JP3813895B2 - 抄紙設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の抄紙設備として、特開平11−334950記載の技術(従来例1)がある。
図7は従来例1の抄紙設備の概略説明図である。同図において、符号PMおよび符号Wは、それぞれ抄紙機およびワインダ設備を示している。また、符号Rおよび符号RSは、それぞれ親巻ロールおよびリールスプールを示している。符号100 は親巻ロールRを抄紙機PMからワインダ設備Wに搬送し、かつ紙が巻戻されたリールスプールRSをワインダ設備Wから抄紙機PMに送る搬返送設備である。
【0003】
図7に示すように、抄紙機PMによって抄紙された紙Pを、抄紙機PM終端に設けられたリールパートRPで巻軸であるリールスプールRSに巻き付けると、所定の径の親巻ロールRが抄造される。抄造された親巻ロールRは、搬返送設備100 の下段レール110 上をワインダ設備Wに向かって移動される。
ワインダ設備Wまで搬送された親巻ロールRは、ワインダ設備WのアンワインダWAによって巻き戻され、親巻ロールRから巻き戻された紙Pは、ワインダWBによって製品ロールSRに巻き替えられる。すると、親巻ロールRはリールスプールRSに若干の残紙WPが巻き付いた状態となる。このリールスプールRSは、アンローダ115 によって上方に持ち上げられ、前記下段レール110 の上方に設けられた上段レール111 に載せられる。そして、上段レール111 に載せられたリールスプールRSは、上段レール111 上を移動されて抄紙機PMまで返送され、再び紙Pが巻き付けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来例1の抄紙設備は、ワインダ設備Wを1台しか備えていないため、親巻ロールRは、一本ずつ製品ロールSRに巻き替えられている。このため、抄紙機PMによって親巻ロールRを抄造する生産能力に比べて、ワインダ設備Wによって親巻ロールRを製品ロールSRに巻き替える処理能力が低い場合には、抄紙機PMの運転速度を遅くしなければならず、生産効率が悪くなるという問題がある。
かといって、ワインダ設備をもう一台設けた場合、このワインダ設備への親巻ロールRの供給や、このワインダ設備によって巻き戻されたリールスプールRSの返送は、クレーン等で行わなければならず、抄紙作業を自動化できず、かえって設備の生産効率が低下する可能性があるという問題がある。
【0005】
また、ワインダ設備Wで巻き戻されたリールスプールRSには、若干の残紙WPが巻き付いている。この残紙WPが巻き付いたままのリールスプールRSに新たに紙Pが巻き付けられると、巻姿が悪くなったり、巻き付けられた紙Pにしわよる等の不具合が生じる。このため、残紙WPは、リールスプールRSをワインダ設備Wから抄紙機PMに返送する途中で、上段レール111 に設けられた残紙除去装置120 によって除去される。
しかし、従来例1の抄紙設備100 では、残紙除去装置120 によって除去された残紙WPを下段レール110 の下方に設けられた残紙パルパーPPに落としているので、リールスプールRSから残紙WPを除去している間は、親巻ロールRの搬送やリールスプールRSの返送ができず、作業効率が悪いという問題がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑み、ワインダ設備におけるロールの巻き替え処理能力が低い場合であっても抄紙機の運転速度が低下することを防ぐことができ、しかも生産効率が低下することを防ぐことができる抄紙設備を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の抄紙設備は、抄紙機と、該抄紙機によって抄造された親巻ロールを製品ロールに巻き替えるワインダ設備と、前記抄紙機と前記ワインダ設備の間に設けられた、親巻ロールの搬送とリールスプールの返送を行う搬返送設備とからなる抄紙設備であって、該抄紙設備が、前記ワインダ設備を複数台備えており、前記搬返送設備が、前記抄紙機で抄造された親巻ロールを一のワインダ設備に搬送し、該一のワインダ設備から前記抄紙機にリールスプールを返送する第1搬返送ラインと、該第1搬返送ライン上の親巻ロールを他のワインダ設備に搬送し、該他のワインダ設備から前記第1搬返送ラインにリールスプールを返送する中継手段とからなり、該中継手段が、前記第1搬返送ラインとの間で、親巻ロールおよびリールスプールの受け渡しを行う移動台車と、該移動台車上の親巻ロールを他のワインダ設備に搬送し、該他のワインダ設備から前記移動台車にリールスプールを返送する副搬返送ラインとからなり、前記第1搬返送ラインが、前記抄紙機から前記一 のワインダ設備に親巻ロールを搬送する搬送部と、該搬送部の上方に設けられ、前記一のワインダ設備から前記抄紙機にリールスプールを返送する返送部と、巻き戻しが終了したリールスプールを、前記搬送部から前記返送部に移動させるアンローダとを備えており、前記副搬返送ラインが、前記移動台車から前記他のワインダ設備に親巻ロールを搬送する搬送部と、該搬送部の上方に設けられ、前記他のワインダ設備から前記移動台車にリールスプールを返送する返送部と、巻き戻しが終了したリールスプールを、前記搬送部から前記返送部に移動させるアンローダとを備えており、前記移動台車が、前記第1搬返送ラインの搬送部から親巻ロールを受け取り、該親巻ロールを前記副返送ラインの搬送部に渡す親巻ロール保持部と、該親巻ロール保持部の上方に設けられ、前記副搬返送ラインの返送部からリールスプールを受け取り、該リールスプールを前記第1搬返送ラインの返送部に渡すリールスプール保持部を備えており、前記第1搬返送ラインの搬送部から前記移動台車に親巻ロールが供給されると、該移動台車が、前記第1搬返送ラインから前記副搬返送ラインに移動され、該副搬返送ラインの返送部から前記移動台車にリールスプールが供給されると、該移動台車が、前記副搬返送ラインから前記第1搬返送ラインに移動されるように構成されており、前記移動台車のリールスプール保持部が残紙処理装置を備えており、該残紙処理装置が、リールスプールを回転自在に保持する回転支持部と、該回転支持部に保持されたリールスプールを、その軸周りに回転させる回転駆動部とからなり、前記移動台車が、リールスプールから除去された残紙を処理する残紙処理パルパーを備えた残紙処理部における残紙処理位置と、前記第1搬返送ラインおよび前記副搬返送ラインとの間を移動可能に設けられていることを特徴とする。
請求項2記載の抄紙設備は、抄紙機と、該抄紙機によって抄造された親巻ロールを製品ロールに巻き替えるワインダ設備と、前記抄紙機と前記ワインダ設備の間に設けられた、親巻ロールの搬送とリールスプールの返送を行う搬返送設備とからなる抄紙設備であって、該抄紙設備が、前記ワインダ設備を複数台備えており、前記搬返送設備が、前記抄紙機で抄造された親巻ロールを一のワインダ設備に搬送し、該一のワインダ設備から前記抄紙機にリールスプールを返送する第1搬返送ラインと、該第1搬返送ライン上の親巻ロールを他のワインダ設備に搬送し、該他のワインダ設備から前記第1搬返送ラインにリールスプールを返送する中継手段とからなり、該中継手段が、前記第1搬返送ラインとの間で、親巻ロールおよびリールスプールの受け渡しを行う移動台車と、該移動台車上の親巻ロールを他のワインダ設備に搬送し、該他のワインダ設備から前記移動台車にリールスプールを返送する副搬返送ラインとからなり、前記第1搬返送ラインが、前記抄紙機から前記一のワインダ設備に親巻ロールを搬送する搬送部と、該搬送部の上方に設けられ、前記一のワインダ設備から前記抄紙機にリールスプールを返送する返送部と、巻き戻しが終了したリールスプールを、前記搬送部から前記返送部に移動させるアンローダとを備えており、前記副搬返送ラインが、前記移動台車から前記他のワインダ設備に親巻ロールを搬送する搬送部と、該搬送部の上方に設けられ、前記他のワインダ設備から前記移動台車にリールスプールを返送する返送部と、巻き戻しが終了したリールスプールを、前記搬送部から前記返送部に移動させるアンローダとを備えており、前記移動台車が、前記第1搬返送ラインの搬送部から親巻ロールを受け取り、該親巻ロールを前記副返送ラインの搬送部に渡す親巻ロール保持部と、該親巻ロール保持部の上方に設けられ、前記副搬返送ラインの返送部からリールスプールを受け取り、該リールスプールを前記第1搬返送ラインの返送部に渡すリールスプール保持部を備えており、前記第1搬返送ラインの搬送部から前記移動台車に親巻ロールが供給されると、該移動台車が、前記第1搬返送ラインから前記副搬返送ラインに移動され、該副搬返送ラインの返送部から前記移動台車にリールスプールが供給されると、該移動台車が、前記副搬返送ラインから前記第1搬返送ラインに移動されるように構成されており、前記副搬返送ラインに、リールスプールから除去された残紙を処理する残紙処理パルパーを備えた残紙処理部が設けられており、該残紙処理部が、前記残紙処理パルパーと、前記移動台車が前記副搬返送ラインとの間において親巻ロールの供給およびリールスプールの受け取りを行う受渡位置との間に設けられた、リールスプールから残紙を除去するための残紙処理装置と、該残紙処理装置と前記移動台車のリールスプール 保持部との間で、リールスプールの受渡しを行う受渡装置とからなることを特徴とする。
請求項3記載の抄紙設備は、請求項1または2記載の発明において、前記第1搬返送ラインにおいて、前記抄紙機と前記一のワインダ設備との間における親巻ロールおよびリールスプールの移動経路の途中に、前記移動台車を収容する中継部が形成されたことを特徴とする。
請求項4記載の抄紙設備は、請求項3記載の発明において、前記第1搬返送ラインの搬送部が、前記抄紙機と前記中継部との間に設けられた、親巻ロールが移動される抄紙機側搬送レールと、前記中継部と前記一のワインダ設備との間に設けられた、親巻ロールが移動されるワインダ側搬送レールを備えており、前記第1搬返送ラインの返送部が、前記一のワインダ設備と前記中継部との間に設けられた、リールスプールが移動されるワインダ側返送レールと、前記中継部と前記抄紙機との間に設けられた、リールスプールが移動される抄紙機側返送レールとを備えており、前記中継部が、前記抄紙機側搬送レールと前記ワインダ側搬送レールとの間に出没可能に設けられた中継用搬送レールと、前記抄紙機側返送レールと前記ワインダ側返送レールとの間に出没可能に設けられた中継用返送レールとを備えており、前記移動台車が前記第1搬返送ラインから移動すると、前記中継用搬送レールによって前記抄紙機側搬送レールと前記ワインダ側搬送レールとが連結され、前記中継用返送レールによって前記抄紙機側返送レールと前記ワインダ側返送レールとがを連結されることを特徴とする。
請求項5記載の抄紙設備は、請求項記載の発明において、前記残紙処理部における残紙処理位置が、前記移動台車が、前記副搬返送ラインとの間において、親巻ロールの供給およびリールスプールの受け取りを行う受渡位置であることを特徴とする。
請求項記載の抄紙設備は、請求項記載の発明において、前記移動台車が、リールスプールから除去された残紙を残紙パルパーに案内する案内部を備えていることを特徴とする
求項記載の抄紙設備は、請求項記載の発明において、前記残紙処理部の残紙処理装置が、リールスプールから除去された残紙を残紙パルパーに案内する案内部を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、抄紙機1台に対してワインダ設備を複数台備えているので、親巻ロールを複数本同時に製品ロールに巻き替えることができる。よって、ワインダ設備における巻き替え処理能力が低くても、抄紙機の運転速度を低下させる必要がないので、生産効率が低下することを防ぐことができる。また、他のワインダ設備には、中継手段の移動台車と副搬返送ラインによって、第1搬返送ラインから親巻ロールを搬送できるし、第1搬返送ラインにリールスプールを返送できる。よって、他のワインダ設備への親巻ロールの搬送およびリールスプールの返送を自動化できる。つまり、ワインダ設備を複数台設けても、全ての搬送・返送工程を自動化できるので、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。第1搬返送ラインの搬送部から移動台車の親巻きロール保持部に親巻ロールの搬送を行う経路と、移動台車のリールスプール保持部から第1搬返送ラインの返送部にリールスプールの返送を行う経路とが別な経路となっている。よって、第1搬返送ラインと移動台車との間において、親巻ロールの搬送とリールスプールの返送を同時に行うことができるので、親巻ロールとリールスプールの受け渡し作業の時間が短くなり、第1搬返送ラインの作業停止時間を短くすることができる。また、副搬返送ラインと移動台車の間においても親巻ロールとリールスプールの受け渡し作業の時間が短くなるので、移動台車が第1搬返送ラインと副搬返送ラインとの間を往復するのに必要とする時間を短くすることができる。よって、中継手段による搬返送効率を高くすることができる。したがって、ワインダ設備を複数台設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。リールスプールを回転支持部に保持した状態で駆動部によってリールスプールをその軸周りに回転させれば、リールスプールから残紙を除去することができる。そして、移動台車のリールスプール保持部が残紙処理装置を備えているので、全ての搬返送ラインのリールスプールの残紙除去作業を、1つの残紙処理装置で、かつ両ライン外で行うことがで きる。このため、各ラインに残紙処理装置を設ける必要がないので、各ラインの構造を簡単にすることができる。また、残紙処理をライン外で行うことができるので、残紙除去処理中でも各ラインにおいて親巻ロールおよびリールスプールの搬返送を継続することができる。したがって、複数台のワインダを設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、抄紙機1台に対してワインダ設備を複数台備えているので、親巻ロールを複数本同時に製品ロールに巻き替えることができる。よって、ワインダ設備における巻き替え処理能力が低くても、抄紙機の運転速度を低下させる必要がないので、生産効率が低下することを防ぐことができる。また、他のワインダ設備には、中継手段の移動台車と副搬返送ラインによって、第1搬返送ラインから親巻ロールを搬送できるし、第1搬返送ラインにリールスプールを返送できる。よって、他のワインダ設備への親巻ロールの搬送およびリールスプールの返送を自動化できる。つまり、ワインダ設備を複数台設けても、全ての搬送・返送工程を自動化できるので、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。第1搬返送ラインの搬送部から移動台車の親巻きロール保持部に親巻ロールの搬送を行う経路と、移動台車のリールスプール保持部から第1搬返送ラインの返送部にリールスプールの返送を行う経路とが別な経路となっている。よって、第1搬返送ラインと移動台車との間において、親巻ロールの搬送とリールスプールの返送を同時に行うことができるので、親巻ロールとリールスプールの受け渡し作業の時間が短くなり、第1搬返送ラインの作業停止時間を短くすることができる。また、副搬返送ラインと移動台車の間においても親巻ロールとリールスプールの受け渡し作業の時間が短くなるので、移動台車が第1搬返送ラインと副搬返送ラインとの間を往復するのに必要とする時間を短くすることができる。よって、中継手段による搬返送効率を高くすることができる。したがって、ワインダ設備を複数台設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。全ての搬返送ラインを返送されるリールスプールの残紙処理を、副搬返送ラインにおける搬返送ライン外に設けられた1つの残紙処理装置で行うことができる。このため、残紙除去処理中でも各ラインにおいて親巻ロールおよびリールスプールの搬返送を継続することができるし、移動台車による各搬返送ライン間における親巻きロールの搬送を継続することができる。したがって、複数台のワインダを設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
請求項3の発明によれば、第1搬返送ラインにおける親巻ロールおよびリールスプールの移動経路の途中に中継部が設けられているから、親巻ロールを、その移動形路上を移動させるだけで、第1搬返送ラインの搬送部から移動台車の親巻ロール保持部に渡すことができる。よって、親巻ロールを第1搬返送ラインから移動台車に載せ替えるための特別な受け渡し装置を設ける必要がないので、搬返送設備の構造を簡単にすることができる。同様に、リールスプールを、移動台車から第1搬返送ラインの返送部に載せ替える特別な受け渡し装置を設ける必要がないので、搬返送設備の構造を簡単にすることができる。
請求項4の発明によれば、親巻ロールおよびリールスプールに各レール上を移動させれば、抄紙機と一のワインダ設備との間を搬返送することができる。そして、移動台車が第1搬返送ラインの中継部から移動していても、中継用搬送レールを介して、親巻ロールを抄紙機側搬送レールからワインダ側搬送レールに搬送することができ、中継用返送レールを介してリールスプールをワインダ側返送レールから抄紙機側返送レールに返送することができる。よって、移動台車の位置にかかわらず、第1搬返送ラインにおける親巻ロールおよびリールスプールの搬返送を継続できる。したがって、ワインダ設備を複数台設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
請求項5の発明によれば、移動台車が移動する距離を短くすることができるので、設備を設置する床面積を小さくすることができる。また、移動台車から副搬返送ラインの搬送部に親巻ロールを供給するときに、移動台車のリールスプール保持部にリールスプールを供給しておけば、副搬返送ラインの搬送部に親巻ロールを供給しているときに、リールスプールの残紙処理を同時に行うことができる。すると、移動台車が残紙処理だけを行っている時間を短くすることができるので、設備の生産効率を向上させることができる。
請求項の発明によれば、リールスプールから除去された残紙が、風等によってバタついて、周囲に飛散したり、他の装置等に絡んだりすることを防ぐことができる
求項の発明によれば、リールスプールから除去された残紙が、風等によってバタついて、周囲に飛散したり、他の装置等に絡んだりすることを防ぐことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の抄紙設備の概略平面図である。図2は図1のII−II線矢視図である。図1および図2に示すように、本実施形態の抄紙設備は、抄紙機PMと、抄紙機PMによって抄造された親巻ロールRを製品ロールSRに巻き替えるワインダ設備Wと、抄紙機PMとワインダ設備Wとの間に設けられた搬返送設備1とからなり、ワインダ設備Wを複数台設け、搬返送設備1によってこの複数台のワインダ設備Wに自動で親巻ロールRの搬送およびリールスプールRSの返送をできるようにしたことが特徴である。
以下には、代表としてワインダ設備を2台設けた場合について説明する。
【0010】
まず、本発明の特徴である搬返送設備1を説明する前に、抄紙機PMおよびワインダ設備Wについて簡単に説明する。
図1および図2に示すように、搬返送設備1の上流側(図1および図2では左側)には、抄紙機PMが設置されている。この抄紙機PMは、パルプと水が混合した懸濁液を脱水して乾燥した紙Pを抄紙するものである。また、抄紙機PMの終端には、リールパートRPが設けられており、このリールパートRPにおいて紙PがリールスプールRSに巻きつけられ、所望の径の親巻ロールRが抄造される。
一方、搬返送設備1の下流側(図1および図2では右側)には、ワインダ設備Wが設けられている。このワインダ設備Wは、搬返送設備1の終端まで搬送された親巻ロールRを回転させて、親巻ロールRに巻き付いている紙Pを巻き戻す(以下では単に親巻ロールRを巻き戻すという)ためのアンワインダWAと、アンワインダWAによって巻き戻された紙Pを製品ロールSRに巻き替えるためのワインダWBを備えている。このため、搬返送設備1によって搬送された親巻きロールRを、ワインダ設備Wにおいて親巻ロールRから製品ロールSRに巻き替えることができる。
したがって、本実施形態の抄紙設備は、抄紙機PMによって抄造された親巻ロールRを、搬返送設備1によって抄紙機PMからワインダ設備Wに搬送し、ワインダ設備Wにおいて親巻ロールRを製品ロールSRに巻き替えることができる。
【0011】
さて、本発明の特徴である搬返送設備1について説明する。
図1に示すように、本実施形態の抄紙設備では、第1ワインダ設備W1と第2ワインダ設備W2の2つのワインダ設備Wが設けられており、搬返送設備1は、抄紙機PMと第1ワインダ設備1との間に設けられた第1搬返送ライン10と、第1搬返送ライン10と第2ワインダ設備W2との間に設けられた中継手段30とから基本構成されている。
【0012】
まず、第1搬返送設備10を説明する。
図1および図2に示すように、抄紙機PMと第1ワインダ設備W1との間には親巻ロールRを抄紙機PMから第1ワインダ設備W1に搬送するための搬送部15が設けられている。なお、抄紙機PMのリールパートRPにおいてリールスプールRSに紙Pが巻き付けられるとき、およびワインダ設備WのアンワインダWAによって親巻ロールRの紙Pが巻き戻されるときは、いずれもリールスプールRSおよび親巻ロールRは後述する搬返送設備1の搬送部15上に保持されている。
【0013】
この搬送部15は、一対の抄紙機側搬送レール16,16、一対のワインダ側搬送レール17,17および前記両者の間に設けられた一対の中継用搬送レール18,18から構成されており、抄紙機PMから第1ワインダ設備W1に向けて、抄紙機側搬送レール16→中継用搬送レール18→ワインダ側搬送レール17の順で直列に配設されている。
そして、一対の抄紙機側搬送レール16,16、一対のワインダ側搬送レール17,17および一対の中継用搬送レール18,18は、抄紙機PMから第1ワインダ設備W1に向かって下傾しており、その上面が一対の抄紙機側搬送レール16,16から一対のワインダ側搬送レール17,17まで連続した傾斜となるように配設されている。そして、図示しないが、一対の抄紙機側搬送レール16,16と一対のワインダ側搬送レール17,17には、親巻ロールRを保持解放することができる保持部が、抄紙機側搬送レール16およびワインダ側搬送レール17に沿って複数箇所設けられている。
【0014】
このため、親巻ロールRを一対の抄紙機側搬送レール16,16等の上に載せれば、親巻ロールRを、その自重によって抄紙機PMから第1ワインダ設備W1に向かって転動させ、抄紙機PMから第1ワインダ設備W1に移動させることができる。また、一対の抄紙機側搬送レール16,16等の上を転動する親巻ロールRを保持部によって保持すれば、親巻ロールRの移動を停止させることができる。
つまり、搬送部15は、各保持部に親巻ロールRを保持させれば、搬送部15上に複数の親巻ロールRを保持しておくことができ、保持部から親巻ロールRを解放すれば、親巻ロールRを抄紙機PMから第1ワインダW1に向けて移動させることができるのである。
【0015】
また、一対の中継用搬送レール18,18は、その一端が一対の抄紙機側搬送レール16,16の第1ワインダ設備W1側の端部にそれぞれ回転自在に取り付けられており、その一端を支点としてその他端を上下に揺動させることができる。
このため、一対の中継用搬送レール18,18を、その他端が一対のワインダ側搬送レール17,17の抄紙機PM側端部と同じ高さとなるまで揺動させれば、一対の中継用搬送レール18,18によって一対の抄紙機側搬送レール16,16と一対のワインダ側搬送レール17,17とを連結することができる。
逆に、一対の中継用搬送レール18,18を下方に揺動させれば、一対の中継用搬送レール18,18を一対の抄紙機側搬送レール16,16と一対のワインダ側搬送レール17,17との間から退避させることができ、両者の間に空間を設けることができる。
【0016】
なお、一対の中継用搬送レール18,18を揺動させる機構は、例えば油圧シリンダ方式やウォームジャッキ機構等であるが、特に限定はない。
さらになお、一対の中継用搬送レール18,18の移動機構は上記のごとき機構に限定されず、一対の抄紙機側搬送レール16,16と一対のワインダ側搬送レール17,17との間に一対の中継用搬送レール18,18を出没させて、両者の間を連結したり、両者の間に空間を設けたりすることができるような構造であればよい。例えば、一対の抄紙機側搬送レール16,16の第1ワインダ設備W1側の一端から、一対の抄紙機側搬送レール16,16の軸方向に沿って出没するような機構としてもよい。
【0017】
図1および図2に示すように、前記搬送部15の上方には、第1ワインダ設備W1のアンワインダWAによって巻き戻されたリールスプールRSを抄紙機PMまで返送する返送部20が設けられている。この返送部20は、一対のワインダ側返送レール21,21、一対の抄紙機側返送レール22,22および前記両者の間であって前記搬送部15の一対の中継用搬送レール18,18の上方に設けられた一対の中継用返送レール23,23から構成されており、第1ワインダ設備W1から抄紙機PMに向けてワインダ側返送レール21→中継用返送レール23→抄紙機側返送レール22の順に直列に配設されている。
そして、一対のワインダ側返送レール21,21、一対の抄紙機側返送レール22,22および一対の中継用返送レール23,23は、その上面が第1ワインダ設備W1から抄紙機PMに向かって下傾しており、一対のワインダ側返送レール21,21から一対の抄紙機側返送レール22,22まで連続した傾斜となるように配設されている。そして、図示しないが一対のワインダ側返送レール21,21と一対の抄紙機側返送レール22,22には、リールスプールRSを保持解放することができる保持部が、ワインダ側返送レール21および抄紙機側返送レール22に沿って複数箇所設けられている。
【0018】
このため、リールスプールRSを一対のワインダ側返送レール21,21の上に載せれば、リールスプールRSをその自重によって第1ワインダ設備W1から抄紙機PMに向かって転動させ、第1ワインダ設備W1から抄紙機PMに移動させることができる。また、一対のワインダ側返送レール21,21等の上を転動するリールスプールRSを、保持部によって保持すれば、リールスプールRSの移動を停止させることができる。
つまり、返送部20は、各保持部にリールスプールRSを保持させれば、返送部20上に、複数のリールスプールRSを保持しておくことができ、保持部からリールスプールRSを解放すれば、リールスプールRSを第1ワインダ設備W1から抄紙機PMに向けて移動させることができる。
【0019】
また、一対の中継用返送レール23,23は、その一端が一対の抄紙機側返送レール22,22の第1ワインダ設備W1側の端部に回転自在に取り付けられており、その一端を支点としてその他端を上下に揺動させることができる。
このため、一対の中継用返送レール23,23を、その他端が一対のワインダ側返送レール21,21の抄紙機PM側の端部と同じ高さとなるまで揺動させれば、一対の中継用返送レール23,23によって、一対のワインダ側返送レール21,21と一対の抄紙機側返送レール22,22とを連結することができる。
逆に、一対の中継用返送レール23,23を下方に揺動させれば、一対の中継用返送レール23,23を一対のワインダ側返送レール21,21と一対の抄紙機側返送レール22,22との間から退避させることができ、両者の間に空間を設けることができる。
【0020】
なお、一対の中継用返送レール23,23を揺動させる機構は、例えば油圧シリンダ方式やウォームジャッキ機構等であるが、特に限定はない。
さらになお、一対の中継用返送レール23,23の移動機構は上記のごとき機構に限定されず、一対のワインダ側返送レール21,21と一対の抄紙機側返送レール22,22との間に一対の中継用返送レール23,23を出没させて、両者の間を連結したり、両者の間に空間を設けたりすることができるような構造であればよい。例えば、一対の抄紙機側返送レール22,22の第1ワインダ設備W1側の一端から、一対の抄紙機側返送レール22,22の軸方向に沿って出没するような機構としてもよい。
【0021】
図1および図2において、符号12は、アンローダを示している。このアンローダ12は、第1搬返送ライン10の搬送部15の終端、つまり一対のワインダ側搬送レール17,17の終端において紙Pが巻き戻されたリールスプールRSを、第1搬返送ライン10から返送部20に移動させる、つまり一対のワインダ側返送レール21,21上に移動させるためのものである。
また、図1および図2において、符号11は移載装置を示している。この移載装置11は、返送部20上を移動して抄紙機PMに返送されたリールスプールRSを、一対の抄紙機側返送レール22,22上から一対の抄紙機側搬送レール16,16上に移動させるためのものである。
【0022】
上記のごとき構成であるから、第1搬返送ライン10によれば、抄紙機PMのリールパートRPによって抄造された親巻ロールRを、搬送部15上転動させて抄紙機PMから第1ワインダ設備W1に移動させることができる。そして、第1ワインダ設備W1のアンワインダWAによって巻き戻されたリールスプールRSを、アンローダ12によって搬送部15から返送部20に移動し、返送部20上を転動させて第1ワインダ設備W1から抄紙機PMに向けて移動させることができる。最後に移載装置11によって返送部20上のリールスプールRSを搬送部15上に移動させれば、再びリールスプールRSに紙Pを巻き付けて親巻ロールRを抄造することができる。
【0023】
また、搬送部15の一対の抄紙機側搬送レール16,16と一対のワインダ側搬送レール17,17、および返送部20の一対のワインダ側返送レール21,21と一対の抄紙機側返送レール22,22には、親巻ロールRおよびリールスプールRSを保持する保持部があるので、この保持部によって搬送部15および返送部20上に複数個の親巻ロールRおよびリールスプールRSをそれぞれ保持しておくことができる。
【0024】
なお、上記の搬送部15の一対の中継用搬送レール18,18、返送部20の一対の中継用返送レール23,23、および一対の中継用搬送レール18,18と一対の中継用返送レール23,23を下方に揺動させたときにできる空間が特許請求の範囲にいう第1搬返送ライン10の中継部を示している。そして前記空間に後述する中継手段30の移動台車40が収容されるが、詳細は後述する。
【0025】
つぎに、中継手段30を説明する。
図1に示すように、中継手段30は、第2ワインダ設備W2と前記第1搬返送ライン10との間において親巻ロールRの搬送とリールスプールRSの返送を行うためのものであり、第2搬返送ライン31と移動台車40とから基本構成されている。なお、第2搬返送ライン31が、特許請求範囲にいう副搬返送ラインである。
【0026】
まず、中継手段30を説明する。
図1に示すように、前記第1ワインダ設備W1の側方には、前記第1ワインダ設備W1と同様の構成を有する第2ワインダ設備W2が並設されている。そして、前記第1搬返送ライン10の側方には、この第1搬返送ライン10と平行に第2搬返送ライン31が設けられている。
【0027】
図3は、図1のIII −III 線矢視図である。同図において、符号32は、第2搬返送ライン31の搬送部を示している。この搬送部32は、後述する移動台車40の親巻ロール保持部41から供給された親巻ロールRを第2ワインダ設備W2のアンワインダWAに搬送するためのものである。なお、第1搬返送ライン10と同様に、第2ワインダ設備W2のアンワインダWAによって親巻ロールRが巻き戻されるときは、親巻ロールRは第2搬返送ライン31の搬送部32上に保持される。
【0028】
この搬送部32は、第1搬返送ライン10の搬送部15の一対の抄紙機側搬送レール16,16等と平行に配設された左右一対の搬送レール33,33を備えている。この一対の搬送レール33,33は、両者の間隔が前記第1搬返送ライン10の一対の抄紙機側搬送レール16,16同士の間隔と同じになるように配設されており、かつ、その前端(図3では左側)から第2ワインダ設備W2に向けて下傾するように配設されている。また、この搬送部32には、図示しない保持部が複数箇所設けられている。
【0029】
このため、親巻ロールRを一対の搬送レール33,33等の上に載せれば、親巻ロールRを、その自重によって搬送部32の前端からワインダ設備W1に向かって転動させ、搬送部32の前端から第2ワインダ設備W2に移動させることができる。また、一対の搬送レール33,33等の上を転動する親巻ロールRを、保持部によって保持すれば、親巻ロールRの移動を停止させることができる。つまり、第2搬返送ライン31は、各保持部に親巻ロールRを保持させれば、搬送部32上に複数の親巻ロールRを保持しておくことができ、保持部から親巻ロールRを解放すれば、親巻ロールRを搬送部32の前端から第1ワインダW1に向けて移動させることができるのである。
【0030】
また、一対の搬送レール33,33は、その前端の上面が前記第1搬返送ライン10の一対のワインダ側搬送レール17,17における抄紙機PM側端部の上面と同じ高さになるように配設されているが、その理由は後述する。
【0031】
この搬送部32の上方には、返送部35が設けられている。この返送部35は左右一対の返送レール36,36を備えている。この左右一対の返送レール36,36は、後述する移動台車40のリールスプール用台車45が移動するためのものである。リールスプール用台車45については、後で詳述する。
【0032】
また、図1および図3において、符号34は、アンローダを示している。このアンローダ34は、第2搬返送ライン31の搬送部32の終端において紙Pが巻き戻されたリールスプールRSを、返送部35の上方に移動させるためのものである。
【0033】
つぎに、移動台車40を説明する。
図1〜図3に示すように、前記第1搬返送ライン10の搬送部15の一対の中継用搬送レール18,18の下方の床面、つまり第1搬返送ライン10の中継部の下方の底面と、前記中継手段30の第2搬返送ライン31の前端側の床面との間には、一対のレールRL,RLが敷設されている。この一対のレールRL,RLには、移動台車40が載せられている。この移動台車40は、一対のレールRL,RLの長手方向に移動可能、つまり前記第1搬返送ライン10の中継部と前記第2搬返送ライン31の前端側(以下、受渡位置という)との間を移動可能に設けられている。
【0034】
図4は第一搬返送ライン10に移動台車40が収容された状態の概略説明図である。図5は移動台車40の概略側面図である。図3〜図5に示すように、この移動台車40は、上下2段の2階建台車となっており、その下段に親巻ロール保持部41が設けられており、その上段にはリールスプール用台車45が載せられている。
【0035】
前記親巻ロール保持部41は、その上面に左右一対のレール42,42が設けられている。この一対のレール42,42は、両者の間隔が前記第1搬返送ライン10の一対の抄紙機側搬送レール16,16同士の間隔と同じになるように配設されており、その軸方向(図3では左右方向)の長さが、前記第1搬返送ライン10の搬送部15における一対の抄紙機側搬送レール16,16と一対のワインダ側搬送レール17,17との間の距離とほぼ同じ長さに設けられている。
また、各レール42は、その前側端部(図3では左側)の上面が前記搬送部15の一対の抄紙機側搬送レール16,16の第1ワインダ設備W1側の端部の上面と同じ高さとなるように設けられており、その後側端部(図3では右側)の上面が前記搬送部15の一対のワインダ側搬送レール17,17の抄紙機PM側の端部の上面と同じ高さとなるように設けられている。そして、一対のレール42,42にも、親巻ロールRを保持解放することができる図示しない保持部が設けられている。
【0036】
このため、移動台車40を第1搬返送ライン10の中継部まで移動させて、親巻ロール保持部41の一対のレール42,42が、一対の抄紙機側搬送レール16,16等とそれぞれ直列になるように中継部に収容させれば、レール42によって抄紙機側搬送レール16とワインダ側搬送レール17とを、その上面の傾斜が連続するように連結することができる(図4参照)。そして、この状態で親巻ロールRに第1搬返送ライン10の一対の抄紙機側搬送レール16,16上を転動させれば、親巻ロールRを一対の抄紙機側搬送レール16,16から親巻ロール保持部41の一対のレール42,42上に載せることができるし、一対のレール42,42を介して、親巻ロールRを一対の抄紙機側搬送レール16,16から一対のワインダ側搬送レール17,17に移動させることができる。
【0037】
また、移動台車40を、第1搬返送ライン10の中継部から第2搬返送ライン31の受渡位置まで移動させる。そして、親巻ロール保持部41の一対のレール42,42が、第2搬返送ライン31の一対の搬送レール33,33とそれぞれ直列になるように配置すれば、一対のレール42,42と一対の搬送レール33,33の上面の傾斜が連続するように連結することができる。
よって、親巻ロールRを一対のレール42,42に設けられた保持部で保持した状態で、移動台車40を第2搬返送ライン31の受渡位置まで移動させ、親巻ロールRを一対のレール42,42に設けられた保持部から解放すれば、親巻ロールRを移動台車40の親巻ロール保持部41から第2搬返送ライン31に供給することができる。
【0038】
つぎに、リールスプール用台車45を説明する。
移動台車40の上段には、リールスプール用台車45が載せられている。このリールスプール用台車45上面には、一対のレール46,46が設けられている。この一対のレール46,46は、両者の間隔が前記第1搬返送ライン10の一対のワインダ側返送レール21,21同士の間隔と同じになるように配設されており、その軸方向(図3では左右方向)の長さが、前記第1搬返送ライン10の返送部20における一対のワインダ側返送レール21,21と一対の抄紙機側返送レール22,22との間の距離とほぼ同じ長さに設けられている。
また、各レール46は、その後側端部(図3では右側)の上面が前記返送部20の一対のワインダ側返送レール21,21の抄紙機PM側の端部の上面と同じ高さとなるように設けられており、その前側端部(図3では左側)の上面が前記返送部20の一対の抄紙機側返送レール22,22の第1ワインダ設備W1側の端部の上面と同じ高さとなるように設けられている。
しかも、リールスプール用台車45の一対のレール46,46は、前記親巻ロール保持部41の一対のレール42,42が、第1搬返送ライン10の搬送部15の一対の抄紙機側搬送レール16,16等と直列に配置されたときに、前記返送部20の一対のワインダ側返送レール21,21等と直列に配置されるように配設されている。
また、リールスプール用台車45には、リールスプールRSを保持解放するための残紙処理装置50の回転支持部が設けられている。
【0039】
また、図5に示すように、リールスプール用台車45は、その下端に左右両端に複数の車輪45r を備えており、この車輪45r は、リールスプール用台車45が第2搬返送ライン31におけるリールスプールRSの送り方向と平行に移動できるように取り付けられている。この複数の車輪45r において、リールスプール用台車45の左右両側に設けられた車輪45r 同士の間隔は、前記返送部35の一対の返送レール36,36同士の間隔と同じ長さになるように配設されている(図1参照)。
しかも、移動台車40の親巻ロール保持部41の一対のレール42,42が搬送部32の一対の搬送レール33,33と直列に配置されたときに、左右両側に設けられた車輪45r は、それぞれ一対のレール46,46に対応する位置に配置されるように配設されている。
【0040】
よって、リールスプール用台車45によれば、移動台車40を第1搬返送ライン10の中継部まで移動させて、親巻ロール保持部41の一対のレール42,42が、一対の抄紙機側搬送レール16,16等とそれぞれ直列になるように中継部に収容させれば、一対のレール46,46によって一対のワインダ側返送レール21,21と一対の抄紙機側返送レール22,22とを、その上面の傾斜が連続するように連結することができる。そして、この状態でリールスプールRSに一対のワインダ側返送レール21,21上を転動させれば、リールスプールRSを一対のワインダ側返送レール21,21からリールスプール用台車45の一対のレール46,46に載せることができるし、リールスプール用台車45の一対のレール46,46から一対の抄紙機側返送レール22,22にリールスプールRSを渡すこともできる。
【0041】
また、親巻ロール保持部41の一対のレール42,42が、第2搬返送ライン31の一対の搬送レール33,33とそれぞれ直列になるように配置すれば、リールスプール用台車45によって一対のレール46,46上を移動台車40からアンローダ34まで移動させることができるので、アンローダ34によって搬送部32から上方に移動されたリールスプールRSをリールスプール用台車45に渡すことができる。
上記のリールスプール用台車45が、特許請求の範囲にいうリールスプール保持部である。
【0042】
なお、リールスプール保持部は上記のごとき構成にしなくてもよく、上記の構成を有する一対のレール46,46を移動台車40の上段に固定した構成としてもよい。この場合、第2搬返送ライン31の一対のレール36, 36を、両者の間隔が前記第1搬返送ライン10の一対のワインダ側返送レール21,21同士の間隔と同じになるように配設し、かつ前側端部(図3では左側)の上面が前記返送部20の一対のワインダ側返送レール21,21の抄紙機PM側の端部の上面と同じ高さとなるように設け、しかも、移動台車40の親巻ロール保持部41の一対のレール42,42が搬送部32の一対の搬送レール33,33と直列に配置されたときに、それぞれ一対のレール46,46に対応する位置に配置されるように配設しておけば、一対のレール36, 36上をアンローダ34から移動台車40に向けてリールスプールRSを転動させれば、一対のレール46,46にリールスプールRSを載せることができる。
【0043】
つぎに、残紙処理装置50を説明する。
図1において、第2搬返送ライン31の受渡位置の上流側、つまり移動台車40が受渡位置に配置されたときにおいて、移動台車40に対して第2搬返送ライン31と反対側の床下には、残紙処理パルパーPPが設けられている。
【0044】
そして、前記移動台車40のリールスプール用台車45には、残紙処理装置50が設けられている。この残紙処理装置50はレール46に設けられた図示しない回転支持部と回転駆動部52から構成されている(図5参照)。
回転支持部は、リールスプールRSを保持解放するためのものであり、リールスプールRSをその軸回りに回転可能に保持することができるものである。
回転駆動部52は、モータ54と、このモータ54の主軸に取り付けられたゴムローラ53と、前記モータ54をリールスプールRSに接近離間させる、例えばレール等の移動手段55とから構成されている。そして、モータ54がリールスプールRSに接近すると、ゴムローラ53の外周面がリールスプールRSの一端に接触するように配設されている。
なお、モータ54は、リールスプール用台車45の所定位置に固定されていてもよく、この場合、リールスプールRSが図示しない回転支持部に保持されたとき、ゴムローラ53がリールスプールRSに接触するように配設していればよい。
【0045】
図3に示すように、移動台車40の前側の側面には、案内板56が設けられている。この案内板56は、残紙処理装置50によって巻き戻された残紙WPを移動台車40の側方を経て、残紙処理パルパーPPに案内するためのものであり、その表面が平坦面に形成されている。この案内板56の上端には、案内板56の表面に、その上端から下端に向かうような空気の流れを生じさせるエアノズル56b が設けられている。
【0046】
このため、移動手段55によってモータ54をリールスプールRSに接近させて、モータ54を駆動すれば、ゴムローラ53が回転し、ゴムローラ53とともにリールスプールRSが回転する。すると、リールスプールRSから残紙WPが巻きもどされて、リールスプールRSから除去される。この除去された残紙WPは案内板56に案内されて残紙処理パルパーPP内に落下される。よって、移動台車40を受渡位置に配置しておけば、残紙WPを残紙処理パルパーPPに落下させることができる。
そして、リールスプールRSから除去された残紙WPは、案内板56に案内されて残紙処理パルパーPPに落下されるから、風等によってバタついて、周囲に飛散したり、他の装置等に絡んだりすることを防ぐことができる。
なお、エアノズル56b は設けなくてもよいが、エアノズル56b を設けた場合、残紙WPをよりスムースに案内板56上を落下させることができる。
【0047】
上記の残紙処理パルパーPPと第2搬返送ライン32が、特許請求の範囲にいう残紙処理部である。
【0048】
つぎに、搬返送設備1の作用効果を説明する。
図4に示すように、中継手段30の移動台車40は、通常、第1搬返送ライン10の中継部に収容されている。よって、親巻ロールRは、移動台車40の親巻ロール保持部41の一対のレール42,42を介して、一対の抄紙機側搬送レール16,16から一対のワインダ側搬送レール17,17へ搬送されている。そして、移動台車40の親巻ロール保持部41には、通常、親巻ロールRが保持されている。
一方、第1ワインダ設備W1において巻き戻されたリールスプールRSは、返送部20の一対のワインダ側返送レール21,21によって移動台車40のリールスプール用台車45の手前まで返送されている。そして、リールスプール用台車45の残紙処理装置50には、通常、リールスプールRSが保持されていない。
【0049】
そして、中継手段30の第2搬返送ライン31に対する親巻ロールRの供給は、以下の手順(以下、第1供給手順という)で行われる。
まず、返送部20の一対のワインダ側返送レール21,21からリールスプール用台車45にリールスプールRSが供給される。ついで、移動台車40が、第1搬返送ライン10の中継部から第2搬返送ライン31の受渡し位置まで移動される。
【0050】
なお、移動台車40が、第1搬返送ライン10の中継部から移動している間も、一対の中継用搬送レール18,18によって一対の抄紙機側搬送レール16,16および一対のワインダ側搬送レール17,17が連結されているから、搬送部15では、親巻ロールRの搬送が継続される。
また、返送部20では一対の中継用返送レール23,23によって一対のワインダ側返送レール21,21および一対の抄紙機側返送レール22,22が連結される。しかし、残紙WPの巻きついたリールスプールRSは一対のワインダ側返送レール21,21から一対の抄紙機側返送レール22,22には返送されない。
【0051】
移動台車40が中継手段30の第2搬返送ライン31の受渡し位置に配置されると、親巻ロール保持部41の保持部から親巻ロールRが解放され、親巻ロールRが親巻ロール保持部41から搬送部32に渡される。
一方、親巻ロール保持部41から搬送部32に親巻ロールRを渡しているときに、リールスプール用台車45では、残紙処理装置50によってリールスプールRSの残紙処理が行われる。
【0052】
そして、搬送部32への親巻ロールRの供給と、リールスプールRSの残紙処理とが終了すると、移動台車40は、再び第1搬返送ライン10の中継部に向かって移動する。すると、一対の中継用搬送レール18,18および一対の中継用返送レール23,23が下方に搖動し、両者が移動した後の空間に移動台車40が収容される。
【0053】
つまり、第1供給手順によって第2搬返送ライン31の搬送部32に親巻ロールRが供給された場合、移動台車40から第2搬返送ライン31の搬送部32に親巻ロールRを供給するときに、移動台車40のリールスプール用台車45にリールスプールRSを供給されているので、第2搬返送ライン31の搬送部32への親巻ロールRの供給と、第1搬返送ライン10において巻き戻されたリールスプールRSの残紙処理とを同時に行うことができる。したがって、移動台車40が残紙処理だけを行っている時間を短くすることができるので、設備の生産効率を向上させることができる。
【0054】
第1供給手順によって中継手段30の第2搬返送ライン31に親巻ロールRを供給した後、再び中継手段30の第2搬返送ライン31に親巻ロールRを供給する場合は、以下の手順(以下、第2供給手順という)で作業が行われる。
【0055】
まず、移動台車40が、第1搬返送ライン10の中継部から第2搬返送ライン31の受渡し位置まで移動する。このときには、リールスプール用台車45の残紙処理装置50にリールスプールRSを供給しない。
移動台車40が中継手段30の第2搬返送ライン31の受渡し位置に配置されると、親巻ロール保持部41の保持部から親巻ロールRが解放され、親巻ロールRが親巻ロール保持部41から搬送部32に渡される。
そして、親巻ロール保持部41から搬送部32への親巻ロールRの受渡しを行うときに、移動台車40のリールスプール用台車45は、一対のレール46,46上をアンローダ34まで移動される。すると、アンローダ34からリールスプール用台車45にリールスプールRSが渡され、リールスプールRSを受け取った後、リールスプール用台車45は再び移動台車40まで移動される。
【0056】
リールスプール用台車45が移動台車40まで移動すると、残紙処理装置50によってリールスプールRSが残紙処理され、この残紙処理作業が終了すると、移動台車40は第1搬返送ライン10の中継部に向かって移動される。
【0057】
そして、移動台車40が再び第1搬返送ライン10の中継部に収容されると、第1搬返送ライン10の搬送部15の一対の抄紙機側搬送レール16,16から移動台車40の親巻ロール保持部41に親巻ロールRが供給される。同時に、リールスプール用台車45の残紙処理装置50に保持されていたリールスプールRSが開放され、残紙WPが除去されたリールスプールRSが返送部20の一対の抄紙機側返送レール22,22に供給され、一方、親巻ロール保持部41には再び親巻ロールRが供給される。
【0058】
つまり、第2供給手順によって第2搬返送ライン31の搬送部32に親巻ロールRが供給された場合、第2搬返送ライン31の受渡し位置において、移動台車40は、第2搬返送ライン31との間で親巻ロールRの搬送とリールスプールRSの返送を同時に行うことができるので、両者の間における親巻ロールRおよびリールスプールRSの受け渡し作業に必要とする時間を短くすることができる。
【0059】
このため、第2搬返送ライン31と移動台車40の間において、親巻ロールRとリールスプールRSの受け渡し作業の時間が短くなるので、移動台車40が第1搬返送ライン10と第2搬返送ライン31との間を往復するのに必要とする時間を短くできる。よって、中継手段30による搬返送効率を高くすることができ、ワインダ設備を2つ設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
【0060】
しかも、第1搬返送ライン10の搬送部15から移動台車40の親巻きロール保持部15に親巻ロールRの搬送を行う経路と、移動台車40から第1搬返送ライン10の返送部20にリールスプールRSの返送を行う経路とが別な経路となっている。
このため、親巻ロールRの搬送とリールスプールRSの返送を同時に行うことができる。よって、第1搬返送ライン10と移動台車40の間においても親巻ロールRとリールスプールRSの受け渡し作業の時間が短くなるので、第1搬返送ライン10の作業停止時間を短くできる。
【0061】
つぎに、中継手段30の第2搬返送ライン31に親巻ロールRを供給するときには、再び第1供給手順によって親巻ロールRを供給をおこなう。
【0062】
つまり、第1搬送手順と第2搬送手順を交互に行えば、第2搬返送ライン31への親巻ロールRの供給と第2搬返送ライン31からのリールスプールRSの返送を自動で行うことができ、しかも第一搬返送ライン10のリールスプールRSおよび第2搬返送ライン31のリールスプールRSの残紙処理を、1つの残紙処理装置50で自動で行うことができる。
【0063】
上記のごとく、本実施形態の抄紙設備によれば、抄紙機PM1台に対してワインダ設備Wを2台備えているので、親巻ロールRを2本同時に製品ロールSRに巻き替えることができる。よって、ワインダ設備Wにおける巻き替え速度が遅くても、抄紙機PMの運転速度を低下させる必要がないので、生産効率が低下することを防ぐことができる。
【0064】
また、第2ワインダ設備W2には、中継手段30の移動台車40と第2搬返送ライン31によって、第1搬返送ライン10から親巻ロールRを搬送できるし、第1搬返送ライン10にリールスプールRSを返送できる。よって、第2ワインダ設備W2への親巻ロールRの搬送およびリールスプールRSの返送を自動化できる。つまり、ワインダ設備Wを2台設けても、全ての搬送・返送工程を自動化できるので、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
【0065】
また、第1搬返送ライン10における親巻ロールRおよびリールスプールRSの移動経路の途中に中継部が設けられているから、親巻ロールRを、その移動形路上、つまり一対の抄紙機側搬送レール16,16上を移動させるだけで、第1搬返送ライン10の搬送部15から移動台車40の親巻ロール保持部41に渡すことができる。よって、第1搬返送ライン10に親巻ロールRを移動台車40に載せ替えるための特別な受け渡し装置を設ける必要がないので、搬返送設備1の構造を簡単にすることができる。
同様に、リールスプールRSを、その移動形路上、つまり一対のワインダ側返送レール21,21上を移動させるだけで、第1搬返送ライン10の返送部20からリールスプール用台車45に渡すことができるし、リールスプールRSをリールスプール用台車45の一対のレール46 ,46上を移動させるだけで、リールスプール用台車45から第1搬返送ライン10の返送部20の一対の抄紙機側返送レール22 ,22に渡すことができる。よって、第1搬返送ライン31の返送部20にリールスプールRSを載せ替える特別な受け渡し装置を設ける必要がないので、搬返送設備1の構造を簡単にすることができる。
【0066】
さらに、移動台車40が第1搬返送ライン10の中継部から移動していてるときでも、一対の中継用搬送レール18,18を介して、親巻ロールRを一対の抄紙機側搬送レール16,16からワインダ側搬送レール17,17に搬送することができる。よって、移動台車40の位置にかかわらず、第1搬返送ライン10における親巻ロールRの搬送を継続できる。したがって、ワインダ設備Wを2つ設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
【0067】
さらに、残紙処理装置50は、移動台車40のリールスプール用台車45に設けられているから、第1および第2搬返送ライン10,31両方のリールスプールRSの残紙除去作業を、1つの残紙処理装置50で、かつ両ライン外で行うことができる。このため、各ラインに残紙処理装置を設ける必要がないので、各ラインの構造を簡単にすることができる。
【0068】
さらに、残紙処理を、各ラインにおける親巻ロールRおよびリールスプールRSの移動経路の外で行うことができるので、残紙除去処理中でも各ラインにおいて親巻ロールRおよびリールスプールRSの搬返送を継続することができる。したがって、2台のワインダ設備W1、W2を設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
【0069】
さらに、移動台車40が第2搬返送ライン31の受渡し位置に配置されれば、移動台車40の側方に残紙処理パルパーPPが位置するように残紙処理パルパーPPを設けているので、残紙WPを処理するためだけの場所を特別に設ける必要がないし、移動台車40が移動する範囲を、第1搬返送ライン10と第2搬返送ライン31の間に限定することができるから、設備を設置する床面積を小さくすることができる。
【0070】
つぎに、他の実施形態の搬返送設備1を説明する。
図6は他の実施形態の第2搬返送ライン31の概略側面図である。同図に示すように、他の実施形態の搬返送設備1は、リールスプールRSから残紙WPを巻き戻す残紙処理装置を、リールスプール用台車45上に設けず、第2搬返送ライン31と残紙処理パルパーPPとの間に設けられた残紙処理用フレーム70p 上に設けたことが特徴である。
以下、他の実施形態の搬返送設備の特徴部分のみを説明する。
【0071】
図6に示すように、前記移動台車40のリールスプール用台車45には、リールスプール保持部61が設けられている。このリールスプール保持部61は、上端にリールスプールRSを保持する切嵌きが形成され、略U字状をしている。そして、このリールスプール保持部61は、例えば油圧シリンダ62等によってその下端を支点として上端が揺動できるように設けられているが、その理由は後述する。
【0072】
図6に示すように、第2搬返送ライン31の受渡位置の上流側、つまり移動台車40が受渡位置に配置されたときにおいて、移動台車40に対して第2搬返送ライン31と反対側の床下には、残紙処理パルパーPPが設けられている。
そして、この残紙処理パルパーPPと前記受渡位置との間には、残紙処理装置70の残紙処理用フレーム70p が設けられている。この残紙処理用フレーム70p の上部にはリールスプールRSを回転可能に保持することができる回転支持部71が設けられている。この回転支持部71は、後述する受渡装置80のレール81の上面よりも下方に位置するように配置されている。
この回転支持部71の近傍には回転支持部71に保持されたリールスプールRSを回転させる回転駆動部72が設けられている。なお、この回転駆動部72は、前記残紙処理装置50の回転駆動部52と実質同様の構成を有している。
【0073】
前記残紙処理装置70と前記受渡位置との間において、前記回転支持部71と受渡位置に配置されたときにおける移動台車40との間には、受渡装置80のレール81が設けられている。このレール81は、その一端の上面(図6では右側)が、前記リールスプール台車45のリールスプール保持部61の上端を反時計回りに回転させて横転させたときに、リールスプール保持部61内のリールスプールRSをレール81上に載せることができる高さに配置されている。
また、レール81の他端には、油圧シリンダ83等によってレール81に固定された一端を支点として上下に揺動される受渡部82が設けられている。この受渡部82は、その他端にリールスプールRSを保持するための保持部が構成されている。
【0074】
このため、受渡位置に移動台車40が配置された後、油圧シリンダ62等によってリールスプール保持部61を横転させると、リールスプール保持部61からレール81上にリールスプールRSを載せることができる。
そして、レール81上に載せられたリールスプールRSは積載時の惰性によってレール81上を転動して残紙処理装置70の回転支持部71に供給される。すると、リールスプールRSは、回転支持部71に保持された状態で回転駆動部72によって回転され、リールスプールRSから残紙WPが除去される。
残紙除去が終了すると、油圧シリンダ83等によって受渡部82が揺動され、リールスプールRSが回転支持部71からレール81上に載せられ、積載時の惰性によってレール81を通ってリールスプール保持部61に戻される。
【0075】
上記のごとき構成であるから、他の実施形態の搬返送設備1によれば、第1および第2搬返送ラインを返送されるリールスプールRSの残紙処理を、第2搬返送ライン31外に設けられた1つの残紙処理装置70で行うことができる。このため、残紙除去処理中でも各ラインにおいて親巻ロールRおよびリールスプールRSの搬返送を継続することができる。
また、残紙処理を行うリールスプールRSは移動台車40から残紙処理装置70に移動されているから、移動台車40による第1搬返送ライン10と第2搬返送ライン31間における親巻きロールRの搬送を継続することができる。したがって、2台のワインダWを設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
【0076】
また、残紙処理用フレーム70p において、前記回転支持部71と残紙処理パルパーPPの間には、案内板75が設けられている。この案内板75は、残紙処理装置70によって巻き戻された残紙WPを残紙処理パルパーPPに案内するためのものであり、その表面が平坦面に形成されている。
このため、リールスプールRSから除去された残紙WPは、案内板75に案内されて残紙処理パルパーPPに落下されるから、リールスプールRSから除去された残紙WPが、風等によってバタついて、周囲に飛散したり、他の装置等に絡んだりすることを防ぐことができる。
【0077】
また、上記の実施例では、ワインダ設備Wを2台設けた場合について説明したが、ワインダ設備Wを3台以上設けて、第2搬返送ライン32の側方に、副搬返送ラインを複数設置してもよく、また、残紙処理パルパーPPが設置されている第2搬返送ライン32を中心にしてその両側方に副搬返送ラインを設置してもよい。
【0078】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、抄紙機1台に対してワインダ設備を複数台備えているので、ワインダ設備における巻き替え速度が遅くても、抄紙機の運転速度を低下させる必要がないので、生産効率が低下することを防ぐことができる。また、ワインダ設備を2台設けても、全ての搬送・返送工程を自動化できるので、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。中継手段による搬返送効率を高くすることができ、ワインダ設備を2台以上設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。各ラインに残紙処理装置を設ける必要がないので、各ラインの構造を簡単にすることができる。また、残紙処理をライン外で行うことができるので、残紙除去処理中でも各ラインにおいて親巻ロールおよびリールスプールの搬返送を継続することができ、2台以上ワインダを設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、抄紙機1台に対してワインダ設備を複数台備えているので、ワインダ設備における巻き替え速度が遅くても、抄紙機の運転速度を低下させる必要がないので、生産効率が低下することを防ぐことができる。また、ワインダ設備を2台設けても、全ての搬送・返送工程を自動化できるので、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。中継手段による搬返送効率を高くすることができ、ワインダ設備を2台以上設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。残紙除去処理中でも各ラ インにおいて親巻ロールおよびリールスプールの搬返送を継続することができるし、移動台車による各搬返送ライン間における親巻きロールの搬送を継続することができるので、2台以上ワインダを設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる。
請求項3の発明によれば、親巻ロールを第1搬返送ラインから移動台車に載せ替えるための特別な受け渡し装置や、リールスプールを、移動台車から第1搬返送ラインの返送部に載せ替える特別な受け渡し装置を設ける必要がないので、搬返送設備の構造を簡単にすることができる。
請求項4の発明によれば、親巻ロールおよびリールスプールに各レール上を移動させれば、抄紙機と一のワインダ設備との間を搬返送することができる。また、移動台車の位置にかかわらず、第1搬返送ラインにおける親巻ロールおよびリールスプールの搬返送を継続できるから、ワインダ設備を2台以上設けても、設備の生産効率が低下することを防ぐことができる
求項の発明によれば、設備を設置する床面積を小さくすることができる。また、移動台車が残紙処理だけを行っている時間を短くすることができるので、設備の生産効率を向上させることができる。
請求項の発明によれば、リールスプールから除去された残紙が、風等によってバタついて、周囲に飛散したり、他の装置等に絡んだりすることを防ぐことができる
求項の発明によれば、リールスプールから除去された残紙が、風等によってバタついて、周囲に飛散したり、他の装置等に絡んだりすることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の抄紙設備の概略平面図である。
【図2】 図1のII−II線矢視図である。
【図3】 図1のIII −III 線矢視図である。
【図4】 第一搬返送ライン10に移動台車40が収容された状態の概略説明図である。
【図5】 移動台車40の概略側面図である。
【図6】 他の実施形態の第2搬返送ライン31の概略側面図である。
【図7】 従来例1の抄紙設備の概略説明図である。
【符号の説明】
1 搬返送設備
10 第1搬返送ライン
12 アンローダ
15 搬送部
16 抄紙機側搬送レール
17 ワインダ側搬送レール
18 中継用搬送レール
20 返送部
21 ワインダ側返送レール
22 抄紙機側返送レール
23 中継用返送レール
30 中継手段
31 第2搬返送ライン
32 搬送部
34 アンローダ
35 返送部
40 移動台車
41 親巻ロール保持部
45 リールスプール用台車
50 残紙処理装置
52 回転駆動部
56 案内部
W1 第1ワインダ設備
W2 第2ワインダ設備
R 親巻ロール
SR 製品ロール
PM 抄紙機
PP 残紙処理パルパー
WP 残紙

Claims (7)

  1. 抄紙機と、該抄紙機によって抄造された親巻ロールを製品ロールに巻き替えるワインダ設備と、前記抄紙機と前記ワインダ設備の間に設けられた、親巻ロールの搬送とリールスプールの返送を行う搬返送設備とからなる抄紙設備であって、
    該抄紙設備が、
    前記ワインダ設備を複数台備えており、
    前記搬返送設備が、
    前記抄紙機で抄造された親巻ロールを一のワインダ設備に搬送し、該一のワインダ設備から前記抄紙機にリールスプールを返送する第1搬返送ラインと、
    該第1搬返送ライン上の親巻ロールを他のワインダ設備に搬送し、該他のワインダ設備から前記第1搬返送ラインにリールスプールを返送する中継手段とからなり、
    該中継手段が、
    前記第1搬返送ラインとの間で、親巻ロールおよびリールスプールの受け渡しを行う移動台車と、
    該移動台車上の親巻ロールを他のワインダ設備に搬送し、該他のワインダ設備から前記移動台車にリールスプールを返送する副搬返送ラインとからなり、
    前記第1搬返送ラインが、
    前記抄紙機から前記一のワインダ設備に親巻ロールを搬送する搬送部と、
    該搬送部の上方に設けられ、前記一のワインダ設備から前記抄紙機にリールスプールを返送する返送部と、
    巻き戻しが終了したリールスプールを、前記搬送部から前記返送部に移動させるアンローダとを備えており、
    前記副搬返送ラインが、
    前記移動台車から前記他のワインダ設備に親巻ロールを搬送する搬送部と、
    該搬送部の上方に設けられ、前記他のワインダ設備から前記移動台車にリールスプールを返送する返送部と、
    巻き戻しが終了したリールスプールを、前記搬送部から前記返送部に移動させるアンローダとを備えており、
    前記移動台車が、
    前記第1搬返送ラインの搬送部から親巻ロールを受け取り、該親巻ロールを前記副返送ラインの搬送部に渡す親巻ロール保持部と、
    該親巻ロール保持部の上方に設けられ、前記副搬返送ラインの返送部からリールスプールを受け取り、該リールスプールを前記第1搬返送ラインの返送部に渡すリールスプール保持部を備えており、
    前記第1搬返送ラインの搬送部から前記移動台車に親巻ロールが供給されると、該移動台車が、前記第1搬返送ラインから前記副搬返送ラインに移動され、
    該副搬返送ラインの返送部から前記移動台車にリールスプールが供給されると、該移動台車が、前記副搬返送ラインから前記第1搬返送ラインに移動されるように構成されており、
    前記移動台車のリールスプール保持部が残紙処理装置を備えており、
    該残紙処理装置が
    リールスプールを回転自在に保持する回転支持部と、
    該回転支持部に保持されたリールスプールを、その軸周りに回転させる回転駆動部とからなり、
    前記移動台車が、
    リールスプールから除去された残紙を処理する残紙処理パルパーを備えた残紙処理部における残紙処理位置と、前記第1搬返送ラインおよび前記副搬返送ラインとの間を移動可能 に設けられている
    ことを特徴とする抄紙設備。
  2. 抄紙機と、該抄紙機によって抄造された親巻ロールを製品ロールに巻き替えるワインダ設備と、前記抄紙機と前記ワインダ設備の間に設けられた、親巻ロールの搬送とリールスプールの返送を行う搬返送設備とからなる抄紙設備であって、
    該抄紙設備が、
    前記ワインダ設備を複数台備えており、
    前記搬返送設備が、
    前記抄紙機で抄造された親巻ロールを一のワインダ設備に搬送し、該一のワインダ設備から前記抄紙機にリールスプールを返送する第1搬返送ラインと、
    該第1搬返送ライン上の親巻ロールを他のワインダ設備に搬送し、該他のワインダ設備から前記第1搬返送ラインにリールスプールを返送する中継手段とからなり、
    該中継手段が、
    前記第1搬返送ラインとの間で、親巻ロールおよびリールスプールの受け渡しを行う移動台車と、
    該移動台車上の親巻ロールを他のワインダ設備に搬送し、該他のワインダ設備から前記移動台車にリールスプールを返送する副搬返送ラインとからなり、
    前記第1搬返送ラインが、
    前記抄紙機から前記一のワインダ設備に親巻ロールを搬送する搬送部と、
    該搬送部の上方に設けられ、前記一のワインダ設備から前記抄紙機にリールスプールを返送する返送部と、
    巻き戻しが終了したリールスプールを、前記搬送部から前記返送部に移動させるアンローダとを備えており、
    前記副搬返送ラインが、
    前記移動台車から前記他のワインダ設備に親巻ロールを搬送する搬送部と、
    該搬送部の上方に設けられ、前記他のワインダ設備から前記移動台車にリールスプールを返送する返送部と、
    巻き戻しが終了したリールスプールを、前記搬送部から前記返送部に移動させるアンローダとを備えており、
    前記移動台車が、
    前記第1搬返送ラインの搬送部から親巻ロールを受け取り、該親巻ロールを前記副返送ラインの搬送部に渡す親巻ロール保持部と、
    該親巻ロール保持部の上方に設けられ、前記副搬返送ラインの返送部からリールスプールを受け取り、該リールスプールを前記第1搬返送ラインの返送部に渡すリールスプール保持部を備えており、
    前記第1搬返送ラインの搬送部から前記移動台車に親巻ロールが供給されると、該移動台車が、前記第1搬返送ラインから前記副搬返送ラインに移動され、
    該副搬返送ラインの返送部から前記移動台車にリールスプールが供給されると、該移動台車が、前記副搬返送ラインから前記第1搬返送ラインに移動されるように構成されており、
    前記副搬返送ラインに、リールスプールから除去された残紙を処理する残紙処理パルパーを備えた残紙処理部が設けられており、
    該残紙処理部が、
    前記残紙処理パルパーと、前記移動台車が前記副搬返送ラインとの間において親巻ロールの供給およびリールスプールの受け取りを行う受渡位置との間に設けられた、リールスプールから残紙を除去するための残紙処理装置と、
    該残紙処理装置と前記移動台車のリールスプール保持部との間で、リールスプールの受渡しを行う受渡装置とからなる
    ことを特徴とする抄紙設備。
  3. 前記第1搬返送ラインにおいて、前記抄紙機と前記一のワインダ設備との間における親巻ロールおよびリールスプールの移動経路の途中に、前記移動台車を収容する中継部が形成された
    ことを特徴とする請求項1または2記載の抄紙設備。
  4. 前記第1搬返送ラインの搬送部が、
    前記抄紙機と前記中継部との間に設けられた、親巻ロールが移動される抄紙機側搬送レールと、
    前記中継部と前記一のワインダ設備との間に設けられた、親巻ロールが移動されるワインダ側搬送レールを備えており、
    前記第1搬返送ラインの返送部が、
    前記一のワインダ設備と前記中継部との間に設けられた、リールスプールが移動されるワインダ側返送レールと、
    前記中継部と前記抄紙機との間に設けられた、リールスプールが移動される抄紙機側返送レールとを備えており、
    前記中継部が、
    前記抄紙機側搬送レールと前記ワインダ側搬送レールとの間に出没可能に設けられた中継用搬送レールと、
    前記抄紙機側返送レールと前記ワインダ側返送レールとの間に出没可能に設けられた中継用返送レールとを備えており、
    前記移動台車が前記第1搬返送ラインから移動すると、前記中継用搬送レールによって前記抄紙機側搬送レールと前記ワインダ側搬送レールとが連結され、前記中継用返送レールによって前記抄紙機側返送レールと前記ワインダ側返送レールとがを連結される
    ことを特徴とする請求項3記載の抄紙設備
  5. 前記残紙処理部における残紙処理位置が、
    前記移動台車が、前記副搬返送ラインとの間において、親巻ロールの供給およびリールスプールの受け取りを行う受渡位置である
    ことを特徴とする請求項記載の抄紙設備。
  6. 前記移動台車が、リールスプールから除去された残紙を残紙パルパーに案内する案内部を備えている
    ことを特徴とする請求項記載の抄紙設備
  7. 前記残紙処理部の残紙処理装置が、リールスプールから除去された残紙を残紙パルパーに案内する案内部を備えている
    ことを特徴とする請求項2記載の抄紙設備。
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