JP3822108B2 - ろう接用複合管および熱交換用複合管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、放熱フィンなどの熱伝導部材が管材にろう接された熱交換用複合管およびその素材として用いられるろう接用複合管に関する。
【0002】
【従来の技術】
銅管の外周面に銅製の放熱フィンや、加熱媒体あるいは冷却媒体を流すための銅製細管がろう接された熱交換用複合管は、熱交換器や種々の化学装置に使用されている。
【0003】
前記熱交換用複合管の各部材のろう接には、銀銅ろう材やリン銅ろう材が使用される。銀銅ろう材はAgを多量に含み高価であるため、一般的にはリン銅ろう材がよく使用される。このリン銅ろう材は、JIS Z 3264に規格されており、P:4.8〜7.5mass%含有し、一部の種類ではAgがさらに添加され、残部Cuからなるものである。このようなリン銅ろう材は、加工性が非常に悪いため、主として線材、棒材、粉末材の形態をもって供給される。
【0004】
銅管の外周面に多数の円板状放熱フィンが管軸方向に沿って所定間隔でろう接された放熱管91を例として、前記リン銅ろう材を用いたろう接作業について説明する。まず、図12に示すように、予め銅管92および棒状リン銅ろう材93を挿通する穴部が開設された円板状フィン94をプレス加工等により準備する。そして、銅管92の外周面に前記円板状フィン94を棒状リン銅ろう材93と共に手作業により配設して組み立てる。図例では、1本の棒状ろう材が用いられているが、銅管92の直径に応じて、複数本の棒状ろう材が管外周面に配設される。
【0005】
上記のようにして組み立てられた組立体は、リン銅ろう材の融点以上、銅管92やフィン94を形成する銅材の融点未満の適宜の温度、通常は800℃程度に加熱される。加熱されたろう材は溶融して銅管92とフィン94との隙間に侵入する。その後、ろう材を冷却凝固させることによって、多数のフィン94が銅管92の外周面にろう接される。
【0006】
また、銅管の外周面に螺旋状に曲げ加工された銅製細管がろう接された熱交換用複合管の場合、銅管に螺旋状細管を装着し、手作業により前記細管と銅管との当接部に沿って別途保持した棒状リン銅ろう材を供給しながらバーナで加熱し、溶融させ、次いで冷却凝固させることによって、両部材がろう接される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のとおり、熱交換用複合管を製造するには、銅管および多数のフィンを棒状リン銅ろう材を介在させた複雑な構造の組立体を手作業によって組み立てなけらばならず、あるいは銅管に螺旋状細管の当接部に沿って、順次ろう接しなけらばならず、煩雑な作業を強いられ、生産性の低下、製造コストの上昇を余儀なくされている。
【0008】
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、ろう接により容易に製造することができる熱交換用複合管およびその素材として好適なろう接用複合管を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、種々のP含有範囲のリン銅合金の加工性、ろう接性を詳細に研究した結果、P:2.2〜2.9mass%という特定のP含有領域において、ろう接接合性を犠牲にすることなく、著しい加工性の改善効果が得られることを知見し、かかる加工性の良好なリン銅ろう材を基にして本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のろう接用複合管は、純Cuまたは85 mass %以上のCuとその量のCuと共に完全に固溶状態をなす成分からなるCu合金によって形成された基板の少なくとも一方の表面にろう材層が接合された複合シートの端部同士が溶着接合層を介して管状に溶着されて、前記基板からなる基管部に前記ろう材層が被覆されたものであり、前記ろう材層はmass%でP:2.2〜2.9%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるリン銅ろう合金によって形成され、前記溶着接合部がmass%でP:1.6%以下を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるリン銅合金によって形成される。前記基板とろう材層とは圧接により容易に接合することができる。
【0011】
このろう接用複合管によれば、ろう材層を形成する、mass%でP:2.2〜2.9%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるリン銅ろう合金は、ろう接接合性を損なうことなく、優れた冷間加工性を備えるため、基板にろう材層として、例えば圧接により容易に接合一体化することができる。そして、基板にろう材層が接合された複合シートも加工性に優れるため、この複合シートを管状に容易に曲げ成形することができる。また、複合シートの端部同士はmass%でP:1.6%以下、好ましくは1.4%以下の溶着接合部によって溶着されているので、ろう材層のリン銅ろう合金と溶着接合部のリン銅合金との融点差を50℃程度以上にすることができる。これによって、このろう接用複合管に別途準備した純Cuあるいは85 mass %以上のCuとその量のCuと共に完全に固溶状態をなす成分からなるCu合金(これらを併せてCu基金属と呼ぶ場合がある。)で形成された接合部材をろう接する際に、接合部材を複合管のろう材層の表面に付設し、ろう合金の融点(リン銅ろう合金の共晶温度:714℃)以上、溶着接合部のリン銅合金の融点未満の適宜の温度に加熱するだけで、溶着接合部の再溶融による口開きを生じさせることなく、接合部材を複合管の基管部に容易にろう接することができる。このため、接合部材がろう接された複合管の製造コストの低減、生産性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明の他のろう接用複合管は、純Cuまたは85 mass %以上のCuとその量のCuと共に完全に固溶状態をなす成分からなるCu合金によって管状に一体的に成形された基管部の少なくとも一方の表面にろう材層が接合されており、前記ろう材層がmass%でP:2.2〜2.9%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるリン銅ろう合金によって形成されたものである。前記基管部と前記ろう材層とは押し出し加工および/または引き抜き加工により容易に管状に成形すると共に両者を一体的に接合することができる。
【0013】
このろう接用複合管によれば、ろう材層を形成するリン銅ろう合金は優れた冷間加工性を備えるため、例えば押し出し加工および/または引き抜き加工により基管部にろう材層が接合一体化された複合管を容易に製造することができる。このろう接用複合管を用いれば、Cu基金属で形成された接合部材を複合管のろう材層の表面に付設し、リン銅ろう合金の融点以上、基管部あるいは接合部材を形成する銅材の融点未満の適宜の温度に加熱するだけで、接合部材を基管部に容易にろう接することができる。このため、接合部品がろう接された複合管の製造コストの低減、生産性の向上を図ることができる。
【0014】
また、本発明の熱交換用複合管は、前記ろう接用複合管のろう材層の表面に純Cuまたは85 mass %以上のCuとその量のCuと共に完全に固溶状態をなす成分からなるCu合金によって形成された熱伝導部材を付設し、前記ろう材層を溶融凝固させることによって前記ろう接用複合管の基管部に前記熱伝導部材がろう接されたものである。
【0015】
この熱交換用複合管によると、前記ろう接用複合管のろう材層の表面にCu基金属で形成されたフィンや細管などの熱伝導部材を付設し、ろう材層を溶融凝固させるだけで、基管部に熱伝導部材をろう接した熱交換用複合管を簡単容易に製造することができ、熱交換用複合管の製造コストの低減、生産性の向上を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
Cu基金属によって形成された部材同士をろう接する場合、ろう接部が前記Cu基金属の引張強度と同程度の接合強度を有し、かつ複雑な部材同士であっても容易にろう接することができ、さらにろう材自体が人体に無害なものが好ましい。このような作用を有するCu基ろう合金の添加元素としてPが好適である。P−Cu合金は、合金中に含まれるCu3P が酸化銅に対して還元性を有し、セルフフラックス効果を有するため、複雑形状の部材のろう接性に優れ、またPは人体に対して無害だからである。
【0017】
リン銅ろう合金中のPの含有量(mass%)は、従来、Cuの引張強度レベルの接合強度を実現するには少なくとも4%程度以上は必要と考えられており、このため加工性に問題があった。しかしながら、本発明者の研究により、従来より低濃度のP領域においても接合性(接合強度)を劣化させることなく、加工性を飛躍的に向上させる領域があることが知見された。先ず、リン銅ろう合金のP含有量とろう接接合性および加工性について詳細に説明する。
【0018】
下記表1に示す種々のP含有量のP−Cu合金を真空誘導溶解によって溶製し、その鋳造片を500〜600℃にて熱間圧延し、これによって得られた熱延板(板厚8mm、板幅80mm)をさらに冷間圧延した。冷間圧延は冷延後の目標板厚を0.4mm(全圧下率95%)とし、目標板厚に至るまでに耳割れ、あるいは板割れが発生したものについては、その割れが発生するまでの全圧下率を求めた。圧下率が65%以上で耳割れを発生した試料については、500℃×1hr程度の焼鈍を行い、さらに目標板厚まで冷間圧延を行った。なお、耳割れとは圧延材の側縁に高さ1〜2mm程度の鋸歯状の凹凸が発生することをいい、板割れとは板幅に沿って圧延板が完全に破断することをいう。板割れが発生すると、それ以後の圧延は不可能になる。
【0019】
目標板厚まで冷間圧延された冷延板は、500℃×1hr程度の焼鈍を行った後、さらに0.1mmまで冷間圧延し、薄板状のろう材を得た。一方、冷間圧延の際に板割れが発生した試料および圧下率が10%以下で耳割れが発生した試料については、熱延板から板厚0.1 mm のろう材を機械加工により採取した。これらのろう材を用いてろう接接合性を調べた。
【0020】
ろう接接合性は、断面が10mm×3mmの純Cu製の角棒材を準備し、一方の棒材と他方の棒材とをろう材片(10mm×3mm)を介して突き合わせ、水素ガス雰囲気中で820℃×10分間保持してろう接し、得られた接合棒材を長さ方向に破断するまで引っ張り、破断時の引張強さ(接合強さ)を測定した。
【0021】
上記P−Cu合金の加工性評価、ろう接棒材の接合強度の測定結果を表1に併せて示す。表1中、全圧下率は既述のように目標板厚(95%)まで、あるいは耳割れ、板割れ発生までの全圧下率を示す。また、P含有量と加工性評価(全圧下率)との関係を図1に、接合強度との関係を図2に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003822108
【0023】
表1および図1より、P≦3.2%で冷間加工性が良好であり、特にP=2.90%を臨界点としてP≦2.90%では板割れは勿論のこと、耳割れも皆無であり、冷間加工性が飛躍的に向上していることがわかる。
【0024】
本発明者はかかる加工性の良否を組織面から検討した。図3はP−Cu2元系状態図を示しており、1.75%<P<13.98%(共晶組成)の領域では組織中に生成した初晶のP−Cu固溶体(Cuリッチ部)と、Cu3P とCuとが層状に形成された共晶組織(Pリッチ部)とが共存した組織になる。実際のろう材の熱延板組織を顕微鏡観察したところ、Pが3.2%以下では大部分のPリッチ部がCuリッチ部内に孤立して存在しているように観察され、一方Pが3.2%超ではCuリッチ部内のPリッチ部が相互に連なり、この傾向はPが多くなるほど顕著であった。そして、板割れが生じた冷延板の組織を観察すると、P>3.2%のものでは、圧延により引き延ばされた前記Pリッチ部に沿ってクラックが多数発生していることが観察された。これより、P=2.9%は脆くてクラックの発生し易いPリッチ部がCuリッチ部の中に孤立し得る限界のP含有量であると知見された。
【0025】
また、表1および図2より、P=2.0%以上ではほぼ純Cuと同レベルの引張強さ(18kgf/mm2程度)を有し、特に2.2%以上では優れた接合強度が得られている。一方、P含有量が2.0未満〜1.2%程度であっても一応の接合強度が得られている。理論的には、図3の状態図から明らかなように、1.75%以下ではP−Cu固溶体のみが生成し、共晶組織が生成しないため、ろう材として使用不可のはずであるが、Pの偏析により部分的にP>1.75%の領域が生じ、この部分がろう材として寄与しているものと推察される。なお、引張試験における破断部位は、すべてろう接接合部であった。
【0026】
以上より、本発明にかかるリン銅ろう合金は、従来レベルの接合強度と、圧下率が95%以上の冷間圧延が可能な加工性とを兼備するP含有量として、2.2〜2.9%とした。残部はCuおよび不可避的不純物からなる。
【0027】
次に、本発明にかかるろう接用複合管の実施形態について説明する。
図4は第1実施形態にかかるろう接用複合管1であり、Cu基金属で形成された基板の外周面に前記リン銅ろう合金からなるろう材層が圧接一体化された複合シートが管状に成形され、その端部同士が溶着接合部4を介して溶着されている。前記複合シートの基板は、ろう接用複合管においては管状の形態を有するので基管部2と呼び、複合シートのろう材層は、ろう接用複合管1においてもろう材層3と呼ぶ。
【0028】
管状に成形される前の複合シート1Aは、図5に示すように、Cu基金属の基板2Aの片面に冷間加工性が良好な前記リン銅ろう合金からなるろう材層3Aを圧接一体化して積層されたものである。前記リン銅ろう合金は冷間加工性が良好であるので、基板2Aの素材のCu基金属素板に、ろう材層3Aの素材のろう材素板を重ね合わせ、重ね合わされた両素板を一対のロールに通して冷間圧接することによって、複合シート1Aを簡単、容易に製造することができる。
【0029】
前記複合シート1Aの厚さは、必要に応じて適宜決定されるが、代表的には0.5〜1.5mm程度とされ、前記ろう材層3Aの厚さは30〜100μm 程度でよい。基板2AをCu基金属で形成することにより、基板2Aとろう材層3Aとの圧接性が向上し、またろう接時における両者の溶着性も良好となる。
【0030】
前記Cu基金属としては、既述のとおり、純Cuのほか、85 mass %以上のCuとその量のCuと共に完全に固溶状態をなす成分からなるCu合金、例えばCu含有量が85%以上のCu−Ni合金、Cu−Mn−Ni合金を用いることができる。前記Cu基合金には、Cuに固溶し、ろう材の加工性、ろう接後のろう材部の特性を損なわない元素であれば、その微量添加は許容される。
【0031】
前記溶着接合部は、mass%でP:1.6%以下、好ましくは1.4%以下を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるリン銅合金で形成さており、前記リン銅ろう合金に比して、P量が共晶組成(1.75%)より少なくとも0.15%少ない。共晶組成との差が0.15%と言えども、図3のCu−P2元系状態図から明らかなように、この辺りの固液境界線は傾斜度は大きいため、P:1.6mass%でも共晶合金との融点差は50℃程度ある。このため、リン銅ろう材の融点より数十度高い温度に加熱することにより、溶着接合部を再溶融させることなく、ろう材層のみを溶融凝固させることができる。
【0032】
管状に曲げ成形した複合シート1Aの端部同士を溶着させて溶着接合部4を形成するには、複合シート1Aの端部同士を突き合わせ、TIG溶接やシーム溶接することによって、ろう材層3のP量を基管部2のCu基金属により希釈した溶着接合部4を容易に形成することができる。また、ろう材層3中のP量を希釈することができる溶接ワイヤ、例えば銅ワイヤを用いてMIG溶接してもよい。
【0033】
TIG溶接やシーム溶接などの他成分が混入しない溶接方法を適用する場合、基管部2(基板2A)とろう材層3との厚さの比率を適宜設定することによって所期のP濃度とすることができる。例えば、基板を純Cuで形成し、ろう材層を2.85mass%P−Cu合金で形成する場合、複合シートにおけるろう材層の厚さ比率(ろう材層の厚さ/全体の厚さ)を25%としたときの溶着接合部4のP濃度は0.7mass%、同様に厚さ比率を50%したときでも1.4mass%Pである。なお、P量がP−Cu合金の共晶組成(1.75mass%P)となる、ろう材層の厚さ比は61%である。また、基管部2(基板2A)がCu含有量が85 mass %以上のCu−Ni合金やCu−Ni−Mn合金で形成される場合、NiやMnも溶着接合部4に含まれるが、これらの合金化元素はリン銅合金の融点を上昇させる方向に作用するので、ろう材の融点との融点差はより拡大する。
【0034】
ここで、実際に、複合シートを突き合わせてTIG溶接し、溶着接合部を介して接合された複合シートをろう付け温度790℃に15分間保持して、前記溶着接合部の再溶融状況を調べた結果を示す。複合シートの厚さは0.4mm、基板の材質は純Cu、ろう材層を形成するP−Cuろう合金のP量は2.9mass%であり、ろう材層の厚さ比(ろう材層の厚さ/全体の厚さ)を種々設定した。複合シートは、その端面同士を突き合わせ、突き合わせ部をTIG溶接した。溶接条件は、溶接電流:113A、溶接電圧:12.7V、溶接速度:4m/min 、シールドガス:(アルゴン+水素)ガスとした。上記溶接により得られた溶着接合部のP量、再溶融の発生状態を表2に併せて示す。表2より、ろう材層の厚さ比を適宜設定することにより、溶着接合部のP量を制御することができ、この例では50%以下とすることにより、溶着接合部を再溶融させることなく、ろう接が可能なことがわかる。
【0035】
【表2】
Figure 0003822108
【0036】
なお、銅製部材のろう接には、前記リン銅ろう材の他、銀銅ろう材も用いられる。この銀銅ろう材で複合シートのろう材層を形成した場合、ろう材として85mass%Ag−Cu合金を用いると、溶着接合部のAg濃度を共晶組成(8.0mass%Ag)未満にするには、ろう材層の厚さ比率が9.5%未満にする必要があり、前記リン銅ろう合金を使用する場合に比してろう材層の厚さ比率が制限される。
【0037】
図6は第2実施形態にかかるろう接用複合管11であり、円筒形に一体的に成形された基管部12と、この基管部12の外周面に一体的に接合されたろう材層13とを備えている。第2実施形態では、第1実施形態のように溶着接合部を有しない。基管部12の材質、ろう材層13の材質は、第1実施形態と同様、前記Cu基金属、前記2.2〜2.9 mass %P、残部Cu及び不可避的不純物からなるリン銅ろう合金で形成されている。前記基管部12の厚さ、ろう材層13の厚さも第1実施形態の基管部2、ろう材層3と同様に考えることができる。
【0038】
このろう接用複合管11は、前記リン銅ろう合金で形成された筒状素材の中心穴に前記Cu基金属によって形成された筒状素材あるいは軸状素材を嵌合した複合ビレットを準備し、これを熱間、温間あるいは冷間にて押し出し加工することによって容易に製造することができる。押し出し加工された複合管に縮径加工を施すために、さらに熱間、温間あるいは冷間にて引き抜き加工を施してもよい。あるいはまた、筒状の複合ビレットを用いて、直接、に引き抜き加工を施してもよい。
【0039】
次に、上記実施形態にかかるろう接用複合管1,11を素材として用いた熱交換用複合管の実施形態について説明する。
図7は第1実施形態にかかる熱交換用複合管31の斜視図であり、前記ろう接用複合管1、11の基管部2、12の外周面に、熱伝導部材として放熱用の円板状フィン34が多数、軸方向に所定の間隔を隔ててろう接されている。前記フィン34は、基管部と同様、Cu基金属で形成されている。前記基管部2、12の外周面にはろう接の際に一旦溶融し、凝固したろう材層33が被覆されている。
【0040】
この熱交換用複合管は以下の要領にて簡単に製造される。前記ろう接用複合管1、11の外周面にフィン34を所定間隔に装着保持し、ろう材の融点すなわち共晶温度(714℃)以上、溶着接合部4のリン銅合金の融点未満(第1実施形態のろう接用複合管1の場合)の温度、あるいは基管部12またはフィン33を形成するCu基金属の融点未満(第2実施形態のろう接用複合管11の場合)の温度にて加熱冷却し、ろう材層3、13を溶融凝固させることで、基管部2、12の外周面にフィン34を容易にろう接することができる。通常、ろう接温度は、ろう材の融点+50〜100℃程度とすればよい。ろう接は真空中、あるいは水素ガス等の還元ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
【0041】
図8は第2実施形態にかかる熱交換用複合管41を示す横断面図であり、前記ろう接用複合管1、11の基管部2、12の外周面に、熱伝導部材として波形状に屈曲形成された波形状フィン44が周方向に沿って付設され、その谷部下面がろう材層43によってろう接されている。この実施形態の場合も、前記ろう接用複合管1、11に波形状フィン44を装着して、所定温度に加熱冷却するだけで容易に波形状フィン44を基管部2、12の外周面にろう接することができる。なお、この熱交換用複合管41の場合、基管部と波形状フィンとの間の空間部45に加熱媒体や冷却媒体を通すことができる。
【0042】
図9は第3実施形態にかかる熱交換用複合管51を示す横断面図であり、前記ろう接用複合管1、11の基管部2、12の外周面に、熱伝導部材として銅製の螺旋状細管54がろう材層53によってろう接されたものである。この場合、ろう接用複合管1、11の外周面に銅製細管を螺旋状に巻き付け、これをろう接温度に加熱することによって長尺の熱交換用複合管51を容易に製造することができる。前記細管54には適宜の加熱媒体、冷却媒体を流すことができる。
【0043】
図10は第4実施形態にかかる熱交換用複合管61を示す横断面図であり、偏平状の基管部2、12の内周面に、熱伝導部材として波形状に屈曲形成された波形状フィン64が管軸方向に沿って付設され、その谷部の下面および山部の上面がろう材層63によってろう接されている。この実施形態の場合、ろう接用複合管としては、偏平状の基管部2、12に内周面にろう材層63が接合されたろう接用複合管を用い、その内部空間に波形状フィン64を装着して、所定温度に加熱冷却するだけで容易に波形状フィン64を基管部2、12の内周面にろう接することができる。なお、この熱交換用複合管61の場合も、基管部と波形状フィンとの間の空間部65に加熱媒体や冷却媒体を通すことができる。
【0044】
フィンや細管等の熱伝導部材は、上記実施形態のように、基管部2、12の外面あるいは内面に限らず、内外両面にろう接するようにしてもよい。この場合、素材として用いるろう接用複合管は、ろう材層を基管部の内外両面に接合するようにする。その素材となる複合シート1Bは、図11に示すように、基板2Aの両面にろう材層3A、3Aが形成される。
【0045】
また、熱交換用複合管の基管部の形状も上記実施形態のように円筒形、偏平形状に限らず、方形状あるいは多角形状に形成することができる。この場合、その素材となるろう接用複合材を同形状に形成することは勿論である。
【0046】
【発明の効果】
本発明のろう接用複合管によれば、ろう材層を形成するリン銅ろう材はP:2.2〜2.9 mass %を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるので、優れた接合強度を有し、しかも冷間加工性に極めて優れるので、Cu基金属で形成された基管部にろう材層を圧接や押し出し加工および/または引き抜き加工などにより極めて容易に接合することができる。このためろう接用複合管の製造が容易であり、製造コストの低減、生産性の向上を図ることができる。また、前記リン銅ろう合金からなるろう材層にCu基金属で形成された熱伝導部材を付設し、前記リン銅ろう合金の融点以上の所期温度に加熱冷却するだけで、Cu基金属で形成された基管部の表面に前記熱伝導部材を簡単容易にろう接することができ、前記ろう接用複合管の生産性の向上と相まって、これによって得られる熱交換用複合管の生産性を向上させるとともに、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】P含有量と加工性(目標板厚あるいは割れ発生までの全圧下率)との関係を示すグラフである。
【図2】P含有量とろう接接合強度との関係を示すグラフである。
【図3】P−Cu合金の部分状態図である。
【図4】第1実施形態にかかるろう接用複合管の横断面図である。
【図5】ろう接用複合管の素材として使用される複合シートの部分断面図である。
【図6】第2実施形態にかかるろう接用複合管の横断面図である。
【図7】第1実施形態にかかる熱交換用複合管の斜視図である。
【図8】第2実施形態にかかる熱交換複合管の横断面である。
【図9】第3実施形態にかかる熱交換用複合管の斜視図である。
【図10】第4実施形態にかかる熱交換複合管の横断面である。
【図11】ろう接用複合管の素材として使用される他の複合シートの部分断面図である。
【図12】従来の熱交換用複合管のろう接前の組立体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、11 ろう接用複合管
2、12 基管部
3、13 ろう材層
1A、1B 複合シート
2A 基板
3A ろう材層
31、41、51、61 熱交換用複合管
34、44、64 フィン(熱伝導部材)
54 螺旋状細管(熱伝導部材)

Claims (5)

  1. 純Cuまたは85 mass %以上のCuとその量のCuと共に完全に固溶状態をなす成分からなるCu合金によって形成された基板の少なくとも一方の表面にろう材層が接合された複合シートの端部同士が溶着接合部を介して管状に溶着されて、前記基板からなる基管部に前記ろう材層が被覆されたろう接用複合管であって、
    前記ろう材層はmass%でP:2.2〜2.9%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるリン銅ろう合金によって形成され、前記溶着接合部はmass%でP:1.6%以下を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるリン銅合金によって形成された、ろう接用複合管。
  2. 前記基板とろう材層とは圧接により接合された請求項1に記載したろう接用複合管。
  3. 純Cuまたは85 mass %以上のCuとその量のCuと共に完全に固溶状態をなす成分からなるCu合金によって管状に一体的に成形された基管部の少なくとも一方の表面にろう材層が接合されたろう接用複合管であって、
    前記ろう材層はmass%でP:2.2〜2.9%を含有し、残部Cu及び不可避的不純物からなるリン銅ろう合金によって形成された、ろう接用複合管。
  4. 前記基管部と前記ろう材層とは押し出し加工および/または引き抜き加工により一体的に接合された請求項3に記載したろう接用複合管。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載したろう接用複合管のろう材層の表面に純Cuまたは85 mass %以上のCuとその量のCuと共に完全に固溶状態をなす成分からなるCu合金によって形成された熱伝導部材を付設し、前記ろう材層を溶融凝固させることによって前記ろう接用複合管の基管部に前記熱伝導部材がろう接された、熱交換用複合管。
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