JP3814184B2 - Mri装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、勾配磁界調整方法およびMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置に関し、さらに詳しくは、折り返りアーチファクト(artifact)を抑制することができる勾配磁界調整方法およびMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来のMRI装置の一例を示す要部断面図である。
このMRI装置500は、垂直方向に静磁界Boを発生させるオープン型MRI装置である。
均一空間DSV(Diameter of Spherical Volume)は、静磁界Boが均一な領域であり、撮像空間となる。
【0003】
静磁界発生用マグネットは、上下に対向して設置された永久磁石1M1,1M2と、ベースヨークYBと、支柱ヨークYPと、整磁板52,54と、X方向についての勾配磁界を発生する勾配コイル3x1,3x2と、Y方向についての勾配磁界を発生する勾配コイル3y1,3y2と、送信コイル5,6とにより構成されている。
【0004】
図7は、均一空間DSVの中心を通るX方向軸に沿った磁界強度分布を示すグラフである。
静磁界Boの磁界強度と勾配磁界強度gの合成磁界Sg(=Bo+g)が、被検体に加わる磁界強度となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図7の均一空間DSV外の点Psは均一空間DSVの近傍にあるため、被検体の一部が点Psに存在する場合がある。この場合、点PsからもMR(Magnetic
Resonance)信号が発生する。
しかし、点Psでの合成磁界Sgの強度は、均一空間DSV内の点Pの合成磁界Sgの強度と等しくなっているため、点Psから発生したMR信号も点Pから発生したMR信号として処理される不都合を生じ、いわゆる折り返しアーチファクトが生じる問題点がある。
そこで、本発明の目的は、折り返りアーチファクトを抑制することができる勾配磁界調整方法およびMRI装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、勾配磁界を調整するための補助コイルを設け、該補助コイルに電流を流すことによって静磁界の均一空間外での勾配磁界の落ち込みを緩和することを特徴とする勾配磁界調整方法を提供する。
上記第1の観点による勾配磁界調整方法では、補助コイルに電流を流すことによって静磁界の均一空間外での勾配磁界の落ち込みを緩和する。このため、均一空間外で均一空間内と等しい合成磁界の強度となる点を均一空間から離すことが可能となる。これによって、その点に被検体の一部が存在する確率が低くなると共に送受信コイルの感度領域からも遠くなるため、その点からのMR信号が発生しないか又は発生しても影響が小さくなり、折り返りアーチファクトを抑制することが出来る。
【0007】
第2の観点では、本発明は、複数のセグメントに分割された整磁板に補助コイルを巻回し、前記補助コイルに電流を流すことによって静磁界の均一空間外での勾配磁界の落ち込みを緩和することを特徴とする勾配磁界調整方法を提供する。
上記第2の観点による勾配磁界調整方法では、整磁板のセグメント(segment)に巻回した補助コイルに電流を流すことによって静磁界の均一空間外での勾配磁界の落ち込みを緩和する。このため、均一空間外で均一空間内と等しい合成磁界の強度となる点を均一空間から離すことが可能となる。これによって、その点に被検体の一部が存在する確率が低くなると共に送受信コイルの感度領域からも遠くなるため、その点からのMR信号が発生しないか又は発生しても影響が小さくなり、折り返りアーチファクトを抑制することが出来る。また、整磁板を補助コイルのコアとして利用できる。
【0008】
第3の観点では、本発明は、上記構成の勾配磁界調整方法において、磁界分布に応じて、前記補助コイルの巻き数を変えることを特徴とする勾配磁界調整方法を提供する。
上記第3の観点による勾配磁界調整方法では、補助コイルの巻き数を変えることで、勾配磁界分布に適合した調整を行えるようになる。
【0009】
第4の観点では、本発明は、上記構成の勾配磁界調整方法において、磁界分布に応じて、前記補助コイルのリターンパスと前記整磁板との距離を変えることを特徴とする勾配磁界調整方法を提供する。
上記第4の観点による勾配磁界調整方法では、補助コイルのリターンパスと整磁板との距離を変えることで、勾配磁界分布に適合した調整を行えるようになる。
【0010】
第5の観点では、本発明は、静磁界を発生させる静磁界発生手段と、勾配磁界を発生させる勾配コイルと、静磁界の均一空間外での勾配磁界の落ち込みを緩和する補助磁界を発生するための補助コイルとを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第5の観点によるMRI装置では、上記第1の観点による勾配磁界調整方法を好適に実施することが出来る。
【0011】
第6の観点では、本発明は、静磁界を発生させる静磁界発生手段と、複数のセグメントに分割された整磁板と、勾配磁界を発生させる勾配コイルと、前記整磁板に巻回され且つ静磁界の均一空間外での勾配磁界の落ち込みを緩和する補助磁界を発生するための補助コイルとを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第6の観点によるMRI装置では、上記第2の観点による勾配磁界調整方法を好適に実施することが出来る。
【0012】
第7の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、前記勾配コイルと前記補助コイルとを直列に接続したことを特徴とするMRI装置を提供する。上記第7の観点によるMRI装置では、単一の電源から、勾配コイルと補助コイルとに電流を供給することが可能なので、構成を簡単に出来る。また、勾配コイルと補助コイルに流す電流を個々に制御する必要がなくなる。
【0013】
第8の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、磁界分布に応じて、前記勾配コイルの巻き数と前記補助コイルの巻き数との比を変えることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第8の観点によるMRI装置では、勾配コイルの巻き数と補助コイルの巻き数との比を変えることで、勾配磁界分布に適合した調整を行えるようになる。
【0014】
第9の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、磁界分布に応じて、前記補助コイルのリターンパスと前記整磁板との距離を変えることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第9の観点によるMRI装置では、補助コイルのリターンパスと整磁板との距離を変えることで、勾配磁界分布に適合した調整を行えるようになる。
【0015】
第10の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、静磁界の方向に対して垂直な面内で直交する2方向をX方向およびY方向とするとき、前記X方向についての勾配磁界を調整するX方向補助コイルと、前記Y方向についての勾配磁界を調整するY方向補助コイルとを具備したことを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第10の観点によるMRI装置では、X方向とY方向の一方または両方についての勾配磁界を必要に応じて調整することが出来る。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施の形態により本発明を詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態にかかるMRI装置を示す要部断面図である。
【0018】
このMRI装置100は、上下に対向して設置された永久磁石すなわち永久磁石1M1,1M2により垂直方向に静磁界Boを発生させるオープン型MRI装置である。
均一空間DSVは、静磁界Boが均一な領域であり、撮像空間となる。
【0019】
永久磁石1M1,1M2の表面には、静磁界Boの均一性を高めるための整磁板2および整磁板4がそれぞれ設置されている。
永久磁石1M1,1M2と、整磁板2,4と、ベースヨークYBおよび支柱ヨークYPとにより、磁気回路が構成される。
【0020】
また、永久磁石1M1の表面には、X方向についての勾配磁界を発生させる勾配コイル3x1およびY方向についての勾配磁界を発生させる勾配コイル3y1が設置されている。
同様に、永久磁石1M2の表面には、X方向についての勾配磁界を発生させる勾配コイル3x2およびY方向についての勾配磁界を発生させる勾配コイル3y2が設置されている。
勾配コイル3x1,3y1,3x2,3y2には、それらに勾配電流Iを供給する勾配電源11が接続されている。
【0021】
勾配コイル3x1,3y1の表面には、被検体に励起用のRF(Radio Frequency)パルスを照射する送信コイル5が設置されている。
同様に、勾配コイル3x2,3y2の表面にも、送信コイル6が設置されている。
【0022】
整磁板2には、補助コイル10x1が巻回されている。また、整磁板4には、補助コイル10x2が巻回されている。
補助コイル10x1,10x2には、それらに補助電流iを供給する勾配電源12が接続されている。
【0023】
図2は、図1のK−K’断面図である。
整磁板2は、渦電流を抑制するために、複数のセグメント2−1,2−2,…,2−20に分割されている。
補助コイル10x1−1は、整磁板2のセグメント2−3〜2−9に跨って巻回されている。
補助コイル10x1−2は、整磁板2のセグメント2−13〜2−19に跨ってが巻回されている。
補助コイル10x1−1,10x1−2の巻き数は、勾配磁界分布に応じて決められる。
【0024】
補助コイル10x1−1,10x1−2は、直列に接続されている。
補助コイル10x1−1,10x1−2の直列回路には、補助電源12から補助電流iが供給される。
【0025】
また、上記と同様に、整磁板4も複数のセグメントに分割されており、整磁板4のセグメントにも補助コイル10x2が巻回されており、その補助コイル10x2にも補助電源12から補助電流iが供給される。
【0026】
図3は、均一空間DSVの中心を通るX方向軸に沿った、無調整の勾配磁界gの磁界強度分布および調整後の勾配磁界g’の磁界強度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
調整後の勾配磁界g’は、無調整の勾配磁界gに補助コイル10x1,10x2による補正磁界byを加えたものである。
図3から判るように、勾配磁界の線形部分にはほとんど影響を与えずに、線形部分外の落ち込みを緩和することが可能である。
【0027】
図4は、均一空間DSVの中心を通るX方向軸に沿った磁界強度分布を示すグラフである。
静磁界Boの磁界強度と勾配磁界強度g’の合成磁界Sg’(=Bo+g’)が、被検体に加わる磁界強度となる。
【0028】
図5は、本発明と従来技術の比較説明図である。
PS’は、本発明において、均一空間DSV内の点Pと磁界強度が等しくなる均一空間DSV外の点である。
一方、PSは、従来技術において、均一空間DSV内の点Pと磁界強度が等しくなる均一空間DSV外の点である。
本発明では、勾配磁界の線形部分外の落ち込みを緩和しているため、点Ps’は、点Psよりも、均一空間DSVから離れている。この結果、点Psに被検体の一部が存在する確率よりも、点Ps’に被検体の一部が存在する確率の方が低くなる。また、点Psよりも、点Ps’の方が、送受信コイルの感度領域から遠くなる。このため、点Ps’からのMR信号が発生しないか、又は、発生しても影響が小さくなり、折り返りアーチファクトを抑制することが出来る。
【0029】
なお、折り返りアーチファクトは、勾配磁界gと静磁界Boとが同極性になる側でのみ生じるため、図4,図5に示す例では、補助コイル10x1−1は無用であり、補助コイル10x1−2のみ有用である。しかし、パルスシーケンスにより勾配磁界gの極性が反転した場合には、補助コイル10x1−1が有用になり、補助コイル10x1−2が無用になる。
【0030】
−他の実施形態−
(1)補助コイル10x1−1または10x1−2のうち、勾配磁界gと静磁界Boとが同極性になる側のみを選択して補助電流iを流すように切換スイッチを設けるか、別電源にしてもよい(補助コイル10x2についても同じ)。これにより、消費電力を節約できる。
(2)補助コイル10x1,10x2と勾配コイル3x1,3x2を直列接続してもよい。これにより、電源数を減らすことが出来る。
(3)上記では、X方向の勾配磁界gを調整する補助コイル10x1,10x2について説明したが、補助コイル10x1,10x2の代わりに又はそれに加えて、Y方向についての勾配磁界の調整を行う補助コイルを設けてもよい。このY方向についての勾配磁界の調整を行う補助コイルは、X方向についての勾配磁界の調整を行う補助コイル10x1,10x2をXY面内で90°回転させた配置としたものになる。
(4)上記では、永久磁石1M1,1M2により静磁界Boを発生させた場合について説明したが、永久磁石以外の静磁界発生手段、例えば超電導磁石により静磁界Boを発生させてもよい。
(5)本発明は、スピン・エコー法(spin echo method)などの基本的な撮影法に加えて、グラディエント・エコー法(gradient echo method)やエコー・プラナー法(echo planar method)などの高速撮影法にも適用できる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の勾配磁界調整方法およびMRI装置によれば、補助コイルに電流を流すことによって、静磁界の均一空間外での勾配磁界の落ち込みを緩和することが可能となる。これにより、折り返りアーチファクトを低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるMRI装置を示す要部断面図である。
【図2】図1のK−K’断面図である。
【図3】均一空間の中心を通るX方向軸に沿った磁界強度分布のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図4】本発明にかかる、均一空間の中心を通るX方向軸に沿った磁界強度分布を示すグラフである。
【図5】本発明と従来技術の比較説明図である。
【図6】従来のMRI装置の一例を示す要部断面図である。
【図7】従来技術にかかる、均一空間の中心を通るX方向軸に沿った磁界強度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
100 MRI装置
1M1,1M2 永久磁石
2,4 整磁板
3x1,3x2 勾配コイル
3y1,3y2 勾配コイル
5,6 送信コイル
10x1,10x2 補助コイル
11 勾配電源
12 補助電源
Bo 静磁界
DSV 均一空間
YB ベースヨーク
YP 支柱ヨーク

Claims (5)

  1. 上下に対向して設置された円板形状の永久磁石により前記上下方向に静磁界を発生させる静磁界発生手段と、
    前記永久磁石の円板形状における互いに向き合った円表面の円周部に設置された、複数のセグメントに分割された整磁板と、
    前記永久磁石の円表面において前記整磁板よりも円の中心側に設置された、勾配磁界を発生させる勾配コイルと、
    前記整磁板に巻回され且つ静磁界の均一空間外での前記上下方向と垂直な方向の勾配磁界の落ち込みを緩和する補助磁界を発生するための補助コイルとを具備したことを特徴とするMRI装置。
  2. 請求項1に記載のMRI装置において、
    前記勾配コイルと前記補助コイルとを直列に接続したことを特徴とするMRI装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のMRI装置において、
    磁界分布に応じて、前記勾配コイルの巻き数と前記補助コイルの巻き数との比を変えることを特徴とするMRI装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のMRI装置において、
    静磁界の方向に対して垂直な面内で直交する2方向をX方向およびY方向とするとき、前記X方向についての勾配磁界を調整するX方向補助コイルと、前記Y方向についての勾配磁界を調整するY方向補助コイルとを具備したことを特徴とするMRI装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載のMRI装置において、
    前記永久磁石の上下方向の外側にそれぞれベースヨークを設置し、
    上下に設置された前記ベースヨークに接続された支柱ヨークを設置して、前記ベースヨークと前記支柱ヨークとで磁気回路を構成し、
    対向して設置された前記勾配コイルの上下方向の内側にRFパルスを照射する送信コイルをそれぞれ設置したことを特徴とするMRI装置。
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