JP3809592B2 - シールド掘進機のローリング修正装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
シールド掘進機のローリングを修正するローリング修正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シールド工事においては、土質条件、施工方法、シールド掘進機本体の重心バランス等の各種条件の影響により、シールド掘進機本体が掘進しながら徐々に掘進軸と直交する面内でローリング(回転)してしまうことがある。このようにシールド掘進機本体がローリングすると施工性やセグメントの組立精度等に悪影響を及ばすためローリングを修正して正規の姿勢に戻す必要がある。
また、施工線形の計画上、意図的にシールド掘進機本体をローリングさせながら掘進することによってトンネルを螺旋状に構築する必要がある場合もある。
【0003】
図15は一般的なシールド掘進機の掘進軸に沿う断面図、図16は図15の矢視A−A断面図である。シールド掘進機50の後部側に設置された複数の推進ジャッキ51をセグメント53に反力を取って伸長させることによって推進力を得て前方に進行させる。そして、シールド掘進機をローリング(修正)させる場合には、図17に示すように、推進ジャッキ51を掘進方向に対して傾斜させ(推進ジャッキ51を拡大して示す図18参照)、この状態を保持させたまま伸長させることにより(図19参照)、図20に示すように、推進力に回転方向の分力を発生させることができ、シールド掘進機をローリングさせる。
【0004】
また、他の方法としてシールド掘進機の側面からスタピライザやそり等の突起物を外部に突出させた状態で掘進し、突起物に対する地山からの反力をローリング力として利用する方法がある。
さらに、カッタを複数装備する多連式シールド掘進機では、例えば図21に示した特開平3−281892号公報に示された複断面シールド掘進機のように、カッタ部を含む前胴55を分割し、図22及び図22の矢視A図である図23に示すように、それぞれが任意の方向へ屈曲できる構造にして、これを利用して回転力を発生させるという方法もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、推進ジャッキ51を傾斜させる方法の場合、推進ジャッキの支持部(反力受け部)に斜め方向の力を伝達するためのスペーサ等52(図18参照)を設置しなければならず、このための段取り替え作業が必要となり作業効率が悪くなる。また、推進ジャッキ51を傾斜させるにはある程度スペースが必要になるが、周辺に配置されている中折れジャッキ等との相対関係上、傾斜可能な推進ジャッキの本数や傾斜角が制約を受け、大きな回転力を発生できない場合が多い。
【0006】
また、突起物を突出させる方法の場合には、突起物及びこれを突出させるための装置が別途必要になるが、機内スペースが制約されている関係上大きな装置を設置できなかったり、設置位置が制限されたりして、大きな回転力を発生できない場合が多い。逆に、設置スベースを確保するためには機長を伸ばす必要が生じる場合もある。
さらに、多連式シールド掘進機で前胴55を分割してそれぞれが任意に屈曲可能な構造にする場合には、それぞれの屈曲部に屈曲用ジャッキ(中折れジャッキ)や止水機能を装備する必要があり、シールド掘進機全体が複雑化しコストアップにつながるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、段取り換え等の必要がなく簡易な構成で内部スペースの制約を受けることなくローリング力を発揮できるシールド掘進機のローリング修正装置を得ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシールド掘進機のローリング修正装置は、前端側に掘削機構を有する前胴と、該前胴の後方に連結されて前記前胴と略同形状の断面を有すると共に、前端側に前方に向かって先細りとなるテーパ状の外周面を有する後胴と、該後胴と前記前胴とを掘進軸と平行な軸を中心に回動可能に連結する連結機構部と、前記前胴を前記後胴に対して回動させる駆動手段とを備え、
前記前胴を回動させたときに該前胴と前記後胴との間に平面的なズレが発生し、この状態で掘進することによって前記テーパー状の外周面に地山の抵抗力が作用するように構成したものである。
【0009】
また、前記後胴が中折れ機構を有するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を設置したシールド掘進機の斜視図である。本実施の形態におけるシールド掘進機1は、図1に示すように、前端に掘削機構3を有する前胴5と、後端側にセグメント構築部を有する後胴7とから構成され、これら前胴5と後胴7とは、掘進方向に平行なシールド掘進機1の中心軸(本明細書において「掘進軸」という。)を中心に互いに回動可能に連結されている。
図2は前胴5を後ろ側から見た斜視図、図3は前胴5を後ろ側から見た正面図である。図2及び図3に示すように、前胴5の後面には後胴7と連通する連絡口5aが設けられている。
【0011】
図4は後胴7を前側から見た斜視図、図5は後胴7の前から見た正面図である。図4及び図5に示すように、後胴7の前面には前胴5と連通する連絡口7aが設けられ、連絡口7aの周縁には止水用のパッキン9が設置されている。また、後胴7の前端部の側面には前方に向かって先細りになるテーパ面7bが形成されている。
【0012】
図6は図1の矢視A−A断面図、図7は図6における矢視A−A断面図、図8は図6の矢視B−B断面図、図9は図7において円で囲んだイ部の拡大図である。以下、図6乃至図9に基づいて前胴5と後胴7との連結部の構造について説明する。11は断面コ字状のガイドであり、一片側が前胴5の連絡口5aの縁部に固定されて前胴5と一体となって移動するようになっている(図8、図9参照)。13,15はガイド11の内面側に回転自在に取り付けられたローラであり、後胴7の連絡口7aの縁部に当接してこれをガイドする働きをする。
17はガイド5の外面側に固定された駆動用のモータであり、モータ17の回転軸にはピニオン19が取り付けられており、後胴7の縁部に固定されたラック21と噛み合うように構成されている。
【0013】
以上のように構成された連結部の動作について説明する。モータ17を駆動するとピニオン19に回転力が伝達され、ラックに動力が伝達される。ここで、モータ17はガイド11を介して前胴5に固定されており、一方ラック21は後胴7に固定されており、しかも前胴5と後胴7は回転方向に相対移動可能に構成されているので、前胴5が後胴7に対して、図10の白矢印に示すように回動する。前胴5が回動すると、図11に示すように前胴5と後胴7とに平面的なズレが生じ、正面から見た場合に後胴7のテーパー面7bの一部が前胴5からはみ出すことになる。そして、このはみ出した部分の前方地山は前胴5の前端の掘削機構で掘削されないため、シールド掘進機の掘進に際して地山の抵抗を受けることになる。
【0014】
図12は後胴7のテーパー面7bに作用する地山の抵抗力の説明図である。図において、25はテーパー面7bに作用する抵抗力、27は抵抗力25の合力、27aは合力27の掘進方向に直交する方向の分力(直交分力)、27bは合力27の掘進方向に平行な分力(平行分力)を示している。そして、直交分力27aが後胴7に対して回転方向の力であるローリング力として作用し、平行分力27bが推進抵抗として作用する。
【0015】
テーパー面7bに作用するローリング力を図11に黒矢印で示した。図11から分かるように、後胴7に対しては時計回りの方向のローリング力が作用することになる。
なお、モータ17を逆方向に回転させて、前胴5を図10に示したのと逆の方向に回動させると、図13に示すように図11に示したのと反対側のテーパー面7bが地山の抵抗を受けることになり、反時計回り方向のローリング力が作用することになる。
【0016】
以上のように本実施の形態によれば、前胴5を後胴7に対して回動させて掘進するだけで、土圧抵抗がローリング力として作用することになり、何等らの段取り代え作業も必要がない。また、構造も極めてシンプルであり、機内スペースの制約を受けることもない。
【0017】
実施の形態2.
図14は本発明の他の実施の形態を示す図であり、実施の形態1を示した図1と同一部分には同一符号を付してある。本実施の形態は後胴7に中折れ機構31を有するシールド掘進機にローリング修正装置を適用したものである。
このように本発明を中折れ機構を有するシールと掘進機に適用した場合には、中折れの効果とローリング力による効果を併せて発揮することができる。
【0018】
なお、上記の実施の形態においては長方形断面のシールド掘進機1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく断面形状が円形以外であれば任意の断面のシールド掘進機に適用可能である。
また、円形断面のシールド掘進機においても、前胴の回動軸を円形断面の中心からずらすことにより、後胴のテーパ面が地山の抵抗を受けるようになるので、本発明が成立する。
【0019】
なお、上記実施の形態では前胴5と後胴7の連結部のガイドにローラを使用しているが、ガイドレールやスライドブッシュの使用など他の一般的な技術の適用も可能である。
また、回転力の発生源としてモータを使用した例を示したが、モータ以外にも例えばジャッキの使用等の他の一般的な技術の適用も可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、前胴を回動させたときに該前胴と前記後胴が平面的にズレて後胴のテーパー状の外周面に地山の抵抗力が作用するように構成したので、前胴を後胴に対して回動させて掘進するだけで、地山抵抗がローリング力として作用することになり、推進ジャッキを傾斜可能に配置したり、外部に突出させる特殊装置を設置したりする必要がないため、機内スペースに著しく制約を受けることなくローリングカが得られる。
【0021】
また、後胴が中折れ機構を有する構成にすれば、中折れの効果とローリング力のよる効果を併せて発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の斜視図である。
【図2】 図1に示した前胴5を後方から見た斜視図である。
【図3】 図1に示した前胴5の後面の正面図である。
【図4】 図1に示した後胴7の前方から見た斜視図である。
【図5】 図1に示した後胴7の前面の正面図である。
【図6】 図1の矢視A−A断面図である。
【図7】 図6の矢視A−A断面図である。
【図8】 図6の矢視B−B断面図である。
【図9】 図7のイ部の拡大図である。
【図10】 実施の形態1の動作説明図である。
【図11】 実施の形態1における前胴5を回動させた状態を示す図である。
【図12】 実施の形態1における地山の抵抗力の説明図である。
【図13】 実施の形態1における前胴5を回動させた状態を示す図である。
【図14】 本発明の実施の形態2の説明図である。
【図15】 従来の一般的なシールド掘進機の掘進方向に沿う断面図である。
【図16】 図15の矢視A−A断面図である。
【図17】 従来例の動作を説明する説明図である。
【図18】 図17の一部を拡大して示す拡大図である。
【図19】 図18に示した推進ジャッキの動作説明図である。
【図20】 図15に示した従来例のローリング力の説明図である。
【図21】 他の従来例の説明図である。
【図22】 図21に示した従来例の動作説明図である。
【図23】 図22の矢印A方向から見た図である。
【符号の説明】
1 シールド掘進機
3 掘削機構
5 前胴
7 後胴
7b テーパー面
11 ガイド
17 モータ
19 ピニオン
21 ラック
Claims (2)
- 前端側に掘削機構を有する前胴と、
該前胴の後方に連結されて前記前胴と略同形状の断面を有すると共に、前端側に前方に向かって先細りとなるテーパ状の外周面を有する後胴と、
該後胴と前記前胴とを掘進軸と平行な軸を中心に回動可能に連結する連結機構部と、
前記前胴を前記後胴に対して回動させる駆動手段とを備え、
前記前胴を回動させたときに該前胴と前記後胴との間に平面的なズレが発生し、この状態で掘進することによって前記テーパー状の外周面に地山の抵抗力が作用するように構成したことを特徴とするシールド掘進機のローリング修正装置。 - 前記後胴が中折れ機構を有することを特徴とする請求項1記載のシールド掘進機のローリング修正装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP08829097A JP3809592B2 (ja) | 1997-04-07 | 1997-04-07 | シールド掘進機のローリング修正装置 |
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JPH10280864A JPH10280864A (ja) | 1998-10-20 |
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Family
ID=13938787
Family Applications (1)
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JP08829097A Expired - Fee Related JP3809592B2 (ja) | 1997-04-07 | 1997-04-07 | シールド掘進機のローリング修正装置 |
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- 1997-04-07 JP JP08829097A patent/JP3809592B2/ja not_active Expired - Fee Related
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