、超音波伝搬路13内の流れは伝搬路流れ規制体43、45の規制部44、46により幅広い流量域において上流側から下流側にわたり均等な乱流促進がされて平均流速を精度高く計測できる。このため、矩形断面のアスペクト比(W/H)を大きくして偏平度を高めて計測流路6内に安定した二次元流れを発生させることで計測精度を高めるという方法をとる必要がなくなり、断面の高さHを形成する上下面での超音波の反射波の影響を低減する観点で高さHを設定すれば良い。
従って、断面仕様を反射波の干渉を低減する流路高さHに自在に設定でき、感度を高めた超音波の送受信ができる。また、補正係数の変動の小さくして計測精度を高めることができる。
さらに、断面のアスペクト比が2より小さい偏平度の小さい矩形断面として被計測流体との接触長さを低減した断面として計測流路の圧力損失を低減できる。なお、ダイキャストなどで流体通路壁7を形成する場合のように金型などの生産設備の耐久性を確保するため、矩形断面の角に丸み(コーナーR)を設けた略矩形のものもここでいう矩形断面に含めるのは言うまでもない。
図23は本実施例における伝搬路流れ規制体43あるいは45の超音波伝搬路13からの設置距離を示すもので、上流側の伝搬路流れ規制体43は超音波伝搬路13からの距離をGuとし、下流側の伝搬路流れ規制体45は超音波伝搬路13からの距離をGdとしている。
ここで、種々の被計測流体に対して幅広い流量域で計測値の補正係数を平坦化できるように伝搬路流れ規制体43、45の超音波伝搬路13との設置距離を最適化し、超音波伝搬路13内の流れ分布を上流側から下流側まで均等に乱流化させる。例えば、レイノルズ数の小さい場合は距離Gu、Gdを小さくし、レイノルズ数の大きい場合は距離Gu、Gdを大きくできる。レイノルズ数は動粘性係数の逆数に比例するので、粘性の小さい流体の場合は距離Gu、Gdを大きくでき、粘性の大きい流体の場合は距離Gu、Gdを小さくする。
例えば、プロパンガスの動粘性係数は4.5mm2/s(300°K)であり、メタンガスの動粘性係数は17.1mm2/s(300°K)であるため、プロパンガスの場合は距離Gu、Gdを大きくでき、メタンガスの場合は距離Gu、Gdを小さくする。このような条件の下で超音波伝搬路13を伝搬する超音波が伝搬路流れ規制体43、45に反射して流速計測に影響するのを低減するため、伝搬路流れ規制体43、45は可能な限り超音波伝搬路13からの距離を大きくして設置すべきであるが、超音波伝搬路13内の上流側から下流側まで流れを均等に乱流化するため、設置距離の最適化が必要となる。
また、距離Gu、Gdは同じにする必要はなく、異なる値に設定しても良いし、上流あるいは下流側の伝搬路流れ規制体43、45の規制部44、46の形状、開口寸法の細かさなどの違いにより距離GuとGdとの大小関係は異なってくるのは言うまでもない。
また、流体の種類により規制部44、46の形状、開口寸法を変える場合は、設置距離と粘性との関係が上記と異なることが有り得るのは言うまでもない。
従って、伝搬路流れ規制体を変えるだけで計測流路6の形状、寸法を同じにして種々の流体に対して精度高い計測が可能となり利用者の利便性が高められるとともに、様々な条件について様々な部材を共用することにより低コストで計測装置を提供できる。
図24は伝搬路流れ規制体の他の実施の形態を示す斜視図であり、51は伝搬路流れ規制体43の規制部であり、規制部51は流れ方向に厚さの小さい金網、織物などの網状体で形成している。なお、下流側の伝搬路流れ規制体45に対しても同様の規制部51を設ける(図示せず)ことも可能である。また伝搬路流れ規制体の外周枠44aを無くして網状体だけで伝搬路流れ規制体を形成することができるのは言うまでもない。
ここで、規制部51は流れ方向に厚さの小さい網状体で形成するため伝搬路流れ規制体43あるいは45はその流れ方向の大きさを小さくでき、僅かなスペースに設置できるため計測流路の小型化ができる。また、超音波伝搬路13を囲う網状体として超音波が反射し難い材質とすれば、開口率の大きい網状のものという形状効果と合わせて伝搬路流れ規制体43あるいは45による超音波の反射が低減され、反射波の干渉による計測精度低下への影響を低減して高精度の計測が実現できる。
図25は伝搬路流れ規制体の他の実施例を示す斜視図であり、52は伝搬路流れ規制体43の規制部であり、この規制部52は流れ方向に多数の壁面52aを設けて格子体53を構成している。なお、下流側の伝搬路流れ規制体45に対しても同様の規制部52を設ける(図示せず)ことも可能である。
流れ方向に設けた壁面52aにより伝搬路流れ規制体43を通過する流れ方向を規制することができ、特に超音波送受信器8、9の直前にある開口穴11、12への流れの流入を低減して渦の発生を減少させ、渦による超音波の減衰を低減してより大きい流量域まで計測が可能にできる。また、超音波伝搬路13内での流速分布をより均等化する方向にそれぞれの壁面52aを偏向させることにより超音波伝搬路13内の流速分布をより一層均等化でき、計測精度の向上が実現できる。
図26は伝搬路流れ規制体の他の実施例を示す流れ方向から見た正面図であり、54は伝搬路流れ規制体43に設け計測流路6の横断面の位置により2つの隣接する規制部の間隔を変えて通過穴55の断面積を変えた規制部である。ここでは周辺側の通過穴55aの断面積は伝搬路流れ規制体43の中央部側の通過穴55bの断面積より大きくしている。すなわち、伝搬路流れ規制体43の幅W方向の端部側あるいは高さH方向の端部側では通過穴55断面積を大きくしている。なお、下流側の伝搬路流れ規制体45に対しても同様の規制部54を設ける(図示せず)ことも可能である。
次に、動作を説明する。もし伝搬路流れ規制体43が無い場合は計測流路6の壁面沿いに流れる流体の粘性により流速が低下して計測流路6の中央部の流速が比較的速くなるので均等な流速分布になり難い。しかし、ここでは伝搬路流れ規制体43を設けると共に計測流路6の断面の中央側は通過穴55の断面積を小さくして流速を低減し、端部側は通過穴55の断面積を大きくすること通過抵抗を中央部に比べて小さくして流速の低下を小さくすることで超音波伝搬路13内の流速分布を均等化している。
このため、計測流路6を斜めに横切る超音波伝搬路13内の流速は上流側から下流側まで均等化され、超音波伝搬路13内の平均流速の計測値が計測流路6の直交断面での平均流速と層流域から乱流域まで幅広い流量域でよく一致させることができ、流量係数の変化が平坦化され計測精度を高めることができる。
このように、実施例4によれば、超音波伝搬路13の上流側端部から下流側端部まで全域においてすぐ上流側に設けた伝搬路流れ規制体43により、超音波伝搬路13の全域において乱流促進がなされ、流量計測範囲の全域にわたり補正係数の流量変化特性は平坦化され計測精度の向上ができる。また、流体の物性値変化が生じても計測精度の維持がなされ、実用性、利便性を高めることができる。
また、伝搬路流れ規制体43は計測流路6に斜めに配置することで開口割合を大きくでき、圧力損失を低減した計測装置が実現できる。また、伝搬路流れ規制体43は計測流路6に斜めに配置することで規制部44を設置する部分の面積を大きく確保できるため、圧力損失を増大せずに規制部44の間隔をより細かく多数設けて乱流促進効果を高めることができる。
また、上流側と下流側に配置した伝搬路流れ規制体43、45で超音波伝搬路13を囲い、超音波伝搬路13内の乱流状態を上流側から下流側まで均等化することで補正係数をより一層平坦化でき、計測精度を一層向上できる。
さらに、下流側の伝搬路流れ規制体45により計測流路6の下流側の流れ状態の影響を受けるのを低減して計測流路6の下流側の配管状態などに関わらず安定した計測が実現でき、計測装置の設置の自由度が向上できる。さらに、計測流路における順方向あるいは逆方向のいずれの流れに対しても同じ効果が得られ脈動流れや逆流時においても補正係数の変化を平坦化でき計測精度を向上できる。
また、上流側と下流側の伝搬路流れ規制体43、45を一体化することで伝搬路流れ規制体間の設置距離あるいは上流側と下流側の規制部の相互位置のずれを防いで安定化し、バラツキの少ない計測装置を実現できる。さらに、連結部により伝搬路流れ規制体の補強がなされるため規制部の微細化あるいは薄肉化が実現でき、超音波伝搬路内の流れ状態の均等化あるいは計測流路の圧力損失の低減ができる。
また、被計測流体の種類に関わらず伝搬路流れ規制体の超音波伝搬路13からの設置距離を変えるだけで計測流路は共用化でき利便性を向上できるとともに、被計測流体の種類に関わらず安定した計測精度が維持できる。さらに、計測流路の共用化により低コスト化できる。
また、場合によっては、規制部を網状体で形成してもよく、伝搬路流れ規制体の設置スペースを流れ方向に対して薄く小さくでき、計測流路が小型化できる。
また、規制部を格子体で形成してもよく、流れ方向に延びる壁面により流れ方向を規制することで超音波伝搬路内の流速分布をより一層均等化して計測精度の向上ができる。
また、計測流路の横断面位置により隣接する2つの規制部の相互の間隔を変えるてもよく、それぞれの規制部では流れ方向の長さを小さくしたままで開口の大きさを計測流路の横断面の位置により最適化することで超音波伝搬路内の流速分布を一層均等化でき、規制部の流れ方向の長さは小さくできるため圧力損失の低減と流速分布の均等化による計測精度の向上が両立できる。
また、計測流路の矩形断面化により計測断面における計測領域の割合が大きくでき、超音波伝搬路の上流側から下流側にわたり流れに対して同じ条件で計測できるため、流体の平均流速を精度高く計測できる。
また、超音波伝搬路に沿って配置した伝搬路流れ規制体と計測流路の矩形断面化により、二次元流れを起こさせるための断面の高アスペクト比化から開放され、断面仕様を反射波の干渉を低減する流路高さに自在に設定でき、感度を高めた超音波の送受信ができる。また、計測断面を過剰に偏平化させず流体との接触長さを低減した断面として計測流路の圧力損失の低減ができる。
なお、本実施例では屈曲部17、18を計測流路6の幅Wの方向に曲げた場合を示したが、屈曲部17、18の曲がり方向は計測流路6の高さHの方向でも良いだけでなく任意の方向でも良く、さらに屈曲部17と屈曲部18の曲がり方向が異なっていても良いのは言うまでもない。
(実施例5)
図27において、図1〜図26の実施の形態と同一部材、同一機能は同一符号を付し詳細な説明は省略し、異なるところを中心に説明する。
56は開口穴11、12へ被測定流体が流れ込むのを低減する流入抑制体であり、前述した超音波伝搬路13の上流側に設けた伝搬路流れ規制体43の下流側に設けている。流入抑制体56は図28に拡大して示すように超音波が通過できる超音波通過口22を多数持つ開口穴封止部21で構成した第一の流入抑制体57を含み、この開口穴封止部21は超音波伝搬路13を横切るとともに開口穴11、12の計測流路面6aに対して面一に設けて開口穴11、12内への流れ込みを低減している。
図29は流入抑制体の他の実施の形態を示すもので、上流側の開口穴11の上流近傍に流路壁7から突出するように配置される流れ偏向体58aとこの流れ偏向体58aの上流側に設け滑らかに高さを増加させた案内面58bで形成した第一の流入抑制体58により計測流路面6a近くの流れを壁面から遠ざけるように流れを偏向させて開口穴11内に流れ込まないようにしている。なお、伝搬路流れ規制体の超音波伝搬路からの設置距離GuあるいはGdが小さい場合は流れ偏向体58aと案内面58bを伝搬路流れ規制体43と一体に形成して第二の流入抑制体とすることは可能である。
図30において、60は伝搬路流れ規制体59の計測流路壁6a側に流れ偏向体60aを設けて流入抑制部60bを形成した第二の流入抑制体であり、伝搬路流れ規制体59と第二の流入抑制体60を一体化したものである。
次に、この超音波流量計測装置の被測定流体の流れ状況について説明する。まず、被計測流体が計測流路6の上流側に設けた開閉弁(図示せず)での流路断面積の拡大縮小あるいは屈曲部17を流れることなどにより流れの変動を生じたまま計測流路6に入り、超音波伝搬路13の上流側直前に設けた伝搬路流れ規制体43の規制部44により乱れが促進される。
上流側の超音波送受信器8に近い所から下流側の超音波送受信器9に近い所まで超音波伝搬路13の全域にわたり上流側直前に伝搬路流れ規制体43が配置されているため、超音波伝搬路13の全域にわたり均等に乱流促進がなされる。このように上流側から下流側まで超音波伝搬路13内の流れ状態の違いを小さくして超音波伝搬路13内での平均流速の測定をし易くする。特に、流速が小さく(流量が小さい時)流れ状態が層流で計測流路6に流入してきた場合でも超音波伝搬路13内での流れ状態は伝搬路流れ規制体43により乱流化が促進される。
このため、この乱流状態と、流速が大きく(流量が大きい時)計測流路6に乱流状態で流入した場合での超音波伝搬路13内の乱流状態との差が小さくなる。従って、小流量から大流量までの幅広い流量域で安定して超音波伝搬路13内の流れを乱流化できる。また、伝搬路流れ規制体43は計測流路6に斜めに配置するため、計測流路6に直交配置するよりも計測流路6内の長さを大きくできる。従って、開口面積の大きい伝搬路流れ規制体43が可能となり圧力損失を低減した計測装置が実現できる。
次に、開口穴近傍での流れについて説明する。まず、流入抑制体として、下流側の開口穴12に設けた第一の流入抑制体57あるいは58だけを用いた場合は、流れに対して鋭角で交わるためより強い渦が発生し易い下流側の開口穴への流れ込みを低減させて超音波送受信器間の流れの乱れを効率よく低減することができ、流量計測できる上限値を高めることができる。特に、開口穴封止部21を第一の流入抑制体57とする場合は、流入抑制効果を一層高めて開口穴内での流れを低減できるとともに、両方の開口穴11、12に開口穴封止部21を設けた時よりも超音波の減衰量を低減でき、超音波送受信器への駆動入力を低減させ低消費電力化を実現できる。
次に、流入抑制体を上流側および下流側の両方の開口穴11、12に設けた第一の流入抑制体57あるいは58とした場合は、超音波伝搬路での流れの乱れの中で大きな割合を占める開口穴内での乱れを効率よく低減でき、計測精度および流量計測できる上限値を高めることができる。
特に、開口穴封止部21を第一の流入抑制体57とした場合は、計測流路における順方向あるいは逆方向のいずれの流れに対しても流れの乱れを効率よく低減できる。なお、上流側の開口穴11には流れ偏向体58aを含む第一の流入抑制体58を設け、下流側の開口穴12には開口穴封止部21を含む第一の流入抑制体57とした場合は、超音波送受信器間の流れの乱れの一層低減と超音波の減衰量の低減による超音波送受信器の低消費電力化ができるのは言うまでもない。
さらに、流入抑制体を伝搬路流れ規制体に流入抑制部を設けて第二の流入抑制体とした場合は、開口穴への流入抑制されるとともに伝搬路流れ規制体と流入抑制体の一体化により開口穴への流入抑制特性のバラツキを低減して信頼性を高めることができ、またコンパクトな超音波伝搬路が形成できるため計測流路を小型化できる。
このように流れが安定化された超音波伝搬路13に対して超音波送受信器8、9間で超音波を送受信して精度の高い流速計測が実現できるとともに流れの変動による超音波の減衰を低減して計測できる流量の上限値を高めることができる。
もし第一の流入抑制体57、58あるいは第二の流入抑制体60が無い場合では、下流側の開口穴12は計測流路6に対して鋭角で交わるため計測流路6内の強い流れが開口穴12内に流入して強い渦を発生し、部分的な流速変動による流速計測の精度の低下や渦による超音波の減衰により計測可能な流量の上限値が低下したりする。
また、上流側の開口穴11でも第一の流入抑制体57、58あるいは第二の流入抑制体60が無い場合では流れの流入は発生するが、開口穴11が計測流路6に対して鈍角で交わるため渦の強度は下流側の開口穴12の場合より小さくその悪影響は小さい。しかし、上流側の開口穴11に第一の流入抑制体57、58あるいは第二の流入抑制体60を設けることでより一層流れが安定化されるのは言うまでもない。
次に、超音波の伝搬時間T1、T2を基に流量を求める時の補正係数Kについて説明する。超音波伝搬路13の上流側端部から下流側端部まで全域においてすぐ上流側に設けた伝搬路流れ規制体43により、超音波伝搬路13の全域において乱流促進がなされるため、流量係数Kは図17、図18で前述したと同様に流量変化に対する変化が少なく平坦になり、補正係数の流量変化特性の平坦化により流体の物性値変化が生じても計測精度の維持がなされ、実用性、利便性を高めることができ、超音波送受信器間の流れの乱れの大幅な低減により測定範囲内の全域において超音波の受信レベルを高めて測定精度の一層の向上ができる。
しかも、開口穴11、12への流れ込みを低減させて超音波送受信器間の流れの乱れを大幅に低減することができ、流量計測できる上限値を高めることができる。また、開口穴封止部は水平に対して傾きを持つ傾斜網目の網状体としたり、流れ偏向体を開口穴の上流側と下流側の両方に設けたものでは、流量係数を平坦化して計測精度を向上できるとともに、実施の形態1で前述した効果が加わり信頼性を一層向上できる。
図31は流入抑制体の他の実施例を示したもので、超音波通過口22を有する開口穴封止部21含む第一の流入抑制体57と、伝搬路流れ規制体61の計測流路面6a側に設けた流入抑制部62aを含む第二の流入抑制体62として備えている。このため、開口穴への被測定流体の流入抑制効果をなお一層高めることで計測精度の一層の向上ができるとともに、流れ偏向体により開口穴封止部へのダストなどの異物の付着を低減できるので、開口穴封止部は目詰まりを重視せずに超音波の通過性を第一として自由度を高めた選定ができ、超音波の通過性を一層高めることで低入力化あるいは感度を高め計測精度に優れた装置が実現できる。
さらに、第二の流入抑制体62は被測定流体の流量あるいは物性値に適切な形状に伝搬路流れ規制体61の一部として加工できるため、計測流路6そのものの共用化が容易にできるようになる。さらに、第一および第二の流入抑制体の相乗効果による開口穴内の乱れ低減と伝搬路流れ規制体と流入抑制体の一体化による開口穴への流入抑制特性のバラツキ低減とにより計測精度と信頼性を高めることができ、またコンパクトな超音波伝搬路が形成できるため計測流路を小型化できる。
図32、図33は伝搬路流れ規制体と流入抑制体の他の実施例を示したもので、上流側の伝搬路流れ規制体43と下流側の伝搬路流れ規制体45により超音波伝搬路13を囲うとともに、流入抑制体56を設けている。図33に示すように、これらの伝搬路流れ規制体43、45は連結部48により接続され一体化されるとともに、超音波伝搬窓49には流入抑制体56を取り付けている。流入抑制体56は、開口穴11、12を覆う開口穴封止部21としてのメッシュである。
この構成において、超音波伝搬路13内の流れは下流側の伝搬路流れ規制体45により背圧が印加されるため均一化、安定化されるとともに、計測流路6の下流側の配管形状の違いあるいは被計測流体の使用条件などによる脈動などで超音波伝搬路13内の流れ状態が影響されるのを低減して安定した流量計測ができる。
また、開口穴11、12には流入抑制体56が設けられているので、計測可能な流量の上限値を高めることができる。
また、伝搬路流れ規制体43、45を連結し、さらに流入抑制体56としての開口穴封止部21を一体化しているため、相互の距離などの位置関係が確定して流れ状態の安定化ができ、超音波伝搬路13内の流れ状態のバラツキを低減して、バラツキの小さい安定した計測が実現できる。また、伝搬路流れ規制体43、45の一体化だけでなく開口穴封止部21をも一体化することにより伝搬路流れ規制体の強度を一層補強でき、長期の使用にわたって変形を防いで耐久性、信頼性を向上できる。
なお、伝搬路流れ規制体43は計測流路6の幅W方向に対しては超音波伝搬路13に沿ってほぼ平行に配置されているが、計測流路6の高さH方向については図16で説明したように横断面が円形の計測流路6内に配置しても良く、また図22で説明したように横断面が矩形の計測流路6内に配置することで前述の実施例での効果が同様に期待できるものである。
また、開口穴の開口形状は計測流路の流れ方向にほぼ直交する方向に一辺を有する形状としたり、計測流路の上流側の導入部あるいは下流側の導出部に偏流抑制体を配置したりする場合などに関しても前述の実施の形態での効果が同様に期待できる。
このように、実施例5によれば、超音波伝搬路13の上流側端部から下流側端部まで全域においてすぐ上流側に設けた伝搬路流れ規制体43により、超音波伝搬路13の全域において乱流促進がなされ、流量計測範囲の全域にわたり補正係数の流量変化特性は平坦化され補正係数による誤差の拡大が防止されて計測精度の向上ができ、また流入抑制体を設けて開口穴への流れ込みを低減させて超音波伝搬路での流れの乱れを大幅に低減できるため超音波の受信レベルを高めて流量計測できる上限値を高めることができる。
また、流入抑制体は下流側の開口穴に設けた第一の流入抑制体として、流れに対して鋭角で交わるためより強い渦が発生し易い下流側の開口穴に流入抑制体を配置して開口穴への流れ込みを低減させて超音波送受信器間の流れの乱れを効率よく低減することができ、流量計測できる上限値を高めることができる。
また、流入抑制体は上流側および下流側の開口穴に設けた第一の流入抑制体として、超音波伝搬路での流れの乱れの中で大きな割合を占める開口穴内での乱れを計測流路における順方向あるいは逆方向のいずれの流れに対しても効率よく低減でき、計測精度および流量計測できる上限値を高めることができる。
また、流入抑制体は伝搬路流れ規制体に流入抑制部を設けて第二の流入抑制体として、伝搬路流れ規制体と流入抑制体の一体化により開口穴への流入抑制特性のバラツキを低減して信頼性を高めることができ、またコンパクトな超音波伝搬路が形成できるため計測流路を小型化できる。
また、第一の流入抑制体は少なくとも1つの超音波透過口を有する開口穴封止部として、開口穴を開口穴封止部で覆うことで開口穴への被測定流体の流入抑制効果を一層高めて開口穴内での流れを低減して安定化でき、また超音波通過口により超音波の伝搬は確保できるとともに開口穴封止部を下流側の開口穴のみに配置する場合では超音波の減衰を一層少なくして超音波送受信器への駆動入力を低減させて低消費電力化を実現できる。
また、第一の流入抑制体は少なくとも1つの超音波透過口を有する開口穴封止部と開口穴の近傍に設けた流れ偏向体を備えて、開口穴への被測定流体の流入抑制効果をなお一層高めることで計測精度の一層の向上ができるとともに、流れ偏向体により開口穴封止部へのダストなどの異物の付着を低減できるので、開口穴封止部は目詰まりを重視せずに超音波の通過性を第一として自由度を高めた選定ができ、超音波の通過性を一層高めることで低入力化あるいは感度を高め計測精度に優れた装置が実現できる。
また、流入抑制体は開口穴に設けた第一の流入抑制体と伝搬路流れ規制体に設けた第二の流入抑制体を設けて、第一および第二の流入抑制体の相乗効果による開口穴内の乱れ低減と伝搬路流れ規制体と流入抑制体の一体化による開口穴への流入抑制特性のバラツキ低減とにより計測精度と信頼性を高めることができ、またコンパクトな超音波伝搬路が形成できるため計測流路を小型化できる。
なお、本実施例では屈曲部17、18を計測流路6の幅Wの方向に曲げた場合を示したが、屈曲部17、18の曲がり方向は計測流路6の高さHの方向でも良いだけでなく任意の方向でも良く、さらに屈曲部17と屈曲部18の曲がり方向が異なっていても良いのは言うまでもない。
(実施例6)
図34において、図1〜図33の実施の形態と同一部材、同一機能は同一符号を付し詳細な説明は省略し、異なるところを中心に説明する。
63は開口穴11、12に設けられ超音波の伝搬方向に開口穴11、12を仕切っている複数の分割通路である。また、図35に示すように、この分割通路63は、超音波送受信器9の振動面64に沿った入口面65と、計測流路面6aに沿った出口面66を備え、分割通路63の垂直断面の一辺67が送受信に用いる超音波の半波長λ/2より長い寸法で、かつ超音波の半波長の整数倍でない寸法とした。
そして、開口穴12内の分割通路63と超音波受発振素子9の振動面との距離68は、超音波の半波長λ/2の整数倍とした。そして、分割通路63を構成する仕切りの厚みdは、超音波の波長λより短い寸法とすることとした。ここでは、下流側の超音波送受信器9についてのみ説明したが、上流側の超音波送受信器8の方も同様である。
さらに、図36に示すように、超音波送受信器9に対向する側の計測流路面6aに設けた開口穴11の分割通路63のそれぞれは、他方の開口穴12の分割通路63の対応する1つと同一直線上に延びるように配置した。
次に流量計測の一般的方法について説明する。超音波式流量計は、前述したように超音波の伝搬時間T1およびT2の逆数差から次式によって流速Vを求め、流路の断面積を掛けることによって流量に換算するものである。すなわち、流速Vは次式のように求まる。
V=[L/(2cosθ)]×[(1/T1)−(1/T2)]
この時、流れによって影響を受ける超音波の伝搬距離Lは、開口穴の内部に流れが進入する場合としない場合で異なってくる。すなわち、流速によって、あるいは脈動流の有無によって、開口穴内に流れが侵入したりしなかったりするため、有効な伝搬距離Lが変化し、計測流量に誤差が生じることになっていた。
本発明の構成によれば、計測流路に設けた開口穴の内部が小さく分割され、渦が発生しにくくなることと、分割流路の流入抑制体としての作用により開口穴内部への流体の流入も低減させることができ、流速が変わったり、脈動が発生しても、有効伝搬距離Lを一定に保つことができ、流量を正しく計測することができる。そして、超音波が分割通路の被測定流体中を伝搬するのでバルク素子よりも感度低下が少ないことと、通路を分割することによって超音波の直進性が維持され、良好な送受信を行うことができる。
さらに、超音波が分割通路に垂直入射し、分割通路に沿って真っ直ぐに進行することができ、反射などを起こさず減衰の少ない伝搬路とすることができる。そして、計測流路面に対して出口が平坦な面となり、計測流路面の境界層の流れを乱すことがないとともに、放射面として出口面を揃えることで効率よく超音波を放射することができる。そして、一対の分割通路の送信面と受信面が超音波の進行方向に対し一致することで、対向する開口穴部の仕切り板によって反射減衰することがないようにすることができる。
また、分割通路の垂直断面の一辺67が、半波長より長いので分割面からの粘性の影響を受けにくく減衰の少ない伝搬路とすることができる。さらに、その一辺67の長さを、波長の整数倍としないことで、横方向の共鳴を抑制することができ、効率よく伝搬させることができる。
そして、超音波送受信器と分割通路入口面との間の距離68を、半波長の長さで共鳴させることによって、放射を効率よく行うことができる。そして、分割通路の仕切りの厚みdを波長より短くすることで、分割通路へ入射するときの超音波の反射が防止でき、効率よく超音波が伝搬して良好な送受信を実現することができる。
ここで、図37、図38および図39のような四角形の分割通路断面でも同様の効果が発揮できるとともに、図40のようなハニカム状の分割通路では、開口穴にハニカム格子材料を嵌合して容易に固定できるとともに分割通路63の仕切の厚みdを超音波の波長よりも十分薄くでき、かつ開口穴の上下左右の分割が可能となる。そして、効率よく超音波が伝搬して良好な送受信を実現することができる。
また、分割通路の1つは開口穴の中央部に開口部を設けたものである。そして、開口穴の中心部に開口部があるので超音波送受信器の中心軸と一致し、超音波の出力の強い中央部の伝搬を効率よく行い、超音波送受信による信号伝達を良好にするものである。
また、分割通路の対向面が平行とならないような多角形などでは、超音波の進行方向に垂直な伝搬が分散され共鳴を起こしにくくなり、超音波が効率よく伝搬される効果がある。特にハニカム格子材料を分割通路とし、中心部に開口部を設けることで、上記共鳴現象の低減と前述の十分薄い仕切の厚みdによる効果と超音波の出力の強い中央部の高効率の超音波の伝搬により、超音波送受信による信号伝達の一層の効率化が促進できる。
さらに、図41に示すように、分割通路の通路途中に各通路が連通する連通部69を備えることによって、仕切り面が少なくなり、壁面による減衰を最小限に抑えることができる。連通部69の大きさも超音波の波長より長くすることで、分割通路が連結しやすくなる。連結部と仕切り部を交互に備えることで、仕切りの効果と減衰を低減する効果を備えることができる。
次に、分割通路の他の実施の形態を図42、図43を用いて説明する。図42は開口穴12の分割通路70を示す断面図である。前述の実施の形態と異なる点は、分割通路の通路長Lbを、送受信に用いる超音波の波長λより短い寸法として、網材料としての金網を、超音波の伝搬方向に垂直な方向に配置した超音波送受信素子側と、流路壁面に沿わせた流路側に配置して分割通路を構成したことである。図43に、開口部71を示す。
そして、超音波の波長より短い通路長とすることで、分割通路を減衰の少ない伝搬路とすることができる。また、計測流路面に設けた開口穴内部の開口空間が小さく分割され、渦が発生しにくくなることと、開口穴内部への流体の流入も低減させることができ、流速が変わったり、脈動が発生しても、流量を正しく計測することができる。そして、超音波が分割通路の空気中を伝搬するのでバルク素子よりも感度低下が少ないことと、通路を分割することによって超音波の直進性が維持され、良好な送受信を行うことができる。
また、分割通路の垂直断面の一辺67が、半波長より長いので分割面に沿って流れる流体の粘性の影響を受けにくく減衰の少ない伝搬路とすることができる。さらに、その一辺67の長さを、波長の整数倍としないことで、横方向の共鳴を抑制することができ、効率よく伝搬させることができる。
また、分割通路を第一の流入抑制体、第二の流入抑制体などの流入抑制体を備えた計測流路に用いることにより開口穴での流れの乱れが一層低減でき、上記の効果に加えて計測上限値を向上できる。
以上の説明から明らかなように上記各実施例によれば、次の効果が得られる。
実施例の超音波流量計測装置は、少なくとも下流側の開口穴の近傍に設けて開口穴への被測定流体の流れ込みを低減させる第一の流入抑制体と、計測流路の上流側に設けて開口穴への被測定流体の流れ込みを低減させる第二の流入抑制体を有し、下流側の開口穴に設けた第一の流入抑制体は少なくとも1つの超音波透過口を有する開口穴封止部を備えているので、超音波送受信器間の流れを安定化して超音波の受信レベルを高めて計測精度および流量計測できる上限値を高め、超音波の受信レベル向上と流入抑制体による超音波の減衰改善とにより超音波送受信器の駆動入力を低減できる。
また、本実施例の超音波流量計測装置は、被測定流体の順逆両方向流れに対して開口穴への被測定流体の流れ込みを低減させる第一の流入抑制体および第二の流入抑制体を有し、順方向流れ時の下流側の開口穴に設けた第一の流入抑制体は少なくとも1つの超音波透過口を有する開口穴封止部とし、第二の流入抑制体は計測流路の入口側および出口側の両方に配置しているので、脈動を伴った流れで瞬時的な逆流を生じる場合でも、順方向流れ時と同様に開口穴への被測定流体の流れ込みが低減されて超音波送受信器間の流れの乱れを大幅に低減することができ、計測精度を高め、流量計測できる上限値を高めることができる。
また、本実施例の超音波流量計測装置は、上流側および下流側の超音波送受信器間の超音波伝搬路に沿って配置されるとともに流れの中に露出する規制部を有する伝搬路流れ規制体を備えて、超音波伝搬路の上流側から下流側まで全域においてすぐ上流側に配置される伝搬路流れ規制体の規制部により流れの乱流促進がなされ、超音波伝搬路では流量に関わらず上流側の開口穴に近い領域から下流側の開口穴に近い領域まで超音波伝搬路の幅方向全域にわたり流れ状態が均等に乱流化され、流量計測範囲の全域にわたり補正係数の変化を小さくすることができ、補正係数による誤差の拡大が防止されて計測精度を高めることができ、流体の動粘性係数の変化によりレイノルズ数が変化しても計測精度が維持され、流体温度変化や流体成分変化に対して強い計測装置を実現でき、実用性を高めることがで
きる。
また、本実施例の超音波流量計測装置は、上流側および下流側の超音波送受信器間の超音波伝搬路に沿って配置されるとともに流れの中に露出する規制部を有する伝搬路流れ規制体と、開口穴への被測定流体の流れ込みを低減させる流入抑制体を備えて、超音波伝搬路の上流側から下流側まで全域においてすぐ上流側に配置される伝搬路流れ規制体により流れの乱流促進がなされて超音波伝搬路では流量に関わらず上流側の開口穴に近い領域から下流側の開口穴に近い領域まで超音波伝搬路の幅方向全域にわたり流れ状態が均等に乱流化され、流量計測範囲の全域にわたり補正係数の変化を小さくすることができるとともに補正係数による誤差の拡大が防止されて計測精度を高めることができ、また計測流路に開口する開口穴に流入抑制体を配置して開口穴への流れ込みを低減させて超音波送受信器間
の超音波伝搬路での流れの乱れを大幅に低減することができ、流量計測できる上限値を高めることができる。
また、上流側の開口穴に設けた第一の流入抑制体は流れ偏向体としたものであり、上流側の開口穴での超音波通過口による超音波の伝搬損失を無くして超音波送受信器の駆動入力を低減できるとともに、上流側の開口穴への流体の流入を低減して超音波伝搬路での流れの乱れを安定化して計測精度を向上できる。
また、上流側の開口穴に設けた第一の流入抑制体は少なくとも1つの超音波透過口を有する開口穴封止部を備えたものであり、上流側および下流側の開口穴への流体の流れ込みの大幅な低減が実現でき、流量計測できる上限値を高めることができるとともに逆流を伴う流れに対しても計測精度を高めることができ、開口穴での流れの乱れの大幅な低減によりS/N特性に優れた超音波の送受信が実現でき、送信出力の低減が可能となり駆動入力の低減による低消費電力化ができる。
また、上流側の開口穴に設けた開口穴封止部の開口率は下流側の開口穴に設けた開口穴封止部の開口率よりも大きくしたものであり、超音波の伝搬損失の低減がなされ、流量計測の上限値の向上と逆流に対する計測精度の向上を可能にするとともに、超音波送受信器への駆動入力の低減により低消費電力化できる。
また、伝搬路流れ規制体は超音波伝搬路の上流側および下流側に配置したものであり、上流側と下流側の伝搬路流れ規制体とで超音波伝搬路を囲い超音波伝搬路内の乱流状態を上流側から下流側まで均等化することで補正係数をより一層平坦化でき、計測精度を一層向上でき、また下流側の伝搬路流れ規制体により計測流路の下流側の流れ状態の影響を受けるのを低減して計測装置の下流側の配管状態に関わらず安定した計測が実現され計測装置の設置の自由度が向上でき、さらに計測流路における順方向あるいは逆方向のいずれの流れに対しても同じ効果を得て脈動流れに対する補正係数の安定化により計測精度を高めることができる。
また、超音波伝搬路の上流側および下流側に配置した伝搬路流れ規制体は連結部を介して一体化したものであり、伝搬路流れ規制体間の設置距離あるいは上流側と下流側の規制部の相互位置のずれを防いで安定化し、バラツキの少ない計測装置を実現できる。さらに、連結部により伝搬路流れ規制体の補強がなされるため規制部の微細化あるいは薄肉化が実現でき、超音波伝搬路内の流れ状態の均等化あるいは計測流路の圧力損失の低減ができる。
また、超音波伝搬路の上流側および下流側に配置した伝搬路流れ規制体と流入抑制体を一体化したものであり、上流側および下流側の伝搬路流れ規制体と流入抑制体との相互の距離などの位置関係が確定して流れ状態の安定化ができ、超音波伝搬路内の流れ状態のバラツキを低減して、バラツキの小さい安定した計測が実現でき、一体化することにより伝搬路流れ規制体の強度を一層補強でき、長期の使用にわたって変形を防いで耐久性、信頼性を向上できる。
また、流入抑制体は下流側の開口穴に設けた第一の流入抑制体としたものであり、流れに対して鋭角で交わるためより強い渦が発生し易い下流側の開口穴に流入抑制体を配置して開口穴への流れ込みを低減させて超音波送受信器間の流れの乱れを効率よく低減することができ、流量計測できる上限値を高めることができる。
また、流入抑制体は上流側および下流側の開口穴に設けた第一の流入抑制体としたものであり、超音波伝搬路での流れの乱れの中で大きな割合を占める開口穴内での乱れを効率よく低減でき、計測精度および流量計測できる上限値を高めることができる。
また、流入抑制体は超音波伝搬路に沿って配置した伝搬路流れ規制体に流入抑制部を設けて第二の流入抑制体としたものであり、伝搬路流れ規制体と流入抑制体の一体化により開口穴への流入抑制特性のバラツキを低減して信頼性を高めることができ、またコンパクトな超音波伝搬路が形成できるため計測流路を小型化できる。
また、流入抑制体は、開口穴に設けた第一の流入抑制体と、伝搬路流れ規制体に流入抑制部を設けた第二の流入抑制体とを備えたものであり、第一および第二の流入抑制体の相乗効果による開口穴内の乱れ低減と伝搬路流れ規制体と流入抑制体の一体化による開口穴への流入抑制特性のバラツキ低減とにより計測精度と信頼性を高めることができ、またコンパクトな超音波伝搬路が形成できるため計測流路を小型化できる。
また、第一の流入抑制体は少なくとも1つの超音波透過口を有する開口穴封止部としたものであり、開口穴を開口穴封止部で覆うことで開口穴への被測定流体の流入抑制効果を一層高めて開口穴内での流れを低減して安定化できる。
また、第一の流入抑制体は少なくとも1つの超音波透過口を有する開口穴封止部と開口穴の近傍に設けた流れ偏向部を備えたものであり、開口穴への被測定流体の流入抑制効果をなお一層高めることで計測精度の一層の向上ができるとともに、流れ偏向体により開口穴封止部へのダストなどの異物の付着を低減できるので、開口穴封止部は目詰まりを重視せずに超音波の通過性を第一として自由度を高めた選定ができ、超音波の通過性を一層高めることで低消費電力化あるいは感度を高め計測精度に優れた装置が実現できる。
また、上流側の開口穴に設けた開口穴封止部の開口率は下流側の開口穴に設けた開口穴封止部の開口率よりも大きくしたものであり、超音波の伝搬損失の低減がなされ、流量計測の上限値の向上と逆流に対する計測精度の向上を可能にするとともに、超音波送受信器への駆動入力の低減により低消費電力化できる。
また、開口穴封止部は水平に対して傾きを持つ傾斜網目の網状体としたものであり、水平に対して傾けることで傾斜網目部に付着したダストなどの微粉体の落下を促進せしめて堆積量を低減し、網状体の目詰りを防止することで超音波の伝搬を確保し、長期間にわたり安定した計測精度を維持でき耐久性、信頼性が向上できる。
また、流れ偏向体は開口穴の上流側および下流側に設けたものであり、計測流路の順方向、逆方向のいずれの流れに対しても計測精度の一層の向上と開口穴への流入抑制と開口穴への異物侵入防止ができ、脈動流れに逆流を伴っても長期間にわたり安定した計測精度を維持でき耐久性、信頼性が向上できる。
また、伝搬路流れ規制体は被測定流体の種類に応じて超音波伝搬路からの設置距離を変えたものであり、伝搬路流れ規制体を変えるだけで被測定流体の種類に関わらず計測流路は共用化でき利便性を向上できるとともに、被計測流体に関わらず安定した計測精度が維持できる。さらに、計測流路の共用化により低コスト化できる。
また、伝搬路流れ規制体の規制部は網状体で形成したものであり、伝搬路流れ規制体の設置スペースを流れ方向に対して薄く小さくでき、計測流路の小型化ができる。
また、伝搬路流れ規制体の規制部は流れ方向に壁面を有する格子体で形成したものであり、流れ方向に延びる壁面により流れ方向を規制することで超音波伝搬路内の流速分布をより一層均等化して計測精度の向上ができる。
また、伝搬路流れ規制体の隣接する2つの規制部は計測流路の横断面の位置により相互の間隔を変えたものであり、それぞれの規制部では流れ方向の長さを小さくしたままで開口の大きさを計測流路の横断面の位置により最適化することで超音波伝搬路内の流速分布を一層均等化でき、規制部の流れ方向の長さは小さくできるため圧力損失の低減と流速分布の均等化による計測精度の向上が両立できる。
また、計測流路の流れに直交する断面は矩形としたものであり、矩形断面化により計測断面における計測領域の割合が大きくでき超音波伝搬路の上流側から下流側にわたり流れに対して同じ条件で計測できること、および計測流路内の流れの二次元化が促進できることにより流体の平均流速を精度高く計測できる。また第二の流入抑制体を備えることにより流れの二次元化が一層促進できる。
また、計測流路の流れに直交する断面はアスペクト比が2より小さい矩形としたものであり、高アスペクト比化して二次元流れを起こさせる必要がなく、断面仕様を反射波の干渉を低減する流路高さに合わせて自在に設定でき、感度を高めた超音波の送受信ができる。さらに、計測断面を過剰に偏平化させず流体との接触長さを低減した断面として計測流路の圧力損失の低減ができる。
また、開口穴の計測流路への開口形状は計測流路の流れ方向に対してほぼ直交する方向に一辺を有する形状としたものであり、計測流路の高さ方向に対して均等に超音波を発信、受信できるとともに、開口穴の計測流路での流れ方向の開口寸法を短くできるため開口穴による流れの乱れを一層低減して計測精度を一層向上できる。
また、計測流路の上流側に配置した導入部に微細な開口を持つ流通口を有する偏流抑制体を設けたものであり、上流側の流路形状や配管形状に関わらず安定した流れを計測流路に供給することで超音波送受信器間の流れの乱れを低減でき、計測可能な上限値を一層高めることができるとともに計測精度を一層向上できる。また、計測流路の上流側の流路形状や配管状態に関わらず安定した計測が実現でき、計測装置の設置の自由度が向上できる。
また、計測流路の上流側に配置した導入部と下流側の導出部に微細な開口を持つ流通口を有する偏流抑制体を設けたものであり、逆流を伴う脈動を持つ被測定流体あるいは下流側に脈動源を持つ被測定流体でも安定した流れを計測流路に供給することで超音波送受信器間の流れの乱れを低減でき、計測可能な上限値を一層高めることができるとともに計測精度を一層向上できる。また、計測流路の上流側あるいは下流側の流路形状や配管状態や脈動発生源に関わらず安定した計測が実現でき、計測装置の設置の自由度が一層向上できる。
また、導入部あるいは導出部の断面積は計測流路の断面積よりも大きくしたものであり、偏流抑制体の設置断面積を大きくして偏流抑制体の圧力損失を低減して圧力損失の増大を防止でき、さらに導入部あるいは導出部を大きな断面とすることで上流側あるいは下流側の流路形状や配管形状が異なっていても導入部あるいは導出部の形状を変えることなく計測装置の取付けを可能にでき、設置の自由度を高めた計測装置が実現できる。
また、偏流抑制体の流通口の開口寸法は第二の流入抑制体に設けた流通口の開口寸法よりも小さくしたものであり、上流側あるいは下流側の接続口が位置的に偏って配置されていても計測流路では均等に流体を流動させることで精度を高めた計測ができ、さらに被測定流体に脈動があっても小さい開口寸法の流通口により計測流路には脈動を低減した流れとして供給でき脈動流に対しても計測精度を向上できる。さらに、偏流抑制体の小さい開口寸法の流通口は計測部へのゴミ、ダストなどの侵入を低減して計測流路での計測動作の信頼性を高めることができる。
また、本実施例の超音波流量計測装置は、被測定流体が流れる計測流路と、この計測流路の上流側および下流側に設けた超音波送受信器と、この超音波送受信器を前記計測流路に臨ませる上流側および下流側の開口穴とを有し、この開口穴の少なくとも一方は超音波の伝搬方向に沿って延びる複数の分割通路を備えたものであり、超音波が分割流路内の流体中を伝搬するので感度低下も少なく、また通路を分割することによって超音波の直進性が維持され、良好な送受信を行うことができるとともに、流路側面に設けた開口穴内部の開口流路が小さく分割され、渦が発生しにくくなることと、開口穴内部への流体の流入も低減させることができ、脈動が発生しても流量を正しく計測することができる。
また、開口穴の少なくとも一方は超音波の伝搬方向に沿って延びる複数の分割通路を備えたものであり、流入抑制体により開口穴への流れ込みが低減でき計測上限値を向上できるとともに、超音波が分割流路内の流体中を伝搬するので感度低下も少なく、また通路を分割することによって超音波の直進性が維持され、良好な送受信を行うことができるとともに、流路側面に設けた開口穴内部の開口流路が小さく分割され、渦が発生しにくくなることと、開口穴内部への流体の流入も一層低減させることができ、脈動が発生しても流量を正しく計測することができる。
また、分割通路のそれぞれは、超音波送受信器の振動面に沿った入口面と、流路壁面に沿った出口面を備えたものであり、超音波が分割通路に垂直入射し、分割通路に沿って真っ直ぐに進行することができ、反射などを起こさず減衰の少ない超音波伝搬路とすることができるとともに、流路壁面に対して出口が平坦な面となり、流路壁面の境界層の流れを乱すことがないとともに、放射面として出口面を揃えることで効率よく超音波を放射とすることができる。
また、一方の開口穴部の各分割通路は、他方の開口穴の対応する分割通路と同一直線上に延びており、送信面と受信面が超音波の進行方向に沿って位置合わせされることで、対向する開口穴の分割通路の仕切り板によって反射減衰を低減することができる。
また、各分割通路の垂直断面の一辺が送受信に用いる超音波の半波長より長い寸法としたものであり、分割面からの粘性の影響を受けにくく、減衰の少ない分割通路とすることができる。
また、各分割通路の垂直断面の一辺が送受信に用いる超音波の半波長の整数倍でない寸法としたものであり、横方向の共鳴を抑制することができ、効率よく伝搬させることができる。
また、開口穴の分割通路と対応する超音波送受信器の振動面との距離は、超音波の半波長の整数倍としたものであり、半波長の長さで共鳴させることによって、放射を効率よく行うことができる。
また、分割通路を構成する仕切りの厚みは、送受信に用いる超音波の波長より短い寸法としたものであり、超音波の反射が防止でき効率よく送受信することができる。
また、開口穴に、ハニカム格子材料を嵌合して分割通路を構成したものであり、格子とすることで、上下左右の方向において開口穴を分割することができる。
また、分割通路の1つは開口穴の中心部に開口部を設けたものであり、開口穴が超音波送受信器の中心と一致し、効率よく送受信することができる。
また、各分割通路の通路長は、送受信に用いる超音波の波長より短い寸法としたものであり、減衰の少ない超音波伝搬路とすることができる。
また、開口穴に、超音波の伝搬方向に垂直な方向に網材料を配置して分割通路を構成したものであり、開口穴を網で分割することで、通路長を最小限にすることができる。
また、分割通路は通路途中で各通路を隣接する通路と連通させる連通部を備えたものであり、仕切り板による減衰を最小限に抑えることができる。