JP3818101B2 - 電気集塵装置およびそれを用いた送風装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気中の塵埃などを捕集する電気集塵装置に関するものであり、より詳しくは空気調和機や空気清浄機などに用いることができる集塵効率の高い電気集塵装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
電気集塵装置は主としてコロナ放電を発生して通過する塵埃粒子を帯電させる機能を持つ荷電部と、帯電または凝集した塵埃粒子を捕集する集塵部とからなり、ユニットとして構成されて空気調和機の室内機の空気吸込み口や、空気清浄機の空気吸込み口に設置されてその用に供している。
【０００３】
従来の電気集塵装置に関しては特開平１１−１５１４５２号公報の発明が挙げられる。これは図１１に示す様に荷電部５０１を構成する放電電極５０３と対向電極５０４との間に電圧印加してコロナ放電を発生させ、そこに送風されてきた空気中に浮遊する塵埃が帯電され、それを送風回路後方に配置され、接地電極５０５と高圧電極５０６で構成された集塵部５０２において電気的に捕集するように構成されたものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、荷電部を放電電極と対向電極で、また集塵部を接地電極と高圧電極で構成するという、いわゆる２段荷電方式であるために、電源を放電電極部と対向電極部、および接地電極部と高圧電極部に供給しなければならず、構成が複雑になるという課題を有していた。
【０００５】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、電気集塵において簡易的な構成である１段荷電方式により効率的に塵埃を帯電させると共に、ユニットから外部空間への放電による帯電現象を抑制した電気集塵装置を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、本発明の電気集塵装置は、高電圧が印加される針状放電電極と接地電極とから構成される荷電部と、集塵フィルターから構成される集塵部と、前記荷電部と前記集塵部とが外枠により一体化され形成された集塵ユニットとを備え、前記接地電極は、前記集塵フィルターと接触配設される第一の接地電極と、前記針状放電電極の周囲を取り囲むように配設され、かつ第一の接地電極と電気的に接続される第二の接地電極とから構成されるとともに、隣り合う前記第二の接地電極間に仕切り板を設けたものである。
【０００７】
また本発明の電気集塵装置は、針状放電電極の吸い込み側上部の外枠に針状放電電極を覆う遮蔽板を設けたものである。
【０００８】
また本発明の電気集塵装置は、針状放電電極の先端部分を第一の接地電極側に折り曲げたものである。
【０００９】
上記構成により、針状放電電極に高圧電位を、また第一と第二の接地電極に接地電位を印加することにより、放電電極と接地電極の間でコロナ放電が形成され、このコロナ放電領域を空気が通過する際に空気中に含まれる微粒子を帯電させ、この帯電した微粒子が下流側に配置された集塵フィルターで効率良く捕集され、集塵効率の高い電気集塵装置を提供することができる。
【００１０】
また、針状放電電極の上部に遮蔽板を設けたり、また針状放電電極の先端部分を折り曲げることにより、針状放電電極から集塵ユニット外部への放電を抑制し、集塵装置以外の物体への帯電現象を抑えることができるので、安全また安心な電気集塵装置を提供するこ
とができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
請求項１に記載の発明は、高電圧が印加される針状放電電極と接地電極とから構成される荷電部と、集塵フィルターから構成される集塵部と、前記荷電部と前記集塵部とが外枠により一体化され形成された集塵ユニットとを備え、前記接地電極は、前記集塵フィルターと接触配設される第一の接地電極と、前記針状放電電極の周囲を取り囲むように配設され、かつ第一の接地電極と電気的に接続される第二の接地電極とから構成されるとともに、隣り合う前記第二の接地電極間に仕切り板を設けたものである。
【００１２】
そしてこの構成によれば、荷電部において、針状放電電極と第一の接地電極との間と、また、針状放電電極とその周囲に設置されている第二の接地電極との間の両方の空間にてコロナ放電が形成されるので、より広範囲な放電領域を形成することができる。そのため、吸い込み空気が集塵ユニットを通過する際に、その空気中に含まれる微粒子を効率良く帯電させることができ、下流側に配置されている集塵フィルターで高効率に微粒子を捕集することができる。また、荷電部の各々のブロック間には仕切り板が設けられているため、針状放電電極からのコロナ放電が、お互いに干渉しないようにできる。
【００１３】
また、請求項２に記載の発明は、第二の接地電極を導電性を有する樹脂材料で構成し、外枠の表面に配設あるいは外枠と一体成形したものである。
【００１４】
そしてこの構成によれば、導電性樹脂である第二の接地電極との間においてもコロナ放電が形成されるとともに、樹脂で構成されるために第二の接地電極の形状の自由度を大きくとることができ、また、外枠と一体化することもできる。
【００１５】
また、請求項３に記載の発明は、外枠に針状放電電極を覆う第一の遮蔽板を設けたものである。
【００１６】
そしてこの構成によれば、針状放電電極からの集塵ユニットの外側、つまり吸い込み側上部空間への放電が、第一の遮蔽板があることにより抑制される。従って、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができる。
【００１７】
また、請求項４に記載の発明は、第一の遮蔽板の周囲内側に遮蔽壁を設けたものである。
【００１８】
そしてこの構成によれば、針状放電電極からの集塵ユニットの外側、つまり吸い込み側上部空間への放電が、第一の遮蔽板と、およびその周囲内側に設けられている遮蔽壁により、確実に抑制される。従って、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象をより抑えることができる。
【００１９】
また、請求項５に記載の発明は、針状放電電極の先端を第一の接地電極側に折り曲げたものである。
【００２０】
そしてこの構成によれば、針状放電電極と第一の接地電極および第二の接地電極との間においてコロナ放電が形成されると共に、針状放電電極の先端部分を第一の接地電極側に折り曲げているために、放電電極から集塵ユニット外部空間への放電が小さくなる。従って、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象をより抑えることができる。
【００２１】
また、請求項６に記載の発明は、針状放電電極の先端を第一の接地電極側に折り曲げる
と共に、針状放電電極の先端付近で針状放電電極と接合される第二の遮蔽板を設けたものである。
【００２２】
そしてこの構成によれば、針状放電電極と第一の接地電極および第二の接地電極との間においてコロナ放電が形成されると共に、針状放電電極の先端付近に第二の遮蔽板を設けたことにより、放電電極から集塵ユニット外部空間への放電を抑制される。従って、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができる
また、請求項７に記載の発明は、集塵ユニットに対して、集塵部が着脱可能に構成されたものである。
【００２３】
そしてこの構成によれば、集塵部の集塵ユニットの着脱が可能なため、長期間の使用に伴って集塵ユニットに汚れが付着したときに、集塵ユニットの洗浄や交換などのメンテナンスをすることができる。
【００２４】
また、請求項８および請求項９に記載の発明は、本電気集塵装置を空気調和装置または空気清浄装置に適用し、電源・制御を供給するようにしている。
【００２５】
以下本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【００２６】
（実施の形態１）
第１の実施の形態について、図１を用いて説明する。図１は、第１の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図である。
【００２７】
ステンレスなどで構成されるニードル形状の針状放電電極２が複数個、高圧接続板６に取り付けられ高圧側接点７Ａへ接続されている。各々の針状放電電極２の周囲には、ステンレスなどの金属材料で構成された第二の接地電極４が配設されると共に、針状放電電極２の下流側には、吸い込み空気が通過できるように通風抵抗が小さくステンレスなどの金属材料で構成されるメッシュ形状の第一の接地電極３が配設されており、第一の接地電極３と第二の接地電極４は電気的に接続され、接地側接点８Ａへ接続されている。この針状放電電極２と第一の接地電極３および第二の接地電極４とで荷電部を構成し、この空間でコロナ放電を形成している。
【００２８】
吸い込み空気が容易に通過でき集塵効率の高い形状として、ハニカム形状の集塵フィルター５で集塵部を構成し、第一の接地電極３と接触するように配設されている。
【００２９】
また、荷電部の各々のブロック間には、針状放電電極２からのコロナ放電が、お互いに干渉しないように仕切り板１４が設けられている。これら荷電部と集塵部は外枠１０により一体化されると共に、外枠１０には取手９が接合され集塵ユニット１を構成している。
【００３０】
集塵ユニット１は、集塵ユニット１への電源供給を行う電源ユニット５０と着脱可能なようにできており、取手９を持って着脱を行う。電源ユニット５０には、電源１１が組み込まれており、高圧電位は高圧接続線１２を経て高圧側接点７Ｂに接続され、一方、接地電位は接地接続線１３を経て接地側接点８Ｂに接続されている。集塵ユニット１と電源ユニット５０は装着時は、お互いの接点、つまり、高圧側接点７Ａと７Ｂ、接地側接点８Ａと８Ｂが電気的に接続されるような構造になっている。
【００３１】
上記のような構成において、電源ユニット５０の電源１１より高圧側に負の電圧が印加されると、荷電部における針状放電電極２と第一の接地電極３の間、および針状放電電極２と第二の接地電極４との間でコロナ放電が形成される。このコロナ放電領域に吸い込み側から流入してきた空気が通過すると、その際空気中に含まれる微粒子を帯電させる。そ
して、この帯電した微粒子が集塵部である集塵フィルター５を通過する際に、集塵フィルター５に効率良く捕集される。
【００３２】
本実施の形態では、高圧側を負に印加させ微粒子を負に帯電させているが、逆に高圧側を正に印加し微粒子を正に帯電させてもよい。高圧側を負に印加すると、空気イオンを負に帯電させることができるため、マイナスイオンを発生させることができる。このマイナスイオンは人体に対してリラックス効果があるといわれている。
【００３３】
なお、本実施の形態では、第一の接地電極３の形状としてメッシュ形状を用いているが、接地電極の形状としては、流入空気が通過でき、かつ針状放電電極２との間でコロナ放電が形成されるものであれば、いかなる形状のものでもよい。例えば、複数の円形あるいは四角形の開口部を有する板状形状のもの、あるいは、スリット形状のものや格子形状のようなものでもよい。
【００３４】
また、本実施の形態では、集塵ユニット５としてハニカム形状でできたフィルターを用いているが、フィルター形状としては、流入空気が通過でき、かつ第一の接地電極３と接触できるものであれば、いかなる形状のもでもよい。例えば、プリーツ形状の集塵フィルターでもよい。
【００３５】
（実施の形態２）
次に、第２の実施の形態について、図２を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図２は本発明の第２の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図である。
【００３６】
荷電部における接地電極を第一の接地電極３と、針状放電電極２の先端より外側に配設された第三の接地電極１５より構成し、第一の接地電極３と第三の接地電極１５とは電気的に接続されている。
【００３７】
電源ユニット５０より電圧が印加されると、針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第三の接地電極１５との間でコロナ放電が形成され、このコロナ放電領域を空気が通過する際に、空気中に含まれる微粒子を帯電させ、集塵フィルター５で帯電した微粒子を効率良く捕集することができる。
【００３８】
（実施の形態３）
次に、第３の実施の形態について、図３および図４を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図３および図４は本発明の第３の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図である。
【００３９】
図３において、荷電部の接地電極を第一の接地電極３と、導電性の樹脂材料から構成される第二の接地電極１６より構成し、第一の接地電極３と導電性樹脂でできた第二の接地電極１６とは電気的に接続されている。また、図４においても同様に、荷電部の接地電極を第一の接地電極３と、導電性樹脂でできた第三の接地電極１７より構成されている。
【００４０】
これら導電性樹脂でできた第二の接地電極１６および第三の接地電極１７は、集塵ユニット１の外枠１０の表面に配設されるかあるいは外枠１０と一体化されている。
【００４１】
電源ユニット５０より電圧が印加されると、針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第二の接地電極１６との間で、また同様に針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第三の接地電極１７との間で、コロナ放電が形成される。このコロナ放電領域を空気が通過する際に、空気中に含まれる微粒子を
帯電させ、集塵フィルター５で帯電した微粒子を効率良く捕集することができる。
【００４２】
このように、第二の接地電極１６および第三の接地電極１７を導電性樹脂で構成することにより、金属に比べて形状の自由度を大きくとることができ、外枠１０の表面に配設したり、あるいは外枠１０と一体化できるなどの形状的な自由度が大きく、また樹脂で構成されるために製造上もより簡便である。
【００４３】
（実施の形態４）
次に、第４の実施の形態について、図５および図６を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図５は本発明の第４の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図、図６は本発明の第４の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図である。
【００４４】
針状放電電極２の吸い込み側上部に、針状放電電極２を覆う第一の遮蔽板１８を外枠１０に設けている。荷電部において、コロナ放電は針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第二の接地電極４との間で形成されるが、針状放電電極２から吸い込み側上部空間への放電も一部存在している。このとき、第一の遮蔽板１８を外枠１０に設けることにより、針状放電電極２から吸い込み側上部空間への放電が第一の遮蔽板１８により抑制され、その結果、吸い込み側上部空間にある他の物体への帯電現象を抑えることができる。
【００４５】
（実施の形態５）
次に、第５の実施の形態について、図７および図８を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図７は本発明の第５の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図、図８は本発明の第５の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図である。
【００４６】
針状放電電極２の吸い込み側上部の外枠１０に設けられている第一の遮蔽板１８の周囲内側に遮蔽壁１９を設けている。荷電部において、コロナ放電は針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第二の接地電極４との間で形成されるが、針状放電電極２から吸い込み側上部空間への放電も一部存在している。このとき、第一の遮蔽板１８の周囲内側に遮蔽壁１９を設けることにより、針状放電電極２から吸い込み側上部空間への放電が第一の遮蔽板１８とこの第一の遮蔽板１８の周囲内側に設けられた遮蔽壁１９により抑制され、その結果、吸い込み側上部空間にある他の物体への帯電現象を抑えることができる。
【００４７】
（実施の形態６）
次に、第６の実施の形態について、図９を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図９は本発明の第６の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図である。
【００４８】
針状放電電極２の先端部分を第一の接地電極３側に折り曲げた折り曲げ針状放電電極３０を設けている。コロナ放電は折り曲げ針状放電電極３０と第一の接地電極３との間、および折り曲げ針状放電電極３０と第二の接地電極４との間で形成され、折り曲げ針状放電電極３０から吸い込み側上部空間への放電は、針先端部を吸い込み側とは反対側に折り曲げているために、低く抑えられている。その結果、吸い込み側上部空間にある他の物体への帯電現象を抑えることができる。
【００４９】
（実施の形態７）
次に、第７の実施の形態について、図１０を用いて説明する。なお、前述の部位と同一
の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図１０は本発明の第７の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図である。
【００５０】
針状放電電極２の先端部分を第一の接地電極３側に折り曲げた折り曲げ針状放電電極３０を設け、この折り曲げ針状放電電極３０の先端付近で折り曲げ針状放電電極３０と接合される第二の遮蔽板３１を設けたものである。コロナ放電は折り曲げ針状放電電極３０と第一の接地電極３との間、および折り曲げ針状放電電極３０と第二の接地電極４との間で形成され、折り曲げ針状放電電極３０から吸い込み側上部空間への放電は、針先端部に設けられた第二の遮蔽板３１により抑制されている。その結果、吸い込み側上部空間にある他の物体への帯電現象を抑えることができる。
【００５１】
（実施の形態８）
次に、第８の実施の形態について説明する（図示なし）。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。
【００５２】
集塵部における集塵フィルター５は集塵ユニット１を構成する他の部分に対して着脱可能に配設されており、空気中に含まれる微粒子を捕集して汚れてきたときには洗浄可能あるいは交換可能なようになっている。こうして、長期間使用していても、集塵フィルターの洗浄や交換などのメンテナンスを行うことができる。
【００５３】
（実施の形態９）
次に、第９の実施の形態について説明する（図示なし）。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。
【００５４】
集塵ユニット１と電源ユニット５０から構成される電気集塵装置を送風回路中に配設し、空気調和装置あるいは空気清浄装置を構成したものである。本電気集塵装置を装着することにより、低い通風抵抗でしかも構造や電気回路が簡単で、かつ高い集塵効率を有する空気調和装置あるいは空気清浄装置を構成することができる。
【００５５】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本願発明によれば以下に示すような効果を奏するものである。
【００５６】
まず、請求項１に記載の発明は、高電圧が印加される針状放電電極と接地電極とから構成される荷電部と、集塵フィルターから構成される集塵部と、前記荷電部と前記集塵部とが外枠により一体化され形成された集塵ユニットとを備え、前記接地電極は、前記集塵フィルターと接触配設される第一の接地電極と、前記針状放電電極の周囲を取り囲むように配設され、かつ第一の接地電極と電気的に接続される第二の接地電極とから構成されるとともに、隣り合う前記第二の接地電極間に仕切り板を設けたものである。
【００５７】
そしてこの構成によれば、荷電部において、針状放電電極と第一の接地電極との間と、また、針状放電電極とその周囲に設置されている第二の接地電極との間の両方の空間にてコロナ放電が形成されるので、より広範囲な放電領域を形成することができる。そのため、吸い込み空気が集塵ユニットを通過する際に、その空気中に含まれる微粒子を効率良く帯電させることができ、下流側に配置されている集塵フィルターで高効率に微粒子を捕集することができるという効果を奏する。また、荷電部の各々のブロック間には仕切り板が設けられているため、針状放電電極からのコロナ放電が、お互いに干渉しないようにできる。
【００５８】
また、請求項２に記載の発明は、第二の接地電極を導電性を有する樹脂材料で構成し、
外枠の表面に配設あるいは外枠と一体成形したもので、この構成によれば、導電性樹脂である第二の接地電極との間においてもコロナ放電が形成されるとともに、樹脂で構成されるために第二の接地電極の形状の自由度を大きくとることができ、また、外枠と一体化することもできるという効果を奏する。
【００５９】
また、請求項３に記載の発明は、外枠に針状放電電極を覆う第一の遮蔽板を設けたもので、この構成によれば、針状放電電極からの集塵ユニットの外側、つまり吸い込み側上部空間への放電が、第一の遮蔽板があることにより抑制され、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができるという効果を奏する。
【００６０】
また、請求項４に記載の発明は、第一の遮蔽板の周囲内側に遮蔽壁を設けたものであり、この構成によれば、針状放電電極からの集塵ユニットの外側、つまり吸い込み側上部空間への放電が、第一の遮蔽板と、およびその周囲内側に設けられている遮蔽壁により抑制され、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象をより抑えることができるという効果を奏する。
【００６１】
また、請求項５に記載の発明は、針状放電電極の先端を第一の接地電極側に折り曲げたものであり、この構成によれば、針状放電電極と第一の接地電極および第二の接地電極との間においてコロナ放電が形成されると共に、針状放電電極の先端部分を第一の接地電極側に折り曲げているために、放電電極から集塵ユニット外部空間への放電が抑制され、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができるという効果を奏する。
【００６２】
また、請求項６に記載の発明は、針状放電電極の先端を第一の接地電極側に折り曲げると共に、針状放電電極の先端付近で針状放電電極と接合される第二の遮蔽板を設けたものであり、この構成によれば、針状放電電極と第一の接地電極および第二の接地電極との間においてコロナ放電が形成されると共に、針状放電電極の先端付近に第二の遮蔽板を設けたことにより、放電電極から集塵ユニット外部空間への放電を抑制され、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができるという効果を奏する。
【００６３】
また、請求項７に記載の発明は、集塵ユニットに対して、集塵部が着脱可能に構成されてものであり、この構成によれば、集塵部の集塵ユニットの着脱が可能なため、集塵ユニットの洗浄や交換などのメンテナンスをすることができるという効果を奏する。
【００６４】
また、請求項８および請求項９に記載の発明は、本電気集塵装置を空気調和装置または空気清浄装置に適用し、電源・制御を供給するものであり、この構成によれば、低い通風抵抗でしかも構造や電気回路が簡単で、かつ高い集塵効率を有する空気調和装置あるいは空気清浄装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図２】 本発明の第２の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図３】 本発明の第３の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図４】 本発明の第３の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図５】 本発明の第４の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図６】 本発明の第４の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図
【図７】 本発明の第５の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図８】 本発明の第５の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図
【図９】 本発明の第６の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図
【図１０】 本発明の第７の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図
【図１１】 従来の電気集塵装置の要部構成を示す斜視模式図
【符号の説明】
１ 集塵ユニット
２ 針状放電電極
３ 第一の接地電極
４ 第二の接地電極
５ 集塵フィルター
１０ 外枠
１５ 第三の接地電極
１６ 第二の接地電極（導電性樹脂）
１７ 第三の接地電極（導電性樹脂）
１８ 第一の遮蔽板
１９ 遮蔽壁
３０ 折り曲げ針状放電電極
３１ 第二の遮蔽板
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気中の塵埃などを捕集する電気集塵装置に関するものであり、より詳しくは空気調和機や空気清浄機などに用いることができる集塵効率の高い電気集塵装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
電気集塵装置は主としてコロナ放電を発生して通過する塵埃粒子を帯電させる機能を持つ荷電部と、帯電または凝集した塵埃粒子を捕集する集塵部とからなり、ユニットとして構成されて空気調和機の室内機の空気吸込み口や、空気清浄機の空気吸込み口に設置されてその用に供している。
【０００３】
従来の電気集塵装置に関しては特開平１１−１５１４５２号公報の発明が挙げられる。これは図１１に示す様に荷電部５０１を構成する放電電極５０３と対向電極５０４との間に電圧印加してコロナ放電を発生させ、そこに送風されてきた空気中に浮遊する塵埃が帯電され、それを送風回路後方に配置され、接地電極５０５と高圧電極５０６で構成された集塵部５０２において電気的に捕集するように構成されたものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、荷電部を放電電極と対向電極で、また集塵部を接地電極と高圧電極で構成するという、いわゆる２段荷電方式であるために、電源を放電電極部と対向電極部、および接地電極部と高圧電極部に供給しなければならず、構成が複雑になるという課題を有していた。
【０００５】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、電気集塵において簡易的な構成である１段荷電方式により効率的に塵埃を帯電させると共に、ユニットから外部空間への放電による帯電現象を抑制した電気集塵装置を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、本発明の電気集塵装置は、高電圧が印加される針状放電電極と接地電極とから構成される荷電部と、集塵フィルターから構成される集塵部と、前記荷電部と前記集塵部とが外枠により一体化され形成された集塵ユニットとを備え、前記接地電極は、前記集塵フィルターと接触配設される第一の接地電極と、前記針状放電電極の周囲を取り囲むように配設され、かつ第一の接地電極と電気的に接続される第二の接地電極とから構成されるとともに、隣り合う前記第二の接地電極間に仕切り板を設けたものである。
【０００７】
また本発明の電気集塵装置は、針状放電電極の吸い込み側上部の外枠に針状放電電極を覆う遮蔽板を設けたものである。
【０００８】
また本発明の電気集塵装置は、針状放電電極の先端部分を第一の接地電極側に折り曲げたものである。
【０００９】
上記構成により、針状放電電極に高圧電位を、また第一と第二の接地電極に接地電位を印加することにより、放電電極と接地電極の間でコロナ放電が形成され、このコロナ放電領域を空気が通過する際に空気中に含まれる微粒子を帯電させ、この帯電した微粒子が下流側に配置された集塵フィルターで効率良く捕集され、集塵効率の高い電気集塵装置を提供することができる。
【００１０】
また、針状放電電極の上部に遮蔽板を設けたり、また針状放電電極の先端部分を折り曲げることにより、針状放電電極から集塵ユニット外部への放電を抑制し、集塵装置以外の物体への帯電現象を抑えることができるので、安全また安心な電気集塵装置を提供するこ
とができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
請求項１に記載の発明は、高電圧が印加される針状放電電極と接地電極とから構成される荷電部と、集塵フィルターから構成される集塵部と、前記荷電部と前記集塵部とが外枠により一体化され形成された集塵ユニットとを備え、前記接地電極は、前記集塵フィルターと接触配設される第一の接地電極と、前記針状放電電極の周囲を取り囲むように配設され、かつ第一の接地電極と電気的に接続される第二の接地電極とから構成されるとともに、隣り合う前記第二の接地電極間に仕切り板を設けたものである。
【００１２】
そしてこの構成によれば、荷電部において、針状放電電極と第一の接地電極との間と、また、針状放電電極とその周囲に設置されている第二の接地電極との間の両方の空間にてコロナ放電が形成されるので、より広範囲な放電領域を形成することができる。そのため、吸い込み空気が集塵ユニットを通過する際に、その空気中に含まれる微粒子を効率良く帯電させることができ、下流側に配置されている集塵フィルターで高効率に微粒子を捕集することができる。また、荷電部の各々のブロック間には仕切り板が設けられているため、針状放電電極からのコロナ放電が、お互いに干渉しないようにできる。
【００１３】
また、請求項２に記載の発明は、第二の接地電極を導電性を有する樹脂材料で構成し、外枠の表面に配設あるいは外枠と一体成形したものである。
【００１４】
そしてこの構成によれば、導電性樹脂である第二の接地電極との間においてもコロナ放電が形成されるとともに、樹脂で構成されるために第二の接地電極の形状の自由度を大きくとることができ、また、外枠と一体化することもできる。
【００１５】
また、請求項３に記載の発明は、外枠に針状放電電極を覆う第一の遮蔽板を設けたものである。
【００１６】
そしてこの構成によれば、針状放電電極からの集塵ユニットの外側、つまり吸い込み側上部空間への放電が、第一の遮蔽板があることにより抑制される。従って、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができる。
【００１７】
また、請求項４に記載の発明は、第一の遮蔽板の周囲内側に遮蔽壁を設けたものである。
【００１８】
そしてこの構成によれば、針状放電電極からの集塵ユニットの外側、つまり吸い込み側上部空間への放電が、第一の遮蔽板と、およびその周囲内側に設けられている遮蔽壁により、確実に抑制される。従って、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象をより抑えることができる。
【００１９】
また、請求項５に記載の発明は、針状放電電極の先端を第一の接地電極側に折り曲げたものである。
【００２０】
そしてこの構成によれば、針状放電電極と第一の接地電極および第二の接地電極との間においてコロナ放電が形成されると共に、針状放電電極の先端部分を第一の接地電極側に折り曲げているために、放電電極から集塵ユニット外部空間への放電が小さくなる。従って、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象をより抑えることができる。
【００２１】
また、請求項６に記載の発明は、針状放電電極の先端を第一の接地電極側に折り曲げる
と共に、針状放電電極の先端付近で針状放電電極と接合される第二の遮蔽板を設けたものである。
【００２２】
そしてこの構成によれば、針状放電電極と第一の接地電極および第二の接地電極との間においてコロナ放電が形成されると共に、針状放電電極の先端付近に第二の遮蔽板を設けたことにより、放電電極から集塵ユニット外部空間への放電を抑制される。従って、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができる
また、請求項７に記載の発明は、集塵ユニットに対して、集塵部が着脱可能に構成されたものである。
【００２３】
そしてこの構成によれば、集塵部の集塵ユニットの着脱が可能なため、長期間の使用に伴って集塵ユニットに汚れが付着したときに、集塵ユニットの洗浄や交換などのメンテナンスをすることができる。
【００２４】
また、請求項８および請求項９に記載の発明は、本電気集塵装置を空気調和装置または空気清浄装置に適用し、電源・制御を供給するようにしている。
【００２５】
以下本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【００２６】
（実施の形態１）
第１の実施の形態について、図１を用いて説明する。図１は、第１の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図である。
【００２７】
ステンレスなどで構成されるニードル形状の針状放電電極２が複数個、高圧接続板６に取り付けられ高圧側接点７Ａへ接続されている。各々の針状放電電極２の周囲には、ステンレスなどの金属材料で構成された第二の接地電極４が配設されると共に、針状放電電極２の下流側には、吸い込み空気が通過できるように通風抵抗が小さくステンレスなどの金属材料で構成されるメッシュ形状の第一の接地電極３が配設されており、第一の接地電極３と第二の接地電極４は電気的に接続され、接地側接点８Ａへ接続されている。この針状放電電極２と第一の接地電極３および第二の接地電極４とで荷電部を構成し、この空間でコロナ放電を形成している。
【００２８】
吸い込み空気が容易に通過でき集塵効率の高い形状として、ハニカム形状の集塵フィルター５で集塵部を構成し、第一の接地電極３と接触するように配設されている。
【００２９】
また、荷電部の各々のブロック間には、針状放電電極２からのコロナ放電が、お互いに干渉しないように仕切り板１４が設けられている。これら荷電部と集塵部は外枠１０により一体化されると共に、外枠１０には取手９が接合され集塵ユニット１を構成している。
【００３０】
集塵ユニット１は、集塵ユニット１への電源供給を行う電源ユニット５０と着脱可能なようにできており、取手９を持って着脱を行う。電源ユニット５０には、電源１１が組み込まれており、高圧電位は高圧接続線１２を経て高圧側接点７Ｂに接続され、一方、接地電位は接地接続線１３を経て接地側接点８Ｂに接続されている。集塵ユニット１と電源ユニット５０は装着時は、お互いの接点、つまり、高圧側接点７Ａと７Ｂ、接地側接点８Ａと８Ｂが電気的に接続されるような構造になっている。
【００３１】
上記のような構成において、電源ユニット５０の電源１１より高圧側に負の電圧が印加されると、荷電部における針状放電電極２と第一の接地電極３の間、および針状放電電極２と第二の接地電極４との間でコロナ放電が形成される。このコロナ放電領域に吸い込み側から流入してきた空気が通過すると、その際空気中に含まれる微粒子を帯電させる。そ
して、この帯電した微粒子が集塵部である集塵フィルター５を通過する際に、集塵フィルター５に効率良く捕集される。
【００３２】
本実施の形態では、高圧側を負に印加させ微粒子を負に帯電させているが、逆に高圧側を正に印加し微粒子を正に帯電させてもよい。高圧側を負に印加すると、空気イオンを負に帯電させることができるため、マイナスイオンを発生させることができる。このマイナスイオンは人体に対してリラックス効果があるといわれている。
【００３３】
なお、本実施の形態では、第一の接地電極３の形状としてメッシュ形状を用いているが、接地電極の形状としては、流入空気が通過でき、かつ針状放電電極２との間でコロナ放電が形成されるものであれば、いかなる形状のものでもよい。例えば、複数の円形あるいは四角形の開口部を有する板状形状のもの、あるいは、スリット形状のものや格子形状のようなものでもよい。
【００３４】
また、本実施の形態では、集塵ユニット５としてハニカム形状でできたフィルターを用いているが、フィルター形状としては、流入空気が通過でき、かつ第一の接地電極３と接触できるものであれば、いかなる形状のもでもよい。例えば、プリーツ形状の集塵フィルターでもよい。
【００３５】
（実施の形態２）
次に、第２の実施の形態について、図２を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図２は本発明の第２の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図である。
【００３６】
荷電部における接地電極を第一の接地電極３と、針状放電電極２の先端より外側に配設された第三の接地電極１５より構成し、第一の接地電極３と第三の接地電極１５とは電気的に接続されている。
【００３７】
電源ユニット５０より電圧が印加されると、針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第三の接地電極１５との間でコロナ放電が形成され、このコロナ放電領域を空気が通過する際に、空気中に含まれる微粒子を帯電させ、集塵フィルター５で帯電した微粒子を効率良く捕集することができる。
【００３８】
（実施の形態３）
次に、第３の実施の形態について、図３および図４を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図３および図４は本発明の第３の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図である。
【００３９】
図３において、荷電部の接地電極を第一の接地電極３と、導電性の樹脂材料から構成される第二の接地電極１６より構成し、第一の接地電極３と導電性樹脂でできた第二の接地電極１６とは電気的に接続されている。また、図４においても同様に、荷電部の接地電極を第一の接地電極３と、導電性樹脂でできた第三の接地電極１７より構成されている。
【００４０】
これら導電性樹脂でできた第二の接地電極１６および第三の接地電極１７は、集塵ユニット１の外枠１０の表面に配設されるかあるいは外枠１０と一体化されている。
【００４１】
電源ユニット５０より電圧が印加されると、針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第二の接地電極１６との間で、また同様に針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第三の接地電極１７との間で、コロナ放電が形成される。このコロナ放電領域を空気が通過する際に、空気中に含まれる微粒子を
帯電させ、集塵フィルター５で帯電した微粒子を効率良く捕集することができる。
【００４２】
このように、第二の接地電極１６および第三の接地電極１７を導電性樹脂で構成することにより、金属に比べて形状の自由度を大きくとることができ、外枠１０の表面に配設したり、あるいは外枠１０と一体化できるなどの形状的な自由度が大きく、また樹脂で構成されるために製造上もより簡便である。
【００４３】
（実施の形態４）
次に、第４の実施の形態について、図５および図６を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図５は本発明の第４の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図、図６は本発明の第４の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図である。
【００４４】
針状放電電極２の吸い込み側上部に、針状放電電極２を覆う第一の遮蔽板１８を外枠１０に設けている。荷電部において、コロナ放電は針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第二の接地電極４との間で形成されるが、針状放電電極２から吸い込み側上部空間への放電も一部存在している。このとき、第一の遮蔽板１８を外枠１０に設けることにより、針状放電電極２から吸い込み側上部空間への放電が第一の遮蔽板１８により抑制され、その結果、吸い込み側上部空間にある他の物体への帯電現象を抑えることができる。
【００４５】
（実施の形態５）
次に、第５の実施の形態について、図７および図８を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図７は本発明の第５の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図、図８は本発明の第５の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図である。
【００４６】
針状放電電極２の吸い込み側上部の外枠１０に設けられている第一の遮蔽板１８の周囲内側に遮蔽壁１９を設けている。荷電部において、コロナ放電は針状放電電極２と第一の接地電極３との間、および針状放電電極２と第二の接地電極４との間で形成されるが、針状放電電極２から吸い込み側上部空間への放電も一部存在している。このとき、第一の遮蔽板１８の周囲内側に遮蔽壁１９を設けることにより、針状放電電極２から吸い込み側上部空間への放電が第一の遮蔽板１８とこの第一の遮蔽板１８の周囲内側に設けられた遮蔽壁１９により抑制され、その結果、吸い込み側上部空間にある他の物体への帯電現象を抑えることができる。
【００４７】
（実施の形態６）
次に、第６の実施の形態について、図９を用いて説明する。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図９は本発明の第６の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図である。
【００４８】
針状放電電極２の先端部分を第一の接地電極３側に折り曲げた折り曲げ針状放電電極３０を設けている。コロナ放電は折り曲げ針状放電電極３０と第一の接地電極３との間、および折り曲げ針状放電電極３０と第二の接地電極４との間で形成され、折り曲げ針状放電電極３０から吸い込み側上部空間への放電は、針先端部を吸い込み側とは反対側に折り曲げているために、低く抑えられている。その結果、吸い込み側上部空間にある他の物体への帯電現象を抑えることができる。
【００４９】
（実施の形態７）
次に、第７の実施の形態について、図１０を用いて説明する。なお、前述の部位と同一
の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。図１０は本発明の第７の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図である。
【００５０】
針状放電電極２の先端部分を第一の接地電極３側に折り曲げた折り曲げ針状放電電極３０を設け、この折り曲げ針状放電電極３０の先端付近で折り曲げ針状放電電極３０と接合される第二の遮蔽板３１を設けたものである。コロナ放電は折り曲げ針状放電電極３０と第一の接地電極３との間、および折り曲げ針状放電電極３０と第二の接地電極４との間で形成され、折り曲げ針状放電電極３０から吸い込み側上部空間への放電は、針先端部に設けられた第二の遮蔽板３１により抑制されている。その結果、吸い込み側上部空間にある他の物体への帯電現象を抑えることができる。
【００５１】
（実施の形態８）
次に、第８の実施の形態について説明する（図示なし）。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。
【００５２】
集塵部における集塵フィルター５は集塵ユニット１を構成する他の部分に対して着脱可能に配設されており、空気中に含まれる微粒子を捕集して汚れてきたときには洗浄可能あるいは交換可能なようになっている。こうして、長期間使用していても、集塵フィルターの洗浄や交換などのメンテナンスを行うことができる。
【００５３】
（実施の形態９）
次に、第９の実施の形態について説明する（図示なし）。なお、前述の部位と同一の要素を示す場合には同じ符号を付して、その説明は省略する。
【００５４】
集塵ユニット１と電源ユニット５０から構成される電気集塵装置を送風回路中に配設し、空気調和装置あるいは空気清浄装置を構成したものである。本電気集塵装置を装着することにより、低い通風抵抗でしかも構造や電気回路が簡単で、かつ高い集塵効率を有する空気調和装置あるいは空気清浄装置を構成することができる。
【００５５】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本願発明によれば以下に示すような効果を奏するものである。
【００５６】
まず、請求項１に記載の発明は、高電圧が印加される針状放電電極と接地電極とから構成される荷電部と、集塵フィルターから構成される集塵部と、前記荷電部と前記集塵部とが外枠により一体化され形成された集塵ユニットとを備え、前記接地電極は、前記集塵フィルターと接触配設される第一の接地電極と、前記針状放電電極の周囲を取り囲むように配設され、かつ第一の接地電極と電気的に接続される第二の接地電極とから構成されるとともに、隣り合う前記第二の接地電極間に仕切り板を設けたものである。
【００５７】
そしてこの構成によれば、荷電部において、針状放電電極と第一の接地電極との間と、また、針状放電電極とその周囲に設置されている第二の接地電極との間の両方の空間にてコロナ放電が形成されるので、より広範囲な放電領域を形成することができる。そのため、吸い込み空気が集塵ユニットを通過する際に、その空気中に含まれる微粒子を効率良く帯電させることができ、下流側に配置されている集塵フィルターで高効率に微粒子を捕集することができるという効果を奏する。また、荷電部の各々のブロック間には仕切り板が設けられているため、針状放電電極からのコロナ放電が、お互いに干渉しないようにできる。
【００５８】
また、請求項２に記載の発明は、第二の接地電極を導電性を有する樹脂材料で構成し、
外枠の表面に配設あるいは外枠と一体成形したもので、この構成によれば、導電性樹脂である第二の接地電極との間においてもコロナ放電が形成されるとともに、樹脂で構成されるために第二の接地電極の形状の自由度を大きくとることができ、また、外枠と一体化することもできるという効果を奏する。
【００５９】
また、請求項３に記載の発明は、外枠に針状放電電極を覆う第一の遮蔽板を設けたもので、この構成によれば、針状放電電極からの集塵ユニットの外側、つまり吸い込み側上部空間への放電が、第一の遮蔽板があることにより抑制され、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができるという効果を奏する。
【００６０】
また、請求項４に記載の発明は、第一の遮蔽板の周囲内側に遮蔽壁を設けたものであり、この構成によれば、針状放電電極からの集塵ユニットの外側、つまり吸い込み側上部空間への放電が、第一の遮蔽板と、およびその周囲内側に設けられている遮蔽壁により抑制され、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象をより抑えることができるという効果を奏する。
【００６１】
また、請求項５に記載の発明は、針状放電電極の先端を第一の接地電極側に折り曲げたものであり、この構成によれば、針状放電電極と第一の接地電極および第二の接地電極との間においてコロナ放電が形成されると共に、針状放電電極の先端部分を第一の接地電極側に折り曲げているために、放電電極から集塵ユニット外部空間への放電が抑制され、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができるという効果を奏する。
【００６２】
また、請求項６に記載の発明は、針状放電電極の先端を第一の接地電極側に折り曲げると共に、針状放電電極の先端付近で針状放電電極と接合される第二の遮蔽板を設けたものであり、この構成によれば、針状放電電極と第一の接地電極および第二の接地電極との間においてコロナ放電が形成されると共に、針状放電電極の先端付近に第二の遮蔽板を設けたことにより、放電電極から集塵ユニット外部空間への放電を抑制され、集塵ユニットの吸い込み側上部に存在する物体への帯電現象を抑えることができるという効果を奏する。
【００６３】
また、請求項７に記載の発明は、集塵ユニットに対して、集塵部が着脱可能に構成されてものであり、この構成によれば、集塵部の集塵ユニットの着脱が可能なため、集塵ユニットの洗浄や交換などのメンテナンスをすることができるという効果を奏する。
【００６４】
また、請求項８および請求項９に記載の発明は、本電気集塵装置を空気調和装置または空気清浄装置に適用し、電源・制御を供給するものであり、この構成によれば、低い通風抵抗でしかも構造や電気回路が簡単で、かつ高い集塵効率を有する空気調和装置あるいは空気清浄装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図２】 本発明の第２の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図３】 本発明の第３の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図４】 本発明の第３の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図５】 本発明の第４の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図６】 本発明の第４の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図
【図７】 本発明の第５の実施の形態を示す電気集塵装置の斜視模式図
【図８】 本発明の第５の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図
【図９】 本発明の第６の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図
【図１０】 本発明の第７の実施の形態を示す電気集塵装置の断面図
【図１１】 従来の電気集塵装置の要部構成を示す斜視模式図
【符号の説明】
１ 集塵ユニット
２ 針状放電電極
３ 第一の接地電極
４ 第二の接地電極
５ 集塵フィルター
１０ 外枠
１５ 第三の接地電極
１６ 第二の接地電極（導電性樹脂）
１７ 第三の接地電極（導電性樹脂）
１８ 第一の遮蔽板
１９ 遮蔽壁
３０ 折り曲げ針状放電電極
３１ 第二の遮蔽板
Claims (9)
- 高電圧が印加される針状放電電極と接地電極とから構成される荷電部と、集塵フィルターから構成される集塵部と、前記荷電部と前記集塵部とが外枠により一体化され形成された集塵ユニットとを備え、前記接地電極は、前記集塵フィルターと接触配設される第一の接地電極と、前記針状放電電極の周囲を取り囲むように配設され、かつ第一の接地電極と電気的に接続される第二の接地電極とから構成されるとともに、隣り合う前記第二の接地電極間に仕切り板を設けたことを特徴とする電気集塵装置。
- 第二の接地電極は導電性を有する樹脂材料で構成され、かつ前記外枠の表面に配設あるいは前記外枠と一体成形されていることを特徴とする請求項１に記載の電気集塵装置。
- 外枠には前記針状放電電極を覆う第一の遮蔽板が設けられていることを特徴とする請求項１または２に記載の電気集塵装置。
- 第一の遮蔽板の周囲内側には遮蔽壁が設けられていることを特徴とする請求項３に記載の電気集塵装置。
- 針状放電電極の先端は第一の接地電極側に折り曲げられていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の電気集塵装置。
- 針状放電電極の先端は第一の接地電極側に折り曲げられていると共に、前記針状放電電極の先端付近には前記針状放電電極と接合される第二の遮蔽板が設けられていることを特徴とする請求項１または２に記載の電気集塵装置。
- 集塵ユニットに対して集塵部が着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載の電気集塵装置。
- 請求項１〜７のいずれか一項に記載の電気集塵装置が送風回路内に配設され、前記電気集塵装置にかかる電源はその本体電源回路から供給されるように構成したことを特徴とする空気調和装置。
- 請求項１〜７のいずれか一項に記載の電気集塵装置が送風回路内に配設され、前記電気集塵装置にかかる電源はその本体電源回路から供給されるように構成したことを特徴とする空気清浄装置。
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