JP3811594B2 - 椅子、椅子用のヘッドレスト又はショルダーレスト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子並びに椅子用のヘッドレスト又はショルダーレストに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オフィスで使用する椅子の背もたれにヘッドレストを取付ける場合、従来は、例えば実公昭56−43086号公報に記載されているように、ヘッドレストを背もたれの本体にねじで固定しており、取付け部をカバーで覆っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のように、ヘッドレストが予め背もたれに取付けられていると、ユーザーはヘッドレスト付きの椅子かヘッドレスト無しの椅子かを選択して購入しなければならず、このため、既に椅子を所有していても、ヘッドレスト機能が欲しい場合は椅子ごと購入しなければならない不便があった。
【0004】
この点については、ヘッドレストを背もたれの背面にねじで固定することも考えられるが、これでは取付け作業が面倒であるばかりか体裁も悪く、現実的ではない。特に、ヘッドレストをいったん取付けてから取り外すと、背もたれの背面にはねじの挿入穴が傷跡として残るため、美感が著しく損なわれる。
【0005】
他方、自動車用シートでは、ヘッドレストに下向きの支柱を取付ける一方、背もたれには、前記支柱が抜き差し自在に嵌まる受け筒を設けることにより、ヘッドレストを背もたれに着脱自在に取付けることが行われており、このような取付け手段をオフィス用椅子に転用することも考えられる。しかし、これでは背もたれに特別の加工を施さなければならないため、それだけコストが嵩むという別の問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような現状を改善することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願出願人が特開2000−79038号で提案した椅子では、背もたれは、クッションが張られたインナーシェルと、このインナーシェルの後方に配置したアウターシェルとを備えており、これらインナーシェルとアウターシェルとの間に、上向きに開口した空間が空いている。
【0008】
そこで、請求項1の発明では、このように上向きに開口した空間を有する背もたれの形態に着目し、前記背もたれにおけるアウターシェルの上端縁には前向きのフランジを形成する一方、ヘッドレスト又はショルダーレスト(補助背もたれと言い換えても良い)に、前記フランジを利用した係合手段を設けたものである。
【0009】
そして、前記係合手段は、前記アウターシェルのフランジに前方から当たる嵌合部と、前記インナーシェルの上端縁に後方から当たる当接部と、前記インナーシェルとアウターシェルとの間の空間に挿入されて前記インナーシェルに後方から当る弾性係止板とから成っている。
【0010】
【発明の作用・効果】
本発明では、ヘッドレスト又はショルダーレストは椅子に後付けできるため、背もたれに上向き開口の空間が形成された椅子を所有しているユーザーは、わざわざヘッドレスト付き又はショルダーレスト付きの椅子を購入する必要はなく、それだけ費用を節約することができる。
【0011】
また、ヘッドレスト又はショルダーレストの係合手段は背もたれの空間に隠すことが可能であり、しかも、ヘッドレスト又はショルダーレストを取り外しても傷跡が残ることはないため、美感に優れている。また、背もたれに特別の加工を施しておく必要はないためコストアップを抑制できる。更に、ねじ止め作業は必要ないため、取付け作業も簡単に行える。
【0012】
そして、ショルダーレスト又はヘッドレストは背もたれから簡単には抜き外すことはできないため、より好適である。
【0013】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(1).第1実施形態(図1〜図9)
図1〜図9では第1実施形態を示しており、このうち図1は椅子の側面図、図2は椅子の部分的な正面図である。
【0015】
椅子は、ガスシリンダを内蔵した脚1と、脚1の上端に固定した機枠2と、機枠2に後退動自在及び後傾動自在に取付けられた座受け体3と、座受け体3に取付けた座体4と、機枠2及び座受け体3に後傾動自在に取付けた背支柱5と、背支柱5に取付けた背もたれ6と、背もたれ6の上端に取付けたショルダーレスト(或いはヘッドレスト)7とを備えている。
【0016】
以下、背もたれ6及びショルダーレスト7について、図3以下の図を参照して説明する。
【0017】
図3は背もたれ6におけるアウターシェル8の斜視図、図4は背もたれの平面図、図5は図3のV−V視断面図、図6はクッションを省略した状態での背もたれとショルダーレスト7との分離正面図、図7(A)はショルダーレスト7の部分斜視図、図7(B)は分離した状態での側断面図、図8(A)は図6のVIII−VIII視側断面図、図8(B)はショルダーレストを取付けた状態での図6のVIII−VIII視断面図、図9(A)は図6のIX−IX視側断面図、図9(B)はショルダーレストを取付けた状態での図6のIX−IX視箇所での側断面図である。
【0018】
背もたれ6は、例えば図3や図6に示すアウターシェル8と、例えば図5に示すインナーシェル9とを備えており、インナーシェル9の前面にはクッション10を張っている。アウターシェル8は前向き凹状に形成されており、その上端縁には前向きのフランジ11が形成されている。また、アウターシェル8の前面には、水平リブ12と縦長リブ13とがそれぞれ複数本ずつ形成されている。アウターシェル8は前記した背支柱5にねじで固定されている。
【0019】
図3や図4に示すように、アウターシェル8の左右両側部には、上下複数段の係合穴14を設けている一方、インナーシェル9の左右両端には、前記係合穴14に抜け不能に嵌まる係止爪(図示せず)を設けており、インナーシェル9の左右両側部を裏側に折り返して、係止爪を係合穴14に嵌め込むことにより、インナーシェル9をアウターシェル8に取付けている。
【0020】
図8及び図9に示すように、インナーシェル9の上部背面には、アウターシェル8における最上段の水平リブ12の上面に近接した状態で水平状に延びる横長リブ15が形成されており、横長リブ15の上方には、図4に示すように、平面視で略三日月状の空間16が空いている。
【0021】
インナーシェル9の横長リブ15とアウターシェル8との間にはある程度の間隔が空いている。なお、横長リブ15とアウターシェル8における最上段の水平リブ12とは密着していても良い。
【0022】
図8や図9に示すように、ショルダーレスト7は、側面視で下向き凹状に湾曲させたベース板17と、このベース板17の外面に張ったクッション18とから成っており、取付ける前は大きく広がっている。図は表示していないが、ショルダーレスト7は平面視で背もたれ6と同様に前向き凹状に湾曲している。
【0023】
図6〜7に示すように、ショルダーレスト7におけるベース板17の中央部には、請求項に記載した係合手段の一環として、背もたれ6におけるアウターシェル8のフランジ11に前方から嵌まる嵌合部20を一体に形成している。このため、ショルダーレスト7は上下動不能に保持されている。
【0024】
また、ショルダーレスト7におけるベース板17の中央部と左右両端寄りとの3ヶ所には、係合手段の一環として、下向きに開口した箱状の係合部19を形成し、係合部19の前面板に、下向きに開口した係合溝21を形成している。他方、ベース板17の前面のうち各係合部19に対応した3ヶ所の部位には、ベース板17を押し縮めるように曲げると前記係合溝21に対して弾性に抗して引っ掛かり係合する係合爪22を設けている。
【0025】
例えば図8(B)に示すように、各係合部19の前面がインナーシェル9の上端部の裏面に当たるように設定している。したがって、本実施形態では、係合部19が請求項に記載した当接部を兼用しており、このため、ショルダーレスト7は前向き移動不能に保持される。係合部19とは別に、インナーシェル9の上端縁に後方から当たる当接部を形成しても良い。
【0026】
ショルダーレスト7におけるベース板17のうち左右係合部19の底部箇所には、背もたれに記載した係合手段の一環として、板ばね製の弾性係止板23を取付けている。弾性係止板23は上下に長く延びており、その上部には、係合部19の底部に形成した取付け穴24に差し込まれる挿入部23aが形成されており、その上下中途部には、アウターシェル8のフランジ11に下方から当たる顎部23bが折曲げ形成されている。この顎部23bにより、ショルダーレスト7はその左右両端部において上抜き抜け不能に保持されている。
【0027】
更に、弾性係止板23の下端には、インナーシェル9の横長リブ15に後方から引っ掛かり係合する第1爪23cが折曲げ形成されている。
【0028】
前記取付け穴24は上下に貫通しており、弾性係止板23の挿入部23aには、戻り防止のための第2爪23dを切り起こし形成している。また、挿入部23aは、取付け穴24にガタ付きなく嵌まるように側面視で凹凸状に折曲げている。したがって、ベース板17の取付け穴24に挿入部23aを差し込むことにより、弾性係止板23はベース板17にガタつきのない状態で抜け不能に取付けられる。
【0029】
更に、第1爪23cの突出寸法は、インナーシェル9の横長リブ15とアウターシェル8との間の間隔寸法Lと同じか又は小さい寸法に設定されている。ベース板17には、嵌合部20や係合爪22を成形するに際して型抜きを容易ならしめるため、及び曲げ変形を容易ならしめるため抜き違い穴25が空いている。
【0030】
ベース板17の後部でかつ左右両端部には、ショルダーレスト7の左右位置を規制するための位置決め片26を設けている。
【0031】
以上の構成において、図8及び図9に示すように、弾性係止板23を空間16に挿入して、嵌合部20をアウターシェル8のフランジ11に嵌め込むと共に弾性係止板23の第1爪23cをインナーシェル9の横長リブ15に下方から引っ掛け、次いで、ショルダーレスト7を前後の間隔が狭まるように押し曲げて、係合爪22を係合溝21に係合させると、ショルダーレスト7は背もたれ6に抜け不能に取付けられる。
【0032】
このように、ショルダーレスト7は、上向き開口の空間16を利用して背もたれ6に簡単に取付けられる。従って、ショルダーレスト7のみを独立して販売することにより、ユーザーが既存の椅子に後付けることができる(椅子とセットで販売し、必要に応じて取付けることも可能である)。また、ショルダーレスト7は取り外すことも可能である。
【0033】
そして、使用状態では、板ばね製の弾性係止板23の撓み変形により、ショルダーレスト7の後傾動に弾性抵抗が付与される。換言すると、弾性係止板23の弾性変形を利用して、ショルダーレスト7をある程度の範囲で後傾させることができる。
【0034】
なお、嵌合部20や被弾性係止板23の配置箇所及び個数は図示の実施形態に限定されるものではなく、例えば、嵌合部20を複数箇所形成したり、弾性係止板23を3枚以上設けたりしても良い。
【0035】
本実施形態のように、ショルダーレスト7を押し曲げることによって係合爪22を係合溝21に係合させる構成にすると、フランジ11への嵌合部20の嵌め込みや空間16内への弾性係止板23の挿入を容易に行える利点がある。また、ショルダーレスト7を軽量化することもできる。
【0036】
(2).第2実施形態(変形例)(図10)
第1実施形態では、弾性係止板23の取付け穴24を係合部19は別に形成していたが、図10に第2実施形態(変形例)として示すように、係合部19に弾性係止板23の挿入部23aを嵌め込んでも良い。このようにすると、構造が簡単になる利点がある。
【0037】
(3).第3実施形態(図11)
図11では第2実施形態を示しており、 (A)は側断面図、 (B)は (A)の B-B視正面図である。この実施形態では、弾性係止板23を取付けるために、ベース板17の後面板に、上下に開口したトンネル型の取付け部28を一体に成形し、その前面に形成した上向きの切り開き穴29に、弾性係止板23の第2爪23dを係合させている。また、取付け部28は請求項に記載した当接部を兼用するもので、その前面28aは前傾状の傾斜面に形成されている。
【0038】
他方、係止板23は、第1実施形態と同様に、アウターシェル8のフランジ11に下方から嵌る顎部23bを備えており、更に、インナーシェル9の背面に当たる第1当接部23eと、アウターシェル8における最上段の水平リブ12の付け根箇所に当たる第2当接部23fとが形成されている。更に、顎部23bと第1当接部23eとを繋ぐ部位は、アウターシェル8のフランジ11よりも手前側に向けて後傾状に延びる傾斜部23gになっている。
【0039】
この第2実施形態では、弾性係止板23はアウターシェル8とインナーシェル9との間に突っ張った状態になるため、ショルダーレスト7に対して後ろ向きの力がかかった場合の支持機能を向上できる。
【0040】
また、弾性係止板23をインナーシェル9の横長リブ15に下方から引っ掛ける必要がないことと、空間16への弾性係止板23の挿入が傾斜部23gによってガイドされることと、取付け部28の下向き動が前傾した前面28aによってガイドされることとの三者が相俟って、ショルダーレスト7をより簡単に背もたれ6に取付けることができる。
【0041】
また、弾性係止板23の第2爪23dは取付け部28の切り開き穴29に対して前後方向及び下向きに移動不能に係合しているため、弾性係止板23の上部での位置決めがしっかりと行われ、更に、顎部23bがアウターシェル8のフランジ11に下方から当たっているため、弾性係止板23は全体としてガタ付きなく、しっかりとした状態でベース板17に取付けられている。
【0042】
更に、弾性係止板23は、顎部23bと第2当接部23fとの上下2ヶ所でアウターシェル8に上下動不能の状態に支持されているため、弾性係止板23はアウターシェル8に対してもガタ付きなくしっかりした状態で取付いている。
【0043】
なお、本実施形態の場合、ショルダーレスト7はその弾性係止板23を空間16に差し込むだけで背もたれ6に取付けられるため、必ずしも第1実施形態のよう押し縮める必要はなく、予め図11(A) に示す断面形状に形成されたままであっても良い(もちろん、第1実施形態と同様に、係合部19及び係合爪22を形成しても良い)。更に、弾性係止板23に相当するものをベース板17に一体成形することも可能である。
【0044】
(4).その他
本発明は上記の実施形態以外にも様々に具体化できる。
【0045】
【0046】
例えば、弾性係止板と同様の機能を果たすものを線材で製造しても良い。
【0047】
また、ショルダーレストを継ぎ足して取付ける場合は、左右幅寸法を背もたれよりも小さい寸法にしても良い。更に、ヘッドレスト及びショルダーレストは、下向き凹状に湾曲したベース板を備えた形態に限定されるもではなく、様々の断面形状を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る椅子の側面図である。
【図2】椅子の部分的な正面図である。
【図3】背もたれにおけるアウターシェルの斜視図である。
【図4】背もたれの平面図である。
【図5】図3のV−V視断面図である。
【図6】クッションを省略した状態での背もたれとショルダーレストとの分離正面図である。
【図7】(A)はショルダーレストの部分斜視図、(B)は分離した状態での側断面図である。
【図8】(A)は図6のVIII−VIII視側断面図、(B)はショルダーレストを取付けた状態での図6のVIII−VIII視断面図である。
【図9】(A)は図6のIX−IX視側断面図、(B)はショルダーレストを取付けた状態での図6のIX−IX視箇所での側断面図である。
【図10】第2実施形態の側断面図である。
【図11】第3実施形態を示す図である。
【符号の簡単な説明】
4 背もたれ
7 ショルダーレスト
8 アウターシェル
9 インナーシェル
10 クッション
11 アウターシェルのフランジ
12 アウターシェルの水平リブ
15 インナーシェルの横長リブ
17 ベース板
19 当接部を兼用する係合部
20 嵌合部
21 係合溝
22 係合爪
23 弾性係止板
28 当接部を兼用する取付け部
Claims (2)
- 座と、背もたれと、前記背もたれに後付けで取付け得るヘッドレスト又はショルダーレストとを備えており、
前記背もたれは、クッションが張られたインナーシェルと、このインナーシェルの後方に配置したアウターシェルとを備えており、これらインナーシェルとアウターシェルとの間に上向きに開口した空間が空いている一方、前記ヘッドレスト又はショルダーレストには、当該ヘッドレスト又はショルダーレストを背もたれに取り付けるための係合手段が設けられている椅子であって、
前記背もたれにおけるアウターシェルの上端縁には前向きのフランジが形成されている一方、前記ヘッドレスト又はショルダーレストの係合手段は、前記アウターシェルのフランジに前方から当たる嵌合部と、前記インナーシェルの上端縁に後方から当たる当接部と、前記インナーシェルとアウターシェルとの間の空間に挿入されて前記インナーシェルに後方から当る弾性係止板とから成っている、椅子。 - 請求項1に記載した係合手段を設けている椅子用のヘッドレスト又はショルダーレスト。
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