JP3820397B2 - ボビンレスコイル、コイル組品、ボビンレスコイルの製造用具、ボビンレスコイルの製造方法 - Google Patents

ボビンレスコイル、コイル組品、ボビンレスコイルの製造用具、ボビンレスコイルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気または電子部品等に使用されるボビンレスコイルおよびそのボビンレスコイルを用いたコイル組品等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電気部品や電子部品として、コイルと、コイルとともに磁路を形成するためのコアとを備えたコイル組品が用いられている。特に、コイルの内周および外周を一回りするように接続された磁脚を有するEE型もしくはEER型と呼ばれるコアを用いたコイル組品は、コンバータトランス等に広く用いられている。
【0003】
ここで図15にそのような従来のコイル組品を示す。図15に示すように、コイル組品150は、コイル151、およびコイル151の周囲に設けられた、絶縁性材料からなるコイルボビン152、コイルボビン152およびコイル151を覆うように設けられたEE型のコア153aおよび153bと、コイルが外部に露出しないようにするための絶縁テープ154とを備えている。コイルボビン152はコイル151を保護するとともに、コア153aおよび153bとコイル151とが電気的に接触することを防ぐ機能を有する。また、絶縁テープ154は必須ではない。
【0004】
EE型のコア153aおよび153bは、コイルの外側で互いに接合している外部磁脚と、コイルの内側に配置された中央磁脚をそれぞれ有している。
【0005】
外部磁脚と異なり、中央磁脚は所定の間隔155をおいて設けられている。
【0006】
ところで、このようなコイル組品には、以下のような問題があった。すなわち、中央磁脚は所定の間隔155を有しており、発生した磁束はこの間隔を通過するが、図16に示すように、一部の磁束156は、中央磁脚の対向する端面からでなく、側面から対向する中央磁脚の側面に到達する。この場合、側面から放射された磁束156はコイル151と直交することとなり、コイルを発熱させてしまう。この発熱は、コイル組品150全体を発熱させることになる。
【0007】
コイルの発熱を避けるためには、コイル151の巻線の導体断面積を大きくしたり、コアとして透磁率の高い材料を用いたりすればよいが、これらの対策は、いずれもコイル組品のコストを高くしてしまい、かつ十分な効果が得られるとは言えなかった。
【0008】
このような問題を解消するものとしては、図17に示すようなコイル組品170が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0009】
図に示すように、コイル組品170においては、コイルボビン171を、中央磁脚の間隙に対応する部分172が最も肉厚となるように、略山型に盛り上げた形状にしている。これにより、中央磁脚の側面からの漏れ磁束は、コイルボビン171内を通過し、コイル173と直交しない。これによりコイルの発熱を回避することができる。
【0010】
また、同様の技術として、図18に示すようなコイル組品180が知られている(例えば、特許文献2を参照)。図18においては、中央磁脚の間隙181に対応する部分に、新たにコイルボビン182の鍔183を設けている。漏れ磁束は、この鍔183を通過するので、コイルの巻線と漏れ磁束とが直交することはない。
【0011】
【特許文献1】
特許第2751228号公報
【特許文献2】
特開平7−302720号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のコイル組品には、以下のような課題があった。
【0013】
そもそも従来のコイル組品においては、コイルはコイルボビン152に巻かれた状態でコアに装着されているため、コイルボビン152の体積が、コイル組品全体の小型化の妨げとなっていた。
【0014】
そこへ、さらにコイルの漏れ磁束の影響を防ぐために図17や図18のコイルボビン171,182のようにコイルボビンの外形を大きくすることは、コイル組品の小型化を一層妨げることになる。
【0015】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、従来より小さな寸法でも漏れ磁束によるコイルの発熱を低減するコイルおよびそれを用いたコイル組品を提供することを目的とする。また、上記本発明のコイルを得るためのコイルの製造装置、製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、の形状を有し、前記筒の内周面の一部分に、前記筒の内周に沿って所定の凹部が形成されているボビンレスコイル(11)である。
【0017】
また、第2の本発明は、前記凹部に嵌り込んだ、絶縁性材料から成る筒の形状のブッシュ部材(12)をさらに備え、
前記筒の内周面の残りの部分と、前記ブッシュ部材の前記筒の内周面とは同一面を形成している第1の本発明のボビンレスコイル(10)である。
【0018】
また、第3の本発明は、所定の間隔をおいて配置された、同一の巻線から形成されている、それぞれが筒の形状を有する一対のコイル部材(88,87a、87b)と、
前記一対のコイル部材の前記間隔に配置された、絶縁性材料から成る筒の形状のブッシュ部材(82)とを備え、
前記一対のコイル部材の前記筒の内周面と、前記ブッシュ部材の前記筒の内周面とは同一面を形成しているボビンレスコイルである。
【0019】
また、第4の本発明は、前記ブッシュ部材は、その筒の形状の少なくとも一端の周に対応する部分に断続的に設けられた複数の窪み部(13)を有し、該窪み部は、少なくとも前記筒の端面から前記筒の外周面の一部にかけて形成されている第2または第3の本発明のボビンレスコイルである。
【0020】
また、第5の本発明は、前記ブッシュ部材は、少なくともその端面上であって、前記筒の形状の少なくとも一端の周に対応する部分に断続的に設けられた突起部(83)を有する第2または第3の本発明のボビンレスコイルである。
【0021】
また、第6の本発明は、第1から第5の本発明のボビンレスコイルと、
前記ボビンレスコイルの内周に配置され、所定の間隙を有する中央磁脚(43a、43b)を少なくとも含むコア部材(41a、41b)とを備え、
前記中央磁脚の間隙は、前記凹部または前記ブッシュ部材の位置に対応して配置されているコイル組品である。
【0022】
また、第7の本発明は、実質筒の形状の一対のボビンレスコイル(81a、81b)と、
前記一対のボビンレスコイルの内周に配置され、所定の間隙を有する中央磁脚(43a、43b)を少なくとも含むコア部材(41a、41b)と、
前記一対のボビンレスコイルに挟まれるようにして前記中央磁脚に嵌り込んだ、前記一対のボビンレスコイルと実質同一の筒の形状を有するブッシュ部材とを備え、
前記ブッシュ部材の配置は、前記中央磁脚の間隙に対応しているコイル組品である。
【0023】
また、第8の本発明は、前記ブッシュ部材は、その前記筒の少なくとも一端の周に対応する部分に断続的に設けられた複数の窪み部(13)を有し、前記窪み部は、少なくとも前記筒の端面から前記筒の外周面の一部にかけて形成されている第7の本発明のコイル組品である。
【0024】
また、第9の本発明は、前記ブッシュ部材は、少なくともその端面上であって、前記筒の少なくとも一端の周に対応する部分に断続的に設けられた突起部(83)を有する第7の本発明のコイル組品である。
【0025】
また、第10の本発明は、第1から第3のいずれかの本発明のボビンレスコイルの製造用具であって、
前記筒の前記内周に対応する径を有し、その長さ方向に形成されたスリット(123)と、端面に形成された、前記スリットと連通する開口部(124)とが設けられ、前記凹部に対応する筒の形状のブッシュ部材を装着可能な巻き軸部材(122)と、
前記開口部に嵌合可能な嵌合部材(130)とを備え、
前記巻き軸部材は、前記嵌合部材の嵌合によりその径が大きくなることにより、装着された前記ブッシュ部材を固定する、ボビンレスコイルの製造用具である。
【0026】
また、第11の本発明は、第10の本発明のボビンレスコイルの製造用具を用いた、第1または第2の本発明のボビンレスコイルの製造方法であって、
前記巻き軸部材に前記ブッシュ部材を挿入し、所定の位置に仮決めする工程と、
前記ブッシュ部材が挿入された前記巻き軸部材の前記開口部に前記嵌合部材を嵌合し、前記巻き軸部材の径を大きくして前記ブッシュ部材の位置を固定する工程と、
前記巻き軸部材に巻線を巻いて、前記ブッシュ部材を覆う、または挟むように前記ボビンレスコイルを形成する工程とを備えたボビンレスコイルの製造方法である。
また、第12の本発明は、
前記ブッシュ部材は樹脂製であって、
形成した前記ボビンレスコイル内の前記ブッシュ部材を有機溶剤により溶解して取り除くことにより、第1の本発明のボビンレスコイルを完成する、第11の本発明のボビンレスコイルの製造方法である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明を行う。
【0028】
(実施の形態1)
図1(a)〜(c)は本発明の実施の形態1におけるコイルの構成を示す図である。ただし図1(a)は正面図、図1(b)は側面図、図1(c)は図1(b)のA−A″直線による断面図である。
【0029】
図1(a)〜(c)に示すように、本発明のコイル10は、一本の線材を巻線として構成されたコイル部材11と、コイル部材11の内壁に埋め込まれた、実質上円筒形の外形を有するブッシュ部材12とを備えている。
【0030】
ブッシュ部材12も円筒形の外形を有し、その外径はコイル部材11より小さいが、その内径はコイル部材11と実質上同一である。したがって、図1の各図に示すように、ブッシュ部材12はコイル部材11の巻線によって覆われており、コイル10の内周面は、コイル部材11の内周面とブッシュ部材12の内周面とから形成された、実質上段差のない一様な曲面を形成している。また、ブッシュ部材12が埋め込まれた部分はコイルの巻き数が他の部分と異なり、コイル部材1の内周面に凹部を形成していることになる。
【0031】
次に図2(a)(b)にブッシュ部材12の構成を示す。ただし図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。
【0032】
図2(a)(b)に示すように、ブッシュ部材12は、その円筒形の外形の両端面の一部から外周面の一部に窪み部13を有している。図3(a)(b)に示すように、窪み部13にはコイル部材11の巻線が嵌り込むようになっており、コイル10において、ブッシュ部材12に起因するコイル部材11の巻きの段差を小さくし、巻線が整列巻きとなるようにしている。
【0033】
次に図5にコイル10におけるコイル部材11の巻線の状態を示す。図5に示すように、コイル10はその内周面にブッシュ部材12を含んでいるため、図中矢印51に示すように、巻線は、コイル部材の一端を起点としてブッシュ部材12の位置まで巻いたあと、巻き始め地点に一旦もどるように巻かれている。巻きによって形成された外周面の高さがブッシュ部材12の高さと実質上同一になってから、ブッシュ部材12の上面に巻きが形成され、これはブッシュ部材12の向こう側に達している。コイル部材の他端で折り返した巻線は、巻き始め地点近傍と同様に、ブッシュ部材12の手前で再び前記他端へ戻り、巻き始め側に形成されている外周面と実質上同一の高さになってから、巻きはじめ地点に戻るように巻かれている。
【0034】
巻線が以上のように巻かれることにより、コイル10の外周面および内周面は均一な曲面を形成している。
【0035】
このような構成を有する本実施の形態のコイルを用いて、例えばEER型のコアでコイル組品を作成すると、図4(a)(b)に示すような構成となる。ただし図4(a)は正面図、図4(b)は平面図である。
【0036】
図4(a)(b)に示すように、コイル組品40は、コイル10とEER型のコア41aおよび41bとから構成されている。また、図示は省略したが、コイル10の周囲には、所定の厚みを有する絶縁性フィルムを設けて、コイルとコアとを絶縁するようにしてもよい。コイル10の巻線が充分な強度の被覆を有していれば、絶縁性フィルムを省略した構成としてもよい。
【0037】
コア41aおよび41bは、コイルの外側で互いに接合している外部磁脚42a、42bと、コイルの内側に配置された中央磁脚43aおよび43bをそれぞれ有している。中央磁脚43aおよび43bは所定の間隔をおいて設けられており、この間隔はコイル組品40において、コイル10のブッシュ部材12に対応する場所に位置している。このような構成としたことにより、図4(c)に示すように、中央磁脚43aの側面からの漏れ磁束は、ブッシュ部材12を通過しコイル10と直交しない。これによりコイルの発熱を回避することができる。
【0038】
ここで本実施の形態においては、ブッシュ部材12は漏れ磁束を通過させるのに必要な体積しか有していないため、従来例の、コイルを保護するコイルボビンより小型で同等の効果が得られる。
【0039】
したがって、コイルボビンの体積分をコイルまたはコアの寸法に充当させることができ、従来例に比して同一寸法で漏れ磁束の影響を防ぐと共に、より性能の優れたコイル組品が得られる。
【0040】
(実施例)
上記の本実施の形態のコイル組品40を、力率改善用のインダクタとして用いた。コイル10として、インダクタンス値=300μHのものを作成し、入力電圧=100V、入力電流=1.26Aで2時間通電させたところ、測定した動作中の温度は42.3℃であった。
一方、比較例として、コイル10と同一の巻き数を有する従来例のコイルを作成し、上記実施の形態1と同一のEER型コアと組み合わせたコイル組品を、同一条件にて動作させたところ、動作中の温度は約53度であり、本実施の形態によれば、ほぼ10℃近い温度低減の効果が得られた。
【0041】
なお、上記の説明においては、コイル10のブッシュ部材12の窪み部13は、図2(a)に示すような三角形の切り込みとしたが、図6(a)(b)に示すように、矩形の切り込みであっても良い。
【0042】
また、コイル10における巻線の巻き方の構成は、図5に示す例に限定されず、巻線がコイル部材11の一端から他端に向かって往復するように巻かれていてもよい。この場合は、コイル10の外周面はブッシュ部材12の厚み分だけ段差が形成されるが、図7(a)(b)に示すように、巻きの往復で、巻線70が嵌り込む窪み部13の位置をそれぞれ違えるようにすることで、図7(c)に示すような矢印71に沿った巻きを形成し、ブッシュ部材12に起因する段差の高さを低くすることができる。
【0043】
また、上記の説明においては、ブッシュ部材12はコイル10内に含まれるものとして説明を行ったが、本発明のコイルは、コイル組品として用いた場合に、コイル組品のコアの中央磁脚に形成される間隔に対応した凹部が設けられていればいい。したがって、ブッシュ部材12は省略した構成としてもよい。このとき、コイル部材11は、単独で本発明のコイルを形成する。
【0044】
(実施の形態2)
図8(a)〜(c)は本発明の実施の形態2におけるコイルの構成を示す図である。ただし図1(a)は正面図、図1(b)は側面図、図1(c)は図1(b)のA−A″直線による断面図である。
【0045】
図8(a)〜(c)に示すように、本実施の形態のコイル80は、実質上円筒形の外形を有するコイル部材81aおよび81bからなる一対のコイル部材と、コイル部材81aおよび81bの間に配置された、実質上円筒形の外形を有するブッシュ部材82とを備えている。図9の正面図に示すように、コイル部材81aおよび81bは、それぞれ一本の線材を巻線として構成された、実質上円筒形の外形を有しており、互いに独立したコイルとなっている。
【0046】
また、ブッシュ部材82は、その内径、外形ともコイル部材81aおよび81bと実質上同一である。したがって、図8の各図に示すように、ブッシュ部材82はコイル部材81aおよび81bと実質上段差を持たない外周面及び内周面を有し、コイル80は全体として円筒形の形状を有する。
【0047】
次に図10(a)〜(c)にブッシュ部材82の構成を示す。ただし図10(a)は斜視図、図10(b)は平面図、図10(c)は側面図である。
【0048】
図10(a)〜(c)に示すように、ブッシュ部材82は、その円筒形の外形の両端面に突起部83を有している。突起部83は、端面の円の半径に平行な面を持つ板であり、突起部83で挟まれた領域は、コイル80において、図8(a)に示す空洞部84を形成する。
【0049】
このような形状を有する本実施の形態のコイルを、図4に示すようなEER型のコアと組み合わせてコイル組品として用いると、実施の形態1と同様、漏れ磁束をブッシュ部材82に通過させてコイルへ影響を及ぼさないようにできる。さらに、仮にコイルに銅損による発熱が生じたとしても、ブッシュ部材82とコイル部材81a、81bによって形成される空洞部84から、その熱を逃がすことができる。さらに、コイル部材81aのリード線85を空洞部84に収納させることができ、コイルの小型化を実現できる。
【0050】
なお、上記の説明において、コイル部材81a、81bは互いに独立したコイルととして説明を行ったが、図11に示すように、線材の一部であるブリッジ配線86によって互いにつながっており、実質的には一本の線材を巻線とした一個のコイル88である一対のコイル87a、87bとしてもよい。
【0051】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、実施の形態1,2のコイル10、80の製造に用いるコイルの製造用具である。本実施の形態のコイルの製造用具は、巻き軸と巻き軸に嵌合する嵌合部材とから構成される。
【0052】
図12は、本実施の形態のコイルの製造用具の各部を示す構成図である。ただし図12(a)巻き軸の正面図、図12(b)は側面図、図12(c)は巻き軸に嵌合する嵌合部材の正面図である。
【0053】
図12(a)(b)に示すように、巻き軸120は、図示しない外部のチャックに装着するための装着軸121と、コイルの巻線が巻き取られる巻き軸本体122とを有する。巻き軸本体122は、その中心軸を通過するスリット123が刻まれており、さらに装着軸121と反対型の端面には、スリット123と連通するとともに、テーパのついた開口部124が設けられている。なお、巻き軸本体122は本発明の巻き軸部材に相当する。
【0054】
また、図12(c)に示すように、嵌合部材130は、利用者が保持するための保持部131と、巻き軸本体122の開口部124の形状に対応したテーパを有するが、開口部124の深さより長い挿入部132とを有する。
【0055】
以上のような構成を有する、本実施の形態のコイルの製造用具の動作を説明するとともに、本発明のコイルの製造方法の一実施の形態について説明を行う。
【0056】
実施の形態1のコイル10を作成する場合を例にして説明する。はじめに、図13に示すように、巻き軸120にまず環状の左側壁部材141を挿入する。左側壁部材141は装着軸121によって止まるまで挿入し、ねじ止め固定する。この左側壁部材141は後述する右側壁部材142と同様、少なくとも完成時のコイルと実質上同一の径を有し、この径は完成時のコイルの大きさおよび巻き数を規定する。また、ねじ止めによって巻き軸120に固定する。ただし現段階ではねじ止めは行わない。
【0057】
次に、巻き軸120にブッシュ部材12を挿入し、所望の位置で仮止めする。
【0058】
さらに、巻き軸120に、上述した右側壁部材142を挿入し、所望の位置に仮止めする。ただし、この時点ではねじ止めは行わない。ブッシュ部材12と、右側側部材142および左側壁部材141とは、それぞれ等間隔で配置されるようにする。
【0059】
次に、巻き軸120の端部の開口部124に嵌合部材130を挿入する。このとき、嵌合部材130の挿入部132の長さLは、開口部124の深さHよりも大きく、かつ巻き軸120はスリット123によって二分割されているために、嵌合部材130の挿入がされると巻き軸120の直径は広がることになる。巻き軸120の直径が広がると、仮止めされたブッシュ部材12は巻き軸120上に完全に固定される。
【0060】
次に、左側壁部材141および右側壁部材142の両方をねじ止めして巻き軸120に固定する。以上の工程が完了し、左側壁部材141、ブッシュ部材12、右側壁部材142および嵌合部材がこの順で巻き軸120に装着された状態を図13に示す。
【0061】
最後に、図13に示す巻き軸120の装着軸121を、外部の回転機具に固定、回転させて、図5や図6に示す巻き方で巻線を巻き軸120に巻き取らせることにより、実施の形態1のコイル10が得られる。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、スリット123により分割され、スリット123と連通した開口部124を有する巻き軸120と、開口部124に嵌合する嵌合部材130とを用いて、嵌合部材130の嵌合により巻き軸120の直径を大きくすることにより、コイル完成時には、コイルに内蔵されてしまうブッシュ部材を容易に固定して、本実施の形態1のコイルを作成することができる。
【0063】
なお、上記の説明においては、開口部124と嵌合部材130の挿入部132とは、互いに対応するテーパを有する孔および軸であるとしたが、図14に示すように、挿入部132はネジ状の形状を有し、開口部124はネジ孔状の形状を有するものとしてもよい。このような構成とした場合でも、挿入部132のネジの斜面がスリット123を介して巻き軸本体122の径を広げる作用を有するため、上記説明と同様にして、巻き軸120に挿入されたブッシュ部材12を固定することができる。
【0064】
また、上記実施の形態においては実施の形態1のコイルを例としたが、実施の形態2のコイルの作成に用いてもよい。
【0065】
また、巻き軸本体122のスリット123は、巻き軸本体122の中心軸を通り、巻き軸本体122の直径と同等であるとしたが、スリット123は、開口部124と連通した構成を有する限り、巻き軸本体122の断面の中心から偏心するなど、巻き軸本体122の任意の地点の軸を通る構成としても良い。また、スリットの本数は一本としたが、複数本であってもよい。
【0066】
また、ブッシュ部材12は完成したコイル10に内蔵されてしまうが、樹脂製である場合は、有機溶剤等を用いれば、コイル部材から取り除くことができる。この場合、コイル組品として用いた場合に、コイル組品のコアの中央磁脚に形成される間隔に対応した凹部が設けられた本発明のコイルを得ることができる。
【0067】
なお、上記の各実施の形態においては、コイルは実質上円筒形であるとしたが、本発明のボビンレスコイルは筒状の形状を有するものであれば、その端面の形状によって限定されるものではない。矩形、楕円形、星形等であってもよい。
【0068】
また、ブッシュ部材の形状もまた、筒型の形状を有するものであれば、その端面の形状によって限定されるものではなく、ボビンレスコイルと同様、矩形、楕円形、星形等であってもよい。
【0069】
また、本発明のコア部材の形状もまた、ボビンレスコイルおよびブッシュ部材と同様、その中央磁脚の端面の形状は、本発明のボビンレスコイルおよびブッシュ部材に挿入可能なものであればよい。従って、EE型や他のコアを用いても良い。また、本発明のコア部材は、ボビンレスコイルの内周に配置され、所定の間隙を有する中央磁脚を少なくとも含んでいればよいから、外部磁脚を備えていない形式のものであってもよい。さらに、外部磁脚が所定の間隙を有するコア部材に対して、本発明のボビンレスコイルを用いても良い。この場合、ボビンレスコイルは外部磁脚に配置される。
【0070】
また、上記の実施の形態においては、ブッシュ部材はコイルの中心に設けるとしたが、本発明のボビンレスコイルのブッシュ部材は、コイル組品を作成した際に、所定の間隙を有する中央磁脚の間隙に対応する位置にあればよい。したがって、コイル組品の中央磁脚の間隙が設けられる位置に応じた、任意の箇所に設けるようにしてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したところから明らかなように、本発明によれば、漏れ磁束の影響を削減すると共に、より高能率に動作するボビンレスコイル、コイル組品等を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1によるコイルの正面図
(b)本発明の実施の形態1によるコイル組品の側面図
(c)本発明の実施の形態1によるコイル組品の断面図
【図2】(a)本発明の実施の形態1によるブッシュ部材の正面図
(b)本発明の実施の形態1によるブッシュ部材の側面図
【図3】(a)本発明の実施の形態1によるコイルの巻線の状態を説明するための図
(b)本発明の実施の形態1によるコイルの巻線の状態を説明するための図
【図4】(a)本発明の実施の形態1によるコイル組品の正面図
(b)本発明の実施の形態1によるコイル組品の上面図
(c)本発明の実施の形態1によるコイル組品の詳細図
【図5】本発明の実施の形態1によるコイルの巻線の状態を説明するための図
【図6】(a)本発明の実施の形態1によるブッシュ部材の他の構成の正面図
(b)本発明の実施の形態1によるブッシュ部材の他の構成の側面図
【図7】(a)本発明の実施の形態1によるコイルの巻線の状態の他の例を説明するための図
(b)本発明の実施の形態1によるコイルの巻線の状態の他の例を説明するための図
(c)本発明の実施の形態1によるコイルの巻線の状態の他の例を説明するための図
【図8】(a)本発明の実施の形態2によるコイルの正面図
(b)本発明の実施の形態2によるコイルの側面図
(c)本発明の実施の形態2によるコイルの断面図
【図9】本発明の実施の形態2によるコイル部材の正面図
【図10】(a)本発明の実施の形態2によるブッシュ部材の斜視図
(b)本発明の実施の形態2によるブッシュ部材の側面図
(c)本発明の実施の形態2によるブッシュ部材の正面図
【図11】本発明の実施の形態2によるコイル部材の他の構成の正面図
【図12】(a)本発明の実施の形態3による製造用具の巻き軸の正面図
(b)本発明の実施の形態3による製造用具の巻き軸の側面図
(c)本発明の実施の形態3による製造用具の嵌合部材の正面図
【図13】本発明の実施の形態3による製造用具の動作を説明するための図
【図14】(a)本発明の実施の形態3による製造用具の巻き軸の構成の正面図
(b)本発明の実施の形態3による製造用具の巻き軸の構成の側面図
(c)本発明の実施の形態3による製造用具の嵌合部材の構成の正面図
【図15】従来の技術によるコイル組品を示す図
【図16】従来の技術によるコイル組品の課題を説明するための図
【図17】従来の技術によるコイル組品を示す図
【図18】従来の技術によるコイル組品を示す図
【符号の説明】
10、80 コイル
11 コイル部材
12、82 ブッシュ部材
13 窪み部
81a、81b、87a、87b コイル部材
83 突起部
40 コイル組品

Claims (12)

  1. の形状を有し、前記筒の内周面の一部分に、前記筒の内周に沿って所定の凹部が形成されているボビンレスコイル。
  2. 前記凹部に嵌り込んだ、絶縁性材料から成る筒の形状のブッシュ部材をさらに備え、
    前記筒の内周面の残りの部分と、前記ブッシュ部材の前記筒の内周面とは同一面を形成している請求項1に記載のボビンレスコイル。
  3. 所定の間隔をおいて配置された、同一の巻線から形成されている、それぞれが筒の形状を有する一対のコイル部材と、
    前記一対のコイル部材の前記間隔に配置された、絶縁性材料から成る筒の形状のブッシュ部材とを備え、
    前記一対のコイル部材の前記筒の内周面と、前記ブッシュ部材の前記筒の内周面とは同一面を形成しているボビンレスコイル。
  4. 前記ブッシュ部材は、その筒の形状の少なくとも一端の周に対応する部分に断続的に設けられた複数の窪み部を有し、該窪み部は、少なくとも前記筒の端面から前記筒の外周面の一部にかけて形成されている請求項2または3に記載のボビンレスコイル。
  5. 前記ブッシュ部材は、少なくともその端面上であって、前記筒の形状の少なくとも一端の周に対応する部分に断続的に設けられた突起部を有する請求項2または3に記載のボビンレスコイル。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のボビンレスコイルと、
    前記ボビンレスコイルの内周に配置され、所定の間隙を有する中央磁脚を少なくとも含むコア部材とを備え、
    前記中央磁脚の間隙は、前記凹部または前記ブッシュ部材の位置に対応して配置されているコイル組品。
  7. 実質筒の形状の一対のボビンレスコイルと、
    前記一対のボビンレスコイルの内周に配置され、所定の間隙を有する中央磁脚を少なくとも含むコア部材と、
    前記一対のボビンレスコイルに挟まれるようにして前記中央磁脚に嵌り込んだ、前記一対のボビンレスコイルの外径以下の外径の寸法の筒の形状を有するブッシュ部材とを備え、
    前記ブッシュ部材の配置は、前記中央磁脚の間隙に対応しているコイル組品。
  8. 前記ブッシュ部材は、その前記筒の少なくとも一端の周に対応する部分に断続的に設けられた複数の窪み部を有し、前記窪み部は、少なくとも前記筒の端面から前記筒の外周面の一部にかけて形成されている請求項7に記載のコイル組品。
  9. 前記ブッシュ部材は、少なくともその端面上であって、前記筒の少なくとも一端の周に対応する部分に断続的に設けられた突起部を有する請求項7に記載のコイル組品。
  10. 請求項から3のいずれかに記載のボビンレスコイルの製造用具であって、
    前記の前記内周に対応する径を有し、その長さ方向に形成されたスリットと、端面に形成された、前記スリットと連通する開口部とが設けられ、前記凹部に対応する筒の形状のブッシュ部材を装着可能な巻き軸部材と、
    前記開口部に嵌合可能な嵌合部材とを備え、
    前記巻き軸部材は、前記嵌合部材の嵌合によりその径が大きくなることにより、装着された前記ブッシュ部材を固定する、ボビンレスコイルの製造用具。
  11. 請求項10に記載のボビンレスコイルの製造用具を用いた、請求項1または2に記載のボビンレスコイルの製造方法であって、
    前記巻き軸部材に前記ブッシュ部材を挿入し、所定の位置に仮決めする工程と、
    前記ブッシュ部材が挿入された前記巻き軸部材の前記開口部に前記嵌合部材を嵌合し、前記巻き軸部材の径を大きくして前記ブッシュ部材の位置を固定する工程と、
    前記巻き軸部材に巻線を巻いて、前記ブッシュ部材を覆う、または挟むように前記ボビンレスコイルを形成する工程とを備えた、ボビンレスコイルの製造方法。
  12. 前記ブッシュ部材は樹脂製であって、
    形成した前記ボビンレスコイル内の前記ブッシュ部材を有機溶剤により溶解して取り除くことにより、請求項1に記載のボビンレスコイルを完成する、請求項11に記載のボビンレスコイルの製造方法。
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