JP3807537B2 - 消火用ノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、消火用ノズルに関するもので、特に矩形状に散水することのできる、ベルトコンベアなどを防護対象とする消火用ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、火力発電所や製鉄所において、船から揚陸した石炭がベルトコンベアを使用して運搬されている。ベルトコンベアは長距離にわたって連続的に設置され、例えば数百mから数km離れたボイラやコークス炉まで、石炭は搬送される。石炭は蓄熱により自然発火することがある。このため自然発火を防止するために、消火用ノズルがベルトコンベア上に設けられ、散水して、自己発熱を抑えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、使用していた消火用ノズルの散水パターンは、円形であったため、縦方向が非常に長いベルトコンベア上に設置すると、散水範囲がコンベアの形状と合致せず、無駄な散水が多くなる。またベルトコンベアは長距離にわたって連続的に設置されるため、散水パターンが円形であると、多数の消火用ヘッドを設置しなければならなかった。そこで、本発明は、散水範囲(パターン)が長方形となる消火用ノズルを得ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、放水口を有するノズル本体と、該ノズル本体に接続される有底円筒状のフレームとを備えた消火用ノズルにおいて、前記フレームは底壁と周壁を有し、前記周壁には、前記フレームの直径方向に対向する一対の開口部を設け、また、前記フレームの底壁から周壁にかけて複数のスリット状のノズル孔を設け、該ノズル孔の高さを前記直径方向に向かって徐々に高くしていくと共に、該直径を基準に前記ノズル孔を対称に設け、さらに、前記各開口部を、その幅を前記放水口の内径よりも大きく、かつ、その開口面積を前記放水口の面積よりも大きく形成して、前記放水口よりも大きく形成し、またさらに、前記各開口部の高さを前記ノズル孔の高さよりも高くしたことを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
図5、図6は、本発明の消火用ノズルNの散水パターンを説明するための図である。消火用ノズルNは、例えば可燃物を運搬するベルトコンベアの上方に設置される。消火用ノズルNの取付場所は制限される場合があり、消火用ノズルNは、ベルトコンベアの上方、例えば1mから50cmの取付高さ内で設置される。そして本実施形態では、この取付高さにおいて、図6のように長さ4m、幅1mの長方形状の散水パターンBをもつようにしたものである。なお、これらの数値は一例であり、後述する開口部やノズル孔の大きさを変えたり、コーンの角度を変えることで、所望の矩形パターンを得ることが可能である。
【0006】
図1は本発明の消火用ノズルNの正面図、図2は消火用ノズルNの断面図、図3は消火用ノズルNの側面図、図4は消火用ノズルNの底面図である。図において、10は円筒状のノズル本体で、中央に放水路11を有する。放水路11は、下側になるにつれて内径が細くなるようにテーパ状に形成され、下端に放水口12が形成されている。ノズル本体10の上部には、雄ねじ部13が設けられ、図示しない配管に接続される。雄ねじ部13の下方には、断面六角形状のフランジ部14が設けられ、フランジ部14に図示しない治具を嵌めて、前述の配管に、消火用ノズルNをねじ込むことができる。ノズル本体10の下端部には、雄ねじ部15が形成される。
【0007】
20は底壁22と周壁23を持ち、有底円筒状に形成されたフレームである。フレーム20の内面上部には、雌ねじ部21が設けられ、ノズル本体10の雄ねじ部15をねじ込んで、ノズル本体10とフレーム20とが接続される。フレーム20の周壁23には、直径方向に開口した一対の横長の開口部24が設けられる。この直径A方向に開口したとは、180度の対角上に、2つの開口部24が設けられていることを言う(図4参照)。
【0008】
図2の断面図に示すように、開口部24の大きさは、放水口12よりも大きく形成される。つまり開口部24の幅は、放水口12の内径より大きく、かつ開口部24の開口面積は、放水口の12の面積よりも大きく形成される。なお開口部24の高さは、後述するノズル孔25よりも大きく形成され、スリット状のノズル孔25と同様に、開口部24もまたノズル孔の一例である。
【0009】
25はノズル孔で、底壁22から周壁23にかけてスリット状に設けられる。図4の底面図に示すように、ノズル孔25は、等間隔に放射状に複数、形成されている。底壁22におけるノズル孔25は、全て同じ長さになっているが、周壁23においては、開口部24の隣に設けたノズル孔25が一番高さが高くなるように形成され、また開口部24と直交する側のノズル孔25dが一番高さが低くなっている。即ち、開口部24と直交する側から、開口部24側に向かって、ノズル孔25d、ノズル孔25c、ノズル孔25b、ノズル孔25aと徐々に高さが高くなるようになっている(図3の側面図参照)。そして開口部24は、ノズル孔25aよりも高さが高くなっている。
【0010】
ここで図4の底面図を参照して、言い換えると、ノズル孔25の高さは、直径A方向に向かって徐々に高くなっており、その直径Aを基準として線対称にノズル孔25は設けられる。このようにノズル孔25は、散水距離の長さに合わせてノズル孔25の高さをかえており、このようにすることで縦長形状の散水パターンを得るようにしてある。即ち長い距離を得たい方向のノズル孔25は、それだけノズル孔25の高さが高くなるようになっている。
【0011】
このノズル孔25の個数や高さ、及びスリット幅は、防護対象とすべきコンベアなどの形状に合うように適宜選択される。またノズル孔25は、等間隔に放射状に複数、形成したが、底壁22の中心からの角度は、それぞれ等しくしなくてもよい。またノズル孔25の底壁22及び周壁23の分布としては、開口部24側近辺にノズル孔25を多数設けて、開口部24と直交する側近辺のノズル孔25の数を減らすようにしてもよい。つまりノズル孔25間の間隔を、開口部24側では、密になるように形成し、逆に開口部24と直交する側では、ノズル孔25間の間隔を大きくとり、粗くするようにしてもよい。このようにすると、開口部24がなくても、ノズル孔25だけで、長方形状の散水パターンを得ることが可能となる。
【0012】
27は円錐状に形成されたコーン(突部)で、フレーム20の底壁22の中央上部に設けられる。コーン27の先端は、開口部24の開口上端よりも下方に位置している。
【0013】
次に、コーン27の角度ついて説明する。まず図5において、消火用ノズルNは、ベルトコンベアの上面18の約1m上方に設置される。この時、コーン27の角度θは、所望の散水範囲の大きさによって決定される。即ち、防護すべき散水範囲の長手方向の先端と消火用ノズルNの取付高さ位置を結んだ線分がなす角度がコーン27の角度θとなっている。ここで所望の散水範囲の長手方向の長さは、4mであるので、その長さに応じてコーン27の角度が決定されるが、例えば散水範囲が4mよりも長くなる場合には、コーン27の高さが同じであるなら、その角度を広くし、逆に散水範囲が短ければ、角度を狭くすればよい。
【0014】
つづいて開口部24の幅について説明する。図6において、消火用ノズルNの開口部24と所望の散水範囲Bの関係について説明する。開口部24の幅は、所望の散水範囲の大きさによって決定される。即ち、防護すべき散水範囲Bの長手方向の先端の2隅と消火用ノズルNの中心とを結んだ線分の周壁23における位置が、開口部24の幅となっている。ここで所望の散水範囲の短手方向の幅は、1mであるので、その長さに応じて開口部24の幅が決定されるが、例えば散水範囲が1mよりも大きくなる場合には、開口部24の幅を広くし、逆に散水範囲が小さくなるならば、開口部24の幅を狭めればよい。
【0015】
本発明の消火用ノズルNは以上のように構成され、直径方向に一対の開口部24が設けられる。このため、放水口12から供給され、コーン27にあたった水は、フレーム20の開口部24のある側から放水され、水流は、フレーム20に対してほぼ左右方向に分割されるように放水され、縦長の矩形状の散水パターンとなる。また開口部24は放水口12よりも大きく形成されているので、左右方向に多量の水が流れ、長方形の散水パターンは、特に長手方向に長い形状となる。またフレーム20の底壁22の中央上部にコーン27を設けたことで、放水口12から供給される水がコーン27上面を沿って、開口部24から遠くへ飛ばされる。
【0016】
フレーム20を有底円筒状に形成し、フレーム20の周壁23に複数のスリット状のノズル孔25を設けたので、長手方向だけでなく、短手方向にも散水することができる。ノズル孔25は、周壁23から底壁22にかけて設けられるので、消火用ノズルNの下側周辺にも十分に散水される。そして開口部24の隣に設けたノズル孔25aは他のノズル孔25よりも高さが高くなるように形成されているので、開口部24によって散水される領域と複数のノズル孔25によって散水される領域の間の斜め方向の領域に対しても適切に散水することができる。
【0017】
また特にコーン27の角度を、上述したように設定することで、消火用ノズルNをコンベアの上方1mに設置した時に、長手方向4mという散水パターンを得ることができ、また開口部24の幅を、上述したように設定することで、散水パターンの横幅を1mにすることができる。
【0018】
本実施の形態では、消火用ヘッドNを、可燃物運搬用のベルトコンベアの上方に設置する場合について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、廊下などの防護範囲が長方形状となる場所であればどこに設置してもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、放水口を有するノズル本体と、該ノズル本体に接続される有底円筒状のフレームとを備えた消火用ノズルにおいて、前記フレームは底壁と周壁を有し、前記周壁には、前記フレームの直径方向に対向する一対の開口部を設け、また、前記フレームの底壁から周壁にかけて複数のスリット状のノズル孔を設け、該ノズル孔の高さを前記直径方向に向かって徐々に高くしていくと共に、該直径を基準に前記ノズル孔を対称に設け、さらに、前記各開口部を、その幅を前記放水口の内径よりも大きく、かつ、その開口面積を前記放水口の面積よりも大きく形成して、前記放水口よりも大きく形成し、またさらに、前記各開口部の高さを前記ノズル孔の高さよりも高くしたので、長方形状の散水パターンを得ることができる。各開口部は放水口よりも大きく形成されているので、左右方向に多量の水が流れ、長方形の散水パターンは、特に長手方向に長い形状になる。
特に、ノズル本体とフレームだけからなり、構造は非常に簡単であり、散水用の孔としては、幅広の開口部とスリット状のノズル孔を設けるだけなので、安価で製造することができる。
【0020】
またフレームの底壁から周壁にかけて複数のノズル孔を設け、該ノズル孔の高さを直径方向に向かって徐々に高くしていくと共に、該直径を基準にノズル孔を対称に設けたので、ノズル孔の高さが高い程、遠方に散水されるので、長方形状または楕円状の散水パターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消火用ノズルNの正面図である。
【図2】消火用ノズルNの断面図である。
【図3】消火用ノズルNの側面図である。
【図4】消火用ノズルNの底面図である。
【図5】消火用ノズルNの散水パターンを説明するための図である。
【図6】消火用ノズルNの散水パターンを説明するための図である。
【符号の説明】
10 ノズル本体、 11 放水路、 12 放水口、 13 雄ねじ部、
14 フランジ部、 15 雄ねじ部、 20 フレーム、 22 底壁、
21 雌ねじ部、 23 周壁、 24 開口部、 25 ノズル孔、
27 コーン、 N 消火用ノズル、 18 ベルトコンベア上面、
Claims (3)
- 放水口を有するノズル本体と、該ノズル本体に接続される有底円筒状のフレームとを備えた消火用ノズルにおいて、
前記フレームは底壁と周壁を有し、前記周壁には、前記フレームの直径方向に対向する一対の開口部を設け、
また、前記フレームの底壁から周壁にかけて複数のスリット状のノズル孔を設け、該ノズル孔の高さを前記直径方向に向かって徐々に高くしていくと共に、該直径を基準に前記ノズル孔を対称に設け、
さらに、前記各開口部を、その幅を前記放水口の内径よりも大きく、かつ、その開口面積を前記放水口の面積よりも大きく形成して、前記放水口よりも大きく形成し、
またさらに、前記各開口部の高さを前記ノズル孔の高さよりも高くしたことを特徴とする消火用ノズル。 - 前記フレームの底壁の中央上部にコーンを設けたことを特徴とする請求項1記載の消火用ノズル。
- 前記消火用ノズルは、可燃物運搬用のベルトコンベアの上方に設置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の消火用ノズル。
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