JP3810934B2 - 計算機ホログラムおよびその作成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はホログラムの作成方法に関し、特に、計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を形成してなる計算機ホログラムを作成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、レーザを利用してコヒーレント光を容易に得ることができるようになり、ホログラムの商業的な利用もかなり普及するに至っている。特に、金券やクレジットカードについては、偽造防止の観点から、媒体の一部にホログラムを形成するのが一般化してきている。
【0003】
現在、商業的に利用されているホログラムは、光学的な手法により、原画像を媒体上に干渉縞として記録したものである。すなわち、原画像を構成する物体を用意し、この物体からの光と参照光とを、レンズなどの光学系を用いて感光剤が塗布された記録面上に導き、この記録面上に干渉縞を形成させるという手法を採っている。この光学的な手法は、鮮明な再生像を得るために、かなり精度の高い光学系を必要とするが、ホログラムを得るための最も直接的な手法であり、産業上では最も広く普及している手法である。
【0004】
一方、計算機を用いた演算により記録面上に干渉縞を形成させ、ホログラムを作成する手法も知られており、このような手法で作成されたホログラムは、一般に「計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram )」、あるいは単に「計算機ホログラム」と呼ばれている。この計算機ホログラムは、いわば光学的な干渉縞の生成プロセスをコンピュータ上でシミュレーションすることにより得られるものであり、干渉縞パターンを生成する過程は、すべてコンピュータ上の演算として行われる。このような演算によって干渉縞パターンの画像データが得られたら、この画像データに基づいて、実際の媒体上に物理的な干渉縞が形成される。具体的には、たとえば、コンピュータによって作成された干渉縞パターンの画像データを電子線描画装置に与え、媒体上で電子線を走査することにより物理的な干渉縞を形成する方法が実用化されている。
【0005】
コンピュータグラフィックス技術の発展により、印刷業界では、種々の画像をコンピュータ上で取り扱うことが一般化しつつある。したがって、ホログラムに記録すべき原画像も、コンピュータを利用して得られた画像データとして用意することができれば便利である。このような要求に応えるためにも、計算機ホログラムを作成する技術は重要な技術になってきており、将来は光学的なホログラム作成手法に取って代わる技術になるであろうと期待されている。このような計算機ホログラムを商用ベースで利用するための技術は、たとえば、特開平9−319290号公報、特開平10−123919号公報、特開平9−024539号公報、特開平11−024540号公報、特開平11−024541号公報、特開平11−202741号公報などに開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ホログラムの原理自体は古くから知られているが、商業的製品に利用されるようになったのは、ここ20年くらいのことである。これは、ホログラムの記録および再生には、原理的にコヒーレントな光が必要になるためである。現在では、レーザーによりコヒーレント光が容易に得られるようになってきており、光学的な手法によるホログラムの作成も比較的容易に行われるようになっている。このように、ホログラムの作成時には、レーザー光のような単色光を利用して干渉縞を記録する方法が採られる。ところが、一般的な商業製品としてホログラムが提供された場合、再生時には、レーザー光のような単色光が利用されることはない。たとえば、クレジットカードなどにセキュリティ用マークとして利用されたホログラムの場合、種々の店舗における会計時に店内照明によって立体像の再生が行われることになる。通常、このような店内照明は、蛍光灯や白熱電球からの光であり、ほぼ白色光に近い。
【0007】
しかしながら、前述した計算機ホログラムについて白色光を用いて再生を行った場合、記録された干渉縞からは様々な色の再生光が分散することになり、再生像は白濁して観察されることになる。意匠上の観点からは、このような白濁再生像は好ましくない。たとえば、記録時に赤い像を記録した場合であれば、再生時にも赤い像として観察されるのが好ましく、また、記録時にカラーの像を記録した場合であれば、再生時にも記録したとおりの色合いをもったカラーの像として観察されるのが好ましい。
【0008】
そこで本発明は、白色光を用いて再生を行った場合でも、記録時の色をできるだけ再現した状態で観察が可能な計算機ホログラムを作成する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を形成してなる計算機ホログラムを作成する計算機ホログラムの作成方法において、
所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、この記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
個々の演算点について求められた干渉波の強度に応じた画素値を有する画素の集合からなる干渉波画像を記録面上に作成する段階と、
干渉波画像に基づいて、媒体上に、各画素値に応じた凹凸構造をもった物理的な干渉縞を記録する段階と、
を行うようにし、その際に、
記録面に記録された像を観察するための仮想視点と、記録面に記録された像を再生するための仮想照明とを定義し、定義した仮想照明によってホログラムを再生した場合に、特定の波長をもった再生光が仮想視点の位置で観察できる方向へ進行するように、干渉波の強度演算を行うときに各演算点に照射する参照光の角度を当該演算点の位置に応じて変えるようにして干渉縞の記録を行うようにしたものである。
【0010】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
原画像として、T色の原色により表現されたカラー画像を用意し、記録面上に複数M個の単位領域を定義し、個々の単位領域をそれぞれT分割し、第t番目(t=1〜T)の分割領域内の演算点については、第t番目の原色に対応する波長の物体光とこれと同波長の参照光との干渉縞が記録されるようにし、仮想照明によってホログラムを再生した場合に、各単位領域に記録された干渉縞の記録時の波長をもった再生光が当該単位領域から仮想視点の位置で観察できる方向へ進行するように、干渉波の強度演算を行う際に各演算点に照射する参照光の角度を当該演算点の位置に応じて変えるようにしたものである。
【0011】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
原画像および記録面にそれぞれ複数M個の単位領域を定義し、原画像上に定義されたM個の単位領域と記録面上に定義されたM個の単位領域とをそれぞれ1対1に対応させ、ある演算点について干渉波の強度を演算する際に、その演算点が所属する記録面上の単位領域に対応した原画像上の単位領域内の光源のみを考慮した演算を行うようにしたものである。
【0012】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1〜第3の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
原画像上にM本の単位線分を定義するとともに、記録面上に個々の単位線分にそれぞれ対応したM個の二次元単位領域を定義し、各二次元単位領域内に二次元的に分布する多数の演算点を定義し、
ある演算点について干渉波の強度を演算する際に、その演算点が所属する二次元単位領域に対応した単位線分上に定義された光源のみを考慮した演算を行うようにしたものである。
【0013】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第2の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
原画像上にM本の単位線分を定義し、所定の投影条件に基づいて個々の単位線分を記録面上に投影したときに得られる投影線分を記録面上で移動させることにより形成される二次元領域を、各単位線分に対応する二次元単位領域とし、この二次元単位領域を投影線分に平行な分割線でT分割することにより、各原色波長に関する干渉波強度を記録するための分割領域を形成し、第m番目(m=1〜M)の二次元単位領域内の第t番目(t=1〜T)の分割領域内の演算点について干渉波の強度を演算する際に、第m番目の二次元単位領域に対応する単位線分上に定義された点光源からの第t番目の原色に対応する波長の物体光のみを考慮した演算を行うようにしたものである。
【0014】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
XYZ三次元座標系上に原画像を定義するとともに、この座標系のXY平面上に記録面を定義し、XZ平面に平行な多数の切断面を定義し、
個々の切断面で原画像および記録面を切断したときに切り口に得られる線分を、単位線分およびその投影線分と定義し、Y軸を共通の移動方向として個々の投影線分を移動させることにより個々の二次元単位領域を定義するようにしたものである。
【0015】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
所定のピッチhで多数の切断面を定義することにより、原画像上にピッチhをもった多数の単位線分を定義するとともに、記録面上にピッチhをもった多数の投影線分を定義し、各投影線分をY軸方向にピッチhの区間幅だけ移動させることにより、幅がピッチhに等しい多数の二次元単位領域を定義し、個々の二次元単位領域を幅がピッチhの1/Tに等しいT個の分割領域に分割するようにしたものである。
【0016】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第6または第7の態様に係る計算機ホログラムの作成方法において、
仮想照明を、YZ平面に対して平行になり、記録面に対して所定角をなして入射する白色平行光線と設定し、
記録時の参照光の向きを、YZ平面に対して平行になり、記録面に対して所定の入射角をなして入射する向きとし、この入射角を記録面上における入射位置のY座標値に基づいて変化させるようにしたものである。
【0017】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1〜第8の態様に係る計算機ホログラムの作成方法によって作成された計算機ホログラムを、物理的な媒体上に記録するようにしたものである。
【0018】
(10) 本発明の第10の態様は、計算機を用いた演算を利用して、所定の媒体上にT色の原色により表現されたカラー原画像を干渉縞として記録した計算機ホログラムの記録媒体において、
ホログラムの記録面上に複数M個の単位領域が定義され、個々の単位領域はそれぞれT分割され、第t番目(t=1〜T)の分割領域内には、第t番目の原色に対応する波長の物体光とこれと同波長の参照光との干渉縞が記録されており、所定の照明によりホログラムを再生した場合に、各単位領域に記録された干渉縞の記録時の波長をもった再生光が当該単位領域から所定の視点位置で観察できる方向へ進行するように構成されるようにしたものである。
【0019】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第10の態様に係る計算機ホログラムの記録媒体において、
媒体表面にXY平面を定義した場合に、媒体をY軸方向に関してM分割することにより得られるX軸方向に細長いM個の単位領域が形成されており、かつ、各単位領域をY軸方向に関して更にT分割することにより各分割領域が形成されており、
所定の照明によりホログラムを再生した場合に、個々の単位領域の第t番目の分割領域からは第t番目の原色に対応する波長の再生光が所定の視点位置で観察できる方向へ進行するように構成されているようにしたものである。
【0020】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第10または第11の態様に係る計算機ホログラムの記録媒体において、
同一の単位領域に属する個々の点には、原画像の同一部分に関する情報が記録されており、異なる単位領域に属する個々の点には、原画像の異なる部分に関する情報が記録されているようにしたものである。
【0021】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第1〜第8の態様に係る計算機ホログラムの作成方法における干渉波画像の作成段階に至るまでの工程を、コンピュータに実行させるためのプログラムを、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録するようにしたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0023】
§1.計算機ホログラムの基本原理
図1は、一般的なホログラムの作成方法を示す原理図であり、原画像10を記録媒体20上に干渉縞として記録する方法が示されている。ここでは、説明の便宜上、図示のとおりXYZ三次元座標系を定義し、記録媒体20(説明の便宜上、厚みをもたない媒体、すなわち、記録面自体と考えることにする)がXY平面上に置かれているものとする。光学的な手法を採る場合、記録対象となる物体が原画像10として用意されることになる。この原画像10上の任意の点Pから発せられた物体光Oは、記録媒体20の全面に向けて進行する。一方、記録媒体20には、参照光Lが照射されており、物体光Oと参照光Lとの干渉縞が記録媒体20上に記録されることになる。
【0024】
記録媒体20の位置に計算機ホログラムを作成するには、原画像10、記録媒体20、参照光Lを、コンピュータ上にデータとしてそれぞれ定義し、記録媒体20上の各位置における干渉波強度を演算すればよい。具体的には、図2に示すように、原画像10をN個の点光源P1,P2,P3,…,Pi,…,PNの集合として取り扱い、各点光源からの物体光O1,O2,O3,…,Oi,…,ONが、それぞれ演算点Q(x,y)へと進行するとともに、参照光Lが演算点Q(x,y)に向けて照射されたものとし、これらN本の物体光O1〜ONと参照光Lとの干渉によって生じる干渉波の演算点Q(x,y)の位置における振幅強度を求める演算を行えばよい。物体光および参照光は、通常、単色光として演算が行われる。記録媒体20上には、必要な解像度に応じた多数の演算点を定義するようにし、これら各演算点のそれぞれについて、振幅強度を求める演算を行えば、記録媒体20上には干渉波の強度分布が得られることになる。
【0025】
このようにして、記録媒体20上に定義された個々の演算点について、それぞれ干渉波の強度値が演算できたら、個々の演算点位置に、干渉波の強度値に応じた画素値を有する画素を定義すれば、これら画素の集合からなる干渉波画像を記録媒体20上に作成することができる。この干渉波画像は、記録媒体上に得られた干渉波の強度分布を示す画像ということになる。そこで、この干渉波画像に基づいて、実際の媒体上に物理的な濃淡パターンやエンボスパターンを形成すれば、原画像10を干渉縞として記録したホログラムが作成できる。媒体上に高解像度の干渉縞を形成する手法としては、電子線描画装置を用いた描画が適している。電子線描画装置は、半導体集積回路のマスクパターンを描画する用途などに広く利用されており、電子線を高精度で走査する機能を有している。そこで、演算によって求めた干渉波の強度分布を示す画像データを電子線描画装置に与えて電子線を走査すれば、この強度分布に応じた干渉縞パターンを描画することができる。
【0026】
ただ、一般的な電子線描画装置は、描画/非描画を制御することにより二値画像を描画する機能しか有していない。そこで、演算によって求めた強度分布を二値化して二値画像を作成し、この二値画像データを電子線描画装置に与えればよい。図3は、このような二値化処理の概念図である。上述した演算により、記録媒体20上の各演算点Q(x,y)には、所定の干渉波強度(物体光と参照光との干渉波の振幅強度値)が定義されることになる。そこで、この振幅強度値に対して所定のしきい値(たとえば、記録媒体20上に分布する全振幅強度値の平均値)を設定し、このしきい値以上の強度値をもつ演算点には画素値「1」を与え、このしきい値未満の強度値をもつ演算点には画素値「0」を与えるようにし、各演算点Q(x,y)を、「1」もしくは「0」の画素値をもつ画素D(x,y)に変換すれば、多数の画素D(x,y)の集合からなる二値画像が得られる。この二値画像のデータを電子線描画装置に与えて描画を行えば、物理的な二値画像として干渉縞を描画することができる。実際には、この物理的に描画された干渉縞に基づいて、たとえばエンボス版(画素値「1」をもつ画素部分を凸部、画素値「0」をもつ画素部分を凹部とするエンボス版、あるいは凹凸の関係がその逆のエンボス版)を作成し、このエンボス版を用いたエンボス加工を行うことにより、表面に干渉縞が凹凸構造として形成されたホログラムを量産することができる。
【0027】
さて、上述のような方法により作成されたホログラムが記録された記録媒体を、理想的な条件の下で再生するには、記録時に用いた参照光Lと同一波長の光を同一方向から照射すればよい。すなわち、図1に示すような方向から再生用の照明光Lを照射し、これを記録媒体20の裏側から観察すれば、原画像10が立体再生像として観察されることになる。
【0028】
しかしながら、クレジットカード用の偽造防止マークなどとして実社会で利用されているホログラム記録媒体の場合、上述のような理想的な条件で再生されることはむしろ希である。特に、実社会における照明環境では、単色光はほとんど存在せず、自然光や照明器具からの光は、ほとんどが白色光に近いものである。このような白色光を用いて再生を行った場合、記録された干渉縞からは様々な色の再生光(再生のための照明光を記録媒体に照射した際に、記録媒体上の干渉縞に基づいて生じる光)が分散することになり、再生像は白濁して観察されることになる。
【0029】
図4は、白色光を用いた再生により白濁した再生像が得られる原理を示す側面図である。ここでは、記録媒体20上に、上述した方法によりホログラムが記録されているものとし、この記録媒体20の左側から再生用の白色照明光Lw(平面波)を角度θをもって照射した状態で、記録媒体20の右側の視点Eにおいて再生像を観察するものとする。なお、図4では、記録媒体20に対して、視点Eの反対側から白色照明光Lwを照射して再生を行っているが、クレジットカード用の偽造防止マークなどとして利用されているホログラム記録媒体の場合は、視点E側から照射された白色照明光を用いた再生が行われることになる(この場合の図は、図4に示されている白色照明光Lwを、記録媒体20に関して面対称の位置にもっていったものになる)。
【0030】
いま、白色照明光Lwの照射によって記録媒体20から生じる再生光に着目すると、白色照明光Lwには種々の波長の光が含まれているため、再生光にも種々の波長が含まれることになる。しかも、記録媒体20上の同一点から視点E側に向かう再生光の向きは、波長によってそれぞれ異なる。たとえば、記録媒体20上の3点Q1,Q2,Q3から生じる再生光のうち、三原色RGBの波長成分のみに着目すると、図4に示す例では、点Q1からは再生光R1,G1,B1が図示の方向に向かい、点Q2からは再生光R2,G2,B2が図示の方向に向かい、点Q3からは再生光R3,G3,B3が図示の方向に向かうことになる。このため、視点Eの位置には、様々な波長成分の再生光が観察されることになり、再生像は白濁したものとなってしまう。これは、視点Eの位置を動かしても同じである。
【0031】
本発明の目的は、白色光を用いて再生を行った場合でも、再生像が白濁することを防ぎ、記録時の色をできるだけ再現した状態で観察が可能なホログラムを、計算機による演算を利用して作成することにある。以下、この方法について詳述する。
【0032】
§2.本発明の基本思想
本発明を実施する上では、まず、記録媒体20に記録された像を観察するための仮想視点と、この像を再生するための仮想照明とを定義する必要がある。ここで、仮想視点とは、記録媒体20上に記録されたホログラム像の観察が行われる蓋然性のある任意の点であり、仮想照明とは、記録媒体20上に記録されたホログラム像の観察が行われる際に存在するであろうと思われる任意の照明条件(再生用の照明光の照射条件)である。もちろん、ホログラムの記録媒体を観察する際の照明条件や視点位置は、観察者が任意に決める事項であり、同じ観察者であっても観察時が変われば変わってくる事項である。ただ、当該ホログラム記録媒体の用途などを考慮すれば、比較的蓋然性の高い視点位置および照明条件を予測することは可能である。たとえば、クレジットカード用の偽造防止マークとして利用されるホログラム記録媒体であれば、クレジットカードを室内照明(主として、天井の照明器具からの照明)を用いて肉眼で観察する一般的な情景を思い浮かべれば、記録媒体の垂直上方20〜30cm程度の位置に視点を置き、記録媒体に対して45〜60°程度の角度をもった平行白色光を照射するという照明条件の下で、再生される蓋然性が高いことが予想できる。
【0033】
図5は、このような予想に基づいて設定した仮想視点および仮想照明の一例を示す側面図である。この例の場合、仮想視点Eを、記録媒体20の中心点Qから垂直上方にたとえば25cmの位置に定義し、仮想照明Mwを、記録媒体20に対して所定角度θ(たとえばθ=45°)をもって照射される平行白色光と定義している。一般的な天井照明や太陽光を用いた観察を行う場合、仮想照明Mwは図示のように、上方から下方に向かう白色の平行光線となる。なお、図5における白色照明光Lwは、記録媒体20を対称面として、仮想照明Mwに対して面対称となる光である。一般に、干渉縞を凹凸構造として記録した面に、アルミニウムなどを蒸着することにより鏡面反射の性質を有する記録媒体を作成した場合、この記録媒体に対して、仮想視点Eと同じ側から仮想照明Mwを照射して再生像を得る現象は、この記録媒体に対して仮想視点Eとは逆側から白色照明光Lwを照射して再生像を得る現象と等価になる。
【0034】
もちろん、ここで定義した仮想視点および仮想照明は、あくまでも典型的な観察形態を予想したものであり、実際にこのような形態で観察されるかどうかは不明である。そのような点において、本発明の技術は、観察時に完全なる色再現性を確保することを目的としたものではない。すなわち、観察時において、たまたま仮想照明どおりの照明条件下で、仮想視点どおりの視点位置から観察が行われた場合は、所期の設計どおりの色再現性が100%得られることになるが、照明条件や視点の位置が異なると、所期の設計どおりの色再現性が100%得られることはない。ただ、仮想視点および仮想照明にある程度近い条件で再生が行われれば、所期の設計どおりの色再現性がある程度は得られることになり、そのような意味において、本発明は実用上有用である。したがって、仮想視点および仮想照明を定義する際には、ホログラム記録媒体の用途などを考慮して、できるだけ標準的な観察状態に近い条件設定を行うようにするのが好ましい。
【0035】
図6は、本発明に係るホログラム記録媒体を理想的な観察条件で観察したときの状態を示す側面図である。図示の例は、記録媒体20の背面側から白色照明光Lw(平行光線)を所定角度θで照射し(仮想照明)、記録媒体20の正面側の所定位置にある視点E(仮想視点)から観察した状態が示されている。別言すれば、仮想照明どおりの照明条件下で再生を行い、仮想視点どおりの位置から再生像を観察した状態が示されている。また、この図では、図4に示す例と対比するために、記録媒体20上の3点Q1,Q2,Q3から生じる再生光のうち、三原色RGBの波長成分のみが描かれている。ここで各点からの再生光のうち、色Gの波長成分に着目すると、再生光G1,G2,G3のいずれもが仮想視点Eに向っていることがわかる。同一点から生じた再生光は、それぞれ波長によって進行方向が異なることになるので、各点から生じる再生光R1,R2,R3およびB1,B2,B3は、いずれも仮想視点Eから外れる方向に向かうことになる。
【0036】
図6には、説明の便宜上、3点Q1,Q2,Q3のみを示したが、ホログラムを構成する干渉縞は、記録媒体20の全面に記録されているので、記録媒体20の全面に白色照明光Lwを照射すれば、この記録媒体20の全面に分布する多数の点から仮想視点Eに向けて、それぞれ所定の波長の再生光が進行することになる。このとき、仮想視点Eには、常に色Gに相当する同一波長の再生光のみが集まるように構成しておけば、この仮想視点Eの位置に実際に視点を置いて観察する限りは、色Gからなる単色の再生像が得られる。照明光Lwが白色である以上、記録媒体20上の個々の点からは、あらゆる波長の再生光が生じることになるが、仮想視点Eの位置に向かう再生光は、いずれも色Gの波長成分のみをもった光となるからである。もちろん、実際の視点の位置を仮想視点Eの位置から離した場合や、照明光の照射条件を変えた場合には、当初の設計どおりの現象は起こらなくなる。ただ、仮想照明に近い照明環境において、仮想視点Eに近い視点位置から観察するかぎりは、ある程度、色再現性を向上させる効果が期待できることになる。すなわち、色Gをもった単色の再生像を記録する意図で作成されたホログラムからは、所期の意図どおり、色Gをもった単色の再生像が観察されやすくなる。
【0037】
ところで、図6に示すように、仮想照明どおりの照明光Lwを与えた場合に、仮想視点Eに、常に色Gの波長成分の再生光のみが集まるようなホログラム記録媒体を作成するには、一体どのような方法で記録を行えばよいのであろうか。その詳細については、§3以降で説明するが、一言で説明すれば、干渉波の強度演算を行う際に各演算点に照射する参照光の角度を当該演算点の位置に応じて変えるようにする、という手法をとるのである。
【0038】
§3.同一波長の再生光を仮想視点に集める原理
ここでは、まず、一般的なホログラムの再生時において、照明光の向きと再生光の向きとの基本的な関係を簡単に述べておく。いま、図7に示すようなモデルを考えよう。ここで、記録媒体20には、既に所定の方法で、何らかの原画像についてのホログラムが記録されているものとし、この記録媒体20に、所定の波長λ1をもった再生用の単色照明光Lλ1を角度θ1の向きに照射することにより、波長λ1をもった単色再生光Eλ1が角度θ2の向きに進行するものとする。なお、角度は、記録媒体20上の点Qに立てた法線Nの位置を基準(0°)として、図示のとおり反時計回りに定義することにする。図示の例では、角度θ2=360°(0°)となっており、単色再生光Eλ1は、法線方向に進行している。したがって、法線N上に視点を置いて、記録媒体20の方向を観察すれば、波長λ1に相当する色をもった原画像が観察できることになる。
【0039】
次に、この図7に示す記録媒体20をそのままにし(同一のホログラム記録媒体をそのまま用い)、再生用の照明光だけを変えてみると、再生光も変化する。たとえば、単色照明光Lλ1の代わりに、図8に示すように、単色照明光Lλ2を用いてみる。単色照明光Lλ2は、波長λ2をもった単色光であり、角度θ3の向きに照射されている。この場合、図示のとおり、波長λ2をもった単色再生光Eλ2が角度θ4の向きに進行することになる(図示の例では、法線Nから下方にそれている)。また、図9に示すように、波長λ3をもった単色照明光Lλ3を角度θ5の向きに照射すると、波長λ3をもった単色再生光Eλ3が角度θ6の向きに進行することになる(図示の例では、法線Nから上方にそれている)。
【0040】
このように、同一のホログラム記録媒体を用いて再生を行ったとしても、照射する照明光の波長および向きによって、得られる再生光の波長および向きは変わってくる。ただし、両者間には一定の関係がある。図10に示す関係式は、図7〜図9に示す現象に共通して適用できる関係式である。ここで、θ1,θ3,θ5は、それぞれ図7,図8,図9における照明光の入射角であり、θ2,θ4,θ6は、それぞれ図7,図8,図9における再生光の出射角である。別言すれば、この関係式は、( sin(再生光の出射角)− sin(照明光の入射角))/波長=K(定数)となることを示している。もし一定の波長の照明光のみを用いることにすれば、 sin(再生光の出射角)− sin(照明光の入射角)=定数という関係式が成り立つことになる。
【0041】
ところで、図7,図8,図9に示す各現象に用いられたホログラム記録媒体は同一の媒体であり、ホログラム記録時には、所定の入射角をもった単色参照光が利用されていたはずである。したがって、記録時に用いた参照光の角度が一定であったとしても、再生時に用いる照明光の角度を変えることにより、得られる再生光の角度を変化させることができることになる。ということは、逆に、再生時に用いる照明光の角度が一定であったとしても、記録時に用いる参照光の角度を変えることにより、得られる再生光の角度を変化させることができる。これが、本発明のひとつの着眼点である。
【0042】
ここでは、図11に示すモデルを考えてみる。このモデルは、記録媒体21上に点光源Pのホログラム像を記録する際の光学的条件を示すモデルであり、すべての光は三原色RGBのうちの色G(緑)に対応する単色光であるものとする。記録媒体21上の演算点Q(点光源Pから記録媒体21に下ろした垂線の足)については、点光源Pからの単色物体光Ogと単色参照光Lgαとの干渉波の振幅強度値が演算により求められる(記号gは色Gからなる単色光であることを示す)。ここで、単色参照光Lgαは、記録媒体21に対して角度αをなす方向から照射されている。なお、図10に示す関係式を適用するにあたっては、演算点Q上に立てた法線Nの位置を基準として反時計回りに角度を定義する必要があるが、以下の説明では、図が繁雑になるのを避けるため、参照光および照明光の入射角ならびに再生光の出射角を、媒体の記録面に対する角度で示すことにする。
【0043】
さて、図11のモデルに示すような条件でホログラムの記録を行った記録媒体21を、図12のモデルに示すような条件で再生した場合を考えてみよう。このモデルでは、図の右側から再生用の単色照明光Mgαが角度αで照射されている。この単色照明光Mgαは、記録媒体21(記録面)を対称面とすると、単色参照光Lgα(記録時に用いた参照光)と面対称になる光であり、図の右側から単色照明光Mgαを角度αで照射することは、図の左側から単色照明光Lgαを角度αで照射することと等価になる。したがって、このような再生条件では、演算点Qから生じる色Gの再生光Egは、図示のとおり、法線Nの方向に進行し、この法線N上に視点を置いて記録媒体21を観察すれば、図示された点Pの位置に色Gからなる再生像が得られることになる。
【0044】
もっとも、実用上は、前述したように、再生時に用いられる照明光は単色光にはならず、白色光に近いものとなる。図13に示すモデルは、白色照明光Mwαを用いて再生を行った場合を示すものである。この場合は、白色照明光Lwαを用いた再生と等価になる。照明光の入射角は、図12のモデルと同様にαであるが、白色光には種々の色成分が含まれているため、演算点Qから生じる再生光は、各色ごとに進行方向が異なるものとなる。ただし、記録時に用いた色Gの再生光Egの進行方向は、図12のモデルと同様に、法線Nの方向となる。色Gより波長の長い色Rの再生光Erの進行方向は法線Nより上方にそれ、色Gより波長の短い色Bの再生光Ebの進行方向は法線Nより下方にそれることになる。このように、白色照明光Mwαを用いて再生を行うと、再生光は単色にはならないが、法線N上に視点を置いて観察する限りは、色Gの再生光Egのみが観察されるので、図12のモデルにおける単色照明光を用いた再生像と同等の再生像が得られることになる。
【0045】
次に、図14に示すモデルを考えてみる。このモデルは、図11に示すモデルと同様に、記録媒体上に点光源Pのホログラム像を記録する際の光学的条件を示すモデルであり、すべての光は三原色RGBのうちの色G(緑)に対応する単色光であるものとする。図11に示すモデルとの相違点は、単色参照光の入射角度だけである。すなわち、図11に示すモデルでは、入射角αをもった単色参照光Lgαが用いられていたのに対し、図14に示すモデルでは、入射角β(β<α)をもった単色参照光Lgβが用いられている。
【0046】
この図14のモデルに示すような条件でホログラムの記録を行った記録媒体22は、図11のモデルに示すような条件でホログラムの記録を行った記録媒体21とは、明らかに異なる。すなわち、記録媒体22を、記録時と同様の条件で再生するためには、図15のモデルに示すような条件で再生を行う必要がある。この図15のモデルは、図12のモデルと同様に、単色照明光を用いてホログラムを再生する際の光学的条件を示すモデルであるが、図12に示すモデルでは、入射角αをもった単色照明光Mgαを用いて再生が行われていたのに対し、図15に示すモデルでは、入射角β(β<α)をもった単色照明光Mgβを用いた再生が行われている。ただ、いずれの場合も、演算点Qから生じる再生光Egの進行方向は法線Nの方向となり、法線N上に視点をもってきて観察すれば、原画像としての点光源Pの再生像が得られる点は変わりない。
【0047】
それでは、図14のモデルに示すような条件でホログラムの記録を行った記録媒体22を、図16のモデルに示すような条件で再生したらどうなるであろうか。図16のモデルは、図15のモデルと同様に、単色照明光を用いてホログラムを再生する際の光学的条件を示すモデルである。しかしながら、図15に示すモデルでは、入射角βをもった単色照明光Mgβを用いて再生が行われていたのに対し、図16に示すモデルでは、入射角α(β<α)をもった単色照明光Mgαを用いた再生が行われている。すなわち、記録時には、図14のモデルに示すように、角度βの方向から単色参照光を照射していたのに、再生時には、角度αの方向から単色照明光を照射したことになる。この場合、演算点Qから生じる単色再生光Egγの進行方向は、本来の方向(図示の例の場合、法線Nの方向)から角度γだけ上方にそれたものとなる。したがって、法線Nから角度γだけ上方にそれた単色再生光Egγの進行方向上に視点を置き、記録媒体22を観察すれば、原画像としての点光源Pの再生像が得られることになる。
【0048】
ここで、図12のモデルと図16のモデルとを対比すると、いずれも角度αの方向から単色照明光Mgαを照射しているにもかかわらず、前者では、法線N上に単色再生光Egが得られるのに対し、後者では、法線Nから角度γだけ上方にそれた方向に単色再生光Egγが得られることになる。両者の相違は、前者で用いた記録媒体21を作成する際には、記録時に角度αの方向から単色参照光Lgαを照射した(図11参照)のに対し、後者で用いた記録媒体22を作成する際には、記録時に角度βの方向から単色参照光Lgβを照射した(図14参照)点だけである。なお、角度α,β,γの関係は、図10に示す関係式に基づいて一義的に定まることになる(前述したように、図10に示す関係式を適用するには、法線Nの方向を0°として反時計回りに角度を定義する必要がある)。
【0049】
図17に示すモデルは、図14のモデルに示すような条件でホログラムの記録を行った記録媒体22について、角度αの方向から白色照明光Mwαを用いて再生を行った場合(あるいは、白色照明光Lwαを用いて再生を行った場合)を示している。照明光の入射角は、図16のモデルと同様にαであるが、白色光には種々の色成分が含まれているため、演算点Qから生じる再生光は、各色ごとに進行方向が異なるものとなる。ただし、記録時に用いた色Gの再生光Egγの進行方向は、図16のモデルと同様に、法線Nから角度γだけ上方にそれた方向となる。また、色Gより波長の長い色Rの再生光Erγの進行方向および色Gより波長の短い色Bの再生光Ebγの進行方向は、それぞれ色Gの再生光Egγの進行方向に対して上下にそれた方向となる。このように、白色照明光Mwαを用いて再生を行うと、再生光は単色にはならないが、再生光Egγの進行方向上に視点を置いて観察する限りは、色Gの再生光Egγのみが観察されるので、図16のモデルにおける単色照明光を用いた再生像と同等の再生像が得られることになる。
【0050】
続いて、図18に示すモデルを考えてみる。このモデルは、図11に示すモデルと同様に、記録媒体上に点光源Pのホログラム像を記録する際の光学的条件を示すモデルであり、すべての光は三原色RGBのうちの色G(緑)に対応する単色光であるものとする。図11に示すモデルとの相違点は、単色参照光の入射角度だけである。すなわち、図11に示すモデルでは、入射角αをもった単色参照光Lgαが用いられていたのに対し、図18に示すモデルでは、入射角δ(δ>α)をもった単色参照光Lgδが用いられている。
【0051】
この図18のモデルに示すような条件でホログラムの記録を行った記録媒体23は、図11のモデルに示すような条件でホログラムの記録を行った記録媒体21とは、明らかに異なる。すなわち、記録媒体23を、記録時と同様の条件で再生するためには、図19のモデルに示すような条件で再生を行う必要がある。この図19のモデルは、図12のモデルと同様に、単色照明光を用いてホログラムを再生する際の光学的条件を示すモデルであるが、図12に示すモデルでは、入射角αをもった単色照明光Mgαを用いて再生が行われていたのに対し、図19に示すモデルでは、入射角δ(δ>α)をもった単色照明光Mgδを用いた再生が行われている。ただ、いずれの場合も、演算点Qから生じる再生光Egの進行方向は法線Nの方向となり、法線N上に視点をもってきて観察すれば、原画像としての点光源Pの再生像が得られる点は変わりない。
【0052】
それでは、図18のモデルに示すような条件でホログラムの記録を行った記録媒体23を、図20のモデルに示すような条件で再生したらどうなるであろうか。図20のモデルは、図19のモデルと同様に、単色照明光を用いてホログラムを再生する際の光学的条件を示すモデルである。しかしながら、図19に示すモデルでは、入射角δをもった単色照明光Mgδを用いて再生が行われていたのに対し、図20に示すモデルでは、入射角α(δ>α)をもった単色照明光Mgαを用いた再生が行われている。すなわち、記録時には、図18のモデルに示すように、角度δの方向から単色参照光を照射していたのに、再生時には、角度αの方向から単色照明光を照射したことになる。この場合、演算点Qから生じる単色再生光Egεの進行方向は、本来の進行方向(図示の例の場合、法線Nの方向)から角度εだけ下方にそれたものとなる。したがって、法線Nから角度εだけ下方にそれた単色再生光Egεの進行方向上に視点を置き、記録媒体23を観察すれば、原画像としての点光源Pの再生像が得られることになる。
【0053】
ここで、図12のモデルと図20のモデルとを対比すると、いずれも角度αの方向から単色照明光Mgαを照射しているにもかかわらず、前者では、法線N上に単色再生光Egが得られるのに対し、後者では、法線Nから角度εだけ下方にそれた方向に単色再生光Egεが得られることになる。両者の相違は、前者で用いた記録媒体21を作成する際には、記録時に角度αの方向から単色参照光Lgαを照射した(図11参照)のに対し、後者で用いた記録媒体23を作成する際には、記録時に角度δの方向から単色参照光Lgδを照射した(図18参照)点だけである。なお、角度α,δ,εの関係は、図10に示す関係式に基づいて一義的に定まることになる(前述したように、図10に示す関係式を適用するには、法線Nの方向を0°として反時計回りに角度を定義する必要がある)。
【0054】
図21に示すモデルは、図18のモデルに示すような条件でホログラムの記録を行った記録媒体23について、角度αの方向から白色照明光Mwαを用いて再生を行った場合(あるいは、白色照明光Lwαを用いて再生を行った場合)を示している。照明光の入射角は、図20のモデルと同様にαであるが、白色光には種々の色成分が含まれているため、演算点Qから生じる再生光は、各色ごとに進行方向が異なるものとなる。ただし、記録時に用いた色Gの再生光Egεの進行方向は、図20のモデルと同様に、法線Nから角度εだけ下方にそれた方向となる。また、色Gより波長の長い色Rの再生光Erεの進行方向および色Gより波長の短い色Bの再生光Ebεの進行方向は、それぞれ色Gの再生光Egεの進行方向に対して上下にそれた方向となる。このように、白色照明光Mwαを用いて再生を行うと、再生光は単色にはならないが、再生光Egεの進行方向上に視点を置いて観察する限りは、色Gの再生光Egεのみが観察されるので、図20のモデルにおける単色照明光を用いた再生像と同等の再生像が得られることになる。
【0055】
以上述べてきた原理を利用すれば、平行な白色光を記録媒体に照明光として照射して再生を行ったときに、媒体上の多数の演算点からそれぞれ種々の波長の再生光が生じたとしても、同一波長の再生光を仮想視点に集めることが可能になる。図22は、その原理を説明する側面図である。たとえば、原画像として、3つの点光源P1,P2,P3(いずれも色Gの単色光源)が与えられ、これら点光源の像を記録媒体20にホログラムとして記録する場合を考える。実際には、記録媒体20(記録面)上には、多数の演算点が二次元的に分布して定義されることになるが、ここでは説明の便宜上、3つの演算点Q1,Q2,Q3(それぞれ、点光源P1,P2,P3から記録面上に下ろした垂線の足)のみを考えることにし、かつ、点光源P1の情報を演算点Q1のみに記録し、点光源P2の情報を演算点Q2のみに記録し、点光源P3の情報を演算点Q3のみに記録する単純な場合を考えることにする。
【0056】
既に述べたように、本発明に係る方法を実施する上では、記録時に、予め仮想視点および仮想照明を定義しておく必要がある。そこで、ここでは、仮想視点Eを図示の位置(演算点Q2に立てた法線N2上の点であって、演算点Q2から所定距離(たとえば、25cm)の位置にある点)に定義し、仮想照明を、記録面全面に対して角度α(たとえば、α=45°)の向きから照射される色Gをもった平行な単色照明光Lgαによる照明と定義することにする。
【0057】
さて、このような設定では、各演算点Q1〜Q3について、次のような演算を行って干渉波の振幅強度値を求めればよい。まず、演算点Q2については、点光源P2からの単色物体光と、角度αの向きから照射された単色参照光Lgαとの干渉波を求め、演算点Q2の位置におけるこの干渉波の振幅強度を演算すればよい。このような演算に基づいて演算点Q2に干渉縞を記録しておくと、仮想照明による再生時(角度αの向きから照射された単色照明光Lgαが用いられる)には、演算点Q2から色Gの単色再生光Egが法線N2の方向に進行することになり、仮想視点Eの位置で観察することができる(図12のモデル参照)。
【0058】
一方、演算点Q3については、点光源P3からの単色物体光と、角度βの向きから照射された単色参照光Lgβとの干渉波を求め、演算点Q3の位置におけるこの干渉波の振幅強度を演算すればよい。記録時に、角度αの向きから照射された単色参照光Lgαではなく、角度βの向きから照射された単色参照光Lgβとの干渉波を求める点が特徴である。このような演算に基づいて演算点Q3に干渉縞を記録しておくと、仮想照明による再生時(角度αの向きから照射された単色照明光Lgαが用いられる)には、演算点Q3から色Gの単色再生光Egγが法線N3より角度γだけ上方にそれた方向に進行することになり、仮想視点Eの位置で観察することができる(図16のモデル参照)。
【0059】
更に、演算点Q1については、点光源P1からの単色物体光と、角度δの向きから照射された単色参照光Lgδとの干渉波を求め、演算点Q1の位置におけるこの干渉波の振幅強度を演算すればよい。記録時に、角度αの向きから照射された単色参照光Lgαではなく、角度δの向きから照射された単色参照光Lgδとの干渉波を求める点が特徴である。このような演算に基づいて演算点Q1に干渉縞を記録しておくと、仮想照明による再生時(角度αの向きから照射された単色照明光Lgαが用いられる)には、演算点Q1から色Gの単色再生光Egεが法線N1より角度εだけ下方にそれた方向に進行することになり、仮想視点Eの位置で観察することができる(図20のモデル参照)。
【0060】
なお、図22では、再生時に単色照明光Lgαを用いた再生を行う例を示したが、再生時に白色照明光Lwα(記録面に対して角度αの向きに照射される白色の平行光)を用いた場合であっても、仮想視点Eには、常に色Gの再生光のみが集まることになり、色Gをもった単色原画像が再生されることになる。
【0061】
また、実際には、記録媒体20上には多数の演算点が二次元的に分散して定義されることになるので、図22における点Q1〜点Q2の間および点Q2〜点Q3の間にも多数の演算点が定義されることになる。これら各演算点についての演算を行う際には、それぞれ参照光の入射角度を所定の値(角度αの向きから白色照明光Lwαを照射した場合に、色Gの再生光が仮想視点Eに向かうような適切な値)に設定するようにすればよい。具体的には、演算点が点Q1〜点Q2に移動するにしたがって、参照光の角度がδ〜αに徐々に変化するようにし、演算点が点Q2〜点Q3に移動するにしたがって、参照光の角度がα〜βに徐々に変化するようにすればよい。なお、図22において紙面に垂直な方向に並んでいる多数の演算点については、同一の参照光角度を設定した演算を行えばよい。たとえば、演算点Q1の位置において紙面に垂線を立てた場合、この垂線上に並んでいる多数の演算点については、いずれも角度δをなす参照光を用いた演算を行えばよい。
【0062】
以上の基本原理を、図1に示す斜視図で説明すると次のようになる。まず、図1に示すように、XYZ三次元座標系において、XY平面上に記録媒体20(記録面)を定義し、この記録面上に原画像10の像をホログラムとして記録する場合を考える。この場合、まず、再生時に照明光として用いられる仮想照明を、YZ平面に対して平行になり、記録面に対して共通の角度をなして入射する白色平行光線と設定する。一方、記録時の参照光Lの向きも、YZ平面に対して平行になり、記録面に対して所定の入射角をなして入射する向きとする。ただし、再生時の照明光の入射角は、記録面のいずれの位置においても同一であると仮定するのに対し、記録時の参照光Lの入射角は、記録面上における入射位置のY座標値に基づいて変化させるようにする。どのように変化させるかは、仮想視点の位置に基づいて決定されることになる。
【0063】
§4.単位領域ごとの記録
これまで、本発明に係る計算機ホログラムの作成方法の基本概念および原理を述べてきたが、実は、これまで述べてきた方法は、従来の計算機ホログラムの作成方法にそのまま適用できるわけではない。たとえば、図22に示すモデルの場合、演算点Q1には、点光源P1に関する情報のみが記録され、演算点Q2には、点光源P2に関する情報のみが記録され、演算点Q3には、点光源P3に関する情報のみが記録される、という前提での議論を行っているが、本来のホログラムでは、このような前提を行うことはできない。すなわち、本来のホログラムでは、図23に示すように、記録媒体20上の個々の演算点に、それぞれ全点光源P1〜P3に関する情報が重ねて記録されなければならない。たとえば、演算点Q1には、点光源P1からの物体光と、点光源P2からの物体光と、点光源P3からの物体光と、所定の参照光と、の干渉波が記録されていなければならない。このように、記録面上のどの部分をとっても、原画像のすべての部分の情報が記録されている、という点がホログラムの根本的な原理であり、このような原理で干渉縞の記録が行われているからこそ、視点Eを動かした場合に原画像が立体像として観察されることになる。
【0064】
これに対して、図22に示すモデルで述べた手法は、このようなホログラムの根本原理からは逸脱した手法ということになる。たとえば、演算点Q1における干渉波強度を求める演算を行う際には、角度δで入射する単色参照光Lgδを定義する必要があるが、ここで角度δは、再生時において点光源P1に関する再生光が単色再生光Egεとして仮想視点Eに向かうように設定された固有の角度(図10の関係式に基づいて算出される)である。もし、演算点Q1に、点光源P2に関する情報を記録するのであれば、再生時において点光源P2に関する再生光が単色再生光として演算点Q1から仮想視点Eに向かうように別な固有角度を設定し、この別な固有角度をもって演算点Q1の位置に入射する参照光を用いて演算を行わなくてはならない。同様に、演算点Q1に、点光源P3に関する情報を記録するのであれば、さらに別な固有角度をもって演算点Q1の位置に入射する参照光を用いて演算を行わなくてはならない。
【0065】
ところが、ホログラムを記録するためには、コヒーレントな参照光を用いる必要があり、同一の演算点に、入射角度の異なる複数の参照光を用いて干渉縞を記録することはできない。したがって、個々の演算点ごとに、それぞれ所定の固有角度をもって入射する1通りの参照光を定義せざるを得ず、本発明を適用する上では、各演算点に原画像のすべての部分の情報を記録することはできない。たとえば、図22における演算点Q1に対して、固有角度δをもった単色参照光Lgδを定義した場合、点光源P1に関する情報を演算点Q1に記録する限りにおいては、仮想照明を用いた再生時には仮想視点Eの位置に単色再生光Egεが得られることになる。ところが、点光源P2,P3に関する情報を単色参照光Lgδを用いて演算点Q1に記録した場合、仮想視点Eの位置に単色再生光を得ることができなくなる。
【0066】
結局、本発明に係る計算機ホログラムを作成するには、原画像および記録媒体をそれぞれ複数M個の単位領域に分割し、原画像上に定義されたM個の単位領域と記録媒体上に定義されたM個の単位領域とをそれぞれ1対1に対応させ、1つの演算点について干渉波の強度を演算する際には、その演算点が所属する記録媒体上の単位領域に対応した原画像上の単位領域内の光源のみを考慮した演算が行われるようにすればよい。たとえば、図22に示す例では、原画像を点光源P1近傍領域、点光源P2近傍領域、点光源P3近傍領域の3つの単位領域に分け、記録媒体20を演算点Q1近傍領域、Q2近傍領域、Q3近傍領域の3つの単位領域に分ける。そして、それぞれ対応する単位領域ごとに記録を行うようにすればよい。
【0067】
このような考え方に基づいたより具体的なホログラムの記録方法を以下に説明する。まず、図24に示すように、原画像10上の任意の点光源Piから発せられた物体光Oiが、図示のとおり水平方向(XZ平面に平行な平面内)にのみ広がると仮定する。すると、物体光Oiは、記録媒体20上の線状領域Bだけに到達することになり、記録媒体20の他の領域には、物体光Oiは一切届かないことになる。光学的な方法でホログラムを作成する場合、このように物体光の広がりを制限することは極めて困難であるが、計算機を用いてホログラムを作成する場合であれば、演算式を修正するだけで物体光を容易に制御することができる。そこで、原画像10を構成するすべての点光源から発せられる物体光について、同様の限定(物体光はXZ平面に平行な平面内にのみ広がるという限定)を付すようにする。
【0068】
図25は、上述した基本概念に基づく記録方法の具体例を示す斜視図である。この例では、原画像10および記録媒体20(記録面)を、それぞれ多数の平行線によって水平方向に分割し、多数の線状の単位領域を定義している。すなわち、図示のとおり、原画像10は、合計M個の単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMに分割されており、記録媒体20は、同じく合計M個の単位領域B1,B2,B3,…,Bm,…BMに分割されている。原画像10が立体画像の場合、各単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMは、この立体の表面部分を分割することによって得られる領域になる。ここで、原画像10上のM個の単位領域と記録媒体20上のM個の単位領域とは、それぞれが1対1の対応関係にある。たとえば、原画像10上の第m番目の単位領域Amは、記録媒体20上の第m番目の単位領域Bmに対応している。
【0069】
なお、この図25に示す例では、各単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMの幅は、原画像10上に定義された点光源のY方向のピッチに等しく設定されており、個々の単位領域は、点光源が一列に並んだ線状の領域になっている。たとえば、図示の例では、第m番目の単位領域Amには、N個の点光源Pm1〜PmNが一列に並んでいる。また、各単位領域B1,B2,B3,…,Bm,…BMの幅は、記録媒体20上に定義された演算点のY方向のピッチに等しく設定されており、個々の単位領域には、演算点が一列に並んだ線状の領域になっている。図示の演算点Q(x,ym)は、第m番目の単位領域Bm内に位置する演算点を示しており、XY座標系において座標値(x,ym)で示される位置にある。
【0070】
この例の場合、演算点Q(x,ym)についての干渉波強度は、次のようにして求められる。まず、この演算点Q(x,ym)が所属する単位領域Bmに対応する原画像10上の単位領域Amを演算対象単位領域として定める。そして、この演算対象単位領域Am内の点光源Pm1〜PmNから発せられた物体光Om1〜OmNと、参照光Lθmとによって形成される干渉波についての演算点Q(x,ym)の位置における振幅強度を求めれば、この振幅強度が、目的とする演算点Q(x,ym)についての干渉波強度である。ここで、参照光Lθmは、YZ平面に平行な単色平行光線であり、単位領域BmのY軸方向に関する位置に基づいて定まる所定角度θmをもって記録媒体20上に入射する。ここで参照光Lθmの入射角度θmは、前述したように、仮想照明および仮想視点の設定に基づいて定まり、たとえば、上端の単位領域B1についての参照光Lθ1の入射角度θ1は大きな角度δとなり、下端の単位領域BMについての参照光LθMの入射角度θMは小さな角度βとなるように設定すればよい(図22の例を参照)。
【0071】
図26は、このような演算処理の概念を説明するための上面図であり、図25に示す原画像10および記録媒体20を、図の上方から見た状態を示している。図示のとおり、演算点Q(x,ym)における干渉波強度を求めるのに必要な物体光は、演算対象単位領域Am内のN個の点光源Pm1,…,Pmi,…,PmNから発せられた物体光Om1,…,Omi,…,OmNのみに限定され、原画像10を構成する全点光源からの物体光を考慮する必要はない。こうして、記録媒体20上に定義したすべての演算点Q(x,y)について、それぞれ所定の干渉波強度を求めれば、記録媒体20上に干渉波の強度分布が得られることになる。
【0072】
以上、図24〜図26を参照しながら、原画像10上に定義された第m番目の単位領域Am上の光源の情報を、記録媒体20上に定義された第m番目の単位領域Bm上に記録する手法を述べた。この手法で述べたモデルでは、単位領域AmおよびBmは、いずれも幾何学的な線状の領域であり、点光源および演算点はいずれも一次元的に並んでいた。しかしながら、実際には、原画像10上に定義された単位領域は、面積をもたない幾何学的な線状の領域であってもかまわないが(別言すれば、点光源が一次元的に配列された領域であってもかまわないが)、記録媒体20上に定義された単位領域は、線状の領域ではなく、ある程度の幅(Y軸方向の幅)をもった二次元領域である必要がある(別言すれば、演算点が二次元的に配列された領域である必要がある)。なぜなら、記録媒体20上の単位領域には、あくまでも干渉縞が記録されねばならず、この干渉縞によって、YZ平面に平行な照明光をY軸方向に回折させる必要があるからである。要するに、記録媒体20上の単位領域には、Y軸方向に並んだ複数の演算点が定義されなければならないのである。
【0073】
そこで、実際には、図27に示す例のように、記録媒体20上にY軸方向に所定幅をもった単位領域Cmを定義し、この単位領域Cmに、原画像10上に定義された対応する単位領域Am(この例では、幅をもたない線状の単位領域であるが、Y軸方向に幅をもった二次元単位領域としてもよい。)に関する情報をホログラムとして記録するようにすればよい。具体的には、線状単位領域Am上の点光源からの物体光が、水平方向(X軸方向)だけではなく、垂直方向(Y軸方向)にも角度ξの範囲である程度広がるような設定を行えばよい。この例では、原画像10上の線状単位領域Am上には、多数の点光源が並んでおり、これらの点光源からの物体光と所定の参照光との干渉縞が、記録媒体20上に定義された単位領域Cm上の各演算点に記録されることになる。図25に示す例では、単位領域Bmが線状の領域であり、演算点が一次元的に並んでいただけであるが、図27に示す例では、図にハッチングを施して示すように、単位領域Cmは二次元の領域を形成しており、演算点が二次元的に並ぶことになる。別言すれば、図25に示す単位領域Bmが、Y軸方向の幅をもたない幾何学上の線であるのに対し、図27に示す単位領域Cmは、Y軸方向に所定幅hをもった幾何学上の平面ということになる。
【0074】
ここでは、説明の便宜上、原画像10上に定義された線状単位領域Amを「単位線分」と呼ぶことにし、記録媒体20上に定義された単位領域Cmを、この単位線分Amに対応した二次元単位領域Cmと呼ぶことにする。なお、任意形状の立体などを像として記録する場合、原画像10が任意曲面になるため、この任意曲面上に定義された単位線分は、「曲線分」を形成することになる。したがって、本明細書における「単位線分」という文言は、「直線分」だけでなく「曲線分」も含めた意味で用いることにする。
【0075】
図27に示す例では、原画像10上に複数の単位線分を定義し、記録媒体20上には、これら各単位線分にそれぞれ対応した個々の二次元単位領域が定義されている。たとえば、原画像10上に合計M本の単位線分A1,A2,A3,…,Am,…AMを定義した場合、記録媒体20上には、それぞれに対応した二次元単位領域C1,C2,C3,…,Cm,…CMが定義されることになる。そして、これら各二次元単位領域内に、二次元的に分布する多数の演算点が定義され、個々の演算点について干渉波の強度を演算する際に、その演算点が所属する二次元単位領域に対応した単位線分上に定義された点光源のみを考慮した演算を行う。
【0076】
たとえば、図27には、原画像10上に定義された第m番目の単位線分Amと、これに対応して定義された第m番目の二次元単位領域Cm(ハッチングを施した細長い矩形領域)とが示されている。ここで、二次元単位領域Cm内には、縦横二次元マトリックス状に配された多数の演算点が定義され、各演算点について、それぞれ干渉波の強度が演算されるが、その際に、単位線分Am上の点光源Pm1,Pm2,Pm3,…,Pmi,…,PmNからの物体光のみを考慮した演算が行われる。この演算は、個々の点光源に着目すれば、ある点光源Pmiから発せられた物体光のY軸方向に関する広がり角を、図27に示す所定角ξに制限した演算ということができる。この例では、物体光のX軸方向に関する広がりは制限されていないため、単位線分Am上のすべての点光源Pm1,Pm2,Pm3,…,Pmi,…,PmNから発せられた物体光は、横幅が記録媒体20の横幅に等しく、縦幅が角度ξに応じて定まる寸法hとなる矩形状の二次元単位領域Cmに照射されることになる。
【0077】
このような演算により作成された計算機ホログラムの記録媒体では、同一の単位領域に属する個々の点には、原画像の同一部分に関する情報のみが記録されていることになり、異なる単位領域に属する個々の点には、原画像の異なる部分に関する情報が記録されていることになる。たとえば、図27に示す例では、二次元単位領域Cm内の個々の演算点には、原画像の単位線分Am上の点光源に関する情報のみが記録されていることになる。また、二次元単位領域Cm内の演算点と、その下に位置する二次元単位領域C(m+1)内の演算点(図示されていない)とでは、それぞれ原画像の異なる部分(前者の場合は単位線分Am上の部分、後者の場合は単位線分A(m+1)上の部分)に関する情報が記録されていることになる。
【0078】
図25に示す例は、いわば図27に示す例における広がり角ξを0にしたものに相当し、実際には、前述したように、広がり角ξを0にしたのでは、必要な干渉縞を記録することができない(演算点が横方向にしか並ばないので、照明光をY軸方向に回折させることができない)。
【0079】
そもそも、原画像上の特定の領域を、記録面上の特定の領域内のみに記録する、という手法は、本来のホログラムの基本原理からは逸脱した手法である。既に述べたように、記録面上のどの部分をとっても、原画像のすべての部分の情報が記録されている、という点がホログラムの根本的な原理であり、このような原理で干渉縞の記録が行われているからこそ、原画像が立体像として再生されるからである。したがって、単位領域ごとに別個独立して情報を記録するという上述の手法を採ると、ホログラム本来の立体像再生が阻害されることになり、単位領域のY軸方向の幅hを狭くすればするほど、その影響は大きくなり、縦方向の立体視の効果が阻害されることになる。
【0080】
その一方で、再生時の色再現性を向上させる(白色照明光で再生した場合に、仮想視点の位置に、記録時に意図したとおりの波長の光を集合させる)という点からは、記録面上に定義された二次元単位領域のY軸方向の幅hは、できるだけ小さく設定した方が好ましい。これは、幅hをもった二次元単位領域が、再生像を眺める窓として機能するため、この窓の縦幅が広ければ広いほど、「記録時に仮想視点に集めようと意図した本来の波長」の光だけでなく、それ以外の波長の光も視点位置において観察されるようになるためである。結局、幅hを大きく設定すればするほど、視点位置における波長選択性は低下することになる。しかも、再生像の位置は、波長によってずれるため、波長選択性が低下すると、色が混じって見えるだけでなく、像がぼやける原因にもなる。このような理由から、幅hが大きくなればなるほど、再生像の色がにじんで見えたり、白濁して見えたりする好ましくない現象が顕著になる。
【0081】
結局、記録面上に定義する二次元単位領域Cmは、X軸方向に関しては、記録媒体20の横幅と同じ幅をもっていてよいが、Y軸方向に関しては、上述した議論を踏まえて、本発明に適した所定の幅に設定する必要がある。すなわち、立体像を干渉縞として記録する、というホログラム本来の趣旨からは、Y軸方向の幅hは、できるだけ大きく設定した方がよいが、再生時の色再現性を向上させる(仮想視点における波長選択性を高める)、という本発明特有の効果を奏するという趣旨からは、Y軸方向の幅hは、できるだけ小さく設定した方がよいことになる。もっとも、肉眼による波長弁別分解能は、それほど精度の高いものではないので、幅hをある程度の寸法まで大きく設定しても、肉眼観察による色再現性はさほど阻害されるものではない。また、人間の目は水平方向に2つ並んでいるため、記録媒体を観察した際、横方向の立体視の方が縦方向の立体視よりも重要であるため、縦方向の立体視に関してはある程度犠牲にしても大きな問題は生じない。そのような点からは、幅hをある程度の寸法まで小さく設定しても、肉眼観察による立体視効果はさほど阻害されるものではない。このような理由から、現実的には、幅hの寸法にはかなりの許容範囲が認められ、具体的には、h=0.4〜1000μm程度に設定すれば、本発明に係るホログラム記録媒体を実現することが十分に可能である。
【0082】
原画像10上に定義された個々の単位線分のそれぞれに対応した二次元単位領域を記録媒体20上に定義する際には、次のような手法をとればよい。まず、所定の投影条件に基づいて、原画像10上の単位線分を記録媒体20上に投影して投影線分を求める。そして、この投影線分を記録媒体20上で移動させることにより得られる二次元領域を、単位線分に対応する二次元単位領域とすればよい。たとえば、図27に示す例の場合、原画像10上に定義された単位線分AmをZ軸方向に投影すれば、投影線分Bmが求まる。そこで、この投影線分Bmを記録媒体20上でY軸方向に沿って区間幅hにわたって上下に移動させれば、図示のような矩形領域Cmが得られるので、これを単位線分Amに対応する二次元単位領域と定義すればよい。
【0083】
より具体的な実施形態を図28に示す。ここでは、XYZ三次元座標系上に定義された図28(a) に示すような任意立体形状の表面模様を原画像10として、図28(b) に示すようなXY平面上に定義された記録媒体20上に記録を行う場合を考える。まず、原画像10上に多数の単位線分を定義する。ここでは、XZ平面に平行なM枚の切断面をピッチhでY軸方向に並べるように定義し(いわば、M枚の水平面を上下方向に多層配置した構造を定義する)、これらの切断面で原画像10を切断したときに切り口に得られるM本の平行な線分を単位線分として定義している。図28(a) には、原画像10上に定義されたM本の単位線分A1,…,Am−1,Am,Am+1,…AMが示されている(既に述べたように、原画像10が曲面を構成する場合には、これら各単位線分は曲線分となる)。また、これら各単位線分上には、それぞれ所定のピッチで多数の点光源が定義される。たとえば、第m番目の単位線分Am上には、N個の点光源Pm1,…,Pmi,…PmNが定義されている。なお、点光源は必ずしも一定ピッチで定義する必要はなく、それぞれ任意の間隔で配置された点光源を用いるようにしてもかまわない。
【0084】
続いて、こうして求めたM本の単位線分A1,…,Am−1,Am,Am+1,…AMのそれぞれに対応した二次元単位領域を記録媒体20上に定義する。ここに示す例では、各単位線分A1,…,Am−1,Am,Am+1,…AMをZ軸方向(水平方向)に投影し、記録媒体20上にそれぞれ投影線分B1,…,Bm−1,Bm,Bm+1,…BM(図示されていない)を求めている(投影線分が記録媒体20の横幅よりも短い場合には、長さ方向に伸ばす処理を行っておく)。もっとも、これらの投影線分は、上述したM枚の切断面で記録媒体20を切断したときの切り口としても得ることができる。次に、これらM本の投影線分B1,…,Bm−1,Bm,Bm+1,…BMを、Y軸を共通の移動方向として上下両方向にそれぞれh/2の距離だけ移動させることにより、図28(b) に示すような二次元単位領域C1,…,Cm−1,Cm,Cm+1,…CMを求めることができる。別言すれば、記録媒体20上に定義されたM本の投影線分を、Y軸を共通の移動方向として、隣接する投影線分の移動範囲には重ならない限度で所定の距離(この例では、上下にそれぞれh/2の距離)だけ移動させることにより、M個の二次元単位領域C1,…,Cm−1,Cm,Cm+1,…CMが得られたことになる。これらの二次元単位領域は、いずれも横幅が記録媒体20の横幅に等しく、縦幅がピッチhに等しい細長い矩形になる。
【0085】
こうして、M個の二次元単位領域C1,…,Cm−1,Cm,Cm+1,…CMが定義されたら、各領域内に二次元的に分布する演算点を定義する。各演算点は、最終的に記録媒体20上に形成される干渉縞パターンの画素として機能することになる。図29は、第m番目の二次元単位領域Cm(図28にハッチングを施して示してある領域)内に、縦横マトリックス状に多数の演算点を定義した状態を示す平面図である。縦幅hの矩形内に多数の正方形が描かれているが、個々の正方形は1画素を示しており、各正方形の中心点がそれぞれ演算点として機能する。なお、1画素は、必ずしも正方形にする必要はなく、任意の矩形でもかまわない。
【0086】
このようにして定義した各演算点について、それぞれ干渉波の強度が演算されるが、既に述べたように、演算に考慮される点光源は、対応する単位線分上の点光源に限定される。たとえば、図29に示す第m番目の二次元単位領域Cm内のj列k行目の演算点Qm(j,k)についての干渉波の強度は、図28(a) に示す第m番目の単位線分Am上のN個の点光源Pm1,…,Pmi,…PmNからの物体光と、図27に示すように斜め上方から所定の角度θmで入射する参照光Lθmとの干渉によって生じる波の振幅強度として演算されることになる。図29に示されている他の演算点(各正方形の中心点)についても、同様の演算が行われ、それぞれ固有の強度値が求められる。
【0087】
こうして、記録媒体20上の全演算点について、それぞれ強度値が求められたら、これを二値化する。その結果、図29において、小さな正方形として示されている個々の画素に、白または黒のいずれかの画素値が与えられる。この画素値に基づいて、物理的な媒体上に印刷もしくはエンボス加工を施せば、原画像10が記録されたホログラム記録媒体が得られる。
【0088】
なお、記録媒体20上に定義される二次元単位領域のY軸方向の幅h(縦方向の幅)は、視覚的に認識不可能な寸法(肉眼の解像度よりも更に高い解像度を実現できる寸法)に設定するのが好ましい。これは、幅hを視覚的に認識可能な寸法に設定した場合、記録媒体20を全体的に観察した際に、二次元単位領域の境界線が肉眼で認識されてしまい、全体的に横縞模様が観察されるおそれがあるからである。前述したように、h=0.4〜1000μm程度に設定すれば、一応、本発明に係る記録媒体を実現することは可能である。ただ、h=1000μm(1mm)程度(視覚的に十分認識可能な寸法)に設定した場合、再生像に幅1mmの横縞が重なって観察されることになる。したがって、実用上は、h<100μm、より好ましくはh<50μmに設定するのがよい。この程度の寸法設定であれば、ほとんどの場合、横縞模様は認識されなくなる。これに対して、上述した実施形態では、二次元単位領域のX軸方向の幅は、記録媒体20の横幅に等しくなるため、当然、視覚的に認識可能な寸法になる。したがって、二次元単位領域は、X軸方向の幅が視覚的認識可能な寸法をもち、Y軸方向の幅が視覚的に認識不可能な寸法をもった横方向に細長い矩形になる(図示の便宜上、図面上の細長い矩形の縦横比は実際のものとは異なっている)。
【0089】
本実施形態では、具体的に次のような寸法設定を行っている。まず、記録媒体20としては、縦横それぞれ約10mmの正方形の領域を用意しており、原画像10としては、この正方形の領域とほぼ同じ寸法の像を定義している。また、幅h=20μm(視覚的に認識不可能な寸法)とすることにより、原画像10上に500本の単位線分を定義するとともに、記録媒体20上に500個の二次元単位領域を定義している。したがって、記録媒体20上に形成される1つの二次元単位領域は、横幅が約10mm,縦幅が20μmという横方向に細長い矩形の領域になる。各二次元単位領域内には、図29に示すように、多数の演算点(正方形で示された画素の中心点)が定義されるが、ここでは演算点の配置ピッチを縦横ともに0.4μmに設定している。したがって、図29に示す二次元単位領域Cm内には、縦に50個、横に25000個の演算点が定義されることになる。演算点の配置ピッチは、最終的に形成される画素の寸法に対応することになるので、画素の寸法は縦横0.4μmとなる。現在一般的に利用されている電子線描画装置で描画可能な寸法は、0.1〜0.2μm程度なので、必要に応じて演算点のピッチを、0.1〜0.2μm程度にまで小さくすることも可能である。
【0090】
§5.カラー原画像の記録
これまで述べてきた実施形態は、いずれも所定の仮想視点から観察した場合に単色再生像が得られるホログラムについてのものであった。たとえば、記録時の物体光および参照光を色Gの単色光として演算を行えば、再生時の仮想照明として白色照明光を用いたとしても、仮想視点から観察される再生像は色Gの単色再生像になる。同様に、記録時に用いる単色光を色Rにすれば色Rの単色再生像が得られ、記録時に用いる単色光を色Bにすれば色Bの単色再生像が得られる。このように、再生時に高い色再現性が得られる点が本発明の大きなメリットであるが、このメリットを利用すれば、カラー原画像を記録し、これを高い色再現性で再生することも可能である。
【0091】
まず、原画像として、T色の原色により表現されたカラー画像を用意する。通常は、T=3とし、光の3原色RGBにより表現された画像を用意すればよい。そして、§4で述べたように、記録媒体上に複数M個の単位領域を定義したら、個々の単位領域をそれぞれT分割する。たとえば、T=3の場合であれば、図30に示すように、実線で囲われた各単位領域をそれぞれ破線で示すように3分割して分割領域を形成する。ここで、分割領域C1r,C1g,C1bは、図28に示す二次元単位領域C1を分割して得られた分割領域である。なお、図28に示すように、各二次元単位領域は、原画像上に定義された単位線分を記録媒体20上に投影して得られる投影線分を、Y軸方向に幅hだけ移動させることにより得られたが、個々の分割領域は、二次元単位領域を投影線分に平行な分割線でT分割することにより形成すればよい。
【0092】
そして、第t番目(t=1〜T)の分割領域内の演算点については、第t番目の原色に対応する波長の物体光とこれと同波長の参照光との干渉縞を記録するようにする。すなわち、第1番目の分割領域C1r内の演算点についての干渉波強度を求める場合には、原画像の色Rの成分をもつ物体光と色Rの参照光との干渉波を演算することになる。同様に、第2番目の分割領域C1g内の演算点についての干渉波強度を求める場合には、原画像の色Gの成分をもつ物体光と色Gの参照光との干渉波を演算し、第3番目の分割領域C1b内の演算点についての干渉波強度を求める場合には、原画像の色Bの成分をもつ物体光と色Bの参照光との干渉波を演算することになる。別言すれば、第m番目(m=1〜M)の二次元単位領域Cm内の第t番目(t=1〜T)の分割領域Cmt内の演算点について干渉波の強度を演算する際には、第m番目の二次元単位領域Cmに対応する単位線分Am上に定義された点光源からの第t番目の原色に対応する波長の物体光のみを考慮した演算が行われることになる。
【0093】
もちろん、干渉波を演算するときに用いる参照光の入射角度は、個々の演算点のY軸方向に関する位置に応じて変えるようにし、仮想照明によってホログラムを再生した場合に、各分割領域に記録された干渉縞の記録時の波長をもった再生光が当該単位領域から仮想視点に集まるようにする。たとえば、図30に示す記録媒体を仮想照明によって再生した場合、分割領域C1rからは色Rの波長をもった再生光が仮想視点に集まるように再生され、分割領域C1gからは色Gの波長をもった再生光が仮想視点に集まるように再生され、分割領域C1bからは色Bの波長をもった再生光が仮想視点に集まるように再生される。
【0094】
本実施形態では、具体的に次のような寸法設定を行っている。まず、記録媒体20としては、縦横それぞれ約20mmの正方形の領域を用意しており、原画像10としては、この正方形の領域とほぼ同じ寸法の像を定義している。また、幅h=30μmとすることにより、原画像10上に640本の単位線分を定義している。こうして、横幅が約20mm,縦幅が30μmという横方向に細長い矩形の二次元単位領域を形成し、各二次元単位領域を更にY軸方向に3等分し、横幅が約20mm,縦幅が10μmという分割領域を形成している。各分割領域内には、それぞれ演算点が定義されるが、ここでは演算点の配置ピッチを縦0.2μm、横0.6μmに設定している。
【0095】
なお、原画像10上に640本の単位線分を定義する代わりに、10倍のピッチで64本のみを定義し、第1番目の二次元単位領域、第11番目の二次元単位領域、第21番目の二次元単位領域、第31番目の二次元単位領域、…についての演算のみを行い、第2〜10番目の二次元単位領域、第12〜20番目の二次元単位領域、第22〜30番目の二次元単位領域、第32〜40番目の二次元単位領域、…についての演算値は、それぞれ第1番目の二次元単位領域の演算値、第11番目の二次元単位領域の演算値、第21番目の二次元単位領域の演算値、第31番目の二次元単位領域の演算値、…をそれぞれ複写して用いるようにし、演算負担を軽減することもできる。
【0096】
なお、厳密な意味では、図30に示す分割領域C1r,C1g,C1bは、同一の二次元単位領域C1内の領域ではあっても、Y軸に関する位置が異なるため、記録時に用いる参照光の入射角度は、各分割領域ごとに変える必要がある。しかしながら、実用上は、幅hは1mm以下に設定されるため、分割領域C1r,C1g,C1b相互におけるY軸に関する位置変位は、記録媒体20と仮想視点Eとの距離に比べれば極めて微小である。したがって、同一の二次元単位領域内の分割領域については、参照光の入射角度を共通にしても問題は生じない。
【0097】
図31は、上述のような方法で記録されたカラー原画像を再生している状態を示す側面図である。記録媒体20には、仮想照明として設定された白色照明光Lw(YZ平面に平行な平行光線)が記録媒体20に対して角度αをもって照射されている。ここで、記録媒体20の上方に位置する分割領域C1r,C1g,C1bには、点光源P1のそれぞれ色R,G,Bの成分の情報が記録されているが、再生時には、図のように、各色成分の再生光はいずれも仮想視点Eの方向に進行することになる。これは、記録媒体20の中程に位置する分割領域Cmr,Cmg,Cmbからの再生光や、記録媒体20の下方に位置する分割領域CMr,CMg,CMbからの再生光についても同様である。結局、仮想視点Eの位置に視点を置けば、分割領域C1r,C1g,C1bからは、それぞれ点光源P1に関する色R,G,Bの再生光が得られ、分割領域Cmr,Cmg,Cmbからは、それぞれ点光源Pmに関する色R,G,Bの再生光が得られ、分割領域CMr,CMg,CMbからは、それぞれ点光源PMに関する色R,G,Bの再生光が得られることになり、点光源P1,Pm,PMから構成されるカラー原画像が高い色再現性をもって観察されることになる。
【0098】
以上、本発明を図示する実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。たとえば、記録面上に定義する個々の単位領域の大きさ、形状、配置などは、この他にも種々の設定が可能である。また、上述の実施形態では、原画像上の光源として点光源を用いているが、本発明で用いる光源は、点光源に限定されるものではなく、線光源や面光源を用いてもかまわない。
【0099】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係る計算機ホログラムの作成方法によれば、記録面上の個々の点における記録時の参照光角度を所定の条件に基づいて変えるようにしたため、白色光を用いて再生した場合であっても、高い色再現性をもったホログラム記録媒体を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なホログラムの作成方法を示す原理図であり、原画像10を記録媒体20上に干渉縞として記録する方法が示されている。
【図2】図1に示す原理に基づいて、記録媒体上の任意の点Q(x,y)における干渉波の強度を演算する方法を示す図である。
【図3】図2に示す方法で演算された干渉波の強度分布を二値画像に変換する状態を示す図である。
【図4】白色光を用いてホログラムを再生した場合に、白濁再生像が得られる原理を示す側面図である。
【図5】本発明において、再生時の仮想照明および仮想視点を設定する手法を説明するための側面図である。
【図6】本発明の基本概念に基づく再生を行っている状態を示す側面図である。
【図7】記録媒体20に記録されている像を照明光Lλ1を用いて再生した状態を示す側面図である。
【図8】記録媒体20に記録されている像を照明光Lλ2を用いて再生した状態を示す側面図である。
【図9】記録媒体20に記録されている像を照明光Lλ3を用いて再生した状態を示す側面図である。
【図10】図7〜図9に示す各角度θ1〜θ6に関する関係式を示す図である。
【図11】単色参照光Lgαを用いて記録媒体21上に点光源Pのホログラム像を記録する状態を示す側面図である。
【図12】単色照明光Mgαを用いて記録媒体21上に記録されているホログラム像を再生する状態を示す側面図である。
【図13】白色照明光Mwαを用いて記録媒体21上に記録されているホログラム像を再生する状態を示す側面図である。
【図14】単色参照光Lgβを用いて記録媒体22上に点光源Pのホログラム像を記録する状態を示す側面図である。
【図15】単色照明光Mgβを用いて記録媒体22上に記録されているホログラム像を再生する状態を示す側面図である。
【図16】単色照明光Mgαを用いて記録媒体22上に記録されているホログラム像を再生する状態を示す側面図である。
【図17】白色照明光Mwαを用いて記録媒体22上に記録されているホログラム像を再生する状態を示す側面図である。
【図18】単色参照光Lgδを用いて記録媒体23上に点光源Pのホログラム像を記録する状態を示す側面図である。
【図19】単色照明光Mgδを用いて記録媒体23上に記録されているホログラム像を再生する状態を示す側面図である。
【図20】単色照明光Mgαを用いて記録媒体23上に記録されているホログラム像を再生する状態を示す側面図である。
【図21】白色照明光Mwαを用いて記録媒体23上に記録されているホログラム像を再生する状態を示す側面図である。
【図22】本発明に係る方法で作成された記録媒体20を用いて点光源P1〜P3からなる像を再生している状態を示す側面図である。
【図23】本来のホログラム像を記録する際の物体光の進路を示す側面図である。
【図24】本発明を実施する上で、単位領域ごとに情報記録を行うホログラムの作成方法を示す斜視図であり、原画像10を記録媒体20上に干渉縞として記録する方法が示されている。
【図25】図24に示す原理に基づいて、記録媒体20上の任意の点Q(x,ym)における干渉波の強度を演算する方法を示す斜視図である。
【図26】図25に示す原画像10および記録面20を、図の上方から見た状態を示した上面図である。
【図27】本発明を実施する上で、単位領域ごとに情報記録を行うホログラムのより具体的な作成方法を示す斜視図である。
【図28】図27に示す方法を実施するために、原画像10上に定義された単位線分と、記録面20上に定義された二次元単位領域とを示す図である。
【図29】図28(b) に示されている二次元単位領域Cm内に定義された演算点(画素)のマトリックス配列を示す図である。
【図30】カラー原画像を記録するために、図28(b) に示されている二次元単位領域Cmを3分割して分割領域を形成した状態を示す平面図である。
【図31】各分割領域ごとに各色の情報を記録した記録媒体20を再生することにより、カラー再生像が得られる原理を示す側面図である。
【符号の説明】
10…原画像
20〜23…記録媒体(記録面)
A1,A2,A3,Am−1,Am,Am+1,AM…原画像上の線状単位領域/原画像上の単位線分
B,B1,B2,B3,Bm,BM…記録面上の線状単位領域/記録面上の投影線分/色Bをもった再生光
C1,C2,C3,Cm−1,Cm,Cm+1,CM…二次元単位領域
C1r,C1g,C1b,C2r,C2g,C2b,C3r,C3g,C3b,C4r,C4g,C4b,C5r,C5g,C5b,Cmr,Cmg,Cmb,CMr,CMg,CMb…分割領域
D(x,y)…二値画像を構成する画素
E…視点/仮想視点
Eλ1〜Eλ3,Er,Eg,Eb…単色再生光
Erγ,Egγ,Ebγ,Erε,Egε,Ebε…単色再生光
G1,G2,G3…色Gをもった再生光
h…二次元単位領域の縦幅/単位線分のピッチ
L,Lθ,Lθm,Lλ1〜Lλ3…単色参照光
Lgα,Lgβ,Lgδ…単色参照光
Lw,Lwα…白色照明光
Mgα,Mgβ,Mgδ…単色照明光
Mwα…白色照明光(仮想照明)
Mw…白色照明光(仮想照明)
N,N1〜N3…記録面上に立てた法線
O,O1,Oi,ON,Og,Om1,OmN…物体光
P,Pa,Pb,P1,Pi,PN,Pm,PM,Pm1,Pmi,PmN,…点光源
Q,Q1,Q2,Q3,Q(x,y),Q(x,ym),Qm,Qm(j,k),QM…演算点
R1,R2,R3…色Rをもった再生光
α,β,γ,δ,ε,θ,θ1〜θ6…参照光および照明光の入射角/再生光の出射角
ξ…物体光のY軸方向に関する広がり角

Claims (13)

  1. 計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を形成してなる計算機ホログラムを作成する方法であって、
    所定の原画像と、この原画像を記録するための記録面と、この記録面に対して照射する参照光とを定義する段階と、
    前記記録面上に多数の演算点を定義し、個々の演算点について、前記原画像上に定義された光源から発せられた物体光と、前記参照光とによって形成される干渉波の強度を演算する段階と、
    個々の演算点について求められた干渉波の強度に応じた画素値を有する画素の集合からなる干渉波画像を前記記録面上に作成する段階と、
    前記干渉波画像に基づいて、媒体上に、各画素値に応じた凹凸構造をもった物理的な干渉縞を記録する段階と、
    を有し、
    前記記録面に記録された像を観察するための仮想視点と、前記記録面に記録された像を再生するための仮想照明とを定義し、前記仮想照明によってホログラムを再生した場合に、特定の波長をもった再生光が前記仮想視点の位置で観察できる方向へ進行するように、干渉波の強度演算を行う際に各演算点に照射する参照光の角度を当該演算点の位置に応じて変えるようにして干渉縞の記録を行うことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  2. 請求項1に記載の作成方法において、
    原画像として、T色の原色により表現されたカラー画像を用意し、記録面上に複数M個の単位領域を定義し、個々の単位領域をそれぞれT分割し、第t番目(t=1〜T)の分割領域内の演算点については、第t番目の原色に対応する波長の物体光とこれと同波長の参照光との干渉縞が記録されるようにし、仮想照明によってホログラムを再生した場合に、各単位領域に記録された干渉縞の記録時の波長をもった再生光が当該単位領域から仮想視点の位置で観察できる方向へ進行するように、干渉波の強度演算を行う際に各演算点に照射する参照光の角度を当該演算点の位置に応じて変えるようにしたことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  3. 請求項1または2に記載の作成方法において、
    原画像および記録面にそれぞれ複数M個の単位領域を定義し、原画像上に定義されたM個の単位領域と記録面上に定義されたM個の単位領域とをそれぞれ1対1に対応させ、ある演算点について干渉波の強度を演算する際に、その演算点が所属する記録面上の単位領域に対応した原画像上の単位領域内の光源のみを考慮した演算を行うことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の作成方法において、
    原画像上にM本の単位線分を定義するとともに、記録面上に前記個々の単位線分にそれぞれ対応したM個の二次元単位領域を定義し、各二次元単位領域内に二次元的に分布する多数の演算点を定義し、
    ある演算点について干渉波の強度を演算する際に、その演算点が所属する二次元単位領域に対応した単位線分上に定義された光源のみを考慮した演算を行うことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  5. 請求項2に記載の作成方法において、
    原画像上にM本の単位線分を定義し、所定の投影条件に基づいて前記単位線分を記録面上に投影したときに得られる投影線分を前記記録面上で移動させることにより形成される二次元領域を、前記単位線分に対応する二次元単位領域とし、この二次元単位領域を前記投影線分に平行な分割線でT分割することにより、各原色波長に関する干渉波強度を記録するための分割領域を形成し、第m番目(m=1〜M)の二次元単位領域内の第t番目(t=1〜T)の分割領域内の演算点について干渉波の強度を演算する際に、前記第m番目の二次元単位領域に対応する単位線分上に定義された点光源からの第t番目の原色に対応する波長の物体光のみを考慮した演算を行うことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  6. 請求項5に記載の作成方法において、
    XYZ三次元座標系上に原画像を定義するとともに、この座標系のXY平面上に記録面を定義し、XZ平面に平行な多数の切断面を定義し、
    前記個々の切断面で前記原画像および前記記録面を切断したときに切り口に得られる線分を、単位線分およびその投影線分と定義し、Y軸を共通の移動方向として個々の投影線分を移動させることにより個々の二次元単位領域を定義したことを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  7. 請求項6に記載の作成方法において、
    所定のピッチhで多数の切断面を定義することにより、原画像上に前記ピッチhをもった多数の単位線分を定義するとともに、記録面上に前記ピッチhをもった多数の投影線分を定義し、各投影線分をY軸方向に前記ピッチhの区間幅だけ移動させることにより、幅がピッチhに等しい多数の二次元単位領域を定義し、個々の二次元単位領域を幅がピッチhの1/Tに等しいT個の分割領域に分割することを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  8. 請求項6または7に記載の作成方法において、
    仮想照明を、YZ平面に対して平行になり、記録面に対して所定角をなして入射する白色平行光線と設定し、
    記録時の参照光の向きを、YZ平面に対して平行になり、記録面に対して所定の入射角をなして入射する向きとし、前記入射角を記録面上における入射位置のY座標値に基づいて変化させることを特徴とする計算機ホログラムの作成方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかの作成方法によって作成された計算機ホログラムを記録した媒体。
  10. 計算機を用いた演算を利用して、所定の媒体上にT色の原色により表現されたカラー原画像を干渉縞として記録した計算機ホログラムの媒体において、
    ホログラムの記録面上に複数M個の単位領域が定義され、個々の単位領域はそれぞれT分割され、第t番目(t=1〜T)の分割領域内には、第t番目の原色に対応する波長の物体光とこれと同波長の参照光との干渉縞が記録されており、所定の照明によりホログラムを再生した場合に、各単位領域に記録された干渉縞の記録時の波長をもった再生光が当該単位領域から所定の視点位置で観察できる方向へ進行するように構成されていることを特徴とする計算機ホログラムの記録媒体。
  11. 請求項10に記載の記録媒体において、
    媒体表面にXY平面を定義した場合に、媒体をY軸方向に関してM分割することにより得られるX軸方向に細長いM個の単位領域が形成されており、かつ、各単位領域をY軸方向に関して更にT分割することにより各分割領域が形成されており、
    所定の照明によりホログラムを再生した場合に、個々の単位領域の第t番目の分割領域からは第t番目の原色に対応する波長の再生光が所定の視点位置で観察できる方向へ進行するように構成されていることを特徴とする計算機ホログラムの記録媒体。
  12. 請求項10または11に記載の記録媒体において、
    同一の単位領域に属する個々の点には、原画像の同一部分に関する情報が記録されており、異なる単位領域に属する個々の点には、原画像の異なる部分に関する情報が記録されていることを特徴とする計算機ホログラムの記録媒体。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載の計算機ホログラムの作成方法における干渉波画像の作成段階に至るまでの工程を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
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