JP3820144B2 - 信号評価装置および信号評価方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式の再生信号の品質を評価する信号評価装置および信号評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、信号評価装置としては、光ディスクの再生信号品質の評価値としてジッタが用いられることが多かったが、近年、より高密度記録を実現するためのデータ検出方式としてPRML方式が採用されつつあり、このような状況においては、時間軸方向のばらつきを示すジッタは評価値として適当ではない。また、PRMLによるデータ検出結果のビットエラーレートを評価値として用いることも行われているが、必要な測定サンプルビット数が多い点や、ディスクのキズなどに起因するディフェクトの影響を受けやすい点などの短所が多い。
【0003】
このような背景において、SAM(Sequenced Amplitude Margin)と呼ばれる再生信号品質の評価方法が提案されている(T.Perkins, "A Window Margin Like Procedure for Evaluating PRML Channel Performance";IEEE Transactions on Magnetics, Vol.31, No2, 1995, p1109-1114)。
【0004】
図8〜図10を用いてSAMの概念を説明する。ここでは(1,7)RLL(Run Length Limited)符号で記録されたビット列の再生信号をPR(1,2,1)特性に基づいてPRML検出する場合について説明する。
【0005】
上記PR(1,2,1)特性に従う歪みおよびノイズのない理想的な1Tマークの再生信号波形は、図8で示すようにチャネルクロック毎のサンプルレベル比が1:2:1になる。また、2T以上のマークの再生信号波形については、この1Tマークの再生信号波形の重ね合わせによって求められ、例えば2Tマークなら1:3:3:1に、3Tマークなら1:3:4:3:1に、4Tマークなら1:3:4:4:3:1になる。こうして任意のビット列について理想的な再生信号波形が想定され、理想的なサンプルレベルとしては、0、1、2、3、4の5レベルをとることになる。ここで、便宜上、最大振幅が±1になるようにサンプルレベルを正規化する。このとき、理想的なサンプルレベルは、−1、−0.5、0、+0.5、+1の5レベルとなる。
【0006】
上記信号評価装置では、PRML復号を具体的に実現する手法としてビタビ復号を用いる。このビタビ復号において、図9に示すトレリス線図を考える。図9においてS(00)、S(01)、S(10)、S(11)は状態を表し、例えば状態S(00)は前ビットが0で現在ビットが0であったことを示している。また、状態と状態を結ぶ線は「ブランチ」と呼ばれ、状態遷移を表している。例えば、S(00)→S(01)のブランチによって「001」なるビット列を表すことができる。図9では各ブランチの識別子としてa〜fの各文字をあてており、その横に、各状態遷移において期待される理想波形レベルを附している。例えば、aは「000」なるビット列を表すので−1、bは「100」なるビット列を表すので−0.5が理想レベルである。ここで、S(01)→S(10)およびS(10)→S(01)なるブランチが存在しないのは、(1,7)RLL符号ではd=1のランレングス制限により「010」,「101」なるビット列があり得ないことを反映している。
【0007】
上記トレリス線図において、任意の状態から任意の状態を経て生成される全てのブランチの組み合わせ(これを「パス」と呼ぶ)を考えることは、全てのあり得るビット列を考えることに相当する。よって、全てのパスについて期待される理想波形と、実際に光記録媒体から再生した再生波形を比べて、波形が最も近い、すなわちユークリッド距離が最も小さい理想波形を持つパスを探索すれば、最も確からしい最尤パスを正解パスとして決定することができる。
【0008】
次に、トレリス線図を用いたビタビ復号の手順を具体的に説明する。任意の時刻において、状態S(00)とS(11)には2本のパスが合流し、S(01)とS(10)には1本のパスが合流する。2本のパスが合流する状態S(00)とS(11)について、各パスの理想波形と再生信号波形とのユークリッド距離が小さい方を生き残りパスとして残すことにすれば、任意の時刻において、4つの各状態に至るパスが各1本ずつ、計4本のパスが残ることになる。パスの理想波形と再生信号波形とのユークリッド距離の二乗は「パスメトリック」と呼ばれ、ブランチの理想波形のサンプルレベルと再生波形のサンプルレベルとの差の二乗として求められるブランチメトリックを、パスを構成する全ブランチについて累積することによってパスメトリックを計算する。
【0009】
ここで時刻tにおける再生信号波形のサンプルレベルをX[t]とし、ブランチa、b、c、d、e、fの時刻tにおけるブランチメトリックそれぞれを、
Ba[t]、Bb[t]、Bc[t]、Bd[t]、Be[t]、Bf[t]
とし、時刻tにおける各状態S(00),S(01),S(10),S(11)への生き残りパスのパスメトリックそれぞれを、
M(00)[t]、M(01)[t]、M(10)[t]、M(11)[t]
とすると、ブランチメトリックは次の〔式2〕に従って計算され、パスメトリックは次の(式2)に従って計算される。M(00)[t]とM(11)[t]におけるパスメトリックが小さい方を選ぶ処理は、生き残りパスの決定に対応している。
【0010】
ブランチメトリックを求める〔式1〕
Ba[t]=(X[t]+1)2
Bb[t]=Bc[t]=(X[t]+0.5)2
Bd[t]=Be[t]=(X[t]−0.5)2
Bf[t]=(X[t]−1)2
生き残りのパスメトリックを求める〔式2〕
M(00)[t]=Min{M(00)[t-1]+Ba[t],M(10)[t-1]+Bb[t]}
M(01)[t]=M(00)[t-1]+Bc[t]
M(10)[t]=M(11)[t-1]+Bd[t]
M(11)[t]=Min{M(01)[t-1]+Be[t],M(11)[t-1]+Bf[t]}
( Min{m,n}= m(if m≦n): n(if m>n) )
【0011】
こうして再生信号波形のサンプル値が入力される毎に生き残りパスを決定する手順を繰り返していくと、パスメトリックが大きいパスが淘汰されていくため、次第にパスは1本に収束していく。これを正解パスとすることにより、元のデータビット列が正しく再生されることになる。
【0012】
ここで、ビタビ復号が正しく行われる条件を考えると、最終的に1本に収束していくパスが正解パスとなるためには、各時刻において生き残りパスを決定する過程で、正解パスのパスメトリックが、間違いパスであるもう一方のパスのパスメトリックよりも小さくなければならない。この条件は、次の〔式3〕のように表される。
【0013】
パスメトリック差を求める〔式3〕
正解ビット列が「・・・000」の場合、
ΔM=(M(01)[t-1]+Bb[t])− (M(00)[t-1]+Ba[t]) >0
正解ビット列が「・・・100」の場合、
ΔM=(M(00)[t-1]+Ba[t])− (M(01)[t-1]+Bb[t]) >0
正解ビット列が「・・・011」の場合、
ΔM=(M(11)[t-1]+Bf[t])− (M(01)[t-1]+Be[t]) >0
正解ビット列が「・・・111」の場合、
ΔM=(M(01)[t-1]+Be[t])− (M(11)[t-1]+Bf[t]) >0
正解ビット列が「・・・001」または「・・・110」の場合、
ΔM >0
(生き残りパスの決定は必ず正しく行われるため、常にΔM>0が成り立つ)
【0014】
上記〔式3〕において、ΔMは、生き残りを賭けて対決する2本のパスのパスメトリック差であり、このパスメトリック差を「SAM値」と呼ぶ。エラーが発生しないためには、
SAM値>0
である必要があり、またSAM値が大きい程エラーを起こしにくいことを意味している。
【0015】
さて、上記SAM値を用いてシステムの信頼性を評価するためには、各時刻毎に計算されるSAM値全体の分布状態をマクロ的に評価する必要がある。図10(a)は、実際に光磁気ディスクに記録した(1,7)RLL符号パターンの再生信号から求めたSAM値の度数分布を示すグラフである。この結果から分かるように、SAM値の度数分布は2つの山をもっている。これは、全再生信号に対してSAM値を求める場合、ビットパターンによって正解パスと間違いパスとのユークリッド距離が異なることに起因する。このため、図10(b)に示すように、(1,7)RLL符号列から求めたノイズの全くない理想的な再生信号におけるSAM値の度数分布は、
1.5、2.5、3.5、4.5、5、6、7、8、9
と離散的な複数の理想値をとる。このように理想値の度数が異なるのは、各理想値となるビットパターンの種類の数が異なるのに加え、(1,7)RLL符号列において各ビットパターンの出現頻度が異なっているためである。実際の再生信号には様々なノイズがのっているため、これらの理想値がばらつきを持ち、結果として図10(a)のように複数の分布が重なり合った分布形状となっている。SAM値の度数分布にはこのような特徴があり、正規分布とは大きく異なる分布であるため、単純にこの分布から標準偏差を求めてもビットエラーレートとの相関性は小さい。
【0016】
そこで、先に本出願人は、SAM値の度数分布について異なる2種類のしきい値により相対度数を求め、それらからビットエラーレートを計算して再生装置の信頼性を検査する手法を提案している。なお、この再生装置の信頼性を検査する手法は、この発明を理解しやすくするために説明するものであって、公知技術ではなく、従来技術ではない。
【0017】
以下、この再生装置の信頼性を検査する手法を説明する。図10を用いて説明したように、SAM値の度数分布は、複数のSAM理想値がノイズによりばらつきを持つため、複数の分布が重なり合った分布形状となっているが、ノイズがホワイトノイズに近ければ個々の分布は正規分布に近似できるので、SAM理想値の最小値である1.5より小さい部分については、1.5に近い値を最頻値μとして持つ正規分布にほぼ近似できると考えられる。このとき、近似された正規分布のばらつきを表す標準偏差σとビットエラーレートBERは1対1に対応し、この関係は、次の〔式4〕により表される。図11は、実際の光ディスク再生装置におけるSAM値の度数分布の実測結果(実線)と、そのビットエラーレートに対応する標準偏差σの正規分布(点線)を重ね合わせたグラフである。
【数1】
Figure 0003820144
【0018】
上記〔式4〕の右辺の後半部分は、統計学において正規分布の確率密度関数の積分として求められる分布関数として知られており、最頻値μと標準偏差σで決まる正規分布について、0以下の部分の相対度数を表している。一方、原理的にSAM値<0となったときにエラービットが発生することから、ビットエラーレートBERは、SAM値の度数分布の総度数に対する0以下の部分の割合に等しいと考えられる。したがって、上記正規分布の0以下の相対度数に母数変換の係数Kを掛けた値はビットエラーレートに一致する。具体的には、SAM値の度数分布の総度数をN、この全測定ビット系列においてSAM理想値が最小、すなわち1.5となるパターン(このパターンのSAM値のみで生成した分布が約1.5を最頻値とする正規分布に近似される)の個数をnとしたとき、係数Kは、
K=n/N
により求められる。
【0019】
まず、SAM値の度数分布について、所定のしきい値SL1,SL2より小さい部分の相対度数R1’,R2’を実測する。そうすると、次の〔式5〕と〔式6〕の関係が成り立つため、この連立方程式を解けば、標準偏差σと最頻値μを計算により求めることができる。
【数2】
Figure 0003820144
【数3】
Figure 0003820144
【0020】
次に、求まった標準偏差σと最頻値μを〔式4〕に代入すれば、ビットエラーレートBERを計算することができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記信号評価装置では、2つの異なるしきい値により求めたSAM値の度数分布の相対度数からエラーレートを計算するとき、〔式5〕と〔式6〕で表される非常に複雑な方程式を解いたうえに、さらに〔式4〕を計算しなければならず、これをマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)などを用いてソフトウェアにより計算するには極めて長い時間がかかってしまうという問題がある。
【0022】
そこで、この発明の目的は、簡単な回路構成でかつ短時間で信頼性の高い再生信号の品質評価ができる信号評価装置および信号評価方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の信号評価装置は、記録媒体を再生する再生手段と、上記再生手段により上記記録媒体から再生された再生信号のPRML復号過程においてトレリス線図の正解状態に入力される2本のパスのパスメトリック差を求めるパスメトリック差検出手段と、上記パスメトリック差の度数分布を第1のしきい値で区切った片側部分の相対度数である第1相対度数を求める第1相対度数検出手段と、上記パスメトリック差の度数分布を第2のしきい値で区切った片側部分の相対度数である第2相対度数を求める第2相対度数検出手段と、予め作成されたルックアップテーブルを参照することによって、上記第1相対度数検出手段により求められた第1相対度数および上記第2相対度数検出手段により求められた第2相対度数に基づいて再生信号の品質を評価する信号評価手段とを備えたことを特徴としている。
【0024】
上記構成の信号評価装置によれば、上記記録媒体からの再生信号のPRML復号過程においてトレリス線図の正解状態に入力される2本のパスのパスメトリック差の度数分布について、第1,第2のしきい値より例えば小さい部分の第1,第2相対度数に基づいて、上記パスメトリック差の度数分布の標準偏差と最頻値を求めることが可能である。このようにして求めたパスメトリック差の度数分布の標準偏差と最頻値を用いて、再生信号の品質を表す信号品質評価値(ビットエラーレート)が第1,第2相対度数の組み合わせ毎に得られ、その信号品質評価値を第1,第2相対度数の組み合わせ毎に登録したルックアップテーブルを予め作成する。そして、実際に再生信号の品質を評価するとき、上記パスメトリック差検出手段により求められたパスメトリック差の度数分布を第1のしきい値で区切った片側部分の相対度数である第1相対度数を上記第1相対度数検出手段により求めると共に、上記パスメトリック差の度数分布を第2のしきい値で区切った片側部分の相対度数である第2相対度数を第2相対度数検出手段により求める。そうして、上記第1相対度数検出手段により求められた第1相対度数および上記第2相対度数検出手段により求められた第2相対度数に基づいて、上記信号評価手段によって上記ルックアップテーブルを参照することにより再生信号の品質を評価する。したがって、パスメトリック差の度数分布の2つの相対度数に対応する再生信号品質を予め計算してルックアップテーブルとして作成することによって、装置のマイコンによって複雑な統計演算を実行する必要がなくなり、極めて短時間で簡単に信号品質を評価することができる。
【0025】
また、一実施形態の信号評価装置は、上記ルックアップテーブルは、上記第1相対度数を行見出しまたは列の見出しとし、上記第2相対度数を列見出しまたは行見出しとして、上記行見出しと上記列見出しに対応する信号品質評価値が登録された行列型テーブルであることを特徴としている。
【0026】
上記実施形態の信号評価装置によれば、例えば上記第1相対度数を行見出しとし、上記第2相対度数を列見出しとした場合、上記第1相対度数検出手段により求められた第1相対度数に最も近い値の行見出しと、上記第2相対度数検出手段により求められた第2相対度数に最も近い列見出しを探して、それらに対応する信号品質評価値を上記ルックアップテーブルから読み出すことによって、複雑な計算を行うことなく信号品質評価値を求めることができる。
【0027】
また、一実施形態の信号評価装置は、上記ルックアップテーブルが、上記第1相対度数毎に有効な範囲の上記第2相対度数が登録された配列型テーブルと、上記第1相対度数毎に有効な範囲の上記第2相対度数に対応する信号品質評価値が登録された配列型テーブルとの集合であることを特徴としている。
【0028】
上記実施形態の信号評価装置によれば、メモリ容量を大幅に節約することができると共に、同じ容量のメモリを用いる場合には、第1相対度数,第2相対度数の刻み幅をより小さくすることができるので、丸め誤差のさらに小さな信号品質評価値を得ることができる。
【0029】
また、一実施形態の信号評価装置は、上記ルックアップテーブルの上記第1相対度数または上記第2相対度数の少なくとも一方を指数関数的に変化させることを特徴としている。
【0030】
上記実施形態の信号評価装置によれば、上記ルックアップテーブルの第1相対度数または第2相対度数の少なくとも一方の刻み幅を指数関数的に変化させることによって、上記ルックアップテーブルに登録される信号品質評価値の変化率をほぼ均等にすることができるため、信号品質評価値の丸め誤差を小さくすることができる。
【0031】
また、一実施形態の信号評価装置は、上記ルックアップテーブルは、所定の母数に対するエラー個数を信号品質評価値としており、上記エラー個数の範囲が1バイト整数の範囲に収まるように所定の母数が決められていることを特徴としている。
【0032】
上記実施形態の信号評価装置によれば、1バイト整数の範囲に収まるような所定の母数に対するエラー個数を信号品質評価値として上記ルックアップテーブルを作成することによって、メモリ容量を小さく抑えることができる。
【0033】
また、一実施形態の信号評価装置は、上記ルックアップテーブルは、上記信号品質評価値の想定範囲と上記パスメトリック差の度数分布の最頻値の想定範囲とから求められた上記第1相対度数および上記第2相対度数の変動範囲に対応して作成されていることを特徴としている。
【0034】
上記実施形態の信号評価装置によれば、上記信号品質評価値の想定範囲とパスメトリック差の度数分布の最頻値の想定範囲とから2つの第1,第2相対度数の変動範囲を限定してルックアップテーブルを作成することによって、実装するメモリ容量を必要最小限とすることができる。
【0035】
また、一実施形態の信号評価装置は、上記ルックアップテーブルは、上記信号品質評価値の変化率がほぼ均等となるように上記第1相対度数または上記第2相対度数の少なくとも一方の見出しが設定されていることを特徴としている。
【0036】
上記実施形態の信号評価装置によれば、上記第1相対度数または第2相対度数の少なくとも一方の見出しを上記信号品質評価値の変化率がほぼ均等となるように設定することによって、信号品質評価値の丸め誤差を小さくすることができる。
【0037】
また、この発明の信号評価方法は、情報を記録した媒体から再生される再生信号に基づいて、その信号をPRML復号過程においてトレリす線図の正解状態に入力する2本のパスのパスメトリック差を求めるステップと、上記パスメトリック差が第1のしきい値よりも小さいときまたは大きいときに第1の累積値をカウントするステップと、上記パスメトリック差を第2のしきい値よりも小さいときまたは大きいときに第2の累積値をカウントするステップと、上記第1,第2の累積値に基づいて、上記第1,第2の累積値に関連付けて信号品質評価値を登録することにより予め作成されたルックアップテーブルを参照して上記再生信号の信号品質評価値を読み出すステップとを有することを特徴とする信号評価方法。特徴としている。
【0038】
上記信号評価方法によれば、情報を記録した媒体から再生される再生信号に基づいて、その信号をPRML復号過程においてトレリス線図の正解状態に入力する2本のパスのパスメトリック差を求め、そのパスメトリック差が第1のしきい値よりも小さいときに第1の累積値(パスメトリック差の度数分布を第1のしきい値で区切った片側部分の相対度数に相当)をカウントすると共に、そのパスメトリック差を第2のしきい値よりも小さいときに第2の累積値(パスメトリック差の度数分布を第2のしきい値で区切った片側部分の相対度数に相当)をカウントして、それぞれカウントされた第1,第2の累積値に基づいて、第1,第2の累積値に関連付けられて予め作成されたルックアップテーブルを参照して上記再生信号の評価値を読み出す。そうすることによって、複雑な統計演算を実行する必要がなくなり、極めて短時間で簡単に信号品質を評価することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の信号評価装置および信号評価方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0040】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態の信号評価装置および信号評価方法を用いた光磁気ディスク再生装置の構成図である。
【0041】
この光磁気ディスク再生装置は、図1に示すように、記録媒体としての光磁気ディスク1と、再生手段としての光学ピックアップ2と、パスメトリック差検出手段としてのSAM値計算回路3と、しきい値レジスタ4,7と、コンパレータ5,8と、カウンタ6,9と、ルックアップテーブル10と、コントローラ11とを備えている。上記しきい値レジスタ4とコンパレータ5とカウンタ6で第1相対度数検出手段を構成すると共に、しきい値レジスタ7とコンパレータ8とカウンタ9で第2相対度数検出手段を構成している。また、上記ルックアップテーブル10とコントローラ11で信号評価手段を構成している。
【0042】
次に、上記構成の光磁気ディスク再生装置における再生動作について説明する。
【0043】
まず、光学ピックアップ2から光磁気ディスク1上に光ビームが照射されると、その反射光が光学ピックアップ2に入力され、電気信号に変換されて再生信号が出力される。この再生信号は、SAM値計算回路3に入力され、SAM値計算回路3ではパスメトリック差の計算が行われる。すなわち、上記〔式2〕,(式2)および〔式3〕を用いて、パスメトリック差を求める。
【0044】
上記SAM値計算回路3から出力されたパスメトリック差すなわちSAM値ΔMは、しきい値レジスタ4に記憶された所定しきい値SL1とコンパレータ5により比較される。上記コンパレータ5は、ΔM<SL1とき、すなわちSAM値がしきい値SL1より小さいときにパルスを1つ出力する。このパルスはカウンタ6に入力されるので、カウンタ6の出力R1はしきい値SL1より小さいSAM値の個数(第1相対度数)を表している。SAM値を計算する総ビット数を固定とすれば、このSAM値の個数R1は、SAM値の度数分布の相対度数(全度数に占める割合)R1’と同等であると言える。
【0045】
一方、SAM値ΔMは、しきい値レジスタ7に記憶された所定しきい値SL2(ただし、SL2<SL1とする)ともコンパレータ8により比較されるので、同様にカウンタ9はSAM値の度数分布のしきい値SL2より小さい部分の相対度数R2’と同等なSAM値の個数R2(第2相対度数)を出力している。こうして求められたSAM値の個数R1とR2に基づき、コントローラ11によりルックアップテーブル10を参照することによって、再生信号の品質を評価することができる。
【0046】
また、図2は半導体メモリによって構成されるルックアップテーブル10の内容を例示する模式図である。以下、図2を用いて、コントローラ11がルックアップテーブル10を参照して再生信号の品質を評価する手順についてさらに詳細に説明する。
【0047】
上記ルックアップテーブル10(図1に示す)は、図2に示すように、14行14列の行列型のテーブルであり、行見出しがSAM値の個数R1、列見出しがSAM値の個数R2となっている。ただし、総ビット数は50000ビットであり、見出しの数値としては、
R1=50000×R1’
R2=50000×R2’
ということになる。また、しきい値SL1,SL2は、
SL1=0.6
SL2=0.4
である。各(R1,R2)の組み合わせに対する登録値としては、SAM値の個数R1とR2から〔式4〕〜〔式6〕を用いて予め計算しておいたビットエラーレートBERを記憶しておく。なお、図2では、ビットエラーレートBERの表示形式「E−n」(n=1,2,3,…)は、「×10-n」のことである(図3,図4,図6も同様)。
【0048】
上記コントローラ11は、SAM値の個数R1とR2が入力されると、SAM値の個数R1に最も近い値の行見出しと、SAM値の個数R2に最も近い列見出しを探して、それらに対応する登録されたビットエラーレートBERを読み出すことによって、複雑な計算を行うことなくビットエラーレートBERを求めることができる。例えば、SAM値の個数R1として500、SAM値の個数R2として200が入力された場合、(504,206)に対応する登録値である1.7×10-4(図2では「1.7E−4」)がビットエラーレートBERとして簡単に求められる。
【0049】
次に、具体的にルックアップテーブル10を作成する方法について説明する。まず、信号評価値の想定範囲とSAM値の度数分布の最頻値μの想定範囲を決める。例えば、再生用のレーザパワーの最適値を求める所謂テストリードに適用する場合、その基準ビットエラーレートBERとして5×10-4を想定するならば、信号評価値としては1×10-4〜1×10-3程度の範囲が正確に計算できればよいと考えられる。また、再生信号のノイズがホワイトノイズであれば最頻値は1.5となるので、有色ノイズによる変動を±0.2と想定すれば、最頻値μは1.3〜1.7の範囲となる。原理的に、ビットエラーレートBERが大きくなるほどSAM値の個数R1,R2は大きくなり、最頻値μが大きくなるほどSAM値の個数R1,R2は小さくなるので、SAM値の個数R1,R2の最小値は、上記〔式5〕と〔式6〕に、
BER=1×10-4、μ=1.7
を代入すれば計算でき、SAM値の個数R1は233、SAM値の個数R2は75となる。同様に、SAM値の個数R1,R2の最大値は、上記〔式5〕と〔式6〕に、
BER=1×10-3、μ=1.3
代入して計算でき、SAM値の個数R1が1241、R2が501となる。これらから、ルックアップテーブル10は、
R1:233〜1241
R2:75〜501
の範囲について作成すればよいことになる。テーブルサイズが14×14であれば、これらをそれぞれ14ステップに等分割した値について上記〔式4〕〜〔式6〕からビットエラーレートBERを予め計算して、その値を登録値としてメモリに記憶すればよい。
【0050】
このように信号評価値と最頻値の想定範囲を決めた後、それに対応する相対度数の変化範囲に限定してルックアップテーブルを作成することによって、必要最小限のメモリ容量で実装することができる。
【0051】
なお、ここでテーブルサイズを14×14としたのは説明の便宜のためであるが、テーブルサイズを大きくすればするほど、SAM値の個数R1とR2の刻み幅を小さくできるので、より正確にビットエラーレートBERを求めることができる。実際には、システム設計上許容できるメモリ容量に応じて、もっと大きなテーブルを用意すればよい。
【0052】
また、ルックアップテーブルの一部に登録が空白になっている部分があるが、これはR1≦R2という、あり得ない組み合わせの場合に相当している。
【0053】
以上のように、上記光磁気ディスク再生装置においては、従来のように〔式4〕〜〔式6〕を用いて複雑な計算を行う構成を必要としないため、簡単かつ短時間で再生信号品質を評価することが可能となる。
【0054】
なお、上記第1実施形態では、ルックアップテーブル10の行見出しと列見出しの刻み幅をSAM値の個数R1とR2の想定範囲を等分割したが、この場合に次のような課題がある。図3は、図2のルックアップテーブル10のうち、必要なビットエラーレートBERの評価範囲である1×10-4〜1×10-3の部分だけを抜き出したものである。この図3から分かるように、SAM値の個数R1,R2が大きい部分では、隣り合うビットエラーレートBERの変化率は小さいが、SAM値の個数R1,R2が小さい部分では、隣り合うビットエラーレートBERの変化率が大き過ぎるために、丸め誤差が極めて大きくなってしまう危険性がある。
【0055】
このような課題を解決するために、SAM値の個数R1,R2が小さいほど刻み幅が小さくなるように、かつ、SAM値の個数R1,R2が大きいほど刻み幅が大きくなるように、SAM値の個数R1とR2の刻み幅を指数関数的に変化させればよい。例えば、図4はi(i=1〜14)に対してSAM値の個数R1,R2の想定範囲をそれぞれ次の〔式7〕と〔式8〕に従って14個に分割して作成したルックアップテーブルの内容を示す模式図であり、ビットエラーレートBERの変化幅がほぼ均等になっていることが分かる。これにより、ビットエラーレートBERの丸め誤差を小さくすることができる。
R1[i] = 203×exp(i/7.7) ……… 〔式7〕
R2[i] = 64×exp(i/6.8) ……… 〔式8〕
【0056】
なお、上記第1実施形態では、ルックアップテーブル10の登録値をビットエラーレートBERそのものとしたが、ルックアップテーブル10の実装形態が半導体メモリであることを考えると、テーブルサイズおよびデータ操作性の観点から、登録値は1バイトで表現できる整数とすることが望ましい。したがって、想定ビットエラーレートBER範囲に所定の母数をかけた数値の範囲が0〜255に収まるように所定の母数を決めればよい。例えば、上記光磁気ディスク再生装置では、想定ビットエラーレートBER範囲が1×10-4〜1×10-3なので、所定の母数を250000とすれば登録値の範囲は25〜250となり、1バイトに収めることができる。図5はこの場合のルックアップテーブル10の内容の模式図を示している。
【0057】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態の信号評価装置および信号評価方法を用いた光磁気ディスク再生装置について、図4,図6および図7を用いて説明する。なお、この第2実施形態の光磁気ディスク再生装置は、ルックアップテーブル10の内容以外は第1実施形態の図1に示す光磁気ディスク再生装置と同一の構成をしており、説明を省略し、図1を援用する。
【0058】
図4は既に説明したように、SAM値の個数R1,R2を指数関数的に変化させて作成したルックアップテーブル10(図1に示す)の内容を示すが、有効な想定ビットエラーレートBER範囲は平行四辺形状であるため、14×14=196のテーブルサイズに対して、実際に有効なデータ量はもっと少ない。これは、ルックアップテーブル10を、SAM値の個数R1とR2を見出しとする行列型のテーブルで実現しているためである。
【0059】
そこで、図6に示すように、ルックアップテーブル10を2つの配列型テーブルの集合によって構成する。図6(a)は、各SAM値の個数R1に対して、有効なビットエラーレートBER範囲に対応するSAM値の個数R2を登録値とする配列型テーブルの集合である。例えば、R1=300に対して有効なビットエラーレートBER範囲である1×10-4〜1×10-3に対応するSAM値の個数R2の範囲は、図4から99、115、134、155の4つであるので、これを順に並べた配列をR1=300に対する配列として作成する。このようにして、想定する14種類のSAM値の個数R1に対して同様に配列を作成してできたものがテーブルAである。
【0060】
また、図6(b)は、各SAM値の個数R1に対して、テーブルAの配列に登録されたSAM値の個数R2とから求められるビットエラーレートBERを登録値とする配列型テーブルの集合である。例えば、R1=300に対して、テーブルAのR1=300の配列に登録された99、115、134、155のそれぞれから求められるビットエラーレートBERは、
1.4×10-4、 2.4×10-4、 4.1×10-4、 6.9×10-4
の4つであるので、これを順に並べた配列をR1=300に対する配列として作成する。このようにして、想定する14種類のSAM値の個数R1に対して同様に配列を作成してできたものがテーブルBである。
【0061】
こうして作成されたルックアップテーブル10を参照して、SAM値の個数R1とR2からビットエラーレートBERを求める手順を、図6,図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0062】
まず、ステップS1にて、SAM値の相対度数からしきい値SL1以下の相対度数(相対度数に総ビット数をかけた値)R1としきい値SL2以下の相対度数(相対度数に総ビット数をかけた値)R2を求める。例えば、R1=500、R2=200であったとする。
次に、ステップS2に進み、求められたSAM値の個数R1に最も近い見出しをテーブルAから探して、対応する配列である7行目の配列(見出しは504)を選び出す。
続いて、ステップS3に進み、選んだ配列の登録値からSAM値の個数R2に最も近い値、すなわち208(配列内位置3番目)を探し出す。
さらに、ステップS4に進み、SAM値の個数R1に最も近い見出しを今度はテーブルBから探して、対応する配列である7行目の配列(見出しは504)を選び出す。
最後に、ステップS5に進み、その配列について、ステップS3で求めたSAM値の個数R2に最も近い値の配列内位置である3番目の登録値を読み出すことによって、対応するビットエラーレートBER=5.0×10-4を(図6(b)では「5.0E−4」)得ることができる。
【0063】
このルックアップテーブル10のサイズは、テーブルAが14×5=70であり、テーブルBも14×5=70であるので、合わせて140のメモリ容量となり、SAM値の個数R1とR2を見出しとする行列型テーブルとした場合のメモリ容量196よりも大幅に小さくできることが分かる。また、同じ容量のメモリを用いる場合には、SAM値の個数R1,R2の刻み幅をより小さくすることができるので、丸め誤差のさらに小さなビットエラーレートBERの計算が実現できる。
【0064】
なお、上記第1,第2実施形態では、信号評価装置および信号評価方法を用いた光磁気ディスク再生装置について説明したが、これに限られるものではなく、PRML方式の信号再生を行う装置において等しくその効果を発揮すべきものである。すなわち、相変化方式の光ディスク装置、磁気記録装置、通信データ受信装置など、全てこの発明が適用可能である。
【0065】
また、上記第1,第2実施形態では、パスメトリック差であるSAM値の度数分布について、第1,第2のしきい値SL1,SL2より小さい部分の相対度数R1’,R2’を実測して、〔式5〕,〔式6〕の連立方程式を解いて、標準偏差σと最頻値μを計算により求めたが、パスメトリック差の度数分布を第1のしきい値よりも大きな相対度数と、上記パスメトリック差の度数分布を第2のしきい値よりも大きな相対度数に基づいて、標準偏差σと最頻値μを求めてもよい。また、パスメトリック差の度数分布を第1のしきい値,第2のしきい値の一方よりも小さい相対度数および他方よりも大きい相対度数に基づいて、標準偏差σと最頻値μを求めてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の信号評価装置および信号評価方法によれば、測定されたパスメトリック差(SAM値)の度数分布の2つの相対度数に対応する信号品質評価値を予め計算してルックアップテーブルとして作成することによって、装置のマイコンによって複雑な統計演算を実行する必要がなくなり、極めて短時間で簡単に信号品質を評価することができる。
【0067】
また、信号品質評価値の想定範囲とパスメトリック差(SAM値)の度数分布の最頻値の想定範囲とから2つの相対度数の変動範囲を限定してルックアップテーブルを作成することによって、実装するメモリ容量を必要最小限とすることができる。
【0068】
さらに、ルックアップテーブルを作成する相対度数の刻み幅を指数関数的に変化させることによって、テーブルに登録される信号品質評価値(ビットエラーレートBER)の変化率をほぼ均等にすることができるため、信号品質評価値の丸め誤差を小さくすることができる。
【0069】
さらに、1バイト整数の範囲に収まるような所定の母数に対するエラー個数を信号品質評価値としてルックアップテーブルを作成することによって、メモリ容量を小さく抑えることができる。
【0070】
さらに、第1相対度数毎に有効な範囲の第2相対度数が登録された配列型テーブルと、第1相対度数毎に有効な範囲の第2相対度数に対応する信号品質評価値が登録された配列型テーブルとの集合であるルックアップテーブルを構成することによって、メモリ容量を大幅に節約することができると共に、同じ容量のメモリを用いる場合には、第1相対度数,第2相対度数の刻み幅をより小さくすることができるので、丸め誤差のさらに小さな信号品質評価値の計算が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の第1実施形態の信号評価装置および信号評価方法を用いた光磁気ディスク再生装置の構成図である。
【図2】 図2は上記再生装置のルックアップテーブルの内容を示す模式図である。
【図3】 図3は有効データのみを登録するルックアップテーブルの内容を示す模式図である。
【図4】 図4は見出しを指数関数的に変化させたルックアップテーブルの内容を示す模式図である。
【図5】 図5は登録値を1ビットの整数としたルックアップテーブルの内容を示す模式図である。
【図6】 図6はこの発明の第2実施形態の信号評価装置および信号評価方法を用いた光磁気ディスク再生装置のルックアップテーブルの内容を示す模式図である。
【図7】 図7は上記光磁気ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】 図8はPR(1,2,1)特性に従う再生信号波形の模式図である。
【図9】 図9はビタビ復号におけるトレリス線図を示す模式図である。
【図10】 図10は実測波形と理想波形でのSAM値の度数分布を示すグラフである。
【図11】 図11はSAM値の度数分布の実測結果とそのビットエラーレートに対応する正規分布を重ね合わせたグラフである。
【符号の説明】
1…光磁気ディスク、
2…光学ピックアップ、
3…SAM値計算回路、
4,7…しきい値レジスタ、
5,8…コンパレータ、
6,9…カウンタ、
10…ルックアップテーブル、
11…コントローラ。

Claims (8)

  1. 記録媒体を再生する再生手段と、
    上記再生手段により上記記録媒体から再生された再生信号のPRML復号過程においてトレリス線図の正解状態に入力される2本のパスのパスメトリック差を求めるパスメトリック差検出手段と、
    上記パスメトリック差の度数分布を第1のしきい値で区切った片側部分の相対度数である第1相対度数を求める第1相対度数検出手段と、
    上記パスメトリック差の度数分布を第2のしきい値で区切った片側部分の相対度数である第2相対度数を求める第2相対度数検出手段と、
    予め作成されたルックアップテーブルを参照することによって、上記第1相対度数検出手段により求められた第1相対度数および上記第2相対度数検出手段により求められた第2相対度数に基づいて再生信号の品質を評価する信号評価手段とを備えたことを特徴とする信号評価装置。
  2. 請求項1に記載の信号評価装置において、
    上記ルックアップテーブルは、上記第1相対度数を行見出しまたは列の見出しとし、上記第2相対度数を列見出しまたは行見出しとして、上記行見出しと上記列見出しに対応する信号品質評価値が登録された行列型テーブルであることを特徴とする信号評価装置。
  3. 請求項1に記載の信号評価装置において、
    上記ルックアップテーブルは、上記第1相対度数毎に有効な範囲の上記第2相対度数が登録された配列型テーブルと、上記第1相対度数毎に有効な範囲の上記第2相対度数に対応する信号品質評価値が登録された配列型テーブルとの集合であることを特徴とする信号評価装置。
  4. 請求項2または3に記載の信号評価装置において、
    上記ルックアップテーブルの上記第1相対度数または上記第2相対度数の少なくとも一方を指数関数的に変化させることを特徴とする信号評価装置。
  5. 請求項2または3に記載の信号評価装置において、
    上記ルックアップテーブルは、所定の母数に対するエラー個数を信号品質評価値としており、上記エラー個数の範囲が1バイト整数の範囲に収まるように所定の母数が決められていることを特徴とする信号評価装置。
  6. 請求項2または3に記載の信号評価装置において、
    上記ルックアップテーブルは、上記信号品質評価値の想定範囲と上記パスメトリック差の度数分布の最頻値の想定範囲とから求められた上記第1相対度数および上記第2相対度数の変動範囲に対応して作成されていることを特徴とする信号評価装置。
  7. 請求項2または3に記載の信号評価装置において、
    上記ルックアップテーブルは、上記信号品質評価値の変化率がほぼ均等となるように上記第1相対度数または上記第2相対度数の少なくとも一方の見出しが設定されていることを特徴とする信号評価装置。
  8. 情報を記録した媒体から再生される再生信号に基づいて、その信号をPRML復号過程においてトレリす線図の正解状態に入力する2本のパスのパスメトリック差を求めるステップと、
    上記パスメトリック差が第1のしきい値よりも小さいときまたは大きいときに第1の累積値をカウントするステップと、
    上記パスメトリック差を第2のしきい値よりも小さいときまたは大きいときに第2の累積値をカウントするステップと、
    上記第1,第2の累積値に基づいて、上記第1,第2の累積値に関連付けて信号品質評価値を登録することにより予め作成されたルックアップテーブルを参照して上記再生信号の信号品質評価値を読み出すステップとを有することを特徴とする信号評価方法。
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