JP3807105B2 - 全有機炭素計 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は試料ガスに含まれる炭酸ガスの濃度を赤外線の吸光度によって測定する全有機炭素計に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の全有機炭素計では、試料ガス中の炭酸ガスの吸光度は光路長の二乗に比例するために、高濃度の炭酸ガスを測定する場合は光路長が短いショートセルが用いられ、低濃度の炭酸ガスを測定する場合は光路長が長いロングセルが用いられる。これら２種類の吸収セルを機械的に交換することは機構的に複雑となり装置の信頼性を低下させるために長短２種類の吸収セルを光路に対して直列に固定配置し、使用しないセルの内部を炭酸ガスを含まないパージガスで置換して使用することになる。即ち低濃度測定モードを示す図３と高濃度測定モードに示す図４のように、従来は、低濃度測定用ロングセル４を用いる場合はロングセル４には試料ガスを導入し、かつ、高濃度測定用ショートセル５内は炭酸ガスを含まないパージガスで洗い流す流路を形成する方向にバルブ７を設定し、光源１から放射される赤外線の吸光度を検出器２で測定する。光源１と検出器２の経時変化は一定量の炭酸ガスを封じ込んだ比較セル３の吸光度を常時測定して比較校正源として使用することにより長時間安定した動作が保証される。逆に高濃度測定用ショートセル５を用いる場合は低濃度測定用ロングセル４内を前述したと同様にパージガスで洗い流してセルの機械的交換作用を代替している。通常パージガスは小容量の高圧ガスボンベに貯溜されており、圧力を下げ流量を制御する流量制御部９によって適正な圧力と流量になるよう調節されて供給される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したパージガスをガスボンベに貯溜して測定の都度放出する構成ではパージガスの消耗が激しいために、ガスボンベの交換もしくはガスボンベへのパージガスの補充を頻繁に行わねばならない欠点があった。
本発明は、前記２種類の吸収セルを直列に固定したままでパージガスの消耗を避けることができる炭素計を提供することを目的とするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明の全有機炭素計において、上記の目的を達成するために、光路に対して直列に固定配置した光路長が長いロングセルと光路長が短いショートセルと、試料ガス中から炭酸ガスを除去する手段と、前記ショートセルから排出される試料ガスを直接前記ロングセルに導入するか又は前記ショートセルから排出される試料ガスを一旦前記炭酸ガス除去手段を経由した後に前記ロングセルに導入するかの流路切替えバルブとを備えている。
【０００５】
【発明の実施の形態】
以下図１，図２に示す本発明の実施例について説明する。図１は本発明実施の形態に係る全有機炭素計の低濃度測定モードを示す図であり、図２は本発明実施の形態に係る全有機炭素計の高濃度測定モードを示す図である。光源１は炭酸ガスの吸光度を測定するための赤外線光源である。検出器２は赤外線の光量を測定する検出器である。３は吸光度のリファレンスとなるよう一定の濃度の炭酸ガスを封入した比較セルである。４及び５は低濃度測定用ロングセル４及びこれに直列に配置された高濃度測定用ショートセルで、測定対象である試料ガスが導入される。７は低濃度測定モードと高濃度測定モードとの各ガス流路を形成するための切替えバルブであり、モータ６により駆動される。８はガス中の炭酸ガスのみを選択吸収する炭酸ガス吸着剤であり、適当な容器に封入されている。
【０００６】
試料ガス中の炭酸ガスの濃度が低い場合は、図１に示すようにバルブ７はショートセル５のガス排出口を直接ロングセル４のガス流入口に結ぶ状態に置かれ、試料ガスはショートセル５とロングセル４の両者を満たす。試料ガスの光路長はショートセル５とロングセル４とを足し合わせた長い光路長を形成する。比較セル３の光路とロングセル４及びショートセル５が直列に形成した光路の両光路を通過したそれぞれの赤外線は検出器２で検出測定され、ロングセル４及びショートセル５に導入された試料ガスによる吸光度は、比較セル３の吸光度との比として光源１や検出器２の経時変化を補正して測定され、試料ガスに含まれる炭酸ガスの濃度に換算される。
【０００７】
図２は試料ガス中の炭酸ガス濃度が高い場合の測定モードを示す図である。バルブ７は試料ガスがショートセル５を満たした後に炭酸ガス吸着剤８を貯蔵した容器を通過して炭酸ガスが含まれない残余ガスがロングセル４に流入する位置に設定される結果、試料ガスはショートセル５を満たした後に炭酸ガスを含まない残余ガスがパージガスとしてロングセル４を満たし、ショートセル５の光路の中でのみ炭酸ガスの吸光度が測定される。バルブ７を駆動するモータ６は、当初図１が示す低濃度測定モードで炭酸ガス濃度を測定し、その値が特定の値を越す場合はモータ６によってバルブ７を図２に示す高濃度測定モードに切換えて炭酸ガス濃度を測定することにより炭酸ガス濃度測定レンジの切替えの自動化を図ることができる。
【０００８】
なお、バルブ７の切替えには必ずしもモータ６を使用する必要は無く手動で切替えることも可能である。また、試料ガスに含まれる炭酸ガスを除去する手段として、生石灰溶液などの炭酸ガス吸着剤を使用する以外に、試料ガスを圧縮冷却し沸点の差を利用して炭酸ガスのみを液化して除去することも可能である。
【０００９】
【発明の効果】
本発明の全有機炭素計は、以上説明した様に構成されているので、パージガスによる吸収セルの洗浄が不要となり、パージガスボンベの交換やガスボンベへのパージガスの充填という煩雑な作業も一切不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の全有機炭素計の低濃度炭酸ガス測定実施モードを示す図である。
【図２】本発明の全有機炭素計の高濃度炭酸ガス測定実施モードを示す図である。
【図３】従来装置の低濃度炭酸ガス測定モードを示す図である。
【図４】従来装置の高濃度炭酸ガス測定モードを示す図である。
【符号の説明】
１………光源
２………検出器
３………比較セル
４………ロングセル
５………ショートセル
６………モータ
７………バルブ
８………炭酸ガス吸着剤
９………流量制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は試料ガスに含まれる炭酸ガスの濃度を赤外線の吸光度によって測定する全有機炭素計に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の全有機炭素計では、試料ガス中の炭酸ガスの吸光度は光路長の二乗に比例するために、高濃度の炭酸ガスを測定する場合は光路長が短いショートセルが用いられ、低濃度の炭酸ガスを測定する場合は光路長が長いロングセルが用いられる。これら２種類の吸収セルを機械的に交換することは機構的に複雑となり装置の信頼性を低下させるために長短２種類の吸収セルを光路に対して直列に固定配置し、使用しないセルの内部を炭酸ガスを含まないパージガスで置換して使用することになる。即ち低濃度測定モードを示す図３と高濃度測定モードに示す図４のように、従来は、低濃度測定用ロングセル４を用いる場合はロングセル４には試料ガスを導入し、かつ、高濃度測定用ショートセル５内は炭酸ガスを含まないパージガスで洗い流す流路を形成する方向にバルブ７を設定し、光源１から放射される赤外線の吸光度を検出器２で測定する。光源１と検出器２の経時変化は一定量の炭酸ガスを封じ込んだ比較セル３の吸光度を常時測定して比較校正源として使用することにより長時間安定した動作が保証される。逆に高濃度測定用ショートセル５を用いる場合は低濃度測定用ロングセル４内を前述したと同様にパージガスで洗い流してセルの機械的交換作用を代替している。通常パージガスは小容量の高圧ガスボンベに貯溜されており、圧力を下げ流量を制御する流量制御部９によって適正な圧力と流量になるよう調節されて供給される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したパージガスをガスボンベに貯溜して測定の都度放出する構成ではパージガスの消耗が激しいために、ガスボンベの交換もしくはガスボンベへのパージガスの補充を頻繁に行わねばならない欠点があった。
本発明は、前記２種類の吸収セルを直列に固定したままでパージガスの消耗を避けることができる炭素計を提供することを目的とするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明の全有機炭素計において、上記の目的を達成するために、光路に対して直列に固定配置した光路長が長いロングセルと光路長が短いショートセルと、試料ガス中から炭酸ガスを除去する手段と、前記ショートセルから排出される試料ガスを直接前記ロングセルに導入するか又は前記ショートセルから排出される試料ガスを一旦前記炭酸ガス除去手段を経由した後に前記ロングセルに導入するかの流路切替えバルブとを備えている。
【０００５】
【発明の実施の形態】
以下図１，図２に示す本発明の実施例について説明する。図１は本発明実施の形態に係る全有機炭素計の低濃度測定モードを示す図であり、図２は本発明実施の形態に係る全有機炭素計の高濃度測定モードを示す図である。光源１は炭酸ガスの吸光度を測定するための赤外線光源である。検出器２は赤外線の光量を測定する検出器である。３は吸光度のリファレンスとなるよう一定の濃度の炭酸ガスを封入した比較セルである。４及び５は低濃度測定用ロングセル４及びこれに直列に配置された高濃度測定用ショートセルで、測定対象である試料ガスが導入される。７は低濃度測定モードと高濃度測定モードとの各ガス流路を形成するための切替えバルブであり、モータ６により駆動される。８はガス中の炭酸ガスのみを選択吸収する炭酸ガス吸着剤であり、適当な容器に封入されている。
【０００６】
試料ガス中の炭酸ガスの濃度が低い場合は、図１に示すようにバルブ７はショートセル５のガス排出口を直接ロングセル４のガス流入口に結ぶ状態に置かれ、試料ガスはショートセル５とロングセル４の両者を満たす。試料ガスの光路長はショートセル５とロングセル４とを足し合わせた長い光路長を形成する。比較セル３の光路とロングセル４及びショートセル５が直列に形成した光路の両光路を通過したそれぞれの赤外線は検出器２で検出測定され、ロングセル４及びショートセル５に導入された試料ガスによる吸光度は、比較セル３の吸光度との比として光源１や検出器２の経時変化を補正して測定され、試料ガスに含まれる炭酸ガスの濃度に換算される。
【０００７】
図２は試料ガス中の炭酸ガス濃度が高い場合の測定モードを示す図である。バルブ７は試料ガスがショートセル５を満たした後に炭酸ガス吸着剤８を貯蔵した容器を通過して炭酸ガスが含まれない残余ガスがロングセル４に流入する位置に設定される結果、試料ガスはショートセル５を満たした後に炭酸ガスを含まない残余ガスがパージガスとしてロングセル４を満たし、ショートセル５の光路の中でのみ炭酸ガスの吸光度が測定される。バルブ７を駆動するモータ６は、当初図１が示す低濃度測定モードで炭酸ガス濃度を測定し、その値が特定の値を越す場合はモータ６によってバルブ７を図２に示す高濃度測定モードに切換えて炭酸ガス濃度を測定することにより炭酸ガス濃度測定レンジの切替えの自動化を図ることができる。
【０００８】
なお、バルブ７の切替えには必ずしもモータ６を使用する必要は無く手動で切替えることも可能である。また、試料ガスに含まれる炭酸ガスを除去する手段として、生石灰溶液などの炭酸ガス吸着剤を使用する以外に、試料ガスを圧縮冷却し沸点の差を利用して炭酸ガスのみを液化して除去することも可能である。
【０００９】
【発明の効果】
本発明の全有機炭素計は、以上説明した様に構成されているので、パージガスによる吸収セルの洗浄が不要となり、パージガスボンベの交換やガスボンベへのパージガスの充填という煩雑な作業も一切不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の全有機炭素計の低濃度炭酸ガス測定実施モードを示す図である。
【図２】本発明の全有機炭素計の高濃度炭酸ガス測定実施モードを示す図である。
【図３】従来装置の低濃度炭酸ガス測定モードを示す図である。
【図４】従来装置の高濃度炭酸ガス測定モードを示す図である。
【符号の説明】
１………光源
２………検出器
３………比較セル
４………ロングセル
５………ショートセル
６………モータ
７………バルブ
８………炭酸ガス吸着剤
９………流量制御部
Claims (1)
- 試料ガス中に含まれる炭酸ガスの濃度を赤外線の吸光度によって測定する全有機炭素計において、光路に対して直列に固定配置した吸収光路長が長いロングセルと吸収光路長が短いショートセルと、試料ガス中に含まれる炭酸ガスを除去する手段と、前記ショートセルから排出される試料ガスを直接前記ロングセルに導入する流路系と、前記ショートセルから排出される試料ガスを一旦前記炭酸ガス除去手段を経由した後に前記ロングセルに導入する流路系の切替えを行う流路切替えバルブとを備えたことを特徴とする全有機炭素計。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20800598A JP3807105B2 (ja) | 1998-07-23 | 1998-07-23 | 全有機炭素計 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20800598A JP3807105B2 (ja) | 1998-07-23 | 1998-07-23 | 全有機炭素計 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000039394A JP2000039394A (ja) | 2000-02-08 |
| JP3807105B2 true JP3807105B2 (ja) | 2006-08-09 |
Family
ID=16549103
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP20800598A Expired - Lifetime JP3807105B2 (ja) | 1998-07-23 | 1998-07-23 | 全有機炭素計 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3807105B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP5306052B2 (ja) * | 2009-05-19 | 2013-10-02 | 株式会社堀場製作所 | ガス分析計 |
| CN102175608A (zh) * | 2011-01-05 | 2011-09-07 | 上海德凯仪器有限公司 | 红外气体分析用光路吸收池装置 |
| CN106605139A (zh) * | 2015-04-30 | 2017-04-26 | 富士电机株式会社 | 船舶用激光气体分析仪 |
| JP7436020B2 (ja) | 2020-04-30 | 2024-02-21 | 株式会社四国総合研究所 | ガス濃度測定装置およびガス濃度測定方法 |
-
1998
- 1998-07-23 JP JP20800598A patent/JP3807105B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2000039394A (ja) | 2000-02-08 |
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