JP4317176B2 - 計算機合成ホログラム記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、ホログラム記録媒体に関し、特に、計算機を用いた演算によって作成するのに適したホログラム記録媒体に関する。
金券やクレジットカードについての偽造防止の用途として、ホログラムが広く利用されるに至っている。通常は、偽造防止対策を施す対象となる媒体上の一部に、ホログラムを記録する領域を設け、この領域内に立体像などをホログラムの形で記録することが行われている。
現在、商業的に利用されているホログラムは、光学的な手法により、原画像を媒体上に干渉縞として記録したものである。すなわち、原画像を構成する物体を用意し、この物体からの光と参照光とを、レンズなどの光学系を用いて感光剤が塗布された記録面上に導き、この記録面上に干渉縞を形成させるという手法を採っている。この光学的な手法は、鮮明な画像を得るためにかなり精度の高い光学系を必要とするが、ホログラムを得るための最も直接的な手法であり、産業上では最も広く普及している手法である。
また、最近では、計算機を用いた演算により記録面上に干渉縞を形成させ、ホログラムを作成する手法も知られており、このような手法で作成されたホログラムは、一般に「計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram )」、あるいは単に「計算機ホログラム」と呼ばれている。この計算機ホログラムは、いわば光学的な干渉縞の生成プロセスをコンピュータ上でシミュレーションすることにより得られるものであり、干渉縞パターンを生成する過程は、すべてコンピュータ上の演算として行われる。このような演算によって干渉縞パターンの画像データが得られたら、この画像データに基いて、実際の媒体上に物理的な干渉縞が形成される。具体的には、たとえば、コンピュータによって作成された干渉縞パターンの画像データを電子線描画装置に与え、媒体上で電子線を走査することにより物理的な干渉縞を形成する方法が実用化されている。
コンピュータグラフィックス技術の発展により、印刷業界では、種々の画像をコンピュータ上で取り扱うことが一般化しつつある。したがって、ホログラムに記録すべき原画像も、コンピュータを利用して得られた画像データとして用意することができれば便利である。このような要求に応えるためにも、計算機ホログラムを作成する技術は重要な技術になってきており、将来は光学的なホログラム作成手法に取って代わる技術になるであろうと期待されている。このような計算機ホログラムに関する種々の技術は、たとえば、下記の特許文献などに開示されている。
特開平9−319290号公報 特開平10−123919号公報 特開平11−24539号公報 特開平11−24540号公報 特開平11−24541号公報 特開平11−202741号公報 特開2000−214750号公報 特開2000−214751号公報 特開2001−013858号公報 特開2001−013859号公報
本来、ホログラムは、単一波長からなる物体光および参照光の干渉縞を記録面に記録し、この干渉縞に、同じ単一波長をもった再生用照明光を照射することにより、立体像の再生を行うべきものである。しかしながら、単一波長による再生は、実験室などの特殊な環境でなければ実現不可能であり、実用上は、クレジットカードの一部などに記録されたホログラムについては、種々の波長の光が混じり合った白色照明光の下で再生されるのが一般的である。ところが、このように白色照明光の下で得られるホログラム再生像は、全体的に暗く不鮮明になるという問題がある。
そこで本発明は、観察時に明るく鮮明な印象を与えることができるホログラム記録媒体を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、第1の記録領域および第2の記録領域が互いに排他的な領域として形成されている計算機合成ホログラム記録媒体において、
第1の記録領域内には、立体像を再生する機能を有し、物体光と参照光との干渉によって生じる干渉縞を記録し、第2の記録領域内には、回折格子パターンを有する画素の集合からなる平面画像を記録するようにし、観察時に立体像と平面画像との双方が観察できるように構成し、
第1の記録領域および第2の記録領域を含む記録媒体上の領域には、平面画像を構成する個々の画素よりも小さく、かつ、二値のいずれかの画素値をもった微小単位画素の二次元配列を形成し、
平面画像を構成する個々の画素および立体像を再生する機能を有する干渉縞が、いずれも微小単位画素の集合体によって構成されているようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る計算機合成ホログラム記録媒体において、
第1の記録領域が記録媒体の中央部分に形成され、第2の記録領域がその周囲に形成され、観察時に、中央部分に立体像が表示され、その背景として平面画像が表示されるようにしたものである。
上述した各態様に係るホログラム記録媒体は、計算機を用いた演算プロセスを経て製造することができる。具体的には、このような記録媒体を製造する方法において、
立体像として記録すべき第1の原画像およびこの第1の原画像を記録するための記録面を定義する段階と、
第1の原画像上に多数の微小光源を定義する段階と、
記録面に入射する参照光を定義する段階と、
各微小光源から放出された物体光が、記録面上の一部をなす第1の記録領域内に到達するように、各物体光の広がり角を制限し、第1の記録領域内に物体光と参照光との干渉によって生じる干渉縞を演算により求める段階と、
記録面上に、第1の記録領域以外の領域として第2の記録領域を定義し、この第2の記録領域に対応する平面上に形成され、多数の画素から構成される第2の原画像を定義する段階と、
第2の原画像を構成する個々の画素に、それぞれ画素値に応じた回折格子パターンを割り付ける段階と、
第1の記録領域について求められた干渉縞と、第2の記録領域について割り付けられた回折格子パターンとを、媒体上に物理的に記録する段階と、
を行うようにすればよい。
また、上述した製造方法において、二値からなる画素値をもった微小な単位画素を定義し、この単位画素を用いて第1の記録領域に干渉縞を記録するとともに、第2の記録領域に回折格子パターンを記録するようにし、記録媒体全体を単位画素の二次元配列により構成するようにすることができる。
本発明に係るホログラム記録媒体では、同一の記録媒体上の一部の領域には立体像を再生する機能を有する干渉縞を記録し、残りの領域には回折格子パターンを有する画素の集合からなる平面画像を記録するようにしたため、立体像を記録しつつも観察時に明るく鮮明な印象を与えることができるようになる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例に係るホログラム記録媒体の観察時の一態様を示す平面図である。この例では、中央部分に鹿の形をした第1の再生像I1が表示され、その背景として第2の再生像I2が表示されている。ここで、第1の再生像I1は、ホログラム立体像として再生され、観察方向を変えることにより像の形状は変化する。一方、第2の再生像I2は、基本的には平面画像であり、観察方向を変えたとしても、その基本的な絵柄の形態は変化しない。ただ、第2の再生像I2は、単なる二次元画像ではなく、回折格子パターンを有する画素の集合から構成されており、観察方向を変えることにより、各部の明るさや色などには変化が生じることになる。このように、第2の再生像I2は、原理的には、本来のホログラム像ではなく、単なる回折格子を用いた平面画像というべきものであるが、一般の需要者がこの図1に示す記録媒体全体を観察した場合、第1の再生像I1も第2の再生像I2も、いずれも観察方向を変えると見え方に何らかの変化が生じる特殊な画像であるとの認識を抱く点では共通しているので、ここでは、第1の再生像I1を本来のホログラム像と呼び、第2の再生像I2を疑似ホログラム像と呼ぶことにし、図1に示す記録媒体全体をホログラム記録媒体と呼ぶことにする。
本発明の基本概念は、1枚のホログラム記録媒体上に、本来のホログラム像(図1の第1の再生像I1)と疑似ホログラム像(図1の第2の再生像I2)との双方を記録するという点にある。既に述べたように、本来のホログラム像は、三次元立体像としての再生が可能であるものの、白色照明光による一般的な再生環境では、再生像がかなり暗くならざるを得ない。これに対し、疑似ホログラム像は、原理的にはホログラム像ではないため、三次元立体像として再生することはできず、再生像はあくまでも二次元的な平面画像となる。しかしながら、回折格子による理想的な回折光が得られるため、白色照明光による一般的な再生環境においても、本来のホログラム像に比べて格段に明るい再生像を得ることができる。本発明は、このように本来のホログラム像と疑似ホログラム像との一長一短を相補的に利用したものである。たとえば、図1に示す例では、第1の再生像I1が立体像として提示されるため、背景となる第2の再生像I2が平面画像であっても、観察者に対しては、全体として立体像が提示されているという印象を与えることができる。しかも、第2の再生像I2の部分は比較的明るく鮮明な像として観察されるため、観察者に対しては、この記録媒体は全体的に明るく鮮明であるという印象を与えることができる。
図1に示すような提示を可能にするためには、図2に示すように、記録媒体上に第1の記録領域A1(ハッチングを施した部分)および第2の記録領域A2(ハッチングが施されていない部分)を定義し、第1の記録領域A1内には、第1の再生像I1(立体像)を再生する機能を有する干渉縞を記録し、第2の記録領域A2内には、第2の再生像I2(回折格子パターンを有する画素の集合からなる平面画像)を記録するようにすればよい。本実施形態では、コンピュータを用いた演算により、第1の記録領域A1および第2の記録領域A2内に記録すべき干渉縞および回折格子パターンのデータを作成し、このデータに基いて電子線描画装置を用いて媒体上に物理的な二値パターンを描く処理を行っている。別言すれば、本実施形態では、光学的な方法は一切不要であり、第1の再生像I1のもとになる第1の原画像および第2の再生像I2のもとになる第2の原画像は、いずれもコンピュータ上における画像データとして用意されることになる。
図2に示す第1の記録領域A1内に、第1の原画像を干渉縞として記録するには、従来の一般的な計算機ホログラムの手法を用いればよい。まず、図3に示すように、第1の原画像10を定義するとともに、この第1の原画像10を立体像として記録するための記録面20を定義する。実際には、図のようなXYZ三次元座標系を定義し、この三次元座標系上において立体像を示すデータとして第1の原画像10を用意し、二次元平面を示すデータとして記録面20を用意することになる。そして、第1の原画像10上に多数の微小光源を定義し(たとえば、第1の原画像10の表面上に縦横所定のピッチで格子状に点光源を定義すればよい)、各微小光源から発せられる物体光と参照光との干渉によって記録面20上に生じる干渉縞を演算すればよい。ここで、物体光と参照光とは、同一波長をもった単色光である。たとえば、第1の原画像10上に定義された1つの微小光源を図示のように点光源Gとすると、記録面20上の任意の1点Qについては、この点光源Gからの物体光Oと参照光Rとによって点Qの位置に生じる干渉波の強度値が演算されることになる。もちろん、点Qには、点光源Gについての情報だけでなく、他の点光源から発せられる物体光と参照光との干渉波の強度値も演算され、これら多数の演算値の合計値として、点Qの位置における最終的な干渉縞強度値が求められる。同様の演算が、記録面20上に定義された多数の演算点について行われ、この記録面20上には、干渉縞強度値の二次元分布が得られることになる。この二次元分布が、記録すべき干渉縞ということになる。
もっとも、このような干渉縞は、図2に示す第1の記録領域A1内にのみ記録されねばならないので、何らかの工夫が必要である。すなわち、図3において、点光源Gから発せられる物体光Oは、第1の原画像10の影に隠れない限り、三次元空間内の全方向へと進むので、ホログラムの基本原理に基く通常の手法を用いて干渉縞の演算を行ったとすると、記録面20上のすべての点に、点光源Gについての情報が記録されることになる。これは、第1の原画像10上の任意の1点Gの情報が、記録面20の全面に記録されるというホログラムの本質的な原理に基く性質である。ところが、本発明では、記録面20上には、第1の原画像10をホログラム画像として記録するとともに、第2の原画像を回折格子パターンとして記録する必要があり、図2に示すように、記録面20を、第1の記録領域A1と第2の記録領域A2とに分割する必要がある。ここで、第1の記録領域A1と第2の記録領域A2との境界線を全く任意に設定してしまうと、第1の再生像I1を正常に観察できなくなるおそれがあり好ましくない。
そこで本実施形態では、第1の原画像10上の各微小光源から発せられる物体光の広がり角を制限するという手法により、第1の記録領域A1として好ましい形状をもった輪郭が自然に形成されるようにしている。図4は、このような物体光の広がり角を制限する手法の原理図である。図示のように、ある点光源G(第1の原画像10上に定義された微小光源の1つ)から発せられる物体光Oに基く干渉縞の演算を行う場合、本来であれば、この物体光Oは三次元空間内の全方向へと広がり、記録面20の全面に到達するべきものであるが、図示のように、この広がり角を一定の角度以下に制限し、記録面20上にハッチングで示した特定領域S内にのみ到達するものとして取り扱うのである。図示の例では、点光源Gから記録面20へ下ろした垂線を基準として、横方向(X軸方向)に角度Ψだけ、縦方向(Y軸方向)に角度ξだけ、それぞれ広がるという設定により、記録面20上の特定領域S内にのみ、点光源Gからの物体光Oが到達するような条件が定義されている。このような条件下では、点光源Gから発せられた物体光Oは、特定領域Sを底面、点光源Gを頂点とする四角錘(この四角錘の中心軸が点光源Gから記録面20上に下ろした垂線に相当する)の中だけを進行することになる。
第1の原画像10上に定義された多数の点光源のそれぞれから発せられる物体光について、同様の条件で広がり角に制限を課するようにすれば、第1の原画像10上の全点光源から発せられる物体光は、記録面20上のある一部分の領域内にのみ到達することになる。この一部分の領域が、第1の記録領域A1となる。別言すれば、各点光源からの物体光の広がり角を制限するという条件下で、第1の原画像10のホログラム像を記録面20上に干渉縞として記録すれば、この干渉縞の記録された領域として、第1の記録領域A1が自然に定義されることになる。このように第1の記録領域A1を自然に定義すれば、第1の原画像10を再生したときに、正常に観察することができる。もっとも、物体光の広がり角を制限することにより記録されたホログラムは、再生時の視野角が狭くなるというデメリットを有する。たとえば、図4に示す例の場合、図の一点鎖線を右方向に延ばすことにより形成される四角錐の内部の空間内に視点を置いて観察しないと、点光源Gの再生像は見えなくなる。しかしながら、クレジットカードの偽造防止用マークといった用途を考慮すると、記録面20の垂直上方に視点を置いて再生像を観察するのが一般的であるので、物体光の広がり角を制限することによって大きな支障は生じない。
こうして、第1の記録領域A1が定義され、その中に描画すべき干渉縞パターンが演算により求まったら、次に、第2の記録領域A2を定義し、その中に描画すべき回折格子パターンを求める作業を行う。第2の記録領域A2は、記録面20のうち、第1の記録領域A1以外の領域として簡単に定義することができる。そこで、この第2の記録領域に対応する平面上に形成され、多数の画素から構成される第2の原画像を用意する。この第2の原画像は、図1における第2の再生像I2を提示するもとになる二次元画像であり、多数の画素を二次元的に配列してなる画像であれば、どのような画像であってもかまわない。続いて、この第2の原画像を構成する個々の画素に、それぞれ画素値に応じた回折格子パターンを割り付ける処理を行う。図5は、XY二次元平面上に定義された第2の記録領域A2内の一部に、多数の画素から構成される第2の原画像を定義し、各画素に回折格子パターンを割り付けた状態を示す平面図である。図に太線で示す正方形の領域Pが1つの画素を構成しており、図示の例では、各画素のもつ画素値に応じて3種類の回折格子パターン(それぞれ回折格子の格子線の角度が異なる)が割り付けられている。
図6は、1つの画素に割り付けられる回折格子パターンの一例を示す平面図である。この回折格子パターンでは、1つの画素Pに対応した大きさの閉領域v内に、所定の線幅dをもった格子線Lが、所定ピッチpおよび所定角度θをもって配置されている。格子線Lの線幅dおよびピッチpは、光が回折を生じるのに適した寸法値に設定される。線幅d,ピッチp、配置角度θなどのパラメータを変えることにより、種々の回折格子パターンを用意することができ、これらの回折格子パターンは、観察時にそれぞれ異なった特性を示す。図5に示す例は、格子線の配置角度θの異なる3通りの回折格子パターンを、各画素の画素値に応じて割り付けた例である。所定の視点位置において観察される各回折格子パターンからの回折光強度は、格子線の配置角度θに応じて異なるため、これら回折格子パターンを割り付けた画素の集合は、濃淡をもった二次元画像として観察されることになる。こうして観察される二次元画像は、視点位置を変えることによりその観察態様が異なり、前述したように「疑似ホログラム」というべき画像になる。もちろん、回折格子パターンとしては、格子線の配置角度のバリエーションだけでなく、格子線の線幅dやピッチpを変えたバリエーションを用意することも可能である。このように、多数の画素から構成される二次元画像の各画素に、それぞれ画素値に応じて所定の回折格子パターンを割り付け、全体として疑似ホログラムを形成する手法については、たとえば、特開平6−337622などに開示されている。
こうして、記録面20上の第1の記録領域A1内には、第1の原画像に基くホログラム像を得るための干渉縞の画像データが用意され、第2の記録領域A2内には、第2の原画像を構成する回折格子パターンの画像データが用意されることになる。この段階では、いずれもコンピュータ上での画像データであり、物理的に実体のある画像ではない。そこで、このコンピュータ上の画像データに基いて、所定の媒体上に物理的な画像を形成する工程を行う。ここで述べる実施形態では、物理的な媒体上に記録面20を定義し、電子線描画装置を用いて、この物理的な媒体上に物理的な画像を描画している。すなわち、物理的な媒体上の第1の記録領域A1に対応する領域内には、第1の原画像を示す干渉縞が描画され、第2の記録領域A2に対応する領域内には、第2の原画像を示す回折格子パターンが描画されることになる。
一般的に利用されている電子線描画装置では、電子線の照射/非照射のいずれかを選択しながら記録面上を走査し、所定の画像を描画することになる。そこで、本実施形態では、二値からなる画素値をもった微小な単位画素を定義し、この単位画素を用いて第1の記録領域A1内に干渉縞を記録するとともに、第2の記録領域A2内に回折格子パターンを記録するようにしている。たとえば、図6に示すような回折格子パターン(図5の1画素P内に割り付けられるパターン)は、図7の部分拡大図に示すように、微小な単位画素Uの集合によって構成される。この微小な単位画素Uは、電子線描画装置による描画の最小単位となる画素であり、この実施例では、一辺が0.4μmの正方形となっている。これに対し、図5に示す画素Pは、第2の原画像を構成する画素であり、この実施例では、一辺が80μmの正方形となっている。なお、第1の記録領域A1内に記録される干渉縞も、同じ寸法をもった単位画素Uで構成するのが好ましい。そのためには、記録面20上に縦横ともに0.4μmピッチで多数の演算点Qを定義し、これら各演算点Qの位置について、それぞれ干渉縞強度の演算を行い、これを二値化して二値画像を得るようにすればよい。
このように、第1の記録領域A1内に定義される干渉縞の画像および第2の記録領域A2内に定義される回折格子パターンの画像が、いずれも二値からなる画素値をもった微小な単位画素Uの集合として用意することができれば、記録面20全体を、この単位画素Uの二次元配列により構成することができるので好ましい。電子線描画装置に対しては、単位画素Uの二次元配列から構成される単一の画像(記録面20全体に対応する画像)を示すデータを与えるだけで、必要な全描画作業を行うことができる。このようにして媒体上に描画された画像は、物理的な見地からは、一辺が0.4μmの正方形からなる単位画素Uを縦横に配列した二次元二値画像であるので、マクロ的な視野で見れば、本来のホログラムが記録されている第1の記録領域A1と回折格子による疑似ホログラムが記録されている第2の記録領域A2との2つの領域から構成されるものの、ミクロ的な視野で見れば、第1の記録領域A1と第2の記録領域A2との境界に何ら不連続部は生じていないため、全体としてひとつにまとまった自然な画像になる。
最後に、図8に示す流れ図を参照しながら、本発明に係るホログラム記録媒体の製造方法の一連の手順を述べておく。まず、ステップS1において、立体像として記録すべき第1の原画像およびこの第1の原画像を記録するための記録面を定義する。上述の実施例の場合、図3に示すように、第1の原画像10および記録面20が定義されることになる。続くステップS2では、定義した第1の原画像上に多数の微小光源が定義される。上述の実施例の場合、図3に示す点光源Gのように、第1の原画像10の形状を表現するサンプル点として、多数の点光源が定義されることになる。次に、ステップS3において、参照光の定義が行われる。上述の実施例の場合、図3に示すように、記録面20に所定角度で入射する参照光Rが定義される。この参照光Rは、各点光源Gから発せられる物体光Oと同一波長の単色光であり、記録面20に対して一定の角度で入射する平行光線である。続くステップS4において、物体光の広がり角を制限することにより、第1の記録領域内に干渉縞(物体光Oと参照光Rとに基く干渉縞)を演算する。たとえば、図4に示す例では、各点光源Gから発せられる物体光Oの横方向の広がり角がΨ、縦方向の広がり角がξに制限されている。このような制限を課することにより、記録面20の一部をなす第1の記録領域A1内にのみ物体光が到達することになり、この第1の記録領域A1内についてのみ干渉縞が演算されることになる。次に、ステップS5において、第2の記録領域に応じた第2の原画像が定義される。すなわち、前段の干渉縞演算によって第1の記録領域A1が定義されるので、この第1の記録領域以外の領域として第2の記録領域A2が定義され、この第2の記録領域A2に対応する平面上に形成され、多数の画素から構成される第2の原画像が用意される。そして、ステップS6において、この第2の原画像を構成する個々の画素に、それぞれ画素値に応じた回折格子パターンが割り付けられ、たとえば、図5に示すような割付結果が得られる。最後のステップS7において、第1の記録領域A1について求められた干渉縞と、第2の記録領域A2について割り付けられた回折格子パターンとを、媒体上に物理的に記録する工程が行われる。具体的には、第1の記録領域A1内の画像データ(干渉縞を示す画像データ)と第2の記録領域A2内の画像データ(回折格子パターンからなる画像データ)とを合成し、記録面20全体に対応する単一の画像データを形成し、この画像データを電子線描画装置に与えることにより、物理的な媒体上への描画作業を行うことになる。
以上、本発明を図示する実施形態に基いて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の形態で実施可能である。たとえば、前述の実施形態では、第1の原画像10として、鹿の形状をした三次元画像を用意した例を示したが、本明細書において、第1の記録領域内に記録される「立体像」とは、三次元空間内に存在する像を意味するものであり、像自体は必ずしも三次元形状を有する像である必要はない。したがって、たとえば、第1の原画像10として平面的な文字などを用いた場合であっても、この文字が三次元空間内に配置された状態が記録面20上に記録されるのであれば、この文字は「立体像」として記録されていることになる。また、図2に示す例では、全体の中央部分に第1の記録領域A1を定義し、その周囲に第2の記録領域A2を定義したため、観察時には、図1に示す例のように、全体の中央部分にホログラム再生像からなる第1の再生像I1が再生され、その周囲の背景として疑似ホログラムの再生像からなる第2の再生像I2が再生されているが、これとは逆に、全体の中央部分に疑似ホログラムの再生像からなる第2の再生像I2が再生され、その周囲の背景としてホログラム再生像からなる第1の再生像I1が再生されるような構成をとってもかまわない。
なお、上述の実施形態では、第1の原画像10上に定義する微小光源として点光源を用いているが、本発明を実施する上で用いる光源は点光源に限定されるものではなく、たとえば、所定の長さをもった線光源を用いるようにしてもよい。更に、図4に示す例では、光源からの縦および横の広がり角を制限する例を示したが、たとえば、縦の広がり角のみを制限するようなことも可能である。
本発明の一実施例に係るホログラム記録媒体の観察時の一態様を示す平面図である。 図1に示す提示が可能なホログラム記録媒体上の2つの記録領域を示す平面図である。 図2に示すホログラム記録媒体の第1の記録領域A1内に記録すべき干渉縞の演算方法を示す斜視図である。 図3に示す原理に基く干渉縞演算を行う際に、物体光の広がり角を制限する手法の一例を示す斜視図である。 図2に示すホログラム記録媒体の第2の記録領域A2内に記録すべき回折格子パターンの一例を示す平面図である。 1つの画素に割り付けられる回折格子パターンの一例を示す平面図である。 図6に示す回折格子パターンの左上部分の拡大図である。 本発明に係るホログラム記録媒体の製造方法の一連の手順を示す流れ図である。
符号の説明
10…第1の原画像
20…記録面
A1…第1の記録領域(干渉縞からなるホログラム像が記録される)
A2…第2の記録領域(回折格子パターンが記録される)
d…回折格子を構成する格子線の線幅
G…点光源
I1…第1の再生像(本来のホログラム再生像)
I2…第2の再生像(疑似ホログラム再生像)
L…回折格子を構成する格子線
O…物体光
P…第2の画像を構成する画素
p…回折格子を構成する格子線のピッチ
Q…記録面上の演算点
R…参照光
S…特定領域
U…微小な単位画素
v…回折格子パターンが形成された閉領域
θ…回折格子を構成する格子線の配置角度
ξ,Ψ…物体光の広がり角

Claims (2)

  1. 第1の記録領域および第2の記録領域が互いに排他的な領域として形成されている記録媒体であって、
    前記第1の記録領域内には、立体像を再生する機能を有し、物体光と参照光との干渉によって生じる干渉縞が記録されており、前記第2の記録領域内には、回折格子パターンを有する画素の集合からなる平面画像が記録されており、観察時に前記立体像と前記平面画像との双方が観察できるように構成されており、
    前記第1の記録領域および前記第2の記録領域を含む前記記録媒体上の領域には、前記平面画像を構成する個々の画素よりも小さく、かつ、二値のいずれかの画素値をもった微小単位画素の二次元配列が形成されており、
    前記平面画像を構成する個々の画素および前記立体像を再生する機能を有する干渉縞が、いずれも前記微小単位画素の集合体によって構成されていることを特徴とする計算機合成ホログラム記録媒体。
  2. 請求項1に記載の計算機合成ホログラム記録媒体において、
    第1の記録領域が記録媒体の中央部分に形成され、第2の記録領域がその周囲に形成され、観察時に、中央部分に立体像が表示され、その背景として平面画像が表示されることを特徴とする計算機合成ホログラム記録媒体。
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