JP3807654B2 - ビデオゲーム用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、ビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法及びビデオゲーム装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ビデオゲームに関し、より詳しくは、仮想空間内のオブジェクトに明暗を付するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオゲームの分野では、仮想三次元空間に配置されるオブジェクトの表面に陰影を付するための様々なレンダリング技術が研究されている。仮想三次元空間に配置されたオブジェクトに陰影を付する場合、光源の性質や、光源、オブジェクト及び視点の位置関係、オブジェクトの表面の質感等様々な要因を加味して輝度計算が実行される。そして、輝度計算の結果に基づいて透視変換後の画像を描画することにより画像に現実的な陰影を付することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、輝度計算の結果を忠実に反映させて投影画像を描画した場合、以下に示す現象が生ずる場合がある。例えば、光線がほとんど存在しない仮想空間内にキャラクタ等のオブジェクトが配置されている場合、投影画像全体が暗くなりキャラクタが背景に溶け込んで見づらくなってしまう。また逆に、非常に明るい仮想空間内にオブジェクトが配置されている場合には、投影画像全体が明るくなりキャラクタが背景に溶け込んで見づらくなってしまう。このように輝度計算の結果を忠実に反映させて投影画像を描画した場合、描画された投影画像においてオブジェクトが認識しづらくなる場合がある。従って、少なくとも注目するオブジェクトに関しては、背景画像と明確に区別してユーザが認識できることが望まれる。
【0004】
本発明の目的は、オブジェクトの輪郭の一部に明暗を付けることでオブジェクトを強調し、画像中におけるオブジェクトを認識し易くすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に係る、仮想空間におけるオブジェクトを描画する、ビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法は、オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する第1ステップと、視点から見て第1ステップで生成されたダミーオブジェクトがオブジェクトの後方であってオブジェクトと一部のみ重なるように、オブジェクト及びダミーオブジェクトの位置を決定する第2ステップと、第2ステップで決定された位置にオブジェクトを描画すると共に、視点から見てオブジェクトとダミーオブジェクトとが重なる部分を除いて第2ステップで決定された位置にダミーオブジェクトをオブジェクトとは異なる明度で描画する第3ステップとを含む。
【0006】
ダミーオブジェクトの視点から見てオブジェクトと重ならない部分は、オブジェクトとは異なる明度、すなわち、オブジェクトより明るく又は暗く描画される。例えば仮想空間全体が暗く、ダミーオブジェクトの視点から見てオブジェクトと重ならない部分が、オブジェクトより明るく描画されれば、オブジェクトの輪郭の部分が明るい色彩で描画される。従って、オブジェクトを強調し、画像中におけるオブジェクトを認識し易くすることができる。
【0007】
上で述べた第2ステップを、視点から見て第1ステップで生成されたダミーオブジェクトがオブジェクトの後方に配置されるように、且つオブジェクトの所定の基準位置と視点とを結ぶ直線と、オブジェクトの所定の基準位置に対応する、ダミーオブジェクトにおける位置と視点とを結ぶ直線とがずれを有するように、オブジェクト及びダミーオブジェクトの位置を決定するステップとすることも可能である。
【0008】
また、上で述べた第3ステップを、第2ステップで決定された位置に、ダミーオブジェクト、オブジェクトの順で、ダミーオブジェクト及びオブジェクトを描画するステップとすることもできる。いわゆるZソート法を適用したものである。
【0009】
さらに、上で述べた第3ステップを、Zバッファを用いた隠面消去処理を行って、第2ステップで決定された位置にオブジェクトを描画すると共に、第2ステップで決定された位置にダミーオブジェクトをオブジェクトとは異なる明度で描画するステップとすることも可能である。いわゆるZバッファ法を適用したものである。
【0010】
上で述べた第3ステップを、第2ステップで決定された位置にオブジェクトを描画すると共に、視点から見てオブジェクトとダミーオブジェクトとが重なる部分を除き第2ステップで決定された位置にダミーオブジェクトをオブジェクトより明るく描画するステップとすることも可能である。一方で、明暗表現オブジェクトをオブジェクトより暗く描画する場合も考えられる。
【0011】
本発明の第2の態様に係るビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法は、オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する第1ステップと、視点から見て第1ステップで生成されたダミーオブジェクトがオブジェクトの後方であってオブジェクトと一部のみ重なるように、ダミーオブジェクト及びオブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を設定する第2ステップと、第2ステップで設定された視点からの距離が遠い順に各ポリゴンを順序付けることにより得られる、各ポリゴンの描画順番に従って、オブジェクトを構成する各ポリゴンを描画すると共に、ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンをオブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する第3ステップとを含む。いわゆるZソート法を適用したものである。
【0012】
本発明の第3の態様に係るビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法は、オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する第1ステップと、視点から見て第1ステップで生成されたダミーオブジェクトがオブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、ダミーオブジェクト及びオブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を設定する第2ステップと、画素毎に、当該画素に投影可能なポリゴンのうち第2ステップで設定された視点からの距離が最も近いポリゴンに従って描画処理を行う際に、画素に投影されるポリゴンがオブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該ポリゴンに従って当該画素を描画すると共に、画素に投影されるポリゴンが前記ダミーオブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該画素を前記オブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する第3ステップとを含む。いわゆるZバッファ法を適用したものである。
【0013】
本発明の第1乃至第3の態様に係るビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法をコンピュータに実行させるプログラムを作成することは可能である。その際、第1乃至第3の態様に対する上記のような変形は、当該プログラムに対しても応用可能である。本発明に係るプログラムは、例えばCD−ROM、フロッピーディスク、メモリカートリッジ、メモリ、ハードディスクなどの記録媒体又は記憶装置に格納される。記録媒体又は記憶装置に格納されるプログラムをコンピュータに読み込ませることで以下で述べるビデオゲーム装置を実現できる。また、記録媒体によって本発明に係るプログラムをソフトウエア製品として装置と独立して容易に配布、販売することができるようになる。さらに、コンピュータなどのハードウエアを用いてこのプログラムを実行することにより、コンピュータ等のハードウエアで本発明の技術が容易に実施できるようになる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る、仮想空間におけるオブジェクトを描画するビデオゲーム装置は、オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する生成手段と、視点から見て生成手段により生成されたダミーオブジェクトがオブジェクトの後方であってオブジェクトと一部のみ重なるように、オブジェクト及びダミーオブジェクトの位置を決定する位置決定手段と、位置決定手段により決定された位置にオブジェクトを描画すると共に、視点から見てオブジェクトとダミーオブジェクトとが重なる部分を除いて位置決定手段により決定された位置にダミーオブジェクトをオブジェクトとは異なる明度で描画する描画手段とを有する。
【0015】
本発明の第5の態様に係る、複数のポリゴンにより構成されるオブジェクトを描画するビデオゲーム装置は、オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する生成手段と、視点から見て生成手段により生成されたダミーオブジェクトがオブジェクトの後方であってオブジェクトと一部のみ重なるように、ダミーオブジェクト及びオブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を設定する設定手段と、設定手段により設定された視点からの距離が遠い順に各ポリゴンを順序付けることにより得られる、各ポリゴンの描画順番に従って、オブジェクトを構成する各ポリゴンを描画すると共に、ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンをオブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する描画手段とを有する。
【0016】
本発明の第6の態様に係るビデオゲーム装置は、オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する生成手段と、視点から見て生成手段により生成された明暗表現オブジェクトをオブジェクトの後方であってオブジェクトと一部のみ重なるように、ダミーオブジェクト及びオブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を設定する設定手段と、画素毎に、当該画素に投影可能なポリゴンのうち設定手段により設定された視点からの距離が最も近いポリゴンに従って描画処理を行う際に、画素に投影されるポリゴンがオブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該ポリゴンに従って当該画素を描画すると共に、画素に投影されるポリゴンがダミーオブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該画素をオブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する描画手段とを有する。
【0017】
本発明の第7の態様に係るビデオゲーム装置は、コンピュータと、コンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体とを有し、当該プログラムは、コンピュータに、オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する生成処理と、視点から見て生成処理において生成されたダミーオブジェクトがオブジェクトの後方であってオブジェクトと一部のみ重なるように、オブジェクト及びダミーオブジェクトの位置を決定する位置決定処理と、位置決定処理において決定された位置にオブジェクトを描画すると共に、視点から見てオブジェクトとダミーオブジェクトとが重なる部分を除いて位置決定処理において決定された位置にダミーオブジェクトをオブジェクトとは異なる明度で描画する描画処理とを実行させる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明をコンピュータ・プログラムにより実施する場合において当該コンピュータ・プログラムを実行する家庭用ゲーム機101の一例を図1に示す。家庭用ゲーム機101は、例えば内部バス119に接続された演算処理部103、RAM(Random Access Memory)105、サウンド処理部109、グラフィックス処理部111、CD−ROMドライブ113、通信インターフェース115、及びインターフェース部117を備える。グラフィックス処理部111は、フレームバッファ112を備える。
【0019】
家庭用ゲーム機101のサウンド処理部109及びグラフィックス処理部111は表示画面120を有するTVセット121に接続されている。また、CD−ROMドライブ113にはCD−ROMドライブ113に対して着脱自在なCD−ROM131が装着されている。通信インターフェース115はネットワーク151と通信媒体141を介して接続される。インターフェース部117には、操作ボタンを備えたキーパッド161及びメモリカード171が接続される。
【0020】
演算処理部103は、CPUやROM(Read Only Memory)などを含み、CD−ROM131上に格納されたプログラムを実行し、家庭用ゲーム機101の制御を行う。RAM105は、演算処理部103のワークエリアである。メモリカード171は、プログラムにより参照されるデータを保存するための記憶領域である。サウンド処理部109は、演算処理部103により実行されているプログラムがサウンド出力を行うよう指示している場合に、その指示を解釈して、TVセット121にサウンド信号を出力する。
【0021】
グラフィックス処理部111は、演算処理部103から出力される描画命令に従って、画像データを生成してフレームバッファ112に書き込む。そして、書き込んだ画像データを表示画面120に表示するための信号をTVセット121に出力する。CD−ROMドライブ113は、CD−ROM131上のプログラム及びデータを読み出す。通信インターフェース115は、通信媒体141を介してネットワーク151に接続され、他のコンピュータ等との間で行われるデータ通信の入出力制御を行う。インターフェース部117は、キーパッド161からの入力をRAM105に出力し、演算処理部103がキーパッド161からの入力を解釈して演算処理を実施する。
【0022】
本発明に係るプログラム及びデータは最初例えばCD−ROM131に記憶されている。そして、このプログラム及びデータは実行時にCD−ROMドライブ113により読み出されて、RAM105に転送される。演算処理部103はRAM105にロードされた、本発明に係るプログラム及びデータを処理し、描画命令をグラフィックス処理部111に出力する。なお、中間的なデータはRAM105に記憶される。グラフィックス処理部111は演算処理部103からの描画命令に従って処理を行い、画像データをフレームバッファ112に書き込み、表示画面120に表示するための信号をTVセット121に出力する。
【0023】
以上のような家庭用ゲーム機101において実行される本発明のプログラムのアルゴリズム及び使用されるデータについて以下で詳しく述べる。
【0024】
(実施の形態1)
例えばCD−ROM131に記録されていた本発明に係るプログラム及びデータが、CD−ROMドライブ113によりRAM105にロードされ、本発明に係るプログラムが実行されている場合におけるRAM105の状態を図2に示す。本実施の形態においてRAM105には、少なくともプログラム記憶領域1050と、関連データ記憶領域1052と、ワークエリア1060とが含まれる。プログラム記憶領域1050に記憶されるプログラムについては後に説明する。関連データ記憶領域1052には、ポリゴンテーブル1054と、頂点テーブル1056と、ダミーオブジェクト設定テーブル1058とが含まれる。ワークエリア1060には、ソートテーブル1062が含まれる。
【0025】
関連データ記憶領域1052に含まれるポリゴンテーブル1054の一例を図3に示す。ポリゴンテーブル1054は、描画対象となるオブジェクトと、そのオブジェクトを構成するポリゴンと、そのポリゴンを構成する頂点とを特定するためのテーブルである。描画対象となるオブジェクトを特定するために、オブジェクト識別番号を格納する欄541が設けられている。図3の例ではM1というオブジェクト識別番号が示されている。
【0026】
オブジェクトを構成するポリゴンを特定するために、ポリゴン識別番号を格納する欄543が設けられている。図3の例では、オブジェクトM1を構成するポリゴンとして、P1、P2及びP3というポリゴン識別番号が示されている。
【0027】
ポリゴンを構成する頂点を特定するために、頂点識別番号を格納する欄545が設けられている。図3の例では、ポリゴンP1を構成する頂点として、V1、V2及びV3という頂点識別番号が示されている。また、ポリゴンP2を構成する頂点として、V3、V2及びV4という頂点識別番号が示されている。加えて、ポリゴンP3を構成する頂点として、V4、V5及びV3という頂点識別番号が示されている。
【0028】
例えば描画対象となるオブジェクトM1は、図4に示すようにポリゴンの集合で構成されている。ポリゴンテーブル1054において、オブジェクトM1を構成するポリゴンの識別番号は、オブジェクトM1に対応するポリゴン識別番号の欄543に格納される。また、各ポリゴンを構成する頂点の識別番号は、各ポリゴンに対応する頂点識別番号の欄545に格納される。
【0029】
なお、図4に示されているように、オブジェクトには基準位置Cs(X0,Y0,Z0)が設定されており、各ポリゴンの位置はこの基準位置Csからの変位にて定義される。また、後に説明するが、ダミーオブジェクトの位置を決定する際にもオブジェクトの基準位置は用いられる。
【0030】
関連データ記憶領域1052に含まれる頂点テーブル1056の一例を図5に示す。頂点テーブル1056は、描画対象となるオブジェクトと、そのオブジェクトを構成するポリゴンの頂点と、その頂点の座標値と、テクスチャ座標とを特定するためのテーブルである。描画対象となるオブジェクトを特定するために、オブジェクト識別番号を格納する欄561が設けられている。図5の例ではM1というオブジェクト識別番号が示されている。
【0031】
オブジェクトを構成するポリゴンの頂点を特定するために、頂点識別番号を格納する欄563が設けられている。図5の例ではV1、V2、V3、V4及びV5という頂点識別番号が示されている。各頂点の座標値を特定するために頂点データを格納する欄565が設けられている。図5の例では、頂点V1の座標値は(X1,Y1,Z1)である。頂点V2の座標値は(X2,Y2,Z2)である。頂点V3の座標値は(X3,Y3,Z3)である。頂点V4の座標値は(X4,Y4,Z4)である。頂点V5の座標値は(X5,Y5,Z5)である。
【0032】
各頂点のテクスチャ座標を特定するためにテクスチャデータの欄567が設けられている。図5の例では、頂点V1のテクスチャ座標は(U1,V1)である。頂点V2のテクスチャ座標は(U2,V2)である。頂点V3のテクスチャ座標は(U3,V3)である。頂点V4のテクスチャ座標は(U4,V4)である。頂点V5のテクスチャ座標は(U5,V5)である。
【0033】
関連データ記憶領域1052に含まれるダミーオブジェクト設定テーブル1058の一例を図6に示す。ダミーオブジェクト設定テーブル1058は、明暗が付されるオブジェクト毎に、明暗付加に必要なデータを格納するためのテーブルである。図6におけるオブジェクト識別番号の欄581には、明暗が付されるオブジェクトのオブジェクト識別番号が格納される。図6の例では、オブジェクトM1、M3及びM8が明暗が付されるオブジェクトとして指定されている。
【0034】
なお、明暗が付されるオブジェクトに対しては、その明暗を付するために使用されるダミーオブジェクトが生成される。このダミーオブジェクトは基本的に明暗が付されるオブジェクトのコピーであり、ダミーオブジェクト設定テーブル1058に格納されたデータに従って明暗が付されるオブジェクトのデータから生成される。
【0035】
図6における明度調整値の欄585には、明暗が付されるオブジェクト毎に、明暗を付するために使用されるダミーオブジェクトの明度を決定するための明度調整値が格納される。例えば、ダミーオブジェクトの明度は、明暗が付されるオブジェクトの色データを明度のみ高く又は低く調整したものである。この明度調整値の欄585に格納された明度調整値は、明暗が付されるオブジェクトの色データに加算又は減算等される値であってもよい。
【0036】
また、明度調整値の欄585に格納された明度調整値は、明暗が付されるオブジェクトの色データに代わって使用される値であってもよい。図6の例ではオブジェクトM1の明度調整値は(Rd,Gd,Bd)であり、オブジェクトM3の明度調整値は(Re,Ge,Be)であり、オブジェクトM8の明度調整値は(Rf,Gf,Bf)である。
【0037】
明度調整値の値は、仮想空間内の状況によっても異なる値が設定される。例えばダミーオブジェクトの明度を高くする(より明るくする)場合であって、視点と明暗が付されるオブジェクトとの距離が近い場合には、明度をより高くするような明度調整値が設定される。一方、視点と明暗が付されるオブジェクトとの距離が遠い場合には、明度をあまり高くしないような明度調整値が設定される。このようにすると、オブジェクトの輪郭の一部分に付する明暗のちらつきを抑えることができる。
【0038】
さらに、明暗が付されるオブジェクトに仮想的に光線を当てるということを想定する場合には、光線の色を考慮して明度調整値を設定する。例えば、夕焼けを背にしているオブジェクトの場合には、オレンジ色で明度を明るくするような明度調整値を設定することも可能である。
【0039】
図6における座標調整値の欄587には、例えば明暗が付されるオブジェクトに適切に明るい部分又は暗い部分が付されるようにダミーオブジェクトを移動させるための座標調整値が格納される。座標調整値はワールド座標系における値である。
【0040】
ダミーオブジェクトを明暗が付されるオブジェクトと同じ位置に配置したのでは、重なってしまい何の意味もなさない。また、視点から見てダミーオブジェクトが明暗が付されるオブジェクトより前に配置されても明暗が付されるオブジェクトが表示されなくなってしまう。さらに、視点から見て明暗が付されるオブジェクトの真後ろにダミーオブジェクトを配置したのでは、明暗が付されるオブジェクトに完全に隠れてしまってダミーオブジェクトが見えなくなってしまう。
【0041】
よって、ダミーオブジェクトを明暗が付されるオブジェクトから少々ずれた位置に座標調整値を用いて配置する。別の言い方をすれば、明暗が付されるオブジェクトの基準位置と視点とを結ぶ直線と、明暗が付されるオブジェクトの所定の基準位置に対応する、ダミーオブジェクトにおける位置と視点とを結ぶ直線とがずれを有するように、ダミーオブジェクトの位置を調整する。本実施の形態では、ダミーオブジェクトが明暗が付されるオブジェクトのコピーであるから、基準位置は同じである。よって、視点と各基準位置を結ぶ2直線がずれを生じるように、ダミーオブジェクトの位置を座標調整値により調整する。
【0042】
但し、ダミーオブジェクトを明暗が付されるオブジェクトから大きくずれた位置に配置すれば、2つのオブジェクトが単にずれて配置されているものと見られてしまう。よって、座標調整値により、ダミーオブジェクトを明暗が付されるオブジェクトからわずかにずれた位置に配置する。つまり、明暗が付されるオブジェクトの輪郭の一部分として当該オブジェクトとは異なる明度の色が付くように、ダミーオブジェクトの基準位置を、座標調整値の欄587に格納された座標調整値だけ、明暗が付されるオブジェクトの基準位置から移動させる。
【0043】
図6の例では、オブジェクトM1のダミーオブジェクトの座標調整値は(Xd,Yd,Zd)であり、オブジェクトM3のダミーオブジェクトの座標調整値は(Xe,Ye,Ze)であり、オブジェクトM8のダミーオブジェクトの座標調整値は(Xf,Yf,Zf)である。
【0044】
座標調整値の値は、仮想空間内の状況によっても変化する。例えば、ダミーオブジェクトの明度を高く(より明るくする)場合であって、視点と明暗が付されるオブジェクトとの距離が近い場合には、視点から見たダミーオブジェクトと明暗が付されるオブジェクトとのずれを小さくするように座標調整値を設定する。一方、視点と明暗が付されるオブジェクトとの距離が遠い場合には、視点から見たダミーオブジェクトと明暗が付されるオブジェクトとのずれを比較的大きくするように座標調整値を設定する。このようにすると、オブジェクトの輪郭の一部分に付される明暗のちらつきを抑えることができる。
【0045】
さらに、明暗が付されるオブジェクトに仮想的に光線を当てるということを想定する場合には、その仮想的な光源の位置を考慮に入れて、視点から見たダミーオブジェクトと明暗が付されるオブジェクトとのずれを表す座標調整値を設定しても良い。
【0046】
図6におけるデプス調整値の欄589には、後に述べるソートテーブルの先頭アドレス値をずらすための調整値が格納される。ダミーオブジェクトは、視点から見て、明暗が付されるオブジェクトの後ろに位置が決定される。結果的に、明暗が付されるオブジェクトはそのまま描画され、ダミーオブジェクトは視点から見て明暗が付されるオブジェクトと重ならない部分のみが描画される。
【0047】
ダミーオブジェクトの位置を視点から見て明暗が付されるオブジェクトの後ろに設定するため、ダミーオブジェクトを構成するポリゴンの各頂点の座標を調整してもよいが、処理量が多くなる。ここでは、隠面消去法としてZソート法を用いる。Zソート法で用いられるソートテーブルにおいて、ダミーオブジェクトのポリゴンの格納位置を、ソートテーブルの先頭アドレスをずらすことにより調整する。ソートテーブルの先頭アドレスをずらすことによって、ダミーオブジェクトの位置を視点から見て明暗が付されるオブジェクトの後ろに設定する。
【0048】
図6の例では、オブジェクトM1に対応するダミーオブジェクトの各ポリゴンをソートテーブルに登録する際のデプス調整値はDdである。オブジェクトM2に対応するダミーオブジェクトの各ポリゴンをソートテーブルに登録する際のデプス調整値はDeである。オブジェクトM8に対応するダミーオブジェクトの各ポリゴンをソートテーブルに登録する際のデプス調整値はDfである。
【0049】
なお、実際にはダミーオブジェクトの位置は視点から見て相対的に明暗が付される元のオブジェクトの後ろであれば良い。従って、ダミーオブジェクトの位置を元のオブジェクトの位置に設定し、元のオブジェクトの位置をより視点に近い位置に設定する構成であってもよい。
【0050】
関連データ記憶領域1052に含まれるソートテーブル1062の一例を図7に示す。ソートテーブル1062は、隠面消去の一手法であるZソート法を利用する際に、描画順番を決定するためのテーブルである。描画されるポリゴンのポリゴン識別番号は、描画されるポリゴンの視点からの距離であるデプス値に対応するアドレスに登録される。結果として、ポリゴンはデプス値によりソートされる。デプス値が大きいほど視点から遠く、描画はデプス値の大きい順に実施される。その結果、奥の方にあるポリゴンの画像は手前にあるポリゴンの画像で重ね描きされ、隠面消去が実施される。
【0051】
図7の例では、ソートテーブル1062の先頭アドレス621に、デプス値0のポリゴン識別番号が格納されるようになっている。実際には、ポリゴンのデプス値に対応するアドレスにそのポリゴンのデータへのポインタが格納される。
【0052】
図7において、先頭アドレス621である0x80010000とデプス値の欄623とは本実施の形態を理解するためにのみに示してある。通常、ポリゴン識別番号の欄625のみが存在する。すなわち、図7中点線で示された部分は本実施の形態の理解を容易にするために示されている。ここではデプス値の値が小さいほど視点に近く、1023が最も遠いものとする。ポリゴン識別番号の欄625の各アドレスは、先頭アドレスからデプス値の小さい順に順次割り当てられる。
【0053】
なお、ポリゴンのデプス値には、例えばポリゴンを構成する各頂点のデプス値の平均値を用いる。但し、ポリゴンを構成する頂点のデプス値のうち最も大きいデプス値を使用しても良い。また、最も小さいデプス値を使用してもよい。さらに、ポリゴン内の所定の点、例えば重心のデプス値を使用することもできる。
【0054】
次に本実施の形態におけるプログラムのアルゴリズムについて図8乃至図13を用いて説明する。
【0055】
演算処理部103は、起動時に、ROM等に記憶されているオペレーティングシステムに基づき、CD−ROMドライブ113を介してCD−ROM131から画像処理やゲームの実行に必要なプログラムやデータを読み出し、RAM105に転送させる。そして、演算処理部103は、RAM105に転送されたプログラムを実行することにより、以下に記載する処理を実現する。
【0056】
なお、家庭用ゲーム装置101で行われる制御及び処理の中には、演算処理部103以外の回路が演算処理部103と協働して実際の制御及び処理を行っている場合もある。説明の便宜上、以下では、演算処理部103が関係する制御及び処理は、演算処理部103が直接的に実行しているものとして説明する。
【0057】
また、画像処理やゲームを実行するために必要なプログラムやデータは、実際には演算制御部103からの命令に従って処理の進行状況に応じて順次CD−ROM131から読み出されてRAM105に転送される。しかし、以下に示す説明では、発明の理解を容易にするため、CD−ROM131からのデータの読み出しや、RAM105への転送に関する記述は省略している。
【0058】
表示処理のメインフローは図8に示されている。まず、表示させるオブジェクトが特定される(ステップS1)。次に、表示させるオブジェクトのうち1つのオブジェクトに対して描画演算処理が実施される(ステップS2)。描画演算処理については後に詳しく述べる。そして表示させる全オブジェクトについて描画演算処理を実施したか否かが判断される(ステップS3)。
【0059】
もし、表示させるオブジェクトのうち未処理のオブジェクトが存在する場合にはステップS2に戻る。もし、表示させる全オブジェクトに対して描画演算処理を実施した場合には、フレームバッファ112に対して描画処理を実施する(ステップS4)。そして、フレームバッファ112に格納された画像データをTVセット121の表示画面120に表示する(ステップS5)。
【0060】
本実施の形態において描画処理は、Zソート法による隠面消去処理を伴うものである。すなわち、図7に示したソートテーブル1062の中で最も視点から遠い、すなわちデプス値が最も大きいポリゴンから順番にフレームバッファ112に描き込む。1つのポリゴンの描画は以下に示す処理にて実施される。ポリゴンを構成する各頂点の座標及び色に基づいて補間処理を行い、ポリゴン内部の各画素の色を計算する。
【0061】
テクスチャマッピングを行わない場合には、上述のように計算された色が各画素の色としてフレームバッファ112に描き込まれる。一方、テクスチャマッピングを行う場合には、ポリゴンを構成する各頂点のテクスチャ座標に基づいて補間処理を行い、ポリゴン内部の各画素のテクスチャ座標を計算する。そして、テクスチャ座標のテクセル値と上で計算された画素の色とを用いて生成された色が各画素の色としてフレームバッファ112に描き込まれる。
【0062】
ダミーオブジェクトは視点から見て明暗が付されるオブジェクトより後ろに位置が決定される。後ろに位置するダミーオブジェクトが明暗が付されるオブジェクトと全く被さらない場合には、ダミーオブジェクトの方が明暗が付されるオブジェクトより先に描画される。
【0063】
一方、後ろに位置するダミーオブジェクトが明暗が付されるオブジェクトと被さっている場合には、ソートテーブル1062の中で最も視点から遠いポリゴンから順番にフレームバッファ112に描き込まれる。従って、明暗が付されるオブジェクトのポリゴンにはダミーオブジェクトのポリゴンより先にフレームバッファ112に描き込まれるものもある。
【0064】
次に図9を用いてステップS2の描画演算処理の説明を行う。まず、表示する1つの未処理オブジェクトを特定する(ステップS11)。表示する1つの未処理オブジェクトについて現在の姿勢を計算する(ステップS13)。オブジェクトを構成するポリゴンの位置を現在の姿勢に合わせて変更する。そして、現在の処理がダミーオブジェクトに対する処理であるか判断する(ステップS15)。なお、最初は、ステップS11において1つの未処理オブジェクトを特定しているので、ダミーオブジェクトに対する処理ではない。よって、ステップS17に移行する。
【0065】
ステップS17では、特定された1つの未処理オブジェクトのデータを用意する。例えば、ポリゴンテーブル1054及び頂点テーブル1056のデータを取り出す。そして、用意した1つの未処理オブジェクトのデータを透視変換する(ステップS21)。透視変換とは、ワールド座標系のポリゴンの各頂点の座標値をスクリーン座標系における座標値に変換するものである。透視変換により、特定された1つの未処理オブジェクトを構成する各ポリゴンについて、ポリゴンの各頂点における視点からの距離、すなわちデプス値が算出される。
【0066】
次に特定された1つの未処理オブジェクトを構成する各ポリゴンについて以下の処理を行う。すなわち、ポリゴン毎にポリゴンの各頂点におけるデプス値から、ポリゴンのデプス値を計算する。例えば、三角形ポリゴンの場合、3頂点の3つのデプス値の平均値を求め、ポリゴンのデプス値とする。計算されたポリゴンのデプス値を用いて、ソートテーブル1062の先頭アドレスから登録先アドレスを算出し、各ポリゴンをソートテーブル1062に登録する(ステップS23)。
【0067】
なお、実際にソートテーブル1062に登録されるのは、ポリゴンのデータへのポインタである。特定された1つの未処理オブジェクトを構成する各ポリゴンをソートテーブル1062に登録する際には、ソートテーブル1062の先頭アドレスをずらすことはしない。初期の設定のまま登録する。
【0068】
ソートテーブル1062にポリゴンを登録する際の処理を説明するための図を図10に示す。先頭アドレス621は図7と同じである。既にデプス値15に対応するアドレスにはP4というポリゴンが登録されている。なおP4といったポリゴン識別番号の後ろには括弧で囲まれたデプス値を記載している。デプス値の図示は後の説明のためであって、実際にはデプス値は格納されない。デプス値16のアドレスにはポリゴンP2が登録されている。デプス値17に対応するアドレスにはポリゴンP1及びP3が登録されている。デプス値19に対応するアドレスにはポリゴンP5が登録されている。ここでポリゴンP6を登録する際には、ポリゴンP6のデプス値18というデータを用いて、デプス値18に対応するアドレスに、ポリゴンP6を登録する。
【0069】
図9に戻り、次に、特定された1つの未処理オブジェクトを処理していたのか判断する(ステップS25)。最初の実行時には特定された1つの未処理オブジェクトを処理していたので、ステップS29に移行する。ステップS29では、特定された1つの未処理オブジェクトが明暗付加の対象となっているか判断する。ここでは図6のダミーオブジェクト設定テーブル1058を参照して、ダミーオブジェクト設定テーブル1058に登録されているオブジェクトであるか否かを判断すれば良い。
【0070】
もし、ダミーオブジェクト設定テーブル1058に登録されていないオブジェクトであれば、明暗を付加する処理は必要無いので、処理を終了する。一方、ダミーオブジェクト設定テーブル1058に登録されているオブジェクトであれば、ステップS31に移行する。ステップS31では、処理の対象を、特定された1つの未処理オブジェクトから、対応するダミーオブジェクトに切り換える。
【0071】
ステップS15に戻って、再度ダミーオブジェクトに対する処理であるか判断する。ステップS31でダミーオブジェクトに処理の対象を切り換えているので、今回はステップS19に移行する。ステップS19ではダミーオブジェクト設定処理を行う。ダミーオブジェクト設定処理については図11を用いて詳細に説明する。
【0072】
図11ではまず特定された1つの未処理オブジェクト(明暗が付されるオブジェクト)のデータを複写し、ダミーオブジェクトのデータとして生成する(ステップS35)。例えば、ポリゴンテーブル1054及び頂点テーブル1056のデータを取り出してコピーする。次に、ダミーオブジェクトの明度を変更する(ステップS39)。ダミーオブジェクトの明度は、ダミーオブジェクト設定テーブル1058の明度調整値の欄585のデータを使用して設定されている。上で述べたように、明度調整値の欄585に格納された色データによりダミーオブジェクトの色データを置換することも可能である。
【0073】
加えてダミーオブジェクトの座標データの調整を行う(ステップS41)。座標データの調整にはダミーオブジェクト設定テーブル1058の座標調整値の欄587の座標値を用いる。すなわち、ダミーオブジェクトの基準位置を座標調整値だけずらす。そして、生成されたダミーオブジェクトのデータを透視変換用に用意する(ステップS43)。最後に、ソートテーブル1062の先頭アドレス値をダミーオブジェクト設定テーブル1058のデプス調整値の欄589のデータで調整する(ステップS45)。この段階で図9の処理に戻る。
【0074】
図9では、用意したダミーオブジェクトのデータを透視変換する(ステップS21)。透視変換により、ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンについて、ポリゴンの各頂点における視点からの距離、すなわちデプス値が算出される。
【0075】
次にダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンについて以下の処理を行う。すなわち、ポリゴン毎にポリゴンの各頂点おけるデプス値から、ポリゴンのデプス値を計算する。例えば、三角形ポリゴンの場合、3頂点の3つのデプス値の平均を求め、ポリゴンのデプス値とする。計算されたポリゴンのデプス値を用いて、ソートテーブル1062の先頭アドレスから登録先アドレスを算出し、各ポリゴンをソートテーブル1062に登録する(ステップS23)。
【0076】
図11のステップS45でソートテーブル1062の先頭アドレスが調整されている。先頭アドレスが調整された状態を図12に示す。図12のソートテーブル1062では、先頭アドレス621が0x80010000から0x80010010(先頭アドレス621')に、16バイトだけずらされている。すなわち、今までデプス値2に対応するアドレスが先頭アドレス621'になり、以下全て繰り下がるようになる。なお、ステップS45のように先頭アドレスをずらすので、ソートテーブル1062の上下には余分な領域を確保しておく必要がある。
【0077】
図12においてデプス値15に対応するアドレスには先頭アドレス調整前にデプス値17であったポリゴンP1及びP3が登録されている。デプス値16に対応するアドレスには先頭アドレス調整前にデプス値18であったポリゴンP6が登録されている。デプス値17に対応するアドレスには先頭アドレス調整前にデプス値19であったポリゴンP5が登録されている。
【0078】
また、デプス値17に対応するアドレスには、ダミーオブジェクトを構成するポリゴンであってデプス値17のポリゴンPc1が登録されている。デプス値19のダミーオブジェクトを構成するポリゴンPc2をソートテーブル1062に登録する場合には、その図12のように先頭アドレスがずらされた後のデプス値19に対応するアドレスに登録する。
【0079】
図9に戻って、現在処理しているオブジェクトがステップS11で特定した1つの未処理オブジェクトの処理であるか判断する(ステップS25)。現在はダミーオブジェクトを処理しているので、ステップS27に移行する。ステップS27ではダミーオブジェクトの処理終了に応じてソートテーブル1062の先頭アドレスを元に戻す(ステップS27)。ダミーオブジェクトを処理している期間のみ、ソートテーブルの先頭アドレスは調整される。そして、処理を終了する。
【0080】
なおステップS27終了段階のソートテーブル1062の一例を図13に示す。図13のソートテーブル1062では、先頭アドレスの値が元に戻っている。ソートテーブル1062において、デプス値15に対応するアドレスにはポリゴンP4が登録されている。デプス値16に対応するアドレスにはポリゴンP2が登録されている。デプス値17に対応するアドレスにはポリゴンP1及びポリゴンP3が登録されている。デプス値17に対応するアドレスには、ダミーオブジェクトを構成するポリゴンPc4も登録されている。但し、括弧で示されているように、ポリゴンPc4のデプス値は実際には15である。すなわち、ダミーオブジェクトを構成するポリゴンPc4は、実際よりデプス値2だけ後ろに登録されている。結果的に、ダミーオブジェクトは対応するオブジェクトよりデプス値で2だけ後ろに配置されることになる。
【0081】
デプス値18に対応するアドレスにはポリゴンP6及びポリゴンPc2が登録されている。ポリゴンPc2の実際のデプス値は16であるから、デプス値2だけ後ろに登録されている。デプス値19に対応するアドレスにはポリゴンP5、Pc1及びPc3が登録されている。ポリゴンPc1及びPc3の実際のデプス値は17であるから、デプス値2だけ後ろに登録されている。
【0082】
以上のように表示するオブジェクト及びダミーオブジェクトの各ポリゴンがソートテーブル1062に登録され、ソートテーブル1062において最も視点から遠いポリゴンから順番に図8のステップS4でフレームバッファ112に描画される。そして、ステップS5で、フレームバッファ112に描画された画像がTVセット121の表示画面120に表示される。
【0083】
上で述べた処理では処理速度を速めることを優先するために、ソートテーブル1062の先頭アドレスを調整することによりダミーオブジェクトのデプス値を変更していた。しかし、先頭アドレスを調整せずに、ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンのデプス値を直接調整することも可能である。また、ポリゴンの各頂点のデプス値を調整することも可能である。なお、調整には、加算、引き算、掛け算等の演算処理を含む。
【0084】
さらに上で述べた処理ではダミーオブジェクトを構成するポリゴンを処理する期間中にソートテーブル1062の先頭アドレスを調整していた。しかし、ダミーオブジェクトに対応するオブジェクト(明暗が付されるオブジェクト)を処理する期間中にソートテーブル1062の先頭アドレスを調整する構成とすることも可能である。すなわち、元のオブジェクトを構成する各ポリゴンがソートテーブル1062において実際の位置よりも、より視点に近い位置に登録されるようにする構成である。ソートテーブル1062の先頭アドレスの調整でなく、オブジェクトを構成する各ポリゴンのデプス値を直接変更することも可能である。
【0085】
明暗が付されるオブジェクトに対してテクスチャマッピングが行われる場合にはダミーオブジェクトにも同じようにテクスチャマッピングを行う。但し、ダミーオブジェクトについてはダミーオブジェクトに設定された明度の色でテクスチャを描画する。
【0086】
明度を変更する方法としては、ポリゴンに設定される色データを変更して明度を変更することも可能であるし、カラーパレットの内容を変更することにより明度を変更することも可能である。テクスチャマッピングを行う場合にはテクスチャの明度を変更することにより結果として明度を変更することもできる。
【0087】
実施の形態1によれば、明暗が付されるオブジェクトのダミーオブジェクトを生成する(ステップS35)。次に、ダミーオブジェクトの明度を明度調整値により変更する(ステップS38)。そして、明暗が付されるオブジェクトの基準位置と視点とを結ぶ直線と、明暗が付されるオブジェクトの基準位置に対応するダミーオブジェクトの位置と視点とを結ぶ直線とがずれを生じるようにダミーオブジェクトの位置が微調整される(ステップS41)。その後、Zソート法を用いて明暗が付されるオブジェクト及びダミーオブジェクトを描画する(ステップS4)。ここで、オブジェクトを構成する各ポリゴンについては通常通りソートテーブル1062に登録する。一方、ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンについてはソートテーブル1062の先頭アドレスをずらして実際のデプス値より視点から見て後ろになるようにソートテーブル1062に登録する(ステップS23)。
【0088】
従って、ソートテーブル1062内の視点から遠いポリゴンから順に描画されるので、ダミーオブジェクトに対して元のオブジェクトが上書きされる。最終的にダミーオブジェクトは、明暗が付されるオブジェクトとずれた部分だけが残り、この部分が明るく又は暗く描画されることとなる。
【0089】
結果的に、オブジェクトの輪郭の一部分に明暗をつけることでオブジェクトの強調表示を実現し、描画された投影画像においてオブジェクトの視認性を高めることができる。
【0090】
また、本発明によれば、元のオブジェクトのデータを複写すると共に、元のオブジェクトとは異なる明度を設定したダミーオブジェクトを生成する。そして、生成したダミーオブジェクトを元のオブジェクトの斜め後ろに配置して描画処理を実行すれば、オブジェクトの輪郭の一部に明暗を付けることができる。
【0091】
従って、元のオブジェクトに対して、明暗を付ける輪郭部分(エッジ部分)を検出する処理を実施し、検出した輪郭部分を強調表示させるといった複雑な処理を行う必要が無い。よって、オブジェクトの輪郭の一部分に明暗を付ける処理を簡単な手順で実現することができ、処理速度を高めることができる。
【0092】
明暗描画に関する処理速度を高めることは、ビデオゲームに対して特に有用である。ビデオゲームでは、操作入力等に応じて、表示されるオブジェクトの位置や形状、カメラワークなどが逐次変化する。そして、この逐次変化する内容に応じた投影画像を即座に画面に表示しなければならない。明暗描画処理が複雑であると、たとえ明暗が付されたオブジェクトを描画できたとしても画像の表示速度が遅くなってしまう。従って、表示速度を低下させることなく描画を行うためには、明暗描画に関する手順が簡単であることが重要となるからである。
【0093】
(実施の形態2)
実施の形態1は描画処理の際にZソート法を使用した隠面消去を行っていた。本実施の形態では描画の際にZバッファを使用した隠面消去を行う。
【0094】
本実施の形態において、例えばCD−ROM131に記憶されていた本発明に係るプログラム及びデータが、CD−ROMドライブ113によりRAM105にロードされ、本発明に係るプログラムが実行されている場合におけるRAM105の状態を図14に示す。本実施の形態においてRAM105には、少なくともプログラム記憶領域1050と、関連データ記憶領域1052と、ワークエリア1060とが含まれる。プログラム記憶領域1050に記憶されるプログラムについては後に説明する。
【0095】
関連データ記憶領域1052には、ポリゴンテーブル1054と、頂点テーブル1056と、ダミーオブジェクト設定テーブル1058とが含まれる。ここまでは実施の形態1と同じである。ワークエリア1060には、ソートテーブル1062の代わりに、ピクセルテーブル1064及びZバッファ1066が含まれる。但し、ピクセルテーブル1064及びZバッファ1066は、フレームバッファ112に設けられる場合もある。ワークエリア1060の一部が、フレームバッファ112に割り当てられている場合がある。
【0096】
関連データ記憶領域1052に含まれるポリゴンテーブル1054は実施の形態1と同じであり、図3に示されている。ポリゴンテーブル1054は、明暗が付されるオブジェクトと、そのオブジェクトを構成するポリゴンと、そのポリゴンを構成する頂点とを特定するためのテーブルである。
【0097】
関連データ記憶領域1052に含まれる頂点テーブル1056は実施の形態1と同じであり、図5に示されている。頂点テーブル1056は、明暗が付されるオブジェクトと、そのオブジェクトを構成するポリゴンの頂点と、その頂点の座標値と、テクスチャ座標とを特定するためのテーブルである。
【0098】
関連データ記憶領域1052に含まれるダミーオブジェクト設定テーブル1058は図6に示されている限りにおいては実施の形態1と同じである。ダミーオブジェクト設定テーブル1058は、明暗が付されるオブジェクト毎に、明暗付加に必要なデータを格納するためのテーブルである。すなわち、明暗が付されるオブジェクトに対し、明暗を付するために使用されるダミーオブジェクトのデータを生成する上で必要なデータである。オブジェクト識別番号の欄581には、明暗が付されるオブジェクトのオブジェクト識別番号が格納される。
【0099】
明度調整値の欄585には、明暗が付されるオブジェクト毎に、対応するダミーオブジェクトの明度を調整するための値が格納される。座標調整値の欄587には、視点から見たダミーオブジェクトと明暗が付されるオブジェクトとに適切なずれを生ずるようにダミーオブジェクトを移動させるための座標調整値が格納される。座標調整値はワールド座標系における値である。デプス調整値の欄589には、透視変換後における各ポリゴンに対して、ポリゴンの各頂点のZ値を調整するための値が格納される。すなわち、デプス調整値はスクリーン座標系のデプス値を調整するためのものである
【0100】
本実施の形態では、後に述べるがダミーオブジェクトを構成するポリゴンを描画する際には、透視変換後にポリゴンの頂点のデプス値を視点から見て後ろにずらすことにより、実施の形態1と同じように、対応するオブジェクトよりダミーオブジェクトが後ろに配置されるようにする。これにより、ダミーオブジェクトは明暗が付される元のオブジェクトと重ならない部分のみが描画されるようになる。
【0101】
ワークエリア1060に含まれるピクセルテーブル1064の一例を図15に示す。ピクセルテーブル1064は、各画素の表示すべき色データを格納するためのテーブルである。図15に示したように、ピクセルテーブル1064には画素識別番号の欄641と色データ(R,G,B)の欄643とが設けられている。画素識別番号は、図16に示すように、表示画面120の画素ひとつひとつに付された識別番号である。図16のように縦240画素、横320画素の場合には、例えば左上の0から順番に右下の76799まで識別番号が付される。ピクセルテーブル1064では画素識別番号毎に色データが記憶される。
【0102】
ワークエリア1060に含まれるZバッファ1066の一例を図17に示す。Zバッファ1066は、画素毎に、ピクセルテーブル1064に格納された色データの元となるポリゴン内部の点(ポリゴンの頂点を含む)のZ値を格納するためのテーブルである。よって、Zバッファ1066には、画素識別番号の欄661とZ値の欄663が設けられている。
【0103】
次に本実施の形態におけるプログラムのアルゴリズムについて図8、図18及び図19を用いて説明する。
【0104】
演算処理部103は、起動時に、ROM等に記憶されているオペレーティングシステムに基づき、CD−ROMドライブ113を介してCD−ROM131から画像処理やゲームの実行に必要なプログラムやデータを読み出し、RAM105に転送させる。そして、演算処理部103は、RAM105に転送されたプログラムを実行することにより、以下に記載する処理を実現する。
【0105】
なお、家庭用ゲーム装置101で行われる制御及び処理の中には、演算処理部103以外の回路が演算処理部103と協働して実際の制御及び処理を行っている場合もある。説明の便宜上、以下では、演算処理部103が関係する制御及び処理は、演算処理部103が直接的に実行しているものとして説明する。
【0106】
また、画像処理やゲームを実行するために必要なプログラムやデータは、実際には演算制御部103からの命令に従って処理の進行状況に応じて順次CD−ROM131から読み出されてRAM105に転送される。しかし、以下に示す説明では、発明の理解を容易にするため、CD−ROM131からのデータの読み出しや、RAM105への転送に関する記述は省略している。
【0107】
表示に関するメインフローは、図8に示されている限りにおいて実施の形態1と同じである。まず、表示させるオブジェクトが特定される(ステップS1)。次に、表示させるオブジェクトのうち1つのオブジェクトに対して描画演算処理が実施される(ステップS2)。この描画演算処理については後に詳しく述べる。そして表示させる全オブジェクトについて描画演算処理が終了したか否かが判断される(ステップS3)。もし、表示させるオブジェクトのうち未処理のオブジェクトが存在する場合にはステップS3に戻る。もし、表示させる全オブジェクトに対して描画演算処理を実施した場合には、フレームバッファ112に描画処理を実施する(ステップS4)。そして、フレームバッファ112に格納された画像データをTVセット121の表示画面120に表示する(ステップS5)。
【0108】
本実施の形態ではZバッファ法を用いて描画処理を実施する。Zバッファ法では、描画すべきポリゴンのデータを含むディスプレイリストを用いてフレームバッファ112への描画処理を実行する。ディスプレイリストに含まれるポリゴンのデータには、ポリゴンの各頂点のスクリーン座標系における座標(デプス値を含む)、テクスチャ座標及び色データが含まれる。
【0109】
ステップS4では、ディスプレイリストから一つずつポリゴンのデータを取り出し、ポリゴンの各頂点の座標、テクスチャ座標及び色データに基づいて補間処理を行い、ポリゴン内部の点の座標、テクスチャ座標及び色データを計算する。この際、ポリゴン内部の点(ポリゴンの頂点を含む)の座標に含まれるデプス値と、当該ポリゴン内部の点の座標に対応する画素識別番号のZバッファ1066内のZ値とを比較する。そして、デプス値の方が小さな値を有している場合のみ後の処理を実施する。
【0110】
すなわち、デプス値を、ポリゴン内部の点の座標に対応する画素識別番号に対応してZバッファ1066のZ値の欄663に格納する。そして、テクスチャ座標を使用してテクセル値を取り出し、テクセル値と補間により得られた色データ(又はポリゴンの頂点の色データ)とを使用して描画すべき画素の色を計算する。画素の色は、ポリゴン内部の点の座標に対応する画素識別番号に対応してピクセルテーブル1064の色データの欄643に格納される。テクスチャを使用しない場合には、補間により得られた色データ(又はポリゴンの頂点の色データ)が、ポリゴン内部の点の座標に対応する画素識別番号に対応してピクセルテーブル1064の色データの欄643に格納される。
【0111】
従って、同一画素に対して投影されるポリゴン内部の点が複数存在する場合に、その中から最も視点に近いポリゴン内部の点の色データがピクセルテーブル1064に格納されることになる。視点に最も近いポリゴン内部の点が、元のオブジェクトを構成するポリゴン内部の点である場合には、元のオブジェクトを構成するポリゴン内部の点における色データが画素に対応する画素識別番号に対応してピクセルテーブル1064に格納される。
【0112】
一方、視点に最も近いポリゴン内部の点が、ダミーオブジェクトを構成するポリゴン内部の点である場合には、ダミーオブジェクトの色が、画素に対応する画素識別番号に対応してピクセルテーブル1064に格納される。なお、ダミーオブジェクトの色は、ダミーオブジェクトのポリゴンの色データである。
【0113】
次に図18を用いてステップS2の描画演算処理の説明を行う。最初に、表示する1つの未処理オブジェクトを特定する(ステップS71)。特定したオブジェクトについて現在の姿勢を計算する(ステップS73)。オブジェクトを構成するポリゴンの位置を現在の姿勢に合わせて変更する。そして、現在の処理がダミーオブジェクトに対する処理であるか判断する(ステップS75)。なお、最初は、ステップS71において1つの未処理オブジェクトを特定しているので、ダミーオブジェクトに対する処理ではない。よって、ステップS77に移行する。
【0114】
ステップS77では、特定された1つの未処理オブジェクトのデータを用意する。そして、用意された1つの未処理オブジェクトのデータを透視変換する(ステップS81)。透視変換により、特定された1つの未処理オブジェクトを構成する各ポリゴンについて、ポリゴンの各頂点における視点からの距離、すなわちデプス値が算出される。
【0115】
次に、特定された1つの未処理オブジェクト(明暗が付されるオブジェクト)を構成する各ポリゴンについて、ポリゴンの各頂点におけるデプス値を、デプス調整値で調整する(ステップS83)。なお、特定された1つの未処理オブジェクトを処理している間はデプス調整値は0である。従って、実質的に本ステップはスキップされる。そして、特定された1つの未処理オブジェクトを構成する各ポリゴンのデータをディスプレイリストに加える(ステップS85)。
【0116】
次に特定された1つの未処理オブジェクトを処理していたのか判断する(ステップS87)。最初の実行時には特定された1つの未処理オブジェクトを処理していたので、ステップS89に移行する。ステップS89では、特定された1つの未処理オブジェクトが明暗付加の対象となっているか判断する。ここでは図6のダミーオブジェクト設定テーブル1058を参照して、ダミーオブジェクト設定テーブル1058に登録されているオブジェクトであるか否かを判断すれば良い。
【0117】
もし、ダミーオブジェクト設定テーブル1058に登録されていないオブジェクトであれば、明暗を付加する必要は無いので、処理を終了する。一方、ダミーオブジェクト設定テーブル1058に登録されているオブジェクトであれば、ステップS93に移行する。ステップS93では、処理の対象を、特定された1つの未処理オブジェクトに対応するダミーオブジェクトに切り換える。
【0118】
ステップS75に戻って、再度ダミーオブジェクトに対する処理であるか判断する。ステップS93でダミーオブジェクトに処理の対象を切り換えているので、今回はステップS79に移行する。ステップS79ではダミーオブジェクト設定処理を行う。ダミーオブジェクト設定処理については図19を用いて詳細に説明する。
【0119】
図19ではまず特定された1つの未処理オブジェクト(明暗が付されるオブジェクト)のデータを複写し、ダミーオブジェクトのデータとして生成する(ステップS95)。例えば、ポリゴンテーブル1054及び頂点テーブル1056のデータを取り出してコピーする。次に、ダミーオブジェクトの明度を変更する(ステップS99)。ダミーオブジェクトの明度は、ダミーオブジェクト設定テーブル1058の明度調整値の欄585のデータを使用して調整される。なお、明度調整値の欄585に格納された値にて、ダミーオブジェクトの色データを置換しても良い。
【0120】
そしてダミーオブジェクトの座標データの調整を行う(ステップS101)。座標データの調整にはダミーオブジェクト設定テーブル1058の座標調整値の欄587の座標値を用いる。すなわち、ダミーオブジェクトの基準位置を座標調整値だけずらす。
【0121】
そして、図18のステップS83で使用するデプス調整値の設定を行う(ステップS103)。デプス調整値にはダミーオブジェクト設定テーブル1058のデプス調整値の欄589の値を用いる。以上のように生成されたダミーオブジェクトのデータを透視変換用に用意する(ステップS105)。この段階で図18のステップS81に戻る。
【0122】
図18では、用意したダミーオブジェクトのデータを透視変換する(ステップS81)。透視変換により、ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンについて、ポリゴンの各頂点における視点からの距離、すなわちデプス値が算出される。そして、図19のステップS103で設定されたデプス調整値で、ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンについて、ポリゴンの各頂点のデプス値を調整する。すなわち、ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンを、明暗が付される元のオブジェクトより後ろに配置する。そして、デプス調整値によりデプス値が調整されたダミーオブジェクトの各ポリゴンのデータをディスプレイリストに加える(ステップS85)。
【0123】
次いで、現在処理しているオブジェクトがステップS71で特定した1つの未処理オブジェクト(明暗が付されるオブジェクト)の処理であるか判断する(ステップS87)。現在はダミーオブジェクトを処理しているので、ステップS91に移行する。ステップS91ではダミーオブジェクトの処理終了に応じてデプス調整値を0にリセットする(ステップS91)。そして、処理を終了する。
【0124】
以上の処理により、明暗が付されるオブジェクトを構成するポリゴンについては通常通りディスプレイリストに登録される。一方、明暗が付されるオブジェクトに対応するダミーオブジェクトを構成するポリゴンについては、明暗が付されるオブジェクトより各頂点のデプス値を大きく設定して、ディスプレイリストに登録される。そして、ディスプレイリストに従って、Zバッファ法による隠面消去処理を行い、フレームバッファ112に画像を描画し、表示画面120に表示する。従って、視点から見てオブジェクトと重なる部分を除きダミーオブジェクトは、明暗が付されるオブジェクトとは異なる明度で、例えば明暗が付されるオブジェクトより明るく又は暗く描画される。
【0125】
本実施の形態においても、相対的にダミーオブジェクトが、明暗が付される元のオブジェクトの後ろに位置すれば良い。よって、明暗が付される元のオブジェクトの処理における図18のステップS83で、明暗が付される元のオブジェクトを構成するポリゴンの各頂点のデプス値を調整して、明暗が付される元のオブジェクトがダミーオブジェクトより前に位置するように、すなわちより視点に近い位置になるように設定しても良い。
【0126】
実施の形態2によれば、明暗が付されるオブジェクトのダミーオブジェクトを生成する(ステップS97)。次に、ダミーオブジェクトの明度が明度調整値により変更される(ステップS99)。そして、明暗が付されるオブジェクトの基準位置と視点とを結ぶ直線と、明暗が付されるオブジェクトの基準位置に対応するダミーオブジェクトにおける位置と視点とを結ぶ直線とがずれを有するように、ダミーオブジェクトの位置が微調整される(ステップS101)。その後、Zバッファ法を用いて明暗が付されるオブジェクト及びダミーオブジェクトを描画する(ステップS4)。ここで、明暗が付されるオブジェクトを構成する各ポリゴンについては通常通りディスプレイリストに登録する。一方、ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンについてはポリゴンの各頂点のデプス値を視点から見て後ろにずらした後にディスプレイリストに登録する(ステップS85)。
【0127】
従って、同一画素に投影されるポリゴンが複数存在し且つ視点から最も近いポリゴンが明暗が付されるオブジェクトを構成するポリゴンである場合には、明暗が付されるオブジェクトを構成するポリゴン内部の点の色データに従って画素が描画される。一方、同一画素に投影されるポリゴンが複数存在し且つ視点から最も近いポリゴンがダミーオブジェクトを構成するポリゴンである場合には、ダミーオブジェクトを構成するポリゴン内部の点の色データに従って、すなわち明暗が付されるオブジェクトとは異なる明度で画素が描画される。最終的にダミーオブジェクトは、オブジェクトの縁の部分だけが残り、この部分が明るく又は暗く描画されることとなる。
【0128】
結果的に、オブジェクトの輪郭の一部分に明暗をつけることでオブジェクトの強調表示を実現し、描画された投影画像においてオブジェクトの視認性を高めることができる。
【0129】
また、本発明によれば、元のオブジェクトのデータを複写すると共に、元のオブジェクトとは異なる明度を設定したダミーオブジェクトを生成する。そして、生成したダミーオブジェクトを元のオブジェクトの斜め後ろに配置して描画処理を実行すれば、オブジェクトの輪郭の一部に明暗を付けることができる。
【0130】
従って、元のオブジェクトに対して、明暗を付ける輪郭部分(エッジ部分)を検出する処理を実施し、検出した輪郭部分を強調表示させるといった複雑な処理を行う必要が無い。よって、オブジェクトの輪郭の一部分に明暗を付ける処理を簡単な手順で実現することができ、処理速度を高めることができる。
【0131】
明暗描画に関する処理速度を高めることは、ビデオゲームに対して特に有用である。ビデオゲームでは、操作入力等に応じて、表示されるオブジェクトの位置や形状、カメラワークなどが逐次変化する。そして、この逐次変化する内容に応じた投影画像を即座に画面に表示しなければならない。明暗描画に関する処理が複雑であると、たとえ明暗が付されたオブジェクトを描画できたとしても画像の表示速度が遅くなってしまう。従って、表示速度を低下させることなく明暗描画を行うためには、明暗描画に関する手順が簡単であることが重要となるからである。
【0132】
(その他の実施の形態)
(1)上の説明では、オブジェクトを、ビデオゲームのキャラクタのモデル全体として説明してきた。しかし、オブジェクトをモデルの一部分として取り扱うことも可能である。例えば、人型のゲームキャラクタにおいてオブジェクトを頭部、胸部、右腕部、左腕部等々と各部位単位に設定し、オブジェクト単位で明暗を付する処理を実行することも可能である。各部位単位にオブジェクトを設定すると、部位毎に明度調整値、デプス調整値を設定することにより、明度や明暗が付される縁の太さをきめ細やかに設定することが可能となる。
【0133】
(2)上の説明ではオブジェクトを複製することによりダミーオブジェクトを生成していたが、オブジェクトを構成するポリゴンの数より、ダミーオブジェクトを構成するポリゴンの数が少なくなるように、より簡易的にダミーオブジェクトを構成することも可能である。また、オブジェクトからダミーオブジェクトを生成することなく、別途ダミーオブジェクトのデータを予め用意しておくことも可能である。
【0134】
(3)上の説明ではポリゴン、特に三角形ポリゴンを前提に処理を説明していた。しかし、明暗が付されるオブジェクト及びダミーオブジェクトが、四角形以上の多角形ポリゴンを含む複数のポリゴンにて構成されるとすることも可能である。さらに、明暗が付されるオブジェクト及びダミーオブジェクトが曲面を含む複数の面で構成され、各面が1又は複数のポリゴンで近似されて処理されるとしてもよい。
【0135】
(4)使用するハードウエアの変更
図1は一例であって、様々な変更が可能である。通信インターフェース115を備えるか否かは任意である。本発明は直接サウンド処理には関係しないので、サウンド処理部109を備えている必要は無い。
【0136】
また、CD−ROMは記録媒体の一例であって、ROMのような内部メモリ、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカートリッジ、フロッピーディスク、磁気ディスク、DVD−RAM等の他の記録媒体であってもよい。その場合にはCD−ROMドライブ113を、対応する媒体で読み出し可能なドライブにする必要がある。
【0137】
さらに、以上は本発明をコンピュータ・プログラムにより実装した場合であるが、コンピュータ・プログラムと電子回路などの専用の装置の組み合せ、又は電子回路などの専用の装置のみによっても実装することは可能である。
【0138】
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施の形態では、家庭用ゲーム機をプラットフォームとして本発明を実現した場合について述べたが、本発明は通常のコンピュータ、アーケードゲーム機などをプラットフォームとして実現しても良い。また、携帯情報端末、カーナビゲーション・システム等をプラットフォームにして実現することも考えられる。
【0139】
また、本発明を実現するためのプログラムやデータは、コンピュータやゲーム機に対して着脱可能なCD−ROM等の記録媒体により提供される形態に限定されない。すなわち、本発明を実現するためのプログラムやデータを、図1に示す通信インターフェース115、通信回線141を介して接続されたネットワーク151上の他の機器側のメモリに記録し、プログラムやデータを通信回線141を介して必要に応じて順次RAM105に格納して使用する形態であってもよい。
【0140】
(表示例)
薄暗い仮想三次元空間にキャラクタを表すオブジェクトが配置され、この状態をそのまま描画するとると、図20のように表示画面全体120が暗く沈んだ様になってしまう。そこで、上で述べたように図20に示されたキャラクタを表すオブジェクトより明度が高い(明るい)ダミーオブジェクトを用意する。このダミーオブジェクトの表示例を図21に示す。図20と図21を比較すると、キャラクタを表すオブジェクトの明度の差がはっきりしている。
【0141】
本発明の処理フローに従って、図21に示されたダミーオブジェクトを明暗が付される元のオブジェクトの斜め後ろに配置し(ステップS23、S41)、描画する(ステップS4)と、図22に示された表示例となる。図22では、キャラクタの頭部上端、右肩上端及び左肩上端部に明るい帯状の領域が示されている。これは、明暗が付される元のオブジェクトに遮られること無く視線が視点からダミーオブジェクトに到達した部分である。図22に示すように、元のオブジェクトの輪郭の一部分に明暗を付けることにより、投影画像におけるオブジェクトを強調し、画像中のオブジェクトの視認性を高めることができる。さらに、あたかもキャラクタに後ろから強い光が当てられているかのような演出的な効果を得ることもできる。但し、逆光表現以外にもキャラクタを強調する表現技法として使用することができる。
【0142】
図23に、ダミーオブジェクト設定テーブル1058に格納される座標調整値が適切でない場合の表示例を示す。ダミーオブジェクトが明暗が付される元のオブジェクトから大きくずれて配置されているため、2つのオブジェクトが単にずれて配置されている、又はテレビで像がだぶって見えるゴースト現象のように見えてしまう。これでは、上述の効果を得ることができない。座標調整値の設定が大きく表示結果に影響することが分かる。
【0143】
以上の説明ではオブジェクトを強調表示して投影画像におけるオブジェクトの視認性を高めるためにダミーオブジェクトを導入したが、処理時間等のために正確な光源計算を実施できない又は意図的に光源計算を行わない場合等にも本発明を使用することができる。すなわち、光源計算により得られる陰影(明暗)を描画する代わりに、陰影を付するためにダミーオブジェクトを描画するものである。特に、カートゥーンアニメーションのような非写実的なレンダリングの場合には、必ずしも現実的な陰影は不要であるから、本発明を適用すればオブジェクトに対して陰影をより簡単な処理で描画することができるようになる。
【0144】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、オブジェクトの輪郭の一部分に明暗を付けることでオブジェクトの強調表示を実現し、投影画像におけるオブジェクトの視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】家庭用ゲーム機のブロック構成図である。
【図2】実施の形態1におけるRAMの状態を示すブロック図である。
【図3】ポリゴンテーブルの一例を示す図である。
【図4】オブジェクトの一例を示す図である。
【図5】頂点テーブルの一例を示す図である。
【図6】ダミーオブジェクト設定テーブルの一例を示す図である。
【図7】ソートテーブルを説明するための模式図である。
【図8】実施の形態1及び2における表示処理のフローを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1における描画演算処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図10】ソートテーブルにオブジェクトを構成するポリゴンを登録する際の処理を説明するための模式図である。
【図11】実施の形態1におけるダミーオブジェクト設定処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図12】ソートテーブルにダミーオブジェクトを構成するポリゴンを登録する際の処理を説明するための模式図である。
【図13】ダミーオブジェクト及びオブジェクトのポリゴンを登録後、先頭アドレスを元に戻した状態におけるソートテーブルを説明するための模式図である。
【図14】実施の形態2におけるRAMの状態を示すブロック図である。
【図15】ピクセルテーブルの一例を示す図である。
【図16】画素識別番号を説明するための表示画面の一例を示す模式図である。
【図17】Zバッファの一例を示す図である。
【図18】実施の形態2における描画演算処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図19】実施の形態2におけるダミーオブジェクト設定処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図20】薄暗い仮想三次元空間にキャラクタを表すオブジェクトが配置された場面を描画した表示画面例である。
【図21】図20に示したキャラクタのダミーオブジェクトを描画した表示画面例である。
【図22】薄暗い仮想三次元空間にキャラクタを表すオブジェクトと対応するダミーオブジェクトが適切に配置された場面を描画した表示画面例である。
【図23】薄暗い仮想三次元空間にキャラクタを表すオブジェクトと対応するダミーオブジェクトが大きくずれて配置された場面を描画した表示画面例である。
【符号の説明】
101 家庭用ゲーム機 103 演算処理部
105 RAM 109 サウンド処理部 112 フレームバッファ
111 グラフィックス処理部 113 CD−ROMドライブ
115 通信インターフェース 117 インターフェース部
119 内部バス 121 TVセット 120 表示画面
131 CD−ROM 141 通信媒体 151 ネットワーク
161 キーパッド 171 メモリカード
1050 プログラム記憶領域 1052 関連データ記憶領域
1054 ポリゴンテーブル 1056 頂点テーブル
1058 ダミーオブジェクト設定テーブル 1060 ワークエリア
1062 ソートテーブル 1064 ピクセルテーブル
1066 Zバッファ
Claims (16)
- 仮想空間におけるオブジェクトを描画する、ビデオゲーム用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成し、記憶装置に格納する第1手段と、
前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトが視点から見て前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記オブジェクト及び前記ダミーオブジェクトの位置を決定し、前記オブジェクトの位置情報及び前記ダミーオブジェクトの位置情報を前記記憶装置に格納する第2手段と、
前記記憶装置に格納された前記オブジェクトの位置情報に基づき前記オブジェクトを描画すると共に、視点から見て前記オブジェクトと前記ダミーオブジェクトとが重なる部分を除いて前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトの位置情報に基づき前記ダミーオブジェクトを前記オブジェクトとは異なる明度で描画する第3手段と、
を実現させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 前記第2手段が、
前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトが視点から見て前記オブジェクトの後方に配置されるように、且つ前記オブジェクトの所定の基準位置と視点とを結ぶ直線と、前記オブジェクトの所定の基準位置に対応する、前記ダミーオブジェクトにおける位置と視点とを結ぶ直線とがずれを有するように、前記オブジェクト及び前記ダミーオブジェクトの位置を決定する手段、
であることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 前記第3手段が、
前記記憶装置に格納された前記オブジェクトの位置情報及び前記ダミーオブジェクトの位置情報に基づき、前記ダミーオブジェクト、前記オブジェクトの順で、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを描画する手段
であることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 前記第3手段が、
Zバッファを用いた隠面消去処理を行って、前記記憶装置に格納された前記オブジェクトの位置情報に基づき前記オブジェクトを描画すると共に、前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトの位置情報に基づき前記ダミーオブジェクトを前記オブジェクトとは異なる明度で描画する手段、
であることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 前記第3手段が、
前記記憶装置に格納された前記オブジェクトの位置情報に基づき前記オブジェクトを描画すると共に、視点から見て前記オブジェクトと前記ダミーオブジェクトとが重なる部分を除いて前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトの位置情報に基づき前記ダミーオブジェクトを前記オブジェクトより明るく描画する手段、
であることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 複数のポリゴンにより構成されるオブジェクトを描画する、ビデオゲーム用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成し、記憶装置に格納する第1手段と、
前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトが視点から見て前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を算出し、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離に関する情報を前記記憶装置に格納する第2手段と、
前記記憶装置に格納された、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離に関する情報に基づき、視点からの距離が遠い順に前記各ポリゴンを順序付けることにより得られる、前記各ポリゴンの描画順番に従って、前記オブジェクトを構成する各ポリゴンを描画すると共に、前記ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンを前記オブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する第3手段と、
を実現させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 複数のポリゴンにより構成されるオブジェクトを描画する、ビデオゲーム用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成し、記憶装置に格納する第1手段と、
前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトが視点から見て前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を算出し、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離に関する情報を前記記憶装置に格納する第2手段と、
画素毎に、前記記憶装置に格納された、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離に関する情報に基づき、当該画素に投影可能なポリゴンのうち視点からの距離が最も近いポリゴンに従って描画処理を行う際に、画素に投影されるポリゴンが前記オブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該ポリゴンに従って当該画素を描画すると共に、画素に投影されるポリゴンが前記ダミーオブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該画素を前記オブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する第3手段と、
を実現させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 生成手段と位置決定手段と描画手段と記憶装置とを有するコンピュータにより実行され、仮想空間におけるオブジェクトを描画する、ビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法であって、
前記生成手段により、前記オブジェクトのダミーオブジェクトを生成し、前記記憶装置に格納する第1ステップと、
前記位置決定手段により、前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトが視点から見て前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記オブジェクト及び前記ダミーオブジェクトの位置を決定し、前記オブジェクトの位置情報及び前記ダミーオブジェクトの位置情報を前記記憶装置に格納する第2ステップと、
前記描画手段により、前記記憶装置に格納された前記オブジェクトの位置情報に基づき前記オブジェクトを描画すると共に、視点から見て前記オブジェクトと前記ダミーオブジェクトとが重なる部分を除いて前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトの位置情報に基づき前記ダミーオブジェクトを前記オブジェクトとは異なる明度で描画する第3ステップと、
を含むことを特徴とするビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法。 - 前記第2ステップが、
前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトが視点から見て前記オブジェクトの後方に配置されるように、且つ前記オブジェクトの所定の基準位置と視点とを結ぶ直線と、前記オブジェクトの所定の基準位置に対応する、前記ダミーオブジェクトにおける位置と視点とを結ぶ直線とがずれを有するように、前記オブジェクト及び前記ダミーオブジェクトの位置を決定するステップ、
であることを特徴とする請求項8記載のビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法。 - 前記第3ステップが、
前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトの位置情報に基づき前記ダミーオブジェクトを前記オブジェクトとは異なる明度で描画した後、前記記憶装置に格納された前記オブジェクトの位置情報に基づき前記オブジェクトを描画するステップ
であることを特徴とする請求項8記載のビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法。 - 生成手段と設定手段と描画手段と記憶装置とを有するコンピュータにより実行され、複数のポリゴンにより構成されるオブジェクトを描画する、ビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法であって、
前記生成手段により、前記オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成し、記憶装置に格納する第1ステップと、
前記設定手段により、前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトが視点から見て前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を算出し、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離に関する情報を前記記憶装置に格納する第2ステップと、
前記描画手段により、前記記憶装置に格納された、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離に関する情報に基づき、視点からの距離が遠い順に前記各ポリゴンを順序付けることにより得られる、前記各ポリゴンの描画順番に従って、前記オブジェクトを構成する各ポリゴンを描画すると共に、前記ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンを前記オブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する第3ステップと、
を含むことを特徴とするビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法。 - 生成手段と設定手段と描画手段と記憶装置とを有するコンピュータにより実行され、複数のポリゴンにより構成されるオブジェクトを描画する、ビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法であって、
前記生成手段により、前記オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成し、記憶装置に格納する第1ステップと、
前記設定手段により、前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトが視点から見て前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を算出し、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離に関する情報を前記記憶装置に格納する第2ステップと、
前記描画手段により、画素毎に、前記記憶装置に格納された、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離に関する情報に基づき、当該画素に投影可能なポリゴンのうち視点からの距離が最も近いポリゴンに従って描画処理を行う際に、画素に投影されるポリゴンが前記オブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該ポリゴンに従って当該画素を描画すると共に、画素に投影されるポリゴンが前記ダミーオブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該画素を前記オブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する第3ステップと、
を含むことを特徴とするビデオゲームにおけるオブジェクト描画方法。 - 仮想空間におけるオブジェクトを描画するビデオゲーム装置であって、
前記オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する生成手段と、
視点から見て前記生成手段により生成された前記ダミーオブジェクトが前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記オブジェクト及び前記ダミーオブジェクトの位置を決定する位置決定手段と、
前記位置決定手段により決定された位置にオブジェクトを描画すると共に、視点から見て前記オブジェクトと前記ダミーオブジェクトとが重なる部分を除いて前記位置決定手段により決定された位置に前記ダミーオブジェクトを前記オブジェクトとは異なる明度で描画する描画手段と、
を有することを特徴とするビデオゲーム装置。 - 複数のポリゴンにより構成されるオブジェクトを描画するビデオゲーム装置であって、
前記オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する生成手段と、
視点から見て前記生成手段により生成された前記ダミーオブジェクトが前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された視点からの距離が遠い順に前記各ポリゴンを順序付けることにより得られる、前記各ポリゴンの描画順番に従って、前記オブジェクトを構成する各ポリゴンを描画すると共に、前記ダミーオブジェクトを構成する各ポリゴンを前記オブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する描画手段と、
を有することを特徴とするビデオゲーム装置。 - 複数のポリゴンにより構成されるオブジェクトを描画するビデオゲーム装置であって、
前記オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成する生成手段と、
視点から見て前記生成手段により生成された前記明暗表現オブジェクトを前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記ダミーオブジェクト及び前記オブジェクトを構成する各ポリゴンの視点からの距離を設定する設定手段と、
画素毎に、当該画素に投影可能なポリゴンのうち前記設定手段により設定された視点からの距離が最も近いポリゴンに従って描画処理を行う際に、画素に投影されるポリゴンが前記オブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該ポリゴンに従って当該画素を描画すると共に、画素に投影されるポリゴンが前記ダミーオブジェクトを構成するポリゴンである場合は当該画素を前記オブジェクトの対応するポリゴンとは異なる明度で描画する描画手段と、
を有することを特徴とするビデオゲーム装置。 - 仮想空間におけるオブジェクトを描画するビデオゲーム装置であって、
コンピュータと、
前記コンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体と、
を有し、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
前記オブジェクトのデータを複製してダミーオブジェクトを生成し、記憶装置に格納する生成手段と、
前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトが視点から見て前記オブジェクトの後方であって前記オブジェクトと一部のみ重なるように、前記オブジェクト及び前記ダミーオブジェクトの位置を決定し、前記オブジェクトの位置情報及び前記ダミーオブジェクトの位置情報を前記記憶装置に格納する位置決定手段と、
前記記憶装置に格納された前記オブジェクトの位置情報に基づき前記オブジェクトを描画すると共に、視点から見て前記オブジェクトと前記ダミーオブジェクトとが重なる部分を除いて前記記憶装置に格納された前記ダミーオブジェクトの位置情報に基づき前記ダミーオブジェクトを前記オブジェクトとは異なる明度で描画する描画手段と、
を実現させることを特徴とするビデオゲーム装置。
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