JP3822450B2 - 掘削バケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に好適に用いられる掘削バケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、土砂等の掘削作業に用いられる油圧ショベルは、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。そして、作業装置は、ブーム、アーム、掘削バケット等によって構成され、ブーム、アームを俯仰動しつつ、該アームの先端側で掘削バケットを回動させることにより土砂の掘削作業等を行なう。
【0003】
この種の従来技術による油圧ショベルの掘削バケットは、上,下方向の上側にアーム先端に取付けられる取付部を備え、中間部位が後側に向けて突出するように湾曲した底板と、該底板の左側に設けられた左側板と、該左側板に対面するように前記底板の右側に設けられた右側板と、前記底板の下側に設けられたカッティングエッジと、前記左側板の前側に設けられた左サイドエッジと、該左サイドエッジに対面するように前記右側板の前側に設けられた右サイドエッジとによって大略構成されている。
【0004】
そして、掘削バケットを用いて、例えば地面の掘削作業を行う場合には、ブーム、アームを俯仰動させて掘削バケットの下側(カッティングエッジ)を地面に突き刺し、この状態から掘削バケットをアームの先端で回動させる。これにより、掘削バケットは、地面を掘削し、掘削した土砂を収容することができる。
【0005】
この掘削作業時に掘削バケットは、底板、側板が土砂に摩擦接触するから、これらの部分に摩耗を生じてしまう。そして、底板、側板は、摩耗が進行すると強度的に弱くなるから、その摩耗部位を修理するようにしている。
【0006】
この場合には、底板、側板の摩耗した部位に応じて該底板、側板を部分的に切離し、底板、側板と同等の板厚、材質の鋼板を、該底板、側板に形成された穴の形状に合うように加工する。次に、加工した鋼板は、底板、側板の穴に位置決めし、この状態で鋼板の周囲に溶接を施して底板、側板に固着する。そして、溶接作業が終了したら、グラインダ等を用いて溶接部位を滑らかに仕上げることにより、掘削バケットを摩耗する前の元の形状に戻す。
【0007】
また、底板、側板の摩耗部分のうち、比較的程度の軽い摩耗部分、底板と側板とのコーナ部の摩耗部分等は、溶接によって肉盛りを施し、グラインダ等を用いて所定の形状に仕上げるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による掘削バケットは、底板、側板が摩耗したときに、これらの摩耗した部位を修理し、摩耗する前の元の形状に戻すようにしている。このため、摩耗した部位を修理しても、また同じ場所が摩耗を生じて修理が必要になるから、何回も修理作業を行なわなくてはならず、修理に関わるコストが嵩むという問題がある。
【0009】
また、掘削バケットを修理するときには、その摩耗部位を取除くように底板、側板に穴を形成した後に、この穴に合わせて鋼板を加工するようにしている。従って、鋼板は、任意に形成されれる穴に合わせて加工しなくてはならないから、例えば天井クレーンを用いて鋼板を吊上げ、何回か底板、側板の穴にあてがって形状を確かめなければならず、多大な労力や時間を要してしまうという問題がある。
【0010】
また、底板は湾曲しており、該底板と側板とのコーナ部は立体的になるから、グラインダによって形状を出しにくい。このため、グラインダによってコーナ部を加工するには熟練が必要になるから、この点においても、多大な労力、時間を要するという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、底板、側板の摩耗、損傷等に対する強度を高めることにより、修理に関わるコストを低減することができるようにした掘削バケットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明による掘削バケットは、上,下方向の上側に位置して取付部を備えた上底板と、該上底板の左側に設けられた左上側板と、前記上底板の右側に設けられた右上側板と、前記上底板とは別部材からなって前記上底板よりも厚肉に形成され、前記上底板の下側位置に溶接により取付けられた交換用下底板と、前記左上側板とは別部材からなって前記左上側板よりも厚肉に形成され、前記左上側板の下側に位置して前記交換用下底板の左側位置に溶接により取付けられた交換用左下側板と、前記右上側板とは別部材からなって前記右上側板よりも厚肉に形成され、前記右上側板の下側に位置して前記交換用下底板の右側位置に溶接により取付けられた交換用右下側板と、前記交換用下底板の下側に設けられたカッティングエッジと、前記左上側板と交換用左下側板の前側に設けられた左サイドエッジと、該左サイドエッジに対面するように前記右上側板と交換用右下側板の前側に設けられた右サイドエッジとによって構成している。
【0013】
このように構成したことにより、例えば地面の掘削作業を行なう場合には、掘削バケットを下端側から地面に突き刺し、この状態から掘削バケットを回動することにより、地面を掘削している。このため、掘削作業を繰返すと、底板、左側板、右側板の下側部分に摩耗が生じる。
【0014】
しかし、底板、左側板、右側板の下側部分となる交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板は、上底板、左上側板、右上側板よりも厚肉となった別部材により構成しているから、例えば摩耗、損傷の虞れのない上底板、左上側板、右上側板は、薄肉で安価な鋼板を用いて形成でき、交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板は、厚肉で高強度の鋼板を用いて形成することができる。これにより、交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板は、摩耗、損傷に対して強度を高めることができ、修理作業の回数を減らしたり、修理作業を不用にすることができる。しかも、既存の掘削バケットを利用して、摩耗し易い部分の強度が高められた掘削バケットを形成することができる。
【0015】
請求項2の発明によると、上底板と交換用下底板との境界位置は、掘削作業を行ったときに摩耗する摩耗部位よりも上側寄り位置に設定したことにある。
【0016】
このように構成したことにより、交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板は摩耗部位となるから、この交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板を例えば厚肉または高強度の鋼板を用いて形成することにより、必要な部分だけを摩耗に対して強くすることができる。
請求項3の発明によると、交換用下底板の後面側には摩耗する部位を補強するために上,下方向に延びて補強用のリブを設け、上底板と交換用下底板との境界位置は、前記リブの上端であるリブ止端位置に設定したことにある。これにより、掘削作業を行なったときに摩耗、損傷し易い交換用下底板の後面側をリブによって補強することができる。
【0017】
請求項4の発明によると、交換用下底板は後側に向けて突出するように湾曲して設け、上底板と交換用下底板との境界位置は、前記交換用下底板の湾曲した頂部よりも上側寄りの頂部上側部位に設定したことにある。
【0018】
このように構成したことにより、掘削作業を行なったときに摩耗し易い頂部上側部位から下側、即ち交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板を例えば厚肉または高強度の鋼板を用いて形成することができ、必要な部分だけを摩耗に対して強くすることができる。
【0021】
請求項5の発明によると、交換用下底板は複数の長孔をもった格子状板材を用いて形成したことにある。これにより、交換用下底板を各長孔を介して水や砂を振るい落すことができるものに交換することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による掘削バケットを油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0025】
まず、図1ないし図11は本発明の第1の実施の形態を示している。1はクローラ式の下部走行体、2は該下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体で、該上部旋回体2の前部側には土砂の掘削作業等を行なう作業装置3が俯仰動可能に設けられている。
【0026】
また、作業装置3は、上部旋回体2に俯仰動可能に設けられたブーム4と、該ブーム4の先端側に俯仰動可能に設けられたアーム5と、該アーム5の先端側に回動可能に設けられた後述の掘削バケット11と、基端側が上部旋回体2に取付けられ先端側がブーム4に取付けられたブームシリンダ6と、基端側がブーム4に取付けられ先端側がアーム5に取付けられたアームシリンダ7と、基端側がアーム5に取付けられ先端側がリンク機構8を介して掘削バケット11に取付けられたバケットシリンダ9とによって大略構成されている。
【0027】
次に、作業装置3に装備される標準的な掘削バケット、即ち、修理が施される前の掘削バケット11の構成について説明する。なお、本実施の形態では、掘削バケット11等はアーム5に取付けられる側を上側とし、掘削爪20が取付けられる側を下側とし、また、開口側を前側とし、底部側を後側として説明するものとする。さらに、左,右とは掘削バケット11を開口側(前側)からみたときの左,右として説明する。
【0028】
11はアーム5の先端側に回動可能に連結して設けられたバックホウ式の掘削バケットで、該掘削バケット11は、油圧ショベルに標準的に装備されるもので、図2に示す如く、後述する底板12、左側板13、右側板14、カッティングエッジ15、左サイドエッジ16、右サイドエッジ17、ブラケット19、掘削爪20、リブ板21、耐摩耗板22等によって構成されている。
【0029】
12は掘削バケット11の底板で、該底板12は、上,下方向に延びる1枚の略長方形状の鋼板を前,後方向に湾曲して形成されている。また、底板12は、図3に示すように、上,下方向の中間位置で円弧状に湾曲した湾曲面部12Aと、該湾曲面部12Aの下部から前側に向けて斜めに延びた傾斜面部12Bと、前記湾曲面部12Aの上部から前側に向けてほぼ真直ぐに延びた垂直面部12Cとから構成されている。
【0030】
13は底板12の左側に設けられた左側板で、該左側板13は、弓形状をなす鋼板からなり、下側から中間部上側寄り位置までが底板12の傾斜面部12B、湾曲面部12Aよりも僅かに大きな寸法で該傾斜面部12B、湾曲面部12Aに沿って形成され、上側が垂直面部12Cを越えて突出している。そして、左側板13は、底板12の左側の端部に溶接手段によって固着されている。
【0031】
また、14は左側板13に対面するように底板12の右側に設けられた右側板で、該右側板14は、左側板13と同様に、弓形状をなす鋼板から形成されている。そして、右側板14は、底板12の右側の端部に溶接手段によって固着されている。
【0032】
15は底板12の下端側に設けられたカッティングエッジで、該カッティングエッジ15は、底板12よりも厚肉な鋼板を用いて左,右方向に長尺な略長方形状に形成されている。そして、カッティングエッジ15は、底板12の傾斜面部12Bの下端部等に対し溶接手段によって固着されている。
【0033】
16は左側板13の前側に設けられた左サイドエッジで、該左サイドエッジ16は、左側板13よりも厚肉な鋼板を用いて上,下方向に長尺な平行四辺形状に形成されている。そして、左サイドエッジ16は、左側板13の前端、底板12の垂直面部12C先端側、カッティングエッジ15の左端部にそれぞれ溶接手段を用いて固着されている。
【0034】
17は左サイドエッジ16に対面するように右側板14の前側に設けられた右サイドエッジで、該右サイドエッジ17は、右側板14よりも厚肉な鋼板を用いて上,下方向に長尺な平行四辺形状に形成されている。そして、右サイドエッジ17は、右側板14の前端、底板12の垂直面部12C先端側、カッティングエッジ15の右端部にそれぞれ溶接手段を用いて固着されている。
【0035】
18は底板12の上部側に設けられた山形補強板で、該山形補強板18は、底板12の上側部分の強度を高めるもので、鋼板を断面く字状に折曲げることにより形成されている。そして、山形補強板18は、底板12の湾曲面部12Aと垂直面部12Cとに溶接手段によって固着されている。
【0036】
19,19は底板12の上部側に設けられた取付部としての一対のブラケットで、該各ブラケット19は、底板12の湾曲面部12A上部、垂直面部12C、山形補強板18に対し溶接手段により固着されている。そして、ブラケット19には、アーム5の先端部とバケットシリンダ9に接続されたリンク機構8が連結される。
【0037】
20,20,…はカッティングエッジ15の下端に左,右方向に間隔をおいて設けられた複数個の掘削爪で、該各掘削爪20は、カッティングエッジ15に一体的に溶接されたアダプタ20Aと、該アダプタ20Aに交換可能に取付けられた爪部20Bとによって構成されている。
【0038】
21,21,…は底板12の後面側に設けられた補強用リブとしての複数枚のリブ板で、該各リブ板21は、底板12の強度を高めるもので、図4に示す如く、左,右方向に間隔をおいて配設された長板からなる。また、リブ板21は、図3に示すように、掘削作業時等に底板12に外力が作用し易い部位に対応する部位、即ち、底板12の湾曲面部12Aの頂部位置線Aよりも上側部位からカッティングエッジ15に達する傾斜面部12B下端まで延び、溶接手段を用いて底板12に固着されている。
【0039】
22は各リブ板21を覆うように設けられた耐摩耗板で、該耐摩耗板22は、掘削作業によって底板12、各リブ板21が摩耗、損傷するのを防止するものである。また、耐摩耗板22は、リブ板21とほぼ同様に、底板12の湾曲面部12Aの頂部位置線Aよりも上側から傾斜面部12B下端部まで延び、その左,右両端部が溶接手段を用いて左,右の側板13,14の周縁に固着されている。
【0040】
ここで、作業装置3に標準的に装備される掘削バケット11は、上述の如き構成を有している。そして、この掘削バケット11を用いて例えば地面の掘削作業を行なう場合には、ブーム4、アーム5を俯仰動することにより、掘削バケット11を下端側から地面に突き刺し、この状態から掘削バケット11を回動することにより、地面を掘削し、土砂をすくい出すことができる。
【0041】
また、このような掘削作業を繰返すと、掘削バケット11の耐摩耗板22(底板12)、左,右の側板13,14に摩耗が生じて強度が低下するから、この摩耗部位を修理する必要がある。
【0042】
次に、上述した掘削作業等によって摩耗した掘削バケット11の底板12(耐摩耗板22)、側板13,14を修理して本実施の形態による掘削バケット31を形成する修理方法について、図3ないし図11を用いて説明する。
【0043】
ここで、掘削バケット11は、掘削作業時に下端側から地面に突き刺すように使用されるから、地面に入り込む下端部分から上,下方向の中間部分までの間、即ち、底板12の摩耗部位に対応する耐摩耗板22(リブ板21の下端から上側の止端位置まで)と、側板13,14の上,下方向中間部分から下側寄り部位とが摩耗を生じ易い。このため、耐摩耗板22に覆われた底板12の上,下方向中間部分から下側寄り部位と、側板13,14の上,下方向中間部分から下側寄り部位とが修理対象となる。
【0044】
まず、掘削バケット11の修理を行うために、作業装置3のアーム5先端から掘削バケット11を取外し、該掘削バケット11を開口側が下側となるように配設する。
【0045】
そして、切断工程では、図5、図6に示す如く、切断トーチ(図示せず)を使用し、底板12のリブ板21の止端位置(切断線C1)と、該底板12の切断線C1に対応する部位から左サイドエッジ16に向けて垂直に延びた左側板13の上,下方向中間位置(切断線C2)と、前記底板12の切断線C1に対応する部位から右サイドエッジ17に向けて垂直に延びた右側板14の上,下方向中間位置(切断線C3)と、前記左側板13の切断線C2前端からカッティングエッジ15にかけた左側板13と左サイドエッジ16との左側板−サイドエッジ溶接位置(切断線C4)と、前記右側板14の切断線C3前端からカッティングエッジ15にかけた右側板14と右サイドエッジ17との右側板−サイドエッジ溶接位置(切断線C5)と、底板12(耐摩耗板22)の下端とカッティングエッジ15との底板−カッティングエッジ溶接位置(切断線C6)とをそれぞれ切断する。なお、上述した切断線C1〜C6を切断する場合には、説明した順序に限定されるものではなく、切断順序は適宜に選択することができる。
【0046】
ここで、底板12の切断線C1の上,下方向位置は、リブ板21の止端位置であると共に、図3に示す底板12の頂部位置線Aよりも上側寄りの頂部上側部位に設定されている。また、底板12の切断線C1、左側板13の切断線C2、右側板14の切断線C3の上,下方向の位置は、後述する交換用底板34、交換用左側板32、交換用右側板33の上,下方向の寸法に対応している。
【0047】
さらに、左側板−サイドエッジ溶接位置となる切断線C4、右側板−サイドエッジ溶接位置となる切断線C5は、切断トーチによる切断が困難な溶接ビードが形成されている位置を避けると共に、交換用左側板32、交換用右側板33を取付けるときの基準面を出す仕上げ加工を行なうための切削代分だけ、それぞれの側板13,14側にずれた位置に形成されている。また、底板−カッティングエッジ溶接位置となる切断線C6は、溶接ビードが形成されている位置を避けるために底板12側にずれた位置に形成されている。
【0048】
そして、底板12に切断線C1を形成することにより、該底板12は、切断線C1からカッティングエッジ15までの底板下側部分12−Lと、切断線C1から上側の上底板としての底板上側部分12−Uとに分割される。また、底板下側部分12−Lは、各リブ板21、耐摩耗板22および後述の左側板下側部分13−L、右側板下側部分14−Lと一緒に取外される。一方、底板上側部分12−Uは、カッティングエッジ15、各サイドエッジ16,17、後述の左側板上側部分13−U、右側板上側部分14−U等と一緒に修理された掘削バケット31を構成する。
【0049】
また、左側板13に切断線C2を形成することにより、該左側板13は、切断線C2からカッティングエッジ15までの左側板下側部分13−Lと、切断線C2から上側の左上側板としての左側板上側部分13−Uとに分割される。一方、右側板14に切断線C3を形成することにより、該右側板14は、切断線C3からカッティングエッジ15までの右側板下側部分14−Lと、切断線C3から上側の右上側板としての右側板上側部分14−Uとに分割される。また、左,右の側板下側部分13−L,14−Lは、底板下側部分12−L、各リブ板21、耐摩耗板22と一緒に取外される。一方、各側板上側部分13−U,14−Uは、底板上側部分12−U、カッティングエッジ15、各サイドエッジ16,17等と一緒に強度が高められた掘削バケット31を構成する。
【0050】
そして、切断工程が終了したら、図6に示すように、切離された底板下側部分12−L、各側板下側部分13−L,14−L、各リブ板21、耐摩耗板22を不必要な部分として取外す。
【0051】
次に、不必要な部分を取外したら、溶接工程に移る前の作業として、残された部分の切断面の整形(仕上げ)加工を行なう。まず、底板12の切断線C1、左側板13の切断線C2、右側板14の切断線C3、底板−カッティングエッジ溶接位置となる切断線C6に対する仕上げ加工は、大きな凹み部分には肉盛り溶接を施しつつ、グラインダで余分な部分を削り取る。これにより、切断線C1,C2,C3,C6は、図7に示すように、直線状に仕上げられると共に、溶接を行なうための開先を形成する。
【0052】
また、左側板−サイドエッジ溶接位置となる切断線C4に対する仕上げ加工は、サイドエッジ16の端面16Aを後述する交換用左側板32の前側辺部32Aを取付けるときの基準面として使用するために、この端面16Aに付着した左側板13の一部と溶接ビードをグラインダ等を用いて削り取り、凹凸のない平坦面として仕上げる。同様にして右側板−サイドエッジ溶接位置となる切断線C5を仕上げて右サイドエッジ17の端面17Aを平坦面にする。
【0053】
次に、切断工程が終了したら交換用側板溶接工程に移る。この交換用側板溶接工程では、図8に示すように、取外された左側板下側部分13−Lとほぼ同形をなす交換用左下側板としての交換用左側板32と、右側板下側部分14−Lとほぼ同形をなす交換用右下側板としての交換用右側板33とを予め用意する。交換用左側板32は、左サイドエッジ16の端面16Aに当接する前側辺部32Aと、該前側辺部32Aの上端部から後側にほぼ直角に延びた上側辺部32Bと、各辺部32A,32B間で底板12の湾曲面部12Aに対応する円弧部を有する縁部32Cとによって略直角三角形状に形成されている。
【0054】
一方、交換用右側板33は、交換用左側板32と同様に、前側辺部33A、上側辺部33B、縁部33Cから略直角三角形状をなしている。また、各交換用側板32,33の板厚寸法は、側板13,14よりも厚肉に形成され、摩耗、損傷に対して十分な強度を有している。
【0055】
そして、交換用側板溶接工程では、交換用左側板32の前側辺部32Aを基準面となる左サイドエッジ16の端面16Aに当接し、また上側辺部32Bを左側板上側部分13−Uに連続するように位置決めする。この状態で交換用左側板32は、左サイドエッジ16、左側板上側部分13−U等に溶接される。また、交換用右側板33の前側辺部33Aを基準面となる右サイドエッジ17の端面17Aに当接し、また上側辺部33Bを右側板上側部分14−Uに連続するように位置決めする。この状態で交換用右側板33は、右サイドエッジ17、右側板上側部分14−U等に溶接される。
【0056】
次に、交換用側板溶接工程が終了したら交換用底板溶接工程に移る。この交換用底板溶接工程では、図9に示すように、取外された底板下側部分12−Lとほぼ同形をなす交換用下底板としての交換用底板34を交換用側板32,33とは別個に予め用意する。この交換用底板34は、略長方形状をなし、上側が底板12の湾曲面部12Aとほぼ同様の円弧面部34Aとなり、下側が傾斜面部12Bとほぼ同様の傾斜面部34Bとなっている。また、交換用底板34の板厚寸法は、交換用側板32,33と同様に、底板12よりも厚肉に形成され、リブ板21、耐摩耗板22を用いなくても、摩耗、損傷に対して十分な強度を有している。
【0057】
そして、交換用底板溶接工程では、図10に示す如く、交換用底板34の左,右両端部を交換用左側板32,交換用右側板33上に乗せる。このときには、交換用底板34と交換用側板32,33とを隅肉溶接によって固着することができるように、交換用底板34の左,右両端側を交換用側板32,33よりの所定寸法だけ張出させるように配置する。また、交換用底板34の上端部は、図11に示すように、その内面が底板上側部分12−Uの内面と段差なく一致するように位置決めする。
【0058】
このように、交換用底板34を位置決めしたら、該交換用底板34を底板上側部分12−U、カッティングエッジ15、各交換用側板32,33の縁部32C,33Cに溶接することにより、掘削バケット31を形成することができる。
【0059】
さらに、交換用側板溶接工程で交換用側板32,33を溶接し、交換用底板溶接工程で交換用底板34を溶接したら、溶接部分(溶接ビード)をグラインダ等を用いて滑らかに整形し、塗装を施すことにより、修理が施されて摩耗、損傷に対して十分な強度を有している掘削バケット31を仕上げることができる。
【0060】
次に、上述した修理方法によって修理された掘削バケット31の構成について説明する。
【0061】
掘削バケット31は、修理前の掘削バケット11で使用していた、カッティングエッジ15、左サイドエッジ16、右サイドエッジ17、ブラケット19、掘削爪20をそのまま使用している。また、底板12、側板13,14は、摩耗、損傷がほとんどない上底板をなす底板上側部分12−U、左上側板をなす左側板上側部分13−U、右上側板をなす右側板上側部分14−Uだけを残して使用している。
【0062】
そして、側板下側部分13−L,14−Lに代えてサイドエッジ16,17、側板上側部分13−U,14−Uに取付けられた左下側板をなす交換用左側板32、右下側板をなす交換用右側板33は、側板13,14よりも厚肉の板材を用いて形成している。また、底板下側部分12−Lに代えてカッティングエッジ15、底板上側部分12−Uに取付けられた下底板をなす交換用底板34は、交換用側板32,33とほぼ同様に、底板12よりも厚肉の板材を用いて形成している。これにより、修理された掘削バケット31は、修理前の掘削バケット11に比較して、摩耗、損傷に対する強度が大幅に向上されている。
【0063】
以上のように、本実施の形態によれば、掘削バケット31は、底板上側部分12−U、交換用底板34、左側板上側部分13−U、右側板上側部分14−U、交換用左側板32、交換用右側板33、カッティングエッジ15、左サイドエッジ16、右サイドエッジ17等によって構成し、前記交換用底板34、交換用左側板32、交換用右側板33は、摩耗、損傷等に耐えられるように十分な厚さをもって形成している。従って、交換用底板34、交換用左側板32、交換用右側板33は、摩耗等に対する強度を高めることができるから、修理作業の回数を減らしたり、修理作業を不用にすることができ、修理に関するコストを低減することができる。
【0064】
また、実施の形態では、交換用底板34、交換用左側板32、交換用右側板33以外は、既存の掘削バケット11で使用していたものを利用しているから、この点においてもコストを低減することができる。
【0065】
一方、掘削バケット11を修理する場合には、摩耗等が生じ易い底板12の底板下側部分12−L、左,右の側板13,14の側板下側部分13−L,14−Lを切断し、予め用意されている交換用側板32,33を側板下側部分13−L,14−Lに代えて溶接し、予め用意されている交換用底板34を底板下側部分12−Lに代えて溶接することにより、修理された掘削バケット31を形成している。従って、従来技術で必要としていた位置合わせしながらの交換用の鋼板の加工作業、底板、側板間のコーナ部等の加工作業等を省略することができるから、修理作業を簡単にして作業時間を短縮することができ、修理コストを低減することができる。
【0066】
さらに、交換用底板34は、掘削作業を行なったときに摩耗する摩耗部位、例えば底板12の湾曲した頂部位置線Aよりも上側寄り位置に設定しているから、この位置から下側で強度が必要な部分、即ち、交換用底板34、交換用左側板32、交換用右側板33だけを摩耗に対して強くすることができ、重量、コスト等が増大するのを抑えることができる。
【0067】
次に、図12は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、交換用側板と交換用底板とを予め組立て、この交換用側板−底板組立体を切断工程で残った側板上側部分、底板上側部分、カッティングエッジ、サイドエッジに溶接したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0068】
まず、本実施の形態では、修理前の掘削バケット11の構成に変わるところがないので、構成の説明は省略し、掘削バケット11を修理して掘削バケット41を形成する修理方法について説明する。
【0069】
まず、切断工程では、第1の実施の形態で述べた切断工程と同様の作業を行なう。
【0070】
次に、交換用底板−側板組立工程では、第1の実施の形態による交換用左側板32と同様の左下側板をなす交換用左側板42と、第1の実施の形態による交換用右側板33と同様の右下側板をなす交換用右側板43と、第1の実施の形態による交換用底板34と同様の下底板をなす交換用底板44とを用意する。そして、交換用底板44の左,右方向両側に交換用左側板42、交換用右側板43を溶接し、交換用底板−側板組立体45を形成する。
【0071】
次に、交換用底板−側板組立体溶接工程では、交換用底板−側板組立体45の交換用側板42,43を側板13,14の側板上側部分13−U,14−Uとサイドエッジ16,17に溶接し、交換用底板44を底板12の底板上側部分12−Uとカッティングエッジ15に溶接する。
【0072】
そして、溶接部分(溶接ビード)をグラインダ等を用いて滑らかに整形し、塗装を施すことにより、第1の実施の形態による修理後の掘削バケット31と同様の掘削バケット41を仕上げることができる。
【0073】
かくして、このように構成された本実施の形態においても、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、交換用底板−側板組立体45を形成する交換用底板−側板組立工程は、他の工程と並行に外段取りで行なうことができるから、交換用底板−側板組立体溶接工程での溶接作業を簡略化することができ、修理にかかるコストをより一層低減することができる。
【0074】
次に、図13は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、上底板、下底板、左上側板、左下側板、右上側板、右下側板、カッティングエッジ、左サイドエッジ、右サイドエッジ等を個々の部品として用意し、それぞれを溶接手段によって固着する構成としたことにある。
【0075】
なお、掘削爪の爪部は、掘削バケット全体を組立てた後に、カッティングエッジのアダプタに取付けるものであるが、本実施の形態では、理解が容易なようにカッティングエッジのアダプタに爪部を取付けた状態で説明する。また、山形補強板、ブラケットは、予め上底板に取付けた状態で図示しているが、掘削バケット全体を組立てた後に上底板に取付けるようにしてもよい。
【0076】
51は本実施の形態による掘削バケットで、該掘削バケット51は、上,下方向の上側に設けられた上底板52と、該上底板52の下側に設けられた下底板53と、前記上底板52の左側に設けられた左上側板54と、該左上側板54の下側に位置して下底板53の左側に設けられた左下側板55と、前記左上側板54に対面するように前記上底板52の右側に設けられた右上側板56と、前記左下側板55に対面するように該右上側板56の下側に位置して下底板53の右側に設けられた右下側板57と、前記下底板53の下側に設けられたカッティングエッジ58と、前記左上側板54と左下側板55の前側に設けられた左サイドエッジ59と、該左サイドエッジ59に対面するように前記右上側板56と右下側板57の前側に設けられた右サイドエッジ60とによって構成されている。
【0077】
また、上底板52には、山形補強板61とブラケット62,62が設けられ、カッティングエッジ58にはアダプタ63A、爪部63Bからなる掘削爪63,63,…が設けられている。
【0078】
さらに、下底板53は上底板52よりも厚肉に形成され、左下側板55、右下側板57は左上側板54、右上側板56よりも厚肉に形成されている。これにより、下底板53、左下側板55、右下側板57は、摩耗、損傷に対して十分な強度を有している。
【0079】
そして、掘削バケット51は、用意されたこれらの部品を溶接手段を用いて固着することにより、第1の実施の形態による掘削バケット31とほぼ同様に組立てられる。
【0080】
かくして、このように構成された本実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態によれば、摩耗、損傷に対する強度を有した掘削バケット51を最初から設けることができ、信頼性を向上することができる。
【0081】
次に、図14および図15は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、下底板の外面側に上,下方向に延びて補強用のリブを設け、上底板と下底板との境界位置は、リブの上端であるリブ止端位置に設定したことにある。
【0082】
なお、掘削爪の爪部は、掘削バケット全体を組立てた後に、カッティングエッジのアダプタに取付けるものであるが、本実施の形態では、理解が容易なようにカッティングエッジのアダプタに爪部を取付けた状態で説明する。また、山形補強板、ブラケットは、予め上底板に取付けた状態で図示しているが、掘削バケット全体を組立てた後に上底板に取付けるようにしてもよい。
【0083】
71は本実施の形態による掘削バケットで、該掘削バケット71は、上,下方向の上側に設けられた上底板72と、該上底板72の下側に設けられた下底板73と、前記上底板72の左側に設けられた左上側板74と、該左上側板74の下側に位置して下底板73の左側に設けられた左下側板75と、前記左上側板74に対面するように前記上底板72の右側に設けられた右上側板76と、前記左下側板75に対面するように該右上側板76の下側に位置して下底板73の右側に設けられた右下側板77と、前記下底板73の下側に設けられたカッティングエッジ78と、前記左上側板74と左下側板75の前側に設けられた左サイドエッジ79と、該左サイドエッジ79に対面するように前記右上側板76と右下側板77の前側に設けられた右サイドエッジ80とによって構成されている。
【0084】
また、上底板72には、山形補強板81とブラケット82,82が設けられ、カッティングエッジ78にはアダプタ83A、爪部83Bからなる掘削爪83,83,…が設けられている。
【0085】
さらに、84,84,…は下底板73の後面側に設けられた補強用リブとしての複数枚のリブ板で、該各リブ板84は、下底板73の強度を高めるもので、図14、図15に示す如く、下底板73に沿って上,下方向に延びる長板からなり、左,右方向に間隔をおいて配設されている。ここで、リブ板84は、下底板73のほぼ全長に亘って設けられ、これにより、リブ板84の上端となるリブ止端位置と下底板73の上端、即ち上底板72と下底板73との境界位置は、ほぼ同じ位置に設定されている。
【0086】
85は各リブ板84を覆うように設けられた耐摩耗板で、該耐摩耗板85は、掘削作業によって下底板73、各リブ板84が摩耗、損傷するのを防止するものである。
【0087】
そして、掘削バケット71は、用意されたこれらの部品を溶接手段を用いて固着することにより、第1の実施の形態による掘削バケット31とほぼ同様に組立てられる。
【0088】
かくして、このように構成された本実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態によれば、掘削作業を行なったときに摩耗、損傷し易い下底板73の後面側を、リブ板84、耐摩耗板85によって補強することができ、耐久性を向上することができる。
【0089】
なお、第1の実施の形態では、底板12にリブ板21、耐摩耗板22を設けた掘削バケット11を修理する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば図16に示す第1の変形例による掘削バケット91のように、リブ板21、耐摩耗板22が廃止された底板92、左側板93、右側板94を修理する場合に適用してもよい。この変形例では、底板92の切断線の位置を、摩耗する部位、底板92の頂部位置線Aよりも上側寄り等の位置に設定すればよい。この構成は、第2の実施の形態にも適用することができる。
【0090】
また、第1の実施の形態では、掘削バケット11を修理するために、上側が円弧状に湾曲し、下側が平坦となる略長方形状の交換用底板34を用意し、この交換用底板34を溶接によって固着した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば図17に示す第2の変形例による掘削バケット101のように、底板下側部分12−Lに代えて、上,下方向に延びる複数本の長孔102A,102A,…が形成された交換用底板102を固着するようにしてもよい。
【0091】
この場合には、掘削バケット101は、各長孔102Aを介して水、砂等を振るい落しながら作業を行う格子溝状バケット(いわゆるスケルトンバケット)として使用することができ、掘削バケットの利用範囲を広めることができる。
【0092】
さらに、各実施の形態では、クローラ式の下部走行体1を備えた油圧ショベルに設けられた掘削バケット11を修理する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベルに設けられた掘削バケット等に適用してもよい。
【0093】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、掘削バケットは、上,下方向の上側に位置して取付部を備えた上底板と、該上底板の左側に設けられた左上側板と、該左上側板に対面するように前記上底板の右側に設けられた右上側板と、前記上底板とは別部材からなって前記上底板よりも厚肉に形成され、前記上底板の下側位置に溶接により取付けられた交換用下底板と、前記左上側板とは別部材からなって前記左上側板よりも厚肉に形成され、前記左上側板の下側に位置して前記交換用下底板の左側位置に溶接により取付けられた交換用左下側板と、前記右上側板とは別部材からなって前記右上側板よりも厚肉に形成され、交換用左下側板に対面するように前記右上側板の下側に位置して前記交換用下底板の右側位置に溶接により取付けられた交換用右下側板と、前記交換用下底板の下側に設けられたカッティングエッジと、前記左上側板と交換用左下側板の前側に設けられた左サイドエッジと、該左サイドエッジに対面するように前記右上側板と交換用右下側板の前側に設けられた右サイドエッジとによって構成している。そして、既存の掘削バケットの底板、各側板の下側部分が摩耗したときには、底板下側部分、左側板下側部分、右側板下側部分に交換して交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板を溶接で取付けることにより、既存の掘削バケットを利用して、摩耗し易い部分の強度が高められた掘削バケットを形成することができ、コストを低減することができる。
【0094】
従って、掘削作業を行なったときに、摩耗を生じ易い底板、左側板、右側板の下側部分は、前記上底板、左上側板、右上側板よりも厚肉となった別部材からなる交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板に交換することができる。そして、例えば摩耗、損傷の虞れのない上底板、左上側板、右上側板は、薄肉で安価な鋼板を用いて形成でき、交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板は、厚肉で高強度の鋼板を用いて形成することができる。
【0095】
この結果、交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板は、摩耗、損傷に対して強度を高めることができ、修理作業の回数を減らしたり、修理作業を不用にすることができ、修理に関するコストを低減することができる。また、摩耗、損傷に対する強度を有した掘削バケットとすることができ、信頼性を向上することができる。
【0096】
請求項2の発明によれば、上底板と交換用下底板との境界位置は、掘削作業を行ったときに摩耗する摩耗部位よりも上側寄り位置に設定しているので、交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板を例えば厚肉または高強度の鋼板を用いて形成することにより、必要な部分だけを摩耗に対して強くすることができ、重量、コスト等が増大するのを抑えることができる。
【0097】
請求項3の発明によれば、交換用下底板の後面側には摩耗する部位を補強するために上,下方向に延びて補強用のリブを設け、上底板と交換用下底板との境界位置は、前記リブの上端であるリブ止端位置に設定しているので、掘削作業を行なったときに摩耗、損傷し易い交換用下底板の後面側をリブによって補強することができ、耐久性を向上することができる。
【0098】
請求項4の発明によれば、交換用下底板は後側に向けて突出するように湾曲して設け、上底板と交換用下底板との境界位置は、前記交換用下底板の湾曲した頂部よりも上側寄りの頂部上側部位に設定しているので、掘削作業を行なったときに摩耗し易い頂部上側部位から下側、即ち交換用下底板、交換用左下側板、交換用右下側板を例えば厚肉または高強度の鋼板を用いて形成することができる。これにより、必要な部分だけを摩耗に対して強くすることができ、重量、コスト等が増大するのを抑えることができる。
【0101】
請求項5の発明によれば、交換用下底板は複数の長孔をもった格子状板材を用いて形成しているので、交換用下底板を各長孔を介して水や砂を振るい落すことができるものに交換することができ、掘削バケットの利用範囲を広めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態で修理が施される掘削バケットを備えた油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】修理前の掘削バケットを拡大して示す外観斜視図である。
【図3】図2の掘削バケットをアームから取外し開口側を下側に向けた修理姿勢で示す正面図である。
【図4】修理姿勢の掘削バケットを示す外観斜視図である。
【図5】切断工程で掘削バケットの底板と側板を切断した状態を示す外観斜視図である。
【図6】切断工程で切断した底板下側部分と側板下側部分を取外した掘削バケットを示す外観斜視図である。
【図7】切断工程で切断した部分をグラインダで仕上げた掘削バケットを示す外観斜視図である。
【図8】交換用側板溶接工程で交換用側板をサイドエッジと側板上側部分に溶接した掘削バケットを示す外観斜視図である。
【図9】交換用底板溶接工程で交換用底板を掘削バケットに向けて移動している状態を示す外観斜視図である。
【図10】交換用底板溶接工程で交換用底板をカッティングエッジ、底板上側部分、交換用側板に溶接することにより修理された本実施の形態による掘削バケットを示す外観斜視図である。
【図11】交換用底板と底板上側部分との溶接状態を図10中のXI−XI方向からみた要部拡大断面図である。
【図12】本発明の第2の実施による交換用底板−側板組立体を掘削バケットに向けて移動している状態を示す外観斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態による掘削バケットを分解した状態で示す分解斜視図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態による掘削バケットを分解した状態で示す分解斜視図である。
【図15】図14に示す掘削バケットを組立てた状態で図11と同様位置からみた要部拡大断面図である。
【図16】本発明の第1の変形例に適用される修理前の掘削バケットを示す外観斜視図である。
【図17】本発明の第2の変形例による交換用底板を掘削バケットに向けて移動している状態を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
11,31,41,51,71,91,101 掘削バケット
12,92 底板
12−L 底板下側部分
12−U 底板上側部分(上底板)
13,93 左側板
13−L 左側板下側部分
13−U 左側板上側部分(左上側板)
14,94 右側板
14−L 右側板下側部分
14−U 右側板上側部分(右上側板)
15,58,78 カッティングエッジ
16,59,79 左サイドエッジ
17,60,80 右サイドエッジ
19,62,82 ブラケット(取付部)
21,84 リブ板(補強用リブ)
22,85 耐摩耗板
32,42 交換用左側板(左下側板)
33,43 交換用右側板(右下側板)
34,44,102 交換用底板(下底板)
45 交換用底板−側板組立体
52,72 上底板
53,73 下底板
54,74 左上側板
55,75 左下側板
56,76 右上側板
57,77 右下側板
102A 長孔
A 底板の頂部位置線(頂部)
C1 底板のリブ板の止端位置となる切断線
C2 左側板の上,下方向中間位置となる切断線
C3 右側板の上,下方向中間位置となる切断線
C4 左側板−サイドエッジ溶接位置となる切断線
C5 右側板−サイドエッジ溶接位置となる切断線
C6 底板−カッティングエッジ溶接位置となる切断線
Claims (5)
- 上,下方向の上側に位置して取付部を備えた上底板と、
該上底板の左側に設けられた左上側板と、
前記上底板の右側に設けられた右上側板と、
前記上底板とは別部材からなって前記上底板よりも厚肉に形成され、前記上底板の下側位置に溶接により取付けられた交換用下底板と、
前記左上側板とは別部材からなって前記左上側板よりも厚肉に形成され、前記左上側板の下側に位置して前記交換用下底板の左側位置に溶接により取付けられた交換用左下側板と、
前記右上側板とは別部材からなって前記右上側板よりも厚肉に形成され、前記右上側板の下側に位置して前記交換用下底板の右側位置に溶接により取付けられた交換用右下側板と、
前記交換用下底板の下側に設けられたカッティングエッジと、
前記左上側板と交換用左下側板の前側に設けられた左サイドエッジと、
該左サイドエッジに対面するように前記右上側板と交換用右下側板の前側に設けられた右サイドエッジとによって構成してなる掘削バケット。 - 前記上底板と交換用下底板との境界位置は、掘削作業を行ったときに摩耗する摩耗部位よりも上側寄り位置に設定してなる請求項1に記載の掘削バケット。
- 前記交換用下底板の後面側には摩耗する部位を補強するために上,下方向に延びて補強用のリブを設け、前記上底板と交換用下底板との境界位置は、前記リブの上端であるリブ止端位置に設定してなる請求項1に記載の掘削バケット。
- 前記交換用下底板は後側に向けて突出するように湾曲して設け、前記上底板と交換用下底板との境界位置は、前記交換用下底板の湾曲した頂部よりも上側寄りの頂部上側部位に設定してなる請求項1に記載の掘削バケット。
- 前記交換用下底板は複数の長孔をもった格子状板材を用いて形成してなる請求項1,2,3または4に記載の掘削バケット。
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