JP3805864B2 - ビデオ表示装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的にはCRTの分野に関するものであり、特に、フォーカスマスク色選択構体を有するCRTにおけるブレークダウン現象を検出することに関する。
【0002】
【従来の技術】
TV受像機、コンピュータ、あるいはビデオ表示端末のようなビデオ表示装置において使用されるCRTは、通常、高強化ガラスで作られた排気された外囲器を含んでいる。この外囲器は、通常平垣な、あるいは僅かに湾曲したフェースプレートと、ファンネル形のベル(bell)部分と、それから延びるネックとを具えている、フェースプレートの内面には螢光体スクリーンが形成されている。
【0003】
カラーCRTでは、異なる色の光を発する特性を有する複数の螢光体領域を支える螢光体スクリーンと一緒に、複数の電子銃が使用される。電子ビームが螢光体スクリーンに当たると、この螢光体スクリーンから可視光が発せられる。色選択構体(color−selection structure)が、電子銃と螢光体スクリーンの間に配置され、これにより各電子銃は関連する形式の色の光を発生する螢光体だけを励起する。
【0004】
このような色選択構体の1つにシャドウマスクがある。シャドウマスクは、電子が螢光体スクリーンに当たる通路上の途中で通過しなければならない複数のアパーチャ(aperture)を有する薄いスチール製のシートである。シャドウマスクは、シャドウマスクに適当な角度で入射する電子だけがシャドウマスクのアパーチャを通過し、適当な位置にある螢光体スクリーンに衝突するという点でフィルタとして機能するものである。
【0005】
このようなシャドウマスクの1つの欠点は、透過率が約20%にすぎず、これはCRTの電子銃から発せられた電子の約20%だけが最終的にシャドウマスクのアパーチャを通過し、螢光体スクリーンに衝突することを意味する。残りの電子はシャドウマスクで吸収され、そのエネルギーは熱として消散される。シャドウマスクの理論上の最大透過率は約33%であり、通常、透過率は約18%である。
【0006】
色選択構体を通過する電子がスクリーン上の関連する形式の光を発生する螢光体だけを励起することを確実にすると共に色選択構体の透過率を高めるための幾つかの技術が知られている。このような技術の1つでは、色選択構体の各開孔中に4重極静電レンズを形成する2層フォーカスマスク色選択構体を採用している。各4重極レンズは、この4重極レンズを通過する電子ビームをその4重極レンズから成る静電界の相対的な大きさと極性とに従って、ターゲット上で一方の横断方向に集束(フォーカス)し、これに直交する横断方向にデフォーカスする。フォーカスマスク構体を使用すると、約60%を超える電子透過率が得られ、またフォーカスマスク構体は理論上1に近い最大透過率を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
フォーカスマスク形式のCRTを構成することには成功したが、動作上の重大な欠点のあることが分かった。特に、実験的なフォーカスマスク形式のCRTは、スクリーンを水平方向に横切って延びる“変色バンド(discoloration band)という表現が最も分り易い異常状態を発生することが分った。この変色バンドは頻繁に生じ、フォーカスマスク形式の色選択手段を使用したCRTの有用性を著しく損なうものである。
【0008】
ここで説明する本発明を構成する第1の観点として、このような変色バンドは、フォーカスマスク構体の残留磁界により引き起こされるビームのランディング誤差、すなわち誤整合(misregistration:ミスレジストレーション)であると判断された。
【0009】
ここで説明する本発明を構成する第2の観点として、フォーカスマスク構体の残留磁界は、フォーカスマスク構体の第1の層と第2の層との間の過渡的な短絡回路、あるいはブレークダウン現象により生じる局部的な電流に起因するものであることが判明した。このブレークダウン現象は、CRT内でトラップ(trap)される導電性粒子により突然生じる可能性がある。
【0010】
ここで説明する本発明を構成する第3の観点として、過渡的であり、局部的な短絡回路の発生が検出される。回路は、フォーカスマスク色選択構体を使用するCRT中のブレークダウン現象を速やかに判別する。このような回路は、例えば、変色バンド除去(修正)装置の一部として関連する消磁回路を作動させるために使われる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による回路は、フォーカスマスク色選択構体に供給される電流の増加を感知する感知手段と、この電流の増加に応答して、パルス波形を発生するパルス波形発生手段とを具えている。
【0012】
感知手段は、フォーカスマスク色選択構体に結合される1次巻線と、パルス波形発生手段に結合される2次巻線とを有する変成器を具えている。この変成器は、電流変成器でもよいし、電圧変成器でもよい。代りのものとして、また等価的なものとして、この感知手段は、フォーカスマスク色選択構体に結合される入力と、パルス波形発生手段に結合される出力とを有するオプト・アイソレータで構成してもよい。
【0013】
パルス波形発生手段は、再トリガ可能な動作モードとして構成される、単安定マルチバイブレータ回路であってもよい。
【0014】
ここに説明する本発明の1つの特徴に従って構成される回路は、フォーカスマスク色選択構体に供給される電流の増加を感知する感知手段と、パルス波形を発生する単安定マルチバイブレータ回路と、感知手段に応答して単安定マルチバイブレータ回路をトリガするトリガ手段とを具えている。このトリガ手段は、半導体デバイスから成り、例えば、マルチバイブレータ回路に結合される出力を有するトランジスタでもよい。半導体デバイスの導通状態は感知手段に応答する。
【0015】
ここに説明する本発明の別の特徴に従って構成される回路は、フォーカスマスク色選択構体に供給される電流の増加を感知する感知手段と、この電流の増加に応答してパルス波形を発生するパルス波形発生手段と、フォーカスマスク色選択構体内において決まって生じる電圧変動および電流変動とブレークダウン現象とを判別するために、感知手段を較正する較正手段とを具えている。この較正手段は、調節可能な抵抗、例えばポテンシオメータでもよい。
【0016】
本願発明の上記の特徴、および他の特徴、利点等については以下に図面を参照しながら行う説明により明らかにする。なお、各図面において、同じ構成要素については同じ参照番号が付されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
フォーカスマスク構体100の一例が図1に示されている。フォーカスマスク構体100は垂直方向の金属製ストランド20を構成する第1の層10を有し、各ストランドは図示の例では幅が約254μm(約10ミル)、厚さが約50.8μm(約2ミル)である。これらのストランドはAKスチールやパーマロイのような強磁性体材料からなる。図示のフォーカスマスク構体はさらに水平方向の金属製ワイヤー40からなる第2の層30を有し、図示の例では各ワイヤー40の直径は約25.4μm(約1ミル)である。これらの2つの層の各々の導体はバス・バー(bus bar)すなわち母線(図示せず)によって各端部において互に接続されている。キャパシタCはフォーカスマスク構体の2つの層間の固有キャパシタンスを表わしている。垂直ストランド30と水平ワイヤー40は矩形のマスク開孔50を形成するように配列されており、一例として開孔50の水平方向の寸法は約508μm(約20ミル)、垂直方向の寸法は約381μm(約15ミル)である。
【0018】
4重極集束作用は、垂直ストランド20の導体と水平ワイヤー40の導体を互いに、典型的には数百ボルトから1000ボルトを超える範囲の直流(DC)でバイアスすることによって得られる。例えば、伝送された電子を垂直の螢光体縞(ストライプ)上に導くために電子ビームを水平方向に集束するためには、図1に示すように、水平ワイヤー40は垂直ストランド20に対して正の極性をもつ必要がある。特定の寸法のCRTに対するバイアス電圧は、通常20キロボルト乃至30キロボルトのアルタ電圧に依存する。適当なフォーカスマスク構体は垂直ストランド20をアルタ電極に接続し、水平ワイヤー40に更に正のバイアスを与えている。
【0019】
垂直ストランド20と水平ワイヤー40は、約76.2μm(約3ミル)の厚みをもった例えばガラスフリットの真空適応性の電気絶縁物60によって分離されていてもよい。入射電子ビームに対して見えないように絶縁物60を配列するのが有効であり、それによって4重極レンズの適正な動作と干渉する可能性のある絶縁物の充電作用を避けることができる。
【0020】
変色バンドの性質について研究した結果、このような変色バンドはフォーカスマスク構体の残留磁界によって引き起こされる位置づれに因り生じるという重要な結論が得られた。さらに、局部的な過渡的短絡現象、あるいはブレークダウン現象は大きな残留磁界源となることが判った。
【0021】
このようなブレークダウン現象は、例えばCRT内に含まれている汚染物質によって生じる。市販の大量生産されたCRTは、通常、例えばアルミニウムの破片(flake)、あるいはグラファイトや鉄の粒子等の一般に導電性の微粒子の形であるレベルの汚染を示す。変色バンドの異常状態(anomaly)を調査することにより、CRT内の上記のような導電性粒子が、変色バンドに至らしめるブレークダウン現象の発生に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
【0022】
実験に基づく研究により、適正に構成されたフォーカスマスク形式のCRTは、一般に概算で数分に1回から数百時間に1回の範囲でその中に何処かで上記の形式のブレークダウン現象の生じることが判った。例えば輸送中の機械的な振動により、緩く固定されていた自由粒子が外れ易くなり、フォーカスマスク構体においてブレークダウン現象の発生する可能性が大きくなる。さらに、CRTの通常動作期間の間に発生する静電力により、ゆるく固定されていた粒子が外れることもある。このように、CRTの期待される寿命の間に、変色バンドの発生に至るブレークダウン現象が予想されることは十分に合理性のあることである。
【0023】
ブレークダウン現象と変色バンドとの間の関連性については図2乃至図5を参照することにより十分に理解することができる。図2を参照すると、ブレークダウン現象は、導電性粒子が水平ワイヤー40′と垂直ストランド20′とを短絡する点Aで発生すると仮定する。ブレークダウン現象を示す短絡回路を抵抗Rによって表わしている。抵抗Rを使用することにより、ブレークダウン現象を生じさせる導電性微粒子が、小さな値であるがそれに関連するある有限の抵抗値を持っていることを表わしている。
【0024】
約4Aに等しいクロス−ストランド(cross−strand)電流が、影響を受けた水平ワイヤー40′および抵抗Rを通って影響を受けた垂直ストランド20′に流れる。大抵の場合、導電性微粒子はオーム熱により破壊されるから、このクロス−ストランド電流は約数マイクロ秒後には流れなくなる。また、第1の層10および第2の層30に対するバイアス回路のインピーダンスは十分に高く、それを流れる電流を数アンペアに制限するので、クロス−ストランド電流の主たる電流源はマスクのキャパシタに蓄積されたエネルギである。一旦このエネルギが消費されると、クロス−ストランド電流は低下しなければならない。フォーカスマスク構体100の温度はブレークダウン現象の期間の間それほど上昇しない。
【0025】
クロス−ストランド電流が流れることにより、水平ワイヤー40′の周囲に磁界Hが発生する。磁界Hの強さは、水平ワイヤー40′に最も近い垂直ストランド20′の点で約3000A/m(アンペア毎メートル)である。導電性水平ワイヤー40′に近い特定の点における磁界Hの強さは、その特定の点から水平ワイヤー40′に最も近い点までの半径方向の距離に反比例する。
【0026】
図3を見ると明らかなように、磁界Hは垂直ストランド20中に磁束密度B1 を誘導する。図3の(a)は、現時点では好ましいとされる強磁性体材料、この場合、垂直ストランド20を形成するのに使用することができるアニール(anneal:焼きなまし)されたAKスチールのB−H曲線を示している。図3の(b)はパーマロイ材料に対する同様なB−H曲線を示している。図2に示すように、ストランド20′の一方の側と反対側すなわち両側で磁界は互いに反対方向に向いている。
【0027】
図3の(a)のアニールされたAKスチールの説明に戻ると、クロス−ストランド電流によってストランド20中に誘導される磁束密度B1 は点Aの上方および下方約38.1mm(約150ミル)の距離内で約10,000ガウス乃至20,000ガウスの範囲内にある。
【0028】
一旦クロス−ストランド電流が終了すると、アニールされたAKスチールについては図4の(a)、パーマロイについては図4の(b)に示すように、磁束密度B1 の約半分が垂直ストランド20の飽和領域に残留する。このようにして磁化された垂直ストランド20はこのとき実効的に棒磁石になり、図5に示すように、磁束密度B2 は垂直ストランド20から発生して周囲の真空内に入り込む。磁束密度B2 の大きさは水平ワイヤー40′から約254μm(約10ミル)の距離内では約50ガウスであり、この大きさは約38.1mm(約150ミル)の距離では約3ガウスに低下する。約171ミリ(約675ミル)に等しいQスペース(Q−space)を有する図示のフォーカスマスク形式のCRTでは、この形式の磁束密度分布は、一例として約60μmの最大不整合(misregistration:位置ずれ)、すなわちビームのランディング誤差を生じさせる。
【0029】
変色バンドを除去するための確実な解決方法は、汚染物質を取り除くことである。しかしながら、優れた製造技術により汚染物質の数を著しく減少させることはできるが、市販の大量生産されたCRTでは、通常ある程度の汚染物質のレベルを示すことはよく知られていることである。従って、もし製造工程で汚染物質のない状態が要求されると、フォーカスマスク形式のCRTを製造するためのコストは著しく高く、恐らく法外に高くなる。
【0030】
変色バンド除去(修正)装置200のより優れた形式の解決法が図6にブロック図の形で示されている。フォーカスマスク構体100の第1層10は約20kV乃至約30kVの間の値を示すアルタ電圧源に接続されている。第2の層30はバイアス源210に結合されており、該バイアス源210は、通常の設計によるものでよいが、もしブレークダウン現象が生じたときに、第1層10と第2層30との間の適当なバイアス電圧を急速に回復するのに十分強力であることが好ましい。
【0031】
ブレークダウン検出回路220はバイアス源210の動作点における急速な変化を検知することによりフォーカスマスク100におけるブレークダウン現象を直ぐに検出する。例えば、ブレークダウン検出回路220はバイアス源210によって供給される電圧の急激な減少を検知するように構成することもできるし、バイアス源210から引き出される電流の急激な増大を検知するように構成することもできる。一旦ブレークダウン現象が検知されると、消磁制御回路230は消磁回路270によってフォーカスマスク構体100の消磁を開始する。
【0032】
現時点で好ましいブレークダウン検出回路220の実施例が図7に概略的に示されている。検知手段262がバイアス源210と直列に結合されており、また全波整流器227に結合されている。検知手段262は検知を行なう機能に加えて、高電圧のアルタ電圧源と低電圧検出回路220との間を電気的に絶縁するという有利な機能を有している。
【0033】
検知手段262は幾つかの方法で構成することができ、その幾つかが図8の(a)〜(c)に示されている。ブレークダウン検出回路220の好ましい実施例では、検知手段262は図8の(a)に示すように電流変成器(変流器)T1 である。約4ターンの1次巻線221はフォーカスマスク構体100の第1層30をバイアスするのに使用される高電圧ワイヤー222により形成されている。この形式のワイヤーは典型的には最高で約35kVの電圧で使用することができる。2次巻線223は、図示の実施例では24AWG(American Wire Gauge)を200ターンしたものを有している。変成器T1 の1次、2次の各ターン数、従って、そのターンの比は、ブレークダウン検出回路220の特定の実施例によって変成器T1 に課せられる要求に従って変更し得ることは当業者には明らかである。
【0034】
検知手段262の代替品として、図8の(b)に示すように、電圧変成器T2 によって等価的に構成することができる。この変成器T2 はフォーカスマスク構体100の2つの層10と30との間の公称電圧からのランダムなずれを検知することによってバイアス源210からの電流の流入を判別する。例えば、ブレークダウン現象が生じると、バイアス源210の出力は短絡され、流入電流がバイアス源210から供給される。しかしながら、バイアス源210の出力が短絡されているので、バイアス源210の出力電圧は急激に低下し、これによってブレークダウン現象の発生が示される。
【0035】
変成器T2 の1次巻線263はフォーカスマスク構体100の第2層30をバイアスするのに使用される高電圧ワイヤー222によって形成されている。変成器T2 の1次巻線263、2次巻線264の各ターン数、従って、そのターン数の比は、ブレークダウン検出回路222の特定の実施例により、この変成器T2 に課せられる要求に従って変更されることは当業者には明らかである。
【0036】
変成器T2 ,T2 の1次巻線および2次巻線はトロイダルコアに巻回される。トロイダルコアは、例えば工業部品番号A−438281−2を有し、アーノルド エンジニアリング コーポレイション(Arnold Engineering Co.)によって製造されている。図8の(a)および(b)に示す実施例でトロイダルコアを使用することは単なる一例で、その他の幾何学的形状のコアは使用できないことを示すものではない。
【0037】
次に図8の(c)を参照する。検知手段262は光学的絶縁装置265を使用して構成することもできる。図8の(a)乃至(c)に示す検知手段262の構成は単なる例であって、ここで説明した本発明の構成内容の範囲内で他の実施例を使用することができないことを意味するものでないことは当業者には明らかである。
【0038】
通常の動作では、フォーカスマスク構体100はブレークダウン現象の影響を受けない。図7を参照すると、このような通常の動作期間の間、トランジスタQ1は非導通状態、つまりオフ状態にある。抵抗R1は電圧Vccを第1の単安定マルチバイブレータ225の後縁(trailing−edge)トリガ入力224に結合させる。第1の単安定マルチバイブレータ225は、例えば工業部品番号CD4098Bをもっている。マルチバイブレータ225の反転出力226はこのような通常の動作期間の間高論理“H”にある。
【0039】
フォーカスマスク構体100にブレークダウン現象が生じると、マスクのキャパシタンスとバイアス源210によってクロス−ストランド電流が供給される。クロス−ストランド電流が1次巻線221を通って流れると、2次巻線223に2次電流ISEC が誘導される。2次電流ISEC の大きさはクロス−ストランド電流の大きさと変成器T1 の1次巻線−2次巻線の巻線比との積に等しくなる。
【0040】
2次電流ISEC は全波整流器227により整流され、可調整抵抗R2およびインダクタL1を経て駆動トランジスタQ1に流れる。抵抗R2は、ブレークダウン検出回路220が通常生じるリプル電圧および電流と真正のブレークダウン現象とを区別できるように調整される。
【0041】
これによってトランジスタQ1は導通を開始し、すなわちターンオンし、それによって例えば接地電位である基準電位がマルチバイブレータ225の後縁トリガ入力224に結合される。このような基準電位を上記マルチバイブレータ225の後縁トリガ入力224に結合するために他の適当な電子装置、例えば適当に構成された演算増幅回路あるいは比較回路を上記トランジスタQ1の代わりに使用することができることは当業者に明らかである。
【0042】
入力224がVccから接地電位に変化することにより、マルチバイブレータ225をトリガして反転入力226に負方向パルス228を発生させるパルス228はVccの電圧にほぼ等しいピーク−ピーク値をもっている。パルス228の幅は抵抗R4とキャパシタC5を適当に選択することによって設定される。現時点でのブレークダウン検出回路の好ましい実施例では、パルス228のパルス幅は約50マイクロ秒に等しい。
【0043】
ブレークダウン検出回路220の抵抗R6はパルス228を図9に示す消磁制御回路230に結合する。図9のスイッチS1およびS2は消磁制御回路に対する手動による消磁を可能にするものである。図9に示すこれらのスイッチの位置によれば自動消磁が可能である。
【0044】
図9を参照すると、負方向パルス228はダイオードD5と抵抗R13とによってナンドゲート233の入力231と232に結合される。消磁制御回路230全体を通じて使用されるナンドゲートは工業部品番号CD4093Bのものである。
【0045】
これによって、ナンドゲート233の出力は高論理“H”になり、これはD形フリップフロップ235のセット入力234に供給される。D形フリップフロップ235は工業部品番号CD4013Bのものが使用されている。入力234が高論理“H”になることにより、フリップフロップ235の非反転出力236もまた高論理“H”になる。
【0046】
フリップフロップ235の出力236はナンドゲート240の入力237に結合される。ナンドゲート240の他の入力238はフォーカスマスク100構体が正常に動作している間は一般に高論理“H”の状態にある。この点については以下で詳細に説明する。従って、ナンドゲート240の出力239は低論理“L”であり、この状態が存在することはブレークダウン現象が生じたことを表わしている。この低論理“L”はD形フリップフロップ244のデータ入力241に結合される。
【0047】
データ入力241における低論理“L”の補信号は、クロック入力243におけるトリガパルスの正方向への変化時にフリップフロップ224の反転出力242に転送される。現在での消磁制御回路230の好ましい実施例では、トリガパルス245はビデオ表示装置の垂直ブランキングパルス246から取り出されるという利点があり、それによって消磁動作はブレークダウン現象の検出後の次のブランキング期間まで遅延される。これによってビデオ表示装置の視聴者に迷惑をかけることなく変色バンドの異常を除去(修正)することができる。勿論ブレークダウン現象の検出時に直ちに消磁を行うことができるように消磁制御回路230を適当に除去あるいは省略することも可能なことは当業者には明らかである。
【0048】
垂直リトレース期間の間、垂直ブランキングパルス246は、一例として基準電位、例えば接地電位よりも約4.5V低い電圧レベルに低下する。垂直ブランキングパルス246は、光学的絶縁装置248、あるいは垂直偏向回路を消磁制御回路230から適当に絶縁する他の任意の手段によって反転バッファ247に結合される。反転バッファ247は正方向にトリガパルス245を発生する。このパルス245は約12Vのピーク−ピーク値を有し、また垂直ブランキング期間にほぼ等しい、すなわち約1ミリ秒のパルス幅をもっている。
【0049】
トリガパルス245が一旦フリップフロップ244のクロック入力243に供約されると、その反転出力242に高論理“H”が現れ、この出力はナンドゲート252の出力249に結合される。トリガパルス245はナンドゲート252の他の入力250に供給される。これによってナンドゲート252の出力251に低論理“L”が発生し、この低論理“L”は反転バッファ253によって反転され、該バッファ253の出力254に発生する高論理“H”への変化は単安定マルチバイブレータ255をトリガする。単安定マルチバイブレータ255は再トリガ不能形式に接続されたものが使用されている。
【0050】
マルチバイブレータ255がバッファ253によってトリガされると、その反転出力257は低論理“L”になり、これは反転バッファ258および259により反転されて高論理“H”を発生する。この高論理“H”の持続期間は抵抗R12とキャパシタC13を適当に選択することによって設定される。好ましい実施例では、この高論理“H”の持続時間は垂直ブランキング期間にほぼ等しく、すなわち約1ミリ秒である。バッファ258および259の出力は、図10に示す消磁回路270の抵抗R7とR8とにより構成される分圧器に供給される。
【0051】
図10を参照すると、バッファ258および259の出力における高論理“H”を抵抗R7とR8とからなる分圧器に供給することにより、トランジスタQ2を導通、つまりターンオンさせる。これによって24Vの電圧はサイリスタQ3のゲート電極をトリガし、その結果、消磁電流IDGが図11に示すように減衰振動する態様で共振インダクタL2と共振キャパシタC6との間に流れ、フォーカスマスク構体100を消磁する。
【0052】
図9および図10を参照する。フォーカスマスク構体100の通常の動作期間の間、共振キャパシタC6は図示の実施例では公称890Vの直流電圧に十分に充電されており、ナンドゲード240の入力238は高論理“H”をとる。しかしながら、フォーカスマスク構体100の消磁期間の間、消磁電流IDGが消磁回路270を通って流れ、共振キャパシタC6の両端間の電圧Vc は公称の電圧以下に低下する。一旦消磁動作が完了すると、キャパシタC6は次の消磁動作を予測してその公称の電圧に再充電される。
【0053】
ブレークダウン現象が検出され、それによって消磁動作が試みられて電圧Vc がその公称の電圧値以下に低下している間は、フォーカスマスク構体100は適正に消磁されない。このような状況は、例えば既に消磁動作が進行している間にブレークダウン現象が検出された場合に生じる。
【0054】
消磁制御回路230は、共振キャパシタC6が十分に充電されるまで消磁動作を有効に遅らせる機能を与えることができる。従って、ブレークダウン現象を検出して一旦消磁動作が開始されると、共振キャパシタC6が十分に充電された後の最初の垂直ブランキング期間まで、ブレークダウン現象が検出されても後続する消磁動作を開始させることはできない。単安定マルチバイブレータ256の前縁(leading−edge)トリガ入力260は対応する単安定マルチバイブレータ255の対応する入力に結合される。マルチバイブレータ256は再トリガ不能構成に接続される。
【0055】
マルチバイブレータ255がバッファ253の出力254における正方向変化によりトリガされ、それにより消磁が開始されると、マルチバイブレータ256は同様にトリガされ、その反転出力261にナンドゲート240の入力238に供給される低論理“L”が発生する。マルチバイブレータ256の出力261がナンドゲート240の入力238に高論理“H”を供給するまで消磁動作を開始することはできない。これはマルチバイブレータ256が最初にトリガされたのち、予め定められた時点で生じる。この予め定められた時点は抵抗R14とキャパシタC2を適当に選択することにより設定される。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、フォーカスマスク形式の陰極線管において、内部で生ずる垂直ストランドと水平ワイヤーとの間のブレークダウン現象に起因する短絡によりクロス−ストランド電流が流れて、上記ストランドに残留磁界が生じても、この残留磁界は消磁回路の作用により急速に除去されるから、変色あるいは褐色のバンドがスクリーンに現れるのを確実に防止することができる。変成器が、フォーカスマスクの第2の層に供給される電圧または電流のランダムな変化を速やかに検出する。パルス波形発生器が変化器に結合され、電圧または電流の急激な変化に応答してパルス波形を発生する。
【0057】
以上、本発明を特定の実施例について説明したが、本発明の本質から逸脱しない範囲内で図示の実施例を変更し、あるいは変形できることは言うまでもない。例えば、ブレークダウン検出回路220と消磁制御回路230とによって実行される論理機能はマイクロプロセッサおよびそれに関連する回路によっても実行できることは当業者には明らかである。従って、特許請求の範囲は前述の説明および実施例から当然に考えられるすべての変形を包含することを意図していることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のフォーカスマスク形式の色選択構体を示す図である。
【図2】 フォーカスマスク色選択構体におけるブレークダウン現象を説明するのに有効な図である。
【図3】 フォーカスマスク色選択構体におけるブレークダウン現象を説明するのに有効な図である。
【図4】 フォーカスマスク色選択構体におけるブレークダウン現象を説明するのに有効な図である。
【図5】 フォーカスマスク色選択構体におけるブレークダウン現象を説明するのに有効な図である。
【図6】 本発明の装置による変色バンド除去(修正)装置をブロックの形式で示した図である。
【図7】 図6中のブロック図で示した回路成分を回路図の形で示した図である。
【図8】 図6中のブロック図で示した回路成分の部分を回路図の形で示した図である。
【図9】 図6中のブロック図で示した回路成分の部分を回路図の形で示した図である。
【図10】 従来の共振消磁回路を示す図である。
【図11】 図10の消磁回路の動作を説明するのに有効な図である。
【符号の説明】
100 フォーカスマスク構体
200 変色バンド除去(修正)装置
220 ブレークダウン検出回路
230 消磁制御回路
270 消磁回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的にはCRTの分野に関するものであり、特に、フォーカスマスク色選択構体を有するCRTにおけるブレークダウン現象を検出することに関する。
【0002】
【従来の技術】
TV受像機、コンピュータ、あるいはビデオ表示端末のようなビデオ表示装置において使用されるCRTは、通常、高強化ガラスで作られた排気された外囲器を含んでいる。この外囲器は、通常平垣な、あるいは僅かに湾曲したフェースプレートと、ファンネル形のベル(bell)部分と、それから延びるネックとを具えている、フェースプレートの内面には螢光体スクリーンが形成されている。
【0003】
カラーCRTでは、異なる色の光を発する特性を有する複数の螢光体領域を支える螢光体スクリーンと一緒に、複数の電子銃が使用される。電子ビームが螢光体スクリーンに当たると、この螢光体スクリーンから可視光が発せられる。色選択構体(color−selection structure)が、電子銃と螢光体スクリーンの間に配置され、これにより各電子銃は関連する形式の色の光を発生する螢光体だけを励起する。
【0004】
このような色選択構体の1つにシャドウマスクがある。シャドウマスクは、電子が螢光体スクリーンに当たる通路上の途中で通過しなければならない複数のアパーチャ(aperture)を有する薄いスチール製のシートである。シャドウマスクは、シャドウマスクに適当な角度で入射する電子だけがシャドウマスクのアパーチャを通過し、適当な位置にある螢光体スクリーンに衝突するという点でフィルタとして機能するものである。
【0005】
このようなシャドウマスクの1つの欠点は、透過率が約20%にすぎず、これはCRTの電子銃から発せられた電子の約20%だけが最終的にシャドウマスクのアパーチャを通過し、螢光体スクリーンに衝突することを意味する。残りの電子はシャドウマスクで吸収され、そのエネルギーは熱として消散される。シャドウマスクの理論上の最大透過率は約33%であり、通常、透過率は約18%である。
【0006】
色選択構体を通過する電子がスクリーン上の関連する形式の光を発生する螢光体だけを励起することを確実にすると共に色選択構体の透過率を高めるための幾つかの技術が知られている。このような技術の1つでは、色選択構体の各開孔中に4重極静電レンズを形成する2層フォーカスマスク色選択構体を採用している。各4重極レンズは、この4重極レンズを通過する電子ビームをその4重極レンズから成る静電界の相対的な大きさと極性とに従って、ターゲット上で一方の横断方向に集束(フォーカス)し、これに直交する横断方向にデフォーカスする。フォーカスマスク構体を使用すると、約60%を超える電子透過率が得られ、またフォーカスマスク構体は理論上1に近い最大透過率を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
フォーカスマスク形式のCRTを構成することには成功したが、動作上の重大な欠点のあることが分かった。特に、実験的なフォーカスマスク形式のCRTは、スクリーンを水平方向に横切って延びる“変色バンド(discoloration band)という表現が最も分り易い異常状態を発生することが分った。この変色バンドは頻繁に生じ、フォーカスマスク形式の色選択手段を使用したCRTの有用性を著しく損なうものである。
【0008】
ここで説明する本発明を構成する第1の観点として、このような変色バンドは、フォーカスマスク構体の残留磁界により引き起こされるビームのランディング誤差、すなわち誤整合(misregistration:ミスレジストレーション)であると判断された。
【0009】
ここで説明する本発明を構成する第2の観点として、フォーカスマスク構体の残留磁界は、フォーカスマスク構体の第1の層と第2の層との間の過渡的な短絡回路、あるいはブレークダウン現象により生じる局部的な電流に起因するものであることが判明した。このブレークダウン現象は、CRT内でトラップ(trap)される導電性粒子により突然生じる可能性がある。
【0010】
ここで説明する本発明を構成する第3の観点として、過渡的であり、局部的な短絡回路の発生が検出される。回路は、フォーカスマスク色選択構体を使用するCRT中のブレークダウン現象を速やかに判別する。このような回路は、例えば、変色バンド除去(修正)装置の一部として関連する消磁回路を作動させるために使われる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による回路は、フォーカスマスク色選択構体に供給される電流の増加を感知する感知手段と、この電流の増加に応答して、パルス波形を発生するパルス波形発生手段とを具えている。
【0012】
感知手段は、フォーカスマスク色選択構体に結合される1次巻線と、パルス波形発生手段に結合される2次巻線とを有する変成器を具えている。この変成器は、電流変成器でもよいし、電圧変成器でもよい。代りのものとして、また等価的なものとして、この感知手段は、フォーカスマスク色選択構体に結合される入力と、パルス波形発生手段に結合される出力とを有するオプト・アイソレータで構成してもよい。
【0013】
パルス波形発生手段は、再トリガ可能な動作モードとして構成される、単安定マルチバイブレータ回路であってもよい。
【0014】
ここに説明する本発明の1つの特徴に従って構成される回路は、フォーカスマスク色選択構体に供給される電流の増加を感知する感知手段と、パルス波形を発生する単安定マルチバイブレータ回路と、感知手段に応答して単安定マルチバイブレータ回路をトリガするトリガ手段とを具えている。このトリガ手段は、半導体デバイスから成り、例えば、マルチバイブレータ回路に結合される出力を有するトランジスタでもよい。半導体デバイスの導通状態は感知手段に応答する。
【0015】
ここに説明する本発明の別の特徴に従って構成される回路は、フォーカスマスク色選択構体に供給される電流の増加を感知する感知手段と、この電流の増加に応答してパルス波形を発生するパルス波形発生手段と、フォーカスマスク色選択構体内において決まって生じる電圧変動および電流変動とブレークダウン現象とを判別するために、感知手段を較正する較正手段とを具えている。この較正手段は、調節可能な抵抗、例えばポテンシオメータでもよい。
【0016】
本願発明の上記の特徴、および他の特徴、利点等については以下に図面を参照しながら行う説明により明らかにする。なお、各図面において、同じ構成要素については同じ参照番号が付されている。
【0017】
【発明の実施の形態】
フォーカスマスク構体100の一例が図1に示されている。フォーカスマスク構体100は垂直方向の金属製ストランド20を構成する第1の層10を有し、各ストランドは図示の例では幅が約254μm(約10ミル)、厚さが約50.8μm(約2ミル)である。これらのストランドはAKスチールやパーマロイのような強磁性体材料からなる。図示のフォーカスマスク構体はさらに水平方向の金属製ワイヤー40からなる第2の層30を有し、図示の例では各ワイヤー40の直径は約25.4μm(約1ミル)である。これらの2つの層の各々の導体はバス・バー(bus bar)すなわち母線(図示せず)によって各端部において互に接続されている。キャパシタCはフォーカスマスク構体の2つの層間の固有キャパシタンスを表わしている。垂直ストランド30と水平ワイヤー40は矩形のマスク開孔50を形成するように配列されており、一例として開孔50の水平方向の寸法は約508μm(約20ミル)、垂直方向の寸法は約381μm(約15ミル)である。
【0018】
4重極集束作用は、垂直ストランド20の導体と水平ワイヤー40の導体を互いに、典型的には数百ボルトから1000ボルトを超える範囲の直流(DC)でバイアスすることによって得られる。例えば、伝送された電子を垂直の螢光体縞(ストライプ)上に導くために電子ビームを水平方向に集束するためには、図1に示すように、水平ワイヤー40は垂直ストランド20に対して正の極性をもつ必要がある。特定の寸法のCRTに対するバイアス電圧は、通常20キロボルト乃至30キロボルトのアルタ電圧に依存する。適当なフォーカスマスク構体は垂直ストランド20をアルタ電極に接続し、水平ワイヤー40に更に正のバイアスを与えている。
【0019】
垂直ストランド20と水平ワイヤー40は、約76.2μm(約3ミル)の厚みをもった例えばガラスフリットの真空適応性の電気絶縁物60によって分離されていてもよい。入射電子ビームに対して見えないように絶縁物60を配列するのが有効であり、それによって4重極レンズの適正な動作と干渉する可能性のある絶縁物の充電作用を避けることができる。
【0020】
変色バンドの性質について研究した結果、このような変色バンドはフォーカスマスク構体の残留磁界によって引き起こされる位置づれに因り生じるという重要な結論が得られた。さらに、局部的な過渡的短絡現象、あるいはブレークダウン現象は大きな残留磁界源となることが判った。
【0021】
このようなブレークダウン現象は、例えばCRT内に含まれている汚染物質によって生じる。市販の大量生産されたCRTは、通常、例えばアルミニウムの破片(flake)、あるいはグラファイトや鉄の粒子等の一般に導電性の微粒子の形であるレベルの汚染を示す。変色バンドの異常状態(anomaly)を調査することにより、CRT内の上記のような導電性粒子が、変色バンドに至らしめるブレークダウン現象の発生に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
【0022】
実験に基づく研究により、適正に構成されたフォーカスマスク形式のCRTは、一般に概算で数分に1回から数百時間に1回の範囲でその中に何処かで上記の形式のブレークダウン現象の生じることが判った。例えば輸送中の機械的な振動により、緩く固定されていた自由粒子が外れ易くなり、フォーカスマスク構体においてブレークダウン現象の発生する可能性が大きくなる。さらに、CRTの通常動作期間の間に発生する静電力により、ゆるく固定されていた粒子が外れることもある。このように、CRTの期待される寿命の間に、変色バンドの発生に至るブレークダウン現象が予想されることは十分に合理性のあることである。
【0023】
ブレークダウン現象と変色バンドとの間の関連性については図2乃至図5を参照することにより十分に理解することができる。図2を参照すると、ブレークダウン現象は、導電性粒子が水平ワイヤー40′と垂直ストランド20′とを短絡する点Aで発生すると仮定する。ブレークダウン現象を示す短絡回路を抵抗Rによって表わしている。抵抗Rを使用することにより、ブレークダウン現象を生じさせる導電性微粒子が、小さな値であるがそれに関連するある有限の抵抗値を持っていることを表わしている。
【0024】
約4Aに等しいクロス−ストランド(cross−strand)電流が、影響を受けた水平ワイヤー40′および抵抗Rを通って影響を受けた垂直ストランド20′に流れる。大抵の場合、導電性微粒子はオーム熱により破壊されるから、このクロス−ストランド電流は約数マイクロ秒後には流れなくなる。また、第1の層10および第2の層30に対するバイアス回路のインピーダンスは十分に高く、それを流れる電流を数アンペアに制限するので、クロス−ストランド電流の主たる電流源はマスクのキャパシタに蓄積されたエネルギである。一旦このエネルギが消費されると、クロス−ストランド電流は低下しなければならない。フォーカスマスク構体100の温度はブレークダウン現象の期間の間それほど上昇しない。
【0025】
クロス−ストランド電流が流れることにより、水平ワイヤー40′の周囲に磁界Hが発生する。磁界Hの強さは、水平ワイヤー40′に最も近い垂直ストランド20′の点で約3000A/m(アンペア毎メートル)である。導電性水平ワイヤー40′に近い特定の点における磁界Hの強さは、その特定の点から水平ワイヤー40′に最も近い点までの半径方向の距離に反比例する。
【0026】
図3を見ると明らかなように、磁界Hは垂直ストランド20中に磁束密度B1 を誘導する。図3の(a)は、現時点では好ましいとされる強磁性体材料、この場合、垂直ストランド20を形成するのに使用することができるアニール(anneal:焼きなまし)されたAKスチールのB−H曲線を示している。図3の(b)はパーマロイ材料に対する同様なB−H曲線を示している。図2に示すように、ストランド20′の一方の側と反対側すなわち両側で磁界は互いに反対方向に向いている。
【0027】
図3の(a)のアニールされたAKスチールの説明に戻ると、クロス−ストランド電流によってストランド20中に誘導される磁束密度B1 は点Aの上方および下方約38.1mm(約150ミル)の距離内で約10,000ガウス乃至20,000ガウスの範囲内にある。
【0028】
一旦クロス−ストランド電流が終了すると、アニールされたAKスチールについては図4の(a)、パーマロイについては図4の(b)に示すように、磁束密度B1 の約半分が垂直ストランド20の飽和領域に残留する。このようにして磁化された垂直ストランド20はこのとき実効的に棒磁石になり、図5に示すように、磁束密度B2 は垂直ストランド20から発生して周囲の真空内に入り込む。磁束密度B2 の大きさは水平ワイヤー40′から約254μm(約10ミル)の距離内では約50ガウスであり、この大きさは約38.1mm(約150ミル)の距離では約3ガウスに低下する。約171ミリ(約675ミル)に等しいQスペース(Q−space)を有する図示のフォーカスマスク形式のCRTでは、この形式の磁束密度分布は、一例として約60μmの最大不整合(misregistration:位置ずれ)、すなわちビームのランディング誤差を生じさせる。
【0029】
変色バンドを除去するための確実な解決方法は、汚染物質を取り除くことである。しかしながら、優れた製造技術により汚染物質の数を著しく減少させることはできるが、市販の大量生産されたCRTでは、通常ある程度の汚染物質のレベルを示すことはよく知られていることである。従って、もし製造工程で汚染物質のない状態が要求されると、フォーカスマスク形式のCRTを製造するためのコストは著しく高く、恐らく法外に高くなる。
【0030】
変色バンド除去(修正)装置200のより優れた形式の解決法が図6にブロック図の形で示されている。フォーカスマスク構体100の第1層10は約20kV乃至約30kVの間の値を示すアルタ電圧源に接続されている。第2の層30はバイアス源210に結合されており、該バイアス源210は、通常の設計によるものでよいが、もしブレークダウン現象が生じたときに、第1層10と第2層30との間の適当なバイアス電圧を急速に回復するのに十分強力であることが好ましい。
【0031】
ブレークダウン検出回路220はバイアス源210の動作点における急速な変化を検知することによりフォーカスマスク100におけるブレークダウン現象を直ぐに検出する。例えば、ブレークダウン検出回路220はバイアス源210によって供給される電圧の急激な減少を検知するように構成することもできるし、バイアス源210から引き出される電流の急激な増大を検知するように構成することもできる。一旦ブレークダウン現象が検知されると、消磁制御回路230は消磁回路270によってフォーカスマスク構体100の消磁を開始する。
【0032】
現時点で好ましいブレークダウン検出回路220の実施例が図7に概略的に示されている。検知手段262がバイアス源210と直列に結合されており、また全波整流器227に結合されている。検知手段262は検知を行なう機能に加えて、高電圧のアルタ電圧源と低電圧検出回路220との間を電気的に絶縁するという有利な機能を有している。
【0033】
検知手段262は幾つかの方法で構成することができ、その幾つかが図8の(a)〜(c)に示されている。ブレークダウン検出回路220の好ましい実施例では、検知手段262は図8の(a)に示すように電流変成器(変流器)T1 である。約4ターンの1次巻線221はフォーカスマスク構体100の第1層30をバイアスするのに使用される高電圧ワイヤー222により形成されている。この形式のワイヤーは典型的には最高で約35kVの電圧で使用することができる。2次巻線223は、図示の実施例では24AWG(American Wire Gauge)を200ターンしたものを有している。変成器T1 の1次、2次の各ターン数、従って、そのターンの比は、ブレークダウン検出回路220の特定の実施例によって変成器T1 に課せられる要求に従って変更し得ることは当業者には明らかである。
【0034】
検知手段262の代替品として、図8の(b)に示すように、電圧変成器T2 によって等価的に構成することができる。この変成器T2 はフォーカスマスク構体100の2つの層10と30との間の公称電圧からのランダムなずれを検知することによってバイアス源210からの電流の流入を判別する。例えば、ブレークダウン現象が生じると、バイアス源210の出力は短絡され、流入電流がバイアス源210から供給される。しかしながら、バイアス源210の出力が短絡されているので、バイアス源210の出力電圧は急激に低下し、これによってブレークダウン現象の発生が示される。
【0035】
変成器T2 の1次巻線263はフォーカスマスク構体100の第2層30をバイアスするのに使用される高電圧ワイヤー222によって形成されている。変成器T2 の1次巻線263、2次巻線264の各ターン数、従って、そのターン数の比は、ブレークダウン検出回路222の特定の実施例により、この変成器T2 に課せられる要求に従って変更されることは当業者には明らかである。
【0036】
変成器T2 ,T2 の1次巻線および2次巻線はトロイダルコアに巻回される。トロイダルコアは、例えば工業部品番号A−438281−2を有し、アーノルド エンジニアリング コーポレイション(Arnold Engineering Co.)によって製造されている。図8の(a)および(b)に示す実施例でトロイダルコアを使用することは単なる一例で、その他の幾何学的形状のコアは使用できないことを示すものではない。
【0037】
次に図8の(c)を参照する。検知手段262は光学的絶縁装置265を使用して構成することもできる。図8の(a)乃至(c)に示す検知手段262の構成は単なる例であって、ここで説明した本発明の構成内容の範囲内で他の実施例を使用することができないことを意味するものでないことは当業者には明らかである。
【0038】
通常の動作では、フォーカスマスク構体100はブレークダウン現象の影響を受けない。図7を参照すると、このような通常の動作期間の間、トランジスタQ1は非導通状態、つまりオフ状態にある。抵抗R1は電圧Vccを第1の単安定マルチバイブレータ225の後縁(trailing−edge)トリガ入力224に結合させる。第1の単安定マルチバイブレータ225は、例えば工業部品番号CD4098Bをもっている。マルチバイブレータ225の反転出力226はこのような通常の動作期間の間高論理“H”にある。
【0039】
フォーカスマスク構体100にブレークダウン現象が生じると、マスクのキャパシタンスとバイアス源210によってクロス−ストランド電流が供給される。クロス−ストランド電流が1次巻線221を通って流れると、2次巻線223に2次電流ISEC が誘導される。2次電流ISEC の大きさはクロス−ストランド電流の大きさと変成器T1 の1次巻線−2次巻線の巻線比との積に等しくなる。
【0040】
2次電流ISEC は全波整流器227により整流され、可調整抵抗R2およびインダクタL1を経て駆動トランジスタQ1に流れる。抵抗R2は、ブレークダウン検出回路220が通常生じるリプル電圧および電流と真正のブレークダウン現象とを区別できるように調整される。
【0041】
これによってトランジスタQ1は導通を開始し、すなわちターンオンし、それによって例えば接地電位である基準電位がマルチバイブレータ225の後縁トリガ入力224に結合される。このような基準電位を上記マルチバイブレータ225の後縁トリガ入力224に結合するために他の適当な電子装置、例えば適当に構成された演算増幅回路あるいは比較回路を上記トランジスタQ1の代わりに使用することができることは当業者に明らかである。
【0042】
入力224がVccから接地電位に変化することにより、マルチバイブレータ225をトリガして反転入力226に負方向パルス228を発生させるパルス228はVccの電圧にほぼ等しいピーク−ピーク値をもっている。パルス228の幅は抵抗R4とキャパシタC5を適当に選択することによって設定される。現時点でのブレークダウン検出回路の好ましい実施例では、パルス228のパルス幅は約50マイクロ秒に等しい。
【0043】
ブレークダウン検出回路220の抵抗R6はパルス228を図9に示す消磁制御回路230に結合する。図9のスイッチS1およびS2は消磁制御回路に対する手動による消磁を可能にするものである。図9に示すこれらのスイッチの位置によれば自動消磁が可能である。
【0044】
図9を参照すると、負方向パルス228はダイオードD5と抵抗R13とによってナンドゲート233の入力231と232に結合される。消磁制御回路230全体を通じて使用されるナンドゲートは工業部品番号CD4093Bのものである。
【0045】
これによって、ナンドゲート233の出力は高論理“H”になり、これはD形フリップフロップ235のセット入力234に供給される。D形フリップフロップ235は工業部品番号CD4013Bのものが使用されている。入力234が高論理“H”になることにより、フリップフロップ235の非反転出力236もまた高論理“H”になる。
【0046】
フリップフロップ235の出力236はナンドゲート240の入力237に結合される。ナンドゲート240の他の入力238はフォーカスマスク100構体が正常に動作している間は一般に高論理“H”の状態にある。この点については以下で詳細に説明する。従って、ナンドゲート240の出力239は低論理“L”であり、この状態が存在することはブレークダウン現象が生じたことを表わしている。この低論理“L”はD形フリップフロップ244のデータ入力241に結合される。
【0047】
データ入力241における低論理“L”の補信号は、クロック入力243におけるトリガパルスの正方向への変化時にフリップフロップ224の反転出力242に転送される。現在での消磁制御回路230の好ましい実施例では、トリガパルス245はビデオ表示装置の垂直ブランキングパルス246から取り出されるという利点があり、それによって消磁動作はブレークダウン現象の検出後の次のブランキング期間まで遅延される。これによってビデオ表示装置の視聴者に迷惑をかけることなく変色バンドの異常を除去(修正)することができる。勿論ブレークダウン現象の検出時に直ちに消磁を行うことができるように消磁制御回路230を適当に除去あるいは省略することも可能なことは当業者には明らかである。
【0048】
垂直リトレース期間の間、垂直ブランキングパルス246は、一例として基準電位、例えば接地電位よりも約4.5V低い電圧レベルに低下する。垂直ブランキングパルス246は、光学的絶縁装置248、あるいは垂直偏向回路を消磁制御回路230から適当に絶縁する他の任意の手段によって反転バッファ247に結合される。反転バッファ247は正方向にトリガパルス245を発生する。このパルス245は約12Vのピーク−ピーク値を有し、また垂直ブランキング期間にほぼ等しい、すなわち約1ミリ秒のパルス幅をもっている。
【0049】
トリガパルス245が一旦フリップフロップ244のクロック入力243に供約されると、その反転出力242に高論理“H”が現れ、この出力はナンドゲート252の出力249に結合される。トリガパルス245はナンドゲート252の他の入力250に供給される。これによってナンドゲート252の出力251に低論理“L”が発生し、この低論理“L”は反転バッファ253によって反転され、該バッファ253の出力254に発生する高論理“H”への変化は単安定マルチバイブレータ255をトリガする。単安定マルチバイブレータ255は再トリガ不能形式に接続されたものが使用されている。
【0050】
マルチバイブレータ255がバッファ253によってトリガされると、その反転出力257は低論理“L”になり、これは反転バッファ258および259により反転されて高論理“H”を発生する。この高論理“H”の持続期間は抵抗R12とキャパシタC13を適当に選択することによって設定される。好ましい実施例では、この高論理“H”の持続時間は垂直ブランキング期間にほぼ等しく、すなわち約1ミリ秒である。バッファ258および259の出力は、図10に示す消磁回路270の抵抗R7とR8とにより構成される分圧器に供給される。
【0051】
図10を参照すると、バッファ258および259の出力における高論理“H”を抵抗R7とR8とからなる分圧器に供給することにより、トランジスタQ2を導通、つまりターンオンさせる。これによって24Vの電圧はサイリスタQ3のゲート電極をトリガし、その結果、消磁電流IDGが図11に示すように減衰振動する態様で共振インダクタL2と共振キャパシタC6との間に流れ、フォーカスマスク構体100を消磁する。
【0052】
図9および図10を参照する。フォーカスマスク構体100の通常の動作期間の間、共振キャパシタC6は図示の実施例では公称890Vの直流電圧に十分に充電されており、ナンドゲード240の入力238は高論理“H”をとる。しかしながら、フォーカスマスク構体100の消磁期間の間、消磁電流IDGが消磁回路270を通って流れ、共振キャパシタC6の両端間の電圧Vc は公称の電圧以下に低下する。一旦消磁動作が完了すると、キャパシタC6は次の消磁動作を予測してその公称の電圧に再充電される。
【0053】
ブレークダウン現象が検出され、それによって消磁動作が試みられて電圧Vc がその公称の電圧値以下に低下している間は、フォーカスマスク構体100は適正に消磁されない。このような状況は、例えば既に消磁動作が進行している間にブレークダウン現象が検出された場合に生じる。
【0054】
消磁制御回路230は、共振キャパシタC6が十分に充電されるまで消磁動作を有効に遅らせる機能を与えることができる。従って、ブレークダウン現象を検出して一旦消磁動作が開始されると、共振キャパシタC6が十分に充電された後の最初の垂直ブランキング期間まで、ブレークダウン現象が検出されても後続する消磁動作を開始させることはできない。単安定マルチバイブレータ256の前縁(leading−edge)トリガ入力260は対応する単安定マルチバイブレータ255の対応する入力に結合される。マルチバイブレータ256は再トリガ不能構成に接続される。
【0055】
マルチバイブレータ255がバッファ253の出力254における正方向変化によりトリガされ、それにより消磁が開始されると、マルチバイブレータ256は同様にトリガされ、その反転出力261にナンドゲート240の入力238に供給される低論理“L”が発生する。マルチバイブレータ256の出力261がナンドゲート240の入力238に高論理“H”を供給するまで消磁動作を開始することはできない。これはマルチバイブレータ256が最初にトリガされたのち、予め定められた時点で生じる。この予め定められた時点は抵抗R14とキャパシタC2を適当に選択することにより設定される。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、フォーカスマスク形式の陰極線管において、内部で生ずる垂直ストランドと水平ワイヤーとの間のブレークダウン現象に起因する短絡によりクロス−ストランド電流が流れて、上記ストランドに残留磁界が生じても、この残留磁界は消磁回路の作用により急速に除去されるから、変色あるいは褐色のバンドがスクリーンに現れるのを確実に防止することができる。変成器が、フォーカスマスクの第2の層に供給される電圧または電流のランダムな変化を速やかに検出する。パルス波形発生器が変化器に結合され、電圧または電流の急激な変化に応答してパルス波形を発生する。
【0057】
以上、本発明を特定の実施例について説明したが、本発明の本質から逸脱しない範囲内で図示の実施例を変更し、あるいは変形できることは言うまでもない。例えば、ブレークダウン検出回路220と消磁制御回路230とによって実行される論理機能はマイクロプロセッサおよびそれに関連する回路によっても実行できることは当業者には明らかである。従って、特許請求の範囲は前述の説明および実施例から当然に考えられるすべての変形を包含することを意図していることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のフォーカスマスク形式の色選択構体を示す図である。
【図2】 フォーカスマスク色選択構体におけるブレークダウン現象を説明するのに有効な図である。
【図3】 フォーカスマスク色選択構体におけるブレークダウン現象を説明するのに有効な図である。
【図4】 フォーカスマスク色選択構体におけるブレークダウン現象を説明するのに有効な図である。
【図5】 フォーカスマスク色選択構体におけるブレークダウン現象を説明するのに有効な図である。
【図6】 本発明の装置による変色バンド除去(修正)装置をブロックの形式で示した図である。
【図7】 図6中のブロック図で示した回路成分を回路図の形で示した図である。
【図8】 図6中のブロック図で示した回路成分の部分を回路図の形で示した図である。
【図9】 図6中のブロック図で示した回路成分の部分を回路図の形で示した図である。
【図10】 従来の共振消磁回路を示す図である。
【図11】 図10の消磁回路の動作を説明するのに有効な図である。
【符号の説明】
100 フォーカスマスク構体
200 変色バンド除去(修正)装置
220 ブレークダウン検出回路
230 消磁制御回路
270 消磁回路
Claims (15)
- フォーカスマスク色選択構体を用いた陰極線管と、
前記フォーカスマスク色選択構体に関連するブレークダウン現象に応答して、前記フォーカスマスク色選択構体に供給される電流の増加を感知する感知手段と、
前記電流の増加に応答するパルス波形を発生するパルス波形発生手段とから成る、ビデオ表示装置。 - 前記感知手段が、前記フォーカスマスク色選択構体に結合される第1の巻線と、前記パルス波形発生手段に結合される第2の巻線とを有する変成器を具えている、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記変成器が、電流変成器から成る、請求項2記載のビデオ表示装置。
- 前記変成器が、電圧変成器から成る、請求項2記載のビデオ表示装置。
- 前記感知手段が、前記フォーカスマスク色選択構体に結合される入力と、前記パルス波形発生手段に結合される出力とを有するオプト・アイソレータを具えている、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記パルス波形発生手段が、単安定マルチバイブレータ回路から成る、請求項1記載のビデオ表示装置。
- 前記単安定マルチバイブレータ回路が、再トリガ可能な動作モード用に構成されている、請求項6記載のビデオ表示装置。
- フォーカスマスク色選択構体を用いた陰極線管と、
前記フォーカスマスク色選択構体に関連するブレークダウン現象に応答して、前記フォーカスマスク色選択構体に供給される電流の増加を感知する感知手段と、
パルス波形を発生する単安定マルチバイブレータ回路と、
前記感知手段に応答して前記マルチバイブレータ回路をトリガするトリガ手段とから成る、ビデオ表示装置。 - 前記トリガ手段が、半導体デバイスから成る、請求項8記載のビデオ表示装置。
- 前記半導体デバイスの伝導状態が、前記感知手段に応答する、請求項9記載のビデオ表示装置。
- 前記半導体デバイスが、トランジスタから成る、請求項9記載のビデオ表示装置。
- 前記半導体デバイスが、前記マルチバイブレータ回路に結合される出力を有する、請求項9記載のビデオ表示装置。
- フォーカスマスク色選択構体を用いた陰極線管と、
前記フォーカスマスク色選択構体に関連するブレークダウン現象に応答して、前記フォーカスマスク色選択構体に供給される電流の増加を感知する感知手段と、
前記電流の増加に応答してパルス波形を発生するパルス波形発生手段と、
前記フォーカスマスク色選択構体内において生じる電圧変動および電流変動と前記ブレークダウン現象とを判別するために、前記感知手段を調べる検査手段とから成る、ビデオ表示装置。 - 前記検査手段が、調節可能な抵抗から成る、請求項13記載のビデオ表示装置。
- 前記調節可能な抵抗が、ポテンシオメータから成る、請求項14記載のビデオ表示装置。
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