JP3815824B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)層/(接着剤層/)紙からなる積層体に関し、更に詳しくは表面の汚染除去性に優れ、壁紙等の内装材に有用な積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、塩化ビニル樹脂のシートやフィルムは、建築内装用の壁紙や家具等の仕上げ用の化粧シート、農業用資材、自動車の内装用資材、日用雑貨(ビニルマット、傘等)などに利用されており、更にはデスクマット、ファイル表紙、手帳表紙等の事務用品や文房具などにも多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる塩化ビニル樹脂中に含有される可塑剤の人体への影響が近年懸念されるようになってきた。
そこで、本発明者は、塩化ビニル樹脂を用いずに紙に直接EVOHをコーティグすることを検討した。すなわち、実開平7−10000号公報に記載の如き方法で製膜したEVOHフィルムを積層させたが、防汚性、耐熱水性、耐薬品性の面でまだまだ改善の余地があり、また特開昭47−48489号公報に開示の如く紙の基材に水−アルコール系溶媒に溶解させたEVOHを50℃以上(但し、沸点以下)の温度で塗布乾燥させることも試みたが、防汚性、耐熱水性の点で十分ではなく、防汚性、耐熱水性に優れ、かつ表面の汚染除去性にも優れた壁紙、家具用の化粧シート、自動車用内装用資材などの内装材に有用な積層体が望まれるところである。
一方、本出願人も熱処理等により赤外線吸収スペクトルの吸光度比が特定の値をもつEVOH溶液の塗膜を作製する方法を提案した(特開平2−227174号公報)。かかる方法で得られたEVOH塗膜のガスバリヤー性は良好であるが、上記の防汚性や耐熱水性については、まだまだ改善の余地があることが判明した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はかかる問題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、紙の少なくとも片面に示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)が下記(1)式を満足するエチレン含有量(Et)20〜50モル%,ケン化度90モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層が積層されてなる積層体が上記の課題を解決することを見出し本発明を完成するに至った。
ΔH(J/g)≧100−0.55・Et ・・・ (1)
(ここで、Etはエチレン含有量(モル%)を表す)
尚、本発明の積層体においては、必要に応じて紙とEVOH層との間には接着剤層が設けられる。また、上記の融解熱(ΔH)は、EVOH層のみの測定値であり、紙や更には他の層が積層されている場合はEVOH層のみを剥離して測定し、やむを得ず積層体として測定する場合はEVOH層単層に換算した値である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の積層体について具体的に説明する。
本発明は、紙とEVOHの積層構造を有するもので、かかる紙としては、特に限定されないが、坪量30〜150g/m2程度の一般上質紙、中質紙、コート紙、軽量コート紙、包装紙、グラビア用紙等の印刷用紙やマニラボール、白ボール、ライナー等の板紙などが挙げられ、壁紙等の用途には一般の木材パルプ紙、和紙等が好適に用いられる。
また、紙の表面にコーティグされるEVOHとしては、エチレン含量20〜50モル%、更には28〜48モル%、酢酸ビニル成分のケン化度が90モル%以上、更には95モル%以上のものが好適に用いられ、エチレン含量が20モル%未満では耐水性が不十分となり、一方50モル%を越えるとコーティグ溶液調製時の溶解性が低下して好ましくない。又、ケン化度が90モル%未満では耐水性及び熱安定性が不十分となって好ましくない。
又該EVOHは更に少量のプロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩等のコモノマーを含んでいても差支えない。
【0006】
本発明において、紙の表面に上記のEVOH層を形成するに当たっては、▲1▼溶液コーティング、▲2▼溶融押出コーティング、▲3▼フィルムラミネート(ドライラミネート)等の積層方法が挙げられ、以下、これらについて具体的に説明する。
▲1▼溶液コーティングを実施するに当たっては、上記EVOHの溶液が用いられ、その際の溶媒としては水とアルコールの混合溶媒が使用され、水の量は30〜70重量%(アルコールの量は70〜30重量%)、好ましくは40〜60重量%(アルコールの量は60〜40重量%)であり、30重量%未満又は70重量%を越えると均一な溶液が得難く塗膜が不透明となるという問題点が生じる。またアルコールとしては メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、 iso−プロピルアルコール、 n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられ、n−プロピルアルコール、iso −プロピルアルコールが好適に使用される。
【0007】
EVOH溶液中のEVOH濃度は特に制限はなく任意の範囲で塗工可能で通常は0.5〜25重量%程度が好ましいが、本発明の効果を効率よく発揮するためには10〜20重量%が最も好ましい。
かかるEVOH溶液を紙の表面にコーティングするに当たっては公知の方法を採用することができ、例えばグラビアコーター、リバースロールコーター、エアナイフコーター、スプレー、ハケ塗り、バーコーター等が挙げられ、好適にはグラビアコーターやリバースロールコーターが使用される。その後加熱乾燥されて紙の表面にEVOHの塗膜層が形成される訳であるが、かかるEVOHの溶液を紙に塗布・乾燥する際の理想的な、EVOH溶液塗布時の溶液粘度とその後の乾燥温度は、EVOH溶液塗布時の溶液粘度が50〜1000cps、その後の乾燥温度が80〜120℃程度の範囲よりそれぞれ任意に選択すればよい。また、乾燥時の時間は特に限定されないが、通常は10秒〜10分(更には30秒〜5分)の範囲より適宜選択される。
【0008】
また、該EVOH塗膜層の(乾燥後の)厚みは特に限定されないが、1〜50μmが好ましく、特に2〜10μmとすることが好ましく、EVOHの着量(乾燥後の付着量)は、1〜50g/m2が好ましく、更には2〜10g/m2が好ましい。(上記EVOHの着量は、下記の▲2▼、▲3▼についても同様である。)
かかるEVOH溶液の塗布に当たって、通常は紙の表面には接着剤(アンカーコート)層が設けられる。かかる接着剤としては、有機チタン系接着剤、2液反応型ポリウレタン系接着剤、ポリエステル/イソシアネート系接着剤等が挙げられ、好適には2液反応型ポリウレタン系接着剤が使用される。
【0009】
▲2▼溶融押出コーティングを実施するに当たっては、紙の表面に必要に応じてプライマー処理を施しておくことが好ましく、該プライマー処理剤としては上記の▲1▼に記載の有機チタン系接着剤、2液反応型ポリウレタン系接着剤、ポリエステル/イソシアネート系接着剤等が挙げられ、好適には2液反応型ポリウレタン系接着剤が使用され、かかるプライマー処理剤の使用量は0.1〜10g/m2、好ましくは0.3〜5g/m2である。EVOHの溶融押出に際しては公知の溶融押出機を用いることができ、(必要によりプライマー処理された)紙の表面に溶融押出コーティングすることが好ましい。また、溶融押出コーティングの際には、EVOHの安定したコーティングを行うために必要に応じてポリオレフィン系樹脂等のサポート層を入れて、2種2層以上の溶融押出コーティングを行ってもよい。
【0010】
▲3▼フィルムラミネート(ドライラミネート)を実施するに当たっては、紙の表面に必要に応じて上記の如きプライマー処理を行った後、有機チタン系接着剤、2液反応型ポリウレタン系接着剤、ポリエステル/イソシアネート系接着剤等の接着剤を介して行うのであるが、この場合のEVOHフィルムは延伸、無延伸どちらでもよく、延伸の場合は短時間の熱処理と配向の効果で後述する融解熱を上げることができるが、後でエンボス処理等が施されるのであれば、収縮する可能性もあり、この場合には無延伸フィルムが好ましい。また、このときのEVOHの厚みは5〜50μmが好ましく、更には10〜20μmが好ましい。
かくして、(必要に応じてプライマー処理がされた)紙の表面にEVOH層が形成された積層体が得られる訳であるが、本発明においては、かかるEVOH層が、示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)が下記(1)式を満足するエチレン含有量(Et)20〜50モル%,ケン化度90モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層からなることを最大の特徴とするものである。
ΔH(J/g)≧100−0.55・Et ・・・ (1)
(ここで、Etはエチレン含有量(モル%)を表す)
【0011】
即ち、紙の表面に形成されたEVOH層の示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)が、(100−0.55・Et)よりも小さいときは、防汚性、耐薬品性、耐水性等が不十分となって本発明の効果を期待することは不可能となる。
かかる条件を満足するEVOH層を得る方法としては、特に限定されず、EVOH層表面を加熱ローラで転圧する方法、EVOH層表面を火炎,電熱線等で加熱する方法、EVOH層を恒温状態で加熱処理する方法等を挙げることができるが、一般的にはEVOH層を恒温状態で加熱処理する方法が実用的であり、かかる方法について具体的に説明する。
【0012】
加熱処理時の温度は60〜180℃の範囲から選択され、また加熱処理の時間も0.5〜1500分(更には1〜600分)の範囲から選択されるが、好適には下記(2)及び(3)式を満足する条件で加熱処理されることが好ましい。
230−1.6Et≧T≧80−0.5・Et ・・・ (2)
t≧exp(20000/T2) ・・・ (3)
(ここで、Etはエチレン含有量(モル%)、Tは加熱処理温度(℃)、tは
加熱処理時間(分)をそれぞれ表す)
【0013】
即ち、上記(2)式において、T>230−1.6Etの時には、外観不良や防汚性低下が見られ、逆にT<80−0.5・Etの時には、防汚性、耐薬品性、耐水性等が不十分となって好ましくなく、更にt<exp(20000/T2)の時にも、防汚性、耐薬品性、耐水性等が不十分となって好ましくない。
本発明においては、かかる加熱処理の時期は、特に限定されず、後述するエンボス加工の後であっても差し支えない。
【0014】
更に、本発明の方法で得られた積層体は、意匠性等の付加価値を高めるために該積層体の少なくとも一方の表面にエンボス加工を施して凹凸模様を形成することも有用であり、凹凸模様としては木目導管模様、塗装板の表面を模したもの、抽象模様、石目模様、布目模様、万線模様、木肌模様及びそれらを組み合わせたもの等を用いることができる。
又エンボス加工により形成する凹凸模様の深さは模様により異なるが、壁紙用途の場合、通常1〜200μm程度に形成するのが、良好な立体感を付与することとなり好ましい。
【0015】
エンボス加工により凹凸模様を形成する方法としては、所望の凹凸模様を形成した通常の熱エンボス機を用いてエンボス加工を施す方法やエクストルージョンコート装置の冷却ロール等に所望の凹凸模様を付与したエンボスロールを用い、EVOH層を形成するのと同時にエンボス加工を行う所謂ダブリングエンボス法等いわゆるメカニカルエンボス法あるいは発泡抑制剤や発泡促進剤を含むインクを印刷し、発泡工程で凹凸模様をつけるケミカルエンボス法等が用いられる。
上記の如く得られた積層体の各層には可塑剤、安定剤、界面活性剤、架橋性物質(エポキシ化合物、多価金属、無機又は有機の多塩基酸又はその塩等)、充填剤、着色剤、補強材としての繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)、艶消剤(タルク、シリカ系粉末、ポリエチレン、ポリウレタン等の樹脂微粒子粉末)等を本発明の効果を阻害しない範囲において配合することもできる。
【0016】
かくして得られた本発明の積層体(紙/EVOH、EVOH/紙/EVOH)等は、他の層が積層されて、PVC(塩化ビニル樹脂)/紙/EVOH、PVC/EVOH/紙/EVOH、PO(ポリオレフィン系樹脂)/紙/EVOH、PO/EVOH/紙/EVOH等とすることもでき、得られた本発明の積層体は、建築内装用の壁紙や家具等の仕上げ用の化粧シートなどをはじめデスクマット等の事務用品、塩ビレザーの表紙を用いた手帳やファイル等の文房具、自動車用の内装用資材、農業用フィルム等の農業用資材、事務用品(本表紙、ビニルマット等)、日用雑貨(傘等)などに利用することができ、中でも壁紙や化粧シート等の内装材に大変有用である。
【0017】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明の方法を具体的に説明する。
なお、以下「%」とあるのは、特にことわりのない限り、重量基準を意味する。
実施例1
紙(坪量約100g/cm2の木材パルプ紙)の表面にポリエステル系接着剤(日本合成化学工業(株)製、ポリエスターLP033)を塗布量2g/m2となるようにコートし(乾燥後の着量0.5g/m2)、次いでEVOH濃度12%のEVOH溶液(エチレン含有量30モル%,ケン化度99.8モル%のEVOHを水/iso −プロピルアルコール重量比=50/50の混合溶媒に溶解したもので、塗布時(40℃)の溶液粘度は210cps)を100g/m2塗布した後、90℃で3分間乾燥処理を行って、着量10g/m2のEVOH層を形成させて、紙/EVOH層の積層体を得た。かかるEVOH層の示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)は、80J/gであった。
【0018】
次いで、得られた積層体(紙/EVOH層)を155℃の熱風乾燥機中を3分間通して加熱処理を行って本発明の積層体を得た。
かかる積層体のEVOH層の示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)は88J/gで、かかる(ΔH)は、前記(1)式より算出される100−0.55・Et=100−0.55×30=83.5よりも大きく、(1)式を満足するものであった。尚、上記の融解熱(ΔH)は積層体よりEVOH層のみを一部剥離して測定した値で、以下同様である。
また、このときの加熱処理条件[加熱処理温度(T)=155℃、加熱処理時間(t)=3分]は、前記(2)式及び(3)式をも満足するものであった。
得られた積層体を用いて、防汚性、耐熱水性、耐薬品性を以下の通り評価した。
【0019】
(防汚性)
油性マジック及びコーヒーを用いて、積層体のEVOH層表面に塗布して(コーヒーは約2cc)、常温で24時間放置後にウエスで拭き取って表面の汚れ具合を目視観察して、以下の通り評価した。
○ −−− 完全に汚れが落ちて、全く跡が残らない
△ −−− 汚れは落ちているが、わずかに跡が残る
× −−− 汚れ落ちが悪く、汚れが落ちた部分も跡が残る
(耐熱水性)
積層体(A4判の大きさ)のEVOH層表面に95℃の熱水20mlをかけて、常温で5分間放置後にウエスで水分を拭き取り表面状態を目視観察して、以下の通り評価した。
○ −−− 白化及びしわは認められない
△ −−− 白化は認められないが、しわが認められる
× −−− 白化及びしわが認められる
(耐薬品性)
エタノールを約1ccを積層体のEVOH層表面に滴下し、常態で1時間放置後の表面状態を目視観察して、以下の通り評価した。
○ −−− 異状無し
× −−− 膨潤が認められる
【0020】
実施例2
実施例1において、EVOHのエチレン含有量を45モル%とし、EVOH溶液のEVOH濃度を15%として塗布時(40℃)の溶液粘度を235cpsとして着量8g/m2のEVOH層を形成させて、紙/EVOH層の積層体を得た。かかるEVOH層の示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)は、74J/gであった。
次いで、得られた積層体(紙/EVOH層)を155℃の熱風乾燥機中を3分間通して加熱処理を行って本発明の積層体を得た。
かかる積層体のEVOH層の示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)は80J/gで、かかる(ΔH)は、前記(1)式より算出される100−0.55・Et=100−0.55×45=75.3よりも大きく、(1)式を満足するものであった。
また、このときの加熱処理条件[加熱処理温度(T)=155℃、加熱処理時間(t)=3分]も、前記(2)式及び(3)式をも満足するものであった。
【0021】
実施例3
紙(坪量80g/m2の上質紙)の表面に2液反応型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製、AD−335A/cat−10)でプライマー処理し(乾燥後の厚さ0.5μm)、次いでその上に、2種2層の溶融押出機にて、カルボン酸変性ポリエチレンとEVOH(エチレン含有量30モル%,ケン化度99.8モル%、メルトインデックス8g/10分(210℃、荷重2160g測定値)を共押出し溶融押出コーティングを行って、着量10g/m2のEVOH層を形成させて、紙/EVOH層の積層体を得た。かかるEVOH層の示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)は、81J/gであった。
次いで、得られた積層体(紙/EVOH層)を80℃の恒温器に60分間放置して加熱処理を行って本発明の積層体を得た。
かかる積層体のEVOH層の示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)は86J/gで、かかる(ΔH)は、前記(1)式より算出される100−0.55・Et=100−0.55×30=83.5よりも大きく、(1)式を満足するものであった。
また、このときの加熱処理条件[加熱処理温度(T)=80℃、加熱処理時間(t)=60分]も、前記(2)式及び(3)式をも満足するものであった。
【0022】
実施例4
単層押出機により、エチレン含有量30モル%,ケン化度99.8モル%のEVOHフィルム(厚さ15μm)を製膜し、80℃の恒温器に30分間放置して加熱処理を行って、EVOHフィルムを得た。
かかるEVOHフィルム(層)の示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)は88J/gで、かかる(ΔH)は、前記(1)式より算出される100−0.55・Et=100−0.55×30=83.5よりも大きく、(1)式を満足するものであった。
また、このときの加熱処理条件[加熱処理温度(T)=80℃、加熱処理時間(t)=30分]も、前記(2)式及び(3)式をも満足するものであった。
かかるEVOHフィルム(層)と紙(坪量50g/m2の上質紙)を接着剤(大日精化社製、セイカボンドE−263)でドライラミネートして本発明の積層体を得た。
【0023】
実施例5
単層押出機により、エチレン含有量40モル%,ケン化度99.8モル%のEVOHフィルム(厚さ60μm)を製膜し、160℃で逐次2軸延伸を行い(延伸後の厚さ15μm)、その後100℃で10分間加熱処理を行ってEVOHフィルムを得た。
かかるEVOHフィルム(層)の示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)は84J/gで、かかる(ΔH)は、前記(1)式より算出される100−0.55・Et=100−0.55×40=78.0よりも大きく、(1)式を満足するものであった。
また、このときの加熱処理条件[加熱処理温度(T)=100℃、加熱処理時間(t)=10分]は、前記(2)式及び(3)式をも満足するものであった。
かかるEVOHフィルム(層)と紙(坪量50g/m2の上質紙)を接着剤(大日精化社製、セイカボンドE−263)でドライラミネートして本発明の積層体を得た。
【0024】
比較例1
実施例1において、EVOH層の加熱処理を行わなかった(融解熱は80J/gとなり、前記(1)式より算出される100−0.55・Et=100−0.55×30=83.5よりも小さく、(1)式の関係を逸脱する)以外は同様に行って積層体を得て、同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明の積層体(紙/EVOH)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される特定の融解熱を有するEVOH層を用いているため、防汚性、耐熱水性、耐薬品性等に優れ、特に壁紙をはじめとする内装材に特に有用である。
Claims (6)
- 紙の少なくとも片面に示差走査熱量計(DSC)で測定される1stRunの融解熱(ΔH)が下記(1)式を満足するエチレン含有量(Et)20〜50モル%,ケン化度90モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層が積層されてなることを特徴とする積層体。
ΔH(J/g)≧100−0.55・Et ・・・ (1)
(ここで、Etはエチレン含有量(モル%)を表す) - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層が下記(2)及び(3)式を満足する条件で加熱処理されてなることを特徴とする請求項1記載の積層体。
230−1.6Et≧T≧80−0.5・Et ・・・ (2)
t≧exp(20000/T2) ・・・ (3)
(ここで、Etはエチレン含有量(モル%)、Tは加熱処理温度(℃)、tは加熱処理時間(分)をそれぞれ表す) - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の着量が1〜50g/m2であることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層がコーティングにより形成されてなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の積層体。
- 内装材に用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の積層体。
- 壁紙に用いることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の積層体。
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