JP3805901B2 - 芳香族抗真菌剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抗真菌剤に好適な、新規芳香族化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水虫に代表される表在性真菌症は、生活が西洋化して靴の着用時間が増加したのに相まって、未だに確実な治療法及び治療薬が見いだされていないこともあり、現代に於ける克服されていない疾病の一つに数えられている。その為、抗真菌作用について、多くの化合物がスクリーニングをかけられた。しかしながら、in vitro或いは動物レベルに於いて活性が見いだされた物質でも、実際の臨床段階においてはドロップアウトするものが少なくなく、満足いく結果は今のところ得られたものは極めて少ない。即ち、新規の抗真菌作用を有する母核の発見が待たれていた。この様な状況は、表在性真菌に止まらず、カンジダ・アルビカンスやアスペルギルス・ニガー等の深在性真菌症に至っては毒性が極めて高く、効果がわずかでしかない、アンホテリシンBを使わざるを得ない極めて深刻な状況にある。即ち、新規母核を有する抗真菌剤の開発が望まれていた。
【0003】
一方、後記化合物1−5は、何れも文献未記載の化合物であり、従って、この様な化合物が優れた抗真菌作用を有することは全く知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下に為されたものであり、抗真菌作用を有する新規母核の化合物を見いだすことを課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは抗真菌作用を有する新規母核の化合物を求めて鋭意研究努力を重ねた結果、一般式(I)に表される化合物、更に好ましくは、化合物1−5又は生理的に許容されるその塩にその様な作用を見いだし、発明を完成させるに至った。以下、本発明について実施の形態を中心に詳細に説明を加える。
【0006】
【化7】
一般式(I)
(但し、式中R1はπ電子を10〜14個有する芳香族炭化水素基を表し、R2はπ電子を少なくとも6個有する炭化水素基を表し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2とR3は結合していても良いものとする。)
【0007】
【発明の実施の形態】
(1)一般式(I)に表される化合物
一般式(I)に表される化合物は、対応する芳香族アミンとπ電子を6個以上有する炭化水素基のハロゲン化物とをアルカリ存在下縮合させることによって得ることが出来る。又、必要に応じてオキソ基を有する化合物を用いて、縮合の後、ウィッティヒ反応などにより、当該オキソ基の酸素原子をメチレン基に置換することも可能である。本発明に於いて、一般式(I)で表される化合物の内、本発明化合物は、トランス−N−(6,6−ジメチル−4−ヘプテン−2−イニル)−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン(化合物1)、トランス−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン(化合物2)、N−(4−タシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン(化合物3)、N−1−ナフチルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物4)、N−(4−ターシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)ベンジル]アミン(化合物5)である。これらのものは、通常の方法に従って塩へと導くことが出来る。即ち、水系或いは非水系溶媒中で対応する酸を添加することにより塩とすることが出来る。本発明で好ましい塩の種類としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸などの鉱酸塩、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸等の有機酸塩等が例示でき、この中では塩酸塩が特に好ましい。これは、安定性と経済性に優れるからである。かくして得られた化合物1−5又はその塩は、優れた抗真菌作用を有するため、本発明の抗真菌剤として使用することが出来る。かかる抗菌剤は医薬組成物に含有させて真菌症の治療や予防に使用することもできるし、プラスティック等に混合して抗菌資材として使用することもできる。好ましい形態としては医薬組成物が挙げられる。これは安全性と抗菌性に優れるためである。又、本発明の抗真菌剤は安全性にも優れるため、その投与経路は問わない。本発明の化合物の抗真菌剤としての投与量は、患者の状態や症状により異なるが、例えば、経口投与や注射による投与であれば、成人1日、1〜10000mgを1回乃至は数回に分けて投与するのが好ましく、皮膚外用剤であれば0.1〜10重量%含有するものを適量塗布するのが好ましく、膣座剤であれば、0.1〜10重量%含有する座剤を1回乃至は数回取り替えて投与するのが好ましい。
【0008】
(2)本発明の医薬組成物
本発明の医薬組成物は、上記本発明の抗真菌剤を含有することを特徴とする。後記実施例に示す如く、本発明の抗真菌剤は優れた抗真菌作用を有するため、本発明の医薬組成物は、表在性真菌症や深在性真菌症の治療や悪化の予防、再発防止に大変有益である。本発明の医薬組成物としては、例えば、液剤、クリーム、軟膏などの皮膚外用剤、錠剤、カプセル剤、散剤などの経口製剤、注射剤、膣座剤等の剤形が好ましく例示できる。本発明の医薬組成物には、上記抗真菌剤以外に、通常医薬組成物で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、経口製剤や注射剤であれば、賦形剤、結合剤、被覆剤、滑沢剤、糖衣剤、崩壊剤、増量剤、矯味矯臭剤、乳化・可溶化・分散剤、安定剤、pH調整剤、等張剤等が例示でき、皮膚外用剤や膣座剤であれば、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等のような炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、エタノール、カーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、粉体類等が例示できる。これらの上記抗真菌剤と任意成分とを常法に従って処理することにより、本発明の医薬組成物は製造することが出来る。
【0009】
【化8】
(化合物1)
【0010】
【化9】
(化合物2)
【0011】
【化10】
(化合物3)
【0012】
【化11】
(化合物4)
【0013】
【化12】
(化合物5)
【0014】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ限定を受けないことは言うまでもない。
【0015】
<実施例1>
トランス−N−(6,6−ジメチル−4−ヘプテン−2−イニル)−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン(化合物1)の合成
N,N−ジメチルホルムアミド45mlに、N−メチル−1−ナフチルメチルアミン8.53g、炭酸ナトリウム5.28gを混合し、氷浴で攪拌しながらプロパルギルブロミド5.66gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶かし滴下した。滴下後、室温に戻し18時間攪拌し、反応液に2%酒石酸水溶液(100ml)を加え、クロロホルム(100ml)で抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を留去した後。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム)で精製し、N−プロパルギル−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン7.75gを黄色液体として得た。このものの6.6gをテトラヒドロフラン50mlに溶かし、窒素気流中、ドライアイス−アセトンで冷却しながら、1.64Mのブチルリチウム−ヘキサン溶液を21ml滴下した。1時間攪拌を続けた後、−70℃まで冷却し、2,2−ジメチルブチルアルデヒド3.6gをテトラヒドロフラン10mlに溶かした溶液をゆっくり滴下した。そのまま徐々に室温まで温度を上げ、72時間室温で攪拌を続けた。反応液に飽和アンモニウムクロライド水溶液50mlを加えて反応を止め、希硫酸を少量加え、pHを7近くに調整した。減圧下でテトラヒドロフランを留去し、残渣をエーテル抽出し、有機層を取り、これを水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1→0:100)で精製し、N−(6.6−ジメチル−4−ヒドロキシ−2−ヘプチニル)−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン6.9g(収率;62.1%)を得た。1H−NMR(CDCl3、δppm、以下、NMRはこの値を示す。)は次に示す。
1.03(s,9H)、1.76(d,2H,J=6.48Hz)、2.38(s,3H)、3.37(s,2H)、3.97(s,2H)、4.56(t,1H,J=6.48Hz)、7.37〜7.55(m,4H)、7.77〜7.87(m,2H)、8.28(d,1H,J=9.18Hz)
【0016】
ピリジン30mlとN−(6.6−ジメチル−4−ヒドロキシ−2−ヘプチニル)−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン1gを混合し、オキシ塩化リン4.96gを滴下した。滴下後室温に戻して更に70℃に加熱し、3時間攪拌した。室温まで放冷し、氷水に注ぎ反応を止め、炭酸水素ナトリウムで中和した。クロロホルムで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1及びクロロホルム)で精製し、化合物1を0.16g(収率17%)で得た。1H−NMRは次に示す。
1.06(s,9H)、2.40(s,3H)、3.45(d,2H,J=1.89Hz)、3.99(s,2H)、5.50(td,1H,J=1.89Hz、16.2Hz)、6.23(d,1H,J=16.2Hz)、7.38〜7.55(m,4H)、7.70〜7.86(m,2H)、8.28(d,1H,J=8.37Hz)
【0017】
イソプロピルエーテル100mlに化合物1を0.20g溶かし、室温で攪拌しながら4N塩化水素−酢酸エチル溶液0.18mlを滴下した。更にイソプロピルエーテル250mlを加え、18時間攪拌し、析出した結晶を濾取し、イソプロピルエーテル−エタノール混液より再結晶し、化合物1の塩酸塩を0.13g(収率57.4%)得た。融点は140〜143℃であった。1H−NMRは次に示す。
1.11(s,9H)、2.79(d,3H,J=1.89)、4.00(s,2H)、4.75(m,2H)、5.51(td,1H,J=1.89Hz、16.5Hz)、6.41(d,1H,J=16.5Hz)、7.54〜7.66(m,3H)、7.95(t,2H,J=8.10Hz)、8.13〜8.20(m,2H)、13.2(s,1H)
又、赤外吸収スペクトルは次に示すとおり。(単位はcm-1、以後赤外吸収スペクトルの数値はこの単位を用いる。))
2958、2911、2560、2447、1468、799、777
【0018】
<実施例2>
トランス−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン(化合物2)の合成
四塩化炭素100mlに3−メチルベンゾフェノン4.93g、N−ブロモスクシンイミド4.47g及び過酸化ベンゾイル0.12gを加え、3時間加熱還留し、室温へ冷却後、不溶物を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮し3−ブロモメチルベンゾフェノンを5.06g(収率73.3%)得た。このものを当量のトランス−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)メチルアミンと当量の炭酸ナトリウム存在下、室温で反応させ、トランス−[3−{N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチルアミノ}メチル]ベンゾフェノンを1.56g(収率47.5%)得た。このものをベンゼン中で当量のメチルトリフェニルホスホニウムブロミドとn−ブチルリチウムを用いてウィッティヒ反応を行い、化合物2を0.91g(収率58.6%)得た。1H−NMRは次に示す。
1.17(s,9H)、2.11(s,3H)、2.96(dd,2H,J=1.35Hz、6.75Hz)、3.41(s,2H)、5.38(s,2H)、5.55(d,1H,J=16.2Hz)、6.00(td,1H,J=6.75Hz、16.2Hz)、7.14〜7.28(m,9H)
【0019】
このものを実施例1の化合物1の塩の作成と同様の方法で処理して、化合物2の塩酸塩を85.4%で得た。このものの融点は172〜175℃であった。1H−NMRは次に示す。
1.24(s,9H)、2.63(s,3H)、3.48〜3.76(m,2H)、4.00〜4.26(m,2H)、5.52(s,1H)、5.58(s,1H)、5.79(d,1H,J=15.7Hz)、7.27〜7.48(m,7H)、7.71〜7.76(m,2H)、12.9(bs,1H)
又、赤外吸収スペクトルは以下に示すとおりであった。
3420、2969、2929、2902、2665、2647、2560、2512、2500
【0020】
<実施例3>
N−(4−タシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン(化合物3)
実施例2のトランス−[3−{N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチルアミノ}メチル]ベンゾフェノンを[{N−(4−タシャリー−ブチルベンジル)−N−メチルアミノ}メチル]ベンゾフェノンに換え、同様にウィッティヒ反応を行い、化合物3を収率54.1%で得た。1H−NMRは次に示す。
1.31(s,9H)、2.19(s,3H)、3.48(s,2H)、3.51(s,2H)、5.46(s,1H)、5.47(s,1H)、7.20〜7.33(m,13H)
【0021】
このものを実施例1の化合物1の塩の作成と同様の方法で処理して、化合物3の塩酸塩を91%で得た。このものの融点は213〜215℃であった。1H−NMRは次に示す。
1.31(s,9H)、2.57(d,3H,J=4.86Hz)、3.98〜4.10(m,2H)、4.17〜4.28(m,2H)、5.52(s,1H)、5.57(s,1H)、7.27〜7.51(m,13H)、7.79(m,1H)、12.8(bs,1H)
又、赤外吸収スペクトルは以下に示すとおりであった。
3427、2961、2905、2869、2684、2623、2525、1463、1417
【0022】
<実施例4>
N−1−ナフチルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物4)
N,N−ジメチルホルムアミド15mlに1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン0.5g、炭酸ナトリウムを混合し、室温で攪拌しながら1−クロロメチルナフタレン0.6gをN,N−ジメチルホルムアミド10mlに溶かして滴下した。更に室温で15時間攪拌し、反応液をクロロホルム100mlで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム)で精製し化合物4を0.79g(収率77.1%)得た。1H−NMRは次に示す。
2.79〜2.88(m,4H)、3.69(s,2H)、4.09(s,2H)6.95〜7.11(m,4H)、7.33〜7.52(m,4H)、7.78〜7.88(m,2H)、8.35(m,1H)
このものを実施例1の化合物1の塩の作成と同様の方法で処理して、化合物4の塩酸塩を91%で得た。このものの融点は210〜212℃であった。1H−NMRは次に示す。
3.06(m,1H)、3.28(m,1H)、3.55(m,1H)、3.74(m,1H)、4.03(dd,1H,J=5.4Hz、15.8Hz)、4.48(dd,1H,J=2.43Hz、15.1Hz)、4.82(s,2H)、6.94(d,1H,J=7.56)、7.19〜7.32(m,3H)、7.53〜7.65(m,3H)、7.90〜7.99(m,3H)、8.20(d,1H,J=7.56Hz)
又、赤外吸収スペクトルは以下に示すとおりであった。
3425、2931、2912、2713、2655、2588、1455、1399、796
<実施例5>
N−(4−ターシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)ベンジル]アミン(化合物5)
N−メチル−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)ベンジル]アミン0.35gと炭酸ナトリウム0.22gとをN,N−ジメチルホルムアミド15ml混合し、室温で攪拌しながら4−ターシャリー−ブチルベンジルブロミド0.28gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶かして滴下した。一晩室温で攪拌した後、氷水に注ぎ、ジエチルエーテル150mlで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して化合物5を0.27g(収率50.3%)得た。1H−NMRは次に示す。
1.31(s,9H)、1.67(s,6H)、2.18(s,3H)、3.47(s,2H)、3.48(s,2H)、7.10〜7.35(m,13H)
このものを実施例1の化合物1の塩の作成と同様の方法で処理して、化合物5の塩酸塩を0.26g(収率88%)得た。このものの融点は222〜225℃であった。1H−NMRは次に示す。
1.32(s,9H)、1.68(s,6H)、2.55(d,3H,J=4.59Hz)、3.98〜4.06(m,2H)、4.19〜4.26(m,2H)、7.16〜7.33(m,7H)、7.42〜7.56(m,6H)、12.7(bs,1H)
又、赤外吸収スペクトルは以下に示すとおりであった。
3429、3051、3028、2965、2906、2871、2688、2622、2594、2570、2512、1544、1494、1464、1444、1417、1365
【0023】
<実施例6>
抗菌性試験(発育阻止濃度の測定)
トリコフィトンに対する本発明の化合物の抗真菌作用を求めた。即ち、トリコフィトン・メンタグロファイテス(T.mentagrophytes TIMM1189)を予めサブロー寒天培地の斜面に27℃で2週間培養して分生子を充分つくらせる。これをツィーン80を0.05重量/容量%含有する滅菌生理食塩水で白金耳で擦りながら洗浄し分生子を浮遊させる。これを二枚重ねのガーゼで濾過し分生子のみを生理食塩水に浮遊する形で取り出した。分生子の濃度を105個/mlになるように調整し試験菌菌液とした。一方、化合物を4mgとり、ジメチルスルホキサイド1mlを加え原液とし、これを順次ジメチルスルホキサイドで2倍希釈し希釈薬剤液を調整した。組織培養用96穴マイクロプレートの各ウェルにサブロー・デキストロース培地175μl、薬剤溶液5μl、試験菌菌液20μlを加え、良く混和した後、27℃で1週間培養し目視にて完全に発育を阻止する最小濃度を探し、最小発育阻止濃度とした。結果は、化合物1の塩酸塩が3.5μg/ml以下であり、化合物2の塩酸塩が1μg/mlであり、化合物3の塩酸塩が1μg/mlであり、化合物4の塩酸塩が100μg/mlであった。これより本発明の抗真菌剤の抗真菌作用が優れていることがわかる。
【0024】
<実施例7>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物1の塩酸塩 1重量部
【0025】
<実施例8>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物2の塩酸塩 1重量部
【0026】
<実施例9>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物3の塩酸塩 1重量部
【0027】
<実施例10>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物4の塩酸塩 1重量部
【0028】
<実施例11>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物5の塩酸塩 1重量部
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、抗真菌作用を有する新規母核の化合物が提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は抗真菌剤に好適な、新規芳香族化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水虫に代表される表在性真菌症は、生活が西洋化して靴の着用時間が増加したのに相まって、未だに確実な治療法及び治療薬が見いだされていないこともあり、現代に於ける克服されていない疾病の一つに数えられている。その為、抗真菌作用について、多くの化合物がスクリーニングをかけられた。しかしながら、in vitro或いは動物レベルに於いて活性が見いだされた物質でも、実際の臨床段階においてはドロップアウトするものが少なくなく、満足いく結果は今のところ得られたものは極めて少ない。即ち、新規の抗真菌作用を有する母核の発見が待たれていた。この様な状況は、表在性真菌に止まらず、カンジダ・アルビカンスやアスペルギルス・ニガー等の深在性真菌症に至っては毒性が極めて高く、効果がわずかでしかない、アンホテリシンBを使わざるを得ない極めて深刻な状況にある。即ち、新規母核を有する抗真菌剤の開発が望まれていた。
【0003】
一方、後記化合物1−5は、何れも文献未記載の化合物であり、従って、この様な化合物が優れた抗真菌作用を有することは全く知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下に為されたものであり、抗真菌作用を有する新規母核の化合物を見いだすことを課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは抗真菌作用を有する新規母核の化合物を求めて鋭意研究努力を重ねた結果、一般式(I)に表される化合物、更に好ましくは、化合物1−5又は生理的に許容されるその塩にその様な作用を見いだし、発明を完成させるに至った。以下、本発明について実施の形態を中心に詳細に説明を加える。
【0006】
【化7】
一般式(I)
(但し、式中R1はπ電子を10〜14個有する芳香族炭化水素基を表し、R2はπ電子を少なくとも6個有する炭化水素基を表し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2とR3は結合していても良いものとする。)
【0007】
【発明の実施の形態】
(1)一般式(I)に表される化合物
一般式(I)に表される化合物は、対応する芳香族アミンとπ電子を6個以上有する炭化水素基のハロゲン化物とをアルカリ存在下縮合させることによって得ることが出来る。又、必要に応じてオキソ基を有する化合物を用いて、縮合の後、ウィッティヒ反応などにより、当該オキソ基の酸素原子をメチレン基に置換することも可能である。本発明に於いて、一般式(I)で表される化合物の内、本発明化合物は、トランス−N−(6,6−ジメチル−4−ヘプテン−2−イニル)−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン(化合物1)、トランス−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン(化合物2)、N−(4−タシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン(化合物3)、N−1−ナフチルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物4)、N−(4−ターシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)ベンジル]アミン(化合物5)である。これらのものは、通常の方法に従って塩へと導くことが出来る。即ち、水系或いは非水系溶媒中で対応する酸を添加することにより塩とすることが出来る。本発明で好ましい塩の種類としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸などの鉱酸塩、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸等の有機酸塩等が例示でき、この中では塩酸塩が特に好ましい。これは、安定性と経済性に優れるからである。かくして得られた化合物1−5又はその塩は、優れた抗真菌作用を有するため、本発明の抗真菌剤として使用することが出来る。かかる抗菌剤は医薬組成物に含有させて真菌症の治療や予防に使用することもできるし、プラスティック等に混合して抗菌資材として使用することもできる。好ましい形態としては医薬組成物が挙げられる。これは安全性と抗菌性に優れるためである。又、本発明の抗真菌剤は安全性にも優れるため、その投与経路は問わない。本発明の化合物の抗真菌剤としての投与量は、患者の状態や症状により異なるが、例えば、経口投与や注射による投与であれば、成人1日、1〜10000mgを1回乃至は数回に分けて投与するのが好ましく、皮膚外用剤であれば0.1〜10重量%含有するものを適量塗布するのが好ましく、膣座剤であれば、0.1〜10重量%含有する座剤を1回乃至は数回取り替えて投与するのが好ましい。
【0008】
(2)本発明の医薬組成物
本発明の医薬組成物は、上記本発明の抗真菌剤を含有することを特徴とする。後記実施例に示す如く、本発明の抗真菌剤は優れた抗真菌作用を有するため、本発明の医薬組成物は、表在性真菌症や深在性真菌症の治療や悪化の予防、再発防止に大変有益である。本発明の医薬組成物としては、例えば、液剤、クリーム、軟膏などの皮膚外用剤、錠剤、カプセル剤、散剤などの経口製剤、注射剤、膣座剤等の剤形が好ましく例示できる。本発明の医薬組成物には、上記抗真菌剤以外に、通常医薬組成物で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、経口製剤や注射剤であれば、賦形剤、結合剤、被覆剤、滑沢剤、糖衣剤、崩壊剤、増量剤、矯味矯臭剤、乳化・可溶化・分散剤、安定剤、pH調整剤、等張剤等が例示でき、皮膚外用剤や膣座剤であれば、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等のような炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、エタノール、カーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、粉体類等が例示できる。これらの上記抗真菌剤と任意成分とを常法に従って処理することにより、本発明の医薬組成物は製造することが出来る。
【0009】
【化8】
(化合物1)
【0010】
【化9】
(化合物2)
【0011】
【化10】
(化合物3)
【0012】
【化11】
(化合物4)
【0013】
【化12】
(化合物5)
【0014】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ限定を受けないことは言うまでもない。
【0015】
<実施例1>
トランス−N−(6,6−ジメチル−4−ヘプテン−2−イニル)−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン(化合物1)の合成
N,N−ジメチルホルムアミド45mlに、N−メチル−1−ナフチルメチルアミン8.53g、炭酸ナトリウム5.28gを混合し、氷浴で攪拌しながらプロパルギルブロミド5.66gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶かし滴下した。滴下後、室温に戻し18時間攪拌し、反応液に2%酒石酸水溶液(100ml)を加え、クロロホルム(100ml)で抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を留去した後。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム)で精製し、N−プロパルギル−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン7.75gを黄色液体として得た。このものの6.6gをテトラヒドロフラン50mlに溶かし、窒素気流中、ドライアイス−アセトンで冷却しながら、1.64Mのブチルリチウム−ヘキサン溶液を21ml滴下した。1時間攪拌を続けた後、−70℃まで冷却し、2,2−ジメチルブチルアルデヒド3.6gをテトラヒドロフラン10mlに溶かした溶液をゆっくり滴下した。そのまま徐々に室温まで温度を上げ、72時間室温で攪拌を続けた。反応液に飽和アンモニウムクロライド水溶液50mlを加えて反応を止め、希硫酸を少量加え、pHを7近くに調整した。減圧下でテトラヒドロフランを留去し、残渣をエーテル抽出し、有機層を取り、これを水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1→0:100)で精製し、N−(6.6−ジメチル−4−ヒドロキシ−2−ヘプチニル)−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン6.9g(収率;62.1%)を得た。1H−NMR(CDCl3、δppm、以下、NMRはこの値を示す。)は次に示す。
1.03(s,9H)、1.76(d,2H,J=6.48Hz)、2.38(s,3H)、3.37(s,2H)、3.97(s,2H)、4.56(t,1H,J=6.48Hz)、7.37〜7.55(m,4H)、7.77〜7.87(m,2H)、8.28(d,1H,J=9.18Hz)
【0016】
ピリジン30mlとN−(6.6−ジメチル−4−ヒドロキシ−2−ヘプチニル)−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン1gを混合し、オキシ塩化リン4.96gを滴下した。滴下後室温に戻して更に70℃に加熱し、3時間攪拌した。室温まで放冷し、氷水に注ぎ反応を止め、炭酸水素ナトリウムで中和した。クロロホルムで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1及びクロロホルム)で精製し、化合物1を0.16g(収率17%)で得た。1H−NMRは次に示す。
1.06(s,9H)、2.40(s,3H)、3.45(d,2H,J=1.89Hz)、3.99(s,2H)、5.50(td,1H,J=1.89Hz、16.2Hz)、6.23(d,1H,J=16.2Hz)、7.38〜7.55(m,4H)、7.70〜7.86(m,2H)、8.28(d,1H,J=8.37Hz)
【0017】
イソプロピルエーテル100mlに化合物1を0.20g溶かし、室温で攪拌しながら4N塩化水素−酢酸エチル溶液0.18mlを滴下した。更にイソプロピルエーテル250mlを加え、18時間攪拌し、析出した結晶を濾取し、イソプロピルエーテル−エタノール混液より再結晶し、化合物1の塩酸塩を0.13g(収率57.4%)得た。融点は140〜143℃であった。1H−NMRは次に示す。
1.11(s,9H)、2.79(d,3H,J=1.89)、4.00(s,2H)、4.75(m,2H)、5.51(td,1H,J=1.89Hz、16.5Hz)、6.41(d,1H,J=16.5Hz)、7.54〜7.66(m,3H)、7.95(t,2H,J=8.10Hz)、8.13〜8.20(m,2H)、13.2(s,1H)
又、赤外吸収スペクトルは次に示すとおり。(単位はcm-1、以後赤外吸収スペクトルの数値はこの単位を用いる。))
2958、2911、2560、2447、1468、799、777
【0018】
<実施例2>
トランス−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン(化合物2)の合成
四塩化炭素100mlに3−メチルベンゾフェノン4.93g、N−ブロモスクシンイミド4.47g及び過酸化ベンゾイル0.12gを加え、3時間加熱還留し、室温へ冷却後、不溶物を濾過で除去し、濾液を減圧濃縮し3−ブロモメチルベンゾフェノンを5.06g(収率73.3%)得た。このものを当量のトランス−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)メチルアミンと当量の炭酸ナトリウム存在下、室温で反応させ、トランス−[3−{N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチルアミノ}メチル]ベンゾフェノンを1.56g(収率47.5%)得た。このものをベンゼン中で当量のメチルトリフェニルホスホニウムブロミドとn−ブチルリチウムを用いてウィッティヒ反応を行い、化合物2を0.91g(収率58.6%)得た。1H−NMRは次に示す。
1.17(s,9H)、2.11(s,3H)、2.96(dd,2H,J=1.35Hz、6.75Hz)、3.41(s,2H)、5.38(s,2H)、5.55(d,1H,J=16.2Hz)、6.00(td,1H,J=6.75Hz、16.2Hz)、7.14〜7.28(m,9H)
【0019】
このものを実施例1の化合物1の塩の作成と同様の方法で処理して、化合物2の塩酸塩を85.4%で得た。このものの融点は172〜175℃であった。1H−NMRは次に示す。
1.24(s,9H)、2.63(s,3H)、3.48〜3.76(m,2H)、4.00〜4.26(m,2H)、5.52(s,1H)、5.58(s,1H)、5.79(d,1H,J=15.7Hz)、7.27〜7.48(m,7H)、7.71〜7.76(m,2H)、12.9(bs,1H)
又、赤外吸収スペクトルは以下に示すとおりであった。
3420、2969、2929、2902、2665、2647、2560、2512、2500
【0020】
<実施例3>
N−(4−タシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン(化合物3)
実施例2のトランス−[3−{N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチルアミノ}メチル]ベンゾフェノンを[{N−(4−タシャリー−ブチルベンジル)−N−メチルアミノ}メチル]ベンゾフェノンに換え、同様にウィッティヒ反応を行い、化合物3を収率54.1%で得た。1H−NMRは次に示す。
1.31(s,9H)、2.19(s,3H)、3.48(s,2H)、3.51(s,2H)、5.46(s,1H)、5.47(s,1H)、7.20〜7.33(m,13H)
【0021】
このものを実施例1の化合物1の塩の作成と同様の方法で処理して、化合物3の塩酸塩を91%で得た。このものの融点は213〜215℃であった。1H−NMRは次に示す。
1.31(s,9H)、2.57(d,3H,J=4.86Hz)、3.98〜4.10(m,2H)、4.17〜4.28(m,2H)、5.52(s,1H)、5.57(s,1H)、7.27〜7.51(m,13H)、7.79(m,1H)、12.8(bs,1H)
又、赤外吸収スペクトルは以下に示すとおりであった。
3427、2961、2905、2869、2684、2623、2525、1463、1417
【0022】
<実施例4>
N−1−ナフチルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(化合物4)
N,N−ジメチルホルムアミド15mlに1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン0.5g、炭酸ナトリウムを混合し、室温で攪拌しながら1−クロロメチルナフタレン0.6gをN,N−ジメチルホルムアミド10mlに溶かして滴下した。更に室温で15時間攪拌し、反応液をクロロホルム100mlで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム)で精製し化合物4を0.79g(収率77.1%)得た。1H−NMRは次に示す。
2.79〜2.88(m,4H)、3.69(s,2H)、4.09(s,2H)6.95〜7.11(m,4H)、7.33〜7.52(m,4H)、7.78〜7.88(m,2H)、8.35(m,1H)
このものを実施例1の化合物1の塩の作成と同様の方法で処理して、化合物4の塩酸塩を91%で得た。このものの融点は210〜212℃であった。1H−NMRは次に示す。
3.06(m,1H)、3.28(m,1H)、3.55(m,1H)、3.74(m,1H)、4.03(dd,1H,J=5.4Hz、15.8Hz)、4.48(dd,1H,J=2.43Hz、15.1Hz)、4.82(s,2H)、6.94(d,1H,J=7.56)、7.19〜7.32(m,3H)、7.53〜7.65(m,3H)、7.90〜7.99(m,3H)、8.20(d,1H,J=7.56Hz)
又、赤外吸収スペクトルは以下に示すとおりであった。
3425、2931、2912、2713、2655、2588、1455、1399、796
<実施例5>
N−(4−ターシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)ベンジル]アミン(化合物5)
N−メチル−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)ベンジル]アミン0.35gと炭酸ナトリウム0.22gとをN,N−ジメチルホルムアミド15ml混合し、室温で攪拌しながら4−ターシャリー−ブチルベンジルブロミド0.28gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶かして滴下した。一晩室温で攪拌した後、氷水に注ぎ、ジエチルエーテル150mlで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して化合物5を0.27g(収率50.3%)得た。1H−NMRは次に示す。
1.31(s,9H)、1.67(s,6H)、2.18(s,3H)、3.47(s,2H)、3.48(s,2H)、7.10〜7.35(m,13H)
このものを実施例1の化合物1の塩の作成と同様の方法で処理して、化合物5の塩酸塩を0.26g(収率88%)得た。このものの融点は222〜225℃であった。1H−NMRは次に示す。
1.32(s,9H)、1.68(s,6H)、2.55(d,3H,J=4.59Hz)、3.98〜4.06(m,2H)、4.19〜4.26(m,2H)、7.16〜7.33(m,7H)、7.42〜7.56(m,6H)、12.7(bs,1H)
又、赤外吸収スペクトルは以下に示すとおりであった。
3429、3051、3028、2965、2906、2871、2688、2622、2594、2570、2512、1544、1494、1464、1444、1417、1365
【0023】
<実施例6>
抗菌性試験(発育阻止濃度の測定)
トリコフィトンに対する本発明の化合物の抗真菌作用を求めた。即ち、トリコフィトン・メンタグロファイテス(T.mentagrophytes TIMM1189)を予めサブロー寒天培地の斜面に27℃で2週間培養して分生子を充分つくらせる。これをツィーン80を0.05重量/容量%含有する滅菌生理食塩水で白金耳で擦りながら洗浄し分生子を浮遊させる。これを二枚重ねのガーゼで濾過し分生子のみを生理食塩水に浮遊する形で取り出した。分生子の濃度を105個/mlになるように調整し試験菌菌液とした。一方、化合物を4mgとり、ジメチルスルホキサイド1mlを加え原液とし、これを順次ジメチルスルホキサイドで2倍希釈し希釈薬剤液を調整した。組織培養用96穴マイクロプレートの各ウェルにサブロー・デキストロース培地175μl、薬剤溶液5μl、試験菌菌液20μlを加え、良く混和した後、27℃で1週間培養し目視にて完全に発育を阻止する最小濃度を探し、最小発育阻止濃度とした。結果は、化合物1の塩酸塩が3.5μg/ml以下であり、化合物2の塩酸塩が1μg/mlであり、化合物3の塩酸塩が1μg/mlであり、化合物4の塩酸塩が100μg/mlであった。これより本発明の抗真菌剤の抗真菌作用が優れていることがわかる。
【0024】
<実施例7>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物1の塩酸塩 1重量部
【0025】
<実施例8>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物2の塩酸塩 1重量部
【0026】
<実施例9>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物3の塩酸塩 1重量部
【0027】
<実施例10>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物4の塩酸塩 1重量部
【0028】
<実施例11>
下記に示す処方に従って本発明の医薬組成物である、水虫治療用の軟膏を作成した。即ち、処方成分をニーダーに秤込み混練りして軟膏を得た。
ワセリン 99重量部
化合物5の塩酸塩 1重量部
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、抗真菌作用を有する新規母核の化合物が提供できる。
Claims (4)
- トランス−N−(6,6−ジメチル−4−ヘプテン−2−イニル)−N−メチル−1−ナフチルメチルアミン、トランス−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン、N−(4−タシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[3−(1−フェニルビニル)ベンジル]アミン、N−1−ナフチルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン及びN−(4−ターシャリー−ブチルベンジル)−N−メチル−[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)ベンジル]アミンから選ばれる芳香族化合物又は生理的に許容されるその塩。
- 請求項1記載の化合物又は生理的に許容されるその塩からなる抗真菌剤。
- 真菌が足又は爪白癬の病原菌であることを特徴とする、請求項2記載の抗真菌剤。
- 請求項2又は3に記載の抗真菌剤を含有する医薬組成物。
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