JP3809504B2 - 皮膚貼着用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は皮膚貼着用シート、さらに詳しくは、皮膚の所定の部位に貼着されて化粧品、医薬品、医薬部外品等として使用される皮膚貼着用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の皮膚貼着用シートは、粘着剤が塗着されたテープ状の基材に不織布が設けられ、その不織布の上面に離型材が設けられた構成からなるものである。
【0003】
この皮膚貼着用シートは、不織布にゲル状物質や軟膏基剤が塗着され、そのゲル状物質や軟膏基剤とともに、たとえば化粧品であれば、化粧用としての有効成分を含有し、また医薬品や医薬部外品であれば薬剤等の有効成分を含有して構成されたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の皮膚貼着用シートは、不織布に塗着されたゲル状物質や軟膏基剤が皮膚に接触することとなるため、その部分にべたつき感が生じ、場合によっては使用者に違和感を与えることとなっていた。
【0005】
また、上記のようなゲル状物質や軟膏基剤は、皮膚に対するある程度の湿潤効果を有するものではあるが、ゲル状物質や軟膏基剤を皮膚に付着させるだけのものであるため、湿潤効果や経皮吸収の効果にも限度がある。
【0006】
特に、皮膚の角質化が進行すると、上記のようなゲル状物質や軟膏基剤を皮膚に付着させるのみでは、湿潤効果や経皮吸収効果が必ずしも十分には得られていない。
【0007】
従って、たとえば化粧品の場合には、肌に対する保湿効果を十分に発揮することができず、また医薬品の場合には薬剤の有効成分の十分な経皮吸収効果が得られないこととなっていた。
【0008】
そこで、ゲル状物質等に代えてたとえば液状物質を不織布に含浸させることも考えられるが、そもそもこの種の皮膚貼着用シートは、皮膚に貼着するために基材に粘着剤が塗着されているため、不織布に液状物質を含浸させると、その液状物質が不織布から基材側へ滲出し、その結果、基材の粘着力が著しく低下して実用に供することができない。
【0009】
よって、液状物質を不織布に含浸させたような皮膚貼着用シートは、未だ開発されていなかったのが現状である。
【0010】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、有効成分の吸収が良好で化粧品としての保湿効果に優れているとともに、医薬品としての経皮吸収効果に優れ、しかも基材の粘着力を低下させることない皮膚貼着用シートを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その課題を解決するための手段は、液状物を含浸した含浸シート2が、通気性を有するウレタンフィルムで構成された上側シート4と下側シート5からなる包装材3で密封されて、前記含浸シート2に含浸された液状物が前記包装材3の外側に滲出しないように構成され、且つ該含浸シート2を密封した包装材3の下側シート5が基材1に接するように、前記包装材3が前記基材1上に設けられ、しかも前記上側シート4が下側シート5から剥離されて包装材3が開封されるとともに、該包装材3が開封された状態で、皮膚に含浸シート2が当接しうるように前記基材1が皮膚に貼着可能な構成にしてなることにある。
【0012】
このような皮膚貼着用シートを使用する場合には、先ず、上側シート4を下側シート5から剥離し、包装材3を開封することによって、含浸シート2を裸出させ、その裸出した含浸シート2の部分が皮膚の所定部位に当接するように、基材1を皮膚に貼着する。
【0013】
このようにして基材1が皮膚に貼着されると、含浸シート2中の液状物が肌に好適に吸収されることとなる。
【0014】
この場合、含浸シート2に含浸されているのは液状物であるが、皮膚貼着用シートの不使用時においては、含浸シート2が包装材3で密封されているため、含浸シート2に含浸された液状物が包装体3の外側に滲出することがなく、従って基材1側に滲出することがないために、基材1の粘着剤に液が浸透して粘着剤の粘着力が低下することもないのである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1及び図2において、1はウレタン製のテープからなる平面略長方形状の基材で、その表面側には粘着剤(図示せず)が設けられている。
【0017】
この基材1の表面側には、不織布からなる平面略長方形状の通気性シート2を密封した包装材3が設けられている。
【0018】
より具体的には、上側シート4と下側シート5とで包装材3が構成され、その上側シート4と下側シート5との周縁部が剥離可能に熱シールされることによって、含浸シート2が包装材3に密封されている。
【0019】
この上側シート4と下側シート5は、平面略長方形状で通気性を有するウレタンフィルムで構成されている。
【0020】
そして、含浸シート2には、液状物が含浸されている。この液状物には、スクワラン、アロエエキス等が含有され、さらに角質保持成分であるフルーツ酸が含有されている。
【0021】
6は、上側シート4を下側シート5に対して剥離する際の把持部分となる舌片で、上側シート4の一側縁に外向きに突設されている。
【0022】
7,7は、包装材3の上面を覆うように設けられた1対の離型材で、その一側縁側は前記基材1に貼着され、他側縁側は相互に重ねられている。
【0023】
そして、このような構成からなる皮膚貼着用シートを使用する場合には、先ず図3に示すように、離型材7,7を基材1から剥離する。
【0024】
これによって、図4に示すように、包装材3が裸出することとなる。
【0025】
次に、図5に示すように、舌片6を把持して上側シート4を剥離し、下側シート5から除去する。
【0026】
これによって、含浸シート2が裸出することとなる。
【0027】
この状態で、皮膚の所定部位に含浸シート2が当接するように、基材1を皮膚に貼着する。
【0028】
これによって、含浸シート2に含浸された液状物が皮膚に浸透することとなる。
【0029】
この場合において、含浸シート2に含浸されているのがゲル状物質や軟膏ではなく液状物であるため、べたつき感もなく、また皮膚に好適に吸収され、化粧品として有効な保湿効果が得られることとなる。
【0030】
また、不使用時すなわち包装材3の開封前においては、液状物が含浸された含浸シート2が包装材3で密封されているため、含浸シート2に含浸された液状物が包装材3の外側に滲出することがなく、従って基材1側に滲出しないので、基材1の粘着力が低下することもない。
【0031】
尚、上記実施形態では、液状物にスクワラン、アロエエキス、フルーツ酸等を有効成分を含有させたが、含有させる有効成分の種類もこれに限定されるものではなく、他の化粧品用の有効成分を含有させることも可能である。
【0032】
また、上記実施形態では、含浸シート2に化粧品の有効成分としての液状物を含浸する場合について説明したが、含浸シート2に含浸させる液状物はこれに限定されるものではなく、たとえば医薬品や医薬部外品等として使用される液状物を含浸させることも可能である。
【0033】
また、これ以外の液状物を含浸させることも可能であり、その液状物の種類や配合される有効成分の種類は問わない。
【0034】
さらに、液状物の性状も、有効成分を溶解させた水溶液に限らず、有効成分を分散質とするエマルジョンやサスペンジョン等の分散液であってもよく、さらにはゲル状物を液に溶解させたようなものであってもよい。
【0035】
すなわち、本発明にいう液状物とは、含浸シート2に含浸させた状態で、含浸シート2から基材1側へ滲出しうる程度に粘性の低いものをいう。
【0036】
さらに、含浸シート2は、上記実施形態のように主として不織布で構成されるものであるが、不織布以外の素材のもので構成することも可能である。
【0037】
要は、液状物を含浸しうるような素材で構成されていればよい。
【0039】
さらに、上記実施形態では、基材1がウレタン製のテープで構成されていたが、この基材1の材質も該実施形態に限定されない。
【0040】
さらに、上記実施形態では、基材1、包装材3、含浸シート2がすべて平面略長方形状に形成されていたが、これら基材1、包装材3、含浸シート2の形状も該実施形態に限定されるものではない。
【0041】
たとえば略正方形、略楕円形等に形成することも可能である。
【0042】
さらに、上記実施形態では、1対の離型材7,7、すなわち離型材7が2枚設けられていたが、離型材7は1枚であってもよい。
【0043】
さらに、皮膚貼着用シートの貼着部位も問うものではなく、手、足、その他人体の皮膚の任意の部位に貼着することが可能である。
【0044】
【発明の効果】
叙上のように、本発明の皮膚貼着用シートは、液状物を含浸した含浸シートが上側シートと下側シートからなる包装材で密封され、該含浸シートを密封した包装材が基材上に設けられ、且つ前記上側シートが下側シートから剥離されて包装材が開封される構成にしてなるものであるため、上側シートを剥離して含浸シートを裸出させ、その状態で含浸シートが皮膚の所定部位に当接するように基材を皮膚に貼着すると、含浸シートに含浸された液状物が皮膚に吸収されることとなる。
【0045】
ここで、含浸シートに含浸されているものが、従来のようなゲルや軟膏ではなく、液状物であるため、ゲル等のようなべたつき感がなく、しかも皮膚に速やかに吸収される。
【0046】
従って、液状物が化粧品の成分である場合には、皮膚に対する優れた保湿効果が得られ、また液状物が医薬品の成分である場合には、薬剤の優れた経皮吸収効果が得られることとなる。
【0047】
また、ゲルや軟膏ではなく、液状物を使用することにより、皮膚が角質化していても、皮膚がある程度湿潤されるために、保湿効果や経皮吸収効果が低下することもない。
【0048】
さらに、含浸シートは、上側シートと下側シートとで密封されているため、包装材を開封しない不使用時においては、含浸シートが包装材の内部に内包された状態となり、含浸シートが含浸された液状物が包装材の外部に滲出することがなく、従って基材に塗着された粘着剤等に液状物が不用意に混合することがなく、結果として粘着力が低下することもないという効果がある。
【0049】
また、含浸シートが包装材で包装されているので、不使用時において含浸シートに含浸された液状物が揮発されるのも防止されるという効果がある。
【0050】
以上のように、液状物は本来不織布等の含浸シートから粘着剤が塗布された基材側に滲出するためにこの種の皮膚貼着用シートの含浸シートには含有させられなかったのであるが、本発明のように開封可能な包装材で密封することによって、不使用時には好適に密封されて液状物の基材側への滲出が阻止され、また使用時には上側シートを剥離して含浸シートを裸出させた状態で所定の部位に貼着することができ、その結果、液状物を皮膚の所定部位に付着させることのできる従来にない皮膚貼着シートを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の皮膚貼着用シートの平面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】離型材を剥離した状態の断面図。
【図4】包装体を裸出させた状態の平面図。
【図5】上側シートを剥離する状態の平面図。
【図6】含浸シートを裸出させた状態の平面図。
【符号の説明】
1…基材 2…含浸シート
3…包装材 4…上側シート
5…下側シート 7…離型材
Claims (1)
- 液状物を含浸した含浸シート(2) が、通気性を有するウレタンフィルムで構成された上側シート(4) と下側シート(5) からなる包装材(3) で密封されて、前記含浸シート (2) に含浸された液状物が前記包装材 (3) の外側に滲出しないように構成され、且つ該含浸シート(2) を密封した包装材(3) の下側シート (5) が基材 (1) に接するように、前記包装材 (3) が前記基材(1) 上に設けられ、しかも前記上側シート(4) が下側シート(5) から剥離されて包装材(3) が開封されるとともに、該包装材 (3) が開封された状態で、皮膚に含浸シート (2) が当接しうるように前記基材 (1) が皮膚に貼着可能な構成にしてなることを特徴とする皮膚貼着用シート。
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