JP2975888B2 - 積層体 - Google Patents

積層体

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JP2975888B2 JP8071237A JP7123796A JP2975888B2 JP 2975888 B2 JP2975888 B2 JP 2975888B2 JP 8071237 A JP8071237 A JP 8071237A JP 7123796 A JP7123796 A JP 7123796A JP 2975888 B2 JP2975888 B2 JP 2975888B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル樹脂等の熱
可塑性樹脂を基材とした熱可塑性樹脂層(/接着剤層)
/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EV
OHと略記する)層/接着剤層/紙からなる積層体に関
し、更に詳しくは熱可塑性樹脂層中の耐可塑剤移行性に
優れ、手帳等の表紙などに有用な積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、塩化ビニル樹脂のシートやフ
ィルムは、建築内装用の壁紙や家具等の仕上げ用の化粧
シート、農業用資材、自動車の内装用資材、日用雑貨
(ビニルマット、傘等)などに利用されており、更には
デスクマット、ファイル表紙、手帳表紙等の事務用品や
文房具などにも多用されている。そして、塩化ビニル樹
脂中の可塑剤の悪影響を防ぐためにEVOHを積層する
方法が提案されており(実公平2−47015号公
報)、更にかかる積層体を化粧シートに応用すべく特開
平6−328635号公報では、多層共押出による熱可
塑性樹脂層/接着剤層/ポリオレフィン系樹脂層/接着
剤層/EVOH層からなる積層体が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
塩化ビニル樹脂/EVOHからなる積層体や多層共押出
による熱可塑性樹脂層/接着剤層/ポリオレフィン系樹
脂層/接着剤層/EVOH層からなる積層体を本発明者
が詳細に検討したところ、一般的な耐可塑剤移行性は満
足しているものの、高温度下での耐可塑剤移行性や手帳
等の表紙などの用途に供された場合の耐可塑剤移行性に
ついては十分ではなく、特に後者の場合には表紙めくり
(開閉)時の度重なる負荷により、内装材(壁紙、家具
用の化粧シート、自動車用内装用資材など)等の他の用
途に比べて可塑剤の移行がより顕著に表れる可能性があ
り、さらなる改良が望まれるところである。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者はかか
る問題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記の条
件を満足するようにEVOH溶液が塗布及び乾燥された
熱可塑性樹脂層のEVOH表側に紙が積層されてなる積
層体が上記の課題を解決することを見出し本発明を完成
するに至った。 105<T+9・logη<145 (但し、Tは塗布後の乾燥温度(℃)、ηは塗布時の溶
液粘度(cps)をそれぞれ表す。) 尚、本発明の積層体においては、必要に応じて熱可塑性
樹脂層とEVOH層の間及びEVOH層と紙の間には接
着剤層が設けられる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製造法について具
体的に説明する。本発明に用いられるEVOHとして
は、エチレン含量25〜55モル%、更には28〜48
モル%、酢酸ビニル成分のケン化度が90モル%以上、
更には95モル%以上のものが好適に用いられ、エチレ
ン含量が25モル%未満では耐水性が不十分となり、一
方55モル%を越えると溶液調製時の溶解性が低下して
好ましくない。又、ケン化度が90モル%未満では耐水
性及び熱安定性が不十分となって好ましくない。又該E
VOHは更に少量のプロピレン、イソブテン、α−オク
テン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフ
ィン、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエス
テル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水
物、不飽和スルホン酸又はその塩等のコモノマーを含ん
でいても差支えない。
【0006】本発明においては、かかるEVOHの溶液
を熱可塑性樹脂層に塗布・乾燥する際に、EVOH溶液
塗布時の溶液粘度(η)とその後の乾燥温度(T)との
関係が、105<T+9・logη<145の条件を満
足するように熱可塑性樹脂層(/接着剤層)に塗布され
ていることを特徴とするもので、かかる関係においてT
+9・logηの値が105以下では耐可塑剤移行性が
不十分となり、又145以上では外観不良を起こして好
ましくない。
【0007】かかるEVOHの塗布について、以下詳細
に説明する。塗布されるEVOHは、溶液として使用さ
れ、その際に用いられる溶媒としては水とアルコールの
混合溶媒が用いられ、水の量は30〜70重量%(アル
コールの量は70〜30重量%)、好ましくは40〜6
0重量%(アルコールの量は60〜40重量%)であ
り、30重量%未満又は70重量%を越えると均一な溶
液が得難く塗膜が不透明となるという問題点が生じる。
またアルコールとしてはn−プロピルアルコール、 iso
−プロピルアルコール、 n−ブチルアルコール、iso−
ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブ
チルアルコール等が挙げられ、n−プロピルアルコー
ル、iso −プロピルアルコールが好適に使用される。
【0008】EVOH溶液中のEVOH濃度は特に制限
はなく任意の範囲で塗工可能で通常は0.5〜25重量
%程度が好ましいが、本発明の効果を効率よく発揮する
ためには10〜20重量%が最も好ましい。かかるEV
OH溶液を熱可塑性樹脂層の表面にコーティングするに
当たっては公知の方法を採用することができ、例えばグ
ラビアコーター、リバースロールコーター、エアナイフ
コーター、スプレー、ハケ塗り、バーコーター等が挙げ
られ、好適にはグラビアコーターやリバースロールコー
ターが使用される。
【0009】本発明においては、かかるEVOHの塗布
・乾燥時に上記の関係式を満足させることが必要で、具
体的にはEVOH溶液の塗布時の溶液粘度(η)50〜
1000cps及びその後の乾燥温度(T)80〜12
0℃程度の範囲より上記の関係式を満足すべく該溶液粘
度(η)及び該乾燥温度(T)を任意に選択すればよい
のである。また、乾燥時の時間は特に限定されないが、
通常は10秒〜10分(更には30秒〜5分)の範囲よ
り適宜選択される。
【0010】また、本発明においては、該EVOH層の
(乾燥後の)厚みを非常に薄くできることも特徴の一つ
で、かかる厚みは後述の如く1〜20μmが好ましく、
特に2〜10μmとすることが好ましく、塗布量はかか
る厚みになるように配慮すれば特に限定されないが、通
常は2〜100g/m2、特に3〜60g/m2程度範囲
から任意に選択される。
【0011】かかるEVOH溶液の塗布に当たって、通
常は熱可塑性樹脂層の表面には接着剤(アンカーコー
ト)層が設けられる。かかる接着剤としては、有機チタ
ン系接着剤、2液反応型ポリウレタン系接着剤、ポリエ
ステル/イソシアネート系接着剤等が挙げられ、好適に
は2液反応型ポリウレタン系接着剤が使用される。ま
た、本発明の熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂
としては、塩化ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、アク
リル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等
が挙げられるが、本発明の効果を最も発揮する点では、
塩化ビニル樹脂が好適に使用される。
【0012】次いで、得られた熱可塑性樹脂層(/接着
剤層)/EVOH層の積層体のEVOH層に紙が積層さ
れるのであるが、かかる紙はウレタン系、ポリエステル
系等の公知のドライラミネート用接着剤やポリビニルア
ルコール系、澱粉系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系
等の一般的な接着剤を用いて接着される。かかる紙は特
に限定されないが、坪量30〜150g/m2程度の一
般上質紙、中質紙、コート紙、軽量コート紙、包装紙、
グラビア用紙等の印刷用紙やマニラボール、白ボール、
ライナー等の板紙などが挙げられ、好適には印刷用紙が
用いられる。かくして得られた本発明の積層体の厚みは
特に限定されないが、熱可塑性樹脂層(/接着剤層)/
EVOH層(/接着剤層)/紙=10〜5000μm
(/0.1〜10μm)/1〜20μm(/0.1〜1
0μm)/10〜5000μmの範囲から任意に選択さ
れ得る。
【0013】本発明では積層体の各層に可塑剤(塩化ビ
ニル樹脂層には当然のことながら含有されている)、安
定剤、界面活性剤、架橋性物質(エポキシ化合物、多価
金属、無機又は有機の多塩基酸又はその塩等)、充填
剤、着色剤、補強材としての繊維(ガラス繊維、炭素繊
維等)、艶消剤(タルク、シリカ系粉末、ポリエチレ
ン、ポリウレタン等の樹脂微粒子粉末)等を本発明の効
果を阻害しない範囲において配合することもできる。
【0014】かくして本発明の積層体は、建築内装用の
壁紙や家具等の仕上げ用の化粧シートなどをはじめ、事
務用品、塩ビレザーの表紙を用いた手帳やファイル等の
文房具、日用雑貨などに利用することができるが、前述
したように特に手帳等の表紙(熱可塑性樹脂層を表とす
る)として用いられたときその効果を十分発揮すること
ができ、大変有用である。
【0015】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明の方法を具体
的に説明する。なお、以下「%」とあるのは、特にこと
わりのない限り、重量基準を意味する。 実施例1 塩化ビニル樹脂(厚み1000μm)表面に2液反応型
ポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製、AD−33
5A/cat−10)を塗布量2g/m2となるようにコ
ートし(乾燥後の厚さ0.5μm)、次いでEVOH濃
度12%のEVOH溶液(エチレン含有量30モル%,
ケン化度99.6モル%のEVOHを水/iso −プロピ
ルアルコール重量比=50/50の混合溶媒に溶解した
もので、塗布時(40℃)の溶液粘度は200cps)
を100g/m2塗布した後、90℃(T+9・log
η=90+9・2.3=111)で3分間乾燥させて、
厚さ10μmのEVOH層を形成させた。次いで、EV
OH層表側に2液反応型ポリウレタン系接着剤(東洋モ
ートン社製、AD−335A/cat−10、塗布乾燥
厚み0.5μm)を介して上質紙(坪量104g/
2、厚み100μm)をドライラミネートして本発明
の積層体を得た。
【0016】得られた積層体(21cm×30cm)を
ゲルボフレックステスター(440°)を用いて室温で
300回屈曲を行った後、かかる積層体(10cm×1
0cmに裁断)をポリスチレン板(10cm×10c
m)の上に塩化ビニル樹脂層がポリスチレン板と接する
ように乗せて、200kg/m2になるように均一に荷
重をかけて60℃,50%RHで24時間後のポリスチ
レン板の重量増加量(Δα1)を測定し、上記屈曲処理
を行う前の積層体での同様のポリスチレン板の重量増加
量(Δα0)との比(Δα1/Δα0)を算出して、以下
の通り評価した。 ○ −−− Δα1/Δα0<1.5 × −−− Δα1/Δα0≧1.5
【0017】実施例2 実施例1において、EVOHのエチレン含有量を45モ
ル%とし、EVOH溶液のEVOH濃度を15%として
塗布時(40℃)の溶液粘度を600cpsとして厚さ
8μmのEVOH層を形成させた(T+9・logη=
90+9・2.8=115)以外は同様に行って積層体
得て、同様に評価を行った。
【0018】実施例3 実施例1において、EVOH溶液のEVOH濃度を10
%として塗布時(40℃)の溶液粘度を100cpsと
して厚さ3μmのEVOH層を形成させた(T+9・l
ogη=90+9・2=108)以外は同様に行って積
層体得て、同様に評価を行った。
【0019】実施例4 実施例3において、EVOH溶液塗布後の乾燥温度
(T)を110℃とした(T+9・logη=110+
9・2.9=136)以外は同様に行って積層体得て、
同様に評価を行った。
【0020】実施例5 実施例1において、上質紙の坪量を81g/m2(厚み
80μm)とした以外は同様に行って積層体得て、同様
に評価を行った。
【0021】実施例6 実施例1において、EVOH溶液の混合溶媒を水/n−
プロピルアルコール重量比=50/50とし、EVOH
濃度を16%として塗布時(40℃)の溶液粘度を55
0cpsとした(T+9・logη=90+9・2.7
=114)以外は同様に行って積層体得て、同様に評価
を行った。
【0022】比較例1 実施例1において、EVOHを溶液コーティングする代
わりに、15μm厚みのEVOHフィルムを2液反応型
ポリウレタン系接着樹脂(大日本インキ化学工業社製、
ディックドライ LX−901)を用いてドライラミネ
ートした以外は同様に行って積層体を得て、同様に評価
を行った。
【0023】比較例2 塩化ビニル樹脂、EVOH及びエチレン−酢酸ビニル共
重合体系接着剤(三菱化学社製、モデック−AP E−
300S)を用いて3種3層の溶融共押出を行って、塩
化ビニル樹脂/接着樹脂/EVOH=1000μm/5
μm/10μm(厚み)の積層体を得た後、実施例1と
同様に紙をドライラミネートして得られた積層体につい
て同様に評価を行った。
【0024】比較例3 実施例1においてEVOH溶液の濃度を12%とし、塗
布時(30℃)のEVOH溶液の粘度を167cpsと
し、その後の乾燥温度を80℃とした(T+9・log
η=80+9・2.2=100)以外は同様に行って積
層体得て、同様に評価を行った。
【0025】比較例4 実施例1においてEVOH溶液の濃度を18%として、
塗布時(40℃)のEVOH溶液の粘度を2150cp
sとし、その後の乾燥温度を120℃とした(T+9・
logη=120+9・3.3=150)以外は同様に
行って積層体得て、同様に評価を行った。実施例及び比
較例の評価結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明の積層体は、特定の条件でEVO
H層が形成された熱可塑性樹脂層/EVOH層/紙の構
成を有するため、屈曲後の耐可塑剤移行性に優れ、特に
手帳等の表紙などに大変有用である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の条件を満足するようにエチレン−
    酢酸ビニル共重合体ケン化物溶液が塗布及び乾燥された
    熱可塑性樹脂層のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
    物表側に紙が積層されてなることを特徴とする積層体。 105<T+9・logη<145 (但し、Tは塗布後の乾燥温度(℃)、ηは塗布時の溶
    液粘度(cps)をそれぞれ表す。)
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂が塩化ビニル樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 紙の坪量が30〜150g/m2である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. 【請求項4】 手帳の表紙に用いることを特徴とする請
    求項1〜3いずれか記載の積層体。
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