JP3811781B2 - 冷凍設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機、凝縮器などの機器をひとつのフレーム上にまとめたコンデンシングユニットを備えた冷凍設備に係り、冷媒封入量を大巾に低減するのに好適な冷凍設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンデンシングユニットを用いた冷凍設備の一形態として、特開平9−210480号公報に開示されているように、圧縮機および凝縮器などの機器をひとつにまとめたコンデンシングユニットと、熱交換器やファンを備えた蒸発器および膨張弁などの機器をひとつにまとめたクーリングユニットとのふたつのユニットを、冷媒供給配管および冷媒戻り配管により互いに接続して冷凍設備を構成することが一般的に知られている。
【0003】
この場合、コンデンシングユニット内にある圧縮機で圧縮されたガス冷媒は、凝縮器に送られて凝縮して液冷媒となる。この液冷媒は冷媒供給配管を介してクーリングユニット内に配設されている膨張弁まで液状のまま送られる。クーリングユニット内で膨張弁により液冷媒が膨張され低温のガス冷媒となって蒸発器へ送り込まれ、被冷却物との熱交換後、ガス冷媒となって冷媒戻り配管を介してコンデンシングユニット内のアキュームレータを経て圧縮機に吸入される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術であるコンデンシングユニットとクーリングユニットとの組合わせに係る冷凍設備を図4に示すが、例えばコンデンシングユニット2を建物地下の機械室内に設置し、クーリングユニット3を建物中間階などに別置した場合、ふたつのユニット2および3を互いに接続する冷媒供給配管9の長さは数十メートルにも及ぶ。
【0005】
この時、コンデンシングユニット2内の凝縮器5出口部の液冷媒は、圧縮機4吸入口部のガス冷媒を吸入圧力飽和温度−35℃、凝縮温度40℃、過冷却度5℃と仮定すると0.13MPa、35℃程度の液状態になるため、凝縮器5出口部からクーリングユニット3内の膨張弁7までの数十メートルにも及ぶ冷媒供給配管9内では液冷媒の状態で輸送されることになり、およそ80kgにも及ぶ多量の液冷媒を冷凍設備1全体の内部に封入する必要がある。
【0006】
また、コンデンシングユニット2およびクーリングユニット3の設置場所は、両ユニットからなる冷凍設備を設置すべき対象となる冷凍庫などの建屋物件毎に異なり、それに伴い冷媒供給配管9の長さも建屋物件毎に変化するため、冷凍設備1内に封入すべき液冷媒量は、同一のコンデンシングユニット2と同一のクーリングユニット3の組合わせの場合であっても、建屋物件毎に大きく異なってくる。
【0007】
本発明の目的は、冷凍設備1内に封入する地球温暖化係数の大きい冷媒の量を大幅に低減することにより、地球環境面において温暖化防止などに大きく寄与するだけでなく、毒性のある冷媒を使用する場合には作業者および地域の安全性を高め、さらには冷凍設備全体の低コスト化を図ることにある。
【0008】
また、冷媒供給配管9の長さにより冷媒量が大きく左右されにくいコンデンシングユニット2を開発することにより、設備業者の作業性の大巾な向上が期待できる冷凍設備を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による冷凍設備は、特許請求の範囲の各請求項に記載されたところを特徴とするものであるが、特に独立項としての請求項1に係る発明による冷凍設備は、圧縮機および凝縮器などの機器を、ひとつのフレーム上にまとめた凝縮専用の冷凍装置(以下、単に「冷凍装置」という)としてのコンデンシングユニットと、熱交換専用(以下、単に「蒸発器」という)およびファンなどの機器をひとつにまとめた蒸発器としてのクーリングユニットと、前記ふたつのユニットを互いに接続して冷凍サイクルを構成するための長尺のクーリングユニットへの冷媒供給専用の冷媒供給配管(以下、単に「冷媒供給配管」という)及びコンデンシングユニットへの冷媒戻り専用の冷媒戻り配管(以下、単に「冷媒戻り配管」という)と、該冷媒供給配管中に配設され膨張弁と、を備えてなる冷凍設備において、前記冷媒供給配管中に配設される膨張弁は、前記コンデンシングユニット内の凝縮器からの冷媒液出口側に配設されており、該凝縮器からの液冷媒を膨張させて湿りガス状態となった冷媒を前記冷媒供給配管を介して前記クーリングユニットに供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし3に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施例を示す冷凍設備サイクル系統図である。同図において、コンデンシングユニット2とクーリングユニット3が冷媒供給配管9と冷媒戻り配管10とにより接続され、これらの装置全体を冷凍設備1と称している。
【0012】
また、コンデンシングユニット2は、単段スクリュー圧縮機4A、凝縮器5、ドライヤ6および温度駆動方式あるいは電子駆動方式の膨張弁7で構成されている。クーリングユニット3は熱交換器11やファン12を備えた蒸発器8で構成されている。
【0013】
このような構成で、60馬力程度の単段スクリュー圧縮機4で1.2〜1.6MPa、60℃〜100℃まで圧縮されたガス冷媒は、凝縮器5に送られて冷却水などと熱交換して凝縮され、圧縮機4吸入口部のガス冷媒は吸入圧力飽和温度−35℃、凝縮温度40℃、過冷却度5℃の場合、0.13MPa、35℃の液冷媒となる。さらに、凝縮器5液出口後に設けられたドライヤ6で液冷媒中の水分が除去され、液冷媒は膨張弁7に送られて膨張され、湿りガス状となる。
【0014】
湿りガス状となった冷媒は、約50mmの厚みの保温材に被覆された冷媒供給配管9を通してクーリングユニット3へ送られて、蒸発器8で大容量の冷凍倉庫を0℃〜−35℃まで冷却して熱交換後、0.13〜0.49MPa、0℃〜−35℃のガス冷媒となって冷媒戻り配管10を通して再びコンデンシングユニット2内の圧縮機4に吸入される。
【0015】
このとき、コンデンシングユニット2内の凝縮器5の液出口後にドライヤ6および膨張弁7を設けることにより、膨張弁7出口から設備業者が準備する蒸発器8までの冷媒供給配管9内はガス冷媒となって輸送されるため、従来の冷媒液封入量に比べて冷媒封入量が大巾に低減される。
【0016】
例えば、コンデンシングユニット2とクーリングユニット3とを結ぶ冷媒供給配管9の長さが50mにも及ぶ長尺となってふたつのユニット2および3が離れた場所に設置される場合を想定し、冷媒供給配管9の径をJIS規格20A40スケジュールすなわち内径21.4mmφと仮定すると、冷媒供給配管9内をガス冷媒で輸送した場合は、クーリングユニット3内に膨張弁を配設した場合における従来の液冷媒の質量より約1/15の液冷媒封入量でもって冷媒供給配管9内が充足されることになる。
【0017】
なお、凝縮器5は、水冷方式ではなく空冷方式で冷却してもよい。
【0018】
図2は、本発明の第2の実施例を示す冷凍設備サイクル系統図である。
【0019】
コンデンシングユニット2およびクーリングユニット3が冷媒供給配管9と冷媒戻り配管10とにより互いに接続され、これらの装置全体を冷凍設備1と称している。
【0020】
また、コンデンシングユニット2は二段スクリュー圧縮機4B、油分離器13、凝縮器5、過冷却器14、ドライヤ6および温度駆動方式あるいは電子駆動方式の膨張弁7で構成されている。クーリングユニット3は、第1の実施例と同じ構成である。
【0021】
このような構成で、二段スクリュー圧縮機4Bで1.2〜1.6MPa、55〜80℃まで圧縮されたガス冷媒は、油分離器13で冷凍機油と分離され、凝縮器5に送られて冷却水などと熱交換して凝縮され液冷媒となる。さらに、凝縮器5の液出口後に設けられた過冷却器14で過冷却され、ドライヤ6で液冷媒中の水分が除去され、液冷媒は膨張弁7に送られて膨張され、湿りガス状となる。
【0022】
湿りガス状となった冷媒は、冷媒供給配管9を通してクーリングユニット3へ送られて、蒸発器8で被冷却物との熱交換後、0.036〜0.16MPa、−60℃〜−30℃のガス冷媒となって冷媒戻り配管10を通して再びコンデンシングユニット2内の圧縮機4に吸入される。
【0023】
図3は、本発明の第3の実施例を示す冷凍設備サイクル系統図である。
【0024】
コンデンシングユニット2およびクーリングユニット3が冷媒供給配管9と冷媒戻り配管10とにより互いに接続され、これらの装置全体を冷凍設備1と称している。
【0025】
また、コンデンシングユニット2はスクロール圧縮機4C、アキュームレータ15、凝縮器5、ドライヤ6および温度駆動方式あるいは電子駆動方式の膨張弁7で構成されている。クーリングユニット3は、第1の実施例と同じ構成である。
【0026】
このような構成で、スクロール圧縮機4で圧縮されたガス冷媒は、凝縮器5に送られて冷却水などと熱交換して凝縮され液冷媒となる。さらに、凝縮器5の液出口後に設けられたドライヤ6で液冷媒中の水分が除去され、液冷媒は膨張弁7に送られて膨張され、湿りガス状となる。
【0027】
湿りガス状となった冷媒は、冷媒供給配管9を通してクーリングユニット3へ送られて、蒸発器8で被冷却物との熱交換後、ガス冷媒となって冷媒戻り配管10を通して再びコンデンシングユニット2内のアキュームレータ15に送られ圧縮機4に吸入される。
【0028】
【発明の効果】
以上に述べたごとく、本発明によればコンデンシングユニットと設備業者が準備するクーリングユニットの組合わせからなる冷凍設備において、コンデンシングユニット内の凝縮器の液出口後に膨張弁を配置することにより、冷凍設備の冷媒封入量が圧倒的に低減される。
【0029】
そのため、地球環境面においても大きな効果が得られるばかりでなく、サービスメンテナンス時の作業性向上、作業者および地域の安全性向上を図ることができ、さらには、設備費用面で大幅に安価となる。
【0030】
また、冷媒封入量が低減されるに伴い冷凍設備の質量も軽減することができ、建物中間階に設置される場合には、建物強度の低減を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す冷凍設備サイクル系統図を示す。
【図2】本発明の第2の実施例を示す冷凍設備サイクル系統図を示す。
【図3】本発明の第3の実施例を示す冷凍設備サイクル系統図を示す。
【図4】従来技術であるコンデンシングユニットと設備業者が準備するクーリングユニットを組合わせた冷凍設備サイクル系統図を示す。
【符号の説明】
1…冷凍設備
2…コンデンシングユニット
3…クーリングユニット
4…圧縮機
4A…単段スクリュー圧縮機
4B…二段スクリュー圧縮機
4C…スクロール圧縮機
5…凝縮器
6…ドライヤ
7…膨張弁
8…蒸発器
9…冷媒供給配管
10…冷媒戻り配管
11…熱交換器
12…ファン
13…油分離器
14…過冷却器
15…アキュームレータ

Claims (5)

  1. 圧縮機および凝縮器などの機器を、ひとつのフレーム上にまとめた凝縮専用の冷凍装置としてのコンデンシングユニットと、熱交換器およびファンなどの機器をひとつにまとめた蒸発専用器としてのクーリングユニットと、前記ふたつのユニットを互いに接続して冷凍サイクルを構成するための長尺のクーリングユニットへの冷媒供給専用の冷媒供給配管及びコンデンシングユニットへの冷媒戻り専用の冷媒戻り配管と、該冷媒供給配管中に配設され膨張弁と、を備えてなる冷凍設備において、
    前記冷媒供給配管中に配設される膨張弁は、前記コンデンシングユニット内の凝縮器からの冷媒液出口側に配設されており、該凝縮器からの液冷媒を膨張させて湿りガス状態となった冷媒を前記冷媒供給配管を介して前記クーリングユニットに供給するようにしたことを特徴とする冷凍設備。
  2. 前記圧縮機が単段もしくは二段スクリュー圧縮機であることを特徴とする請求項1に記載の冷凍設備。
  3. 前記圧縮機がスクロール圧縮機であることを特徴とする請求項1に記載の冷凍設備。
  4. 前記凝縮器が空冷方式もしくは水冷方式の凝縮器であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冷凍設備。
  5. 前記膨張弁を温度駆動方式もしくは電子駆動方式とし、該膨張弁の開度を前記圧縮機の吐出ガスの温度に基づいて制御するようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の冷凍設備。
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