JP3806248B2 - 斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータに関し、特にそのピストン室内の圧力コントロールに適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来技術に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータの一例を示す縦断面図である。同図において、軸1は、グレードル2及びエンドプレート3の内周面に固着した軸受4a,4bで回転可能に支承してあり、しかもその一部には軸方向に形成されたスプライン5を有している。円筒状の部材であるケーシング6はその両端部にグレードル2及びエンドプレート3をそれぞれ固着してあり、これらとともに全体で当該アキシャルピストンポンプ及び同モータの筺体を形成している。斜板7はグレードル2の内側端面にその基端部を枢支され、その傾斜面にはスラストプレート8が固着されている。シリンダ9を有するシリンダブロック10はその内周面がスプライン5に嵌合されており、軸1の軸方向に沿って移動すると同時にこの軸1と一体的に回転する。シリンダ9内には液密往復摺動自在にピストン11が挿入してあり、このピストン11の基端部にはスリッパ12が枢支されており、このスリッパ12がスライドプレート8に摺接するようになっている。バルブプレート13はエンドプレード3の内側端面に固着してあり、シリンダブロック10の端面と摺接するようになっている。ピストン11の作動油である圧油の吸入口14と吐出口15とはエンドプレート3に設けてある。
【0003】
かかる斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータにおいて、軸1が駆動されると、スプライン5を介してシリンダブロック10が回転する。この結果、スリッパ12がスラストプレート8と摺動するとともに、シリンダブロック10とバルブプレート13とが摺動することによって、ピストン11が回転しながら往復動する。これによって作動油を吸入口14及びバルブプレート13を介してシリンダ9内に吸入して圧縮し、これをバルブプレート13及び吐出口15を介して圧油として吐出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如き従来技術に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータにおいて、作動油を圧縮する際には、シリンダ9内の圧力が高くなり、この圧力によって当該アキシャルピストンポンプ及び同モータが振動し、騒音が発生する。これを防止すべく、従来技術においてはバルブプレート13に溝を加工することで圧力波形のコントロールを行なってきた。ところが、かかる手段ではバルブプレート13のサイズに制約されて溝を大きく出来ず、幾何学的に圧力波形のコントロールに限界が生じる問題点があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、振動及び騒音を低減し得る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は次の点を特徴とする。
【0007】
1) 斜板の傾斜角に応じてピストンが液密状態で往復摺動する複数のシリンダを備えたシリンダブロックを有するとともに、このシリンダブロックが回転して吸入口から吸入した作動油を吐出口を介して吐出することによりポンプ動作及びモータ動作を行う斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータにおいて、各シリンダに対応させた空間である複数個のくりぬき部をシリンダブロックに形成するとともに、各くりぬき部と各シリンダとをピストンで閉鎖されない位置に設けた小孔で連通したこと。
【0008】
本発明によれば、シリンダ内の作動液の一部は、ピストンがシリンダ内を往復動する過程で、小孔を介してくりぬき部に出入りする。この結果、シリンダ内の圧力を変化させる。
【0009】
2) 斜板の傾斜角に応じてピストンが液密状態で往復摺動する複数のシリンダを備えたシリンダブロックを有するとともに、このシリンダブロックが回転して吸入口から吸入した作動油を吐出口を介して吐出することによりポンプ動作及びモータ動作を行う斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータにおいて、各シリンダに対応させた空間であり、且つそれぞれ大きさが異なる複数個のくりぬき部をシリンダブロックに形成するとともに、各くりぬき部と各シリンダとをピストンで閉鎖されない位置に設けた小孔で連通したこと。
【0010】
本発明によれば、シリンダ内の作動液の一部は、ピストンがシリンダ内を往復動する過程で、小孔を介してくりぬき部に出入りする。この結果、シリンダ内の圧力を変化させる。このとき、各くりぬき部はそれぞれの大きさが異なるので、シリンダに発生する圧力波形がそれぞれ異なるものとなり、これらの圧力による加振力が、それぞれ異なった波形のものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータを示す縦断面図である。同図に示すように、本形態に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータにおいては、図3に示す従来技術のシリンダブロック10に代えてシリンダブロック20が用いられている。このシリンダブロック20にはシリンダ9に連通する小孔21が設けられ、さらにこの小孔21は各小孔21に対応してそれぞれ設けたくりぬき部22に連通している。各くり抜き部22は横断面形状が円弧状の空間で軸方向に延びている。他の構成は図3に示す従来技術と同様であり、対応する部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0012】
上述の如き斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータによるポンプ運転時、軸1が回転すると、スプライン5を介してシリンダブロック20が回転し、これに伴ってシリンダブロック20の図中の右端面がバルブプレート13と摺動するとともに、スリッパ12がスラストプレート8と摺動することによってピストン11がシリンダ9内を軸方向往復動する。ピストン11がシリンダ9内を往復動する過程で作動液が吸入口14、バルブプレート13を介してシリンダ9内に吸入され、ピストン11がシリンダ9内を往復動する過程で圧縮されてバルブプレート13、吐出口15を経て吐出される。
【0013】
ここで、シリンダ9内の作動液の一部は、ピストン11がシリンダ9内を往復動する過程で、小孔21を介して円弧状のくりぬき部22に出入りする。この結果、作動液の一部が円弧状のくりぬき部22を出入りすることによって、シリンダ9内の圧力を変化させるため、これに起因したポンプ・モータの振動、騒音が低減できる。
【0014】
図2は本発明の第2の実施の形態に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータを示す縦断面図である。同図に示すように、本形態に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータは、基本構成は上記第1の実施の形態に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータと同様である。すなわち、第1の実施の形態における小孔21に対応する小孔31及びくりぬき部22に対応するくりぬき部32a、32bを有している。ただ、くりぬき部32a、32bの軸方向の寸法は各くりぬき部32a、32bで違えてある。すなわち、シリンダ9毎に軸方向寸法が異なるくりぬき部を形成し、小孔31を介して各シリンダ9に連通してある。他の構成は図1に示す第1の実施の形態と同様であり、対応する部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0015】
基本的な作用は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、本形態によっても作動液の一部が円弧状のくりぬき部32a、32bを出入りすることによって各シリンダ9内の圧力を変化させる。このとき、本形態におけるくりぬき部32a、32bはそれぞれの軸方向の寸法が異なるので、シリンダ9に発生する圧力波形はそれぞれ異なるものとなる。したがってこれらの圧力による加振力は、それぞれ異なった波形の加振力となり、これらを合成した加振力の振幅値低減、固有振動数の変更が出来る。この結果、これに起因したポンプ・モータの振動、騒音を低減できる。
【0016】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに詳細に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明は、斜板の傾斜角に応じてピストンが液密状態で往復摺動する複数のシリンダを備えたシリンダブロックを有するとともに、このシリンダブロックが回転して吸入口から吸入した作動油を吐出口を介して吐出することによりポンプ動作及びモータ動作を行う斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータにおいて、各シリンダに対応させた空間である複数個のくりぬき部をシリンダブロックに形成するとともに、各くりぬき部と各シリンダとをピストンで閉鎖されない位置に設けた小孔で連通したので、シリンダ内の作動液の一部は、ピストンがシリンダ内を往復動する過程で、小孔を介してくりぬき部に出入りする。この結果、シリンダ内の圧力を変化させ、ポンプ・モータの振動及び騒音を良好に低減することができる。
【0017】
〔請求項2〕に記載する発明は、斜板の傾斜角に応じてピストンが液密状態で往復摺動する複数のシリンダを備えたシリンダブロックを有するとともに、このシリンダブロックが回転して吸入口から吸入した作動油を吐出口を介して吐出することによりポンプ動作及びモータ動作を行う斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータにおいて、各シリンダに対応させた空間であり、且つそれぞれ大きさが異なる複数個のくりぬき部をシリンダブロックに形成するとともに、各くりぬき部と各シリンダとをピストンで閉鎖されない位置に設けた小孔で連通したので、シリンダ内の作動液の一部は、ピストンがシリンダ内を往復動する過程で、小孔を介してくりぬき部に出入りし、シリンダ内の圧力を変化させる。このとき、各くりぬき部はそれぞれの大きさが異なるので、シリンダに発生する圧力波形がそれぞれ異なるものとなり、これらの圧力による加振力が、それぞれ異なった波形のものとなる。この結果、ポンプ・モータの振動及び騒音をさらに良好に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータを示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータを示す縦断面図である。
【図3】従来技術に係る斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 軸
4a、4b 軸受
5 スプライン
7 斜板
9 シリンダ
11 ピストン
14 吸入口
15 吐出口
20、30 シリンダブロック
21、31 小孔
22、32a、32b くりぬき部
Claims (2)
- 斜板の傾斜角に応じてピストンが液密状態で往復摺動する複数のシリンダを備えたシリンダブロックを有するとともに、このシリンダブロックが回転して吸入口から吸入した作動油を吐出口を介して吐出することによりポンプ動作及びモータ動作を行う斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータにおいて、
各シリンダに対応させた空間である複数個のくりぬき部をシリンダブロックに形成するとともに、各くりぬき部と各シリンダとをピストンで閉鎖されない位置に設けた小孔で連通したことを特徴とする斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータ。 - 斜板の傾斜角に応じてピストンが液密状態で往復摺動する複数のシリンダを備えたシリンダブロックを有するとともに、このシリンダブロックが回転して吸入口から吸入した作動油を吐出口を介して吐出することによりポンプ動作及びモータ動作を行う斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータにおいて、
各シリンダに対応させた空間であり、且つそれぞれ大きさが異なる複数個のくりぬき部をシリンダブロックに形成するとともに、各くりぬき部と各シリンダとをピストンで閉鎖されない位置に設けた小孔で連通したことを特徴とする斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータ。
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JP18596698A JP3806248B2 (ja) | 1998-07-01 | 1998-07-01 | 斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータ |
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Publications (2)
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JP2000018150A JP2000018150A (ja) | 2000-01-18 |
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Family Applications (1)
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JP18596698A Expired - Lifetime JP3806248B2 (ja) | 1998-07-01 | 1998-07-01 | 斜板型のアキシャルピストンポンプ及び同モータ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP6401509B2 (ja) * | 2014-06-12 | 2018-10-10 | Kyb株式会社 | ピストンポンプ及びピストンポンプのバルブプレート |
-
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- 1998-07-01 JP JP18596698A patent/JP3806248B2/ja not_active Expired - Lifetime
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