JP3818215B2 - 高強度鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、熱間圧延後ないしは引続き加速冷却又は直接焼入れした後、焼戻し処理を行う高強度鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パイプラインや構造物において、材料特性に対する仕様が厳しくなってきている。特にこれら用途における高精度設計により、ますます狭いレンジの強度(狭強度レンジ)の鋼板が要求されるようになってきている。これに対して、鋼板の材料特性のバラツキを小さくするため、製造条件の厳格管理等、生産管理面での対応が図られてきた。それに加えて、個々の鋼板の板内における材料特性のバラツキについても、低減することが望まれている。
【0003】
一般に、鋼板の板内での材料特性のバラツキとしては、次のようなものがある。
▲1▼ オーステナイト未再結晶域や2相域で圧延すると、長手方向端部の強度が中央部に比較して高くなりやすい。
▲2▼ 圧延後に加速冷却する場合、長手方向端部が過冷されやすく、長手方向端部の強度が中央部に比較して高くなりやすい。
▲3▼ 直接焼入れの場合は、水冷開始までに長手方向端部が温度低下し、焼入れ温度が確保できなくなるためかえって強度が低下する場合もある。
▲4▼ 制御圧延、加速冷却、又は直接焼入れ等の圧延以降のプロセスに因らず、圧延前の加熱炉でスラブの長手方向端部が過加熱されたことに起因して、長手方向端部の強度が中央部に比較して高くなる場合もある。
【0004】
これらのバラツキを低減するための対策としては、鋼板の強度が、全体的あるいは部分的に高すぎた場合は、焼戻し処理により軟化させることが従来から行われていた。この焼戻し処理は、鋼板をガス燃焼炉に装入してバッチ処理するか、トンネル炉に通板させることにより実施されている。この方法は、一般に焼き戻し前の強度が高い部分の方が焼戻しによる軟化量が大きいので、焼戻し後の強度の差が縮まることを利用している。
【0005】
その他、製造条件を限定することにより、バラツキを低減することも試みられている。例えば、特開平09-003537号公報には、高生産性、高歩留りで製造可能な鋼板内の材質均一性に優れた加速冷却型鋼板が提案されている。その技術は、鋼片を加熱してその全長の内部温度が950〜1120℃に達した時点で抽出し、再結晶温度域で圧下率30%以上の粗圧延を行い、仕上圧延中またはその後の熱間矯正により鋼板先端反りを制御して平坦に仕上げ、鋼板長さ中央部の平均ベイナイト生成量が10〜60%となる冷却速度範囲で鋼板表面温度600℃以下まで水冷するというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の焼戻し処理による方法では、仮に強度差は縮まるとしても、軟化させる必要のない部分まで軟化するため、強度のバラツキの低減には限度がある。また、強度のバラツキを低減させるための焼戻し処理により、場合によっては規定の強度を下回ってしまうという事態も発生する。
【0007】
また、特開平09-003537号公報記載の技術では、仕上圧延中またはその後の熱間矯正により鋼板先端反りを制御して平坦に仕上げとあるが、熱間矯正機が隣接してなければならないし、たとえ有ったとしても、矯正していると圧延仕上温度の確保や加速冷却開始温度の確保が難しくなりなるという問題がつきまとう。
【0008】
また、ベイナイト生成量を所定範囲(10〜60%)に限定することで、材料特性のバラツキが縮小できるとのことであるが、一般に2相組織鋼では、第2相体積率のバラツキにより強度が大きく変動する。そのため、バラツキを縮小するためには第2相体積率を高精度で制御する必要があり、実際に製造するのはかなり困難と予想される。
【0009】
このように、従来技術では高強度鋼板の材料特性のバラツキは不可避であり、特に長手方向の端部の硬化を防止すること、あるいは硬化部分を縮小することは困難であった。そのため、狭いレンジの強度(狭強度レンジ)が要求される場合は、硬化部分を大量に切捨てて出荷せざるを得ず、製品の歩留りを大幅に低下させていた。
【0010】
本発明は以上の問題点を解決し、強度の低下を防止しつつ、強度のバラツキを低減させ、あるいは長手方向端部の硬化部分を縮小させることが可能な高強度鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、次の発明により解決される。その発明は、熱間圧延後ないしは引続き加速冷却又は直接焼入れした後、焼戻し処理を行う高強度鋼板の製造方法において、仕上圧延をAr3+160〜Ar3-120℃の温度範囲内で終了し、その後ないしは引続き加速冷却又は直接焼入れを行った後、鋼板の長手方向で加熱条件を変化させて焼戻し処理を行うことを特徴とする高強度鋼板の製造方法である。
【0012】
この発明は、制御圧延等、あるいはそれに引続き加速冷却又は直接焼入れ(以下、加速冷却等とよぶ)を行った場合について、鋼板の長手方向の強度を均一化する技術を検討した結果なされた。特に、仕上圧延をオーステナイトの低温域ないしは2相域で行った場合、長手方向端部の硬化(強度上昇)が発生しやすく、この点に注目して検討を行い得られた知見に基づくものである。
【0013】
この発明では、仕上温度は、高強度化を図る目的でAr3+160〜Ar3-120℃の範囲内とするが、この温度範囲は長手方向端部の硬化(強度上昇)が発生しやすい範囲でもある。材質面においても、仕上温度がAr3+160〜Ar3の範囲は、オーステナイトの部分再結晶温度域であり、圧延温度により再結晶率が異なる。すなわち、板の長手方向で温度が不均一であると板内で再結晶率が異なり、ひいては、強度の不均一に繋がる。仕上温度がAr3-120℃〜Ar3の温度域はオーステナイト/フェライト2層域であり、圧延によりフェライト相に加工歪を導入し強度upを図れる。板の長手方向で温度が不均一であると、導入される歪も不均一で、著しい強度の不均一を招く。
【0014】
仕上温度がAr3+160℃を超える温度では、Si-Mn鋼はもちろんNb添加鋼においても再結晶温度であり、Top端/Bottom端とMidlle部で20〜30℃の温度差があっても、ほぼ一様な組織となる。従って、この温度域では、発明の製造方法を用いなくても大きな強度差には至らない。一方、仕上温度がAr3-120℃より低い温度では、過度の加工歪が導入され、延性、靭性の劣化が著しく、ラインパイプ用鋼や構造用鋼の圧延温度には適さない。以上より、本発明では圧延仕上温度をAr3+160〜Ar3-120℃に限定した。
【0015】
仕上圧延に引続き加速冷却又は直接焼入れを行い、合金成分によっては空冷ままで、ベイニティックフェライト(アシキュラーフェライト)等の急冷組織あるいはベイナイト等の低温変態組織を得る場合もある。加速冷却又は直接焼入れでは、冷却開始温度,冷却速度,冷却停止温度の制御により低温変態組織の量を制御するのであるが、冷却帯を鋼板が通過する形式の冷却設備ではTop,Middle,Bottom部で冷却開始温度,冷却速度,冷却停止温度を均一化するのは困難である。また、冷却帯の中に鋼板全体を一斉に入れる方式やドブ漬け方式でも、Top,Middle,Bottom部で冷却速度,冷却停止温度を均一化するのは困難である。
【0016】
すなわち、仕上温度がAr3+160〜Ar3-120℃の範囲内では、圧延ままでもさらに引き続き急冷する場合でも、鋼板の長手方向の強度は不均一となる。一般には、鋼板長手方向の端部が硬化するが、水冷開始温度が低下して強度が低下する場合(特に鋼板後端部)もある。そのため、従来技術のように焼戻し処理を行うと、強度のバラツキが避けられない。そこでこの発明では、鋼板の長手方向で加熱条件を変化させて焼戻し処理を行う。
【0017】
この発明の焼戻し処理で、加熱条件を変化させるというのは、長手方向に沿って条件を変化させて加熱しても、あるいは一部分のみ加熱して他の部分については加熱せず保温ないしは自然放冷としてもよい。このようにして、強度の高くなった部分を選択的に焼戻すことにより、焼戻し処理後の強度のバラツキを縮小できる。
【0018】
上記の発明に基づき、さらに、焼戻し処理の加熱条件を変化させる際、長手方向の端部をその他の部分より高い温度に加熱することを特徴とする高強度鋼板の製造方法とすることもできる。また、焼戻し処理の加熱条件を変化させる際、鋼板の長手方向端部のみを加熱してもよい。
【0019】
これらの発明は、上記の発明において、特に、強度が高くなりがちな長手方向端部について、焼戻し処理の加熱条件を規定したものである。長手方向の端部を、それ以外の部分の温度以上に加熱することにより、強度を均一化することができる。この発明でも、長手方向の端部の加熱を他の部分より強化してもよく、あるいは端部のみ加熱して、他の部分については加熱せず保温又は自然放冷としてもよい。
【0020】
焼戻し処理方法の発明としては、以上の発明において、焼戻し処理を誘導加熱により行うこともできる。
【0021】
この発明は、焼戻し処理において誘導加熱を用いることにより、鋼板の限定した部分のみを加熱することができる。従って、長手方向で強度上昇の予想される一部のみを加熱し、あるいは、他の部分より高温に加熱することにより、鋼板の長手方向の強度を均一化することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
鋼板の製造においては、目標とする規格に応じた化学成分の鋼であればとくに限定せず、用いることができる。また、転炉法、電炉法等の鋼の溶製方法や、連続鋳造、造塊法等のスラブの製造方法についても適宜選択できる。
【0023】
圧延については、強度と靭性のバランス等の観点からは、制御圧延法により製造することが好ましい。その場合、スラブ加熱温度は、Nb等の微量添加元素が固溶するよう好ましくは1000℃以上とし、オーステナイト粒の粗大化を防ぐため好ましくは1250℃以下とする。また、オーステナイトの未再結晶域の合計圧下率(CR圧下率)を15%以上とすることが、組織微細化による低温靭性向上の観点から好ましい。
【0024】
圧延後は、空冷(制御圧延まま)とするか、あるいは引続き加速冷却又は直接焼入れを行う。その際、加速冷却又は直接焼入れの開始温度は、ポリゴナルフェライトの生成を防止する場合には、少なくともAr3-50℃以上とすることが好ましい。冷却停止は、狙いの強度と成分から決定されるが、650℃より高い停止温度ではポリゴナルフェライト組織となってしまう。したがって、急冷停止温度は、室温以上650℃以下の範囲が好ましい。
【0025】
その後、インライン又はオフラインで、誘導加熱装置を用いて鋼板に急速加熱の焼戻し処理を施すことができる。この場合、誘導加熱装置は、ソレノイド型の誘導加熱コイルを用いて、磁束が鋼板の板面に平行となるように配置することが望ましい。
【0026】
加熱条件の変化あるいは部分的な加熱による焼戻し処理を実施するには、ある長さの誘導加熱装置の中に鋼板を通板させる方法が、作業効率の観点から好ましい。その場合は、所定の速度で鋼板を通板させて、鋼板位置に合わせて誘導加熱コイルの電流を変化させ、あるいは加熱が必要な鋼板位置が通過している時に誘導加熱コイルに電流を流せばよい。
【0027】
誘導加熱の条件は、鋼板のサイズや焼戻し温度または作業効率を考慮して任意に設定できるが、高効率でかつ鋼板中心部まで十分な焼戻し処理を行うためには、周波数2000Hz以下、電力密度500W/cm2以下の条件で加熱焼戻しを行うことが望ましい。以下にこの誘導加熱条件の説明を行う。
【0028】
周波数:2000Hz以下
ソレノイド型の誘導加熱装置は鋼板表層部のみが加熱され、鋼板内部は熱伝導によって加熱されることになる。ここで、周波数が低い誘導加熱コイルを用いれば、誘導加熱時の浸透深さ(発熱する領域の深さ)が深くなるため、鋼板内部までを容易に加熱できる。しかし、周波数が2000Hzを超えると、浸透深さが小さくなり、極表層部のみのしか加熱されないため、鋼板中心部まで十分に焼戻しを行うことができない。また、鋼板表層部が過度に加熱されて、加速冷却または直接焼入れによって生じたベイナイトまたはマルテンサイト組織が逆変態するため、表層部の強度が著しく低下する。よって、誘導加熱の周波数は2000Hz以下に規定する。
【0029】
電力密度:500W/cm2以下
誘導加熱での電力密度とは、誘導加熱装置の出力(電力量)を加熱される部分の鋼板表面積で除した値であり、電力密度が大きいほど鋼板を高温まで短時間に加熱することが可能であるため、熱処理効率が極めて高くなる。しかし、電力密度が500W/cm2を超えると、表層部のみが加熱されるため、鋼板中心部を十分に焼き戻すことができなくなる。よって、誘導加熱時の電力密度は500W/cm2以下に規定する。
【0030】
誘導加熱装置による焼戻しを行う場合、誘導コイルの容量やサイズは、加熱する鋼板の形状に合わせて任意に設定することができる。また、誘導加熱コイルを複数台並べて連続的に鋼板を通過させて焼戻しを行ったり、また、鋼板を誘導加熱コイルの中を往復させて複数回の加熱を行うことも可能である。
【0031】
また、鋼板長手方向の一部(端部)のみ焼戻しする場合は、所定の速度で鋼板を通板させる代わりに、必要な鋼板位置を誘導加熱装置の中に移動させて、停止ないしは低速で通板しつつ加熱してもよい。さらに、誘導加熱コイルの電流は変化させず一定としてもよく、その場合電流制御装置を簡略化することができる。
【0032】
焼戻しが必要な鋼板長手方向の端部としては、少なくとも端部から300mmの範囲であり、鋼板の板厚や圧延後の冷却条件(空冷、加速冷却等)により、従来知見に基づいてその範囲を決定すればよい。
【0033】
また、端部の冷却開始温度が低下して逆に強度が低下する場合についても、板厚や冷却開始温度、冷却条件等を基に、従来知見に基づいて加熱条件を変化させる範囲を決定することができる。
【0034】
【実施例】
本発明の実施例について述べる。表1に示す化学成分の鋼A〜Dを、溶製してスラブに鋳造し、加熱炉で加熱後、制御圧延を行って種々の圧延条件の鋼板をそれぞれ2枚ずつ製造した。
【0035】
【表1】
【0036】
圧延後の鋼板は、空冷、加速冷却、あるいは直接焼入れし、板幅1/2で条切りして、片方の半幅の鋼板について焼戻し処理を行った。焼戻し処理は、各圧延条件の鋼板2枚の内、1枚は誘導加熱により、他の1枚は比較のため雰囲気炉加熱により実施した。以上の製造条件を表2に示す。なお、製造条件は、圧延鋼板の中央部(長手方向かつ板幅方向の中央)で測定した実測値である。ここで、板番号は鋼種A〜Dと数字1,2で示し、1は本発明の焼戻し処理、2は従来法の雰囲気炉加熱による焼戻し処理をそれぞれ示す。
【0037】
【表2】
【0038】
発明法では、ソレノイド型の誘導加熱装置を用いて焼戻し熱処理を行った。長手方向端部の硬化が予想された鋼板A〜Cについては、誘導加熱装置の中を所定の速度で通板させ、長手方向端部の所定の範囲だけ誘導コイルに電流を流して加熱した。逆に、長手方向端部の強度が低くなると予想された鋼板Dについては、全長にわたって誘導コイルに電流を流して加熱し、鋼板中央部が通過する際の出力を増加させることで、焼戻し温度を長手方向端部より高く設定した。
【0039】
このときの誘導加熱コイルの周波数は500Hzとし、電力密度は鋼板A〜C、及び鋼板Dの端部以外については200W/cm2、鋼板Dの端部については350W/cm2の条件で誘導加熱を行った。焼戻し温度は、誘導加熱直後で鋼板の表層と中心が一定になったとき(加熱終了後約5秒経過したとき)の鋼板表面温度とした。
【0040】
従来法では、焼戻し処理は雰囲気加熱のため長手方向全長について同一条件である。焼戻し温度を発明法における長手方向端部と同じ温度になるように設定した。また、このとき鋼板温度が所定の温度に達した後1分間の温度保持を行い、その後炉から取り出し空冷によって室温まで冷却した。
【0041】
その後、鋼板の長手方向の数箇所について、引張試験により強度を調査した。なお、焼戻し前の試験片は、残りの半幅の鋼板から採取した。試験の結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
焼戻し前の各鋼板における長手方向の強度のバラツキは、鋼板A ,B,Cではそれぞれ約40,50,60MPa端部が高くなっている。これとは逆に、直接焼入れした鋼板Dでは、長手方向の圧延後端部の強度が焼入開始温度の低下のため約90 MPa低くなっている。なお、表3の長手端部からの距離で、0mmは圧延ままの板から板採りをする際、最も幅広に矩形の板採りが可能となる切断ラインの位置を示す。
【0044】
焼戻し後は、本発明法による場合、長手方向の強度のバラツキは、鋼板A1,B1,C1でそれぞれ8,11,19MPaに縮小し、また、鋼板Dでは長手中央部を軟化させることにより、バラツキが焼戻し前の90 MPaから38MPaまで縮小している。
【0045】
これに対して、従来法の炉加熱により焼戻しを行った場合、鋼板長手方向全長に亘って強度が低下するため、強度のバラツキは焼戻し前に比べて多少縮小するものの、鋼板A2,B2,C2でそれぞれ34,27,37MPaであり、、本発明法に比べて強度の均一化が不十分である。
【0046】
また、鋼板Dの場合は、焼戻し温度が低く鋼板中央部の強度が低下しないため、強度のバラツキは78 MPaであり、焼戻し前の85 MPaに対して強度の均一化はわずかである。なお、焼戻し温度を発明法の中央部と同じ660℃にした場合は、長手方向端部の強度が目標以下に低下してしまう。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、加速冷却又は直接焼入れの後、鋼板の長手方向で加熱条件を変化させて焼戻し処理を行うことにより、強度を大幅に均一化することができる。その結果、従来不均一部分としていた長手方向端部の切捨てが不要あるいは減少し、製品の歩留りが大幅に向上し、また、狭強度レンジの要求に対応する鋼板の供給が可能となる。
Claims (3)
- 熱間圧延後ないしは引き続き加速冷却又は直接焼入れした後、誘導加熱により焼戻し処理を行う高強度鋼板の製造方法において、仕上げ圧延をAr3+160℃〜Ar3−120℃の温度範囲内で終了し、その後ないしは引き続き加速冷却または直接焼入れを行った後、焼戻し前の鋼板の長手方向の強度バラツキに比して、焼戻し後の鋼板の長手方向の強度バラツキが均一化するように、鋼板位置に合わせて、鋼板の長手方向で誘導加熱コイルの電流を変化させて焼戻し処理を行うことを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
- 鋼板の長手方向で誘導加熱コイルの電流を変化させる際、鋼板の長手方向の端部をその他の部分より高い温度に加熱するように変化させることを特徴とする請求項1記載の高強度鋼板の製造方法。
- 鋼板の長手方向で誘導加熱コイルの電流を変化させる際、鋼板の長手方向の端部のみを加熱するように変化させることを特徴とする請求項1記載の高強度鋼板の製造方法。
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