JP3805653B2 - 固定子巻線のウエッジ切断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、固定子巻線を固定したウエッジを切断するウエッジ切断装置に関し、特に、作業者の負担が軽く作業効率よくウエッジの切断ができる固定子巻線のウエッジ切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転電機の固定子巻線を巻替える際には、まず、固定子巻線を固定子鉄心のスロット内に固定しているウエッジを除去する作業が行われる。従来、このウエッジを除去するには、ウエッジに当て物を当て、この当て物をハンマーで打ちながらウエッジをスロットから一個ずつ軸方向へ抜き出していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、固定子巻線のウエッジはエポキシなどのワニスによりスロット内に固着されているので、抜き出しは容易でなく、大きな打撃力を要する。このため、作業者の肉体的疲労が激しく、特に、横置きされた固定子鉄心の上側に配置されたスロット内のウエッジを抜き取る際には、上向きでのハンマー打ち作業となるため、作業者は不自然な姿勢での厳しい筋肉労働を強いられることとなり、作業環境の悪さと相俟って作業効率が著しく低下していた。このような実状に鑑み、ウエッジの除去作業に先立ち作業者の負担が軽く作業効率よくウエッジの切断ができるウエッジ切断装置が求められていた。
【0004】
この発明は、以上のような問題点を解消するためになされたもので、作業者の負担が軽く作業効率よくウエッジの切断を行うことができる固定子巻線のウエッジ切断装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明による固定子巻線のウエッジ切断装置は、固定子鉄心のスロット内に配置された固定子巻線を固定するためのウエッジを前記スロットに沿って移動しながら切断する装置であって、互いにほぼ平行に間隔を置いて対向して配置された上部フレーム及び下部フレームと、この上部フレーム及び下部フレーム間を伸縮可能に連結した複数の可調節支柱と、前記上部フレームの両端部近傍上に当該上部フレームの長手方向に沿って設けられ同じ方向に細長く鋸刃挿通孔が貫通された案内板と、外周が前記上部フレームの上面から突出して前記上部フレームに回転自在に配設され所定のスロットに沿って移動可能に設けられた上部ローラと、外周が前記下部フレームの底面から突出するようにして前記下部フレームに回転自在に配設され前記所定のスロットとほぼ対称な位置にある他のスロットに沿って移動可能に設けられた下部ローラと、丸鋸刃を有し当該丸鋸刃が前記案内板の鋸刃挿通孔に挿通されるように配置された電動丸鋸手段と、この電動丸鋸手段が連結されて前記上部フレームに回動可能に取り付けられ、前記電動丸鋸手段を昇降させてその丸鋸刃を前記案内板の上面から所定高さ突出させる丸鋸昇降手段と、前記丸鋸刃が前記案内板の上面から所定高さ突出する位置で前記丸鋸昇降手段を固定する固定手段とを備えたものである。
【0006】
また、この発明による固定子巻線のウエッジ切断装置は、前記可調節支柱が、一方の端部が前記上部フレームに結合された上部支柱と、一方の端部が前記下部フレームに結合された下部支柱と、前記上部支柱及び下部支柱の各他方の端部間を伸縮可能に連結する支柱長調節手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、この発明による固定子巻線のウエッジ切断装置は、前記上部ローラ及び下部ローラが、それぞれ前記上部フレームの上面及び下部フレームの下面から突出する同軸の一対の車輪と、この一対の車輪間に配置された前記車輪より大徑の案内輪とを備えており、前記上部ローラの案内輪の突出した部分が前記ウエッジを配設した所定のスロット内に配置されたときに、前記上部ローラの車輪の外周は前記所定のスロットの両側の前記固定子鉄心の内周に近接すると共に、前記下部ローラの案内輪の突出した部分は固定子鉄心の中心軸に関し前記所定のスロットとほぼ対称な位置にある他のスロット内に配置され、前記下部ローラの車輪の外周は前記他のスロットの両側の前記固定子鉄心の内周に載置されるようになっていることを特徴とするものである。
【0008】
また、この発明による固定子巻線のウエッジ切断装置は、前記上部ローラ及び下部ローラの各案内輪の幅が、前記スロットの幅寸法より僅かに小さい寸法に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、この発明による固定子巻線のウエッジ切断装置は、前記案内板が、前記上部ローラの車輪の外周が前記所定のスロットの両側の前記固定子鉄心の内周へ近接されたときに、前記上部ローラから離れた位置における前記所定のスロット内に前記ウエッジと間隔を置いて配置されるようになっていることを特徴とするものである。
【0010】
また、この発明による固定子巻線のウエッジ切断装置は、前記案内板の幅が、前記スロットの幅寸法より僅かに小さい寸法に形成されていることを特徴とする
ものである。
【0011】
更に、この発明による固定子巻線のウエッジ切断装置は、前記電動丸鋸手段の丸鋸刃が前記案内板の上面から突出される所定高さが、前記案内板の上面から前記丸鋸刃が前記ウエッジを貫通するに充分な高さまでの距離であることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施の形態1であるウエッジ切断装置を示す正面図、図2は、図1におけるウエッジ切断装置の主に左側部分を示す平面図、図3は、図1におけるウエッジ切断装置を左方から見た側面図である。
【0013】
図1〜図3に示す本実施の形態1のウエッジ切断装置は、大きく別けると、上部フレーム10と、下部フレーム18と、可調節支柱20と、電動丸鋸手段30と、丸鋸昇降手段40と、ステー固定手段43とを備えている。全体的な概要を説明すると、上部フレーム10と下部フレーム18とが互いにほぼ平行に間隔を置いて対向して配置され、上部フレーム10と下部フレーム18とは一対の可調節支柱20で連結されている。上部フレーム10の両端部にはそれぞれ丸鋸昇降手段40が回動可能に取り付けられ、各丸鋸昇降手段40には電動丸鋸手段30が連結されている。そして、丸鋸昇降手段40が回動されて電動丸鋸手段30を所定高さまで上昇させると、上部フレーム10の下部に設けたステー固定手段43により丸鋸昇降手段40は所定の位置に固定されるようになっている。
【0014】
詳しくは、上部フレーム10は、基板11aと両側板11bとからなり下開きコ字状に配置された溝型部材11と、基板11aの両端部の下面に接合された取付板12とを備えている。上部フレーム10の両端部近傍上には、上部フレーム10の長手方向に沿って一対の案内板14が設けられている。案内板14の中央部には上部フレーム10の長手方向に沿って細長い鋸刃挿通孔14aが貫通して設けられ、鋸刃挿通孔14aに対応して基板11aにも貫通孔11cが設けられている。なお、案内板14の幅Wは固定子鉄心1のスロット2(いずれも図4参照)の幅寸法より僅かに小さな値、例えば、スロット2の幅寸法から2mm小さな値程度に形成されており、案内板14はウエッジ4の切断作業時において本ウエッジ切断装置がスロット2に沿って移動する際のガイド(図6参照)となる。このため、丸鋸刃31も確実にスロット2に沿ってウエッジを切断することができ、切断作業中に横振れを生じて丸鋸刃31が破損するようなことは防止される。
【0015】
上部フレーム10の両側板11bには、複数の上部ローラ15が、その同軸の一対の車輪15b及びこの一対の車輪15b間に配置された車輪15bよりも大徑の案内輪15a(詳細は、いずれも図7参照)の各外周を上部フレーム10の上面から所定高さ突出させて回転自在に配設されている。なお、前記案内板14は、上部ローラ15の案内輪15aの突出した部分が前記ウエッジ4を配設した所定のスロット2内に配置され、車輪15bの外周が前記所定のスロット2の両側の固定子鉄心1の内周へ近接されたとき(図7参照)に、前記所定のスロット2内の案内輪15aから離れた位置(図1、図2参照)において、ウエッジ4と間隔Hを置いて配置(図6参照)されるようになっている。このため、ウエッジ4の切断作業時において、本ウエッジ切断装置はスロット2に沿ってスムースに移動することができ、切断作業中に振動を生じて丸鋸刃31が破損するようなことは防止される。
【0016】
下部フレーム18は、基板18aと両側板18bとからなり上開きコ字状に配置された溝型部材で構成されている。そして、両側板18bには、複数の下部ローラ19が、その同軸の一対の車輪19b及びこの一対の車輪19b間に配置された車輪19bよりも大徑の案内輪19a(図7参照。いずれも図7における案内輪15a、車輪15bに対応する)の各外周を下部フレーム18の底面から所定高さ突出させて回転自在に配設されている。なお、上部ローラ15の案内輪15aの幅も、下部ローラ19の案内輪19aの幅も共に固定子鉄心1のスロット2の幅寸法より僅かに小さな値、例えば、スロット2の幅寸法から2mm小さな値程度に形成されている。これにより、ウエッジ4の切断作業時において、本ウエッジ切断装置はスロット2に沿ってスムースに移動することができると共に、本ウエッジ切断装置の剛性が高まって切断作業中の振動が抑制され、振動により丸鋸刃31が破損するようなことは防止される。
【0017】
可調節支柱20は、上部支柱21と、下部支柱22と、支柱長調節手段23とを備えている。上部支柱21は、一方の端部が上部フレーム10の基板11aの下面に固定され、他方の端部に雄ねじ部21aが形成されている。下部支柱22は、一方の端部が下部フレーム18の基板18aの上面に固定され、他方の端部に雄ねじ部22aが形成されている。支柱長調節手段23は、支柱調節体24と雄ねじ部21a、22aとを備えている。支柱調節体24の内部には、一方側に雄ねじ部21aが螺合される雌ねじ部23aが形成され、他方側には雄ねじ部22aが螺合される雌ねじ部23bが形成されている。
【0018】
したがって、取手24a(図3参照)により支柱調節体24を一方の方向へ回すと、例えば、上部支柱21及び下部支柱22は共に伸びる方向に移動し、支柱調節体24を反対の方向へ回すと、上部支柱21及び下部支柱22は共に縮む方向に移動することとなり、上部支柱21及び下部支柱22間の長さを調節することができる。これにより、上部フレーム10と下部フレーム18間の高さが調節でき、上部ローラ15の車輪15bの外周と下部ローラ19の車輪19bの外周との間の寸法を固定子鉄心1(図4参照)の内径寸法より僅かに小さい値に設定することができる。
【0019】
電動丸鋸手段30が連結されている丸鋸昇降手段40は、上部フレーム10の両端部にそれぞれ回動可能に取り付けられており、図1で、その右側のものを丸鋸昇降手段(A)40とし、その左側のものを丸鋸昇降手段(B)40とする。
電動丸鋸手段30は、丸鋸刃31と減速モータ32とを備えている。丸鋸昇降手段40は、ステー41とレバー42とを備えており、ステー41の先端部は上部フレーム10の取付板12の先端部にボルト13により回動可能に取り付けられている。そして、丸鋸昇降手段40のレバー42を上げ下げしてボルト13を支点にステー41を回動させることにより、電動丸鋸手段30が昇降され、その丸鋸刃31が案内板14の上面からウエッジ4を貫通するに十分な所定高さまで突出されてウエッジ4を切断した状態(図6参照)となる。ステー固定手段43は、上部フレーム10の側板11bの下端に設けられたロッド45と一対の固定用のナット44とを備えている。ステー41は、丸鋸刃31が案内板14の上面から前記所定高さまで突出された位置で、固定用のナット44により上下から締め付けられてロッド45に固定される。
【0020】
次に、以上のように構成されたウエッジ切断装置を用いてウエッジを切断する方法につき、図面に基づいて説明する。図4は、この発明のウエッジ切断装置を固定子鉄心内にセットしウエッジの切断を開始した状態を示す斜視図、図5は、この発明のウエッジ切断装置を用いてウエッジを切断する状況を示す説明図、図6は、ウエッジの切断中におけるスロット内の状態を示す断面図、図7は、ウエッジの切断中におけるスロット内に上部ローラが挿入された状態を示す断面図である。
【0021】
ウエッジ切断装置を固定子鉄心1内にセットする前に、まず、図1で示した支柱調節体24により可調節支柱20の長さを調節して、上部ローラ15の車輪15bの外周と下部ローラ19の車輪19bの外周(いずれも図1、図7参照)との間の寸法を固定子鉄心1の内径寸法より僅かに小さい寸法になるようにしておく。その後、ウエッジ切断装置を固定子鉄心1内に搬入して、図4に示すように、切断しようとするウエッジ4が配設された所定のスロット2に上部フレーム10を対向して配置し、このスロット2内に上部フレーム10の案内板14(図6参照)及び上部ローラ15の案内輪15a(図7参照)を配置する。この場合、案内板14と案内輪15aとは前記所定のスロット2内で相互に離れた位置に配置されている。そして、固定子鉄心の中心軸に関し前記所定のスロット2と対称な位置にある他のスロット2(図示せず)に対向させて下部フレーム18を配置し、その案内輪19aを前記他のスロット2内に配置している(図7参照。図7における案内輪15aに対応する)。なお、全スロット数が奇数個である場合は、前記他のスロット2は固定子鉄心の中心軸に関し前記所定のスロット2とほぼ対称な位置にあるスロット2を選択してもよい。
【0022】
この状態において、車輪15bの外周は案内輪15aが配置された前記所定のスロット2の両側の固定子鉄心1の内径部に近接し、車輪19bの外周は案内輪19aが配置された前記他のスロット2の両側の固定子鉄心1の内径部に載置されて、ウエッジ切断装置が固定子鉄心1内にセットされた状態となっている。
本ウエッジ切断装置は、以上のようにして固定子鉄心1内にセットされているので、ウエッジ切断装置の剛性が高まって切断作業中の振動が抑制され、振動による丸鋸刃31の破損は防止される。このため、セットした状態でウエッジ切断装置の安定性が悪いときは、支柱調節体24により可調節支柱20の長さは再調節される。
【0023】
次いで、減速モータ32のスイッチを投入し、丸鋸昇降手段(A)40(以下、丸鋸昇降手段Aという)のレバー42(図1参照)を引き上げて丸鋸刃31でウエッジ4を切りながら、丸鋸刃31の外周上端を案内板14の上面から所定高さ、例えば、ウエッジ4の裏面から1mm突き抜けた位置まで(図6参照)突出させスペーサ絶縁5に一部食い込ませる。このように、丸鋸刃31が案内板14の上面から突出する所定高さを規制することにより、固定子巻線3を傷つけることが防止できる。したがって、固定子巻線3を補修して使用する場合には前記規制が必要である。
なお、この段階では、丸鋸昇降手段(B)40(以下、丸鋸昇降手段Bという)の側の丸鋸刃31(図示せず)は引っ込めたままとなっている。図4、図5はこの状態を示している。
【0024】
上記セット状態では、図5に示すように、切断されるウエッジ4の端部から両丸鋸刃31の中心間の距離分だけ離れたC領域の端の位置(切断開始されるD領域の開始点)に丸鋸昇降手段Aの側の丸鋸刃31の中心が来るようにしている。そして、ウエッジ切断装置を人力で矢印E方向に押しながら領域Dのウエッジ4を切断する。
【0025】
領域Dのウエッジ4の切断が終ったら、上部ローラ15の案内輪15aが前記所定のスロット2内に配置され下部ローラ19の案内輪19aが前記他のスロット2内に配置された状態を保ったままで、丸鋸昇降手段Aのレバー42(図1参照)を引き下げ、丸鋸昇降手段Bのレバー42を引き上げてその側の丸鋸刃31を案内板14の上面から所定高さ突出させ(図示せず)、残りのC領域のウエッジ4を切断する。
C領域のウエッジ4の切断が終ったら、丸鋸昇降手段Bのレバー42を引き下げてその側の丸鋸刃31を引っ込める。そして、次のスロット2へ移動して前記と同じ工程を繰り返し、順次同様にして全スロットのウエッジ4の切断を終了する。
以上のように、本実施の形態1においては、ウエッジの切断作業における作業者の負担は軽く、作業効率よく行うことができる。また、ウエッジ切断作業中は、掃除機をウエッジ切断装置の粉塵吸入口(図示せず)に取り付けてウエッジの切削粉を吸引し排出するようにしているので、作業環境は良好に保たれている。
【0026】
本実施の形態1においては、丸鋸昇降手段Aと丸鋸昇降手段Bとを切り替えながらウエッジを切断する態様を示したが、丸鋸昇降手段Aと丸鋸昇降手段Bとを共に引き上げて、両方の丸鋸刃により一度にウエッジの切断をしてもよい。この場合は、ウエッジの切断に要する時間が短縮される。ただし、ウエッジ切断装置に加わる応力が大きくなるので、本体の剛性を高くする必要がある。
なお、本ウエッジ切断装置を用いて切断したウエッジでスロット内に残っているものについては、ショックレスハンマーなどで叩いて容易に取り外すことができるので、ウエッジの除去作業に際しては、従来のように作業者が厳しい肉体労働を強いられることはない。
【0027】
【発明の効果】
この発明によるウエッジ切断装置は、互いにほぼ平行に間隔を置いて対向して配置された上部フレーム及び下部フレームと、この上部フレーム及び下部フレーム間を伸縮可能に連結した複数の可調節支柱と、前記上部フレームの両端部近傍上に当該上部フレームの長手方向に沿って設けられ同じ方向に細長く鋸刃挿通孔が貫通された案内板と、外周が前記上部フレームの上面から突出して前記上部フレームに回転自在に配設され所定のスロットに沿って移動可能に設けられた上部ローラと、外周が前記下部フレームの底面から突出するようにして前記下部フレームに回転自在に配設され前記所定のスロットとほぼ対称な位置にある他のスロットに沿って移動可能に設けられた下部ローラと、丸鋸刃を有し当該丸鋸刃が前記案内板の鋸刃挿通孔に挿通されるように配置された電動丸鋸手段と、この電動丸鋸手段が連結されて前記上部フレームに回動可能に取り付けられ、前記電動丸鋸手段を昇降させてその丸鋸刃を前記案内板の上面から所定高さ突出させる丸鋸昇降手段と、前記丸鋸刃が前記案内板の上面から所定高さ突出する位置で前記丸鋸昇降手段を固定する固定手段とを備えたので、作業者の負担が軽く、作業効率よくウエッジの切断を行うことができる。
【0028】
また、前記可調節支柱が、一方の端部が前記上部フレームに結合された上部支柱と、一方の端部が前記下部フレームに結合された下部支柱と、前記上部支柱及び下部支柱の各他方の端部間を伸縮可能に連結する支柱長調節手段とを備えて構成されているものであっても、又は前記上部ローラ及び下部ローラが、それぞれ前記上部フレームの上面及び下部フレームの下面から突出する同軸の一対の車輪と、この一対の車輪間に配置された前記車輪より大徑の案内輪とを備えており、前記上部ローラの案内輪の突出した部分が前記ウエッジを配設した所定のスロット内に配置されたときに、前記上部ローラの車輪の外周は前記所定のスロットの両側の前記固定子鉄心の内周に近接すると共に、前記下部ローラの案内輪の突出した部分は固定子鉄心の中心軸に関し前記所定のスロットとほぼ対称な位置にある他のスロット内に配置され、前記下部ローラの車輪の外周は前記他のスロットの両側の前記固定子鉄心の内周に載置されるようになっているものであっても、又は前記上部ローラ及び下部ローラの各案内輪の幅が、前記スロットの幅寸法より僅かに小さい寸法に形成されているものであっても、固定子鉄心内へのウエッジ切断装置の取り付けを剛性高く容易に行うことができるので、切断作業中の振動が低く抑制され丸鋸刃の破損を防止することができる。
【0029】
また、前記案内板が、前記上部ローラの車輪の外周が前記所定のスロットの両側の前記固定子鉄心の内周へ近接されたときに、前記上部ローラから離れた位置における前記所定のスロットに前記ウエッジと間隔を置いて配置されるようになっているものであっても、又は前記案内板の幅が、前記スロットの幅寸法より僅かに小さい寸法に形成されているものであっても、ウエッジ切断装置を前記スロットに沿ってスムースに移動することができるので、丸鋸刃が横振れや振動を生じて破損するのを防止することができる。
【0030】
また、前記電動丸鋸手段の丸鋸刃が前記案内板の上面から突出される所定高さは、前記案内板の上面から前記丸鋸刃が前記ウエッジを貫通するに充分な高さまでの距離であるので、ウエッジを切断した丸鋸刃が固定子巻線を損傷することはなく、固定子巻線を補修して使用する場合に支障を来たすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1であるウエッジ切断装置を示す正面図である。
【図2】 図1におけるウエッジ切断装置の主に左側部分を示す平面図である。
【図3】 図1におけるウエッジ切断装置を左方から見た側面図である。
【図4】 この発明のウエッジ切断装置を固定子鉄心内にセットしウエッジの切断を開始した状態を示す斜視図である。
【図5】 この発明のウエッジ切断装置を用いてウエッジを切断する状況を示す説明図である。
【図6】 ウエッジの切断中におけるスロット内の状態を示す断面図である。
【図7】 ウエッジの切断中におけるスロット内に上部ローラが挿入された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1;固定子鉄心 2;スロット 3;固定子巻線 4;ウエッジ
10;上部フレーム 14;案内板 14a;鋸刃挿通孔 15;上部ローラ
15a、19a;案内輪 15b、19b;車輪 18;下部フレーム
19;下部ローラ 20 節支柱 21;上部支柱 22;下部支柱
23;支柱長調節手段 30;電動丸鋸手段 31;丸鋸刃
40;丸鋸昇降手段 43;ステー固定手段

Claims (7)

  1. 固定子鉄心のスロット内に配置された固定子巻線を固定するためのウエッジを前記スロットに沿って移動しながら切断する装置であって、互いにほぼ平行に間隔を置いて対向して配置された上部フレーム及び下部フレームと、この上部フレーム及び下部フレーム間を伸縮可能に連結した複数の可調節支柱と、前記上部フレームの両端部近傍上に当該上部フレームの長手方向に沿って設けられ同じ方向に細長く鋸刃挿通孔が貫通された案内板と、外周が前記上部フレームの上面から突出して前記上部フレームに回転自在に配設され所定のスロットに沿って移動可能に設けられた上部ローラと、外周が前記下部フレームの底面から突出するようにして前記下部フレームに回転自在に配設され前記所定のスロットとほぼ対称な位置にある他のスロットに沿って移動可能に設けられた下部ローラと、丸鋸刃を有し当該丸鋸刃が前記案内板の鋸刃挿通孔に挿通されるように配置された電動丸鋸手段と、この電動丸鋸手段が連結されて前記上部フレームに回動可能に取り付けられ、前記電動丸鋸手段を昇降させてその丸鋸刃を前記案内板の上面から所定高さ突出させる丸鋸昇降手段と、前記丸鋸刃が前記案内板の上面から所定高さ突出する位置で前記丸鋸昇降手段を固定する固定手段とを備えたことを特徴とする固定子巻線のウエッジ切断装置。
  2. 前記可調節支柱は、一方の端部が前記上部フレームに結合された上部支柱と、一方の端部が前記下部フレームに結合された下部支柱と、前記上部支柱及び下部支柱の各他方の端部間を伸縮可能に連結する支柱長調節手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の固定子巻線のウエッジ切断装置。
  3. 前記上部ローラ及び下部ローラは、それぞれ前記上部フレームの上面及び下部フレームの下面から突出する同軸の一対の車輪と、この一対の車輪間に配置された前記車輪より大徑の案内輪とを備えており、前記上部ローラの案内輪の突出した部分が前記ウエッジを配設した所定のスロット内に配置されたときに、前記上部ローラの車輪の外周は前記所定のスロットの両側の前記固定子鉄心の内周に近接すると共に、前記下部ローラの案内輪の突出した部分は固定子鉄心の中心軸に関し前記所定のスロットとほぼ対称な位置にある他のスロット内に配置され、前記下部ローラの車輪の外周は前記他のスロットの両側の前記固定子鉄心の内周に載置されるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の固定子巻線のウエッジ切断装置。
  4. 前記上部ローラ及び下部ローラの各案内輪の幅は、前記スロットの幅寸法より僅かに小さい寸法に形成されていることを特徴とする請求項3記載の固定子巻線のウエッジ切断装置。
  5. 前記案内板は、前記上部ローラの車輪の外周が前記所定のスロットの両側の前記固定子鉄心の内周へ近接されたときに、前記上部ローラから離れた位置における前記所定のスロット内に前記ウエッジと間隔を置いて配置されるようになっていることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれか一項記載の固定子巻線のウエッジ切断装置。
  6. 前記案内板の幅は、前記スロットの幅寸法より僅かに小さい寸法に形成されていることを特徴とする請求項5記載の固定子巻線のウエッジ切断装置。
  7. 前記電動丸鋸手段の丸鋸刃が前記案内板の上面から突出される所定高さは、前記案内板の上面から前記丸鋸刃が前記ウエッジを貫通するに充分な高さまでの距離であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項記載の固定子巻線のウエッジ切断装置。
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