JP3806515B2 - 半導体光電陰極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入射した光を電子に変換して出力する半導体光電陰極に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体光電陰極は、例えば、特開昭62−133633号公報に記載されている。この半導体光電陰極は化合物半導体からなり、入射した光を電子に変換して出力する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、その量子効率は未だ十分ではなく、更なる改善が求められている。量子効率は、光の入射に応答して半導体光吸収層内で発生した電子が真空中に放出される度合に比例する。光吸収層内に欠陥等の電子捕獲或いは再結合要因が存在すると、光吸収層内で発生した電子の寿命は低下し、その拡散長は短くなる。したがって、光吸収層から光電陰極の表面に到達可能な電子の割合が低下し、量子効率が低下する。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、より結晶性の高い光吸収層を提供し、量子効率を増加可能な半導体光電陰極を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体光電陰極は、基板との間に介在するバッファ層上に設けられ入射した光を電子に変換する半導体光吸収層と、半導体光吸収層上に設けられ電子を真空中に放出させるためのアルカリ金属含有層とを備える半導体光電陰極において、上記バッファ層は第1及び第2アモルファス半導体層と、第1及び第2アモルファス半導体層間に介在する単結晶半導体層とを備えることを特徴とする。
【0005】
本半導体光電陰極においては、バッファ層が上記構成を具備しているため、その上に形成される半導体光吸収層の結晶性を改善することが可能である。アルカリ金属含有層は、半導体光吸収層上に設けられ電子を真空中に放出させるためのものであり、好ましくはアルカリ金属であるK、Rb及びCsの少なくともいずれか1種を含む。
【0006】
また、第1及び第2アモルファス半導体層及び単結晶半導体層は、GaN系又はAlN系化合物半導体からなり、基板はサファイアからなり、半導体光吸収層はGaNからなることが好ましく、この場合には、半導体光吸収層の結晶性を更に向上させることができる。なお、バッファ層は半導体光吸収層との間にGaAlN層を更に備えることとしてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に係る半導体光電陰極について説明する。同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0008】
図1は実施の形態に係る半導体光電陰極の断面図である。本半導体光電陰極は、基板1、基板1上のバッファ層2(2a〜2c)、バッファ層2上の半導体光吸収層3、半導体光吸収層3上に形成されたアルカリ金属含有層5を備えている。なお、半導体光吸収層3とアルカリ金属含有層5との間に従来から知られる高濃度或はこれとヘテロ接合を成す電子移送層等を設けてもよい。以下では、本光電陰極は、光がその表面側から入射するタイプ、すなわち、反射型半導体光電陰極であることとして説明する。
【0009】
光吸収層3内に光が入射すると、光の入射に応答して層3内で正孔/電子対が発生する。電子は層3内を拡散しアルカリ金属含有層5方向に向かう。アルカリ金属含有層5は光吸収層3の表面仕事関数を低下させ、発生した電子を容易に真空中へ放出させる。放出された電子は光電陰極外部に設けられた陽極101(図7参照)で収集される。
【0010】
光吸収層3の結晶性は下地であるバッファ層2の結晶性に依存するため、この結晶性を改善することにより、量子効率を増加させることができる。
【0011】
バッファ層2は、基板1上の第1アモルファス半導体層2a、第1アモルファス半導体層2a上の単結晶半導体層2b、単結晶半導体層2b上の第2アモルファス半導体層2cを備えている。
【0012】
次に、これらの材料について説明する。第1の形態では、基板1としてサファイア(Al2O3)、半導体光吸収層3としてp型GaN(電子拡散長以上であって厚さ数10nm〜数μm、不純物濃度は深さ方向に一様であって、1×1016〜1019/cm3)、アルカリ金属含有層5としてCs−Oを用いる。また、アルカリ金属含有層5は、アルカリ金属であるK、Rb及びCsの少なくともいずれか1種を含むものであって、アルカリ金属含有層5としてCs−Oの代わりにCs−I、Cs−Te、Cs−Sb、Sb−Rb−Cs又はSb−K−Cs等を用いることもできる。なお、p型のドーパントとしてはMgやZnを用いることができる。
【0013】
また、第1の形態では、第1アモルファス半導体層2aとしてGaN(厚さ10〜50nm)、単結晶半導体層2bとしてGaN(厚さ数μm)、第2アモルファス半導体層2cとしてGaN(厚さ10〜50nm)を用いる。
【0014】
第2の形態は、第1の形態において、p型GaN半導体光吸収層3の不純物濃度が、表面側から深さ方向に増加して傾斜分布したものであり、その深さは表面から数10〜100nmである。
【0015】
第3の形態は、第1又は第2の形態において、第2アモルファス半導体層2cと光吸収層3との間に、組成が厚み方向に一定のp型GaAlN層又は組成が厚み方向に徐々に変化したp型GaAlNグレーデッド層2d(厚さ10nm以上、p型不純物は表面から10nmを超える領域に分布する)を有するものである。なお、この構造を図6に示す。
【0016】
第4の形態は、第1乃至第3の形態のいずれか1つの形態における光吸収層3以外のGaN層をAlN層に置き換えたものである。なお、第1乃至第3の形態のいずれか1つの形態において、一部のGaN層、例えばアモルファス半導体層2aの材料のみをAlN層に置き換えてもよい。なお、光吸収層3以外のGaN層全てをAlN層で置き換えた場合には、透過型光電面として動作する。
【0017】
以上、説明したように、上記半導体光電陰極は、基板1との間に介在するバッファ層2上に設けられ入射した光を電子に変換する半導体光吸収層3と、半導体光吸収層3上に設けられ電子を真空中に放出させるためのアルカリ金属含有層5とを備える半導体光電陰極において、上記バッファ層2は第1及び第2アモルファス半導体層2a,2cと、第1及び第2アモルファス半導体層2a,2c間に介在する単結晶半導体層2bとを備える。本半導体光電陰極においては、バッファ層2が上記構成を具備しているため、その上に形成される半導体光吸収層3の結晶性を改善することが可能である。これにより、この中における電子の寿命を向上させ、その量子効率を増加させることができる。
【0018】
また、上記半導体光電陰極においては、第1及び第2アモルファス半導体層2a,2c及び単結晶半導体層2bは、GaN系又はAlN系化合物半導体からなり、基板1はサファイアからなり、半導体光吸収層3はGaNからなる。この場合には、半導体光吸収層3の結晶性を更に向上させることができる。
【0019】
次に、上記実施の形態に係る半導体光電陰極の製造方法について説明する。
【0020】
以下の説明において、半導体層の形成方法としては、MOCVD(有機金属化学的気相成長)法、又はHVPE(ハロゲン系気相成長)法を用いる。半導体層を形成する場合には、これらの形成方法を用いることとし、原料はGaN層を形成する場合にはTMG(トリメチルガリウム)及びアンモニアガスを用い、AlN層を形成する場合にはTMAl(トリメチルアルミニウム)及びアンモニアガスを用い、GaAlNを形成する場合は、TMG、TMAl及びアンモニアガスを用いる。半導体層の厚み方向に濃度分布を有するようにp型不純物を添加する場合、半導体層の成長中にp型不純物量を可変しながらp型不純物を層内に添加する。半導体層の厚み方向に均一なp型不純物濃度分布を形成する場合、半導体層の成長中にp型不純物を一定割合で層内に添加する。
【0021】
図2は半導体光電面第1中間体を示す断面図である。まず、基板1を用意し、基板1上に第1アモルファス半導体層2aを形成する。成長温度は500〜600℃である。
【0022】
図3は半導体光電面第2中間体を示す断面図である。しかる後、第1アモルファス半導体層2a上に単結晶半導体層2bを形成する。成長温度は700〜1100℃である。
【0023】
図4は半導体光電面第3中間体を示す断面図である。次に、単結晶半導体層2b上に第2アモルファス半導体層2cを形成する。成長温度は500〜600℃である。
【0024】
図5は半導体光電面の第4中間体を示す断面図である。次に、半導体光吸収層3を第2アモルファス半導体層2c上に形成する。最後に、この上にアルカリ金属含有層5を蒸着法等により形成し、これを活性化し、図1に示した半導体光電陰極が完成する。
【0025】
以上、説明したように、上記実施の形態に係る光電陰極によれば、バッファ層2を用いることにより、結晶性の高い光吸収層3を提供することができるので、その量子効率を増加させることができる。
【0026】
次に、上記半導体光電陰極100aを用いた光電管10について説明する。
【0027】
図7は、光電管10の斜視図である。光電管10は、真空容器102を備えている。真空容器102は、中空円柱状のガラス製容器であり、圧力約10-8Torrの高真空に内部を保持している。
【0028】
光電管10は、真空容器102の内部に対向配置された陰極100と陽極101とを備えている。陰極100は、半導体光電陰極100a及びこれに固定された支持板100bからなる。支持板100bの表面は真空容器102の管軸方向に対して平行に配置されており、支持板100bの露出表面側は真空容器102の側壁に直接対向している。
【0029】
陰極100は、管軸方向に直交して延びた平板状の金属製支持台105及びこれに固定されたリードピン103によって管軸方向に支持されている。なお、支持板100b及び支持台105はMo等の金属から形成されている。リードピン103は、陰極100の底部から延びて真空容器102の底部を貫通し、外部電源のカソード出力端子に接続されており、半導体光電陰極100a及び支持板100bに陽極101の電位よりも低い電位を与えている。
【0030】
陽極101は、半導体光電陰極100aのアルカリ金属含有層側に対向して配置されている。陽極101は、矩形枠状に成形された金属製電極であり、金属製のリードピン104によって支持されている。リードピン104は、陽極101の底部から延びて真空容器102の底部を貫通し、外部電流計を介して外部電源のアノード出力端子に接続されており、陽極101には陰極100の電位よりも高い電位が与えられる。なお、リードピン103,104はコバール金属から形成されている。
【0031】
外部電源からリードピン103,104を介して陰極100と陽極101との間に上記電圧を印加すると、陽極101から陰極100向かう電界が発生する。真空容器102を透過した光が半導体光電陰極100aの内部に入射すると、これに応じて発生した電子は前述のようにして真空中に放出される。放出された電子は、陽極101と陰極100との間の電界によって加速されて飛行し、陽極101に収集され、外部電流計よって検出される。
【0032】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係る光電陰極によれば、2つのアモルファス半導体層を有するバッファ層を利用することにより結晶性の高い半導体光吸収層を提供することができるので、その量子効率を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る半導体光電陰極の断面図。
【図2】半導体光電面中間体を示す断面図。
【図3】半導体光電面中間体を示す断面図。
【図4】半導体光電面中間体を示す断面図。
【図5】半導体光電面中間体を示す断面図。
【図6】実施の形態に係る別の半導体光電陰極の断面図。
【図7】光電管の斜視図。
【符号の説明】
2・・・バッファ層、2a・・・第1アモルファス半導体層、第2アモルファス半導体層2c、2b・・・単結晶半導体層、3・・・半導体光吸収層、5・・・アルカリ金属含有層。
Claims (3)
- 基板との間に介在するバッファ層上に設けられ入射した光を電子に変換する半導体光吸収層と、前記半導体光吸収層上に設けられ前記電子を真空中に放出させるためのアルカリ金属含有層とを備える半導体光電陰極において、前記バッファ層は第1及び第2アモルファス半導体層と、前記第1及び第2アモルファス半導体層間に介在する単結晶半導体層とを備えることを特徴とする半導体光電陰極。
- 前記第1及び第2アモルファス半導体層及び前記単結晶半導体層は、GaN系又はAlN系化合物半導体からなり、前記基板はサファイアからなり、前記半導体光吸収層はGaNからなること特徴とする請求項1に記載の半導体光電陰極。
- 前記バッファ層は前記半導体光吸収層との間にGaAlN層を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体光電陰極。
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