JP3811436B2 - 最寄り拠点推定装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、データネットワークに関し、より詳細にはサービス提供のために分散配置されたサーバが属する拠点(候補拠点)の中から、ユーザと各候補拠点間の距離などの尺度(メトリック)に基づいてユーザにとって最適な候補拠点を選択し、ユーザにとっての最寄り拠点として回答する拠点選択装置、拠点選択方法、拠点選択プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(背景)
インターネットの普及によって人気コンテンツへのアクセス集中が発生している。アクセスが集中するとサーバの負荷が増大し、サービス品質の低下が起こる。この問題を回避するために、同一サービスを提供する複数のキャッシュサーバやミラーサーバ(以下、単にサーバと呼ぶ)を分散配置してコンテンツを利用者に提供する方式が一般的に用いられている。サーバを分散配置してサービスを提供する場合には、各利用者がどのサーバにアクセスするのが利便性向上に最も効果的かを判断する必要がある。
【0003】
各利用者にとって最適なサーバを選択する方法(あるいは装置、システム)として、特開2002−9828号公報において、最寄り拠点選択方法(以下、従来方式と呼ぶ)が出願されている。以下で従来方式を説明する。
【0004】
(従来方式とは、距離情報の定義)
従来方式は、コンピュータネットワークにおいて利用者拠点とサーバ設置拠点(以下、候補拠点と呼ぶ)との間の距離情報に基づき利用者にとって最適な候補拠点を選択する。ここで拠点とは、IPネットワークにおけるドメインやサブネットなどである。また、距離情報とは、利用者拠点から候補拠点まで到達する際に経由する中継装置の数、すなわち利用者拠点から候補拠点までの経路の経路長である。従来方式における最適サーバとは、利用者にとってはネットワークトポロジ的に最寄りのサーバを意味する。
【0005】
図1にサンプルネットワークを示す。Rx(xは0以上9以下の正整数)は中継装置識別子である。図1の例では、利用者拠点から候補拠点Aまでの経路は“R0、R2、R3、R4、R5”となり、経路長は6である。同様に、利用者拠点から候補拠点Bまでの経路は“R0、R1、R6、R7”で経路長は4となり、候補拠点Cまでの経路は“R0、R1、R2、R8、R9”で経路長は5である。したがって、利用者にとって最寄りサーバはサーバBであることがわかる。
【0006】
このような経路情報(2拠点間の経路を構成する中継装置識別子を順番に並べたもの)は、IPネットワークにおいて中継装置の識別子を中継装置のIPアドレスとした場合に、UNIX(登録商標)系OSやWindows(登録商標)系OSに標準搭載されているtracerouteプログラムなどにより取得することができる。
【0007】
(tracerouteプログラムの動作原理)
tracerouteプログラムの動作原理について説明する。tracerouteプログラムは、tracerouteプログラム実行端末から対向端末へ到達する経路の中継装置のIPアドレスをtracerouteプログラム実行端末に近い順に取得する。
【0008】
IPネットワーク中を流れるIPパケットのヘッダ部にはパケットの生存時間を示す情報:TTL(Time-To-Live)値が記述されている。IPネットワーク中の中継装置は、転送すべきパケットを受信すると当該パケットのTTL値を1だけ減算した後に転送先を判別して転送する。TTL値減算の結果TTL値が0に等しくなった場合に、当該中継装置はパケット送信元端末に対してパケットの生存時間が終了した旨のメッセージを含むICMPパケットを送信する。また、IPネットワークに接続されている端末は、サーバが利用者からの接続要求を待ち受けていないポートに対するパケットを受信すると、送信元に対して宛先ではサービスが提供されていない旨のエラーメッセージを含むICMPパケットを送出する。
【0009】
tracerouteプログラムは、IPパケットのTTL値を1から順番にインクリメンタルに設定して対向端末に向けて送出し、対向端末から応答が得られるまで処理を継続する。上記のIPネットワーク中の中継装置および端末の性質により、この処理を実行した際にTTL=mのときに対向端末からの応答が得られた場合にはtracerouteプログラム実行端末から対向端末までの経路長がmであることがわかる。
【0010】
(従来方式が必要な理由)
利用者がサービスを受けるとき、分散配置されているミラーサーバの識別子(例えばホスト名やIPアドレス)のリストを受け取り、各サーバに対して順番にtracerouteプログラムを実行することで利用者拠点と各候補拠点との間の経路長を取得できる。
【0011】
しかし、この方法は、分散配置されているミラーサーバまでの経路長を測定するという負担を、利用者に強いることになる。さらに、利用者が全てのサーバに対してtracerouteプログラムを実行して経路長を測定することはネットワークリソースを大量に消費し、結果的にサービス品質の低下を招く恐れがある。また、複数の分散配置されたサーバで実現されているサービスの場合でも利用者にアナウンスされるサーバのURLは1つだけである場合が大多数である。したがって、サーバ側で各利用者にとって最適なサーバを選択し、利用者からのリクエストを最適サーバにナビゲートする仕組みが求められる。
【0012】
(従来方式の概念図、装置構成図)
そこで従来方式では、ネットワーク上のある箇所に観測拠点を設け、その観測拠点から利用者拠点まで、および観測拠点から各候補拠点までの距離情報に基づいて利用者拠点に最寄りの候補拠点を推定する最適サーバ選択装置を用いている。従来方式に基づくサーバ選択装置の構成を図2に示す。
【0013】
従来方式に基づくサーバ選択装置は、観測拠点から利用者拠点までの経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、観測拠点から各候補拠点までの経路情報を記憶する経路情報記憶手段(経路情報テーブル)と、観測拠点から利用者拠点までの経路および観測拠点から各候補拠点までの共通経路の経路長に基づいて一意に特定される評価値を各候補拠点それぞれについて保持する評価値記憶手段(評価値テーブル)と、各候補拠点毎に評価値を算出して更新する評価値更新手段と、評価値テーブルの内容を参照して予め定義された終了条件を満たすか否かを判断し、終了条件が満たされていない場合は利用者拠点への中継装置の識別情報を引き続き取得するように指示する継続判断手段と、継続判断手段が終了条件を満たしていると判断した場合に評価値に基づいて利用者拠点、各候補拠点間距離情報の長短関係を判断し、この距離情報が短い候補拠点から優先的に選択されたことを示す拠点選択情報を出力する出力手段とを備える。
【0014】
(従来方式の基本的アルゴリズム)
最適拠点選択装置は、各候補拠点毎に定義する評価値に基づいて最適サーバを選択する。候補拠点リストY={A,B,C}、候補拠点y、利用者拠点識別情報U、拠点xへの経路情報R(x)、拠点xへの経路長L(x)、拠点xへの経路B(x)において、最寄り拠点選択装置と中継装置の距離情報がmのときの当該中継装置の識別情報r(x,m)で表される状況において、候補拠点yの評価値情報D(U,y)を更新する場合には、経路R(y)に含まれる最寄り拠点選択装置からの距離情報mである中継装置r(y,m)を取得し、r(U,m)とr(y,m)が一致せず、かつD(U,y)が初期値である場合にはD(U,y)を更新する。
【0015】
評価値の具体例としては、拠点選択装置から候補拠点yまでの経路R(y)の長さL(y)から、当該経路R(y)と利用者拠点までの経路R(U)との共通経路部分の長さnの2倍値を引いた値がある。この場合には、評価値D(U,y)が小さい候補拠点の方が利用者拠点に近いことになる。
D(U,y)=L(y)−2*n=L(y)−2*(m−1)…式(1)
【0016】
以上の処理(中継装置の識別情報取得、評価値更新)は終了条件を満たすまで継続される。終了条件の具体例として以下のものがあげられる。
▲1▼全候補拠点の評価値が定まった(初期値以外の値になった)場合
▲2▼全候補拠点の評価値の大小関係が特定された場合
▲3▼予め定められた値以下の評価値(を持つ候補拠点)が一定数だけ求められた場合
【0017】
(基本的アルゴリズムの具体例)
以下では図3を例に、従来方式の最寄り拠点推定方法を説明する。ただし、評価値の具体例としては上記の「拠点選択装置から拠点候補yまでの経路R(y)の長さL(y)から、当該経路R(y)と利用者拠点までの経路R(U)との共通経路部分の長さnの2倍値を引いた値」を用いることとする。また、終了条件は上記例の▲1▼とする。
【0018】
最適拠点選択装置は、観測拠点からサーバが設置されている各候補拠点A、B、Cまでの経路情報を経路情報記憶手段(経路情報テーブル)に予め保持している。図3では、候補拠点Aまでの経路情報R(A)はR8−R2−R3−R4−R5、候補拠点Bまでの経路情報R(B)はR8−R2−R1−R6−R7、候補拠点Cまでの経路情報R(C)はR8−R9である。経路情報を取得するためには前述のtracerouteコマンドなどが有用である。
【0019】
最寄り拠点選択装置の中継装置情報取得手段は、TTL値を1にして利用者拠点U内の利用者端末に向けてパケットを送出する。同パケットを受信した中継装置R8はTTL値を1だけ減算し、減算後の値が0になるかを確認する。この場合には、減算後のTTL値が0に等しくなるので、中継装置R8はパケットの送信元端末である最寄り拠点推定装置にパケット生存期間が終了したことを示すメッセージを含むICMPパケットを送信する。
【0020】
このICMPパケットを受信した中継装置情報取得手段は当該ICMPパケットから中継装置R8の識別子を抽出する。以上より、最寄り拠点推定装置から利用者拠点までの経路において距離情報1の中継装置がR8であること、すなわちr(U,1)=R8であることがわかる。中継装置情報取得手段はr(U,1)を評価値更新手段に入力する。
【0021】
r(U,1)を受け取った評価値更新手段は、経路情報記憶手段(経路情報テーブル)を参照して、候補拠点A,B,Cまでの経路情報R(A)、R(B)、R(C)に含まれる最寄り拠点選択装置からの距離情報が1である中継装置識別子r(A,1)、r(B,1)、r(C,1)を取得し、それぞれがr(U,1)と一致するか否かを調べる。この場合には、r(A,1)=r(B,1)=r(C,1)=r(U,1)=R8なので、いずれの候補拠点についても評価値の更新は行わない。
【0022】
評価値更新手段は、評価値更新処理が終了したことを継続判断手段に通知する。継続判断手段は評価値記憶手段(評価値テーブル)を参照し、終了条件が満たされているかを確認する。ここでの例の場合には、この時点では終了条件を満たさないので、継続判断手段は中継装置情報取得手段に継続指示を出す。
【0023】
継続手段を受け取った中継装置情報取得手段は、TTL値を2にして利用者端末に向けてパケットを送出する。すると今度は中継装置R2の識別子が得られる。すなわち(U,2)=R2である。中継装置情報取得手段はr(U,2)を評価更新手段に入力する。
【0024】
r(U,2)を受け取った評価値更新手段は、経路情報記憶手段(経路情報テーブル)を参照して、候補拠点A,B,Cまでの経路情報R(A)、R(B)、R(C)に含まれる最寄り拠点選択装置からの距離情報が2である中継装置識別子r(A,2)、r(B,2)、r(C,2)を取得し、それぞれがr(U,2)と一致するか否かを調べる。この場合には、r(A,2)=r(B,2)=r(U,2)=R2であるがr(C,2)=R9であるので、評価値更新手段は候補拠点Cの評価値D(U,C)を式(1)に従って更新する。
D(U,C)=L(C)−2*(TTL−1)=2−2*(2−1)=0…式(2)
【0025】
この更新処理により、候補拠点Cの評価値D(U,C)が初期値以外の値になったので、以後候補拠点Cは評価値更新処理の対象外となる。
【0026】
評価値更新手段は、評価値更新処理が終了したことを継続判断手段に通知する。継続判断手段は評価値記憶手段(評価値テーブル)を参照し、終了条件が満たされているかを確認する。ここでの例の場合には、この時点では終了条件を満たさないので、継続判断手段は中継装置情報取得手段に継続指示を出す。
【0027】
継続手段を受け取った中継装置情報取得手段は、TTL値を3にして利用者端末に向けてパケットを送出する。すると今度は中継装置R1の識別子が得られる。すなわち、r(U,3)=R1である。中継装置情報取得手段はr(U,3)を評価値更新手段に入力する。
【0028】
r(U,3)を受け取った評価値更新手段は、経路情報記憶手段(経路情報テーブル)を参照して、候補拠点A,Bまでの経路情報R(A),R(B)に含まれる最寄り拠点選択装置からの距離情報が3である中継装置識別子r(A,3)、r(B,3)を取得し、それぞれがr(U,3)と一致するか否かを調べる。この場合には、r(B,3)=r(U,3)=R1であるがr(A,3)=R3なので、評価値更新手段は候補拠点Aの評価値D(U,A)を式(1)に従って更新する。
D(U,A)=L(A)−2*(TTL−1)=5−2*(3−1)=1…式(3)
【0029】
この更新処理により、候補拠点Aの評価値D(U,A)が初期値以外の値になったので、以後候補拠点Aは評価値更新処理の対象外となる。
【0030】
評価値更新手段は、評価値更新処理が終了したことを継続判断手段に通知する。継続判断手段は評価値記憶手段(評価値テーブル)を参照し、終了条件が満たされているかを確認する。ここでの例の場合には、この時点では終了条件を満たさないので、継続判断手段は中継装置情報取得手段に継続手段を出す。
【0031】
継続手段を受け取った中継装置情報取得手段は、TTL値を4にして利用者端末に向けてパケットを送出する。すると今度は中継装置R0の識別子が得られる。すなわちr(U,4)=R0である。中継装置情報取得手段はr(U,4)を評価値更新手段に入力する。
【0032】
r(U,4)を受け取った評価値更新手段は、経路情報記憶手段(経路情報テーブル)を参照して、候補拠点Bまでの経路情報R(B)に含まれる最寄り拠点選択装置からの距離情報が3である中継装置識別子r(B,4)を取得し、それぞれがr(U,4)と一致するか否かを調べる。この場合には、r(B,4)=R6なので、評価値更新手段は候補拠点Bの評価値D(U,B)を式(1)に従って更新する。
D(U,B)=L(B)−2*(TTL−1)=5−2*(4−1)=−1…式(4)
【0033】
評価値更新手段は、評価値更新処理が終了したことを継続判断手段に通知する。継続判断手段は評価値記憶手段(評価値テーブル)を参照し、終了条件が満たされているかを確認する。ここでの例の場合には、この時点で全候補拠点の評価値が初期値以外の値となって定まり、終了条件を満たすので、継続判断手段は出力手段に結果を出力するように指示を出す。
【0034】
出力手段は、評価値記憶手段(評価値テーブル)を参照して評価値の小さな順、すなわち利用者拠点に近い順に候補拠点識別子を並び替えたリストZを出力する。この例の場合には、拠点B,C,Aの順に利用者拠点に近いことがわかる。
【0035】
(従来方式の最小・最大評価値を用いたアルゴリズム)
また、従来方式では、観測拠点から利用者拠点までの経路および観測拠点から各候補拠点までの共通経路の経路長を一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値として定義し、この最小評価値と最大評価値を用いた最寄りの推定について述べている。以下で説明する。#最大=最悪、最小=最良
【0036】
前述の最寄り拠点推定処理において、観測拠点から利用者拠点までの経路R(U)における観測拠点からの経路長がmである中継装置r(U,m)と、観測拠点から候補拠点yまでの経路R(y)における経路長がmである中継装置r(y,m)とが同一の場合には、経路R(U)と経路R(y)の共通経路の経路長nはm以上であると特定できる。また、r(U,m)とr(y,m)が異なる場合には、経路R(U)と経路R(y)の共通経路の経路長nは、r(U,m)とr(y,m)間の距離情報の最小値をdとすると(n−d)以下であると特定できる。
【0037】
最小・最大評価値を用いた従来手法では、それらの値を利用して評価値の取り得る値の最小値、最大値をそれぞれ最小評価値DL(U,y)、最大評価値DH(U,y)として定義して評価値記憶手段(評価値テーブル)に記憶させ、これらの評価値を以下の式(5)、(6)を用いて更新する。ただし、r(U,m)とr(y,m)が一致した場合は式(5)を用いて最大評価値を更新し、一致しない場合は式(6)を用いて最小評価値を更新する。
【0038】
DH(U,y)=Min{L(y)−2×m,DH(U,y)}…式(5)
DL(U,y)=Max{L(y)−2×(m−1),DL(y)}…式(6)
ある候補拠点yについて、最大評価値DH(U,y)が最小評価値DL(U,y)よりも小さくなることは無い。DL(U,y)≦DH(U,y)である。
【0039】
式(5)、(6)を用いて評価値を更新すると評価値の取り得る値の範囲を狭めていくことができ、それにより中継装置識別子の取得を最寄り拠点選択装置の近傍から(TTL値が1の場合からインクリメンタルに)行う必要が無くなる。
【0040】
本方式を用いた場合の終了条件の具体例としては以下のものが挙げられる。
▲1▼全候補拠点の評価値が定まった(各候補拠点について最大評価値と最小評価値が一致した)場合
▲2▼全候補拠点の評価値の大小関係が特定された場合
▲3▼予め定められた値以下の評価値(の候補拠点)が一定数だけ求められた場合
【0041】
(最小・最大評価値を用いたアルゴリズムの具体例)
以下では図3を例に、最小・最大評価値を用いた従来方式に基づく最寄り拠点推定方法を説明する。最小評価値、最大評価値は前述の式(5)、(6)に基づいて更新されるものとする。利用者にとっての最寄り候補拠点を判断する際には、最大評価値を用いる。複数の候補拠点の最大評価値が同一の場合には、最良評価値が小さい拠点ほど優先順位を高くする。
【0042】
拠点選択装置からある候補拠点yまでの経路長L(y)=Nの場合には、最大評価値の初期値はN、最良評価値の初期値は(−N)とする。
【0043】
以下の説明では、“(最小評価値,最大評価値)”という書式で表す。拠点選択装置から前記拠点A,B,Cまでの経路長はそれぞれ5,5,2であるので、拠点A,B,Cの初期評価値は以下のようになる。
拠点A:(−5,5)、拠点B:(−5,5)、拠点C:(−2,2)
【0044】
最寄り拠点選択装置の中継装置情報取得手段は、TTL=1で利用者拠点までのルータアドレスを調べてr(U,1)=R8を取得し、評価値更新手段にr(U.1)を入力する。
【0045】
評価値更新手段は、このr(U,1)と、拠点選択装置から拠点A,B,Cまでの経路情報R(A)、R(B)、R(C)に含まれるTTL=1のときのルータアドレスr(A,1)、r(B,1)、r(C,1)を比較する。TTL=1の場合には、r(A,1)=r(B,1)=r(C,1)=r(U,1)=R8であり、利用者拠点までの経路R(U)と一致する。したがって、前述の式(5)に従って以下のように各拠点の最大評価値を更新する。
DH(U,A)=Min{5−2*1,5}=3…式(7)
DH(U.B)=Min{5−2*1,5}=3…式(8)
DH(U,C)=Min{2−2*1,2}=0…式(9)
【0046】
以上より、各拠点の評価値は次のように更新される。
拠点A:(−5,3)、拠点B:(−5,3)、拠点C:(−2,0)
評価値更新手段は、評価値更新処理を終えたことを継続判断手段に通知する。
【0047】
継続判断手段は、評価値記憶手段(評価値テーブル)を参照して終了条件が満たされているかを判定する。この時点では終了条件は満たされていないので、継続判断手段は中継装置情報取得手段に対して継続指示を出す。
【0048】
継続手段を受けた中継装置情報取得手段はTTL=2で利用者拠点までのルータアドレスを調べてr(U,2)=R2を取得し、評価値更新手段にr(U,2)を入力する。
【0049】
評価値更新手段は、このr(U,2)と、拠点選択装置から拠点A,B,Cまでの経路情報R(A)、R(B)、R(C)に含まれるTTL=2のときのルータアドレスr(A,2)、r(B,2)、r(C,2)を比較する。TTL=2の場合には、r(A,2)=r(B,2)=r(U,2)=R2であり、利用者拠点までの経路R(U)と一致する。したがって、前述の式(5)に従って最大評価値を更新する。一方、拠点Cについはr(C,2)=R9であり、r(U,2)は異なるので、前述の式(6)に従って最小評価値を更新する。実際の評価値更新の計算は以下のようになる。
DH(U,A)=Min{5−2*2,3}=1…式(10)
DH(U,B)=Min{5−2*2,3}=1…式(11)
DL(U,C)=Max{2−2*(2−1),−2}=0…式(12)
【0050】
以上より、各拠点の評価値は次のように更新される。
拠点A:(−5,1)、拠点B:(−5,1)、拠点C:(0,0)
【0051】
以降は終了条件が満たされるまで、中継装置情報取得手段はTTL値を1つずつ大きくしながら利用者拠点までの経路を構成する中継装置識別子を取得し、その中継装置識別子を用いて、評価値更新手段が各候補拠点の評価値更新を継続する。TTL=3の場合の更新後評価値は次のようになる。
DL(U,A)=Max{5−2*(3−1),−5}=1…式(13)
DH(U,B)=Min{5−2*3,1}=−1…式(14)
DL(U,C)=Max{2−2*(3−1),0}=0…式(15)
拠点A:(1,1)、拠点B:(−5,−1)、拠点C:(0,0)
【0052】
また、TTL=4の場合の更新後評価値は次のようになる。
DL(U,A)=Max{5−2*(4−1),−5}=1…式(16)
DL(U,B)=Max{5−2*(4−1),1}=−1…式(17)
DL(U,C)=Max{2−2*(4−1),0}=0…式(18)
拠点A:(1,1)、拠点B:(−1,−1)、拠点C:(0,0)
この時点で終了条件を満たすので、継続判断手段は出力手段に結果を出力するように指示を出す。
【0053】
出力手段は、評価値記憶手段(評価値テーブル)を参照して評価値の小さな順、すなわち利用者拠点に近い順に候補拠点識別子を並び替えたリストZを出力する。この例の場合には、拠点B,C,Aの順に利用者拠点に近いことがわかる。
【0054】
以上の説明ではTTL値を1からインクリメンタルに用いる場合について説明したが、最小・最大評価値を用いた最寄り拠点推定の場合には他の方法に基づいてTTL値を設定することも可能である。例えば、経路情報記憶手段(経路情報テーブル)に登録されている経路の平均経路長をTTL値の初期値とし、n回目以降(n>2)の中継装置の識別情報の取得時には(n−1)回目に取得した中継装置識別子r(U,n−1)を含む経路R(y1),R(y2),…の平均経路長をTTL値として用いるなどの方法が考えられる。
【0055】
【発明が解決しようとする課題】
(従来手法の問題点)
しかし、従来手法では以下の問題がある。
(1)最小・最大評価値を用いた最寄り拠点推定では、常に全ての候補拠点を評価値算出の対象としているため、最寄り拠点推定処理の課程において明らかに候補対象外となる拠点についても終了条件を満たすまで評価値算出処理を継続してしまい、結果として不必要な処理量が増加する。例えば、前述の式(18)の評価値更新処理は、その前の回の評価値更新処理(式(15))において既に最小評価値と最大評価値が等しくなっているため、それ以上の評価値更新は起こり得ず、結果として不必要な処理を行うことになる。
【0056】
(2)最小・最大評価値を用いた最寄り拠点推定において、TTL値の選択方法によっては(一度も使用していないTTL値が選択されても)いずれの候補拠点の評価値も更新されない場合がある。例えば、いくつかの候補拠点A,B,C…があり、TTL値の初期値をkとして中継装置識別子r(U,k)を取得し、各候補拠点の評価値更新処理を行ったところ、各候補拠点までの経路R(A)、R(B)、R(C)、…のうち最寄り拠点推定装置からの距離情報がkであるときの中継装置識別子r(A,k)、r(B,k)、r(C,k)、…が全てr(U,k)と一致したとする。この場合に、前述の式(5)を用いて各候補拠点の最大評価値DL(A)、DL(B)、DL(C)、…を更新する。その後、中継装置情報取得のためのTTL値としてkよりも小さな値hが選択されたとする。このTTL値hを使用して中継装置識別子r(U,h)を取得したとしても、h<kであることからr(A,h)、r(B,h)、r(C,h)、…とr(U,h)が等しいことは明らかであり、式(5)の定義よりこの場合はどの候補拠点についても最大評価値は更新されないことがわかる。従って、あるTTL値kを用いて取得した中継装置識別子r(U,k)に基づいて各候補拠点の評価値を算出した際に、全候補拠点の最大評価値が更新された場合には、以降の処理ではkよりも大きなTTL値を選択しないと、いずれの候補拠点についても最大評価値が更新されることのない状態で評価値更新処理を行うことになり、結果として不必要な処理を行ってしまう。これと同様のことは最小評価値についても当てはまる。
【0057】
(3)従来方式では、利用者にとって最寄り拠点を推定するための距離情報として利用者拠点と各候補拠点との間の経路の経路長を用いていた。より少ない数の中継装置を経由してサーバに到達できることは重要であるが、利用者の利便性を考えると経由する中継装置数の他にも、要求するサービスやコンテンツに高速にアクセスできることも非常に重要である。例えば、同一のサービスを提供するサーバが設置されている候補拠点A,Bがあるとし、利用者拠点から各候補拠点までの経路長L(A)、L(B)はL(A)>L(B)>0であるとする。従来方式では、利用者拠点から候補拠点に到達するまでに経由する中継装置数が候補拠点Bまでの方が少ないため、最寄り拠点推定装置は利用者にとっての最寄り拠点として拠点Bを選択する。しかし、利用者拠点から候補拠点A、Bまでの回線帯域W(A)、W(B)がW(A)>W(B)>0であったり、候補拠点Aまでの経路を構成する中継装置の処理能力が候補拠点Bまでの経路を構成する中継装置の処理能力よりも高い場合など、他の要素および利用者の利便性を考慮すると候補拠点Aの方が利用者にとっても最寄り拠点としてふさわしい場合が考えられる。よって、最寄り拠点推定の際には、2拠点間の経路を構成する中継装置数のみでなく、他の条件も考慮して判断することが望ましい。
【0058】
本発明は、このような背景に行われたものであって、第一の目的は、評価値更新に要する処理量を必要最小限に抑えることにある。また、第二の目的は、従来方式に比べて最寄り拠点推定の処理量を低減することにある。これにより、従来方式と比較して高速な最寄り拠点推定処理を可能にすることにある。
【0059】
さらに、第三の目的は、利用者がサービス利用時に利便性の向上を感じやすい観点(本発明の場合は体感速度)から最寄りの拠点推定を行うことにある。
【0060】
【課題を解決するための手段】
本発明は、候補拠点識別情報テーブルを用意することで評価値更新手段が評価値更新処理を行う際に各候補拠点毎に当該処理を行うか否かを判定できるようになり、これにより評価値更新に要する処理量を必要最小限に抑えることができ、従来方式と比較して高速な最寄り拠点推定処理が可能になることを特徴とする。
【0061】
また、本発明は、中継装置情報取得手段が使用する各経路長の使用状況を示す情報を保持する経路長使用状況テーブルを用意し、評価値更新手段が評価値更新処理の状況に応じて経路長使用状況テーブルを更新することで、以降の処理において中継装置情報取得手段が次に使用する経路長を決定する場合に経路長使用状況テーブルを参照して経路長を決定するために、同一の経路長が複数回選択することに起因する無駄な評価値更新処理を行うことが無く、これによって本発明では、従来方式に比べて最寄り拠点推定の処理量を低減することができ、高速な最寄り拠点推定が可能になることを特徴とする。
【0062】
さらに、本発明は、拠点どうしの近接度合いを判断するための距離情報として拠点間の経路の経路長以外のパラメータを用いることで、利用者がサービス利用時に利便性の向上を感じやすい観点(本発明の場合は体感速度)から最寄りの拠点推定を行うことが可能となることを特徴とする。
【0063】
以下では、さらに詳細に説明する。
(手段1)
上記の従来技術の問題点(1)を解決するため、図4に示す最寄り拠点推定装置を発明した。
【0064】
図4の最寄り拠点推定装置は、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報のリストを記憶し、さらに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を記憶する経路情報テーブルと、候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を記憶する候補拠点識別情報テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点の共通経路と定義し、評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として保持する評価値テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、終了条件が満たされていると前記継続判断手段が判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力する出力手段とを備える。
【0065】
図4の最寄り拠点推定装置は、図1に示した最寄り拠点推定装置に候補拠点識別情報記憶手段(候補拠点識別情報テーブル)を追加した構成になっている。すなわち、候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を記憶する候補拠点識別情報テーブルを備え、この候補拠点識別情報テーブルは各候補拠点について当該候補拠点が評価値更新処理の対象であることを示す情報を候補拠点識別情報の初期値とする手段を含み、前記評価値更新手段は、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に評価値更新処理を行う手段を含み、前記継続判断手段は、各候補拠点の利用者拠点との前記共通経路の経路長が一意に特定されている場合には当該候補拠点の最小評価値と最大評価値とを当該候補拠点の評価値と等しい値と定義し、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に終了条件判定処理を行い、選択する拠点数をNとしてN番目に小さな最大評価値よりも大きい最小評価値を持つ候補拠点が存在する場合には候補拠点識別情報テーブル中の当該拠点に関する候補拠点識別情報を評価値更新処理対象外を示す情報に変更する手段を含むところが図1の最寄り拠点推定装置とは異なる。
【0066】
前記候補拠点識別情報記憶手段(候補拠点識別情報テーブル)は、候補拠点yが評価値更新処理対象拠点であるか否かを示す候補拠点識別情報G(y)を保持し、最寄り拠点推定処理開始時には全候補拠点の候補拠点識別情報を候補拠点であることを示す値に初期化する。
【0067】
前記評価値更新手段は、観測拠点・利用者拠点間の経路を構成する中継装置のうち観測拠点からの経路長がkである中継装置の識別子(U,k)を前記中継装置情報取得手段から受け取ると、前記候補拠点識別情報記憶手段(候補拠点識別情報テーブル)を参照して、評価値更新処理対象である候補拠点A1、A2、A3、…を特定し、それらの候補拠点A1、A2、A3、…に対してr(A1,k)、r(A2,k)、r(A3,k)、…とr(U,k)が一致するか否かを判定し、その結果に基づいて各候補拠点の評価値情報を更新する。
【0068】
前記継続判定手段は、前記評価値記憶手段(評価値テーブル)を参照して、各候補拠点の評価値に基づいて各候補拠点が評価値更新処理対象であるか否かを判断し、評価値更新処理対象外となった候補拠点については前記候補拠点識別情報記憶手段(候補拠点識別情報テーブル)の当該拠点の候補拠点識別情報を更新する。
【0069】
(手段2)
上記の従来技術の問題(2)を解決するため、図5に示す最寄り拠点推定装置を発明した。
【0070】
図5の最寄り拠点推定装置は、観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択する手段を備え、この選択する手段は、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶する手段と、この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を記憶する経路情報テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として保持する評価値テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路上に存在する中継装置であって観測拠点から指定した経路長だけ離れている中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、終了条件が満たされていると前記継続判断手段が判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力する出力手段とを備える。
【0071】
図5の最寄り拠点推定装置は、図1に示した最寄り拠点推定装置にTTL値使用状況記憶手段(TTL値使用状況テーブル)を追加した構成になっており、前記中継装置情報取得手段が観測拠点から利用者拠点への経路上で観測拠点から経路長がkだけ離れた点またはその点の近傍に位置する中継装置識別情報の取得に用いる経路長kの使用状況(使用済または未使用)を示す経路長使用状況情報を保持する前記経路長使用状況テーブルを備え、この経路長使用状況テーブルは経路長kが取り得る全ての値について経路長kの経路長使用状況情報を未使用を意味する値に初期化する手段を含み、前記中継装置情報取得手段は経路長kを決定する際に、経路長使用状況テーブルを参照して当該経路長kの経路長使用状況が未使用を意味する情報になっている経路長kを選択する手段を含み、前記評価値更新手段は、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最大評価値が更新された場合には(k−1)以下の経路長全てについて、前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更し、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最小評価値が更新された場合には(k+1)以上の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更する手段を含む点が図1の最寄り拠点推定装置とは異なる。
【0072】
経路長使用状況記憶手段(経路長使用状況テーブル)は、中継装置識別子を取得するために使用される1以上255以下の各経路長について使用済みであるか未使用であるかを示す経路長使用状況情報を保持し、最寄り拠点推定処理開始時には全経路長の使用状況情報を“未使用”を示す値に初期化する。
【0073】
前記中継装置情報取得手段は、中継装置識別情報を取得する際に前記経路長使用状況記憶手段(経路長使用状況テーブル)を参照し、使用状態を示す情報が“未使用”であることを示す値を持つ経路長の中から適切な方法に基づいて経路長を決定し、実際に使用した経路長の使用状態が“使用済”を示す値に更新する。
【0074】
前記評価値更新手段は、ある経路長kを用いて評価値更新を行ったところ全候補拠点の最大評価値が更新された場合には前記経路長使用状況記憶手段(経路長使用状況テーブル)の(k−1)以下の経路長の使用状況を使用済みに変更し、ある経路長kを用いて評価値更新を行ったところ全候補拠点の最小評価値が更新された場合には前記経路長使用状況記憶手段(経路長使用状況テーブル)の(k+1)以上のTTL値の使用状況を使用済みに変更する。
【0075】
(手段3)
上記の従来技術の問題(1)および(2)を解決するために、図6に示す最寄り拠点推定装置を発明した。
【0076】
図6の最寄り拠点推定装置は、観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択する手段を備え、この選択する手段は、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報のリストを記憶する手段と、この記憶する手段に記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を記憶する経路情報テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として保持する評価値テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路上に存在する中継装置であって観測拠点から指定した経路長だけ離れている中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、終了条件が満たされていると前記継続判断手段が判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力する出力手段とを備える。
【0077】
図6の最寄り拠点推定装置は、図2に示した最寄り拠点推定装置に候補拠点識別情報テーブルと経路長使用状況テーブルとを追加した構成になっている。すなわち、候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を記憶する候補拠点識別情報テーブルを備え、この候補拠点識別情報テーブルは、各候補拠点について当該候補拠点が評価値更新処理の対象であることを示す情報を候補拠点識別情報の初期値とする手段を含み、前記中継装置情報取得手段が観測拠点から利用者拠点への経路上で観測拠点から経路長kだけ離れた点またはその点の近傍に位置する中継装置識別情報の取得に用いる経路長kの使用状況(使用済または未使用)を示す経路長使用状況情報を保持する経路長使用状況テーブルを備え、この経路長使用状況テーブルは経路長kが取り得る全ての値について経路長kの経路長使用状況情報を未使用を意味する値に初期化する手段を含み、前記中継装置情報取得手段は経路長kを決定する際に、前記経路長使用状況テーブルを参照して当該経路長kの経路長使用状況情報が未使用を意味する情報になっている経路長kを選択する手段を含み、前記評価値更新手段は、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最大評価値が更新された場合には(k−1)以下の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更し、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最小評価値が更新された場合には(k+1)以上の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更する手段を含み、前記継続判断手段は、各候補拠点の利用者拠点との前記共通経路の経路長が一意に特定されている場合には当該候補拠点の最小評価値と最大評価値とを当該候補拠点の評価値と等しい値と定義し、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に終了条件判定処理を行い、終了条件が満たされない場合には選択する拠点数をNとしてN番目に小さな最大評価値よりも大きい最小評価値を持つ候補拠点が存在する場合には前記候補拠点識別情報テーブルの中の当該拠点に関する候補拠点識別情報を評価値更新処理対象外を示す情報に変更する手段を含む点が図2の最寄り拠点推定装置とは異なる。
【0078】
候補拠点識別情報記憶手段(候補拠点識別情報テーブル)は、候補拠点yが評価値更新処理対象拠点であるか否かを示す候補拠点判別情報G(y)を保持し、最寄り拠点推定処理開始時には全候補拠点の候補拠点識別情報を候補拠点であることを示す値に初期化する。
【0079】
評価値更新手段は、観測拠点・利用者拠点間の経路を構成する中継装置のうち観測拠点からの経路長がkである中継装置の識別子r(U,k)を中継装置情報取得手段から受け取ると、候補拠点識別情報記憶手段(候補拠点識別情報テーブル)を参照して、評価値更新処理対象である候補拠点A1、A2、A3、…を特定し、それらの候補拠点A1、A2、A3、…に対してr(A1,k)、r(A2,k)、r(A3,k)、…とr(U,k)が一致するか否かを判定し、その結果に基づいて各候補拠点の評価値情報を更新する。
【0080】
継続判断手段は、評価値記憶手段(評価値テーブル)を参照して、各候補拠点の評価値に基づいて各候補拠点が評価値更新処理対象であるか否かを判断し、評価値更新処理対象外となった候補拠点については候補拠点識別情報記憶手段(候補拠点識別情報テーブル)の当該拠点の候補拠点識別情報を更新する。
【0081】
経路長使用状況記憶手段(経路長使用状況テーブル)は、中継装置識別子を取得するために使用される1以上255以下の各経路長について使用済であるか未使用であるかを示す経路長使用状況情報を保持し、最寄り拠点推定処理開始時には全経路長の使用状況情報を“未使用”を示す値に初期化する。
【0082】
中継装置情報取得手段は、中継装置識別情報を取得する際に経路長使用状況記憶手段(経路長使用状況テーブル)を参照し、使用状態を示す情報が“未使用”であることを示す値を持つ経路長の中から適切な方法に基づいて経路長を決定し、実際に使用した経路長の使用状態が“使用済”を示す値に更新する。
【0083】
評価値更新手段は、ある経路長kを用いて評価値更新を行ったところ全候補拠点の最大評価値が更新された場合には経路長使用状況記憶手段(経路長使用状況テーブル)の(k−1)以下の経路長の使用状況を使用済みに変更し、ある経路長kを用いて評価値更新を行ったところ全候補拠点の最小評価値が更新された場合には経路長使用状況記憶手段(経路長使用状況テーブル)の(k+1)以上の経路長の使用状況を使用済みに変更する。
【0084】
(手段4)
上記の従来技術の問題(3)を解決するため、図7および図10に示す最寄り拠点推定装置を発明した。
【0085】
図10の最寄り拠点推定装置は、観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択する手段を備え、この選択する手段は、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶する手段と、この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を記憶する経路情報テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す評価値を記憶し、評価値計算過程においては評価値の代わりに保持するべき値を含む評価値情報を候補拠点それぞれについて保持する評価値テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて、前記共通経路上の中継装置のうち観測拠点から最も経路長の大きな中継装置(共通最遠中継装置)までの距離情報またはこの距離情報の取り得る値の範囲を特定可能であるか否かを判断し、特定可能である場合には前記経路情報テーブルを参照して得られる観測拠点から当該候補拠点までの距離情報および観測拠点から前記共通最遠中継装置までの距離情報さらに観測拠点から利用者拠点までの距離情報に基づいて当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、終了条件が満たされていると前記継続判断手段が判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、評価値が小さな候補拠点から優先的に利用者拠点にとっての最寄り拠点として選択し、推定結果として出力する出力手段とを備える。
【0086】
ただし、2拠点間の距離情報が、観測拠点からの経路長以外の指標に基づいて、あるいは観測拠点からの経路長とそれ以外の指標の組合せに基づいて定義される情報である点が図1の最寄り拠点推定装置とは異なる。
【0087】
また、前記(手段1)、(手段2)、(手段3)のそれぞれについて、前記距離を、観測拠点からの経路長以外の指標に基づいて、あるいは観測拠点からの経路長とそれ以外の指標の組合せに基づいて定義される情報であると定義することもできる。
【0088】
(手段5)
また、前記(手段4)で説明した最寄り拠点推定装置において、距離情報としてネットワーク遅延時間を用い、利用者から当該候補拠点までのネットワーク遅延時間推定値が小さいほど当該候補拠点が利用者拠点に最寄りであると判断することもできる。
【0089】
すなわち、ユーザがサーバにアクセスしてサービス提供を受ける場合に、ネットワーク遅延時間が小さいほどユーザの求める情報のやりとりに有する時間が少ない可能性が高く、結果としてユーザの利便性が向上するため、本発明では距離情報としてネットワーク遅延時間を用いることもできる。
【0090】
(手段6)
さらに、前記(手段5)で説明したネットワーク遅延時間とは、観測拠点から当該拠点または当該中継装置へネットワーク遅延時間測定用の適当なデータを送信してから当該送信データに対する応答データを受信するまでのラウンドトリップタイムまたはこのラウンドトリップタイムをx回(x>1)取得した結果に基づいて算出される平均値またはこのラウンドトリップタイムをx回(x>1)取得した結果に基づいて算出される中央値であることもできる。
【0091】
すなわち、ラウンドトリップタイムを計測する手段としては、例えばUNIX(登録商標)OSなどで一般的に使用されているpingコマンドやtracerouteコマンドなどを使用することができ、実現が容易である。ラウンドトリップタイムは測定毎に結果のずれが大きいため、平均値や中央値といった統計的処理を施した値を用いることにより最寄り拠点推定の精度向上が見込まれる。
【0092】
(手段7)
さらに、前記(手段6)で説明した最寄り拠点推定装置において、ネットワーク遅延時間測定用の適当なデータとはICMPエコー要求メッセージであり、応答データとはICMPエコー応答メッセージであることもできる。
【0093】
すなわち、前述のpingコマンドはICMPエコー要求メッセージを送信し、ICMPエコー応答メッセージを受信するプログラムであり、一般的に使用されている。また、ICMPエコー要求/応答メッセージはサイズが小さく、ネットワーク負荷をほとんど増大させることなくネットワーク遅延時間を測定することができる。
【0094】
(手段8)
前記(手段5)、(手段6)、(手段7)で説明した最寄り拠点推定装置において、前記評価値更新手段が、前記第一の中継装置r(U,m)と観測拠点から利用者拠点までのネットワーク遅延時間n(W,U)と、観測拠点から候補拠点yまでのネットワーク遅延時間n(W,y)と、観測拠点から前記共通経路上の中継装置のうち観測拠点から最も経路長の大きな中継装置(共通最遠中継装置)cまでのネットワーク遅延時間n(W,c)に基づいて当該候補拠点の評価値D(U,y)を
D(U,y)=n(W,U)+n(W,y)−2*n(W,c)
として算出する手段を含むこともできる。
【0095】
すなわち、観測拠点から利用者拠点と観測拠点から当該候補拠点までのネットワーク遅延時間の合計値から、この2拠点までの共通経路分のネットワーク遅延時間を差し引くことでユーザ拠点と当該候補拠点との間のネットワーク遅延時間推定値を算出している。
【0096】
(手段9)
前記(手段4)で説明した最寄り拠点推定装置において、距離情報として回線帯域情報を用い、利用者拠点から当該候補拠点までの回線帯域情報推定値が大きいほど当該候補拠点が利用者拠点に最寄りであると判断することもできる。
【0097】
すなわち、ユーザがサーバにアクセスしてサービス提供を受ける場合に、回線帯域が大きいほどユーザの求める情報のやりとりに要する時間が少ない可能性が高く、結果としてユーザの利便性が向上するため、本発明では距離情報としてネットワーク遅延時間を用いることもできる。
【0098】
(手段10)
さらに、前記(手段9)で説明した最寄り拠点推定装置において、回線帯域情報とは観測拠点から利用者拠点または候補拠点または中継装置までの経路上に存在する隣り合う中継装置間の回線の空き帯域のうち最小の空き帯域を示す情報であることもできる。
【0099】
すなわち、いくつかの中継装置を経由して接続されている2点間の空き帯域は、隣り合う2つの中継装置間を結ぶ回線の空き帯域に制限される。実効的な空き帯域を考慮することで最寄り拠点推定精度の向上が見込める。
【0100】
(手段11)
さらに、(手段9)で説明した最寄り拠点推定装置において、回線帯域情報とは、観測拠点から利用者拠点または候補拠点または中継装置までの経路上に存在する隣り合う中継装置間の回線の回線容量のうち最小の回線容量を示す情報であることもできる。
【0101】
すなわち、いくつかの中継装置を経由して接続されている2点間の実効的な回線容量は、隣り合う2つの中継装置を結ぶ回線の回線容量に制限される。実効的な回線容量を考慮することで最寄り拠点推定精度の向上が見込める。
【0102】
(手段12)
前記(手段10)、(手段11)で説明した最寄り拠点推定装置において、前記評価値更新手段は、前記観測拠点Wから前記利用者拠点Uまでの回線帯域情報p(W,U)、前記観測拠点から前記各候補拠点までの回線帯域情報p(W,y)、前記観測拠点から前記共通最遠装置cまでの回線帯域情報p(W,c)に基づき前記各候補拠点について
(1)p(W,y)<p(W,c)かつp(W,U)<p(W,c)、またはp(W,y)>p(W,c)かつp(W,U)>p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=Min{p(W,y),p(W,U)}とし、
(2)p(W,y)≧p(W,c)かつp(W,U)<p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=p(W,U)とし、
(3)p(W,y)<p(W,c)かつp(W,U)≧p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=p(W,y)とし、
(4)p(W,y)=p(W,c)かつp(W,U)=p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)は算出困難なので他の方法にしたがって最寄り拠点推定処理を行うように判断する手段を含むこともできる。
【0103】
すなわち、いくつかの中継装置を経由して接続されている2点間の回線帯域(空き帯域、回線容量)は、隣り合う2つの中継装置間を結ぶ回線の帯域に制限されてしまうため、上記のように場合分けをして考えることにより処理の簡略化を見込める。
【0104】
(手段13)
前記(手段4)で説明した最寄り拠点推定装置において、距離情報としてネットワーク遅延揺らぎを用い、利用者から当該候補拠点までのネットワーク遅延揺らぎ推定値が小さいほど当該候補拠点が利用者拠点に最寄りであると判断することもできる。
【0105】
すなわち、例えばユーザがサーバにアクセスしてストリーム配信サービス提供を受ける場合に、ネットワーク遅延揺らぎが小さいほどユーザの求める情報が安定して供給されるためにストリームの品質が低下する可能性が低く、結果としてユーザの利便性が向上するため、本発明では距離情報としてネットワーク遅延揺らぎを用いることもできる。
【0106】
(手段14)
前記(手段13)で説明した最寄り拠点推定装置において、観測拠点から利用者拠点または候補拠点または中継装置までのネットワーク遅延揺らぎとは、観測拠点から当該拠点または当該中継装置へネットワーク遅延揺らぎ測定用の適当なデータを送信してから当該送信データに対する応答データを受信するまでのラウンドトリップタイムをx回(x>1)取得した結果に基づいて求められる分散値あるいは標準偏差値に基づく値であることもできる。
【0107】
すなわち、統計処理を施すことにより最寄り拠点推定の精度向上が見込める。
【0108】
以上が本発明の第一の観点である最寄り拠点推定装置に関する説明である。さらに、本発明の第二の観点として最寄り拠点推定方法があり、また、本発明の第三の観点としてプログラムがあり、また、本発明の第四の観点として記録媒体がある。
【0109】
(方法1)
すなわち、本発明の第二の観点は、観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択するステップを実行し、この選択するステップを実行する際には、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶するステップと、この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を経路情報テーブルとして記憶するステップと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として評価値テーブルに保持するステップと、観測拠点から利用者拠点への経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得ステップと、この中継装置情報取得ステップにより中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新ステップと、中継装置情報取得ステップにより取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断ステップと、終了条件が満たされていると前記継続判断ステップにより判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力するステップとを実行する最寄り拠点推定方法である。
【0110】
ここで、本発明の特徴とするところは、候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を候補拠点識別情報テーブルとして記憶するステップを実行し、この候補拠点識別情報テーブルの各候補拠点について当該候補拠点が評価値更新処理の対象であることを示す情報を候補拠点識別情報の初期値とするステップを実行し、前記評価値更新ステップを実行する際には、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に評価値更新処理を行うステップを実行し、前記継続判断ステップを実行する際には、各候補拠点の利用者拠点との前記共通経路の経路長が一意に特定されている場合には当該候補拠点の最小評価値と最大評価値とを当該候補拠点の評価値と等しい値と定義し、候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に終了条件判定処理を行い、選択する拠点数をNとしてN番目に小さな最大評価値よりも大きい最小評価値を持つ候補拠点が存在する場合には候補拠点識別情報テーブル中の当該拠点に関する候補拠点識別情報を評価値更新処理対象外を示す情報に変更するステップを実行するところにある。
【0111】
(方法2)
あるいは、本発明の第二の観点は、観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択するステップを実行し、この選択するステップを実行する際には、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶するステップと、この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を経路情報テーブルとして記憶するステップと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として評価値テーブルに保持するステップと、観測拠点から利用者拠点への経路上に存在する中継装置であって観測拠点から指定した経路長だけ離れている中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得ステップと、この中継装置情報取得ステップにより中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新ステップと、前記中継装置情報取得ステップにより取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断ステップと、終了条件が満たされていると前記継続判断ステップにより判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力するステップとを実行する最寄り拠点推定方法である。
【0112】
ここで、本発明の特徴とするところは、前記中継装置情報取得ステップにより観測拠点から利用者拠点への経路上で観測拠点から経路長がkだけ離れた点またはその点の近傍に位置する中継装置識別情報の取得に用いる経路長kの使用状況(使用済または未使用)を示す経路長使用状況情報を経路長使用状況テーブルとして保持するステップを実行し、この経路長使用状況テーブルの経路長kが取り得る全ての値について経路長kの経路長使用状況情報を未使用を意味する値に初期化するステップを実行し、前記中継装置情報取得ステップにより経路長kを決定する際に、前記経路長使用状況テーブルを参照して当該経路長kの経路長使用状況が未使用を意味する情報になっている経路長kを選択するステップを実行し、前記評価値更新ステップを実行する際に、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最大評価値が更新された場合には(k−1)以下の経路長全てについて、前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更し、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最小評価値が更新された場合には(k+1)以上の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更するステップを実行するところにある。
【0113】
(方法3)
あるいは、本発明の第二の観点は、観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択するステップを実行し、この選択するステップを実行する際には、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶するステップと、この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を経路情報テーブルとして記憶するステップと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として評価値テーブルに保持するステップと、観測拠点から利用者拠点への経路上に存在する中継装置であって観測拠点から指定した経路長だけ離れている中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得ステップと、この中継装置情報取得ステップにより中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新ステップと、中継装置情報取得ステップにより取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断ステップと、終了条件が満たされていると前記継続判断ステップにより判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力するステップとを実行する最寄り拠点推定方法である。
【0114】
ここで、本発明の特徴とするところは、候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を候補拠点識別情報テーブルとして記憶するステップを実行し、この候補拠点識別情報テーブルの各候補拠点について当該候補拠点が評価値更新処理の対象であることを示す情報を候補拠点識別情報の初期値とするステップを実行し、前記中継装置情報取得ステップにより観測拠点から利用者拠点への経路上で観測拠点から経路長kだけ離れた点またはその点の近傍に位置する中継装置識別情報の取得に用いる経路長kの使用状況(使用済または未使用)を示す経路長使用状況情報を経路使用状況テーブルに保持するステップを実行し、この経路長使用状況テーブルの経路長kが取り得る全ての値について経路長kの経路長使用状況情報を未使用を意味する値に初期化するステップを実行し、前記中継装置情報取得ステップは経路長kを決定する際に、経路長使用状況テーブルを参照して当該経路長kの経路長使用状況情報が未使用を意味する情報になっている経路長kを選択するステップを実行し、前記評価値更新ステップを実行する際に、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最大評価値が更新された場合には(k−1)以下の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更し、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最小評価値が更新された場合には(k+1)以上の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更するステップを実行し、前記継続判断ステップを実行する際に、各候補拠点の利用者拠点との前記共通経路の経路長が一意に特定されている場合には当該候補拠点の最小評価値と最大評価値とを当該候補拠点の評価値と等しい値と定義し、候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に終了条件判定処理を行い、終了条件が満たされない場合には選択する拠点数をNとしてN番目に小さな最大評価値よりも大きい最小評価値を持つ候補拠点が存在する場合には候補拠点識別情報テーブルの中の当該拠点に関する候補拠点識別情報を評価値更新処理対象外を示す情報に変更するステップを実行するところにある。
【0115】
(方法4)
あるいは、本発明の第二の観点は、観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択するステップを実行し、この選択するステップを実行する際には、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶するステップと、この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を経路情報テーブルとして記憶するステップと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す評価値を記憶し、評価値計算過程においては評価値の代わりに保持するべき値を含む評価値情報を候補拠点それぞれについて評価値テーブルとして保持するステップと、観測拠点から利用者拠点への経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得ステップと、この中継装置情報取得ステップにより中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて、前記共通経路上の中継装置のうち観測拠点から最も経路長の大きな中継装置(共通最遠中継装置)までの距離情報またはこの距離情報の取り得る値の範囲を特定可能であるか否かを判断し、特定可能である場合には経路情報テーブルを参照して得られる観測拠点から当該候補拠点までの距離情報および観測拠点から前記共通最遠中継装置までの距離情報さらに観測拠点から利用者拠点までの距離情報に基づいて当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新ステップと、中継装置情報取得ステップが取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断ステップと、終了条件が満たされていると前記継続判断ステップにより判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、評価値が小さな候補拠点から優先的に利用者拠点にとっての最寄り拠点として選択し、推定結果として出力するステップとを実行する最寄り拠点推定方法である。
【0116】
ここで、本発明の特徴とするところは、距離とは、観測拠点からの経路長以外の指標に基づいて、あるいは観測拠点からの経路長とそれ以外の指標の組合せに基づいて定義される情報であるところにある。
【0117】
また、前記(方法1)、(方法2)、(方法3)のそれぞれについて、前記距離を、観測拠点からの経路長以外の指標に基づいて、あるいは観測拠点からの経路長とそれ以外の指標の組合せに基づいて定義される情報であると定義することもできる。
【0118】
(方法5)
また、前記(方法4)の最寄り拠点推定方法において、距離情報としてネットワーク遅延時間を用い、利用者から当該候補拠点までのネットワーク遅延時間推定値が小さいほど当該候補拠点が利用者拠点に最寄りであると判断するステップを実行することもできる。
【0119】
(方法6)
また、前記(方法5)の最寄り拠点推定方法において、前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までのネットワーク遅延時間とは、観測拠点から当該拠点または当該中継装置へネットワーク遅延時間測定用の適当なデータを送信してから当該送信データに対する応答データを受信するまでのラウンドトリップタイムまたはこのラウンドトリップタイムをx回(x>1)取得した結果に基づいて算出される平均値またはこのラウンドトリップタイムをx回(x>1)取得した結果に基づいて算出される中央値であることもできる。
【0120】
(方法7)
前記(方法6)の最寄り拠点推定方法において、前記ネットワーク遅延時間測定用の適当なデータとはICMPエコー要求メッセージであり、応答データとはICMPエコー応答メッセージであることもできる。
【0121】
(方法8)
また、(方法5)、(方法6)、(方法7)の最寄り拠点推定方法において、前記評価値更新ステップを実行する際に、前記第一の中継装置r(U,m)と、前記観測拠点から前記利用者拠点までのネットワーク遅延時間n(W,U)と、前記観測拠点から前記候補拠点yまでのネットワーク遅延時間n(W,y)と前記観測拠点から前記共通経路上の中継装置のうち前記観測拠点から最も経路長の大きな前記中継装置(共通最遠中継装置)cまでのネットワーク遅延時間n(W,c)に基づいて当該候補拠点の評価値D(U,y)を
D(U,y)=n(W,U)+n(W,y)−2*n(W,c)
として算出するステップを実行することもできる。
【0122】
(方法9)
前記(方法4)の最寄り拠点推定方法において、前記距離情報として回線帯域情報を用い、前記利用者拠点から前記候補拠点までの回線帯域情報推定値が大きいほど当該候補拠点が前記利用者拠点に最寄りであると判断するステップを実行することもできる。
【0123】
(方法10)
また、前記(方法9)の最寄り拠点推定方法において、前記回線帯域情報とは、前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までの経路上に存在する隣り合う前記中継装置間の回線の空き帯域のうち最小の空き帯域を示す情報であることもできる。
【0124】
(方法11)
また、前記(方法9)の最寄り拠点推定方法において、前記回線帯域情報とは、前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までの経路上に存在する隣り合う前記中継装置間の回線の回線容量のうち最小の回線容量を示す情報であることもできる。
【0125】
(方法12)
また、前記(方法10)、(方法11)の最寄り拠点推定方法において、前記評価値更新ステップを実行する際に、前記観測拠点Wから前記利用者拠点Uまでの回線帯域情報p(W,U)、前記観測拠点から前記各候補拠点までの回線帯域情報p(W,y)、前記観測拠点から前記共通最遠装置cまでの回線帯域情報p(W,c)に基づき前記各候補拠点について
(1)p(W,y)<p(W,c)かつp(W,U)<p(W,c)、またはp(W,y)>p(W,c)かつp(W,U)>p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=Min{p(W,y),p(W,U)}とし、
(2)p(W,y)≧p(W,c)かつp(W,U)<p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=p(W,U)とし、
(3)p(W,y)<p(W,c)かつp(W,U)≧p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=p(W,y)とし、
(4)p(W,y)=p(W,c)かつp(W,U)=p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)は算出困難なので他の方法にしたがって最寄り拠点推定処理を行うように判断するステップを実行することもできる。
【0126】
(方法13)
また、前記(方法4)の最寄り拠点推定方法において、距離情報としてネットワーク遅延揺らぎを用い、前記利用者拠点から前記候補拠点までのネットワーク遅延揺らぎ推定値が小さいほど当該拠点候補が前記利用者拠点に最寄りであると判断するステップを実行することもできる。
【0127】
(方法14)
前記(方法13)の最寄り拠点推定方法において、前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までのネットワーク遅延揺らぎとは、前記観測拠点から当該候補拠点または当該中継装置へネットワーク遅延揺らぎ測定用の適当なデータを送信してから当該送信データに対する応答データを受信するまでのラウンドトリップタイムをx回(x>1)取得した結果に基づいて求められる分散値あるいは標準偏差値に基づく値であることもできる。
【0128】
本発明の第三の観点は、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の最寄り拠点推定装置に相応する機能を実現させる、あるいは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の最寄り拠点推定方法を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0129】
本発明の第四の観点は、本発明のプログラムが記録された前記情報処理装置読取可能な記録媒体である。本発明のプログラムは本発明の記録媒体に記録されることにより、前記情報処理装置は、この記録媒体を用いて本発明のプログラムをインストールすることができる。あるいは、本発明のプログラムを保持するサーバからネットワークを介して直接前記情報処理装置に本発明のプログラムをインストールすることもできる。
【0130】
これにより、コンピュータ装置等の情報処理装置を用いて、評価値更新に要する処理量を必要最小限に抑え、従来方式に比べて最寄り拠点推定の処理量を低減し、従来方式と比較して高速な最寄り拠点推定処理を可能にし、さらに、利用者がサービス利用時に利便性の向上を感じやすい観点(本発明の場合は体感速度)から最寄りの拠点推定を行うことができる最寄り拠点推定装置および方法を実現することができる。
【0131】
【発明の実施の形態】
(第一実施例)
本発明第一実施例について説明する。以下では図3に示したネットワークを前提とする。本実施例における最寄り拠点推定装置の構成は図4のとおりである。本実施例の最寄り拠点推定装置は、コンピュータプログラムとして実現される。
【0132】
本実施例の最寄り拠点推定装置は、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報のリストを記憶し、さらに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を記憶する経路情報テーブルと、候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を記憶する候補拠点識別情報テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点の共通経路と定義し、評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値を評価値情報として保持する評価値テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報に基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく評価値テーブルの更新処理が完了する毎に評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、終了条件が満たされていると継続判断手段が判断した場合には評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力する出力手段とを備え、利用者拠点識別子Uと候補拠点リストYを入力として受け取って起動し、実行結果として選択拠点リストZを出力する。
【0133】
本実施例では、中継装置識別子として中継装置のIPアドレスを用いる。また、2拠点間の距離情報として2拠点間の経路長を用いる。
【0134】
最初に本実施例における各種のテーブルの実現方法を説明する。
経路情報テーブルを表1示す。経路情報テーブルには、各候補拠点について、観測拠点から当該中継装置までの距離情報が小さい順に中継装置識別子が文字列として記述される。以下の説明では、観測拠点から候補拠点yへの経路を構成する中継装置群のうち、観測拠点からの距離情報がmである中継装置識別子をr(y,m)で表す。
【表1】
【0135】
評価値テーブルを表2に示す。評価値テーブルには、候補拠点識別情報と、各候補拠点の評価値情報(最小評価値,最大評価値)が保持される。以下の説明では、利用者拠点Uにとっての最寄り拠点を推定している際の候補拠点yの最小評価値をDL(U,y)、最大評価値をDH(U,y)で表す。
【表2】
【0136】
候補拠点判別情報テーブルを表3に示す。候補拠点判別情報テーブルには、候補拠点識別情報と、各候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点判別情報が記述される。候補拠点判別情報は0または1のどちらかの値を有し、値が1の場合は当該候補拠点は評価値更新処理対象であり、値が0の場合は当該候補拠点は評価値更新対象外である。以下の説明では、候補拠点yの候補拠点識別情報をc(y)で表す。
【表3】
【0137】
中継装置情報取得手段の実現方法を説明する。中継装置情報取得手段は、利用者拠点識別子Uを入力として受け取り、中継装置識別子を取得するために使用するTTL値mを決定し、利用者端末に対してTTL値mを持つパケットを送出し、その結果ICMPパケットを受信し、このICMPパケットの送信元IPアドレスを抽出して中継装置識別子r(U,m)とする。この際、TTL値mの決定方法としては、1からインクリメンタルに使用する場合や、経路情報テーブルに登録されている全経路の平均経路長を初期値として用い(表1の場合は4)、n回目以降(n>2)の中継装置識別子取得時には(n−1)回目に取得した中継装置識別子r(U,n−1)を含む経路R(y1)、R(y2)、…の平均経路長をTTL値として用いる場合などである。また、利用者端末に向けたパケットの送信はUDPパケットやICMPパケットを用いることで実現可能である。
【0138】
評価値更新手段の実現方法を説明する。評価値更新手段は、観測拠点・利用者拠点間の経路を構成し、観測拠点からの距離情報がmである中継装置の識別子r(U,m)を中継装置情報取得手段から受け取ると、候補拠点識別情報テーブルを参照して候補拠点A,B,Cの候補拠点識別情報c(A)、c(B)、c(C)を参照し、c(A)、c(B)、c(C)の値を確認する。さらに評価値更新手段は、ある候補拠点yについてc(y)が1ならば、観測拠点・候補拠点y間の経路を構成し、観測拠点からの距離情報がmである中継装置の識別子r(y,m)と中継装置情報取得手段が取得した中継装置識別子r(U,m)を比較し、r(U,m)とr(y,m)が一致した場合は式(5)を用いて最大評価値を更新し、一致しない場合は式(6)を用いて最小評価値を更新する。
【0139】
継続判断手段の実現方法を説明する。継続判断手段は、評価値テーブルを参照して各候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを判断し、評価値更新対象外となった候補拠点yについては、候補拠点識別情報テーブルに格納されている当該拠点の候補拠点識別情報c(y)の値を1から0に変更する。ある候補拠点yが評価値更新処理の対象外となるのは、当該候補拠点yの最小評価値DL(U,y)と最大評価値DH(U,y)が一致した場合や、当該候補拠点yの最小評価値DL(U,y)が経路情報テーブルに登録されている他の全ての拠点の最大評価値DH(U,x)よりも大きい場合などである。
【0140】
継続判断手段は、従来手法と同様の終了条件および「全候補拠点の候補拠点識別情報の値が0である」という条件のいずれかを満たした場合に出力手段へ処理を移行する。
【0141】
出力手段の実現方法を説明する。出力手段は、評価値テーブルを参照して最大評価値が小さい候補拠点から1位、2位、…と順位付けを行い、順位の高い順に候補拠点識別情報を並べ替えた選択拠点リストZを作成して出力する。
【0142】
評価値テーブルが保持する各候補拠点の最小・最大評価値の推移を表4に示す。表4において“avoid”となっている箇所については、評価値更新処理が不必要であり、実際に処理を行っていないことを意味する。また、候補拠点識別情報テーブルが保持する各候補拠点の候補拠点識別情報の推移を表5に示す。表5では、各TTL値mを用いて取得した中継装置識別子r(U,m)を用いて評価値変更処理を行った後、継続判断手段が必要に応じて候補拠点識別情報c(y)を更新した後の値を示している。例えば表4より、TTL値mが2のときに取得した中継装置識別子r(U,h)を用いて評価値更新処理を行った結果、候補拠点Cの最小評価値DL(U,C)と最大評価値DH(U,C)が共に0となったことがわかる。その結果、継続判断手段は表5のように候補拠点Cの候補拠点識別情報c(y)の値を1から0に変更する。
【表4】
【表5】
【0143】
従来手法では、候補拠点識別情報などによって評価値更新処理を行うべき候補拠点を絞り込んでいない。すなわち、終了条件を満たすまで、全候補拠点の評価値を更新し続けることになり、表4において“avoid”となっている箇所について本来は不必要な、行っても更新されることのない評価値算出処理を行ってしまう。
【0144】
本実施例では候補拠点識別情報テーブルを用意して、評価値更新手段が評価値更新処理を行う際に各候補拠点毎に当該処理を行うか否かを判定できるようにした。これにより、評価値更新に要する処理量を必要最小限に抑えることができ、従来方式と比較して高速な最寄り拠点推定処理が可能になる。
【0145】
(第二実施例)
本発明第二実施例について説明する。以下では、図8に示したネットワークを前提とする。本実施例における最寄り拠点推定装置の構成は図5のとおりである。本実施例の最寄り拠点推定装置は、コンピュータプログラムとして実現される。
【0146】
本実施例の最寄り拠点推定装置は、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶し、さらに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を記憶する経路情報テーブルと、中継装置情報取得手段が観測拠点から利用者拠点への経路上で観測拠点から経路長がkだけ離れた点またはその点の近傍に位置する中継装置識別情報の取得に用いる経路長kの使用状況(使用済または未使用)を示す経路長使用状況情報を保持する経路長使用状況テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点の共通経路と定義し、評価値とはこの共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値を評価値情報として保持する評価値テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路上に存在する中継装置であって観測拠点から指定した経路長だけ離れている中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報に基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく評価値テーブルを更新処理が完了するごとに評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、終了条件が満たされていると継続判断手段が判定した場合には評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力する出力手段とを備え、利用者拠点識別子Uと候補拠点リストYを入力として受けとって起動し、実行結果として選択拠点リストZを出力する。
【0147】
本実施例では、中継装置識別子として中継装置のIPアドレスを用いる。また、2拠点間の距離情報として2拠点間の経路長を用いる。
【0148】
本実施例における経路情報テーブルを表6に示す。表6の経路情報テーブルは、図8のネットワーク構成にあわせて中継装置識別子を保持したものであり、保持するデータの種類などは表1の経路情報テーブルと同様であって、評価値テーブルも図8のネットワーク構成に併せて各候補拠点の最小・最大評価値を保持するが、保持する情報の種類などは表2の評価値テーブルと同様なのでここでは割愛する。
【表6】
【0149】
経路長使用状況テーブルを表7に示す。最寄り拠点推定処理開始時の初期化処理において、経路長使用状況テーブルには中継装置情報取得手段が用い得る全ての経路長についてその使用状況を示す経路長使用状況情報が記述される。経路長使用状況情報は0または1のどちらかの値を有し、値が1の場合は当該経路長は未使用であり、値が0の場合は当該経路長は使用済みであるとする。以下の説明では、経路長mの経路長使用状況情報をV(m)で表す。
【表7】
【0150】
中継装置情報取得手段の実現方法を説明する。
中継装置情報取得手段は、利用者拠点識別子Uを入力として受け取り、中継装置識別子を取得するために使用する経路長mを決定し、利用者端末に対して値mであるTTLを持つパケットを送出し、その結果ICMPパケットを受信し、このICMPパケットの送信元IPアドレスを抽出して中継装置識別子r(U,m)とする。第一実施例と同様に、利用者端末に向けたパケットの送信はUDPパケットやICMPパケットを用いることで実現可能である。
【0151】
中継装置情報取得手段は、経路情報テーブルに登録されている全経路の平均経路長を初期TTL値として用い、n回目以降(n>2)の中継装置識別子取得時には(n−1)回目に取得した中継装置識別子r(U,n−1)を含む経路R(y1)、R(y2)、…の平均経路長をTTL値として用いる。平均経路長が実数の場合は小数点以下の値を切り捨てて丸めた整数値をTTL値として用いる。
【0152】
中継装置情報取得手段はTTL値mを算出した後、経路長使用状況テーブルを参照して当該TTL値の経路長使用状況情報v(m)を取得する。このv(m)が1の場合には、中継装置情報取得手段はTTL値を用いて中継装置識別子を取得するためのパケットを送出し、v(m)の値を1から0に更新する。一方、v(m)が0の場合は、中継装置情報取得手段はm=m−1としてmを更新した後に再度v(m)を参照し、v(m)=1を満たすまでmを探す。v(m)=1であるmが見つかる前にm=0となってしまった場合には、今度はm=m+1としてmを更新した後に再度v(m)を参照し、v(m)=1を満たすまでmを探す。
【0153】
評価値更新手段の実現方法を説明する。
評価値更新手段は、観測拠点、利用者拠点間の経路を構成し観測拠点からの距離情報がmである中継装置の識別子r(U,m)を、中継装置情報取得手段から受け取ると、観測拠点・候補拠点y間の経路を構成し観測拠点からの距離情報がmである中継装置の識別子r(y,m)とr(U,m)とを比較し、r(U,m)とr(y,m)が一致した場合は式(5)を用いて最大評価値を更新し、一致しない場合は式(6)を用いて最小評価値を更新する。
【0154】
継続判断手段は、従来手法と同様の終了条件を満たした場合に出力手段へ処理を移行する。出力手段の実現方法は第一実施例と同様である。
【0155】
経路長使用状況テーブルが保持する経路長使用状況情報の推移を以下で説明する。経路長使用状況テーブルが保持する経路長使用状況情報の初期値は表7のとおりである。中継装置情報取得手段は、経路情報テーブルに登録されている経路R(A)、R(B)、R(C)の経路長L(A)、L(B)、L(C)を参照し、それらの平均経路長Lavgを初期TTL値とする。表6のより、L(A)=4、L(B)=5、L(C)=6であるので、初期TTL値は5と求められる。
【0156】
中継装置情報取得手段は、TTL値5を用いてパケットを送出し、中継装置識別子r(U,5)=R4を取得する。また、表8のようにテーブルのv(5)を1から0に更新する。
【表8】
【0157】
評価値更新手段が評価値更新処理を終え、継続判断手段か最寄り拠点推定処理の継続を判断すると、中継装置情報取得手段は次に用いるTTL値の算出を行う。ここで中継装置情報取得手段は経路情報テーブルを参照し、前回取得した中継装置識別子r(U,5)=R4が各候補拠点への経路R(A)、R(B)、R(C)に含まれるかを調べる。表6の経路情報テーブルよりr(U,5)=r(B,5)=r(C,5)=R4であるので、中継装置情報取得手段は経路R(B)、R(C)の経路長L(B)、L(C)の平均経路長Lavgを次に用いる経路長とする。L(B)=5、L(C)=6なのでLavg=5.5であるが、TTL値は自然数しかとり得ないので次に使用するTTL値は5となる。
【0158】
ここで中継装置情報取得手段は表8のテーブルを参照し、TTL値5の経路長使用状況情報v(5)を参照する。表8より、v(5)は既に“使用済”を示す値0になっているので、このままTTL値5を使用しても実効的な評価値更新処理が行えないことが分かる。そこで中継装置情報取得手段はm=m−1として次に使用するTTL値を5から4に変更し、再度、表8のテーブルからTTL値4の経路長使用状況情報v(4)を参照する。表8より、v(4)は“未使用”を示す値1になっているので、中継装置情報取得手段は4を次に使用するTTL値として決定し、パケットを送出する。さらに、表8に対してv(4)の値を1から0に変更する。
【0159】
従来手法では、上記のような場合に中継装置情報取得手段が同じTTL値を繰り返し使用する可能性がある。同じTTL値を複数回用いて評価値更新処理を行っても、実際上にはどの候補拠点の評価値も更新されないため、無駄な処理量が増大してしまう可能性がある。
【0160】
本実施例では経路長使用状況テーブルを用意し、中継装置情報取得手段が次に使用するTTL値を決定する際に各TTL値の使用状況を示す情報を参照可能とした。これにより、同一のTTL値が複数回選択されることが無くなり無駄な評価値更新処理が発生しなくなるため、従来方式と比較して高速な最寄り拠点推定処理が可能になる。
【0161】
以上の前提のもと、中継装置情報取得手段が初期TTL値として3を算出したとする。中継装置情報取得手段はTTL値3を用いて中継装置識別子r(U,3)=R2を取得する。
【0162】
評価値更新手段はr(U,3)=R2を中継装置情報取得手段から受け取り、経路情報テーブルを参照してr(A,3)、r(B,3)、r(C,3)を取得する。r(U,3)=r(A,3)=r(B,3)=r(C,3)=R2であるので、評価値更新手段は前出の式(5)により各候補拠点の最大評価値DH(U,A)、DH(U,B)、DH(U,C)を更新する。その結果、評価値テーブルは表9のようになる。また、評価値更新手段は、TTL値3に対する経路長使用状況情報v(3)が1から0に更新するので、テーブルは表10のようになる。
【表9】
【表10】
【0163】
評価値更新手段はTTL値が3の場合に全候補拠点の最大評価値を更新したことを検出する。あるTTL値mを用いて評価値更新処理を行った場合に全候補拠点の最大評価値が更新された場合に、以降の処理でmよりも小さなTTL値を使用しても最大評価値を更新されない。
【0164】
例えば、評価値テーブルが表9のように更新された後、継続判断手段が最寄り拠点推定処理の継続を決定し、中継装置情報取得装置が次に用いるTTL値として2を選択し、r(U,2)=R1を取得したとする。r(U,2)=r(A,2)=r(B,2)=r(C,2)=R1であるので、評価値更新手段は前出の式(5)を用いて以下のように各候補拠点の最大評価値を更新する。
DH(U,A)=Min{L(A)−2*m,DH(U,A)}=Min{4−2*2,−2}=Min{0,−2}=−2…式(19)
DH(U,B)=Min{L(B)−2*m,DH(U,B)}=Min{5−2*2,−1}=Min{1,−1}=−1…式(20)
DH(U,A)=Min{L(A)−2*m,DH(U,A)}=Min{6−2*2,0}=Min{2,0}=0…式(21)
この更新処理の結果はTTL値として3を用いた場合の更新結果と同じであり、無駄な評価値更新処理を行っていることが分かる。
【0165】
そこで評価値更新手段は、あるTTL値mを用いて評価値更新処理を行った場合に全候補拠点の最大評価値が更新された場合に、そのTTL値よりも小さなTTL値k(k<m)の経路長使用状況情報v(k)を全て1から0に更新する。同様に、あるTTL値mを用いて評価値更新処理を行った場合に全候補拠点の最小評価値が更新された場合に、そのTTL値よりも大きなTTL値k(k>)の経路長使用状況情報v(k)を全て1から0に更新する。上記の例の場合には、3よりも小さなTTL値は1と2なので、評価値更新手段はv(1)=v(2)=0とする。その結果、経路長使用状況テーブルは表11のようになる。
【表11】
【0166】
継続判断手段は、従来手法と同様の終了条件を満たした場合に出力手段へ処理を移行する。出力手段の実現方法は第一実施例と同様である。
【0167】
本実施例のように、経路長使用状況テーブルを用意し、評価値更新手段が評価値更新処理の状況に応じて経路長使用状況テーブルを更新することで、以降の処理において中継装置情報取得手段が次に使用するTTL値を決定する場合に、経路長使用状況テーブルを参照してTTL値を決定するために無駄な評価値更新処理を行うことが無い。よって、本実施例では従来方式に比べて最寄り拠点推定の処理量を低減することができ、高速な最寄り拠点推定処理が可能になる。
【0168】
(第三実施例)
本発明の第三実施例について説明する。以下では図3に示したネットワークを前提とする。本実施例における最寄り拠点推定装置の構成は図7のとおりである。本実施例の最寄り拠点推定装置は、コンピュータプログラムとして実現される。
【0169】
本実施例の最寄り拠点推定装置は、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報のリストを記憶し、さらに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離を示す情報を記憶する経路情報テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点の共通経路と定義し、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す評価値を記憶し、評価値計算過程においては評価値の代わりに保持するべき値を含む評価値情報を候補拠点それぞれについて保持する評価値テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報に基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて、前記共通経路上の中継装置のうち観測拠点から最も経路長の大きな中継装置(共通最遠中継装置)までの距離情報またはこの距離情報の取り得る値の範囲を特定可能であるか否かを判断し、特定可能である場合には経路情報テーブルを参照して得られる観測拠点から当該候補拠点までの距離情報および観測拠点から前記共通最遠中継装置までの距離情報さらに観測拠点から利用者拠点までの距離情報に基づいて当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく評価値テーブルの更新処理が完了する毎に評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、終了条件が満たされていると継続判断手段が判定した場合には評価値テーブルが保持している各候補拠点の評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、評価値が小さな候補拠点から優先的に利用者拠点にとっての最寄り拠点として選択し、推定結果として出力する出力手段とを備え、利用者拠点識別子Uと候補拠点リストYを入力として受け取って起動し、実行結果として選択拠点リストZを出力する。
【0170】
本実施例では、中継装置識別子として中継装置のIPアドレスを用いる。また、2拠点間の距離情報として2拠点間のネットワーク遅延時間を用いる。
【0171】
本実施例の最寄り拠点推定処理の概念を図9に示す。図9のように、最寄り拠点推定装置は観測拠点Wから候補拠点Aまでのネットワーク遅延時間ΔT(W,A)および観測拠点Wから利用者拠点Uまでのネットワーク遅延時間ΔT(W,U)、さらに観測拠点Wから候補拠点Aまでの経路R(A)と観測拠点Wから利用者拠点Uまでの経路R(U)の共通経路長kを求めて観測拠点から距離情報がkの中継装置r(U,k)=r(A,k)=R2までのネットワーク遅延時間ΔT(W,R2)を取得し、これらの値を用いて次式にしたがって利用者拠点Uと候補拠点Aの間のネットワーク遅延時間の推定値ΔT(U,A)を算出する。
【0172】
ΔT(U,A)=ΔT(W,U)+ΔT(W,A)−2*ΔT(U,R2)…式(22)
本実施例では、各候補拠点について式(22)にしたがって利用者拠点Uと候補拠点の間のネットワーク遅延時間推定値を求め、この値が小さい候補拠点ほど利用者拠点に最寄りの拠点であると定義する。
【0173】
本実施例における最寄り拠点推定装置の評価値テーブルは第一実施例の場合と同様なので、ここでの説明は割愛する。
【0174】
本実施例における経路情報テーブルを表12に示す。表12の経路情報テーブルは、観測拠点Wから候補拠点yへの経路上の観測拠点からの経路長がmである中継装置r(y,m)に対するネットワーク遅延時間ΔT(W,r(y,m))を保持する。
【表12】
【0175】
本実施例における最寄り拠点推定の流れを説明する。
最寄り拠点推定処理が開始されると、最初に中継装置情報取得手段が観測拠点Wから候補拠点yまでの経路R(y)と、観測拠点Wから利用者拠点Uまでの経路R(U)との共通経路長kを、全候補拠点について求める。具体的には、中継装置情報取得手段はTTL値mを1から順番に用いてr(U,m)を取得し、r(U,m)を取得する度にr(U,m)とr(y,m)とを比較し、r(U,m)=r(y,m)となる間はTTL値mをインクリメントしてr(U,m)の取得を継続し、r(U,m)とr(y,m)が等しくなったときのTTL値mを用いてk=m−1で求める。
【0176】
次に中継装置情報取得手段は、観測拠点Wと利用者拠点Uの間のネットワーク遅延時間ΔT(W,U)を求める。さらに中継装置情報取得手段は、前述の共通経路長kを用いて、共通経路を構成する中継装置のうち観測拠点から最も遠い中継装置r(U,k)と観測拠点との間のネットワーク遅延時間ΔT(W,r(U,k))を求める。
【0177】
評価値更新手段は中継装置情報取得手段からΔT(W,U)、ΔT(W,r(U,k))を受け取り、観測拠点Wと候補拠点yとの間のネットワーク遅延時間ΔT(W,y)を取得する。ここで、ΔT(W,y)は、観測拠点Wから候補拠点yへの経路R(y)を構成する中継装置のうち最も観測拠点からの経路長が大きい中継装置r(y,L(y))との間のネットワーク遅延時間である。例えば、表12において観測拠点Wと候補拠点Aの間のネットワーク遅延時間ΔT(W,A)はΔT(W,r(A,5))に相当する。よって、評価値更新手段は、任意評価基準値テーブルを参照することで観測拠点から各候補拠点までのネットワーク遅延時間ΔT(W,y)を取得することができる。
【0178】
以上の情報を用いて、評価値更新手段は次式(23)に従って利用者拠点・候補拠点間のネットワーク遅延時間、すなわち候補拠点yの評価値ΔT(U,y)を全候補拠点について算出し、評価値テーブルを更新する。
ΔT(U,y)=ΔT(W,y)+ΔT(W,U)−2*ΔT(W,r(y,m−1))…式(23)
【0179】
評価値更新処理が終了すると、継続判断手段は同値のΔT(U,y)を持つ候補拠点が複数あるか否かを確認する。同値のΔT(U,y)を持つ候補拠点が複数ある場合、継続判断手段は最寄り拠点推定処理の継続を決定する。全候補拠点のΔT(U,y)が異なる場合には、継続判断手段を出力手段に制御を移行する。
【0180】
継続判断手段により最寄り拠点推定処理の継続が決定された場合には、中継装置情報取得手段は同値のΔT(U,y)を持つ候補拠点について上記処理を再度行う。
【0181】
出力手段の実現方法は第一実施例と同様である。
【0182】
本実施例のように、拠点間のネットワーク遅延時間(RTT)に基づいて最寄り拠点推定を行うことにより、利用者がサービス利用時に利便性の向上を感じやすい観点(本実施例の場合は体感速度)から最寄り拠点推定を行うことが可能となる。
【0183】
(第四実施例)
本発明第四実施例について説明する。以下では図3に示したネットワークを前提とする。
【0184】
本実施例における最寄り拠点推定装置の構成は図10のとおりである。
【0185】
本実施例の最寄り拠点推定装置は、コンピュータプログラムとして実現される。
【0186】
本実施例の最寄り拠点推定装置は、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶し、さらに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離を示す情報を記憶する経路情報テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点の共通経路と定義し、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す評価値を記憶し、評価値計算過程においては評価値の代わりに保持すべき値を含む評価値情報を候補拠点それぞれについて保持する評価値テーブルと、観測拠点から利用者拠点への経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報に基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて、前記共通経路上の中継装置のうち観測拠点から最も経路長の大きな中継装置(共通最遠中継装置)までの距離情報またはこの距離情報の取り得る値の範囲を特定可能であるか否かを判断し、特定可能である場合には経路情報テーブルを参照して得られる観測拠点から当該候補拠点までの距離情報および観測拠点から前記共通最遠中継装置までの距離情報、さらに観測拠点から利用者拠点までの距離情報に基づいて当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく評価値テーブルの更新処理が完了する毎に評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、終了条件が満たされていると継続判断手段が判定した場合には評価値テーブルが保持している各候補拠点の評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、評価値が小さな候補拠点から優先的に利用者拠点にとっての最寄り拠点として選択し、推定結果として出力する出力手段とを備え、利用者拠点識別子Uと候補拠点リストYを入力として受け取って起動し、実行結果として選択拠点リストZを出力する。
【0187】
本実施例では、中継装置識別子として中継装置のIPアドレスを用いる。また、2拠点間の距離情報として回線空き帯域情報を用いる。ここで回線空き帯域情報とは、単位時間あたりに送受信した情報量と定義する。いま、2つの拠点A、Bを結ぶ回線があり、x[byte]の情報をy[sec]で伝送したとすると、この2拠点間の回線空き帯域ΔB(A,B)は次式(24)で定義される。
ΔB(A,B)=x/y[byte/sec]…式(24)
【0188】
上式(24)で定義した2拠点間の回線空き帯域はtracerouteプログラムを使用して算出することができる。tracerouteプログラムを用いることで、拠点Aに属するtracerouteプログラム実行端末から拠点Bに属する端末までのラウンド・トリップ・タイム(RTT)を取得することができる。あとはtracerouteプログラムが送受信するパケットサイズを知ることができれば上式(24)に基づいて回線空き帯域を算出することができるが、LinuxOS上で動作するtraceroute(バージョン1.4a5)の場合には、送信パケットサイズの変更および同一TTLを用いたパケット送信回数の指定が可能であり、受信パケットサイズが固定であることから、同一TTLを用いたパケットをN回(N≧1)送出したとし、n回目(1≦n≦N)に送出したパケットサイズ[byte]をg(n)、n回目に送出したパケットに対する応答として受信したパケットサイズ[byte]をb(n)、n回目のパケット送受信に要した時間(RTT)をt(n)とすると、回線空き帯域ΔB(A,B)は次式で算出できる。
【数1】
【0189】
本実施例における最寄り拠点推定装置は、観測拠点Wから候補拠点Aまでの回線空き帯域ΔB(W,A)および観測拠点Wから利用者拠点Uまでの回線空き帯域ΔB(W,U)、さらに観測拠点Wから候補拠点Aまでの経路R(A)と観測拠点Wから利用者拠点Uまでの経路R(U)の共通経路長kを求めて観測拠点からの経路長がkである中継装置r(U,k)=r(A,k)までの回線空き帯域ΔB(W,r(U,k))を取得し、以下の条件に応じて候補拠点Aと利用者拠点Uとの間の回線空き帯域ΔB(A,U)を求める。
(1)ΔB(W,A)<ΔB(W,r(U,k))かつΔB(W,U)<ΔB(W,r(U,k))の場合、またはΔB(W,A)>ΔB(W,r(U,k))かつΔB(W,U)>ΔB(W,r(U,k))の場合はΔB(A,U)=Min{ΔB(W,A),ΔB(W,U)}
(2)ΔB(W,A)≧ΔB(W,r(U,k))かつΔB(W,U)<ΔB(W,r(U,k))の場合はΔB(A,U)=ΔB(W,U)
(3)ΔB(W,A)<ΔB(W,r(U,k))かつΔB(W,U)≧ΔB(W,r(U,k))の場合はΔB(A,U)=ΔB(W,A)
(4)ΔB(W,A)=ΔB(W,r(U,k))かつΔB(W,U)=ΔB(W,r(U,k))の場合はΔB(A,U)を算出するのが困難なのでΔB(A,U)=0とし、拠点Aについては候補拠点から外す。
【0190】
本実施例における最寄り拠点推定装置では、各候補拠点について上式(25)および上記条件(1)〜(4)に従って利用者拠点Uと候補拠点の間の回線空き帯域推定値を算出し、この値が大きい候補拠点ほど利用者拠点に最寄りの拠点であると定義する。
【0191】
本実施例における最寄り拠点推定装置の評価値テーブルは第一実施例の場合と同様なので、ここでの説明は割愛する。
【0192】
本実施例における経路情報テーブルを表13に示す。表13の経路情報テーブルは、観測拠点Wから候補拠点yへの経路上の観測拠点からの経路長がmである中継装置r(y,m)に対する回線空き帯域ΔB(W,r(y,m))を保持する。
【表13】
【0193】
本実施例における最寄り拠点推定処理の流れを説明する。
最寄り拠点推定処理が開始されると、最初に中継装置情報取得手段が観測拠点Wから候補拠点までの経路R(y)と、観測拠点Wから利用者拠点Uまでの経路R(U)との共通経路長kを、全候補拠点について求める。具体的には、中継装置情報取得手段はTTL値mを1から順番に用いてr(U,m)を取得し、r(U,m)を取得する度にr(U,m)とr(y,m)とを比較し、r(U,m)=r(y,m)となる間はTTL値mをインクリメントしてr(U,m)の取得を継続し、r(U,m)とr(y,m)とが等しくなったときのTTL値を用いてk=m−1で求める。
【0194】
次に中継装置情報取得手段は、観測拠点Wと利用者拠点Uの間の回線空き帯域ΔB(W,U)を求める。
【0195】
さらに中継装置情報取得手段は、前述の共通経路長kを用いて、共通経路を構成する中継装置のうち観測拠点から最も遠い中継装置r(U,k)と観測拠点との間の回線空き帯域ΔB(W,r(U,k))を求める。
【0196】
評価値更新手段は中継装置情報取得手段からΔB(W,U)、ΔB(W,r(U,k))を受け取り、観測拠点Wと候補拠点yとの間の回線空き帯域ΔB(W,y)を取得する。ここでΔB(W,y)は、観測拠点Wから候補拠点yへの経路R(y)を構成する中継装置のうち最も観測拠点からの経路長が大きい中継装置r(y,L(y))との間の回線空き帯域である。例えば、表12において観測拠点Wと候補拠点Aの間の回線空き帯域ΔB(W,A)はΔB(W,r(A,5))に相当する。よって、評価値更新手段は任意評価基準値テーブルを参照することで観測拠点から各候補拠点までの回線空き帯域ΔB(W,y)を取得することができる。
【0197】
以上の情報を用いて、評価値更新手段は次式(25)と前記条件(1)〜(4)に従って利用者拠点・候補拠点間の回線空き帯域、すなわち候補拠点yの評価値ΔB(U,y)を全候補拠点について算出し、評価値テーブルを更新する。
【0198】
評価値更新処理が終了すると、継続判断手段は同値のΔB(U,y)を持つ候補拠点が複数あるか否かを確認する。同値のΔB(U,y)を持つ候補拠点yが複数ある場合は、継続判断手段は最寄り拠点推定処理の継続を決定する。全候補拠点のΔB(U,y)が異なる場合は、継続判断手段は出力手段に制御を移行する。
【0199】
継続判断手段により最寄り拠点推定処理の継続が決定された場合は、中継装置情報取得手段は同値のΔT(U,y)を持つ候補拠点について上記処理を再度行う。
【0200】
出力手段の実現方法は第一実施例と同様である。
【0201】
本実施例のように、拠点間の回線空き帯域に基づいて最寄り拠点推定を行うことにより、利用者がサービス利用時に利便性の向上を感じやすい観点(本実施例の場合は体感速度)から最寄り拠点推定を行うことが可能となる。
【0202】
(第五実施例)
本実施例の最寄り拠点推定装置および方法は、情報処理装置であるコンピュータ装置によって実現することができる。すなわち、コンピュータ装置にインストールすることにより、そのコンピュータ装置に、本実施例の最寄り拠点推定装置に相応する機能を実現させる、あるいは、コンピュータ装置にインストールすることにより、そのコンピュータ装置に、本実施例の最寄り拠点推定方法を実行させるプログラムをコンピュータ装置にインストールすることにより、そのコンピュータ装置に、本実施例の最寄り拠点推定装置に相応する機能を実現させる、あるいは、本実施例の最寄り拠点推定方法を実行させることができる。
【0203】
本実施例のプログラムは、本実施例の記録媒体に記録されることにより、コンピュータ装置は、この記録媒体を用いて本実施例のプログラムをインストールすることができる。あるいは、本実施例のプログラムを保持するサーバからネットワークを介して直接コンピュータ装置に本実施例のプログラムをインストールすることもできる。
【0204】
これにより、コンピュータ装置を用いて、評価値更新に要する処理量を必要最小限に抑え、従来方式に比べて最寄り拠点推定の処理量を低減し、従来方式と比較して高速な最寄り拠点推定処理を可能にし、さらに、利用者がサービス利用時に利便性の向上を感じやすい観点(本発明の場合は体感速度)から最寄りの拠点推定を行うことができる最寄り拠点推定装置および方法を実現することができる。
【0205】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明の第一の効果は、候補拠点識別情報テーブルを用意することで評価値更新手段が評価値更新処理を行う際に各候補拠点毎に当該処理を行うか否かを判定できるようになり、これにより評価値更新に要する処理量を必要最小限に抑えることができ、従来方式と比較して高速な最寄り拠点推定処理が可能になることである。
【0206】
第二の効果は、テーブルを用意し、評価値更新手段が評価値更新処理の状況に応じて経路長使用状況テーブルを更新することで、以降の処理において中継装置情報取得手段が次に使用するTTL値を決定する場合に経路長使用状況テーブルを参照してTTL値を決定するために、同一のTTL値が複数回選択することに起因する無駄な評価値更新処理を行うことが無く、これによって本発明では、従来方式に比べて最寄り拠点推定の処理量を低減することができ、高速な最寄り拠点推定が可能になることである。
【0207】
第三の効果は、拠点どうしの近接度合いを判断するための距離情報として拠点間の経路の経路長以外のパラメータを用いることで、利用者がサービス利用時に利便性の向上を感じやすい観点(本発明の場合は体感速度)から最寄りの拠点推定を行うことが可能となることである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例を説明するためのサンプルネットワークを示す図。
【図2】従来方式に基づく最寄り拠点推定装置の構成図。
【図3】従来方式による最寄り拠点推定の概念図。
【図4】本実施例の評価値算出対象候補拠点選択機能を持つ最寄り拠点推定装置の構成
図。
【図5】本実施例の評価値更新に有効なTTL値選択機能を持つ最寄り拠点推定装置の
構成図。
【図6】評価値算出対象候補拠点選択機能および評価値更新に有効な経路長選択機能を
持つ最寄り拠点推定装置の構成図。
【図7】本実施例のネットワーク遅延時間に基づく評価値更新機能を持つ最寄り拠点推
定装置の構成図。
【図8】本実施例を説明するためのサンプルネットワークを示す図。
【図9】本実施例の任意評価基準値に基づく最寄り拠点推定の概念図。
【図10】本実施例の回線空き帯域情報に基づく評価値更新機能を持つ最寄り拠点推定装
置の構成図。
【符号の説明】
R0〜R9 中継装置
A〜C 候補拠点(サーバ)
U 利用者拠点
W 観測拠点
Claims (22)
- 観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、
観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択する手段を備え、
この選択する手段は、
候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶する手段と、
この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を記憶する経路情報テーブルと、
観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、
評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、
候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として保持する評価値テーブルと、
観測拠点から利用者拠点への経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、
この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、
中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、
終了条件が満たされていると前記継続判断手段が判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力する出力手段と
を備えた最寄り拠点推定装置において、
候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を記憶する候補拠点識別情報テーブルを備え、
この候補拠点識別情報テーブルは各候補拠点について当該候補拠点が評価値更新処理の対象であることを示す情報を候補拠点識別情報の初期値とする手段を含み、
前記評価値更新手段は、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に評価値更新処理を行う手段を含み、
前記継続判断手段は、各候補拠点の利用者拠点との前記共通経路の経路長が一意に特定されている場合には当該候補拠点の最小評価値と最大評価値とを当該候補拠点の評価値と等しい値と定義し、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に終了条件判定処理を行い、選択する拠点数をNとしてN番目に小さな最大評価値よりも大きい最小評価値を持つ候補拠点が存在する場合には前記候補拠点識別情報テーブル中の当該拠点に関する候補拠点識別情報を評価値更新処理対象外を示す情報に変更する手段を含む
ことを特徴とする最寄り拠点推定装置。 - 観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、
観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択する手段を備え、
この選択する手段は、
候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶する手段と、
この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を記憶する経路情報テーブルと、
観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、
評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、
候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として保持する評価値テーブルと、
観測拠点から利用者拠点への経路上に存在する中継装置であって観測拠点から指定した経路長だけ離れている中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、
この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、
中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、
終了条件が満たされていると前記継続判断手段が判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力する出力手段と
を備えた最寄り拠点推定装置において、
中継装置情報取得手段が観測拠点から利用者拠点への経路上で観測拠点から経路長がkだけ離れた点またはその点の近傍に位置する中継装置識別情報の取得に用いる経路長kの使用状況(使用済または未使用)を示す経路長使用状況情報を保持する経路長使用状況テーブルを備え、
この経路長使用状況テーブルは経路長kが取り得る全ての値について経路長kの経路長使用状況情報を未使用を意味する値に初期化する手段を含み、
前記中継装置情報取得手段は経路長kを決定する際に、前記経路長使用状況テーブルを参照して当該経路長kの経路長使用状況が未使用を意味する情報になっている経路長kを選択する手段を含み、
前記評価値更新手段は、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最大評価値が更新された場合には(k−1)以下の経路長全てについて、前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更し、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最小評価値が更新された場合には(k+1)以上の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更する手段を含む
ことを特徴とする最寄り拠点推定装置。 - 観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、
観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択する手段を備え、
この選択する手段は、
候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶する手段と、
この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を記憶する経路情報テーブルと、
観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、
評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、
候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として保持する評価値テーブルと、
観測拠点から利用者拠点への経路上に存在する中継装置であって観測拠点から指定した経路長だけ離れている中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得手段と、
この中継装置情報取得手段が中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新手段と、
中継装置情報取得手段が取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断手段と、
終了条件が満たされていると前記継続判断手段が判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力する出力手段と
を備えた最寄り拠点推定装置において、
候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を記憶する候補拠点識別情報テーブルを備え、
この候補拠点識別情報テーブルは、各候補拠点について当該候補拠点が評価値更新処理の対象であることを示す情報を候補拠点識別情報の初期値とする手段を含み、
前記中継装置情報取得手段が観測拠点から利用者拠点への経路上で観測拠点から経路長kだけ離れた点またはその点の近傍に位置する中継装置識別情報の取得に用いる経路長kの使用状況(使用済または未使用)を示す経路長使用状況情報を保持する経路長使用状況テーブルを備え、
この経路長使用状況テーブルは経路長kが取り得る全ての値について経路長kの経路長使用状況情報を未使用を意味する値に初期化する手段を含み、
前記中継装置情報取得手段は経路長kを決定する際に、前記経路長使用状況テーブルを参照して当該経路長kの経路長使用状況情報が未使用を意味する情報になっている経路長kを選択する手段を含み、
前記評価値更新手段は、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最大評価値が更新された場合には(k−1)以下の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更し、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最小評価値が更新された場合には(k+1)以上の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更する手段を含み、
前記継続判断手段は、各候補拠点の利用者拠点との前記共通経路の経路長が一意に特定されている場合には当該候補拠点の最小評価値と最大評価値とを当該候補拠点の評価値と等しい値と定義し、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に終了条件判定処理を行い、終了条件が満たされない場合には選択する拠点数をNとしてN番目に小さな最大評価値よりも大きい最小評価値を持つ候補拠点が存在する場合には前記候補拠点識別情報テーブルの中の当該拠点に関する候補拠点識別情報を評価値更新処理対象外を示す情報に変更する手段を含む
ことを特徴とする最寄り拠点推定装置。 - 前記距離を、観測拠点からの経路長以外の指標に基づいて、あるいは観測拠点からの経路長とそれ以外の指標の組合せに基づいて定義される情報であると定義する請求項1ないし3のいずれかに記載の最寄り拠点推定装置。
- 前記距離情報として回線帯域情報を用い、前記利用者拠点から前記候補拠点までの回線帯域情報推定値が大きいほど当該候補拠点が前記利用者拠点に最寄りであると判断する手段を備えた請求項4記載の最寄り拠点推定装置。
- 前記回線帯域情報とは、前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までの経路上に存在する隣り合う前記中継装置間の回線の空き帯域のうち最小の空き帯域を示す情報である請求項5記載の最寄り拠点推定装置。
- 前記回線帯域情報とは、前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までの経路上に存在する隣り合う前記中継装置間の回線の回線容量のうち最小の回線容量を示す情報である請求項5記載の最寄り拠点推定装置。
- 前記評価値更新手段は、
前記観測拠点Wから前記利用者拠点Uまでの回線帯域情報p(W,U)、前記観測拠点から前記各候補拠点までの回線帯域情報p(W,y)、前記観測拠点から前記共通最遠装置cまでの回線帯域情報p(W,c)に基づき前記各候補拠点について
(1)p(W,y)<p(W,c)かつp(W,U)<p(W,c)、またはp(W,y)>p(W,c)かつp(W,U)>p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=Min{p(W,y),p(W,U)}とし、
(2)p(W,y)≧p(W,c)かつp(W,U)<p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=p(W,U)とし、
(3)p(W,y)<p(W,c)かつp(W,U)≧p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=p(W,y)とし、
(4)p(W,y)=p(W,c)かつp(W,U)=p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間回線帯域情報p(U,y)は算出困難なので他の方法にしたがって最寄り拠点推定処理を行うように判断する手段を含む
請求項6または7記載の最寄り拠点推定装置。 - 距離情報としてネットワーク遅延揺らぎを用い、前記利用者拠点から前記候補拠点までのネットワーク遅延揺らぎ推定値が小さいほど当該拠点候補が前記利用者拠点に最寄りであると判断する手段を備えた請求項4記載の最寄り拠点推定装置。
- 前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までのネットワーク遅延揺らぎとは、
前記観測拠点から当該候補拠点または当該中継装置へネットワーク遅延揺らぎ測定用の適当なデータを送信してから当該送信データに対する応答データを受信するまでのラウンドトリップタイムをx回(x>1)取得した結果に基づいて求められる分散値あるいは標準偏差値に基づく値である
請求項9記載の最寄り拠点推定装置。 - 観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、
観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択するステップを実行し、
この選択するステップを実行する際には、
候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶するステップと、
この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を経路情報テーブルとして記憶するステップと、
観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、
評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、
候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として評価値テーブルに保持するステップと、
観測拠点から利用者拠点への経路上の中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得ステップと、
この中継装置情報取得ステップにより中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新ステップと、
中継装置情報取得ステップにより取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断ステップと、
終了条件が満たされていると前記継続判断ステップにより判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力するステップと
を実行する最寄り拠点推定方法において、
候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を候補拠点識別情報テーブルとして記憶するステップを実行し、
この候補拠点識別情報テーブルの各候補拠点について当該候補拠点が評価値更新処理の対象であることを示す情報を候補拠点識別情報の初期値とするステップを実行し、
前記評価値更新ステップを実行する際には、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に評価値更新処理を行うステップを実行し、
前記継続判断ステップを実行する際には、各候補拠点の利用者拠点との前記共通経路の経路長が一意に特定されている場合には当該候補拠点の最小評価値と最大評価値とを当該候補拠点の評価値と等しい値と定義し、候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に終了条件判定処理を行い、選択する拠点数をNとしてN番目に小さな最大評価値よりも大きい最小評価値を持つ候補拠点が存在する場合には候補拠点識別情報テーブル中の当該拠点に関する候補拠点識別情報を評価値更新処理対象外を示す情報に変更するステップを実行する
ことを特徴とする最寄り拠点推定方法。 - 観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、
観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択するステップを実行し、
この選択するステップを実行する際には、
候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶するステップと、
この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を経路情報テーブルとして記憶するステップと、
観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、
評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、
候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として評価値テーブルに保持するステップと、
観測拠点から利用者拠点への経路上に存在する中継装置であって観測拠点から指定した経路長だけ離れている中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得ステップと、
この中継装置情報取得ステップにより中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新ステップと、
前記中継装置情報取得ステップにより取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断ステップと、
終了条件が満たされていると前記継続判断ステップにより判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力するステップと
を実行する最寄り拠点推定方法において、
前記中継装置情報取得ステップにより観測拠点から利用者拠点への経路上で観測拠点から経路長がkだけ離れた点またはその点の近傍に位置する中継装置識別情報の取得に用いる経路長kの使用状況(使用済または未使用)を示す経路長使用状況情報を経路長使用状況テーブルとして保持するステップを実行し、
この経路長使用状況テーブルの経路長kが取り得る全ての値について経路長kの経路長使用状況情報を未使用を意味する値に初期化するステップを実行し、
前記中継装置情報取得ステップにより経路長kを決定する際に、前記経路長使用状況テーブルを参照して当該経路長kの経路長使用状況が未使用を意味する情報になっている経路長kを選択するステップを実行し、
前記評価値更新ステップを実行する際に、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最大評価値が更新された場合には(k−1)以下の経路長全てについて、前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更し、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最小評価値が更新された場合には(k+1)以上の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更するステップを実行する
ことを特徴とする最寄り拠点推定方法。 - 観測拠点と、利用者端末が収容される利用者拠点と、1つ以上の候補拠点が定義されたコンピュータネットワークに適用され、
観測拠点に設置されて利用者拠点の識別情報を入力情報として受け付け利用者拠点と各候補拠点の近接度合いを推定して利用者拠点に対する最寄り拠点を候補拠点の中から選択するステップを実行し、
この選択するステップを実行する際には、
候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上の中継装置の識別情報リストを記憶するステップと、
この識別情報リストに記憶された中継装置の識別情報それぞれについて観測拠点から当該中継装置までの距離情報を経路情報テーブルとして記憶するステップと、
観測拠点から利用者拠点への経路と観測拠点からある候補拠点への経路との共通部分を利用者拠点と当該候補拠点との共通経路と定義し、
評価値とは、この共通経路の経路長に基づいて定義され利用者拠点と当該候補拠点との近接度合いを示す値と定義し、
候補拠点それぞれについて、前記共通経路の経路長が一意に特定できる場合は前記評価値を、前記共通経路の経路長が一意に特定できずにその取り得る範囲のみが特定できる場合には前記取り得る範囲に対応する前記評価値の最小値を最小評価値、最大値を最大評価値とし、この最小評価値と最大評価値とを評価値情報として評価値テーブルに保持するステップと、
観測拠点から利用者拠点への経路上に存在する中継装置であって観測拠点から指定した経路長だけ離れている中継装置の識別情報を取得する中継装置情報取得ステップと、
この中継装置情報取得ステップにより中継装置の識別情報を1つ取得する毎に当該中継装置を第一の中継装置とし、候補拠点それぞれについて観測拠点から当該候補拠点への経路上にあり且つ第一の中継装置と同じだけ観測拠点から離れている第二の中継装置の識別情報を前記経路情報テーブルを参照して取得し、第一の中継装置の識別情報と第二の中継装置の識別情報とに基づいて両中継装置が同一であるか否かを判定し、この判定結果と観測拠点から第一および第二の中継装置までの距離情報と前記評価値テーブルが保持している当該候補拠点の評価値情報とを用いて前記共通経路長を再計算し、前記共通経路長が特定可能であるかまたは前記共通経路長の取り得る範囲が特定可能であるか否かを判定し、特定可能である場合には前記評価値または前記最小評価値と最大評価値を再計算して当該候補拠点の評価値情報を更新する評価値更新ステップと、
中継装置情報取得ステップにより取得した1つの中継装置の識別情報に基づく前記評価値テーブルの更新処理が完了する毎に前記評価値テーブルの内容に基づいて判定可能なように予め定義された終了条件が満たされているか否かを判定し、この終了条件が満たされていない場合には観測拠点から利用者拠点への経路上の未取得の中継装置の識別情報をさらに順次取得するように指示する継続判断ステップと、
終了条件が満たされていると前記継続判断ステップにより判断した場合には前記評価値テーブルが保持している各候補拠点の最大評価値の大小関係にしたがって利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値が等しい候補拠点については最小評価値の大小関係に従って利用者拠点と各候補拠点との近接度合いを判定し、最大評価値または最小評価値が小さな候補拠点から優先的に候補拠点を選択して選択された拠点を示す拠点選択情報を出力するステップと
を実行する最寄り拠点推定方法において、
候補拠点それぞれについて当該候補拠点が評価値更新処理の対象であるか否かを示す候補拠点識別情報を候補拠点識別情報テーブルとして記憶するステップを実行し、
この候補拠点識別情報テーブルの各候補拠点について当該候補拠点が評価値更新処理の対象であることを示す情報を候補拠点識別情報の初期値とするステップを実行し、
前記中継装置情報取得ステップにより観測拠点から利用者拠点への経路上で観測拠点から経路長kだけ離れた点またはその点の近傍に位置する中継装置識別情報の取得に用いる経路長kの使用状況(使用済または未使用)を示す経路長使用状況情報を経路使用状況テーブルに保持するステップを実行し、
この経路長使用状況テーブルの経路長kが取り得る全ての値について経路長kの経路長使用状況情報を未使用を意味する値に初期化するステップを実行し、
前記中継装置情報取得ステップは経路長kを決定する際に、経路長使用状況テーブルを参照して当該経路長kの経路長使用状況情報が未使用を意味する情報になっている経路長kを選択するステップを実行し、
前記評価値更新ステップを実行する際に、前記候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最大評価値が更新された場合には(k−1)以下の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更し、経路長kを用いて取得した中継装置識別情報に基づいて評価値更新処理を行った際に全候補拠点の最小評価値が更新された場合には(k+1)以上の経路長全てについて前記経路長使用状況テーブルが保持している当該経路長の経路長使用状況情報を使用済みを意味する情報に変更するステップを実行し、
前記継続判断ステップを実行する際に、各候補拠点の利用者拠点との前記共通経路の経路長が一意に特定されている場合には当該候補拠点の最小評価値と最大評価値とを当該候補拠点の評価値と等しい値と定義し、候補拠点識別情報テーブルが評価値更新処理対象であると示す候補拠点のみを対象に終了条件判定処理を行い、終了条件が満たされない場合には選択する拠点数をNとしてN番目に小さな最大評価値よりも大きい最小評価値を持つ候補拠点が存在する場合には候補拠点識別情報テーブルの中の当該拠点に関する候補拠点識別情報を評価値更新処理対象外を示す情報に変更するステップを実行する
ことを特徴とする最寄り拠点推定方法。 - 前記距離を、観測拠点からの経路長以外の指標に基づいて、あるいは観測拠点からの経路長とそれ以外の指標の組合せに基づいて定義される情報であると定義する請求項11ないし13のいずれかに記載の最寄り拠点推定方法。
- 前記距離情報として回線帯域情報を用い、前記利用者拠点から前記候補拠点までの回線帯域情報推定値が大きいほど当該候補拠点が前記利用者拠点に最寄りであると判断するステップを実行する請求項14記載の最寄り拠点推定方法。
- 前記回線帯域情報とは、前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までの経路上に存在する隣り合う前記中継装置間の回線の空き帯域のうち最小の空き帯域を示す情報である請求項15記載の最寄り拠点推定方法。
- 前記回線帯域情報とは、前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までの経路上に存在する隣り合う前記中継装置間の回線の回線容量のうち最小の回線容量を示す情報である請求項15記載の最寄り拠点推定方法。
- 前記評価値更新ステップを実行する際に、
前記観測拠点Wから前記利用者拠点Uまでの回線帯域情報p(W,U)、前記観測拠点から前記各候補拠点までの回線帯域情報p(W,y)、前記観測拠点から前記共通最遠装置cまでの回線帯域情報p(W,c)に基づき前記各候補拠点について
(1)p(W,y)<p(W,c)かつp(W,U)<p(W,c)、またはp(W,y)>p(W,c)かつp(W,U)>p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=Min{p(W,y),p(W,U)}とし、
(2)p(W,y)≧p(W,c)かつp(W,U)<p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=p(W,U)とし、
(3)p(W,y)<p(W,c)かつp(W,U)≧p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間の回線帯域情報p(U,y)をp(U,y)=p(W,y)とし、
(4)p(W,y)=p(W,c)かつp(W,U)=p(W,c)ならば当該候補拠点yと前記利用者拠点との間回線帯域情報p(U,y)は算出困難なので他の方法にしたがって最寄り拠点推定処理を行うように判断するステップを実行する
請求項16または17記載の最寄り拠点推定方法。 - 距離情報としてネットワーク遅延揺らぎを用い、前記利用者拠点から前記候補拠点までのネットワーク遅延揺らぎ推定値が小さいほど当該拠点候補が前記利用者拠点に最寄りであると判断するステップを実行する請求項14記載の最寄り拠点推定方法。
- 前記観測拠点から前記利用者拠点または前記候補拠点または前記中継装置までのネットワーク遅延揺らぎとは、
前記観測拠点から当該候補拠点または当該中継装置へネットワーク遅延揺らぎ測定用の適当なデータを送信してから当該送信データに対する応答データを受信するまでのラウンドトリップタイムをx回(x>1)取得した結果に基づいて求められる分散値あるいは標準偏差値に基づく値である
請求項19記載の最寄り拠点推定方法。 - 情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、請求項1ないし10のいずれかに記載の最寄り拠点推定装置に相応する機能を実現させることを特徴とするプログラム。
- 請求項21記載のプログラムが記録された前記情報処理装置読み取り可能な記録媒体。
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