JP3819882B2 - バタフライ弁及びバタフライ弁の弁棒 - Google Patents

バタフライ弁及びバタフライ弁の弁棒 Download PDF

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この発明は、バタフライ弁、とくにバタフライ弁の弁体を回動可能に支持する弁棒に関するものである。
バタフライ弁は、弁本体に設けた円管状の流体通路内に、円板状の弁体を回動可能に付設し、弁体の回動により流体通路を開閉させて、通路内を流れる流体を調節するのに用いられる。従って、バタフライ弁は、円管状の流体通路を持った剛性材料製の弁本体と、弁本体の流体通路内に弁棒により回動可能に付設された剛性材料製の弁体とを主な構成材料としている。
バタフライ弁は、そのほかに、弁体が流体通路を閉じるとき、流体通路が全閉となるのを確実にするために、シートリングが用いられる。すなわち、シートリングは弾性材料で作られていて、流体通路の壁面に固定されており、弁体が流体通路を閉じるとき、弁体外周がシートリングの内面に密接して、その間に隙間が全くないようにすることを目的として付設される。
こうして、バタフライ弁では、シートリングが弁本体に固定されたのち、弁体がシートリング内に収容され、弁体はそこに付設された弁棒を軸として回動可能とされる。このとき、弁棒は、弁体の外周から直径方向に突出し、突出部分がシートリングと弁本体の流路壁面を貫通することとなる。
弁棒は、弁体を貫通する一本の丸棒によって構成されることが多いが、また弁体の中央で分離されて二本の丸棒によって構成されることもある。何れにしても弁棒は、弁体に固定され、弁体とともに回動することとされた。
このように、バタフライ弁では、弁棒がシートリングと弁本体とを貫通することとなるので、弁棒の周りから流体通路内を流れる流体が弁の外へ漏洩しないようにすることが必要となる。そのため、弁本体には弁棒を収容するための筒状の軸支部を突設して、弁棒と軸支部との間で流体漏洩を防ぐこととされた。一般に、弁棒が弁体とともに回動する状態で、弁棒の周りから流体が漏洩しないようにすることは、弁棒が回動しないで静止している状態で流体漏洩を防ぐよりも困難である。このため、これまでは弁棒の周りから流体漏洩を防ぐことを軸封と呼んで、軸封を完うするために種々の工夫がなされた。
例えば、特開2002−181203号公報は、軸封のために軸支部と弁棒との間に軸受けを付設し、軸受けの内面、外面及び一端に特殊なシール材を付設することを提案している。しかし、軸受けや特殊なシール材を付設することは構造を複雑にし、バタフライ弁の組み立てを煩瑣にするという問題がある。
特開2002−181203号公報
この発明は、上述の問題を解消するものである。すなわち、この発明はバタフライ弁における軸封構造を簡単にし、これによってバタフライ弁の組み立てを容易にしようとするものである。すなわち、弁体の回動を許しながら、弁体を支持する弁棒の周りから流体通路内を流れる流体が漏洩するのを防ぐようにし、しかも簡単な構造で漏洩防止を完うし、それによってバタフライ弁の組み立てを容易にするものである。
この発明者は、バタフライ弁において弁棒を一本の連続したものとしないで、弁体の中央部で分離された二本の弁棒で構成することとした。その二本の弁棒のうち、弁のアクチュエータに連なる弁棒は、弁体の駆動軸として働くものであるから、弁体とともに回動するようにすることが必要である。ところが、アクチュエータに連ならないもう一つの弁棒は、弁体回動の軸として働けば足りるから、弁体とともに回動する必要のないことに着目した。すなわち、このような弁棒は、弁体の従動軸となるに過ぎないから、弁体とともに回動させる必要がない。従動軸を弁体とともに回動させないようにすると、従動軸はシートリングと静止した状態で接触することとなるから、軸封が容易となる。この発明者はこのような見地に立って軸封の問題を解決することとした。
また、この発明者は、上記の従動軸を弁本体からシートリングを貫通して、弁体内へ挿入できる先細の円柱状の成形体とすると、軸封が容易となり、またバタフライ弁の組み立ても容易となることを見出した。すなわち、第1に従動軸を先細の円柱状の成形体とし、円柱の先端部を弁体内へ進入させて、先端部外周を弁体との摺動面にすると、弁体を容易に回動させることができることを見出した。第2に円柱のシートリングに接する部分の外周に先端部に向かって隆起する円環状の突出部を設け、突出部をシートリングの外面へ圧入させると、シートリングとの間で軸封を容易に達成できることを見出した。第3に円柱の基部にフランジを設けてフランジを弁本体への固定部とすると、軸封が容易となり、またバタフライ弁の組み立てに必要な部品が少なくなって、弁の組み立てが容易となることを見出した。この発明はこのような知見に基づいて完成されたものである。
この発明は、円管状の流体通路を備えた弁本体と、流体通路の内壁に固定された円管状のシートリングと、シートリング内に収容され弁棒を軸として回動可能に付設された弁体とで構成されたバタフライ弁において、上記弁棒を弁体中央部で分離された二本の弁棒で構成し、各弁棒の一端を弁体の外周から直径方向に突出させ、一つの弁棒を弁体に固定してアクチュエータに連なる駆動軸とし、他の弁棒を弁体に固定しないで弁体を回動可能に支えるだけの従動軸とし、従動軸を弁本体からシートリングを貫通して弁体内へ挿入可能な先細の円柱状の成形体で構成し、円柱の先端外周面を弁体への摺動面とし、円柱の中間部から基部にわたる部分の外径を拡大して外縁に先端部に向かって隆起する円環状の突起を設け、突起をシートリングの外面へ圧入して軸封を形成し、円柱の基部にフランジを設けて、フランジを弁本体に固定したことを特徴とするバタフライ弁を提供するものである。
また、この発明は、バタフライ弁において弁体を支えるだけの従動軸形成用の弁棒を提供するものである。その弁棒は、基部から先端部に向かって先細となる円柱状の成形体で構成され、円柱の先端部外周面を弁体への摺動面とし、円柱の中間部から基部にわたる部分の外径を拡大して外縁に先端部に向かって隆起する円環状突起を設け、突起をシートリング外面への圧入部とし、基部には弁本体へ固定するためのフランジを設けたことを特徴とするものである。
この発明に係る従動軸形成用の弁軸は、基部から先端部へ向かって先細となるほぼ円柱状の成形体とされるから、先端部を先にして弁本体に設けた軸支部から弁体に向けて挿入することができる。成形体の先端部は弁体内へ挿入されて外周面が弁体への摺動面とされるから、弁体は挿入された成形体を軸として回動することができる。このとき、成形体は弁体とともに回動しないで、静止した従動軸となる。
成形体の中間部から基部にわたる部分は外径が拡大されて外縁に先端部に向かって隆起する円環状突起を備えているから、円環状突起をシートリングの表面へ圧入することによって、シートリングとの間を容易に気密に維持することができて軸封を完成させることができる。前述のように成形体はシートリングに対して常に静止しているから、この軸封は常に完全な状態で維持し易い。
成形体の基部にはその端にフランジが形成されているので、フランジを弁本体に固定することにより、成形体は従動軸としてバタフライ弁に固定される。
こうして、バタフライ弁を容易に組み立てることができる。すなわち、シートリングを付設した弁本体内に駆動軸を備えた弁体を収容したのち、上記成形体を弁本体がわから弁体内へ挿入し、あとは成形体に付設されたフランジを弁本体にボルトで固定するだけで、従動軸を付設することができるので、バタフライ弁の組み立ては極めて容易となる。
従来は従動軸を付設したあとで、その上からパッキンや軸の抜け止めなどの色々な部品を付設することが必要とされたが、この発明によれば、そのような部品を付設する必要がない。それだけバタフライ弁の組み立てが容易となり、経済的安価にバタフライ弁を提供することができる。この発明は、このような利益をもたらすものである。
この発明を実施例の一例について図面に基づき説明すると、次のとおりである。図1は、この発明に係る弁棒を示し、(a)は弁棒の縦断面図、(b)は弁棒の底面図である。図2は、この発明に係るバタフライ弁の正面図を示し、図3は、図2に示したバタフライ弁の縦断面図である。
この発明に係る弁棒Aは、図1に示したように、基部から先端部へ向かって先細となるほぼ円柱状の成形体で構成されている。先端部1は先端から線X−Xまでの部分であって、先端部1はバタフライ弁の弁体内へ挿入される。先端部1は外周面が円柱面とされており、その外周面は弁体への摺動面を形成している。
弁棒Aの中間部2は線X−Xから線Y−Yにわたる部分である。中間部2はバタフライ弁におけるシートリングに接触する部分である。中間部2は基部がわに位置する部分が外径を拡大されて、その外縁に先端部に向かって隆起する円環状の突起21が形成される。従って、突起21の内側には窪み22が形成されることになる。
基部3は線Y−Yから端に至る部分である。基部3は弁本体に当接する部分である。基部3は中間部2の拡大された外径にほぼ等しい外径を持った円柱状を呈している。基部3の下端にフランジ4が付設されている。フランジ4は、図(b)に示したように菱形を呈して、長い対角線を形成している頂点近くにボルト孔41が設けられている。
なお、基部3にはフランジ4に近接して環状溝31が形成されている。溝31はO−リングを収容するためのものである。また先端部1と基部3には、内部にそれぞれ空洞11と空洞32とが形成されているが、この空洞は、弁棒Aを硬質の合成樹脂で成形するとき、樹脂の収縮による引けの発生を防止するとともに、冷却を効率よく行うためのものであり、また樹脂材料の節約を目的として形成されたものである。
図1に示した弁棒Aは、図2に示したバタフライ弁Bにおいて弁体Cを支える軸として使用される。バタフライ弁Bは弁本体Dの流体通路の壁面に固定された円管状のシートリングEと、シートリングE内に回動可能に付設された前述の弁体Cとで構成される。弁本体Dは、弁体Cを支える軸を収容するために、直径方向に突出する軸支部FとGとを備えている。弁棒Aは軸支部G内に付設される。
図3は、図2に示したバタフライ弁BをZ−Z線で切断したときの断面図であって、弁棒Aの使用状態を示している。図3では、弁体Cが弁本体Dの内壁に固定されたシートリングE内に収容されて、バタフライ弁Bが構成されている。弁体Cは軸支部Fを貫通する駆動軸Hと、軸支部G内に収容された弁棒Aとで支えられて、回動可能とされている。
駆動軸Hは弁体Cに固定されて弁体Cを回動させる。弁棒Aは弁体Cが回動するとき、従動軸となるもので、弁体Cに固定されないで弁本体Dがわに固定される。
シートリングEが弁本体Dに固定されたのち、弁体Cは駆動軸Hを備えてシートリングE内に付設される。その後、弁棒Aが弁本体Dの軸支部Gから弁体Cに向かって挿入される。弁棒Aは、先細とされているから、この挿入は容易であって、挿入後に弁棒Aは弁体C、シートリングE及び弁本体Dと隙間なく接触することができる。
挿入された弁棒Aの先端部1は、その外周面が弁体Cとの摺動面となる。弁棒Aの中間部2は、外縁に形成された円環状突起21がシートリングの外面に形成された環状溝に圧入され、同時に窪み22内にシートリングEの外面が進入して、弁棒AとシートリングEとの間には直径方向に起伏した密接面が形成される。その結果、弁棒AとシートリングEとの間には良好な軸封が形成される。
弁棒Aの基部3は、そこに形成された溝31内にO−リングが嵌められて、弁棒Aと弁本体Dとの間に軸封が形成される。この状態でフランジ4がボルト5により弁本体に固定される。このとき、ボルト5の締め付けにより、弁棒Aの円環状突起21がシートリングE内へ一層深く進入するに至り、弁棒AとシートリングEとの間に一層良好な軸封が完成される。
この発明に係るバタフライ弁は、従来のバタフライ弁と同様に、駆動軸Hをアクチュエータにより回動させることによって、弁体Cを回動させることができ、これによって流体通路を開閉させることができる。このとき、弁体Cは従動軸がわでは弁本体Dに固定され静止している弁棒Aを軸として回動される。このため、弁棒AはシートリングEと弁本体Dに対して常に静止した状態となっているので、その間には常に良好な軸封状態が維持されることとなる。従って、流体漏洩をより効率よく防ぐことができる。
また、このバタフライ弁は弁棒Aを弁本体Dがわから挿入して、これを弁本体Dに固定するだけで、従動軸を完成させることができるので、従来のものよりも部品の数を少なくして、簡単にバタフライ弁を組み立てることができる。
この発明に係る弁棒Aは、従来の弁棒と同様に鋼又はステンレス鋼などの金属で作ることができるが、また硬質の合成樹脂を材料として作ることもできる。硬質の合成樹脂としてはフェノール樹脂、ポリ四弗化エチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタール等を用いることができる。
この発明に係る弁棒を示し、(a)は断面図、(b)は底面図である。 この発明に係るバタフライ弁の正面図である。 図2に示したバタフライ弁のZ−Z線断面図である。
符号の説明
A 弁棒
B バタフライ弁
C 弁体
D 弁本体
E シートリング
F、G 軸支部
H 駆動軸
1 先端部
2 中間部
3 基部
4 フランジ
5 ボルト
11、32 空洞
21 円環状突起
22 窪み
31 溝
41 ボルト孔

Claims (3)

  1. 円管状の流体通路を備えた弁本体と、流体通路の内壁に固定された円管状のシートリングと、シートリング内に収容され弁棒を軸として回動可能に付設された弁体とで構成されたバタフライ弁において、上記弁棒を弁体中央部で分離された二本の弁棒で構成し、各弁棒の一端を弁体の外周から直径方向に突出させ、一つの弁棒を弁体に固定してアクチュエータに連なる駆動軸とし、他の弁棒を弁体に固定しないで弁体を回動可能に支えるだけの従動軸とし、従動軸を弁本体からシートリングを貫通して弁体内へ挿入可能な先細の円柱状の成形体で構成し、円柱の先端外周面を弁体への摺動面とし、円柱の中間部から基部にわたる部分の外径を拡大して外縁に先端部に向かって隆起する円環状の突起を設け、突起をシートリングの外面へ圧入して軸封を形成し、円柱の基部にフランジを設けて、フランジを弁本体に固定したことを特徴とするバタフライ弁。
  2. 基部から先端部へ向かって先細となる円柱状の成形体で構成され、円柱の先端外周面を弁体への摺動面とし、円柱の中間部から基部にわたる部分の外径を拡大して、外縁に先端部に向かって隆起する円環状突起を設け、突起をシートリング外面への圧入部とし、基部には弁本体へ固定するためのフランジを設けたことを特徴とする、バタフライ弁における従動軸形成用弁棒。
  3. 先端部と基部の内部に空洞を設けるとともに、基部の外周にO−リングを収容するための溝を設けて、鋼、ステンレス鋼又は硬質の合成樹脂で成形したことを特徴とする、請求項2に記載の従動軸形成用弁棒。
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