JP3818512B2 - プリント基板製造方法及びプリント基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板製造方法及びプリント基板に係り、特に基板上に抵抗素子を形成して成るプリント基板のプリント基板製造方法及びプリント基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面や内部に電子部品を実装したプリント基板において、その実装部品の高機能化,高密度化,高性能化が急速に進んでいる。
そして、これらの部品は、プリント基板上の占有面積を可能な限り小さくしてプリント基板の回路密度を向上させるため、更なる小型化が求められている。
抵抗素子もチップ部品となり小型化が進んできたが、他の部品と比べて未だ小型化は不十分である。
他の部品、例えばコンデンサについては、チップ部品の限界を超えるべく、スクリーン印刷法を用いてセラミック等の基板表面上に直接コンデンサの機能を有する素子を焼成工程を経て形成したプリント基板が提案されており、この例として特許文献1及び特許文献2に記載されたものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−270656号公報
【特許文献2】
特開平9−270657号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来の方法を応用して抵抗素子を形成する場合、例えば一対の電極を所定の間隙を有するように対向してスクリーン印刷により形成し、この間隙に抵抗体を充填させるという構造が考えられる。しかしながら、スクリーン印刷により電極を作成すると、電極の寸法精度が低く、細微な電極パターンの形成が困難であった。
それは、このスクリーン印刷で電極を形成した場合、基板面上の電極の境界がはっきりせず、電極の立ち上がり形状が基板に対して傾いて台形形状になる傾向があり、さらに、その形状も安定して形成されないからである。
従って、この電極で形成した抵抗素子は抵抗値のばらつきが大きいという問題があり、特に、細微なパターン形成ができないことから、低抵抗値を有する抵抗素子を作成することが極めて困難であった。
【0005】
そこで本発明が解決しようとする課題は、低抵抗値を有し、この抵抗値のばらつきが極めて少ない抵抗素子を基板表面に形成可能にするプリント基板製造方法を提供することにある。
また、低抵抗値を有し、この抵抗値のばらつきが極めて少ない抵抗素子を基板表面に備えたプリント基板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の手順を有する。
即ち、請求項1は、基板5表面に、所定の間隙3を挟んで対向するように形成された所定の厚さhを有する一対の電極2A1,2A2と前記間隙3に充填した所定の導電性を有する抵抗体4とで構成される抵抗素子1を備えて成るプリント基板のプリント基板製造方法において、前記基板5表面に、前記所定の厚さよりも薄い厚さの一対の基礎電極2を、前記間隙3を挟んで対向するように形成する基礎電極形成工程と、前記間隙3に前記抵抗体4を充填する基礎充填工程と、前記一対の基礎電極2の表面上に電極層を積層し前記間隙3を挟んで対向する新たな一対の基礎電極20を形成する電極積層工程と、前記一対の新たな基礎電極20の前記間隙30にさらに前記抵抗体40を充填する積層充填工程とを有し、前記電極積層工程および前記積層充填工程を一組の工程としてこれを1回以上の所定回数実施し、前記一対の基礎電極とこれに前記所定回数積層して成る前記新たな一対の基礎電極との総厚さを前記所定の厚さhにして前記一対の電極を形成することを特徴とするプリント基板製造方法である。
また、請求項2は、前記電極積層工程と前記基礎充填工程または前記積層充填工程との間に、前記基礎電極2,20の表面を研磨する電極研磨工程を有することを特徴とする請求項1記載のプリント基板製造方法である。
【0007】
また、上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成を有する。
即ち、請求項3は、請求項1または請求項2記載のプリント基板製造方法によって製造されたプリント基板であって、基板表面に所定の間隙を挟んで対向するように所定のパターンで形成された一対の電極と前記間隙に充填された抵抗体とで構成される抵抗素子を有して成るプリント基板において、前記一対の電極は、前記対向する部分において所定の厚さh及び前記所定のパターンの幅wとを有し、前記厚さhと前記幅wとの関係がh≧5wとなるように形成されていることを特徴としたプリント基板である。
また、請求項4は、前記抵抗体4は、ベース樹脂に、粒径が0.08μm以上かつ10μm以下の顔料を10重量%以上かつ95%重量以下の比率で混合されて成ることを特徴とする請求項3記載のプリント基板である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1乃至図10を用いて説明する。
図1は、本発明のプリント基板の実施例における配線パターンの第1の電極パターンを示す平面図である。
図2は、本発明のプリント基板の実施例における配線パターンの第2の電極パターンを示す平面図である。
図3は、本発明のプリント基板の実施例における配線パターンの第3の電極パターンを示す平面図である。
図4は、本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第1の断面図である。
図5は、本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第2の断面図である。
図6は、本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第3の断面図である。
図7は、本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第4の断面図である。
図8は、本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第5の断面図である。
図9は、本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第5の断面図である。
【0009】
図1は、本実施例のプリント基板において、電極パターンを最も基本的な第1の電極パターンで抵抗素子1を形成した例を示した平面図である。
この第1の電極パターンは、一対の電極2A1,2A2が間隙3を挟んで対向配置され、その間隙に所定の導電性を有する抵抗体4が充填されたものである。電極が対向する長さL1は各電極の幅となっている。
【0010】
図2は、本実施例のプリント基板において、電極パターンを第2の電極パターンとして抵抗素子1を形成した例を示した平面図である。
この第2の電極パターンは、一対の電極2B1,2B2が間隙3を挟んで対向配置され、その間隙に所定の導電性を有する抵抗体4が充填されたものである。
この形態においては、水平方向(当図の左右方向)は、幅A1とA2,B1とB2,C1とC2,D1とD2の4箇所で対向し、垂直方向(当図の上下方向)も、幅E1とE2,F1とF2,G1とG2,H1とH2,I1とI2の5箇所で対向している。
この形態の対向する長さL2は、L2=A1+B1+…+H1+I1とみなされる。
【0011】
本実施例のプリント基板における抵抗素子1の第3の電極パターンを図3に示す。
図3は、一対の電極2C1,2C2がそれぞれ略渦巻き状に形成され、互いにはまり合うように一定の間隙3を挟んで対向して形成されている。
また、間隙3には所定の導電性を有する抵抗体4が充填されている。
この形態においては、電極2C1が電極2C2と対向し始める点Jから円弧状に対向し終える点Kまでの円弧上距離が対向距離L3とみなされる。
【0012】
第1〜第3のいずれの電極パターンにおいても、対向距離L1〜L3が長い程、高抵抗の抵抗素子1を得ることができる。また、対向距離を長くすることで、比較的低い抵抗値の抵抗素子の場合に、その抵抗値の精度をより向上させることができ、さらに、抵抗素子に多くの電流を流すことが可能となる。
また、電極のパターンは上述の例に限るものではなく、任意のパターンにすることができるのは言うまでもない。
【0013】
次に、上述したようなパターンの電極2を有する抵抗素子1を表面に形成したプリント基板を製造する方法について図4〜図9を用いて詳述する。
プリント基板の基材は、慣用されている銅張り積層板等を用いることができ、これに限定されるものではない。本実施例のプリント基板の製造方法は、以下の(工程1)〜(工程5)を有する方法である。
【0014】
(工程1)<図4参照>
基板5の表面(図4においては、絶縁層またはプリプレグと記載)上に周知の方法で基礎となる銅の電極2を所定のパターンで形成する。
この基礎電極2の厚さt0は、最終的に得る電極の厚さhよりも薄く形成しておく。
これは、銅箔やめっき銅に対してサブトラクティブ法あるいはアディティブ法等の周知の方法を施すことで形成することができる。電極2は間隙3を挟んで対向して形成される。
【0015】
(工程2)<図5参照>
電極2を覆うようにペースト状の抵抗体4の層を形成する。
この層はペースト状のものを塗布する方法に限らず、蒸着やスパッタによって形成してもよい。この層上にさらにレジスト層を形成して抵抗素子とすることも可能である。
【0016】
(工程3)<図6参照>
表面を研磨する。
これにより、電極2の表面上に絶縁層を積層する場合に安定して積層が可能になる。また、この研磨を抵抗値の調整を行う方法として利用することもできる。
図6は、この研磨を施すことにより電極パターン2の上面を露出させた状態を示している。
上述のように、この段階でレジスト層(絶縁層)を積層して抵抗素子を完成させてもよい。
【0017】
以上の(工程1)〜(工程3)に続いて、さらに以下の工程を施すことにより、間隙3の幅を変えずに電極2の厚さを増して対向する電極面積を増やすことが可能になる。そして、低抵抗であってもより良い精度の抵抗素子を形成することができる。
【0018】
(工程4)<図7参照>
図6に示すように電極2の表面を研磨した状態で、電極2に電圧を印可して銅の電気めっきを行う。この電気めっきにより銅が析出して電極2はさらに厚さを増すように成長し、新たな電極層20を形成する。この電極層20の厚さt1は任意に設定できる。
【0019】
(工程5)<図8参照>
エッチング等によって電極層20の形状を整え、電極層20間に新たに生じた間隙30に抵抗体40を(工程2)の方法等により充填する。
【0020】
この状態で、基礎電極2と積層した電極20との総厚さ(t0+t1)を所定の厚さhになるように電気めっきの積層厚さを設定してもよい。
所定の厚さhが比較的厚い場合は、(工程3)〜(工程5)をさらに繰り返して電極層を順次積層し、基礎電極と積層した電極との総厚さを所定の厚さhにすることで、所定の厚さh及び幅wの断面形状を有し、均一な間隙3,30を挟んで対向して成る一対の電極を形成することができる(図9参照)。例えば、積層をn回繰り返した場合、t0+t1+…+tn=hとなるように形成する。図9はn=4とした例を示す。
【0021】
従って、一対の電極の対向面積をより大きくすることが可能であり、電極形状とその間隙を極めて精度よく安定して形成することができるので、低抵抗でばらつきの極めて少ない抵抗素子1を得ることができる。
また、(工程3)で積層する銅層は、薄く形成する方が形状において高い精度が得られるので好ましい。従って、1回あたりの積層厚さをより薄くし、積層回数をその分増やして所定の厚さhとするのが最も精度よい電極を得る方法である。
【0022】
以上の工程により形成した抵抗素子について、本発明者らが鋭意検討した結果、電極パターン2の間隙3,30に充填する抵抗体4について下記▲1▼,▲2▼を見いだした。即ち、
▲1▼:抵抗体4に用いるベース樹脂中に導電性顔料を混合分散させ、その顔料の最大粒径を10μm以下とすることで、微細な電極間間隙3へも抵抗体4の充填が安定して行える。
▲2▼:形成した電極2の総厚さをh,電極間の間隙をwとしたときに、h≧5wとすることによって、低抵抗でありながらそのばらつきを極めて少なくして精度を著しく高くできる、ということである。
【0023】
まず、▲1▼について詳述する。
電極2の間隙3に充填する抵抗体4は、上述したように、スパッタや蒸着によっても形成できるものであるが、樹脂のみを、あるいは、導電性顔料を混合分散した樹脂を抵抗体4として塗布により充填する場合は、真空装置を必要としないので作成が容易になって好ましい。
【0024】
この導電性顔料の最大粒径を10μm以下にすることで、電極2の間隙3が極めて狭くても、その中への充填が安定して可能となり、抵抗素子1の抵抗値の精度をより高いものにできる。
【0025】
本発明者らは、各種の導電性顔料を用いて試作を行った結果、最大粒径の範囲を0.08μm以上かつ10μm以下にすると、殆どの導電性顔料において混合分散が良好になることを見いだした。最大粒径の範囲をこのように限定することで、顔料の材料依存性をなくして抵抗体4を間隙3に良好に充填することができる。
【0026】
また、この導電性顔料を樹脂に混合分散した樹脂溶液(ペースト状の抵抗体)では、導電性顔料がその樹脂に占める重量比率が10%以上かつ95%以下であると、抵抗体の硬化後の顕著な脆化が生じないことを見いだした。
導電体ペーストに導電性を付与するためには、導電性顔料を少なくとも10重量%以上樹脂に混合する必要がある。一方、この重量比率が95%を越えると、抵抗体が硬化した後、著しく脆くなって実用に耐えないものになる。
従って、低い抵抗値を得たい場合は、できる限り導電性顔料が樹脂に占める重量比率を95%に近く設定することが望ましい。
【0027】
本実施例で用いる導電性顔料は、高導電率を有する材料が使用に適している。例えば、鉄,アルミニウム,銅,ニッケル,銀,真鍮等の金属粉あるいはカーボンブラック等が好適である。
また、この導電性顔料を混合分散させるベース樹脂も限定されるものではなく、特にエポキシ系樹脂,フェノール系樹脂,塩化ビニル系樹脂,ポリオレフィン系樹脂,ポリイミド系樹脂,ポリアミド系樹脂が使用に適している。
【0028】
また、この抵抗体ペーストには、顔料の分散を促進する,ペースト自体の安定性を高める,ペーストの流動性を向上させる,ペーストと電極との密着性を高める等の目的で、界面活性剤,分散剤,カップリング剤,流動化剤等の添加剤を添加しても良い。
またエポキシ系樹脂の様に、硬化剤の添加によって硬化後の強度がより向上するものは、硬化剤を添加する事が望ましい。
【0029】
この抵抗体4を形成するペーストは、プリント基板の表面に形成する抵抗素子1に要求される抵抗率に応じて、導電性顔料の配合比率を適宜決定して作成できるものであるが、有効な導電性を有し、その機械的強度や信頼性などの実用性能を確保するためには、重量比率で10%以上かつ95%以下とすることが望ましいことは上述した通りである。
【0030】
次に、▲2▼について、本実施例におけるプリント基板の具体的作成例の説明と共に詳述する。
抵抗体4を電極2の間隙3に充填する方法として、スパッタとペーストの塗布との2つの方法を実施した。
スパッタは、Ni50%,Cr50%のNi−Crをターゲットとしたスパッタ装置を用いて行った。
塗布における抵抗体ペーストは、以下のものを使用した。
即ち、ベース樹脂をエポキシ樹脂とし、このベース樹脂にカーボンブラックを混合分散して成るもの2種(抵抗体例1,抵抗体例2)である。
【0031】
抵抗体例1,2の組成は以下の通りである。
(抵抗体例1)
カーボンブラック(1次粒径 38nm) 35重量部
エポキシ樹脂(ベース樹脂) 60重量部
エチレングリコールモノエチルエーテル 40重量部
(抵抗体例2)
カーボンブラック(1次粒径 48nm) 45重量部
エポキシ樹脂(ベース樹脂) 51重量部
エチレングリコールモノエチルエーテル 40重量部
【0032】
これらは、カーボンブラックとエポキシ樹脂とにエチレングリコールモノエチルエーテルを少量ずつ添加し、顔料の分散に有効な装置であるエクストルーダーを用いて混合分散を行ったものである。
上記組成を全量添加しペースト状抵抗体とした。
このペースト抵抗体を使用する時点で硬化剤を5重量部を添加し、撹拌後に塗布を行った。
【0033】
抵抗体例1,2の粒子径は、以下のようにして測定した。
抵抗体例1,2のペーストを約1μmの厚さに基体に塗布し、その表面を電子顕微鏡で観察してカーボンの粒子径(凝集塊の大きさ)を求めた。測定は100個の凝集塊について行い、最大粒径の値をその粒径とした。その結果、抵抗体例1の粒径は0.18μm、抵抗体例2の粒径は0.22μmであった。
【0034】
<試作1−1>
電極パターンとして図1〜図3に示す3種のパターンを作成した。
ここで作成する各電極パターンの厚さは、まず20μmとし、各電極の間隙3の幅は20μmとして統一した。
図1の電極パターンは、一対の電極全体で約1mm角の大きさであり、対向する部分の長さL1は1mmとした。
図2の電極パターンは、L2が3mmであり、
図3の電極パターンは、L3が6mmである。
【0035】
図1〜図3に示す各電極パターンの電極間間隙3に、上述のスパッタ及び塗布により抵抗体を形成した。
スパッタによるものは、抵抗体の厚さを1μmとして抵抗素子1を形成した。塗布によるものは、抵抗体例1,抵抗体例2を間隙3に完全に充填し、更に電極2の表面上にも2μm程度盛り上がるように塗布した。その後、150℃,1時間の加熱処理により硬化させ抵抗素子1を形成した。
スパッタによるものは、図1〜図3の3種類の電極パターンについて各100個の抵抗素子1を作成した。
塗布によるものは、図1〜図3の3種類の電極パターンについて各200個の抵抗素子を作成し、更にそのうちの各100個を、電極の表面が露出するまで研磨した。
このようにして作成した抵抗素子の抵抗値を測定し、平均値と抵抗値のばらつきの指標である偏差σを求めた。この偏差は平均値に対する比率である。
【0036】
この測定結果を表1に示す。また、スパッタによる抵抗体、抵抗体例1による抵抗体,抵抗体例2による抵抗体の場合をそれぞれ表1(A)〜表1(C)に示している。
【表1】
【0037】
<試作1−2>
次に、試作1−1の試作品の内、抵抗体例1,2の試作品に対して、上述の(工程3)〜(工程5)を施して新たに電極層を15μm積層し、総厚みを35μmにした。新たに積層した電極20間の間隙30にもさらに抵抗体例1,2をそれぞれ充填してある。
電極上に盛り上がるように塗布した抵抗体を研磨により取り除き、電極20の表面を露出させた。
これらの試作品について抵抗値を測定した。その結果を表2に示す。
【表2】
【0038】
<試作1−3>
試作1―2の試作品に更に(工程3)〜(工程5)を繰り返し実施し、電極3の総厚みを110μmにした。これらの試作品の抵抗値を次に示す。
【表3】
【0039】
<試作2−1>
さらに、図2,図3に示す電極パターンにおいて、各電極2の厚みを20μm、各電極パターン間の間隙3の幅をまず50μmとした電極パターンを形成した。
次に、この電極2に電圧を印加し、銅の電気めっきを行い、銅を析出させて電極2を幅方向も含めて拡大し、その間隙3が所定の20μmとなる様にした。この時の電極の厚さは35μmである。
さらに、この電極2間の間隙3に抵抗体例1,2をそれぞれ塗布して充填し、電極表面上にあるペーストを研磨にて取り除いた。
このように、電極2のパターンが図2,図3の2種、充填した導電体例が2種の計4通りの組み合わせでそれぞれ100個作成し、抵抗値を測定し、上述の偏差を求めた。結果を表4に示す。
【表4】
【0040】
<評価>
上述した各試作品の測定結果を評価した。
試作は、上述したように、抵抗体4を形成するものとしてNi−Crのスパッタ膜と樹脂ペーストを用いたもの(導電体例1,2)との3種で作成した。
樹脂ペーストは導電顔料としてカーボンブラックを用いた。
また、樹脂ぺーストへの分散後におけるカーボンブラックの凝集塊の大きさは、導電体例1では0.18μm以下であり、導電体例2では0.22μm以下である。
【0041】
(1)電極2間の間隙3の幅を20μmとした3種類の電極形状の試作品に対して、この間隙に3種の抵抗体を充填したが、いずれも、空隙は認められず充填の状態は良好であった。
【0042】
(2)スパッタにより形成したNi−Cr膜からなる抵抗体を用いた場合は、被抵抗率が低く、他の2種に比べて抵抗値が小さくなっており(表1)、低抵抗の抵抗体を得るためには、スパッタにより抵抗体を形成する方法は好ましいものである。
【0043】
(3)電極2の間隙3は20μmで統一したが、パターン形状によって対向する電極の長さ、厚さに応じて対向する電極の面積に違いがあり、これに対応して抵抗値の平均値に大小が生じている(表1)。
特に、間隙3の幅w20μmに対して電極の厚さ(h)を5倍以上の110μmにした場合は、いずれのパターンにおいても格段に低い抵抗値を示しており、低抵抗の抵抗素子を得る場合の電極の断面形状を与える比率として極めて好ましい比率であることが明確にわかった(表2,表3)。
【0044】
(4)図1に示した電極パターンに対して、図2,図3に示した電極パターンは、偏差値が小さく、また、抵抗値のばらつきも少なく、好ましい電極パターンである(表1)。
【0045】
(5)抵抗体ペーストを塗布して充填した後に、電極上に盛り上がったペーストを研磨したものは、この偏差がより小さくなっていた〔表1(B),表1(C)〕。
これは抵抗体ペーストの盛り上がった部分を研磨することで抵抗素子としての形状が整い、抵抗値のばらつきが少なくなったものと推察された。
従って、電極の表面を研磨してから電気めっきを施して銅層を積層することはより好ましい方法である。
【0046】
以上のように、本実施例によれば、低抵抗値を有し、この抵抗値のばらつきが少ない抵抗素子を形成可能にするプリント基板の製造方法を提供でき、また、低抵抗値を有し、この抵抗値のばらつきが極めて小さい抵抗素子を基板表面に備えたプリント基板を提供できるものである。
電極2の表面上にも抵抗体ペースト4を塗布し、その後に研磨を行うことで電極表面を露出させ、銅の電気めっきを行うことで電極の厚みを増やすことは、電極の対向する面積を精度よく大きくする方法として大変有効な方法である。
【0047】
また抵抗体4を電極の間隙3に充填する前に、電極2を小さく(所定の電極寸法に対して厚みは薄く、電極間の間隙幅は広く)形成し、その後、追加の銅の電気めっきを1回以上行って段階的に電極を所定の寸法にすることで、電極を一回の電気めっきで形成するよりも遙かに精度良く電極を形成できる。
従って、低抵抗値を有しながらそのばらつきを極めて少なく抑制した抵抗素子を作成することができる(表4)。
【0048】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
特に、電極パターンの形成は、基板表面に限ることなく多層基板の絶縁層上に形成してもよいものであり、いわゆるビルドアップ基板にも適用できるものであることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願発明によれば、プリント基板製造方法において、低抵抗でその抵抗値のばらつきが極めて少ない抵抗素子を基板表面に形成できるという効果を得る。
また、プリント基板の基板表面に形成した抵抗素子が低抵抗でありながらその抵抗値のばらつきが極めて少ないという効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリント基板の実施例における配線パターンの第1の電極パターンを示す平面図である。
【図2】本発明のプリント基板の実施例における配線パターンの第2の電極パターンを示す平面図である。
【図3】本発明のプリント基板の実施例における配線パターンの第3の電極パターンを示す平面図である。
【図4】本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第1の断面図である。
【図5】本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第2の断面図である。
【図6】本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第3の断面図である。
【図7】本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第4の断面図である。
【図8】本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第5の断面図である。
【図9】本発明のプリント基板の製造方法における実施例の工程を説明する第6の断面図である。
【符号の説明】
1 抵抗素子
2,2A1〜2D1,2A2〜2D2 (基礎)電極
3,30 間隙
4,40 抵抗体
5 基板(絶縁層,プリプレグ)
20 電極層(新たな基礎電極)
A1〜I1,A2〜I2,M1〜My,Ny〜Ny 幅
h,t0,t1,…,tn 厚さ
L1〜L4 長さ
w 幅
Claims (4)
- 基板表面に所定の間隙を挟んで対向するように形成された所定の厚さを有する一対の電極と前記間隙に充填された所定の導電性を有する抵抗体とで構成される抵抗素子を備えて成るプリント基板のプリント基板製造方法において、
前記基板表面に、前記所定の厚さよりも薄い厚さの一対の基礎電極を、前記間隙を挟んで対向するように形成する基礎電極形成工程と、
前記間隙に前記抵抗体を充填する基礎充填工程と、
前記一対の基礎電極の表面上に電極層を積層し前記間隙を挟んで対向する新たな一対の基礎電極を形成する電極積層工程と、
前記新たな一対の基礎電極の前記間隙にさらに前記抵抗体を充填する積層充填工程とを有し、
前記電極積層工程および前記積層充填工程を一組の工程としてこれを1回以上の所定回数実施し、前記一対の基礎電極とこれに前記所定回数積層して成る前記新たな一対の基礎電極との総厚さを前記所定の厚さにして前記一対の電極を形成することを特徴とするプリント基板製造方法。 - 前記電極積層工程と前記基礎充填工程または前記積層充填工程との間に、前記基礎電極の表面を研磨する電極研磨工程を有することを特徴とする請求項1記載のプリント基板製造方法。
- 請求項1または請求項2記載のプリント基板製造方法によって製造されたプリント基板であって、基板表面に所定の間隙を挟んで対向するように所定のパターンで形成された一対の電極と前記間隙に充填された抵抗体とで構成される抵抗素子を有して成るプリント基板において、
前記一対の電極は、前記対向する部分において所定の厚さh及び前記所定のパターンの幅wとを有し、前記厚さhと前記幅wとの関係がh≧5wとなるように形成されていることを特徴としたプリント基板。 - 前記抵抗体は、ベース樹脂に、粒径が0.08μm以上かつ10μm以下の顔料を10重量%以上かつ95重量%以下の比率で混合されて成ることを特徴とする請求項3記載のプリント基板。
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