JP3820715B2 - 蓄圧式燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンのシリンダ内に燃料を最適に噴射させる蓄圧式燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンは、ピストンにより圧縮された空気中に燃料(軽油)を噴射させて、同燃料を圧縮熱で着火し燃焼させて動力を得るエンジンである。
こうしたディーゼルエンジンに用いられる燃料噴射装置には、列型など燃料噴射ポンプを用いた構造が用いられている。
【0003】
ところが、この燃料噴射装置は、コントロールラックとプランジャとを組み合わせた燃料噴射ポンプを用いて燃料の噴射と調量を行う構造なので、かなり大型で重量がある。しかも、燃料噴射ポンプの機能を補うための機器として、負荷変動に応じて燃料噴射量を加減するガバナ、噴射時期の進角作用を行う油圧タイマなどが装着されるので、かなり構造的にも複雑である。そのうえ、噴射圧力はエンジンの回転数に依存しているので、エンジンが低回転では高回転側に比較して圧力が低くなり、例えば低回転高負荷域のような運転領域では低圧で大量の燃料が噴射されてしまい、燃料噴霧の微粒化が促進されず、燃焼が悪化することもある。
【0004】
そこで、燃料噴射ポンプを用いずに、かなり圧力の高い燃料(例えば120MPaまで圧力を高めた燃料)を、電気的な制御で、エンジン運転モードに応じて、所定量、燃焼室へ噴射させる蓄圧式燃料噴射装置(コモンレール式燃料噴射装置)が提案されている。
【0005】
これには、例えば電磁弁の開閉動作により燃料噴射が可能な燃料噴射弁と、エンジンで駆動される燃料フィードポンプとの間を燃料通路でつなぎ、これら燃料噴射弁,燃料フィードポンプ間に燃料フィードポンプからの燃料を所定の高い圧力(例えば120MPa)に蓄圧する蓄圧器(蓄圧室)を設けた構造が用いられる。
【0006】
そして、エンジン運転モードに応じた電磁弁の開閉動作で、燃料噴射弁の針弁(ニードル弁)を開放動作(リフト)させて、エンジンの回転数の影響を受けない蓄圧器からの高圧燃料を、所定の噴射開始時期に、かつ所定の燃料噴射量(噴射終了時期による)で、燃料噴射弁のノズル(噴孔)から、ディーゼルエンジンの燃焼室へ噴射させるようにしてある。
【0007】
ところが、蓄圧式燃料噴射装置の噴射圧力は、列型の燃料噴射装置(燃料噴射ポンプを用いた構造)に見られるような噴射初期で低くそれから次第に圧力が上昇してピークに達するような挙動とは異なり、高い圧力が噴射初期から略一定(蓄圧器の高い圧力がノズルに作用することによる)に続く挙動を示す。
【0008】
このため、蓄圧式燃料噴射装置は、燃料が燃料噴射弁のノズルから燃焼室へ噴射されてから自着火するまでの着火遅れの期間に、過剰に燃料が燃焼室へ噴射されやすく、燃焼の初期で、大量の燃料が一度に燃焼する爆発燃焼が発生する。
【0009】
爆発燃焼は、高い燃焼温度で急激に燃焼(予混合燃焼)が進むので、NOX が多く発生しやすい上、燃焼騒音が増加する不具合をもたらす。
そこで、初期燃焼を緩慢するよう、噴射開始時、低圧の燃料(例えば15MPa)を燃料噴射弁のノズルから噴射させる蓄圧式燃料噴射装置が提案されている。
【0010】
これには、先の高圧の燃料を燃料噴射弁から噴射させる高圧燃料噴射系と、蓄圧器(蓄圧室)で蓄圧した低圧の燃料を燃料噴射弁から噴射させる低圧燃料噴射系とを併用して(2コモンレール式)、燃料噴射弁のノズルから燃焼室へ低圧側の蓄圧器に蓄圧された低圧燃料を噴射させ、この噴射中、低圧側蓄圧器から燃料噴射弁へ向かう燃料通路に、高圧側の蓄圧器に蓄圧された高圧燃料を割り込ませて(低圧燃料から高圧燃料への切り換え)、高圧燃料を燃料噴射弁のノズルから燃焼室へ噴射させることが行われている。
【0011】
これにより、初期燃料は少なくなり、初期燃焼が緩慢になる。
しかしながら、主噴射となる高圧燃料の噴射率は変わらないために、依然、図4の実線に示されるように立ち上がり角θが大きく、排気ガスの点、燃焼騒音の低減に有効な図4中の破線に示される理想的なデルタ型噴射率波形とは大きく異なる。
【0012】
そこで、高圧燃料の急激な燃料噴射弁の流入を規制するよう、この蓄圧式燃料噴射装置の高圧側蓄圧器から、低圧燃料が流れる燃料通路へ向かう接続路に、逆止弁を設けることが行われている。
つまり、切り換えの際の燃料通路へ向かう高圧燃料で、逆止弁を徐々に開弁させて、高圧燃料が急激に燃料噴射弁へ流入するのを制御しようとする。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、逆止弁は、閉位置から開位置へ移動可能とした弁体を圧縮ばね(弾性部材)で閉方向へ付勢する構造である。
これに対して、逆止弁に加わる高圧燃料の圧力は、120MPaといったような超高圧である。
【0014】
このため、たとえ圧縮ばねのばね力を強くしても、作用する圧力が高すぎるために逆止弁は、一気に開弁され高圧燃料が急激に流入する。
そのために、高圧燃料の噴射(主噴射)の立ち上がり角θを小さくして理想のデルタ型噴射率波形に近づけるような主噴射の開度パターンの制御は難しいとされていた。
【0015】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、逆止弁を用いて、低圧燃料の噴射に続く高圧燃料の噴射の立ち上がりの噴射率を下げることが可能な蓄圧式燃料噴射装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置では、高圧燃料を低圧燃料が流れる燃料通路にへ導く接続路の逆止弁を、弁体が開く方向と閉じる方向との双方から高圧燃料の圧力を受けながら開放側へ変位する構造の採用によって、高圧燃料の切り換えの際、逆止弁の弁体の開方向から加わる高圧燃料の作用力を反対側から作用する高圧燃料の圧力で低減させて、高圧燃料の圧力がどのよう高くとも、ばね定数、初期セット力などによる弾性力の設定だけで、逆止弁の弁移動速度(開度パターン)を変えられるようにした。さらに、低圧燃料噴射系の燃料通路に介装され燃料噴射弁と低圧蓄圧器との間で燃料の双方向の流通を可能にするオリフィスを備えた流量制御部を備えて、高圧燃料噴射系による燃料噴射終了時に逆止弁とノズル間の高圧燃料をオリフィスを介して低圧蓄圧器に導出させるように構成した。
【0017】
これにより、高圧燃料の立ち上がりの噴射率が下げられる。すなわち、高圧燃料の急激な流入を防ぎつつ開口面積が連続的に増大するという、立ち上がり角を小さくした理想的な噴射率波形に近づけられるので、NOX 排出量の低減、燃費の向上、エンジン騒音の低減が図れる。
【0018】
請求項2に記載の蓄圧式燃料噴射装置では、簡単な逆止弁構造で開度パターンの調整が可能にするよう、逆止弁の弁体を下流方向から延びるガイド部材で進退自在にガイドするとともに弾性部材で上流側へ付勢して、弁孔を閉止するように形成され、弁体の内部にガイド部材を壁面に用いた反力室を形成し、弁体の上流側の端面に弁孔へ向かう高圧燃料を反力室へ導く流入口を形成するという構成を採用したことにある。ガイド部材には弁孔を通過した燃料を下流側の接続通路に導出する導出口が形成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図3に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、本発明を適用した例えば車両用の直噴式ディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射装置の概略構成を示し、図中1はディーゼルエンジンのシリンダヘッド(図示しない)に取り付けられたユニットインジェクタ(本願の燃料噴射弁に相当)である。
【0020】
ユニットインジェクタ1の本体2の下部側には筒形のノズル3が形成されている。このノズル3の下端部中央から突き出た突起部4は、シリンダヘッドの下面からシリンダ中央へ突き出ていて、突起部4の周壁に穿設してある複数の噴孔を、ディーゼルエンジンのシリンダ内に形成される燃焼室(いずれも図示しない)に開口させてある。
【0021】
ノズル3内には、ノズルニードル5(針弁)が上下方向に摺動自在に嵌挿されている。このノズルニードル5の下端(先端)の円錐部6は、ノズル下端部に形成された弁座7と当接していて、ノズルニードル5の変位で、噴孔を開閉できるようにしてある。なお、ノズルニードル5の上端部は、本体2内に収容した油圧ピストン8aに当接している。
【0022】
弁座7は、ノズル3に形成されたフィードホール10、ノズルニードル5の段差部5aを囲むように形成された環状の燃料溜り室11、本体2に形成されたフィードホール12を介して、インジェクタ本体2の上部に形成した燃料入口13と連通している。
【0023】
また燃料入口13は、フィードホール12から分岐された分岐路14を介して、油圧ピストン8aを上下方向に移動自在に収容した油圧シリンダ部8bに連通してあり、燃料圧がノズルニードル5の先端と基端との双方に加わることを利用して、圧力および圧縮ばね力によりノズルニードル5を閉止させる構造(受圧面積:油圧ピストン8a>ノズルニードル5)にしてある。
【0024】
さらに油圧シリンダ部8bは、例えば常閉形の電磁二方弁で構成される噴射制御電磁弁15を介装した通路15aを介して、本体2の側部に形成した燃料リーク口16と連通している。そして、この燃料リーク口16が、リーク路17を介して、燃料(軽油)を収容している燃料タンク18に接続されている。
【0025】
一方、図中20は低圧用の蓄圧タンク(低圧側の蓄圧器に相当)で、同タンク20の内部には所定の低圧力の燃料、例えば15MPa の低圧力で蓄圧された燃料が貯溜されている。この蓄圧タンク20の燃料供給口は、燃料通路21を介して、ユニットインジェクタ1の燃料入口13に接続されている。
【0026】
この接続により、噴射制御電磁弁15を開けば、ノズルニードル5を閉止させていた油圧ピストン8aに加わる圧力がリーク路17から燃料タンク18へ逃げ、これにしたがいノズルニードル5が燃料溜り室11の燃料圧力で押し上げられ、開く噴孔から燃料が燃焼室へ噴射されるようにしてある。また噴射電磁制御弁15を閉じれば、再びノズルニードル5の基端に燃料圧が加わり、ノズルニードル5を閉止するようにしてある。
【0027】
こうした構造から、低圧燃料をユニットインジェクタ1から噴射させる低圧燃料噴射系22を構成している。なお、図中23は、ノズルニードル5の作動速度を設定するために分岐路14,通路15aにそれぞれ介装されたオリフィスを示す。
【0028】
他方、図中30は、燃料タンク18から燃料を汲み上げる燃料フィードポンプである。この燃料フィードポンプ30の吐出部には、高圧用の蓄圧タンク31(高圧側の蓄圧器に相当)が接続され、燃料フィードポンプ30の作動によって、蓄圧タンク31内に所定の高圧力の燃料、例えば120MPaの高圧力で蓄圧された燃料を貯溜させている。
【0029】
蓄圧タンク31の燃料供給口は、接続路をなす燃料通路32を介して、ユニットインジェクタ1と低圧用の蓄圧タンク20との間をむすぶ燃料通路21の途中に接続されていて、低圧燃料が流れる燃料通路21へ高圧燃料を割り込ませられるようにしてある。また燃料通路32には、圧力切換用電磁弁33(例えば常閉形の電磁二方弁からなる)が介装されていて、噴射制御電磁弁15の開動作でユニットインジェクタ1から低圧燃料を噴射中、圧力切換用電磁弁33を開動作させると、蓄圧タンク31からの高圧燃料が燃料通路21へ導かれて、ユニットインジェクタ1から噴射されるようにしてある。
【0030】
これにより、低圧燃料の噴射中、途中から高圧燃料の噴射に切り換える高圧燃料噴射系34を構成している。
なお、燃料通路32との接続部32aから蓄圧タンク20へ至る燃料通路21には、高圧燃料流入を禁止する逆止弁35aとオリフィス35bとを並列に組んだ流量制御部35が介装され、また蓄圧タンク20からは、低圧の燃料圧に設定してある圧力調整弁36を介装した燃料通路37が燃料タンク18へ延びていて、オリフィス35bを介して高圧燃料を溢流させ、噴射終了から次の噴射迄の間に、低圧用の蓄圧タンク20へ低圧燃料として補給されるようにしてある。
【0031】
また接続部32aと圧力切換用電磁弁33との間の通路部分32bには、本発明の要部となる高圧燃料の流入を制御する逆止弁40が介装されている。
この逆止弁40の詳しい構造が、図1中の拡大図で示してある。
【0032】
逆止弁40の構造について説明すれば、図中41は通路部分32bをなす配管部部材が両端部に接続された筒状のホルダである。このホルダ41の軸心部には、上流側(圧力切換用電磁弁33側)から、入口ポート42、同ポート42と連通する弁収容室43、出口ポート44が順に形成してある。また弁収容室43の下流側の壁面中央からは、軸状のガイド軸45(ガイド部材)が上流側に延びている。そして、このガイド軸45の基端部外周に形成されている通孔46に上記出口ポート44が連通させてある。
【0033】
この弁収容室43へ突き出るガイド軸45の端部には、先端側が例えば円錐台状に形成された弁体47が進退自在に嵌挿されている。
具体的には、弁体47は、弁収容室43の内径より小さい外径で形成してある。弁体47の基端部中央には有底筒形の嵌合穴47aが形成してあり、この嵌合穴47aがガイド軸45の端部に摺動自在に嵌挿されることによって、弁収容室43内に弁体全体を進退自在に収容させてある。
【0034】
弁体47の基端とこれと対向する弁収容室43の壁面との間には、弾性部材、例えば圧縮ばね48が介装され、弁体47を入口ポート42の開口端で形成される弁座49へ付勢して、入口ポート42の開口で形成される弁孔50を閉止させている。これにより、電磁弁33が開弁して高圧燃料がユニットインジェクタ1へ供給されると、弁体47が圧縮ばね48の弾性力に抗して、閉位置からストロークSだけ、開放側へ変位を許すようにしている。
【0035】
この嵌挿構造を利用して、弁体47の内部に反力室51を形成している。すなわち、反力室51はガイド軸45の軸端面,嵌合穴47aの壁面とを組み合わせてなる収縮可能な室空間から形成してある。
【0036】
また弁体47の先端面中央(上流側の端面)には、弁孔50と反力室51との間を連通する流入口52が形成され、弁体47に加わる高圧燃料を反力室51に導けるようにしている。この流入口52は、嵌合穴47aより小径な通路で形成されていて、反力室51へ高圧燃料が導入されると、弁体47の先端面に向き合う反力室51の壁面に、弁体47を閉じる方向へ向かわせる反対方向の反力が発生されるようにしてある。なお、51aは反対方向の力が作用する反力室51の受圧面(壁面)を示す。
【0037】
この反力室51によって、弁体47の前後部、すなわち開く方向と閉じる方向との双方に、高圧燃料の圧力が加わるようにしてある。つまり、弁体47の開方向に加わる高圧燃料の作用力を反対側から作用する高圧燃料の圧力によってキャンセルする構造にしてある。
【0038】
これにより、弁体47に、低圧燃料から高圧燃料への切換時、圧縮ばね48のばね特性だけで、閉止位置から連続的にかつ徐々に開口面積が増えながら開動作する機能をもたらしている。
【0039】
そして、この逆止弁40の反力機能によって、高圧燃料が急激にユニットインジェクタ1へ流入されない構造にしてある。
つぎに、この高圧燃料の流入を制御する逆止弁40の作用を説明するべく、蓄圧式燃料噴射装置の作用を説明すれば、今、低圧用の蓄圧タンク20が低圧燃料(例えば15MPaの燃料)で満たされ、高圧用の蓄圧タンク31が高圧燃料(120MPaの燃料)で満たされ、またノズルニードル5が上下方向から加わる燃料圧力によって噴孔を閉止させているとする。
【0040】
このとき、燃料噴射開始時期になると、図示しないECU(制御部)からは、まず低圧噴射のためのパルス信号が出力され、その後、高圧噴射のためのパルス信号が出力される。
【0041】
噴射制御電磁弁15は、図2のタイムチャートで示されるように最初の低圧噴射のパルス信号を受けて開動作する。
すると、燃料圧力による油圧ピストン8aの規制は解除され、この間、ノズルニードル5は、燃料溜り部11の燃料圧力にて上方へ押し上げられ、開放するノズル3の噴孔から低圧燃料が燃焼室へ噴射される。
【0042】
この低圧燃料の噴射により、燃焼室へ噴射されてから自着火するまでの着火遅れ期間に噴射される噴射量は抑制されるので、爆発的燃焼が抑制できる。
圧力切換用電磁弁33は、図2のタイムチャートで示されるように続く高圧噴射のパルス信号を受けて開動作する。
【0043】
すると、蓄圧タンク31からの高圧燃料が、逆止弁40を経て、低圧燃料が流れる燃料通路21に割り込むように導入される。これにより、燃料の噴射中、ノズルの噴孔から噴射している低圧燃料が高圧燃料へ切換わる。
【0044】
この切り換えの際、逆止弁40の弁体47には開く方向と閉じる方向との双方から高圧燃料の圧力が加わる。
詳しくは、入口ポート42へ導入される高圧燃料は、弁孔50から露出する弁体47を上流側から押圧する。と共に弁体前面の流入口52から反力室51に導入された高圧燃料の圧力が、反力室51の受圧面51aに加わり、弁体47を下流側から押圧するようになる。
【0045】
これによって、弁体47は、開方向から加わる高圧燃料の作用力が反対側から作用する高圧燃料の圧力でキャンセル(低減)される。
このことにより、弁体47は、高圧燃料の圧力がどのように高くとも、圧縮ばね48の弾性力、すなわちばね定数、初期セット力などの設定だけで、閉位置から連続的に開口面積を増大させながら開放側へ変位するようになる。
【0046】
すなわち、今、弁孔50の直径(弁シート径)をDとし、反力室51の直径d(D>d)とし、弁体27に入力される圧力をPとしたとき、弁体47に作用する力F1 を求めれば、
F1 =π/4×(D2 −d2 )×Pとなって、
弁体47に作用する力F1 は、本構造を用いない場合の弁体に作用する
F1 ′=π/4・D2 ・Pに比べて、F=π/4・d2 ・P分、小さくでき、大部分がキャンセルされる。
【0047】
ここで、弁体に作用する力F1 はキャンセル構造を用いない場合のF1 ′より、はるかに小さい値であるから、圧縮ばね48によって弁体47の動きが制御可能となる。つまり、F1 を越えるばね圧をもつ圧縮ばね48を用いることにより、弁体47の移動速度が変えられるようになる。
【0048】
このことから、圧縮ばね48を用いるだけで、ばね定数、初期セット力の調整により、弁体47は通常の連続的に開口面積を増大させながら開放側へ変位するという挙動が得られることがわかる。
【0049】
この弁体47の挙動により、弁体47の周り、通孔46、出口ポート44を経て、ノズル3の噴孔から噴射される高圧燃料は、当初は少量、次第にその量が増加するように噴射される。
【0050】
シミューレーション計算によれば、圧縮ばね48のばね定数,初期セット力を変更するだけで、図3(a)の線図中の実線に示されるようにかなり広範囲の領域で逆止弁40の弁移動速度(開度パターン)の調節を行うことができた。
【0051】
このことにより、逆止弁40を用いて、低圧燃料の噴射に続いて噴射される高圧燃料の立ち上がりの噴射率の制御が容易に行えることが確認された。
この結果、図3(b)の線図中の実線に示されるように高圧燃料の噴射率の立ち上がり角θを小さくした理想的なデルタ型噴射率波形に近づけることができる。
【0052】
したがって、ディーゼルエンジンの燃焼を最適に制御することができ、NOX 排出量の低減、燃費の向上、エンジン騒音の低減を図ることができる。
しかも、逆止弁40は、圧縮ばね48で付勢される弁体47を下流方向から延びるガイド軸45で進退自在にガイドし、弁体27の内部に反力室51を形成し、弁体47の前面に高圧燃料を反力室51へ導く流入口52を形成するだけでよく、簡単な構造で開度パターンの調節が可能である。
【0053】
なお、上述した一実施形態では、一台の燃料フィードポンプで、低圧用の蓄圧タンクと高圧用の蓄圧タンクに燃料を蓄える構造に、本発明を適用したが、これに限らず、2台のポンプを用いて、別々に低圧/高圧用の蓄圧タンクに燃料を蓄えるようにしても構わない。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、高圧燃料の切り換えの際、逆止弁は、弁体の開方向から加わる高圧燃料の作用力を反対側から作用する高圧燃料の圧力で低減させるので、高圧燃料の圧力がどのように高くとも、ばね定数、初期セット力などによる弾性力の設定だけで、逆止弁の開度パターン(弁移動速度)を変えることができる。
【0055】
したがって、困難とされていた低圧燃料の噴射に続く高圧燃料の噴射の立ち上がりの噴射率の低減が可能となり、同噴射率の立ち上がり角を小さくした理想的な噴射率波形に近づけることができ、NOX 排出量の低減、燃費の向上、エンジン騒音の低減の向上が図れるようになる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、簡単な逆止弁の構造で、開度パターンの調節が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の蓄圧式燃料噴射装置を、逆止弁の詳細な構造と共に示す図。
【図2】始めに低圧燃料を噴射、その後、高圧燃料を噴射する電磁弁の動作を、噴射率と共に示す図。
【図3】逆止弁のばね定数,初期セット力だけで、低圧燃料から高圧燃料に切換わるときの噴射率が変化すること説明するための線図。
【図4】従来の低圧燃料から高圧燃料に切換わるときの噴射率の挙動を説明するための線図。
【符号の説明】
1…ユニットインジェクタ(燃料噴射弁)
3…ノズル
20…低圧用の蓄圧タンク(低圧側の蓄圧器)
21…燃料通路
22…低圧燃料噴射系
31…高圧用の蓄圧タンク(高圧側の蓄圧器)
32…燃料通路(接続路)
33…圧力切換用電磁弁
34…高圧燃料噴射系
35…流量制御部
35b…オリフィス
40…逆止弁
41…ホルダ
42…入口ポート
43…弁収容室
44…出口ポート(導出口)
45…ガイド軸(ガイド部材)
47…弁体
48…圧縮ばね(弾性部材)
51…反力室
52…流入口。
Claims (2)
- 低圧蓄圧器に貯溜された低圧燃料を燃料噴射弁へ供給してノズルから噴射させる低圧燃料噴射系と、
前記低圧燃料噴射系の燃料通路に介装され、前記燃料噴射弁と前記低圧蓄圧器との間で燃料の双方向の流通を可能にするオリフィスを備えた流量制御部と、
前記低圧燃料の噴射中、高圧蓄圧器に貯溜された高圧燃料を接続路を通じ、前記流量制御部よりも下流の前記低圧燃料が流れる燃料通路へ導いて前記燃料噴射弁のノズルから噴射させる高圧燃料噴射系と、
前記接続路に介装され、前記高圧燃料が前記燃料噴射へ供給されるにしたがい弁体が弾性力に抗して閉位置から開放側へ変位する逆止弁とを有し、
前記逆止弁を、前記弁体が開く方向と閉じる方向との双方から前記高圧燃料の圧力を受けながら開放側へ変位するように構成すると共に、前記高圧燃料噴射系による燃料噴射終了時に前記逆止弁と前記ノズル間の高圧燃料を前記オリフィスを介して前記低圧蓄圧器に導出させるように構成したことを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 前記逆止弁は、
前記弁体が、下流方向から延びるガイド部材で進退自在にガイドされるとともに弾性部材で上流側へ付勢されて、弁孔を閉止するように形成され、
前記弁体の内部には前記ガイド部材を壁面に用いた反力室が形成され、
前記弁体の上流側の端面には前記弁孔へ向かう高圧燃料を前記反力室へ導く流入口が形成され、前記ガイド部材には前記弁孔を通過した燃料を下流側の接続通路に導出する導出口が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置。
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