JP3823438B2 - 粉砕方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂からなる原料あるいは少なくとも1種類の熱可塑性樹脂を含有する原料を粉砕し粉砕物を得る製造方法に関するものである。
例えば、原料を粉砕し所望の粒径分布の粉砕物を得て利用する電子写真用トナーの製造方法等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
粒径の粗い粉体を粉砕し所望の粒径より小さい粒径の粉砕物を得るための製造装置として、日本ニューマチック社製粉砕分級機IDS型などが知られている。本装置は原料を分級工程へフィードし、遠心力により希望粒径より小さい粒子を選別した後、粗い粒径の原料をホッパー状部分に堆積させる。堆積した原料はホッパー底の細孔を介し、ノズルから吹き出す気体流に乗って、衝突板に衝突する。その衝撃で粉砕された粉体が分散した気体は上記の原料と合流し、再度、分級装置部分へと循環する。希望粒径まで粉砕されなかった粉砕中の粉体は原料同様にホッパー状部分に堆積し、再度、気体流に乗って衝突板に衝突させる。すなわち、分級工程、粉砕工程を循環しながら、希望粒径より小さい粒子のみが選別される。
電子写真用トナーを本装置で製造する場合、一般的には原料を上記工程で粉砕分級した後、過粉砕された微粉を除去する分級を行い、シャープな粒径分布を有する粉体を得、製品として利用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の粉砕分級装置IDS型でトナー等の粉体を粉砕分級する場合、上記の衝突板に粉体が付着蓄積する現象が発生した。付着蓄積し大きな塊となったトナー原料は大きな塊に成長したところで衝突板より剥がれ落ち、気流に乗って分級工程へ運ばれる。この塊は分級部センターコアに引っかかったり、ホッパー底の細孔に詰まったりする。
【0004】
センターコアに多量の塊が引っかかると分級精度の悪化につながる。ホッパー底の細孔に詰まると運転の継続は困難となり、装置を分解し、ホッパー底の細孔に詰まった塊を除去しなければならなくなる。また、さらにこの現象が深刻な場合は、塊は上記ノズル部材の近傍まで成長し、やはり運転の継続困難な状態となる。
本現象は粉体が衝突板に衝突するエネルギーが熱となり瞬間的に粉体が軟化するため、発生すると考えられる。また軟化しない粉体においても付着性、凝集性か強い場合、同様の現象が想定される。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者らは本課題を解決し、安定した製造を行うべく検討した結果、なくとも1種類の熱可塑性樹脂を含有する原料及び/または、衝突板に衝突させた粗砕粉体を気体中に分散させ衝突板に衝突させる粉砕方法において、該熱可塑性樹脂の軟化点が130℃以下であり、且つ、該熱可塑性樹脂中に一般式(1)で示される化合物
【0006】
【化2】
Figure 0003823438
【0007】
(式中、R1 は炭素数10以上のアルキル基またはアルコキシル基を示し、R2 は−X−COOR3 (Xはアルキレン基を示し、R3 は炭素数10以上のアルキル基を示す。)または炭素数10以上のアルキル基を示す。)
を含有させることで本問題を解決した。
該化合物は、離型効果を有し、その離型効果により衝突板への付着が軽減されるためか、トナー原料の塊が発生したとしてもそれほど大きく成長する前に剥がれ落ちるためと考えられる。本発明により安定した連続運転が可能となり、工業上多大なる利益を実現した。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる分級方法においては、なくとも1種類の熱可塑性樹脂を含有する原料及び/または、衝突板に衝突させた粗砕粉体を気体中に分散させ衝突板に衝突させる。気体中に粗砕粉体を分散させる方法としては、ホッパー等堆積させた粗砕粉体にホッパーの底の部分に細孔を介し、配管とノズル部材を設け、ノズル部材より圧縮気体を吹き出し、分散させる流す方法やテーブルフィーダー等に粗砕粉体を堆積させ、気体の流路にフィードし分散させ流す方法などが揚げられる。
【0009】
粗砕粉体を高速で衝突板に衝突させるためには、ノズル部材から吹き出す気体に粗砕粉体を吸い込ませ分散させる方法や既に粗砕粉体を分散含有した気体をノズル状部材より吹き出す方法が好ましい。
衝突板に衝突した粗砕粉体は、衝突のエネルギーで粉砕される。一方で粉体の付着性や凝集性が強いものや衝突エネルギーの熱により溶けやすいものや軟化しやすいものは、衝突の際、少しずつ衝突板に付着していく危険がある。
【0010】
もし、粉体の付着性や凝集性が強いものや衝突エネルギーの熱により溶けやすいものや軟化しやすいものの場合、この衝突による粉砕を続けることで衝突板上に付着蓄積し、大きな塊に成長していく。ある程度の大きさとなったところで剥がれ落ちた場合、前述の課題で挙げた詰まりや引っかかり、ノズル部材近傍までの塊の成長などの問題が発生する。
【0011】
本発明に使用される衝突板は、粗砕粉体を分散含有した気体流と対向する位置に配置する。形状は、気体流と垂直な平板や傾きを持った平板、気体流と対向する方向に尖った円錐形のもの、中央が円錐形で周りが平板のものなどがある。材質は特に限定されないが、金属製やセラミック製のもので硬度の高いものが一般的である。
本発明に使用される粗砕粉体には一般式(1)に示される化合物
【0012】
【化3】
Figure 0003823438
【0013】
(式中、R1 は炭素数10以上のアルキル基またはアルコキシル基を示し、R2 は−X−COOR3 (Xはアルキレン基を示し、R3 は炭素数10以上のアルキル基を示す。)または炭素数10以上のアルキル基を示す。)
を含有させる。
1 はアルキル基またはアルコキシル基であり、炭素数はそれぞれ10以上、好ましくは16以上、更に好ましくは20以上である。R2 は−X−COOR3 好ましくはXが
【0014】
【化4】
−(CH2 n
【0015】
で示され、nが6以上の直鎖アルキレン基であり、R3 が炭素数20以上のアルキル基である。あるいは、炭素数10以上、好ましくは16以上のアルキル基である。特に好ましくは炭素数20以上のアルキル基である。R2 が−X−COOR3 のときはR1 はアルコキシル基である(すなわちジエステル)ことが好ましい。具体例としては、ジ−n−デシルケトン、ジ−n−ドデシルケトン、ジ−n−ステアリルケトン、ジ−n−イコシルケトン、ジ−n−ベヘニルケトン、ジ−n−テトラコシルケトン等の脂肪族ケトン;セバシン酸ドデシル、セバシン酸ジステアリル、セバシン酸ジベヘニル等の脂肪酸ジエステル類;ラウリン酸ステアリル、ラウリン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等の脂肪酸モノエステル類等が挙げられる。これらの混合物も好適である。
さらに、融点が50℃以上100℃以下であることが特に好ましい。
【0016】
一般式(1)に示される化合物の離型効果により、衝突板への付着が軽減されるためか、トナー原料の塊が発生したとしてもそれほど大きく成長する前に剥がれ落ちるためか、あるいはその複合効果のため、上記問題を抑制できると考えられる。
本発明に用いられる化合物の添加量は粉体の組成や粒径や添加方法により異なり、適度な離型効果を有する範囲で特に限定されないが、1〜20重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜10重量%の範囲である。
【0017】
粉体中に該化合物を添加し、効果を発現するには少なくとも粉体に含有される熱可塑性樹脂中に該化合物が分散もしくは溶解していなければならない。この場合、熱可塑性樹脂中に該化合物の他に他の添加剤が同時に分散もしくは溶解していても良い。該条件が満たされる限り添加方法に特に制限はない。例えば、各種添加物とバインダー樹脂の混練粉砕物である電子写真用トナーの場合、バインダー樹脂の重合製造段階で添加しても良いし、バインダー樹脂と該化合物を溶媒中で溶解混合した後に溶媒を留去しても良い。また、トナー混練段階で添加しても良い。
【0018】
本発明において、粗砕粉体の少なくとも一部が循環する場合、複数回の粉砕を行う目的で全量を循環させても良い。また、衝突板に衝突した後、分級工程により希望粒径より小さく粉砕された粒子を選別し、それより大きい粒径の粗砕粉体を粉砕工程に循環させても良い。日本ニューマチック社製粉砕分級機IDS型の場合、粉砕中の粉体(衝突板に衝突させた粗砕粉体)は、原料を分散含有した気体と合流し、分級工程へ向かう。分級工程を通過しホッパー状部分に一時堆積した粗砕粉体は細孔を通過し、気体の流れに吸い込まれ分散し、再度衝突板に衝突する。衝突板から剥がれ落ちた塊が、この細孔に詰まった場合、運転の継続は困難となる。
【0019】
分級にはコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いてもよい。
粉砕によって得ようとする粉砕物の粒径が細かい場合、粉体の付着性、凝集性は増加する方向である。本発明は電子写真用トナーなどの最終的に得られる粉砕物の平均粒径が20μm以下の場合、好ましく用いられる。
本発明に用いられる粗砕粉体としては、付着性や凝集性が強いもの、衝突等のエネルギーによって溶融や軟化し易いものにおいて効果を発揮する。
【0020】
本発明に用いられる粗砕粉体の中、電子写真用トナーを例にすると、トナーの主成分であるバインダー樹脂には熱可塑性樹脂が用いられる。
トナーは熱によって、紙へ溶融定着させるため、バインダー樹脂のガラス転移点やフローテスター軟化点が低い方が低い温度で定着できるので望ましい。しかしながら、ガラス転移点やフローテスター軟化点が低いと上記の如く、衝突等のエネルギーによって溶融や軟化のしやすい方向であり、トナーに望まれる性能と粉砕製造のしやすさは相反する方向である。すなわち、バインダー樹脂のガラス転移点やフローテスター軟化点が低いトナーにおいて、本発明は効果を特に発揮する。
【0021】
バインダー樹脂としては、トナーに適した公知の種々のものが使用できる。例えば、スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂並びにポリビニルブチラール樹脂等があるが、本発明に用いるのに好ましい樹脂としては、スチレン系樹脂、飽和もしくは不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂等を挙げることができる。特に好ましくは、スチレン系樹脂とポリエステル樹脂である。
【0022】
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体及びスチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0023】
ポリエステル樹脂としては、架橋性ポリエステル樹脂と非架橋性ポリエステル樹脂がある。
架橋性ポリエステル樹脂は、2価のカルボン酸単量体と2価のアルコール単量体と3価以上の多価カルボン酸単量体や多価アルコール単量体との重縮合によって得られる。2価のアルコール単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他の2価のアルコール単量体が挙げられる。2価のカルボン酸単量体としては、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ジフェン酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸の無水物もしくは低級アルキルエステルを主成分とするものが挙げられる。3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリト酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、オクタンテトラカルボン酸、及びこれらの酸の無水物、その他を挙げることができる。3価以上の多価アルコール単量体としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0024】
非架橋性ポリエステル樹脂は、2価のカルボン酸単量体と2価のアルコール単量体とを主成分とする重縮合によって得られる。2価のアルコール単量体と2価のカルボン酸単量体としては、架橋性ポリエステル樹脂と同様のものが挙げられる。
また、1種類ずつで使用するに限らず、2種以上のバインダー樹脂を併用することもできる。
【0025】
光沢性、透明性が要求されるフルカラー用に用いられるバインダー樹脂としては、スチレン系樹脂やポリエステル樹脂の内、非架橋性であり、分子量分布の狭いものが好ましく、非架橋性ポリエステル樹脂がより好ましい。重量平均分子量が数平均分子量の5倍以下のものが好ましく、さらに3倍以下のものがより好ましい。
この場合、実質的に非架橋性樹脂の性質を失わない程度、すなわち線形ポリマーに対し高々分岐構造を与える程度の範囲内で3価以上の多価カルボン酸単量体や多価アルコール単量体等を約2モル%程度以下添加しても良い。
また、1種類ずつで使用するに限らず、2種以上のバインダー樹脂を併用することもできる。
【0026】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂であるバインダー樹脂の軟化点は、フローテスタ法で測定した値が、160℃以下であるものが好ましく、130℃以下であるものが一層好ましい。160℃を越える場合は、充分な低温定着性が得られず、定着強度が悪化する傾向にあるので好ましくない。軟化点は低いほど定着性の点で優れており、好ましいが軟化点を低下させることに伴い後述のガラス転移点も低下するため、ガラス転移点低下の弊害と合わせ樹脂設計する。
【0027】
また、該バインダー樹脂のガラス転移温度は、示差熱分析装置で測定したときの転移開始(変曲点)が50℃以上75℃以下であるのが好ましい。ガラス転移温度が50℃未満の場合、長期保管時の熱安定性が悪く、トナーの凝集や固化を招き使用上問題がある。さらに75℃以上の場合は、トナーの融着や微粉粉砕にマージンがあるもののガラス転移点を増加させることに伴い軟化点も増加するため、定着性が悪化する傾向がある。トナーの平均粒径は5〜20μmが好適である。
【0028】
トナーの粒径は一般的には、コールターカウンターによる方法が広く用いられている。今回の発明で使用したトナーの平均粒径は、コールターカウンターTA−II型に100μmのアパチャーを使用し、トナー粒子をアイソトンに分散し、第3チャンネル〜第16チャンネルを使用しトナー粒径分布を測定し体積平均により決定した。
【0029】
熱可塑性樹脂であるバインダー樹脂の軟化点はフローテスター法を用いて測定した。フローテスター(島津製作所製CFT500)において、直径1mm長さ10mmのノズルを用い、加熱体を80℃に設定しバインダー樹脂1gを投入する。プラジャーを軽く押し当て、300秒間余熱した後、30kg/平方cmの圧力をかけ、6℃/分の速度で昇温する。昇温によりバインダー樹脂は軟化しノズルからバインダー樹脂が押し出され、プラジャーは下降する。下降の開始から終了までのプラジャーの下降距離の中点に相当するときの温度をもって、軟化点とする。
【0030】
熱可塑性樹脂であるバインダー樹脂のガラス転移点は示差熱分析装置(島津製作所製DT−30型)を用い、バインダー樹脂約20mgを試料セルに投入し測定部にセットし、一度10℃/分の昇温速度で100℃まで加熱し室温まで冷却した後、再び10℃/分で昇温し、このときのDTA曲線の変曲温度部の前後のなめらかな曲線部分それぞれから接線を引き、それら接線同士の交点をもってガラス転移点とする。
本発明は二成分現像剤用トナー、磁性−成分トナー、非磁性−成分トナー、黒トナー、モノカラートナー、フルカラートナーの製造に用いることができる。
【0031】
<実施例>
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
分岐型ポリエステル系樹脂 100重量部
(構成モノマー:ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、
ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、テレフタル酸、
トリメリト酸 フローテスター軟化点112℃ ガラス転移点67℃)
顔料 ピグメントブルー 15 5重量部
帯電制御剤(日本カーリット社製LR147) 3重量部
ベヘン酸ベヘニル(融点:76.0℃) 5重量部
を配合し、2軸混練機で混練し、粗砕し、トナー粉体原料を得た。
本トナー粉体原料を日本ニューマチック社製粉砕分級機IDS−2型を用い、約3kg/Hrの処理量で粉砕分級を実施したところ、約5kgの処理が問題なく行え、平均粒径9.2μmで4〜16μmに99体積%以上の分布を有するシャープな粒度分布の粉体を調達することができた。
【0032】
実施例2
ベヘン酸ベヘニルをジステアリルケトン(融点:87.5℃)5重量部に代えた以外は、実施例1同様の組成、同様の方法でトナー粉体原料を調達した。
この粉体を用い、実施例1同様の粉砕分級を行ったところ、実施例1同様に約5kgの処理が問題なく行え、実施例1同様に平均粒径9.2μmで4〜16μmに99体積%以上の分布を有するシャープな粒度分布の粉体を調達することができた。
【0033】
実施例3
スチレン−ブチルアクリレート共重合体樹脂 100重量部
(フローテスター軟化点130℃ ガラス転移点60℃)
ポリプロピレン 2重量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩) 2重量部
ジステアリルケトン(融点:87.5℃) 5重量部
を配合し、2軸混練機で混練し、粗砕し、トナー粉体原料を得た。
この粉体を用い、実施例1同様装置で約4kg/Hrの処理量で粉砕分級を行ったところ、約5kgの処理が問題なく行え、平均粒径11.2μmのシャープな粒度分布の粉体を調達することができた。
【0034】
実施例4
スチレン−ブチルアクリレート共重合体樹脂 100重量部
(フローテスター軟化点130℃ ガラス転移点60℃)
ポリプロピレン 2重量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩) 2重量部
ベヘン酸ベヘニル(融点:80.0℃) 5重量部
を配合し、2軸混練機で混練し、粗砕し、トナー粉体原料を得た。
この粉体を用い、実施例1同様装置で約4kg/Hrの処理量で粉砕分級を行ったところ、約5kgの処理が問題なく行え、平均粒径11.5μmのシャープな粒度分布の粉体を調達することができた。
【0035】
比較例1
ベヘン酸ベヘニルを除いたこと以外は、実施例1同様の組成、同様の方法でトナー粉体原料を調達し、これを用い、実施例1同様の粉砕分級を行ったところ、運転開始約15分後に装置のエア吸引音に変化が生じた。運転を停止し、装置を分解したところ、分級部センターコア上にトナー原料の塊があった。この塊は、使用した円錐形の衝突板から剥がれ落ちたと思われる曲面形状の部分があった。さらに分級部下方のホッパー部には粉砕中のトナー原料粉体が多量に溜まっており、ホッパー底の細孔にはトナー原料の塊が詰まっていた。これらを取り除き、装置を組み立て直し、運転を再開した。約10分後にカランという音がした。またトナー原料の塊が分級部センターコア上に落ちたと考えられる。更に数分後にはまたエア吸引音に変化が生じ、運転を停止した。前回の停止時同様にセンターコア上とホッパー部細孔にトナー原料の塊があった。また、装置を組み直し運転を試みたが、同様の現象が発生し、運転を断念した。
【0036】
比較例2
ジステアリルケトンを除いたこと以外は、実施例2同様の組成、同様の方法でトナー粉体原料を調達し、これを用い、実施例1同様の粉砕分級を行ったところ、運転開始約10分後にカランという音がし、比較例1同様、さらに数分後にはエア吸引音に変化が生じ、装置を分解したところ、分級部センターコア上の塊、ホッパー部に多量の溜まり、細孔にはトナー原料の塊の詰まりが観察された。比較例1同様、再組立、再運転を試みたが、同様の現象が発生し運転を断念した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用できる粉砕方法の一例を示す図。
【符号の説明】
1 原料フィード口
2 センターコア
3 粉砕物出口
4 粗砕粉体ホッパー部
5 ノズル部材
6 衝突板

Claims (13)

  1. なくとも1種類の熱可塑性樹脂を含有する原料及び/または、衝突板に衝突させた粗砕粉体を気体中に分散させ衝突板に衝突させる粉砕方法において、該熱可塑性樹脂の軟化点が130℃以下であり、且つ、該熱可塑性樹脂中に一般式(1)で示される化合物が含有されていることを特徴とする粉砕方法。
    Figure 0003823438
    (式中、R1 は炭素数10以上のアルキル基またはアルコキシル基を示し、R2は−X−COOR3 (Xはアルキレン基を示し、R3 は炭素数10以上のアルキル基を示す。)または炭素数10以上のアルキル基を示す。)
  2. 上記原料及び/または、上記衝突板に衝突させた粗砕粉体をノズル部材より吹き出した気体中に分散させ衝突板に衝突させることを特徴とする請求項1に記載の粉砕方法。
  3. 上記原料及び/または、上記衝突板に衝突させた粗砕粉体を気体中に分散した状態でノズル部材より吹き出し衝突板に衝突させることを特徴とする請求項1に記載の粉砕方法。
  4. 衝突板に衝突した、上記原料及び/または、上記衝突板に衝突させた粗砕粉体の少なくとも一部を循環させ、再度、衝突板に衝突させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉砕方法。
  5. 衝突板に衝突した、上記原料及び/または、上記衝突板に衝突させた粗砕粉体は分級工程により大きな粒径を有するものが選別され、選別された原料及び/または粉砕中の原料が循環することを特徴とする請求項4に記載の粉砕方法。
  6. 循環する上記原料及び/または、上記衝突板に衝突させた粗砕粉体が、細孔を通過した後に気体中に分散することを特徴とする請求項4または5に記載の粉砕方法。
  7. 粉砕により最終的に得られる粉砕物の平均粒径が20μm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の粉砕方法。
  8. 熱可塑性樹脂のガラス転移点が50℃以上75℃以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の粉砕方法。
  9. 熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂及び/またはスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の粉砕方法。
  10. 本方法によって得られる粉砕物が乾式電子写真用トナーもしくは乾式電子写真用トナーの原料であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の粉砕方法。
  11. 本方法によって得られる粉砕物がカラートナーもしくはカラートナーの原料であることを特徴とする請求項10に記載の粉砕方法。
  12. 一般式(1)で示される化合物の融点が50℃以上100℃以下であることを特徴とする請求項1乃至11に記載の粉砕方法。
  13. 熱可塑性樹脂中に含有される一般式(1)で示される化合物の含有量が3〜10重量%であることを特徴とする請求項1乃至12に記載の粉砕方法。
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