JP3811502B2 - 冷却式プラットホームを備えたガスタービン翼 - Google Patents

冷却式プラットホームを備えたガスタービン翼 Download PDF

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Description

発明の背景
本発明は、ガスタービンの回転翼に関する。特に、本発明はガスタービン翼のプラットホーム部分を冷却するための技術に関する。
ガスタービンは代表的には、圧縮空気を生じさせるための圧縮機区分を含む。燃料がこの圧縮空気の一部と混合して一または二以上の燃焼器内で燃焼させ、それにより高温圧縮ガスを生じさせる。次に高温が圧縮ガスをタービン区分内で膨張させて回転軸出力を生じさせる。
タービン区分は代表的には、複数の交互に並んだ静翼列と回転翼列を採用している。回転翼は各々、翼幹部及び回転翼をロータに取り付けるための翼根部を有する。翼根部は、プラットホームを有し、このプラットホームから翼幹部が延びている。
静翼及び動翼は燃焼器から排出される高温圧縮ガスにさらされるので、これら構成部品を冷却することが最重要である。従来、冷却を行うには、圧縮機からの圧縮空気の一部を抽出し(これを次に冷却しても或いは冷却しなくてもよい)、これをタービン区分に差し向け、それにより燃焼器をバイパスさせている。タービンへの導入後、冷却用空気は、静翼及び動翼の翼幹部に形成された半径方向通路を通って流れる。代表的には、多くの小さな軸方向通路が、静翼及び動翼の翼幹部の内側に形成され、これらは半径方向通路のうち1又は2以上と連結されて、冷却用空気が翼幹部の表面上に、例えば前縁及び後縁、或いは負圧面及び正圧面に差し向けられるようになっている。冷却用空気が静翼又は動翼を出た後、タービン区分を通って流れる高温ガスに入りこれと混じり合う。
上述の翼冷却手法は、動翼の翼幹部に関して適当な冷却を可能にしたが、従来、特に、翼根部のプラットホームを冷却する際に用いられる冷却用空気はなく、プラットホームの上面は燃焼器からの高温ガスの流れにさらされている。上流側の静翼から排出された冷却用空気の一部は翼根部のプラットホームの上面上を流れてフィルム冷却の手段となるが、経験の示すところによれば、このフィルム冷却はプラットホームを適度に冷却するには不十分である。その結果、酸化及び亀裂がプラットホーム中に生じる場合がある。
考えられる一解決策は、上流側静翼から排出される冷却用空気の空気を増大させることによってフィルム冷却作用を強めることにある。しかしながら、かかる冷却用空気はタービン区分を通って流れる高温ガスに入るが、冷却用空気は燃焼区分内で昇温作用を受けないので、冷却用空気から得られる有益な仕事はほとんどない。かくして、高い効率を達成するためには、冷却用空気の使用を最小限にすることが重要である。
イギリス国特許出願第2,057,573号は、冷却用空気をタービン段のすぐ上流側の領域から受け入れる手段が設けられた冷却剤移送装置及びディスクに隣接し、或いはその端縁に設けられていて、翼上を流れるガスとは無関係にタービン段の下流側で冷却用空気を排出するノズルを備えたガスタービンロータ組立体を開示している。また、各ディスクは、翼根部が嵌め込まれる複数のスロットを備え、翼根部固定手段と翼幹部との間にはプラットホームが設けられている。冷却用空気の一部は、ディスク内の冷却用通路を通って翼の内部へ供給される。
従って、最小限の冷却用空気を用いてガスタービン中の回転翼のプラットホーム部分を冷却する装置を提供することが望ましい。
発明の概要
従って、本発明の目的は、最小限の冷却用空気を用いてガスタービン中の回転翼のプラットホーム部分を冷却するための装置を提供することにある。
本発明のこの目的及び他の目的は、圧縮空気を生じさせるための圧縮機区分と、圧縮空気の第1の部分を加熱して高温圧縮ガスを生じさせるための燃焼区分と、高温圧縮ガスを膨張させるためのタービン区分とを有し、タービン区分内にはロータが配置され、ロータには複数の動翼が取り付けられ、動翼の各々は、翼幹部及び翼根部を有し、翼根部はプラットホーム及び該プラットホームに連結された半径方向に延びるシャンク部分を有し、さらに、圧縮機区分からの圧縮空気の第2の部分をプラットホームを通って流れるよう差し向けることによって翼根部のプラットホームを冷却させるための手段が設けられているガスタービンであって、翼根部のプラットホームを冷却させるための前記手段は、シャンク部分を横方向に越えて延びるプラットホームの部分に形成された第1の軸方向に延びる冷却用空気通路と、第1の軸方向に延びる冷却用空気通路に連結された半径方向に延びる冷却用空気通路とを含むことを特徴とするガスタービンにより達成される。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のガスタービンの一部の部分概略縦断面図である。
図2は、第1の列の翼の付近における図1に示すタービン区分の一部の詳細図である。図3は、図2に示す第1列の翼の流れの方向と逆に見た等角図である。
図4は、翼のプラットホーム部分を通る断面を示す図2に示す第1列の翼の側面図である。
図5は、図4に示す5−5線における断面図である。
図6は、図4に示す6−6線における横断面図である。
好ましい実施例の説明
図面を参照すると、図1には、ガスタービンの一部の縦断面が示されている。ガスタービンの主要構成要素は、圧縮機区分1、燃焼区分2及びタービン区分3である。ロータ4が、これら3つの区分の中央に配置された状態でこれらを貫通していることが分かる。圧縮機区分1は、交互に配置された静翼の列12と動翼又は回転翼13を筒体7,8で包囲したものである。静翼12は筒体8に固定され、回転翼13はロータ4に取り付けられたディスクに固定されている。
燃焼区分2は、筒体8の後部と一緒に室14を形成するほぼ円筒形のシェル9とロータ4の一部を包囲するハウジング22で構成される。複数の燃焼器15及びダクト16が、室14内に収納されている。ダクト16は燃焼器15をタービン区分3に連結している。燃料(これは、液体又はガスの形態、例えば、留出燃料油又は天然ガスであるのが良い)が、燃料ノズル34を通って各燃焼器15に入り、この中で燃やされて高温圧縮ガス30が生じる。
タービン区分3は、外側筒体10で内側筒体11を包囲して構成される。内側筒体11は、静翼列及び回転翼列を包囲する。静翼は内側筒体11に固定され、回転翼はロータ4のタービン区分の一部を形成するディスクに固定されている。
作動の説明をすると、圧縮機区分1は、周囲空気を取り入れてこれを圧縮する。圧縮機区分1からの圧縮空気5は室14に入り、次に燃焼器15の各々に分配される。燃焼器15内では、燃料35は圧縮空気と混合されて燃やされ、それにより高温圧縮ガス30を生じさせる。高温圧縮ガス30はダクト16を通り、次にタービン区分3の静翼列及び回転翼列中を流れ、この過程において、ガスは膨張し、ロータ4を駆動させる動力を発生させる。次に、膨張ガス31をタービン3から排出する。
圧縮機1からの圧縮空気5の一部19は、シェル9に連結されたパイプ39によって室14から抽気される。その結果、圧縮空気19は燃焼器15をバイパスし、ロータ4のための冷却用空気となる。所望ならば、冷却用空気19を外部冷却装置36によって冷却するのが良い。冷却された冷却用空気70は冷却装置36から、次にパイプ41によりタービン区分3に差し向けられる。パイプ41は冷却用空気70をハウジング22に形成された開口部37に差し向け、それにより冷却用空気70がロータ4を包囲している冷却用空気マニホルド24に入ることができるようにする。
図2に示すように、タービン区分3内では、燃焼区分2からの高温圧縮ガス30は、まず最初に、第1段の静翼17の翼幹部上を流れる。圧縮機1からの圧縮空気20′の一部は、第1段静翼の翼幹部を通って流れ、この翼幹部を冷却する。第1段の静翼幹部に設けられている複数の孔(図示せず)が冷却用空気20′を、複数の小さな流れ45として排出し、これら小さな流れは次に高温ガス30内に混入される。次に、冷却用空気45と高温ガス30の混合物は、第1の動翼列18の翼幹部上を流れる。
上述したように、第1段静翼17からの冷却用空気の流れ45のうち半径方向最も内側のものは、列の1つの翼プラットホーム48の或る程度のフィルム冷却を可能にすることが期待できるが、経験の示すところによればこのフィルム冷却手段は不十分である。したがって、本発明は、プラットホーム48の冷却を別途行う装置に関する。
図2に示すように、ロータ冷却用空気70はハウジング22に設けられた円周方向スロット38を経てキャビティ24から出て、ハウジング22と代表的は「エアセパレータ」と称されるロータの一部26との間に形成される環状通路65に入る。環状通路65から、冷却用空気70のうち大部分40は、孔63を経てエアセパレータ26に入り、最終的には、ロータディスク20、次に種々の動翼列に至る冷却用空気となる。
冷却用空気70のうち小さな部分32は、通路65を通り多数のラビリンスシール64上へ下流に流れる。冷却用空気32は次に、通路65から半径方向外方に流れる。ハニカムシール66が、ハウジング22と列の1つの動翼18の前方に延びるリップとの間に形成されている。シール66は、冷却用空気32が高温ガス流路中に直接流出するのを防止する。その代わり、本発明によれば、冷却用空気32は、各列の1つの翼18のプラットホーム48に形成された2つの通路(これについては以下に詳細に説明する)を通って流れ、それにより、プラットホームを冷却すると共に、過度に高い温度に起因する劣化、例えば酸化及び亀裂を防止する。使用された冷却用空気33は、プラットホーム冷却用空気通路から出た後、タービン区分3を通って膨張する高温ガス30に入る。
図3及び図4に示すように、各列の1つのタービン翼18は、翼幹部42及び翼根部44で構成されている。翼幹部42は、前縁56及び後縁57を有する。凹状の正圧面54及び凸状の負圧面55が、翼根部42の両側で前縁56と後縁57の間に延びている。翼根部44は、ロータディスク20に形成された溝と嵌合するその下部に沿って延びる複数のセレーション59を有し、それにより翼をディスクに固定している。
プラットホーム部分46が、翼根部44の上部に形成されている。翼幹部42は、プラットホーム46に連結されると共にこれから半径方向外方に延びている。半径方向外方に延びるシャンク部分58が、翼根部44の下部のセレーション付きの部分とプラットホーム46とを連結している。
図3〜図5に示すように、プラットホーム46は、半径方向外方に延びる上流側の面60及び下流側の面61を有する。その上、図4及び図6に最もよく示されているように、プラットホーム46の第1の部分67は、横方向に延びて翼幹部42の負圧面55の反対側でシャンク58から張り出している。プラットホーム46の第2の部分68は、横方向に延びて翼幹部42の正圧面54の反対側でシャンク58から張り出している。図4〜図6に示すように、第1の冷却用空気通路48及び第2の冷却用空気通路49が、プラットホーム46の張出し部分67,68に、高温ガス30にさらされるその上面の真下に形成されている。
各冷却用空気通路48,49は、軸方向に延びる部分に連結された半径方向に延びる部分を有する。冷却用空気通路48,49の各々の軸方向に延びる部分は、プラットホーム46の軸方向長さのうち少なくとも50%を占め、好ましくは、プラットホームのほぼ軸方向全長に及ぶ。好ましくは、冷却用空気通路の軸方向部分は、プラットホーム46の上面の下に1.3cm(0.5インチ)以下のところに位置し、最適には約0.7cm(0.27インチ)以下のところに位置している。通路48,49が上述のような形状になっている結果、冷却用空気32は、当初半径方向外方に流れる状態から軸方向下流側に流れる状態へ90°曲がる。その際、冷却用空気はプラットホーム46のほぼ全長に沿って軸方向に流れる。
図6に最もよく示すように、冷却用空気通路48,49は各々、プラットホーム46の下流側に向いた面に形成された入口50,51を有する。入口50,51は、通路65からの冷却用空気32の半径方向上向き流を受け入れる。さらに、冷却用空気48,49は各々、プラットホーム46の下流側の面61に形成された出口52,53を有する。出口52,53は、使用済みの冷却用空気33がプラットホームから出て高温ガス流に入るようにすることができる。
理解できるように、冷却用空気通路48,49は、例えば、列の1つの静翼17から排出された冷却用空気45の最も内側の流れの流量を増大させてフィルム冷却作用を強めることによって冷却作用を増強させる場合の多量の冷却用空気を用いないで、翼根部のプラットホーム46の強力な冷却を可能にする。
本発明を第1列の動翼に関して説明したが、本発明は他の動翼列にも適用できる。従って、本発明の精神又は本質的にその均等範囲から逸脱することなく他の特定の形態で実施できるので、本発明の技術的範囲を定めるに当っては、上述の明細書ではなく特許請求の範囲の記載に基づくべきである。

Claims (8)

  1. 圧縮空気(20)を生じさせるための圧縮機区分(1)と、圧縮空気の第1の部分を加熱して高温圧縮ガス(30)を生じさせるための燃焼区分(2)と、高温圧縮ガスを膨張させるためのタービン区分(3)とを有し、タービン区分内にはロータ(4)が配置され、ロータには複数の動翼(18)が取り付けられ、動翼の各々は、翼幹部(42)及び翼根部(44)を有し、翼根部はプラットホーム(46)及び該プラットホーム(46)に連結された半径方向に延びるシャンク部分(58)を有し、さらに、圧縮機区分からの圧縮空気の第2の部分をプラットホームを通って流れるよう差し向けることによって翼根部のプラットホームを冷却させるための手段が設けられているガスタービンにおいて、翼根部のプラットホームを冷却させるための前記手段は、シャンク部分(58)を横方向に越えて延びるプラットホームの部分(67)に形成された第1の軸方向に延びる冷却用空気通路(48)と、第1の軸方向に延びる冷却用空気通路(48)に連結された半径方向に延びる冷却用空気通路とを含むことを特徴とするガスタービン。
  2. 翼幹部は各々、負圧面(55)と正圧面(54)を有し、第1の軸方向に延びる冷却用空気通路(48)は、負圧面の反対側に位置していることを特徴とする請求項1記載のガスタービン。
  3. 翼幹部は各々、負圧面(55)と正圧面(54)を有し、第1の軸方向に延びる冷却用空気通路(49)は、正圧面の反対側に位置していることを特徴とする請求項1記載のガスタービン。
  4. 翼プラットホーム冷却手段は、翼根部プラットホーム(46)に形成されていて、負圧面(55)反対側に位置する第2の軸方向に延びる冷却用空気通路(49)を含むことを特徴とする請求項3記載のガスタービン。
  5. 翼根部のプラットホーム(46)は、上流側の面(60)と下流側の面(61)を有し、第1の軸方向に延びる冷却用空気通路(48)は、下流側の面に形成された出口(52)を有することを特徴とする請求項1記載のガスタービン。
  6. 半径方向に延びる冷却用空気通路は、圧縮空気の第2の部分(32)を受け入れるための入口(50)を有することを特徴とする請求項1記載のガスタービン。
  7. 翼根部のプラットホーム(46)を冷却するための前記手段は、圧縮空気の第2の部分(32)を第1の軸方向に延びる通路(48)に差し向けるための手段(65)をさらに有することを特徴とする請求項1記載のガスタービン。
  8. ロータ(4)の少なくとも一部を包囲するハウジング(22)をさらに有し、圧縮空気の第2の部分(32)を第1の軸方向に延びる通路(48)に差し向けるための手段は、ハウジングとロータとの間の形成された環状通路(65)を含むことを特徴とする請求項記載のガスタービン。
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