JP3812439B2 - 横置型積層燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、横置型積層燃料電池の燃料電池積層体の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、この種の燃料電池として代表的な固体高分子型燃料電池の単セルの一般的な基本構成を示す分解断面図である。図に見られるように、固体高分子電解質膜1の両面に、燃料極電極層2と酸化剤極電極層3を配して、電解質膜/電極層接合体を形成し、その外側に、燃料ガス通流溝4aと冷却水通流溝4bを備えたセパレート板4、および、酸化剤ガス通流溝5aと冷却水通流溝5bを備えたセパレート板5を配して単セルが構成されている。なお、6は、反応ガスの漏洩を防止するためのシール部材である。このように構成された燃料電池の各単セルで得られる発生電圧は、1Vに満たない低電圧であるため、実用される燃料電池においては、複数の単セルを積層して燃料電池積層体を構成し、電気的に直列に接続して所望の発生電圧を得ている。
【0003】
図5は、従来の横置型積層燃料電池の燃料電池積層体の構成を示す側面図である。図に見られるように、図4のごとき構成の多数の単セル10を積層し、両端に電力を取り出すための集電板や電気絶縁板を組み込んで形成した燃料電池積層体を、支持ばねを介して一組の締め付け板11により挟持し、この締め付け板11を締め付けスタッド12によって両端から締め付けることによって、燃料電池積層体が締め付け保持されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の燃料電池積層体は締め付け板11により締め付けて保持されているが、各単セルは図4に示したように平板状に形成されているので、各単セルの位置ずれや、最悪の場合落下を生じる危険性がある。このため、横置型燃料電池においては、図5に見られるように、燃料電池積層体の底部にずれ止め部材13を組み込んで、位置ずれや落下を防止している。
【0005】
従来の横置型燃料電池においては、このように燃料電池積層体に、締め付け板11に加えて、ずれ止め部材を組み込んでいるため、大型となって所要据付スペースが大きくなり、製作コストが高くなるという問題点があった。
本発明の目的は、これらの問題点を解決し、所要据付スペースが小さく、かつ製作コストが安価な燃料電池積層体を備えた横置型燃料電池を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明においては、
電解質膜/電極層接合体の両面に方形平板状のセパレート板を配置して形成された単セルを、複数個積層して締め付け板により挟持し、この締め付け板をスタッドにより両端から締め付けて保持される燃料電池積層体を備える横置型積層燃料電池において、
(1)方形平板状のセパレート板の四隅のうち、下部に位置する二隅に切り欠き部を備え、かつ、この切り欠き部のそれぞれに、セパレート板に接して締め付け用のスタッドを配置することとする。
【0007】
(2)上記の(1)において、方形平板状のセパレート板の四隅のうち、上部に位置する二隅にも切り欠き部を備え、かつ、この切り欠き部のそれぞれに締め付け用のスタッドを配置することとする。
上記の(1)のごとくとすれば、複数個の単セルがスタッドによって締め付けられるばかりでなく、方形平板状のセパレート板が、下部の二隅の切り欠き部に配されたスタッドに接して支持されるので、従来のごとき特別なずれ止め部材を備えなくとも単セルのずれが防止される。したがって製作コストも低減する。また、本構成では締め付け用のスタッドが方形平板状のセパレート板の切り欠き部に配置されているので、セパレート板より突出することがなく、所要スペースが小さくなる。
【0008】
また、上記の(2)のごとくとすれば、上部に位置する締め付け用のスタッドもセパレート板の切り欠き部に配置され、セパレート板より突出することがないので、さらに、所要スペースが小さくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に例をあげて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の横置型燃料電池の実施例の燃料電池積層体の構成を示す側面図である。また、図2は本実施例の燃料電池積層体の側面図、図3は本実施例の燃料電池積層体に組み込まれているセパレート板の平面図である。
【0010】
本実施例においても、多数の単セル10を積層した積層体の両端に集電板、電気絶縁板を組み込み、一組の締め付け板11Aで挟持して締め付けスタッド12によって締め付けることによって、燃料電池積層体が構成されている。
本実施例の燃料電池積層体の特徴は、各単セル10に、図3に見られるように四隅に切り欠き部A,Bを備えたセパレート板20が用いられていること、さらに、図2に見られるように、締め付けスタッド12が、この切り欠き部A,Bに、セパレート板20に接して配置されていることにある。したがって、多数の単セル10のセパレート板20は接して配置された締め付けスタッド12により支持される構成となっており、締め付けスタッド12は燃料電池積層体を締め付ける役割とずれを防止する役割の二つの機能を果たしている。組み込まれているセパレート板20には、上記のように四隅に切り欠き部が設けられており、積層する多数の単セルの位置合わせが容易に行えるように、うち三隅にはL字状の切り欠きが、一隅には直線状の切り欠きが設けられている。なお、本実施例のセパレート板20では四隅に切り欠き部が設けられているが、下側の二隅にのみ切り欠き部を設け、締め付けスタッドをセパレート板の切り欠き部に接するように配置しても、締め付けスタッドは燃料電池積層体の締め付けとずれ防止の二つの機能を果たすこととなる。本実施例のごとくセパレート板の四隅に切り欠き部を設ければ、締め付けスタッドが燃料電池積層体の内部へ配されることとなるので、燃料電池積層体の大きさが小さく抑えられ、所要据付スペースが小さくなる。
【0011】
なお、図3において、セパレート板20の側端部に備えられた通流孔は、セパレート板20のガス流路へ燃料ガス、あるいは酸化剤ガスを供給するためのガス供給マニホールド21と、ガス流路を流れたこれらの反応ガスを排出するためのガス排出マニホールド22である。また、セパレート板20の上下に備えられた通流孔は、発電に伴って生じる発熱を除去するためにセパレート板20の冷却水流路に流される冷却水を供給、排出するための冷却水供給マニホールド23、冷却水排出マニホールド24であり、いずれも切り欠き部を組み込む四隅を避けて配置されている。
【0012】
上記のように、本構成では、締め付けスタッド12が燃料電池積層体の締め付けとずれ防止の二つの機能を果たしているが、このほか、多数の単セルを積層する際に、位置決めのガイドの役割も果たすことができ、組み立ての簡易化、製作コストの低減化に極めて有効である。
【0013】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、
(1)横置型積層燃料電池を、請求項1に記載のごとく構成することとしたので、従来用いていたずれ止め防止部材を組み込まなくとも燃料電池積層体のずれを防止することが可能となり、所要据付スペースが小さく、かつ製作コストが安価な燃料電池積層体を備えた横置型燃料電池が得られることとなった。
【0014】
(2)また、さらに横置型積層燃料電池を請求項2のごとく構成することとすれば、よりコンパクトとなるので、所要据付スペースがより小さく、かつ製作コストが安価な燃料電池積層体を備えた横置型燃料電池が得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の横置型燃料電池の実施例の燃料電池積層体の構成を示す側面図
【図2】図1に示した実施例の燃料電池積層体の側面図
【図3】図1に示した実施例の燃料電池積層体に組み込まれているセパレート板の平面図
【図4】固体高分子型燃料電池の単セルの一般的な基本構成を示す分解断面図
【図5】従来の横置型燃料電池の燃料電池積層体の構成を示す側面図
【符号の説明】
10 単セル
11A 締め付け板
12 締め付けスタッド
20 セパレート板
21 ガス供給マニホールド
22 ガス排出マニホールド
23 冷却水供給マニホールド
24 冷却水排出マニホールド
Claims (2)
- 電解質膜/電極層接合体の両面に方形平板状のセパレート板を配置して形成された単セルを、複数個積層して締め付け板により挟持し、この締め付け板をスタッドにより両端より締め付けて保持される燃料電池積層体を備える横置型積層燃料電池において、前記の方形平板状のセパレート板の四隅のうち下部に位置する二隅に切り欠き部が備えられ、かつ、この切り欠き部のそれぞれに、セパレート板に接して前記の締め付け用のスタッドが配されていることを特徴とする横置型積層燃料電池。
- 請求項1に記載の横置型積層燃料電池において、前記の方形平板状のセパレート板の四隅のうち上部に位置する二隅に切り欠き部が備えられ、かつ、この切り欠き部のそれぞれに締め付け用のスタッドが配されていることを特徴とする横置型積層燃料電池。
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