JP3811829B2 - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、保安機構を有する金属蒸着化プラスチックフィルム(以下、金属化フィルムと称する)を使用したコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
直流フィルターコンデンサは、直流に含まれる交流成分を選択濾波し、純直流に近い電圧とするように利用されている。また充放電用コンデンサは充電したエネルギーの急峻な放電により大電流を発生させるものである。これらは産業機器用コンデンサとして広く一般に利用されている。
【0003】
そして一般にコンデンサに蓄えられる誘電体単位面積当たりのエネルギー蓄電量(以下、エネルギー密度)は、次式で与えられる。
W/S・d=εε(E/d)/2=εε/2 〔J/m
W:蓄電エネルギー〔J〕 S:電極面積〔m〕 d:誘電体厚み〔m〕
ε:真空の誘電率 ε:比誘電率 G:電位傾度〔V/m〕
【0004】
即ちコンデンサのエネルギー密度は、誘電体の比誘電率に比例し、電位傾度の自乗に比例することになる。ここで比誘電率は素材固有の値であってコンデンサに採用できるものはある狭い範囲に収まっているから、コンデンサのエネルギー密度は電位傾度に依存するものと考えて差し支えない。
【0005】
従来、この分野のコンデンサの誘電体は、アルミ箔電極を使用した紙かプラスチックフィルム或いはこれらを併用したものが採用されていたが、このような従来のアルミ箔電極コンデンサでは、設定電位傾度はせいぜい130V/μmが上限であった。これに対して、最近一部の分野で採用が広がっている金属化フィルムを用いた蒸着コンデンサ、すなわち金属化フィルムコンデンサでは、その特徴である自己回復作用(絶縁欠陥部周辺の蒸着金属が瞬時的短絡によるエネルギーで蒸発・飛散し、コンデンサの機能部分から切り離され、コンデンサの機能が回復する現象)による絶縁破壊に対する信頼性の向上により、より高電位傾度の設定が可能となり、180V/μm程度まで設計されるようになってきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで最近は、この種の産業機器用コンデンサの分野でも装置自体の小型・軽量化が進み、コンデンサに対する小型・軽量化の要望も次第に強くなってきている。しかしながら主として蒸着金属の材質・薄膜の厚み等によって自己回復性を高めようとすることは限界となりつつあり、さらなる小型・軽量化の要望に応えつつ、コンデンサのエネルギー密度を向上させることは困難な状況となっている。
【0007】
この発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、絶縁破壊に対する信頼性を確保すると共にヒューズ動作等による容量減少を抑制し、これによってエネルギー密度の向上を可能としながら、しかも小型、軽量化の要望に応え得る金属化フィルムコンデンサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで請求項1の金属化フィルムコンデンサは、片面に金属蒸着を施したプラスチックフィルムを2枚一対とするか、両面に金属蒸着を施したプラスチックフィルムと金属蒸着を施さないプラスチックフィルムを2枚一対として巻回し、上記一対2面の蒸着面の少なくとも1面は、金属蒸着の無い第1スリットにより単位金属蒸着電極に細分化され、第1スリット間に形成された第1ヒューズ部により単位金属蒸着電極が接続され、単位金属蒸着電極はn角形状(nは3以上の整数)を有すると共に、単位金属蒸着電極の蒸着面積は10〜1000mmであり、第1ヒューズ部の寸法を最狭部で0.05mm以上1.5mm以下とすると共に第1ヒューズ部は単位金属蒸着電極あたり多角形のコーナ部にある2以上n未満第1ヒューズ部を備え、かつ第1ヒューズ部により各単位金属蒸着電極が互いに接続されたコンデンサとしての機能部分の蒸着金属と、金属の溶射等により導通を得るための電極引き出し部分の蒸着金属とを、フィルムの長手方向に延びる蒸着金属のない第2スリットにより分離し、その第2スリットにより分離されたコンデンサの機能部分の蒸着金属と電極引き出し部分の蒸着金属とが、第2スリット間に形成された第2ヒューズ部により接続されて成り、さらに 第1ヒューズ部と第2ヒューズ部の最狭部の寸法比率が第1ヒューズ部を1としたときに第2ヒューズ部が1〜20の範囲内であることを特徴としている。
【0009】
従来は、例えば特開平4−359416号公報に開示されたもののように、単位コンデンサ(以下、セグメントという)を形成するスリットがフィルム幅方向の一方向にのみ設けられているものが多かった。このようなスリットでは、本用途のコンデンサ性能上必要な単位コンデンサへの細分化(10から1000mm)は、特に50mm以上のフィルム幅で極端に狭くなり、加工技術上制約が多くなるということであり、また第2は、スリット部の増加による容量減少が大きくなるということである。これに対して本願のものに於けるスリットは、これらの制約がより少なく、任意に細分化されたセグメントを形成することができる。
【0010】
セグメントの面積については、10から1000mmが適当である。10mm未満では、スリット部の静電容量損失分が大きいのとヒューズ部を含む加工技術上経済性に難点があり得策ではない。1000mmを超過すれば、1回のヒューズ動作時に減少する静電容量が大きくなり、コンデンサの静電容量寿命で電位傾度が制約され、得策でない。
【0011】
各セグメント間を接続するヒューズ部の寸法は、最狭部で0.05〜1.5mmが適正である。0.05mm未満では、通常電流による誤動作が多く、静電容量の安定性を欠く。1.5mmを超過すればヒューズの感度が悪く、誘電体の損傷が生じ絶縁破壊の信頼性を欠く。
【0012】
前述したように、絶縁欠陥部での瞬時的短絡によって発生するエネルギーの大きさに応じて、ヒューズ最狭部の寸法及びセグメント面積により適正なヒューズパターンを設定するのであるが、定格充電電圧が低くなると短絡時に発生するエネルギーが小さくなり、ヒューズ動作させることが困難となる場合がある。この場合、請求項2の金属化フィルムコンデンサのように、1セグメント当たりのヒューズの合計寸法(最狭部)を0.1mm〜6mmの範囲内にすることにより良好にヒューズ動作させることができる。合計寸法が0.1mm未満では通常電流による誤動作が多く、静電容量の安定性を欠く。合計寸法が6mmを超えればヒューズの感度が悪く、誘電体の損傷が生じ絶縁破壊の信頼性を欠く。
【0013】
この様に従来の金属蒸着化フィルムでの高電位傾度化では、主としてコンデンサの絶縁破壊に対する信頼性から限界が認められたので、本発明者等は、JISC 4901低圧進相コンデンサ、JIS C 4908電気機器用コンデンサに採用されている交流用途の保安機能付きコンデンサに注目し、これを直流コンデンサに適用した構造についての検討を行い、この結果、ヒューズ効果により蒸着フィルムの自己回復作用を高め、絶縁破壊に対する信頼性を確保し、ヒューズ動作等による容量減少を極めて小さくし得る金属化フィルムコンデンサの実現を可能にした。そして本構成により、従来のコンデンサに比較して大幅な小型・軽量化を達成することができた。また、第2スリット及び第2ヒューズ部を設け、第1ヒューズ部と第2ヒューズ部の寸法比率を1:1から1:20の範囲内とする事により絶縁破壊及び容量減少に対する高い信頼性を維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の金属化フィルムコンデンサの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。各図はこの発明の一実施形態による金属化フィルムコンデンサ素子を示すもので、図1はその展開斜視図、図2は一対の金属化フィルムコンデンサの断面図である。両図において、1は第1の金属化フィルムで、ポリプロピレンフィルム等の第1の誘電体フィルム2の表面に金属蒸着により電極被膜3が形成されている。2aはマージン部で、この部分には電極被膜3は形成されていない。2bは第1スリットで、この部分にも電極被膜3は形成されていない。3bは第1ヒューズ部であり、コンデンサの機能部分の細分化された単位金属蒸着電極であるセグメント3aを接続している。3cは第2ヒューズ部であり、フィルムの長手方向に延びる電極被膜の形成されていない第2スリット2cにより分離された機能部分の蒸着金属と電極引き出し部分の蒸着金属とを接続している。4は第2の金属化フィルムで、以下第1の金属化フィルムの各部の名称に同じく、5は第2の誘電体フィルム、5aはマージン部、5bは第1スリット、5cは第2スリット、6は電極被膜、6aはセグメント、6bは第1ヒューズ部、6cは第2ヒューズ部である。7、8はリード引き出し用の金属吹き付け部である。そして上記第1の金属化フィルム1を例にすると、セグメント部3aを形成するパターンとしては、図3〜図6に示すものがあるが、これ以外のパターンを採用することも可能である。なお図3〜図6において、w1は第1ヒューズ部最狭部寸法、w2は第2ヒューズ部最狭部寸法、そしてw3、w4はセグメント部寸法をそれぞれ示している。
【0015】
【実施例】
(実施例1)
次に試験用に製作した本構造(図3)の供試コンデンサの仕様を以下に示す。
Figure 0003811829
このコンデンサと比較用のコンデンサ(スリットを設けない従来品)各10個を使用して実験を行った。試験結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
Figure 0003811829
【0017】
試験方法はステップアップ耐電圧試験といわれるもので、80℃に設定した熱風循環式恒温槽中にコンデンサを入れて、180V/μm(900V)に相当する直流電圧を10秒(27.8Hrs)印加する。印加後、常温にしてコンデンサの容量等の諸特性を測定する。次に200V/μmに相当する電圧を同様にして印加し、印加・測定を順次繰り返し、コンデンサが絶縁破壊するか容量が殆ど無くなるまで印加電圧を上昇させ継続する。
【0018】
以上の試験結果より以下のことが判明した。即ち従来のコンデンサが240V/μm(1200V)で全数絶縁破壊したのに対して、本実施例のコンデンサはフィルム本来の耐電圧領域まで絶縁破壊することなく、従来例において全数絶縁破壊が発生した240/μmにおいても、大きな容量減少もなく耐用した。このように高い容量安定性と絶縁破壊に対する信頼性が確認された。
【0019】
なおフィルムの電位傾度すなわち通常の使用電圧(定格電圧)をフィルム厚さで除したものは、130V/μm以上に設定するのが適当である。130V/μm未満では、従来の通常コンデンサに対する優位性がなく、本方式を採用する意味がない。
【0020】
(実施例2)
実施例1の図3に示す構成で、セグメント部寸法w3、w4を変えてセグメント面積が4〜2000mmとなる亜鉛蒸着ポリプロピレンフィルムを5種製作し、下記仕様の供試コンデンサを製作した。
Figure 0003811829
【0021】
試験結果を図7に示す。試験の方法は、(1)スリット部がない通常のコンデンサの初期静電容量に対して、スリットを設ける事による初期段階での容量損失率が、セグメント面積によりどう変化するかを容量測定により求める。(2)80℃の温度で定格電圧の1.3倍の直流電圧を2000時間連続印加し、初期に対する容量減少率を求める。
【0022】
以上のことから次のことが判明した。先ずセグメント面積が小さくなれば、非電極部の増加により初期容量が減少するが、これとは逆にセグメント面積が大きくなれば、寿命試験に於ける容量減少率が大きくなるという事であり、結局セグメント面積が10〜1000mmの範囲では、相反する両項目を満足する事が出来る。
【0023】
尚フィルムの種類、厚さ、蒸着金属と抵抗値、含浸有無等を変えても、この範囲であれば両性能を満足することも確認した。
【0024】
(実施例3)
実施例1の図3に示す構成で、金属蒸着フィルムとして、フィルムの種類がポリプロピレンフィルムとポリエチレンテレフタレートの2種類、フィルムの厚さが5〜20μmの範囲で、任意のセグメント面積と定格電圧を設定したコンデンサ素子を製作した。この素子をブリキ製のケースに収納し、石油系ワックスとポリブデン油を混合した含浸剤を真空含浸したものを供試コンデンサとした。フィルムの種類は6種だが、セグメント面積を変えて、1セグメント当たりの蓄電エネルギー(W)が異なる合計13種の供試コンデンサとした。
【0025】
試験方法
試験1 直流連続通電試験:70℃の熱風循環式恒温槽中で定格設定電圧の1.2倍の直流電圧を2000時間連続印加する。このとき試験中に絶縁破壊が生じるか否か、試験完了後の静電容量変化率が10%以内か否かで判定した。
試験2 充放電試験:70℃の熱風循環式恒温槽中で定格電圧での充放電を電圧反転率約10%、放電パルス幅100〜300μsec、充放電頻度2〜3ppsの条件で充放電回数1000万回を実施した。判定の基準は試験1に同じである。
試験の結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
Figure 0003811829
【0027】
以上の結果から次のことが判明した。1セグメント当たりの蓄電エネルギー(W)が大きくなれば(定格充電電圧が大きくなる、1セグメントの面積が大きくなる、比誘電率が大きくなればエネルギーが増加する)、直流連続通電試験、充放電試験ともに絶縁破壊、容量減少に対する信頼性が低下する。適正な性能を付与するには、1セグメント当たりの定格電圧充電時の蓄電エネルギー(W)を0.03J以下にする必要がある。0.03Jを超過すれば、適正なヒューズ設定が困難となり、誘導体の損傷が生じ絶縁破壊に対する信頼性が低下する。また容量の減少率も大きくなる。
【0028】
(実施例4)
実施例1の図3に示す構成で、金属蒸着フィルムとしてフィルムの厚さが4.5〜15μmの範囲で任意のヒューズ合計寸法を設定した15種のコンデンサ素子を製作した。この素子をブリキ製ケースに収納し植物油(菜種油)を真空含浸したものを供試コンデンサとした。なお、このときのセグメント面積は50〜500cm、定格電圧は900〜3000VDCである。
【0029】
試験方法
実施例3.試験1.と同様、70℃の熱風循環式恒温槽中で定格電圧の1.2倍の直流電圧を2000時間連続印加し、絶縁破壊が生じるか否か、試験完了後の静電容量変化率が10%以内か否かで判断した。
試験の結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0003811829
【0031】
以上の結果から、次の事が判明した。定格電圧が低くなると、絶縁欠陥部での瞬時的短絡によって発生するエネルギーが小さくなり、ヒューズ最狭部寸法及びセグメント面積のみで絶縁破壊及び容量減少に対する信頼性を維持する事が出来なくなる。適正な性能を付与するには、1セグメント当たりのヒューズ合計寸法を定格電圧に応じ、0.1mm以上6mm以下の範囲内で適宜設定する必要がある。本試験結果を、定格電圧における適正な1セグメント当たりのヒューズ合計寸法範囲として示したのが図8である。
【0032】
(実施例5)
次に実施例1に示すものと同様の構成で、第2ヒューズ部寸法w2(図3(c)〜図6(c))を変えて第1ヒューズ部3bと第2ヒューズ部3cの寸法比率が1:0.5から1:30となる亜鉛蒸着ポリプロピレンを6種製作し、以下の仕様の供試コンデンサを製作した。
Figure 0003811829
試験の方法は、実施例3.試験1と同様70℃の熱風循環式恒温槽中で定格電圧の1.2倍の直流電圧を2000時間連続印加し、絶縁破壊が生じるか否か、試験完了後の静電容量変化率が10%以内か否かで判断した。
この結果を表4に示す。
【0033】
【表4】
Figure 0003811829
【0034】
以上の結果より、第2スリット及び第2ヒューズ部を設け、第1ヒューズ部と第2ヒューズ部の寸法比率を1:1から1:20の範囲内とする事により絶縁破壊及び容量減少に対する高い信頼性を維持することができる。
【0035】
上記実施例において第1スリットはフィルム面上の異なる2方向に不連続に形成されており、隣接する各セグメントはこの第1スリット間に形成された第1ヒューズ部で互いに接続されている。これにより第1ヒューズ部の動作時、各セグメントで形成される各単位コンデンサを個々に切り離すことができ、容量損失を極めて小さくおさえることができる。
【0036】
なお第1スリットは2方向ではなく異なる3以上の方向に形成されていてもよい。すなわち第1スリットにより細分化されたセグメントは正方形ではなく多角形であればよく、面積も10〜1000mmの範囲内であれば全て同一でなくてもよい。
【0037】
各実施例において、セグメントあたりコーナ部にあるヒューズ数は2〜3個であり、セグメントあたり全てのコーナにヒューズを設けずに隣接する各セグメントを接続し、異常時には異常が生じた単位コンデンサのみを切り離すことによりコンデンサの機能を維持することができる。セグメントの全てのコーナにヒューズを設けヒューズ数を多くした場合、使用電圧が低くなると自己回復時にヒューズに流れる電流が小さくなり、ヒューズ動作が安定しない。
【0038】
この場合、ヒューズ寸法精度を上げることでヒューズ機能を維持することができるが、実際には、ヒューズ寸法精度向上にはスリット形成の加工上限界があり適正なヒューズ設定が困難なため、n角形状のセグメントあたりのヒューズ個数をnより少なくする必要がある。この時、n角形状のセグメントあたりのヒューズ数がn/2個(nが奇数のときは(n+1)/2個)より少ない場合、またn角形状のセグメントあたりのヒューズ数がn/2個(nが奇数のときは(n+1)/2個)であり、その各ヒューズ位置がセグメントのコーナ部にない場合は、異常が生じたセグメントのみを必ずしも切り離すことができない構成になってしまい、当該セグメントに異常が生じヒューズが動作したとしても、そのセグメントのみならず隣接するセグメントも同時に切り離され機能を失ってしまう場合が生じる。これを避けるため、n角形状のセグメントあたりのヒューズ数は少なくともn/2個(nが奇数のときは(n+1)/2個)設ければよく、ヒューズ数が最小のn/2個(nが奇数のときは(n+1)/2個)である場合は、各ヒューズをn角形状のセグメントのコーナ部に位置させればよい。
【0039】
なお金属蒸着電極の構造については、電極面全体が一様な金属蒸着被膜抵抗値を有する標準的な蒸着金属か、あるいは第2スリットにより分離された電極引き出し部分の金属蒸着被膜抵抗値が、コンデンサの機能部分の金属蒸着被膜抵抗値よりも低いヘビーエッジ構造の金属蒸着構造でも良い。ヘビーエッジ構造の金属蒸着の場合には、第2ヒューズ部3cを、第2スリット2cにより分離されたコンデンサの機能部分の金属蒸着被膜抵抗値よりも低いヘビーエッジ部分の範囲内とするのがよい。ヘビーエッジ構造の金属蒸着で、第2ヒューズ部3cをヘビーエッジ部分の範囲外とすれば、特に第1ヒューズ部3bと第2ヒューズ部3cの寸法比率が小さい場合において、電極引き出し部分からの電流集中による誤動作が多く、静電容量の安定性を欠くために得策でない。
【0040】
上記実施例では誘電体フィルムとしてポリプロピレンフィルムを使用したが、ポリエチレンテレフタレートフィルム等他の種類のフィルムであっても良い。また上記実施例では蒸着金属として亜鉛を使用したが、亜鉛に特定されるものでなく、アルミニウムや亜鉛/アルミニウム混合物等他の金属でも良い。今回は植物油油浸コンデンサで実施したが、含浸剤・充填剤はこれに限定されるものではない。また油浸・乾式を問わず適用することができる。本例では、一対2面両方の蒸着面がスリットにより細分化された電極であるが、片方を細分化されない通常の蒸着フィルムとしても何等差し支えない。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、この発明は1素子のコンデンサを多数の単位コンデンサの集合体にし、それぞれの単位コンデンサにヒューズを設け、異常時に絶縁破壊することなく、容量減少を極めて低く押さえてコンデンサの機能を確保できるようにしたものであり、絶縁性能が高く、小型・軽量のコンデンサを提供することができる。また、第2スリット及び第2ヒューズ部を設け、第1ヒューズ部と第2ヒューズ部の寸法比率を1:1から1:20の範囲内とする事により絶縁破壊及び容量減少に対する高い信頼性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の金属化フィルムコンデンサの一実施形態における金属化フィルムコンデンサ素子を示す展開斜視図である。
【図2】一対の金属化フィルムの断面図である。
【図3】上記金属化フィルムコンデンサのセグメントを示す図である。
【図4】上記金属化フィルムコンデンサのセグメントを示す図である。
【図5】上記金属化フィルムコンデンサのセグメントを示す図である。
【図6】上記金属化フィルムコンデンサのセグメントを示す図である。
【図7】実施例2における試験結果を示すグラフである。
【図8】実施例4における試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 第1金属化フィルム
2b 第1スリット
2c 第2スリット
3a セグメント
3b 第1ヒューズ部
3c 第2ヒューズ部
4 第2金属化フィルム
5b 第1スリット
5c 第2スリット
6a セグメント
6b 第1ヒューズ部
6c 第2ヒューズ部

Claims (3)

  1. 片面に金属蒸着を施したプラスチックフィルムを2枚一対とするか、両面に金属蒸着を施したプラスチックフィルムと金属蒸着を施さないプラスチックフィルムを2枚一対として巻回し、上記一対2面の蒸着面の少なくとも1面は、金属蒸着の無い第1スリットにより単位金属蒸着電極に細分化され、第1スリット間に形成された第1ヒューズ部により単位金属蒸着電極が接続され、単位金属蒸着電極はn角形状(nは3以上の整数)を有すると共に、単位金属蒸着電極の蒸着面積は10〜1000mmであり、第1ヒューズ部の寸法を最狭部で0.05mm以上1.5mm以下とすると共に第1ヒューズ部は単位金属蒸着電極あたり多角形のコーナ部にある2以上n未満第1ヒューズ部を備え、かつ第1ヒューズ部により各単位金属蒸着電極が互いに接続されたコンデンサとしての機能部分の蒸着金属と、金属の溶射等により導通を得るための電極引き出し部分の蒸着金属とを、フィルムの長手方向に延びる蒸着金属のない第2スリットにより分離し、その第2スリットにより分離されたコンデンサの機能部分の蒸着金属と電極引き出し部分の蒸着金属とが、第2スリット間に形成された第2ヒューズ部により接続されて成り、さらに 第1ヒューズ部と第2ヒューズ部の最狭部の寸法比率が第1ヒューズ部を1としたときに第2ヒューズ部が1〜20の範囲内であることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
  2. 上記単位金属蒸着電極あたり第1ヒューズ部の合計寸法が0.1mm以上6mm以下であることを特徴とする請求項1の金属化フィルムコンデンサ。
  3. 上記単位金属蒸着電極は4角形状であって、そのコーナ部にある第1ヒューズ部の数は2又は3であることを特徴とする請求項1又は請求項2の金属化フィルムコンデンサ。
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