JP3813321B2 - 昇圧供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダ内を往復動作するピストンによって天然ガスなどの気体を高い圧力に圧縮する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置としては、圧縮段数の増加に従って往復圧縮部、すなわち、シリンダとピストンとによる圧縮部を高圧側になるほどシリンダとピストンの直径を細くするとともに、L型・V型・W型・半星型・星型・対向釣り合い型などに配置して、各圧縮部を所要の位相にずらせた行程で動作するように、クランク軸に連結して連動することにより多段階の圧縮動作を行う機構を電動機などの駆動源により運転する構成が日本機械学会昭和45年9月15日「機械工学便覧」第10編第30図〜第32図などにより開示されている。
【0003】
また、図4のように4つの往復圧縮部101・102・103・104を直交する軸105・106上で往復運動するように配置し、往復圧縮部101から順次に高圧化して往復圧縮部104を最終段の高圧圧縮部とした多段圧縮装置100が、例えば米国特許5033940などで周知である。
【0004】
上記多段圧縮装置100においては、往復圧縮部101から往復圧縮部103までに使用するピストン2は、図5に示すように表面に環状に形成したピストンリング溝3に、潤滑性に優れた素材、例えばポリ四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂から形成されたピストンリング6を、その外周面がピストンリング溝3から突出するように環装して、シリンダ10の内面との間隙をシールする構成となっている。
【0005】
しかし、図5に示したシール構造では、シリンダ10の内面とピストンリング6との間、およびピストンリング溝3の底面とピストンリング6との間を通って漏れるガスが実際には少なからずあり、十分に高い圧力を得ることができないと云った問題点があったので、これを解決するものとして、ピストンリング6の下側に弾性体からなるOリング4を設け、このOリング4の弾性力によってピストンリング6をシリンダ10の内面に押し付けてシール性を高めるようにした図6に示す構造の圧縮装置を、本出願人は既に特願平8−76605において提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特願平8−76605において提案した圧縮装置では、長期間の使用により、図7に示したようにピストンリング6の内周面がOリング4の形状に沿って変形し、やがてピストンリング6とOリング4との間に隙間が形成され、この隙間からガスが漏れるようになると云った問題点があり、この点の解決が課題となっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来技術の課題を解決するため、シリンダ内を往復動作するピストンにより気体を圧縮して高圧気体を得る昇圧供給装置において、ピストン表面に環状に刻設したピストンリング溝に、底側からOリング、バックアップリング、ピストンリングを装着し、前記Oリングは弾性体からなり、前記ピストンリングはフッ素樹脂からなり、前記バックアップリングは前記ピストンリングより硬質の素材からなり、前記バックアップリングとピストンリングは共に割りを備えて形成され、且つこれ等の割りが位置をずらして前記ピストンリングに装着され、前記Oリングの弾性力によって前記バックアップリングの外周面は前記ピストンリングの内周面に、当該ピストンリングの外周面は前記シリンダの内周面にそれぞれ押し付けられて密着シールし、前記ピストンリング溝の底面と前記バックアップリングの内周面との間は前記Oリングによってシールされることを特徴とする昇圧供給装置を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。なお、図1〜図3において前記図4〜図7における符号と同一符号で示した部分は、図4〜図7で説明した同一符号の部分と同じ機能を持つ部分である。
【0012】
図1に例示したピストン構造1は、ピストン2の表面に環状に形成したピストンリング溝3に、弾性体、例えば硬質の合成ゴムなどからなるOリング4を内装し、さらにこのOリング4の上にバックアップリング5、さらにこのバックアップリング5の上に、潤滑性(低摩擦係数)・耐熱性・耐薬品性・強度などに優れたフッ素樹脂、例えばポリ四フッ化エチレン樹脂からなるピストンリング6を被着して形成したものである。
【0013】
バックアップリング5は、ピストンリング6より硬質の素材、例えばガラス繊維入りナイロン、ステンレス鋼板などから形成する。
【0014】
Oリング4は、その内径をピストンリング溝3の直径、すなわち底面3aの直径と同じか、僅かに小さく形成して、ピストンリング溝3の内部に蛇行しないように装着する。
【0015】
ピストンリング6は、例えば図2に示したように、その幅方向中央部に円周方向に設ける切断面6aと、切断面6aの一端から一方の端面6bの側に垂直に延設する切断面6cと、切断面6aの他端から他方の端面6dの側に垂直に延設する切断面6eと、からなる割り6Zを備えて、切断面6c・6eそれぞれによって形成される端面同士を密着させたときの外径が、例えばシリンダ10の内径より僅かに小さくなるように形成する。
【0016】
また、バックアップリング5も、例えば図3に示したように、ピストンリング6と同様に割り5Zを備えて形成する。また、切断面5c・5eそれぞれによって形成される端面同士を密着させたときの外径が、同様にセットしたピストンリング6の内径より僅かに小さくなるように形成する。
【0017】
また、Oリング4の弾性力によって、バックアップリング5の外周面がピストンリング6の内周面に密着し、さらにピストンリング6の外周面がシリンダ10の内面に密着して、それぞれの接触部分がシールできるように、バックアップリング5の内径をOリング4の外径より小さくすると共に、シリンダ10の内径、ピストンリング溝3の直径・深さ、バックアップリング5・ピストンリング6の厚み、Oリング4の直径・太さ・弾性係数などを適宜選定する。
【0018】
このため、バックアップリング5は、割り5Zの切断面5cと5eとが離間するよう拡径すればOリング4に容易に被せることができるし、ピストンリング6は、割り6Zの切断面6cと6eとが離間するよう拡径すればバックアップリング5に容易に被せることができる。
【0019】
また、ピストンリング溝3には、Oリング4はその弾性を利用して拡径することで容易に装着できるし、バックアップリング5・ピストンリング6もそれぞれ切断面5cと5e、切断面6cと6eとが離間するよう拡径することで、ピストンリング溝3に容易に装着できる。
【0020】
なお、バックアップリング5の割り5Zと、ピストンリング6の割り6Zとは接近しないように、例えば割り5Zと6Zとがピストン2の直径方向の対向する部位に位置するようにセットする。
【0021】
このようにして、ピストンリング溝3にOリング4・バックアップリング5・ピストンリング6を装着したピストン2は、切断面5cと5e、切断面6cと6eとが接近するように、バックアップリング5・ピストンリング6をそれぞれ縮径することで、シリンダ10に容易に挿入することができる。
【0022】
なお、7は、ピストン2をシリンダ10内で摺動させる際に案内として機能するためのライダーリングであり、ピストン2の外周面に環装されている。
【0023】
上記構成になるピストン構造1においては、ピストンリング溝3の底に装着され、底面3aにより移動が規制されたOリング4の弾性力によって、バックアップリング5の外周面はピストンリング6の内周面に、ピストンリング6の外周面はシリンダ10の内面にそれぞれ押し付けられて密着シールし、ピストンリング溝3の底面3aとバックアップリング5の内周面との間は、弾性体からなるOリング4によってシールされる。
【0024】
また、バックアップリング5の割り5Zと、ピストンリング6の割り6Zは、切断面5cと5e、6cと6eの部分でそれぞれ僅かに開いているが、切断面5a・6aはそれぞれに密着し、しかもOリング4の弾性力によってバックアップリング5はピストンリング6に、ピストンリング6はシリンダ10の内面に押し付けられて動き難くなっているので、ピストン2をシリンダ10内で往復動作して天然ガスなどの気体を高圧に圧縮する際にもガス漏れを起こすことがない。
【0025】
しかも、フッ素樹脂製のピストンリング6には、変形し難い硬質のバックアップリング5を介してOリング4の力が作用する構成であるので、ピストンリング6が前記図7に示したように変形することはなく、長期間に渡ってガス漏れを起こすことがない。
【0026】
上記構成のピストン構造1を、図3に示した多段圧縮装置100における往復圧縮部101・102・103のピストン構造などとして組み込むと共に、最終段の往復圧縮部104をラビリンスシール機構を備えたピストン構造とすることによって、例えば図示しない都市ガス配管などから受け取る天然ガスを25MPa程度まで圧縮する作業が、長期間に渡って安定して行えるようになる。
【0027】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0028】
例えば、バックアップリング5・ピストンリング6の割りは、単に斜めカットした割りであっても良い。
【0029】
【発明の効果】
上記したように本発明は、ピストンリングを弾性体製のOリングによってシリンダの内面に密着し、シールする際に、ピストンリングより硬いバックアップリングをピストンリングとOリングとの間に介在させたので、ピストンリングがOリングの形状に変形することが防止できるようになり、これにより長期間に渡って高圧を得ることが可能であり、装置の耐久性が向上した。又、ピストンリングをフッ素樹脂で形成することにより、接触部の摩耗が少なく、摩擦熱の発生も抑えられる。更に、バックアップリングとピストンリングが共に割りを備えるようにしたので、ピストンへのバックアップリング及びピストンリングの装着が容易であると共に、弾性体からなるOリングによりピストンリングのシリンダ面への密着性が向上してシール性が上がり、高圧が一層得易くなるといった特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の要部の説明図である。
【図2】ピストンリングの形状を示す説明図である。
【図3】バックアップリングの形状を示す説明図である。
【図4】多段圧縮装置の説明図である。
【図5】従来技術の説明図である。
【図6】従来技術の説明図である。
【図7】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 ピストン構造
2 ピストン
3 ピストンリング溝
3a 底面
4 Oリング
5 バックアップリング
5a 切断面
5b 端面
5c 切断面
5d 端面
5e 切断面
5Z 割り
6 ピストンリング
6a 切断面
6b 端面
6c 切断面
6d 端面
6e 切断面
6Z 割り
7 ライダーリング
10 シリンダ
100 多段圧縮装置
101・102・103・104 往復圧縮部
105・106 軸
Claims (1)
- シリンダ内を往復動作するピストンにより気体を圧縮して高圧気体を得る昇圧供給装置において、ピストン表面に環状に刻設したピストンリング溝に、底側からOリング、バックアップリング、ピストンリングを装着し、前記Oリングは弾性体からなり、前記ピストンリングはフッ素樹脂からなり、前記バックアップリングは前記ピストンリングより硬質の素材からなり、前記バックアップリングとピストンリングは共に割りを備えて形成され、且つこれ等の割りが位置をずらして前記ピストンリングに装着され、前記Oリングの弾性力によって前記バックアップリングの外周面は前記ピストンリングの内周面に、当該ピストンリングの外周面は前記シリンダの内周面にそれぞれ押し付けられて密着シールし、前記ピストンリング溝の底面と前記バックアップリングの内周面との間は前記Oリングによってシールされることを特徴とする昇圧供給装置。
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JP23269397A JP3813321B2 (ja) | 1997-08-28 | 1997-08-28 | 昇圧供給装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP23269397A JP3813321B2 (ja) | 1997-08-28 | 1997-08-28 | 昇圧供給装置 |
Publications (2)
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JPH1162829A JPH1162829A (ja) | 1999-03-05 |
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ID=16943306
Family Applications (1)
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JP23269397A Expired - Fee Related JP3813321B2 (ja) | 1997-08-28 | 1997-08-28 | 昇圧供給装置 |
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JP (1) | JP3813321B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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CN112012980A (zh) * | 2020-09-03 | 2020-12-01 | 北京金自天成液压技术有限责任公司 | 一种活塞用一体式密封装置及其密封方法 |
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1997
- 1997-08-28 JP JP23269397A patent/JP3813321B2/ja not_active Expired - Fee Related
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