JP3808561B2 - 車両の走行位置検知方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の走行位置を把握しながらあらかじめ定められた所定の走行経路上を走行する車両の走行位置を検知する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーダ、CCD カメラ及び、それらの組合せにより、障害物を検出しながら前方障害物や前方の道路状況等を認識し、自動運転する技術の開発が進められている。しかしながら未だ全ての道路において適正に前方障害物や前方の道路状況等を判断する技術は見いだされていない。
【0003】
これに対し、一定の条件下での自動走行は、既に例えば工場内の自動搬送車等で行われている。
【0004】
この自動搬送車では、該搬送車を走行させるべき走行経路上に一定間隔で配列された磁気マーカを検出しながら該走行経路上を一定の低速度で走行するものである。
【0005】
しかしながら、このような自動搬送車における自動走行技術をそのまま、該自動搬送車よりも高い速度(60km/h以上)での走行が要求される自動車に適用しても、車両を目的の走行経路上を正確に走行させることは困難であり、車両の実際の走行位置は走行に従い目的の走行経路に対して変位誤差を生じる。この誤差を抑えるために、車両の車輪の回転数に基づき車両の走行距離を逐一算出するとともに、車両のヨーレートを検出して、このヨーレートと上記の走行距離とから走行軌跡を算出し、この走行軌跡をあらかじめ車両に備えられた道路データと比較することで、目的の走行経路上を走行させることが考えられている。
【0006】
この手法では、あくまでも車両の車輪の回転数のみに基づいて走行距離を把握し、さらにはその把握した走行距離を用いて車両の走行位置を把握するものであるため、車輪のタイヤの摩耗状態やタイヤの空気圧の変動により、車輪の回転数から求められる走行距離の誤差が大きく変動してしまう。この問題を解決するためにタイヤの使用走行距離を計算してタイヤの摩耗状態を推測し、その推測したタイヤの磨耗状態に応じて、車輪の回転数から求められる走行距離の補正を行う手法も提案されているが、摩耗状態は単にタイヤの使用距離に依存するような単純なものではなく、走行する路面やドライバーのブレーキの使用状況により大きく変動する。そして、その結果、車両の走行距離を正しく把握することが困難となり、ひいては、車両の走行位置を正しく把握することも困難となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる背景に鑑み、車輪の回転数に基づく車両の走行距離を的確に訂正しつつその走行距離に基づいて、普通乗用車を低速から60Km/h以上の高速までの広域な速度で自動走行させるために必要とされる高精度な走行位置の検知を可能とする車両の走行位置検知方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる目的を達成するために、車両の走行位置を把握しながらあらかじめ定められた所定の走行経路上を走行する車両の走行位置を検知する方法であって、あらかじめ前記走行経路に沿って道路に配列された磁気ネイルにより該走行経路沿いの所定間隔毎に所定の磁気配列を形成しておき、前記車両の走行時に前記車両の車輪の回転数に基づき車両の走行距離を逐次算出すると共に、該車両に設けたセンサにより前記磁気配列を検出し、その磁気配列を検出する毎に、該磁気配列の検出回数と該磁気配列間の前記所定間隔との積と、前記車輪の回転数に基づき算出された車両の走行距離との差が所定範囲内に収まるときには、該走行距離を前記積により表される距離に訂正し、また、当該差が前記所定範囲から外れるときには、その差が該所定範囲内に収まるように前記磁気配列の検出回数を決定し、その決定した検出回数と前記磁気配列間の所定間隔との積により表される距離を車両の走行距離として前記車輪の回転数に基づく車両の走行距離を訂正し、前記訂正した走行距離に基づき車両の走行位置を検知することを特徴とする。
【0009】
かかる本発明によれば、前記所定の磁気配列は前記走行経路沿いの所定間隔毎に設けられているので、車両が該走行経路にほぼ沿って走行しているとき、ある磁気配列を検出した時点における車両の走行位置は、その時点までの磁気配列の検出回数分の距離を走行経路上で出発地点から進行した地点となる。従って、該磁気配列を検出する毎に、その磁気配列の検出回数によって走行経路上における車両の現在の走行位置を推定することができる。そして、その推定した走行位置に車両の走行距離が整合するように前記車輪の回転数に基づき算出された車両の走行距離を訂正する。具体的には、磁気配列の検出回数と該磁気配列間の前記所定間隔との積と、前記車輪の回転数に基づき算出された車両の走行距離との差が所定範囲内に収まるときには、該走行距離を前記積により表される距離に訂正する。これにより、その走行距離が現時点(磁気配列を検出した時点)での車両の実際の走行位置に整合したものとなり、その後に次の磁気配列が検出されるまでの間で車輪の回転数から逐次算出される車両の走行距離に基づいて、車両の走行位置を逐次精度よく検知することができる。そして、このように車両の走行位置の高精度な検知が可能となることで、単に所要の走行経路を正確に走行できるようになると共に、さらには、複数の車両を追従させて走行させるような制御(プラトーン走行制御)を的確に行うことができるようになる。
【0011】
また、本発明においては、車両の蛇行等によって、一時的に前記磁気配列の検出を逃す場合も考えられ、この場合には、その後に磁気配列を検出した時点における磁気発生源の検出回数は、その時点における車両の走行位置に対応したものとはならなず、その検出回数からは、車両の走行位置を正しく把握することができない。
【0012】
そこで、本発明では、さらに、前記車輪の回転数に基づき算出された車両の走行距離と、前記磁気配列の検出回数と該磁気配列間の前記所定間隔との積との差が所定範囲から外れるとき、その差が該所定範囲内に収まるように前記磁気配列の検出回数を決定し、その決定した検出回数と前記磁気配列間の所定間隔との積により表される距離を車両の走行距離として前記車輪の回転数に基づく車両の走行距離を訂正する。
【0013】
このようにすることで、車両の蛇行等によって、一時的に前記磁気配列を検出を逃した場合でも、その後に磁気配列を検出した時に、車輪の回転数に基づき算出された走行距離を実際の走行位置に整合したものに訂正することができ、その後には、次の磁気配列が検出されるまでの間で、車輪の回転数から逐次算出される車両の走行距離に基づいて、車両の走行位置を逐次精度よく検知することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図を用いて説明する。
【0025】
図1は本発明を適用した自動走行車のシステム構成を示すブロック図、図2のこの自動走行車による走行システムの概要を説明するための説明図である。
【0026】
まず、図2を参照して、この自動走行車Aは、道路の中央に設定された走行経路B上に、例えば1m 間隔で磁気ネイルCが埋め込まれた自動走行用道路上を、該磁気ネイルCを検出しながら自動走行を行うものである。そして、自車Aの前方に前走車(図2では図示せず)が在る場合(自車Aが追従車である場合)には、その前走車との間に所要の車間距離を維持しつつ追従自動走行を行うものである。この場合、路側には漏洩同軸ケーブル(LCXケーブル)Dが設置され、この漏洩同軸ケーブルDと自動走行車Aとの間で自動走行に必要な情報が送受信されるようになっている。また、前走車と追従車(後続車)との間で自車の走行状態を示す情報が相互に送受信(車々間通信)されるようになっている。
【0027】
このような自動走行を行う本実施形態の自動走行車は、図1に示すように、通信信号処理装置1と、制御計画処理装置2と、車両の横方向(操舵方向)制御装置3と、車速制御装置4とがそれぞれに信号処理装置(CPU)を具備したモジュールとして搭載されている。また、各車両には、車両の横方向(操舵方向)の角速度を検出するヨーレートセンサー5と、前記磁気ネイルCを検出する磁気センサ6と、車輪の一回転毎に(車輪の一回転に相当する走行距離毎に)パルスを出力する車輪パルスセンサ8と、車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ9と、前走車や前方障害物の検出すると共にそれらの物体までの距離を検出するレーザレーダ10とが備えられ、それらの検出データが適宜、前記装置1〜4に与えられる。
【0028】
この場合、前記磁気センサ6は、図2に示すように車両の前側バンパ下部と後側バンパ下部とにそれぞれ設けられている。そして、それらの各磁気センサ6は、単にその下方の磁気ネイルCを検出するだけでなく、その磁気ネイルCの磁気極性も併せて検出し、さらには、この磁気ネイルCの中心から左右約45cmの範囲で該磁気ネイルCに対する磁気センサ6の横方向(車幅方向)の位置を、該磁気ネイルCに対する車両の前後部の横方向の位置として検出する。
【0029】
これらのセンサ5,6,8,9及びレーザレーダ10の検出データが与えられる前記各装置1〜4は次のような機能を有する。
【0030】
通信信号処理装置1は、前記漏洩同軸ケーブル(LCXケーブル)Dとの間での通信及び車々間通信を行う機能を有するものであり、それぞれの通信を車両に備えたアンテナや送受信器から成る通信機器7,11を介して行う。
【0031】
この場合、漏洩同軸ケーブルDとの通信では、漏洩同軸ケーブルDからは、車両の走行エリアにおける速度指令情報や、道路の曲率情報、渋滞情報、緊急メッセージ情報等が受信され、車両側からは自車のIDナンバーが送信される。このIDナンバーにより、漏洩同軸ケーブルD側では各車両の走行位置が把握される。そして、通信信号処理装置1は、受信した速度指令情報等を制御計画処理装置2に与える。
【0032】
また、車々間通信では、前走車と追従車との間で、各車両において後述のように把握される走行経路B上の車両の時々刻々の走行位置(走行距離)、速度(車速)、前後加速度及び後述の速度計画等を示すデータが相互に送受信される。そして、それらのデータは、各車両において、通信信号処理装置1から制御計画処理装置2に与えられる。
【0033】
また、通信信号処理装置1は、走行経路B上における自車の走行位置を検知する機能も有している。
【0034】
本実施形態では、基本的には、走行経路B上での走行を開始してから前記車輪パルスセンサ8の出力パルスをカウントすることで算出される車両の走行距離を、車両が走行経路Bに沿って走行した距離として、その距離に基づいて車両が所持する走行経路Bの地図データ上で車両の走行位置を検知し、それを制御計画処理装置2に与える。この場合、走行経路Bの地図データは、磁気ネイルCの点列データとして表され、これは、あらかじめ車両の記憶装置に記憶保持してもよいし、あるいは、前記漏洩同軸ケーブルD等との通信によって外部から所定の走行区域毎に受信するようにしてもよい。
【0035】
尚、車輪パルスセンサ8の出力パルスにより求められる走行距離は、本発明を適用して適宜修正されるのであるが、これについては後述する。
【0036】
制御計画処理装置2は、自動走行スタートスイッチ12が接続され、この自動走行スタートスイッチ12のON操作に応じて自動走行のための情報の作成を開始する。
【0037】
この制御計画処理装置2は、漏洩同軸ケーブルDから通信信号処理装置1を介して与えられる車両の走行エリアに対応した速度指令情報に従って、走行経路B上における車両の走行位置と速度との関係を規定する速度計画を作成する。そして、この速度計画に基づいて、走行経路B上における自車の所定時間T(例えば1.5秒)後の予定到達位置と予定速度とを求める。
【0038】
また、制御計画処理装置2は、前記通信信号処理装置1から与えられる自車の現在の走行位置(走行距離)等、自車の現在の走行状態に基づき前記所定時間T後の自車の予想到達位置及び予想速度を求める。そして、前記予定到達位置と上記予想到達位置との偏差(距離差)、並びに、前記予定速度と予想速度との偏差を求める。
【0039】
これらの偏差データは、前記速度計画に従って車両の速度を制御するために使用されるものである。
【0040】
尚、追従車側では、制御計画処理装置2はさらに、前記車々間通信によって通信信号処理装置1を介して得られる前走車の走行状態の情報(走行位置や車速、加速度等)に基づいて前走車の前記所定時間T後の到達予想位置と予想速度とを求め、これらの前走車の予想値と自車の所定時間T後の到達予想位置及び予想速度とから該所定時間T後の前走車との予想車間距離及び予想車間速度差を求める。これらの予想車間距離や予想車間速度差のデータは、追従車側で前走車との適正な車間距離を保持すべく車速を制御するたに使用されうものである。
【0041】
さらに、制御計画処理装置2は、車両の前後の二つの前記磁気センサ6の出力(走行経路Bに対する各磁気センサ6の横方向の位置データ)に基づき、走行経路B(磁気ネイル列)に対する車両の現在の横方向の位置偏差δyや方向偏差θ(図2参照)を求めるようにしている。また、制御計画処理装置2は、車両の現在速度や操舵量、漏洩同軸ケーブルDから与えられる道路の曲率情報等に基づき、前記所定時間T後の車両の走行経路Bに対する横方向の位置偏差や方向偏差を予測する。これらのデータは、車両を走行経路Bに沿って走行させるための操舵制御に使用されるものである。
【0042】
また、この制御計画処理装置2は、追従車の場合は自車の速度、前走車の速度、前走車までの車間距離、前方道路形状や車線形状等のデータを表示装置18や音声出力装置17に出力する。
【0043】
そして、前走車の場合は自車の速度、追従車の速度、追従車までの車間距離、前方道路形状や車線形状等のデータを表示装置18、及び音声出力装置17に出力する。
【0044】
ここで、前走車及び追従車間の上記の車間距離は、前述の車々間通信もしくはレーザレーダ10によって得られるものであり、前方道路形状や車線形状等のデータは漏洩同軸ケーブルDとの通信によって得られるものである。
【0045】
横方向制御装置3は、制御計画処理装置2の出力結果(前述の如く所定時間T後に予想される車両の横方向の位置偏差や方向偏差等のデータ)に基づいて、車両を走行経路Bに沿わせるための操舵角の指示信号を生成し、その操舵角指示信号により車両のステアリング操作伝達系に設けられたアクチュエータ14を制御する。
【0046】
このアクチュエータ14の制御により、ステアリングが自動制御され走行経路B(磁気ネイル列)に沿った走行が行われる。
【0047】
車速制御装置4は、制御計画処理装置2により求められた前記速度計画に基づく所定時間T後の自車の予定到達位置と予想到達位置との偏差、速度計画に基づく所定時間T後の自車の予定速度と予想速度との偏差、並びに前走車との所定時間T後の予想車間距離及び予想車間速度差に基づいて自車の加減速度の指令信号を生成し、その加減速度指令信号によりスロットル系に設けられたアクチュエータ15やブレーキ系に設けられたアクチュエータ16を制御する。
【0048】
この各アクチュエータ15,16の制御により、車両のスロットル系やブレーキ系が作動され、車両の加減速が行われる。この場合、前走車側では、基本的には速度計画に従うように自車の加減速度が制御され、追従車側では、前走車との間に車速に応じた適正な車間距離が保持されるように自車の加減速度が制御される。
【0049】
尚、この車速制御装置4には、図示しないブレーキペダルの操作を検知するブレーキペダルスイッチ13が接続されており、このスイッチ13の信号によりブレーキペダルが踏まれたことが検出された場合には、車速制御を解除する。
【0050】
また、車速制御装置4は、前記レーザレーダ10により前走車以外の障害物が検出された場合々等、状況に応じてレーザレーダ10の出力に基づき、ブレーキ量の制御を行う。
【0051】
次に、前述のような自動走行車において、その走行制御を行うために必要な車両の走行位置の検知手法の実施形態について説明する。
【0052】
図3及び図4は、走行位置の検知手法の実施形態を説明するための説明図である。
【0053】
図3を参照して、本実施形態では、道路の走行経路B上に1m間隔で配列された磁気ネイルCは、走行経路Bに沿って例えば500mの所定間隔毎に、所定の磁気極性の配列(以下、この磁気配列を距離マークと称する)が現れるように設けられている。この実施形態では、この距離マークは、例えば隣接した4個の磁気ネイルCの磁気極性を車両Aの進行方向に向かって順番にN極、S極、N極、S極としてなる4ビットの磁気極性配列により設定されている。この場合、この距離マーク以外の箇所では、隣接した4個の磁気ネイルCの磁気極性が、N極、S極、N極、S極の配列とならないようにされている(例えば距離マーク以外の磁気ネイルCの極性を全てS極とする)。
【0054】
このような距離マークを所定間隔(500m)毎に有する磁気ネイルCを配列した道路を走行経路Bに沿って走行する車両Aの走行位置は、2次元データとして捉えることも可能であるが、本実施形態では、車両Aの走行位置を走行経路Bのスタート地点からの走行距離として一次元的に考える。すなわち、車両Aの走行距離をLとしたとき、スタート地点における走行距離LをL=0とし、そのスタート地点からの走行距離Lを走行経路Bにおける車両Aの走行位置とする。
【0055】
以上のことを前提として、前記図1に示した自動走行車は図4のフローチャートに示す処理を行って、走行経路Bにおける車両Aの走行位置を検知する。
【0056】
まず、スタート地点において、走行距離LをL=0とし、また、スタート地点からの前記距離マークの検出回数をKとしたとき、K=0とする(STEP1)。
【0057】
次いで、車両Aの走行によって前記車輪パルスセンサ8から得られるパルスをカウントして、スタート地点からの走行距離Lを逐次算出する(STEP2)。さらに、この走行距離Lの算出を行いながら、磁気センサ6による距離マークの検出の有無を判断する(STEP3)。そして、距離マークを検出する毎に検出回数Kの値をカウントアップする(K←K+1、STEP4)。
【0058】
ここで、車両Aが走行経路Bにほぼ沿って走行し、500m間隔毎の距離マークを順次検出していった場合、その検出を行う毎に、後述のSTEP5,7の条件判断処理を経て、車輪パルスセンサ8の出力により求められた走行距離Lを、STEP4でカウントアップされた検出回数Kと距離マーク同士の間の間隔500mとの積(500・K)により示される距離に訂正する(STEP8)。
【0059】
すなわち、車両Aが走行経路Bにほぼ沿って走行し、500m間隔毎の距離マークを順次検出していった場合、各距離マークを検出した時における車両Aの走行位置は、その時点までの距離マークの検出回数Kと距離マーク同士の間の間隔500mとの積(500・K)により示される距離だけスタート地点から走行経路B上を走行した地点であるので、L←500・Kとして車輪パルスセンサ8の出力に基づく走行距離Lを訂正する。
【0060】
例えばスタート地点から500m地点の最初の距離マークを検出し、さらに1000m地点の2番目の距離マークを検出したとき、検出回数KはK=2となり、この時、走行距離Lは500・2=1000[m]に訂正される。
【0061】
そして、このように距離マークの検出により走行距離Lが訂正された後、STEP2からの処理が繰り返され、次の距離マークを検出するまでの間では、車輪パルスセンサ8の出力に基づいて走行距離Lが算出される。この場合、直前の距離マークを検出した時点から車輪パルスセンサ8の出力に基づいて求められる走行距離がその直前の距離マークの検出時点で訂正された走行距離Lに積算されて、スタート地点からの走行距離Lが求められる。
【0062】
本実施形態では、基本的には、このようにして車輪パルスセンサ8の出力により求められる走行距離Lを距離マークの検出毎に、各距離マークの位置に対応した距離(各距離マークのスタート地点からの距離)に訂正しつつ走行距離Lを求めていき、この走行距離Lにより車両Aの走行位置を検知する。従って、車輪パルスセンサ8の出力により得られる走行距離が、車輪のタイヤの磨耗等に起因して誤差を生じても、その影響が距離マークの検出毎に解消されて継続的に蓄積することがなく、車両の走行位置を精度よく検知することができる。
【0063】
一方、車両Aの蛇行等により、一時的に距離マークの検出を逃す場合も考えられる。そして、このような場合には、前述のように距離マークの検出毎にカウントアップされる検出回数Kをそのまま用いても、走行距離Lを適正に訂正することができない。例えば、スタート地点から500m地点の距離マークの検出を逃し、次いで1000m地点の距離マークを検出した時には、K=1となるので、仮にこの検出回数Kの値を用いてSTEP8のように走行距離Lを訂正すると、L=500[m]となって、実際の走行距離とは大きく異なるものとなってしまい、求められた走行距離Lが車両の走行位置に対応しないものとなる。
【0064】
そこで、本実施形態では、前記STEP4の次に、検出回数Kと距離マーク同士の間隔500mとの積(500・K)と、距離マークの検出時点で車輪パルスセンサ8の出力により算出された走行距離Lとの差(L−500・K)が、所定の範囲内にあるか否か、例えば(−500/2)≦L−500・K<500/2であるか否かを判断する(STEP5)。そして、STEP5の条件が満たされない場合には、検出回数Kの値をカウントアップし(K←K+1、STEP6)、これをSTEP5の条件が満たされるまで繰り返す。
【0065】
これにより、例えば上記のように500m地点の距離マークの検出を逃して、1000m地点の距離マークを検出した時にSTEP4でカウントアップされた検出回数Kの値が「1」となっていると、STEP6でK=2に変更されて、STEP5の条件を満たすようになり、1000m地点の距離マークに対応した検出回数Kが決定される。
【0066】
そして、このように変更した検出回数Kを用いて、前述と同様に、L←500・Kとして車輪パルスセンサ8の出力に基づく走行距離Lを訂正する(STEP8)。
【0067】
これにより走行距離Lの訂正が適正になされ、このように訂正された走行距離Lにより車両Aの走行位置を精度よく検知できる。
【0068】
また、距離マーク同士の間の箇所での車両Aの蛇行等により、その後に距離マークを検出した時点での車輪パルスセンサ8の出力に基づく走行距離Lがその検出した距離マークの地点に対応する距離(500・K)と比較的大きく異なる場合も考えられる。この場合、L←500・Kとして車輪パルスセンサ8の出力に基づく走行距離Lを訂正すると、その訂正後の走行距離Lにより検知される車両Aの走行位置と、訂正前の走行距離Lにより検知される車両Aの走行位置に対して急変し、その結果、車両Aの走行位置に基づく前述の車速制御や操舵制御が急変する虞れがある。
【0069】
そこで、本実施形態では、STEP8で走行距離Lを訂正する前に、距離マークを検出した時点での車輪パルスセンサ8の出力に基づく走行距離Lとその検出した距離マークの地点に対応する距離(500・K)との差(L−500・K)が、−δ≦L−500・K<δの所定範囲内にあるか否かを判断する(STEP7)。ここで、δは正の定数で、この場合、前記STEP5の条件判断で用いる値(500/2)よりも小さく設定されている。
【0070】
そして、STEP7の条件が満たされた場合には、STEP8で走行距離Lを訂正し、その条件が満たさない場合には、図示しない表示器やブザー等により運転者に警告を発し(STEP9)、自動走行運転の解除を促す。これにより車速制御や操舵制御が急変するような事態を回避することができる。
【0071】
尚、この警告に際しては、自動的に自動走行運転を解除するようにしてもよい。また、STEP7におけるδは、例えば走行距離に応じて可変とするようにしてもよい。
【0097】
以上のように前述の実施形態によれば、車両Aの走行位置を走行距離Lにより精度よく検知することができ、それにより、その走行位置に基づく自動走行車の前述したような車速制御(車間距離の制御を含む)や操舵制御を的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を適用した自動走行車のシステム構成図。
【図2】図1の自動走行車の走行形態を説明するための説明図。
【図3】図1の自動走行車における本発明の実施形態を説明するための説明図。
【図4】本発明の実施形態を説明するためのフローチャート。
Claims (1)
- 車両の走行位置を把握しながらあらかじめ定められた所定の走行経路上を走行する車両の走行位置を検知する方法であって、
あらかじめ前記走行経路に沿って道路に配列された磁気ネイルにより該走行経路沿いの所定間隔毎に所定の磁気配列を形成しておき、
前記車両の走行時に前記車両の車輪の回転数に基づき車両の走行距離を逐次算出すると共に、該車両に設けたセンサにより前記磁気配列を検出し、
その磁気配列を検出する毎に、該磁気配列の検出回数と該磁気配列間の前記所定間隔との積と、前記車輪の回転数に基づき算出された車両の走行距離との差が所定範囲内に収まるときには、該走行距離を前記積により表される距離に訂正し、また、当該差が前記所定範囲から外れるときには、その差が該所定範囲内に収まるように前記磁気配列の検出回数を決定して、その決定した検出回数と前記磁気配列間の所定間隔との積により表される距離を車両の走行距離として前記車輪の回転数に基づく車両の走行距離を訂正し、前記訂正した走行距離に基づき車両の走行位置を検知することを特徴とする車両の走行位置検知方法。
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JP25682096A JP3808561B2 (ja) | 1995-10-31 | 1996-09-27 | 車両の走行位置検知方法 |
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