JP3818423B2 - 情報出力システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、情報出力システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
音声出力と、テキスト出力を併用するマルチモーダル情報出力システムでは、音声出力用の情報とテキスト出力用の情報をそれぞれ別々に記憶保持しておき、所定の情報を出力する場合には、各出力形式に応じた2つの情報を並列して出力するようになる。
【0003】
また、音声或いはテキストの一方の形式のみ用意して記憶保持しておき、出力する際に他方の出力形式に変換することにより、2つの情報を並列して出力するように構成したものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
スピーカーとモニタ(表示器)という異なる出力機器を備えた情報端末において、係る異なる出力機器を用いて同一情報を出力することは、その情報を理解しやすいという利点がある一方、周囲に存在する第三者にも情報が伝わりやすくなるという問題がある。すなわち、情報端末として例えばATM(Automated teller machine)などを想定した場合、操作の説明などは第三者に知られてもさほど問題が無いが、暗証番号等の個人情報や、金額に関する情報等のセキュリティに関する情報は第三者に知られることは阻止する必要がある。
【0005】
その結果、周囲の人にまで音声が伝わるようなスピーカーを用いているような場合には、係るセキュリティ情報はテキスト出力のみを行い、その他の情報はテキスト出力と音声出力を併用するのが好ましい。しかし、音声とテキストの一方のみ形式のみ用意し、出力の際に他方の出力形式の変換をしつつ出力する方法では、常に2つの形式で出力されてしまうため、セキュリティ情報も音声出力されてしまうという問題がある。
【0006】
一方、予め音声出力用の情報とテキスト出力用の情報の両方を用意する方法では、セキュリティ情報は例えばテキスト出力用のみ用意することにより、セキュリティ情報を出力する際には音声は無音状態となる。これにより、セキュリティ対策はできる。しかし、音声出力用の機器が例えばハンドセットのように利用者本人しか聞くことができないようなものの場合には、かえって音声出力をした方がセキュリティ上好ましいことになる。また、モニタも比較的大きく、情報端末の前面に起立状態で配置されているような場合には、周囲の第三者に知られやすくなる。
【0007】
従って、予め2種類の出力用の情報を別々に用意する方法では、各情報をどのような形態の表示器(モニタ),スピーカーによって出力するのかを想定した上で音声形式とテキスト形式の各情報を作成しなければならず、情報の設計に手間がかかる。さらに、せっかく作成したとしても、出力機器の形態が変わると、情報を設計しなおさなければならないという問題がある。
【0008】
また、このようにセキュリティの問題に限らず、出力する情報の種類によって両方の出力機器を用いて出力した方が好ましかったり、いずれか一方の出力機器の方が好ましい(一方で十分)ことがあり、係る場合にも上記したのと同様の問題が生じる。
【0009】
この発明は、予め用意したある出力デバイス用の出力データを異なる出力デバイスに変換して出力可能なシステムであって、出力デバイスの変更などの使用環境が変わったとしても、用意した出力データ内容は変更することなく、その使用環境に合った出力デバイスを選択し、出力することのできる情報出力システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明による情報出力システムは、異なる種類の出力デバイスである表示器またはスピーカーに対し、各出力デバイスの形式にあわせた出力データを出力する情報出力システムであって、少なくとも一方の出力デバイス用の出力データと、その出力データの属性情報を関連付けて記憶する出力情報記憶部と、前記各出力デバイスの環境情報を記憶する環境情報記憶部と、前記出力情報記憶部に格納された前記出力データを出力するに際し、前記属性情報と前記環境情報に基づいて、前記出力データを出力する出力デバイスを決定するとともに、前記決定した出力デバイス用の出力データを生成するデータ処理手段と、前記データ処理手段で生成された出力データを対応する出力デバイスに向けて出力する出力手段とを備え、前記データ処理手段は、前記決定した出力デバイスが前記出力情報記憶部に記憶されている出力データに関連付けられている出力デバイスと異なる場合に、前記出力データの出力形式を前記決定した出力デバイスの出力形式に変換する変換機能を備え、前記属性情報は、ある出力デバイス用に用意した出力データを他の出力デバイス用の出力データに変換するか否かを決定するための判断材料となる情報であり、前記環境情報は、出力デバイスの形態,設置環境,セキュリティの程度の少なくとも1つを含む情報とした。
【0011】
属性情報は、ある出力デバイス用に用意した出力データを他の出力デバイス用の出力データに変換するか否かを決定するための判断材料となる情報であり、例えば、セキュリティが必要なデータであることを特定したり、出力デバイスの種類を特定したりするなど各種の対応がある。
【0012】
出力デバイスの環境情報は、その出力デバイスの形態(音声出力やテキスト画面,利用者のみに伝達可能や周囲の人にも伝達可能等)や、設置環境(個室で使用、街頭など人ごみの中に設置等)などがある。
【0013】
実施の形態との対応をとると、出力情報記憶部は、実施の形態ではテキストコンテンツ1や音声コンテンツ2に対応する。データ処理手段は、テキスト処理部4や音声処理部6に対応する。出力手段は、同期処理部9,9′,9″に対応する。また、テキスト出力処理部10や音声出力処理部12を含めるようにとらえても良い。さらに、変換機能は、テキスト音声変換部5や音声テキスト変換部7に対応する。そして、実施の形態では、変換機能はデータ処理手段の外部に設けられているように記載したが、データ処理手段の内部に設けても良い。また、データ処理手段は、複数の機能部に分けて構成してももちろんよい。つまり、出力デバイスを決定する機能部と、出力データを生成する機能部に分けてモジュール化することもできる。
【0014】
この発明によると、出力情報記憶部に格納された各出力データには、それぞれ属性データが関連付けられている(属性データ無しも含む)ので、その属性データと環境情報から、個々の出力データ単位で出力デバイスを選択することができる。よって、状況に応じて適切な出力デバイスを用いて出力することにより、情報の提供等が好適に行える。さらに、この発明では、属性データと環境情報の両方を加味して出力デバイスを決定するので、出力デバイスの形態が変更されるなど環境情報が変わった場合には、同一の出力データと属性データであっても、その時にあった出力デバイスを選択し、出力することができる。つまり、出力デバイスの変更などがあってもそのために出力情報記憶部の記憶内容を変更しなくてもよくなる。なお、出力デバイスの選択は、1個のみを択一的に選択する場合と、複数の出力デバイスを選択する場合を含む。
【0015】
また、前記環境情報として、出力デバイスのセキュリティの程度を表すものとし、前記属性情報は、少なくともセキュリティの必要なデータであることを特定するようにした場合には、セキュリティの必要なデータは、セキュリティのある出力デバイスを用いて出力することができる。そして、出力デバイスが変更された場合にも、出力データ側の設計変更をすることなく、その使用環境下においてセキュリティの高い出力デバイスを選択することができる。
【0016】
なお、セキュリティの程度を表す情報としては、実施の形態では、セキュリティのレベルも段階的に特定できるようにしたが、本発明で言うところの程度を表すとは、実施の形態に限られないのは言うまでもない。つまり、セキュリティの有る/無しという2つの段階に弁別するものでも程度を表すものに含まれる。
【0017】
さらに、前記属性情報は、複数の出力デバイスで出力したほうが良いことを示すものとすることもできる。すると、その出力データに関しては、常に複数の出力デバイスで出力されるので、確実に理解させることができる。
【0018】
この発明による情報出力システムを構成する各手段を専用のハードウエア回路によって実現することができるし、プログラムされたコンピュータによって実現することもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るシステムの第1の実施の形態を示している。同図に示すように、テキスト出力形式の情報を格納するテキストコンテンツ1を備えている。このテキストコンテンツ1は、図2に示すように、テキストデータとそのテキストの属性データの対で1つのブロックを構成し、可変数の複数ブロックで1つのテキストコンテンツ1を構成している。ここで、属性データは、セキュリティが必要なテキストに付されるPrivateと、タイトルなどの音声でも出力すべきテキストにつけられるShareがある。そして、いずれにも該当しない場合には、属性データは無しとなる。よって、本形態では、3種類の属性がある。
【0020】
一方、出力機器(表示器11,スピーカー13等)の形態に応じたセキュリティ度情報を格納する環境情報記憶部3を備えており、この環境情報記憶部3に格納された情報は、テキスト処理部4に提供するようになっている。そして、この環境情報記憶部3のデータ構造としては、図3に示すように、表示器セキュリティ度と、スピーカーセキュリティ度を保持するようになっている。このセキュリティ度は、例えば(1/0)等のようにセキュリティの有り/無しの2種類を区別するようにしてもよいが、本形態ではより汎用性を持たせるため、「0」がセキュリティ無し(セキュリティ情報を出力するのに適しない出力機器)を意味し、セキュリティの有る出力機器に対しては、1以上の数字を入力することにより、セキュリティの高さ情報も格納できるようにした(数字が大きいものほどセキュリティが高い)。従って、ともにセキュリティがある出力機器があった場合、セキュリティ情報はセキュリティの高い(数字の大きい)出力機器を用いて出力することができ、これにより、より安全に情報の提供等が行えるようになる。
【0021】
一例を示すと、表示器11が通常の比較的大きなモニタ画面からなるもので、スピーカー13がハンドセットタイプのものとすると、表示器セキュリティ度は0或いは小さい数値になり、スピーカーのセキュリティ度は1以上の値(表示器セキュリティ度よりも大きい値)となる。逆にスピーカーが、通常の周囲の人に聞こえるようなものの場合には、スピーカー13の方が表示器11よりもセキュリティ度が低い値を格納する。
【0022】
なお、環境情報記憶部3に格納する各出力機器のセキュリティ度は、同じ値はとらないようにする。また、セキュリティ度を決定するに際し、単純に出力機器の形態に基づいて決定しても良いが、出力機器の設置方法や設置場所等を考慮して決定するとより良い。
【0023】
そして、テキストコンテンツ1に格納された情報は、テキスト処理部4に与えられる。さらにテキスト処理部4には、テキスト音声変換部5が接続され、受け取ったテキストデータの中で音声出力が必要なものはテキスト音声変換部5にテキストデータを渡し、そこにおいて音声データに変換するとともに、変換後の音声データを返送するようになってる。そして、テキスト処理部4は、その返送された音声データを取得するとにより、同一情報についてのテキストデータと音声データを取得することができる。
【0024】
テキスト処理部4は、具体的な処理機能は後述するが、簡単に言うとテキストコンテンツ1の属性データと環境情報を参照し、出力しようとするテキストデータの情報の出力機器(表示器11及びまたはスピーカー13)を決定し、その出力機器に対応した出力形式のデータを作成する機能を有する。つまり、表示器11のみに出力すれば良い場合には、テキストコンテンツ1に格納されたテキストデータをそのまま使用して出力することになり(スピーカー13は無音)、スピーカー13を用いて出力する必要がある場合にはテキスト音声変換部5により音声データを生成させ、得られた音声データに基づいてスピーカー13から出力することになる。また、このことから、仮にスピーカー13のみに出力させた方が良い場合には、上記のようにして音声データを生成したならば、テキスト部分は無表示或いは「×」等を用いた伏せ字にすることにより対応できる。つまり、テキストコンテンツ1と環境情報記憶部3に格納された各情報に基づいて、個々の情報に応じた出力機器を選択(1または両方)し、その出力機器に応じた出力形式のデータを生成することができる。そして、そのようにして生成した各出力形式のデータを出力バッファ8に与える。
【0025】
出力バッファ8はテキスト処理部4で生成し与えられる関連した(同一情報を表す)テキストデータと音声データを対にして格納するもので、そのデータ構造の一例を示すと図4のようになる。
【0026】
そして、この出力バッファ8に格納されたデータが、同期処理部9で同期をとりながらテキスト出力処理部10と音声出力処理部12に渡す。すると、テキスト出力処理部10は、受け取ったテキストデータを表示器11の所定位置に出力表示し、音声出力処理部12は受け取った音声データをスピーカー13から出力するように制御する。
【0027】
次に、テキスト処理部4の具体的な処理機能について説明する。このテキスト処理部4は、図5に示すフローチャートのようになっている。まず、テキストコンテンツの1ブロックをとり込み、その属性データを取得する。そして、属性データがPrivateであるか否かを判断する(ST1,ST2)。属性データが「Private」でない場合には、テキストを出力表示する表示器11のセキュリティ度の大小に関係なく、そのテキストデータを表示器11に出力して良いので、取得したテキストデータを出力バッファのテキストデータ領域にコピーする(ST3)。
【0028】
次に、属性データが「Share」か否かを判断する(ST4)。つまり、属性が「Share」のデータは、予め音声での出力が必要と判断したものであるので、テキストデータから音声データを生成する必要があり、属性データが「Share」でない場合には、属性データが指定されていないことを意味するので、一方の出力機器で出力すれば足りると判断できる。従って、このステップ4の分岐判断でNoとなった場合には、ステップ5に進み、テキストコンテンツの次のブロックの処理に移行する。つまり、テキストコンテンツが終わりでない場合には、ステップ1に戻り、次のブロックに対しての処理に移行し、テキストコンテンツが終わりの場合には処理を終了する。
【0029】
一方、ステップ4の分岐判断でYesの場合には、ステップ9に飛び、テキストデータを音声データに変換する。具体的には、処理中のテキストデータをテキスト音声変換部5に渡し、そこにおいて変換処理をして得られた音声データを取得する処理を行う。その後、取得した音声データを出力バッファの音声データ領域にコピーし(ST10)、ステップ5に進む。
【0030】
また、処理対象のテキストデータの属性データがPrivateの場合には、ステップ2の分岐判断でYesとなるので、ステップ6に飛び、環境情報から表示器セキュリティ度がスピーカーセキュリティ度よりも大きいか否かを判断する。表示器セキュリティ度の方が大きい場合(Yes)には、テキストデータをそのまま表示すれば良いので、ステップ11に飛び、テキストデータを出力バッファのテキストデータ領域にコピーした後ステップ5に進み、そのブロック(テキストデータ)に対する処理を終了する。これにより、そのテキストデータに対する音声データは生成されない。
【0031】
一方、スピーカーセキュリティ度の方が大きい場合には、ステップ6の分岐判断でNoとなるので、ステップ7に進み、環境情報の音声セキュリティ度が0でないことを確認し(通常は「0」でない)、テキストデータの文字数を計数し、出力バッファのテキストデータ領域に計数した文字数分だけ「*」を代入する。その後、ステップ9,10を実行し、テキストデータに対応する音声データを生成し、出力バッファ8の音声データ領域にコピーする。なお、ステップ7の分岐判断で、Yesとなった場合には、エラーとなり、テキスト表示不可メッセージを出力し処理を終了する。
【0032】
次に、具体例を用いて上記した機能を説明する。引用する具体例としては、環境情報としては、図6(a)に示すようにスピーカーの方がセキュリティが高いものとし、テキストコンテンツ1に同図(b)に示すようなテキストデータと属性データが対に格納されているとする。
【0033】
まず先頭のブロックの「あなたの口座残高は」の属性データは「無し」であるので、ステップ2の分岐判断は「No」となり、ステップ3の処理を実行することにより、出力バッファ8の内部データを示す図6(c)の左欄の1番上のブロックにテキストコンテンツに格納されたテキストデータである「あなたの口座残高は」が格納される。そして、ステップ4の分岐判断もNoであるので、ステップ9,10の音声データへの変換並びにコピー処理がないので、図6(c)の右欄の1番上のブロックに示すように、出力バッファには「あなたの口座残高は」に対応する音声データは登録されない。
【0034】
そして、テキストコンテンツ1には、次のブロックがあるので、ステップ5の分岐判断でNoとなり、ステップ1に戻り次の「100,000」のテキストデータのブロックを読み出す。このテキストデータの属性データは、「Private」であるので、ステップ2の分岐判断はYesとなり、ステップ6に進む。そして、環境情報はスピーカーセキュリティ度の方が大きいとともに、「1」であるので、このステップ6,7の分岐判断は何れもNoとなる。
【0035】
従って、ステップ8を実施することにより、7個の「*」が、出力バッファ8の内部データを示す図6(c)の左欄の2番目のブロックに格納される。さらに、ステップ9,10を実施することにより、「100,000」に対応する音声データとして「じゅうまん」が得られ、その音声データを図6(c)の右欄の2番目のブロックに格納する。
【0036】
さらに、テキストコンテンツ1の3番目のブロックである「円です」は、属性データが「Share」であるので、ステップ2の分岐判断はNoとなり、ステップ3を実行することにより、テキストデータである「円です」が、そのまま出力バッファ8の内部データを示す図6(c)の左欄の3番目のブロックに格納される。さらに、ステップ4の分岐判断ではYesになるので、ステップ9,10を実施することにより、「円です」に対応する音声データとして「えんです」が得られ、その音声データを図6(c)の右欄の3番目のブロックに格納する。
【0037】
次に、同期処理部9の機能について説明する。この同期処理部9は、図7に示すフローチャートを実施する機能を有する。同図に示すように、まず、出力バッファ8のテキストデータ領域に格納されたテキストデータを取得するとともに、それをテキスト出力処理部10に与え、表示器11に出力表示させる(ST21)。これにより、例えば図6(c)に示す具体例の場合には、同図(d)のように表示される。よって、セキュリティをかける必要がある具体的な金額は、「*」となっており、周囲にいる第三者には具体的な数値を知られずに済む。
【0038】
次に、ステップ22に進み、出力バッファ8の1ブロック(テキストデータと属性データの対)を順にとり込み、音声データ領域にデータがあるか否かを判断する(ST22,ST23)。そして、データがない場合には、そのブロックの処理は終了し、次のブロックに移行する(ST23,ST24)。
【0039】
一方、音声データ領域にデータが存在する場合には、ステップ25に進み、音声データを音声出力処理部12に渡し、スピーカー13から当該音声データを出力する。このとき、対応するテキストデータ領域に該当する表示部分を強調表示する(ST26)。強調表示は、例えば反転表示させたり、色を変えたり、点滅させたり、アンダーラインや網掛けを付記するなど各種のものがとりうる。そして、係る具体的な強調処理は、テキスト出力処理部10が実行する。そして、音声出力の停止と同期して強調表示も停止する(ST27,ST28)。
【0040】
本形態におけるスピーカー13はハンドセットであり、スピーカーから発生される音は周囲に聞こえないので、セキュリティが必要なデータ部分(「100,000」)は、セキュリティが守られる音声でのみ出力される。しかも、本形態では、テキスト表示しない部分は「*」で表示され、しかも、強調表示されるので、どの部分が音声で出力されているかは表示器11を見れば一目でわかるので、便利である。
【0041】
図8は本発明は、第2の実施の形態を示している。本実施の形態では、予め用意する元となるデータがテキストコンテンツではなく、音声出力形式の情報を格納する音声コンテンツ2となる点で相違する。このように元となる情報の形態が異なることにともない、各処理部も適宜相違するので、その相違点について説明する。構成上の相違を簡単に示すと、テキスト処理部4に替えて音声処理部6を設け、テキスト音声変換部5に替えて音声テキスト変換部7を設けている。さらに、同期処理部9′の具体的な処理機能も替えている。なお、その他の構成は基本的に第1の実施の形態と同様である。
【0042】
音声コンテンツ2は、図9に示すように、音声データとその音声の属性データの対で1つのブロックを構成し、可変数の複数ブロックで1つの音声コンテンツ2を構成している。ここで、属性データは、セキュリティが必要な音声に付されるPrivateと、案内情報などのテキストでも出力すべき音声につけられるShareがある。そして、この音声コンテンツ2においても、いずれにも該当しない場合には、属性データは無しとなる。よって、本形態では、3種類の属性に分類可能となる。
【0043】
音声コンテンツ2に格納された情報は、音声処理部6に与えられるようになっている。そして音声処理部6には、音声テキスト変換部7が接続され、受け取った音声データの中でテキスト出力が必要なものは音声テキスト変換部7に音声データを渡し、そこにおいてテキストデータに変換するとともに、変換後のテキストデータを返送するようになってる。そして、音声処理部6は、その返送されたテキストデータを取得することにより、同一情報についてのテキストデータと音声データを取得することができる。
【0044】
この音声処理部6は、具体的な処理機能は後述するが、簡単に言うと音声コンテンツ2の属性データと環境情報を参照し、受け取った出力しようとする音声データの情報の出力機器(表示器11及びまたはスピーカー13)を決定し、その出力機器に対応した出力形式のデータを作成する機能を有する。つまり、スピーカー13のみに出力すれば良い場合には、音声コンテンツ2に格納された音声データをそのまま使用して出力することになり、表示器11を用いて出力する必要がある場合には音声テキスト変換部7によりテキストデータを生成させ、得られたテキストデータに基づいて表示器11から出力することになる。また、このことから、仮に表示器11のみに出力させた方が良い場合には、上記のようにしてテキストデータを生成したならば、音声部分は無音或いは「ピー」等の音を発生することにより対応できる。つまり、音声コンテンツ2と環境情報記憶部3に格納された各情報に基づいて、個々の情報に応じた出力機器を選択(1または両方)し、その出力機器に応じた出力形式のデータを生成することができる。そして、そのようにして生成した各出力形式のデータを出力バッファ8に与える。
【0045】
次に、音声処理部6の具体的な処理機能について説明する。この音声処理部6は、図10に示すフローチャートのようになっている。まず、音声コンテンツの1ブロックをとり込み、その属性データを取得する。そして、属性データがPrivateであるか否かを判断する(ST31,ST32)。属性データが「Private」でない場合には、音声を出力するスピーカー13のセキュリティ度の大小に関係なく、その音声データをスピーカー13に出力して良いので、取得した音声データを出力バッファ8の音声データ領域にコピーする(ST33)。
【0046】
次に、属性データが「Share」か否かを判断する(ST34)。つまり、属性が「Share」のデータは、予めテキストでの出力が必要と判断したものであるので、音声データからテキストデータを生成する必要があり、属性データが「Share」でない場合には、属性データが指定されていないことを意味するので、一方の出力機器で出力すれば足りると判断できる。従って、このステップ34の分岐判断でNoとなった場合には、ステップ35に進み、音声コンテンツのブロックの処理に移行する。つまり、音声コンテンツが終わりでない場合には、ステップ1に戻り、次のブロックに対しての処理に移行し、音声コンテンツが終わりの場合には処理を終了する。
【0047】
一方、ステップ34の分岐判断でYesの場合には、ステップ39に飛び、音声データをテキストデータに変換する。具体的には、処理中の音声データを音声テキスト変換部7に渡し、そこにおいて変換処理をして得られたテキストデータを取得する処理を行う。その後、取得したテキストデータを出力バッファのテキストデータ領域にコピーし(ST40)、ステップ35に進む。
【0048】
また、処理対象の音声データの属性データがPrivateの場合には、ステップ32の分岐判断でYesとなるので、ステップ36に飛び、環境情報からスピーカーセキュリティ度が表示器セキュリティ度よりも大きいか否かを判断する。スピーカーのセキュリティ度の方が大きい場合(Yes)には、音声データをそのまま出力すれば良いので、ステップ41に飛び、音声データを出力バッファの音声データ領域にコピーした後ステップ35に進み、そのブロック(音声データ)に対する処理を終了する。これにより、その音声データに対するテキストデータは生成されない。
【0049】
一方、表示器セキュリティ度の方が大きい場合には、ステップ36の分岐判断でNoとなるので、ステップ37に進み、環境情報のテキストセキュリティ度が0でないことを確認し(通常は「0」でない)、音声データの発声時間を計数し、出力バッファの音声データ領域に計数した音声発生時間分だけ「信号音(ピー)」を代入する。その後、ステップ39,40を実行し、音声データに対応するテキストデータを生成し、出力バッファ8のテキストデータ領域にコピーする。なお、ステップ37の分岐判断で、Yesとなった場合には、エラーとなり、音声出力不可メッセージを出力し処理を終了する。
【0050】
次に、具体例を用いて上記した機能を説明する。引用する具体例としては、環境情報としては、図11(a)に示すようにスピーカーの方がセキュリティが低いものとし、音声コンテンツ2に同図(b)に示すような音声データと属性データが対に格納されているとする。
【0051】
まず先頭のブロックの「あなたのこうざざんだかは」の属性データは「無し」であるので、ステップ32の分岐判断は「No」となり、ステップ33の処理を実行することにより、出力バッファ8の内部データを示す図11(c)の右欄の1番上のブロックに音声コンテンツに格納された音声データである「あなたのこうざざんだかは」が格納される。そして、ステップ34の分岐判断もNoであるので、ステップ39,40のテキストデータへの変換並びにコピー処理がないので、図11(c)の左欄の1番上のブロックに示すように、出力バッファには「あなたのこうざざんだかは」に対応するテキストデータは登録されない。
【0052】
そして、音声コンテンツ2には、次のブロックがあるので、ステップ35の分岐判断でNoとなり、ステップ31に戻り次の「じゅうまん」の音声データのブロックを読み出す。この音声データの属性データは、「Private」であるので、ステップ32の分岐判断はYesとなり、ステップ36に進む。そして、環境情報は表示器セキュリティ度の方が大きいとともに、「1」であるので、このステップ36,37の分岐判断は何れもNoとなる。
【0053】
従って、ステップ38を実施することにより、「じゅうまん」を発声するために要する時間分だけの信号音が、出力バッファ8の内部データを示す図11(c)の左欄の2番目のブロックに格納される。さらに、ステップ39,40を実施することにより、「じゅうまん」に対応するテキストデータとして「100,000」が得られ、そのテキストデータを図11(c)の左欄の2番目のブロックに格納する。
【0054】
さらに、音声コンテンツ2の3番目のブロックである「えんです」は、属性データが「Share」であるので、ステップ32の分岐判断はNoとなり、ステップ33を実行することにより、音声データである「えんです」が、そのまま出力バッファ8の内部データを示す図11(c)の右欄の3番目のブロックに格納される。さらに、ステップ34の分岐判断ではYesになるので、ステップ39,40を実施することにより、「えんです」に対応するテキストデータとして「円です」が得られ、そのテキストデータを図11(c)の左欄の3番目のブロックに格納する。
【0055】
次に、同期処理部9′の機能について説明する。この同期処理部9′は、出力バッファ8に格納されたデータを読み出し、所定の出力機器(表示器11,スピーカー13)に出力する制御を行うもので、具体的には、図12に示すフローチャートを実施する機能を有する。
【0056】
同図に示すように、まず、出力バッファ8から1ブロック取り出す(ST51)。そして、取得したブロックの音声データ領域に格納された音声データをスピーカーから出力させる(ST52)。次いで、そのブロックのテキストデータ領域にデータがあるか否かを判断する(ST53)。そして、データがない場合には、そのブロックの処理は終了し、次のブロックの処理に移行する(ST53,ST54)。
【0057】
一方、テキストデータ領域にデータが存在する場合には、ステップ55に進み、テキストデータをテキスト出力処理部10に渡し、表示器11の所定位置に、当該テキストデータを出力表示する。このとき、対応するテキストデータ領域に該当する表示部分を強調表示する。強調表示は、例えば反転表示させたり、色を変えるなど、各種の方式をとり得る。そして、係る具体的な強調処理は、テキスト出力処理部10が実行する。そして、音声出力の停止と同期して強調表示も停止する(ST56,ST57)。
【0058】
本形態におけるスピーカー13は、周囲の第三者にも聞こえてしまう開放型タイプのもので、セキュリティが必要なデータ部分(「100,000」)は、セキュリティが守られる表示器11のみに出力される。
【0059】
上記した実施の形態及び具体例では、何れもセキュリティに着目した例を示したが、本発明はセキュリティ対応以外のものにも有効に適用できる。一例を示すと、音声コンテンツ2に格納されたデータが、図13に示すようになっているとする。
【0060】
すると、この音声コンテンツが音声処理部6に与えられることにより、属性データが「Share」となっている2番目と5番目のデータについては、テキストデータも生成される。また、その他の音声データについては、属性データがないので、出力バッファ8には音声データのみコピーされ、テキストデータはない。よって、出力バッファ8内に格納される具体的なデータは、図14に示すようになる。
【0061】
その結果、同期処理部9が出力バッファ8を読み出すことにより、スピーカー13からは、音声データが出力バッファ8の先頭ブロックから順に再生出力される。つまり、音声により「A会場への道順は、B駅北出口から北へ、3つ目の信号を右折し、次の信号を左折し、50Mです。電話番号は、075−957−XXXXです。」と、出力される。そして、このとき表示器11には図15に示すように所定のテキストデータが表示され、対応する部分が音声出力されている間は、そのブロックに対応するテキストデータ部分が強調表示される。
【0062】
このように、道順などは一度音声で聞いただけではわかりにくいものであっても、テキストで表示することにより利用者に確実に情報を伝達させることができる。
【0063】
なお、上記した各実施の形態では、何れもテキストコンテンツ1と音声コンテンツ2の一方のみ備えた例を説明したが、本発明はこれに限ることはなく、両者を組み合わせた構成でももちろんよい(図16参照)。この場合に、同期処理部9″は、第1,第2の実施の形態の同期処理部9,9′の両方の機能を持たせ、出力バッファ8に格納されたデータがどちらのテキスト処理部から格納された情報かに基づいて使用する処理機能を切り替えるようにする。また、上記した各実施の形態並びに変形例では、出力機器は2個としたが、3個以上でももちろん良い。
【0064】
さらにまた、本発明のシステムは、ATMや各種の情報を提供する情報提供端末などに組み込むことができる(もちろん他の装置に組み込んでも良い)が、係る組み込んだ装置本体側で、出力機器に出力しようとするデータを各コンテンツに格納する機能を持つ。そして、組み込むための元のデータは、別のデータベースに格納し、ブロック単位で読み出すとともに、所定の順番でテキストコンテンツ1や音声コンテンツ2に格納することになる。また、上記データベースに格納するデータも、出力機器に応じたデータ(音声データ/テキストデータ)と属性データの対にすると良い。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、この発明では、出力データに関連付けた属性データと、出力デバイスの環境情報に基づいて使用する出力デバイスを決定するようにしたため、出力デバイスの変更などの使用環境が変わったとしても、用意した出力データ内容は変更することなく、その使用環境に合った出力デバイスを選択し、出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る情報出力システムの第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】テキストコンテンツの内部データ構造の一例を示す図である。
【図3】環境情報記憶部の内部データ構造の一例を示す図である。
【図4】出力バッファの内部データ構造の一例を示す図である。
【図5】テキスト処理部の機能を説明するフローチャートである。
【図6】作用を説明する図である。
【図7】同期処理部の機能を説明する図である。
【図8】本発明に係る情報出力システムの第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図9】音声コンテンツの内部データ構造の一例を示す図である。
【図10】音声処理部の機能を説明するフローチャートである。
【図11】作用を説明する図である。
【図12】同期処理部の機能を説明する図である。
【図13】音声コンテンツに格納されるデータの具体例を示す図である。
【図14】図13に示す具体例に基づいて作成し格納された出力バッファのデータを示す図である。
【図15】図13に示す具体例に基づいて生成され、表示器に出力される表示例を示す図である。
【図16】本発明に係る情報出力システムの変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 テキストコンテンツ
2 音声コンテンツ
3 環境情報記憶部
4 テキスト処理部
5 テキスト音声変換部
6 音声処理部
7 音声テキスト変換部
8 出力バッファ
9,9′,9″ 同期処理部
10 テキスト出力処理部
11 表示器
12 音声出力処理部
13 スピーカー
Claims (3)
- 異なる種類の出力デバイスである表示器またはスピーカーに対し、各出力デバイスの形式にあわせた出力データを出力する情報出力システムであって、
少なくとも一方の出力デバイス用の出力データと、その出力データの属性情報を関連付けて記憶する出力情報記憶部と、
前記各出力デバイスの環境情報を記憶する環境情報記憶部と、
前記出力情報記憶部に格納された前記出力データを出力するに際し、前記属性情報と前記環境情報に基づいて、前記出力データを出力する出力デバイスを決定するとともに、前記決定した出力デバイス用の出力データを生成するデータ処理手段と、
前記データ処理手段で生成された出力データを対応する出力デバイスに向けて出力する出力手段とを備え、
前記データ処理手段は、前記決定した出力デバイスが前記出力情報記憶部に記憶されている出力データに関連付けられている出力デバイスと異なる場合に、前記出力データの出力形式を前記決定した出力デバイスの出力形式に変換する変換機能を備え、
前記属性情報は、ある出力デバイス用に用意した出力データを他の出力デバイス用の出力データに変換するか否かを決定するための判断材料となる情報であり、
前記環境情報は、出力デバイスの形態,設置環境,セキュリティの程度の少なくとも1つを含む情報である
ことを特徴とする情報出力システム。 - 前記環境情報が、出力デバイスのセキュリティの程度を表すものの場合、前記属性情報は、少なくともセキュリティの必要なデータであることを特定するものである請求項1に記載の情報出力システム。
- 前記属性情報は、複数の出力デバイスで出力したほうが良いことを示すものである請求項1または2に記載の情報出力システム。
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