JP3805468B2 - 固形洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油汚れ洗浄力、溶解性に優れ、高強度であるので輸送時の形態安定性が良好であり、更に経済性にも優れた錠剤型やブリケット型等の固体状の洗剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在の衣類用洗剤の形態は、粉末状・粒状の物が主に使用されている。しかし、これらの洗剤は使用時に計量を行う必要があり、しかも、粉が飛び散る場合が有り、使用者に不快感を与えるという欠点が有った。
【0003】
最近、これらの問題を解決するために錠剤型やブリケット型等の固体状の洗剤の開発が試みられている。ところが、これら固体状洗剤は簡便で使用しやすい反面、製造工程・輸送工程で形状を保持するための高い錠剤強度と水中での迅速な溶解性という一見相反する要素を満足させなければならないという非常に困難な技術的課題が有る。
【0004】
例えば、錠剤型洗剤の場合、同一組成で打錠成形圧をあげることで錠剤強度を高めることはできるが、溶解性は著しく低下してしまう。溶解性向上を目的として特開平4−161498号公報、特開平4−239100号公報、特開平6−17099号公報、特開平6−108099号公報には溶解促進剤、炭酸カリウムを特定の重量比で配合した錠剤型洗剤が開示されている。しかしながらこの組成物は強度・形態安定性に対して不十分であった。これは、炭酸カリウムのような潮解性の高い成分を配合する場合には単に粉末を混合しただけでは、保存時に吸湿が起こり、空気中の炭酸ガスを吸う等して一部が炭酸水素塩などに変化してしまい、錠剤の形態を維持できなくなるためであると考えられる。
【0005】
このような背景より潮解性の低い溶解促進剤として、水溶性塩ではなく錠剤の崩壊を促進することで洗剤の溶解性を向上させる方法が種々試みられている。例えば特開平2−311600号公報にはアニオン活性剤に水難溶解性カルボキシメチルセルロースを添加してなる錠剤洗剤組成物が、更に特開平4−161499号公報には、アニオン活性剤に比べ錠剤洗剤にした場合の溶解性の高い非イオン性活性剤にカルボキシメチルセルロースのカルシウム塩を添加してなる錠剤洗剤組成物が開示されている。これらの組成物は先述した保存時の形態安定性は向上されているが、崩壊剤としてカルボキシメチルセルロースのカルシウム塩などの水難溶性カルボキシメチルセルロースは高価であるという問題を有している。
【0006】
又、洗剤の溶解性を向上させる為には重要な洗浄活性成分の1つである界面活性剤の選択も非常に重要であり、最近の錠剤洗剤の組成物には非イオン性界面活性剤をより多く含有する組成物の検討結果が、例えば、特開昭63−135498号公報、特開平4−161498号公報、特開平4−239100号公報、特開平4−161499号公報、特開平4−306299号公報、特開平6−122900号公報に開示されている。しかし、これらの組成物は液状の界面活性剤を用いているので、これらの液状成分が錠剤表面より遺漏し、容器内で錠剤同士が接着してしまう欠点を有している。
【0007】
この点を解決する為、特開平5−65500号公報、特開平6−207199号公報及び特開平7−102300号公報には吸油性担体を応用した組成物が開示されている。しかしこれらの組成物は錠剤の強度が不足しており輸送時の衝撃には耐えることができない。詳細には強度の1つの指標である硬度は高いが、脆く衝撃を吸収できないという欠点がある。また、吸油担体を使用して液状の非イオン性界面活性剤の遺漏を防止する為には非イオン性界面活性剤にほぼ相当する量で吸油担体を処方する必要があり、これらの吸油担体は洗浄活性が余り高くないので、処方が不経済となってしまう。
【0008】
一般に、経済的には非イオン性界面活性剤より陰イオン性界面活性剤の方が有利である場合が多い。更に非イオン性界面活性剤が処方されることは、洗浄力特に油汚れ除去性を向上させるので好ましいことである。しかし、陰イオン性界面活性剤を主成分とする錠剤洗剤に油汚れ洗浄力を向上させる非イオン性界面活性剤を全陰イオン性界面活性剤に対して3〜25重量%添加すると錠剤の溶解性が著しく低下してしまうという問題点がある。これは親水性の高い陰イオン性界面活性剤に洗浄力を向上させる非イオン性界面活性剤(これは概して陰イオン性界面活性剤より低HLBのものが主である)を添加すると、錠剤の溶解時に界面活性剤相が粘彫な液晶を形成しやすくなり、相の拡散速度が低下し、最終的な安定相(界面活性剤の濃度より均一相になると推定される)に到達する時間が著しく遅延すると推測される。
【0009】
従って、陰イオン性界面活性剤を主界面活性剤として非イオン性界面活性剤を含有させて油洗浄力に優れ、且つ、溶解性に優れ、高強度であるので輸送時の形態安定性が良好であり、更に経済性にも優れた錠剤型、ブリケット型などの固体状の洗浄剤組成物を得るのは非常に困難であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは陰イオン性界面活性剤を主成分とし、溶解性に優れ、高強度を有する錠剤型洗浄剤組成物に関して鋭意検討を行った結果、陰イオン性界面活性剤に特定の非晶質アルミノ珪酸塩及び流動点が40℃未満の非イオン性界面活性剤を併用すれば、溶解性に優れ、高強度で輸送時の形態安定性が良好な固体状洗剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、
(a)流動点が40℃未満である非イオン性界面活性剤 1〜15重量%
(b)吸油能が100ml/100g以上の非晶質アルミノケイ酸塩 1〜30重量%
(c)陰イオン性界面活性剤 5〜50重量%
を含有し、硬度が10〜70kgf/cm2 であり、更に5kgf/cm2 の荷重を負荷させた際の1秒後の応力の初期の応力に対する比率(緩和パラメーター)が85.0〜99.3%であることを特徴とする固体状洗剤組成物を提供するものである。
【0012】
本発明に用いられる(a)成分の非イオン性界面活性剤はその流動点が40℃未満であることが必要である。流動点が40℃以上であると錠剤化やブリケット化した時の溶解性は不良となる。これは非イオン性界面活性剤が充分に吸油担体に吸蔵されず、水中に錠剤が放出された場合に非イオン性界面活性剤と陰イオン性界面活性剤の混合液晶を形成し易いと考えられる。この点より非イオン性活性剤の流動点は40℃未満であることが必要であり、好ましい流動点は30℃未満である。
【0013】
更に本発明において使用するに好ましい非イオン性界面活性剤のHLBは陰イオン性界面活性剤への混合効果を考慮するとその値が8〜15であることが好ましく、より好ましくは10〜13のHLBを有するものである。
【0014】
本発明において使用しうる非イオン性界面活性剤の例としてはポリオキシアルキレンアルキル(若しくはアルケニル)エーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド、アルキルアミンオキシド、プロピレンオキサイドとプロピレングリコールとの縮合物にエチレンオキシドを付加した物(プルロニック型界面活性剤)、プロピレンオキサイドとエチレンジアミンとの縮合物にエチレンオキシドを付加した物(テトロニック型界面活性剤)などである。これらの非イオン性界面活性剤のうち経済性・アルカリ性雰囲気下での安定性より好ましいものとしてはポリオキシアルキレンアルキル(若しくはアルケニル)エーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド、アルキルアミンオキシド、プロピレンオキサイドとプロピレングリコールとの縮合物にエチレンオキシドを付加した物(プルロニック型界面活性剤)、プロピレンオキサイドとエチレンジアミンとの縮合物にエチレンオキシドを付加した物(テトロニック型界面活性剤)が挙げられる。このうちポリオキシアルキレンアルキル(若しくはアルケニル)エーテルは経済性・洗浄性・錠剤の溶解性の点でより好ましい。好適例としてはアルコール1モル当たり約3〜20モルのエチレンオキシド及び/又はアルコール1モル当たり約1〜6モルのプロピレンオキシドを含むものである。原料アルコールとしては1級アルコール、2級アルコールや分岐鎖を有するアルコールなど何れも使用可能である。分岐鎖を有するアルコールとしては日産化学製「オキソコール(登録商標)」、三菱化学製「ダイヤドール(登録商標)」「ドバノール(登録商標)」シェル化学製「ネオドール(登録商標)」「リネボール(登録商標)」、Enichemi Augusta 社製「Lial」が、直鎖率の高いアルコールとしてエチル社製「エパール(登録商標)」、コノコ社製「Alfol(登録商標)」、花王(株)製「カルコール(登録商標)」及びその他の植物油由来のアルコールが例示される。以上の多種多様のアルコールの平均炭素鎖長は6〜22の物が選択され、好ましい平均炭素鎖長は8〜18、より好ましい炭素鎖長は10〜16である。
【0015】
非イオン性界面活性剤の具体的な商品名としては、三菱化学製のドバノール23エトキシレートである「ノニデットS−3」(C12、C13アルコール由来、平均エチレンオキシド付加モル数3、流動点4℃)、「ノニデットS−6.5」(C12、C13アルコール由来、平均エチレンオキシド付加モル数6.5、流動点16℃)、ドバノール25エトキシレートである「ノニデットR−7」(C12〜C15アルコール由来、平均エチレンオキシド付加モル数7.2、流動点21℃)、「ノニデットR−12」(C12〜C15アルコール由来、平均エチレンオキシド付加モル数12、流動点29℃)、ドバノール45エトキシレートである「ノニデットT−7」(C14、C15アルコール由来、平均エチレンオキシド付加モル数7、流動点21℃)、日本触媒化学工業製の「ソフタノール30」(C12〜C14第2級アルコール由来、平均エチレンオキシド付加モル数3、流動点−56℃)、「ソフタノール70」(C12〜C14第2級アルコール由来、平均エチレンオキシド付加モル数7、流動点−3℃)、「ソフタノール200」(C12〜C14第2級アルコール由来、平均エチレンオキシド付加モル数20、流動点31℃)、「ソフタノールL90」(C10〜C12第2級アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数9、流動点9℃)、「ソフタノールEP7025」(エチレンオキシド、プロピレンオキシド付加アルコール、流動点−25℃)、「ソフタノールEP9050」(エチレンオキシド、プロピレンオキシド付加アルコール、流動点−26℃)、Texaco Chemical Company 製「Sulfonic JL-80X 」(平均炭素数C10アルコール由来、エチレンオキシド、プロピレンオキシド付加アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数9、平均プロピレンオキシド付加モル数1.5、流動点−9.4℃)などが挙げられる。
【0016】
上記に示したポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの共重合物を含有する非イオン性界面活性剤においてはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加順序は特に制限されず、これらはブロック付加重合、逆ブロック付加重合及びランダム付加重合の何れでも良い。下記一般式(II)で表される非イオン界面活性剤も好ましい。
R1-O-(EO)p-(PO)q-(EO)r-H (II)
〔式中、R1は炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基を表し、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表し、p,q,r はそれぞれ平均付加モル数を表し、p+q+r=6 〜14であり、p+r=5 〜12であり、q は1 〜4 であり、p ≧r である。〕
上記の非イオン界面活性剤は常法、例えば次のように合成することができる。エチレンオキサイド用とプロピレンオキサイド用の2つの計量槽の付いた5リットルの回転撹拌式オートクレーブ中にラウリルアルコール(「商品名カルコール2098」、花王(株)製)を500g、水酸化カリウムを3.0g仕込み、窒素置換を行った後110℃に昇温し、40torrで1時間脱水を行った。次に150℃に昇温し、エチレンオキサイドを3.5kg/cm2 の圧力で592gオートクレーブ中に導入し、圧力が低下して一定になるまで反応させた後、120℃に冷却してプロピレンオキサイドを312gをオートクレーブ中に3.5kg/cm2 の圧力で導入し、エチレンオキサイドと同様に圧力が低下し一定になるまで反応させた。その後、再び150℃に昇温し、エチレンオキサイドを592g導入し、圧力が低下して一定になるまで反応させた。反応終了後、温度を低下させ目的のポリアルキレングリコールラウリルエーテルを得ることができる。本方法によって得られた非イオン性界面活性剤の平均総エチレンオキシド数は約10、プロピレンオキシド付加モル数は約2モルであり流動点は−1.5℃である。
【0017】
本発明において非イオン界面活性剤は組成物中に1〜15重量%配合されるが、1重量%未満であると油汚れの洗浄性の充分な向上効果が得られず、15重量%を超えると錠剤化やブリケッティング化した際に多量の吸油担体が必要となり経済的に好ましくない。好ましい配合量は3〜10重量%である。
【0018】
本発明の(b)成分は、吸油能が100ml/100g以上の非晶質アルミノケイ酸塩であり、特に組成が次式(I)で示される非晶質アルミノケイ酸塩が好ましい。
x(M2O)・y(MeO)・Al23・z(SiO2) (I)
〔式中、x=0.5〜1.5、y=0〜0.1、z=2.0〜4.0、MはNa又はK、MeはCa又はMgを表す。〕。
【0019】
本発明において、成分(b)として用いられる非晶質アルミノケイ酸塩の吸油能は100ml/100g以上であり、好ましくは150ml/100g以上である。非晶質アルミノケイ酸塩の吸油能が100ml/100g未満では、陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との液晶形成を充分に抑制できない場合があり、溶解性が低下しやすい。なお、本発明では、吸油能はJIS K 6220法により測定されたものである。
【0020】
従来のアルミノケイ酸塩や、従来の製造方法で製造された非晶質アルミノケイ酸塩では非イオン性界面活性剤を吸蔵することは可能であるが、溶解性が不良であったり油汚れの洗浄速度が不十分であったりすることが分かった。この原因としては、つぎのことが推測される。すなわち、細孔径の小さく且つ水分量の多い非晶質アルミノケイ酸塩に非イオン性界面活性剤が吸蔵されると、細孔内での非イオン性界面活性剤のゲル化により、非イオン性界面活性剤の溶出が余りにも抑制されて充分な溶解性と洗浄力向上効果が得られないものと考えられる。
【0021】
本発明に使用する非晶質アルミノケイ酸塩の水分量は20重量%以下が好ましい。また、5重量%未満では(b)成分の生産において乾燥工程に大きな負荷がかかり生産効率が低下する。一般的に、含有水分量は、800℃での乾燥前後の重量差から求めるが、800℃で乾燥を行うと、非晶質アルミノケイ酸塩中のシラノール基などが脱水反応するため、この方法により求められる水分含有量は、非晶質アルミノケイ酸塩の実際の水分含有量以上の値となってしまう。そこで、正確な含有水分量を求めるため、本発明では、以下の方法により含有水分量を測定した。
【0022】
即ち、精秤したアルミノケイ酸塩サンプルを一定量の重水(D2O) に懸濁させ、次式の如く生成するDHO を 1H-NMR により測定し、市販重水中に含まれるDHO を差し引いたDHO ピーク積分強度と、あらかじめ加えた内部標準物質のピーク積分強度との比を読みとることにより、アルミノケイ酸塩サンプルの含有水分量を算出した。
H2O + D2O → 2DHO
なお、本発明では、用いる非晶質アルミノケイ酸塩の含有水分量を所定の値とするために、乾燥条件(温度、時間)を調整する。
【0023】
また、(b)成分の非晶質アルミノケイ酸塩の細孔径は0.1μm未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下であることが望ましい。また、0.1μm以上、2.0μm以下の細孔の容積は全細孔の容積の50%以上であることがよい。この値が50%未満であると非イオン性界面活性剤の吸蔵能力が低下し、液状成分が洗剤表面より遺漏し、容器内で洗剤同士が接着してしまったり、手に触れた際に非常にべたつきを与えるおそれがある。ここで、細孔径分布の測定には、島津製作所製ポロメーターポアサイザー9320を使用した。
【0024】
本発明の成分(b)である非晶質アルミノケイ酸塩は、その製造工程におけるアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応時に、無機酸、有機酸および酸性塩より選ばれる1種以上の酸剤を反応系に添加し、反応系のpHを8〜14としてアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させることにより得られるものを使用するのが好ましく、長期保存においても水不溶物の生成をおさえることができる。
【0025】
本発明の成分(b)である非晶質アルミノケイ酸塩の製造においては、原料として、M2O (Mはアルカリ金属原子)と Al2O3のモル比が M2O/Al2O3 =1.0 〜6.0 の範囲内にあるアルミン酸アルカリ金属塩と、SiO2とM2O のモル比がSiO2/M2O =1.0 〜4.0 の範囲内にあるケイ酸アルカリ金属塩を用いるのが望ましい。また、アルミン酸アルカリ金属塩は、水溶液として用いるのが好ましい。
【0026】
本発明の成分(b)である非晶質アルミノケイ酸塩の上記製造において、酸剤として使用する無機酸、有機酸および酸性塩のうち、無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、燐酸等が挙げられ、有機酸としては、蟻酸、酢酸、酪酸、カプロン酸、アクリル酸、蓚酸、琥珀酸、アジピン酸、安息香酸、クエン酸等が挙げられる。また、酸性塩としては、前記無機酸又は有機酸の酸性塩が挙げられ、具体的には、燐酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム等の不完全中和塩が挙げられる。酸剤は、これらに限定されるものではなく、また、1種のみを用いても、2種以上の混合物を用いてもかまわない。特に、硫酸、炭酸、燐酸、クエン酸等の、その中和後の塩が洗浄剤組成物に配合された時に問題のないものを用いるのがより望ましい。なお、酸剤として炭酸を用いる場合は、反応系への炭酸ガスの吹き込みによっても、その目的が達成される。
【0027】
本発明の成分(b)である非晶質アルミノケイ酸塩の製造において、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させる際の反応系のpHは、8〜14であるが、9.5〜13.5がより望ましい。
【0028】
さらに、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させる時の温度(一次反応温度)は15℃〜60℃が望ましく、特に30℃〜50℃が望ましい。また、一次反応時間は3〜120分間が望ましい。また、一次反応後、温度15〜100℃で1分間以上、望ましくは30分間以上、二次反応(いわゆる熟成)を行なうことが望ましい。
【0029】
更に、本発明の成分(b)である非晶質アルミノケイ酸塩の製造は、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応によって得られるスラリーに、無機酸、有機酸および酸性塩より選ばれる1種以上の酸剤を添加し、スラリーのpHをアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応時のpHより1以上酸性側に調整し、pH5〜13とするという工程を経ることが望ましい。ここで用いる酸剤として、反応時に添加される酸剤と同様のものを挙げることができる。具体的には、無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、燐酸等が挙げられ、有機酸としては、蟻酸、酢酸、酪酸、カプロン酸、アクリル酸、蓚酸、琥珀酸、アジピン酸、安息香酸、クエン酸等が挙げられる。また、酸性塩としては、前記無機酸又は有機酸の酸性塩、たとえば燐酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム等の不完全中和塩が挙げられる。酸剤は、これらに限定されるものではなく、また、1種のみを用いても、2種以上の混合物を用いてもかまわない。特に、硫酸、炭酸、燐酸、クエン酸等の、その中和後の塩が洗浄剤組成物に配合された時に問題のないものがより望ましい。
【0030】
この様にして得られた非晶質アルミノケイ酸塩は、より高水温時の溶解性が改善されており、また、このような方法によると、高吸油能を持つものが得られる。
【0031】
本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩の製造においては、更に好ましくは、反応系に、水溶性でかつ溶解度パラメーター[C. M. Hansen, J. Paint Tech., 39,104 (1967) に記載されているものであり、SP値と略す]が7.5〜20である溶剤を反応系に対して0.5〜50重量%(全反応容積に対する割合)添加して、アルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させる。これにより、吸油能が更に高い非晶質アルミノケイ酸塩が得られる。このような溶剤は、反応前の各原料溶液中に添加してもよいし、反応時に溶液(懸濁液)に添加してもよい。このような溶剤として好ましいものは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール等である。
【0032】
なお、本発明の(b)成分の非晶質アルミノケイ酸塩は、カルシウム捕捉能が120CaCO3 mg/g以上であるという性能を持つため、ビルダーとしても優れている。
【0033】
尚、カルシウム捕捉能の測定は、次のように行う。即ち、非晶質アルミノケイ酸塩サンプル約0.1gを精秤し、それを塩化カルシウム水溶液(炭酸カルシウムとして計算して500ppm)100ml中に加え、得られた混合物を25℃で15分攪拌した後、東洋濾紙No.5Cにて吸引濾過を行い、得られた濾液中のカルシウムイオンをEDTAを用いて測定し、算出する。
【0034】
本発明において、(b)成分は組成物中に1〜30重量%配合される。(b)成分の配合量が1重量%未満では非イオン性界面活性剤を十分に吸蔵することができず、液状成分が錠剤表面より遺漏し、容器内で錠剤同士が接着してしまったり、手に触れた際に非常にべたつきを与えるという欠点を有している。また、30重量%を越えると錠剤の緩和パラメーターが99.3%を超え、輸送時の強度が低下してしまう。
【0035】
また、本発明においては組成物中における成分(a)と成分(b)の比率(重量比)は(a)/(b)=1/5〜5/1であることが好ましい。この値が1/5より小さいと錠剤の緩和パラメーターが99.3%を超え、輸送時の強度が低下してしまい、5/1より大きいと非イオン性界面活性剤を十分に吸蔵することができず、液状成分が錠剤表面より遺漏し、容器内で錠剤同士が接着してしまったり、手に触れた際に非常にべたつきを与える。(a)/(b)重量比の好ましい値は2/5〜4/1である。
【0036】
本発明に用いられる(c)成分の陰イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜18の直鎖又は分岐鎖の1級または2級アルコールの硫酸エステル塩、炭素数8〜20のアルコールのエトキシレート化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩又は脂肪酸塩が好ましい。本発明で直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を使用する場合には、アルキル鎖の炭素数が12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が、アルキル硫酸塩を用いる場合にはその炭素数が10〜22であることが好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属類が好ましく、特にナトリウム及び/又はカリウムが好ましい。本発明において、(c)成分の陰イオン性界面活性剤は、洗浄力の面から組成物中に5〜50重量%、好ましくは8〜30重量%配合される。また、陰イオン性界面活性剤は、全界面活性剤中の40重量%以上、好ましくは55重量%以上を占めることが望ましい。
【0037】
本発明の固体状洗剤組成物には、上記成分(a)〜(c)に加えて必要に応じて下記のような成分を配合することが出来る。
【0038】
<結晶性アルミノ珪酸塩>
本発明に配合される結晶性アルミノ珪酸塩は従来より合成ゼオライトとして知られているものであり、A型、X型、P型ゼオライトに代表され、特にA型が好ましい。合成ゼオライトの平均一次粒径は 0.1〜10μm 、特に0.1 〜5μmのものが好適に使用される。
【0039】
<結晶性珪酸塩>
本発明に使用される結晶性珪酸塩は20℃のイオン交換水に0.1重量%分散した場合の最大pHが11以上であり、上記分散液1リットルに対して、pHを10にする為に0.1NのHCl水溶液を5ml以上必要とするアルカリ能に優れるものであり、結晶性アルミノ珪酸塩と区別される。
【0040】
結晶性珪酸塩は特開平7−89712号公報、特開昭60−227895号公報及びPhys.Chem.Glasses.7, 127-138(1966)、Z.Kristallogr., 129, 396-404(1969)等に記載されている。またヘキスト社より商品名「Na-SKS-6」(δ−Na2Si2O5)として、粉末状、顆粒状のものが入手できる。
【0041】
<カルボン酸系ポリマー>
本発明に配合されるカルボン酸系ポリマーは金属イオンを封鎖する機能を有する他、固体粒子汚れを衣料から洗濯浴中へ分散させる作用とその粒子が衣料へ再付着(再汚染)することを防ぐ作用がある。カルボン酸系ポリマーはアルリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のホモポリマーないしコポリマーであり、コポリマーとしては上記モノマーとマレイン酸と共重合したものが好適であり、分子量が数千〜10万のものが好ましい。
【0042】
<アルカリ剤>
アルカリ剤としては、従来より知られている洗剤用のアルカリ剤を配合することが好ましい。アルカリ剤としては、デンス灰や軽灰と総称される炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、並びにJIS1号、2号、3号等の非晶質のアルカリ金属珪酸塩が挙げられる。これら、無機性のアルカリ剤は洗剤乾燥時に、粒子の骨格形成において効果的であり、比較的硬く、流動性に優れた洗剤を得ることができる。更に炭酸カリウムは、溶解性の点で好ましく、その平均粒径が50〜1000μmのものを用いることができる。この場合、潮解性を抑制する目的でホウ酸塩や高分子量のポリエチレングリコールによって炭酸カリウム粒子の表面をコーティングして使用することができる。
【0043】
<漂白剤及び漂白活性化剤>
漂白剤としては、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム(1水塩が好ましい)、又は硫酸ナトリウム過酸化水素付加体等が挙げられ、特に過炭酸ナトリウムが好ましく、ホウ酸ナトリウムにて被覆することが好ましい。詳しくは米国特許公報4526698 号を参考にすることができる。
【0044】
漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、アセトキシベンゼンスルホン酸塩、特開昭59−22999 号公報、特開昭63−258447号公報もしくは特開平6−316700号公報記載の有機過酸前駆体又は遷移金属を金属イオン封鎖剤で安定化させた金属触媒等が挙げられる。
【0045】
<酵素>
酵素(本来的に酵素作用を洗浄工程中になす酵素である。)としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類が挙げられるが、本発明にはいずれも適用できる。特に好ましいのはプロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びペクチナ−ゼである。
【0046】
<蛍光染料>
蛍光染料として、4,4'−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4'−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4'−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体の1種又は2種以上を、組成物中に0〜2重量%含有することができ、例えばホワイテックスSA(住友化学社製)やチノパールCBS (チバガイギ−社製)等の商品名で市販されている。
【0047】
本発明の固体状洗剤の体積は0.01〜80cm3 であり、好ましくはブリケット型洗剤の場合は0.02〜10cm3 、錠剤型洗剤の場合は0.12〜72cm3 である。
【0048】
本発明においては固体洗剤の力学的性質が重要である。つまり、一般に重要とされる硬度は、10〜70kgf/cm2 であり、好ましくは15〜50kgf/cm2 である。この値が10kgf/cm2 未満であると固体状洗剤組成物としての形態安定性、特に輸送時の形態保持力が不足し、また、80kgf/cm2 を超えると溶解性が損なわれる。
【0049】
硬度の測定は例えば、デジタル硬度計(Fujiwara製、型番024001)において測定指針の外径が5mmを用いて容易に測定することができる。
【0050】
本発明におけるもう1つの重要な力学的パラメーターは、5kgf/cm2 の荷重を負荷させた際の1秒後の応力が初期の応力に対する比率(緩和パラメーター)であり、本発明ではこの値は85.0〜99.3%であり、好ましくは92〜98%である。この値が85%未満であると、著しく粘性が付与された状態となり、たとえ上記の硬度が十分低くても満足する溶解性は得られない。一方、この値が99.3%を超えてしまうと非常に脆性が高くなり、たとえ上記の硬度が十分高くても満足する形態安定性は得られない。
【0051】
硬度並びに緩和パラメーターは打錠圧等の圧力を変える以外に、(a)成分である非イオン性界面活性剤と(b)成分の非晶質アルミノケイ酸塩の配合量及び比率を調節する、流動点を変えた(a)成分を用いる、水分量を変える、などにより調整が可能である。また、水溶性無機塩を配合する場合は、カリウム塩とナトリウム塩の配合比を変えることでも調整が可能である。
【0052】
本発明において、緩和パラメータと硬度は下記の測定条件によって得られたものと定義される。
【0053】
(1)緩和パラメータ測定条件
測定機器としてレオテック株式会社製FUDOHレオメーター(型番RT-3010-CW)を用い、検出部には10kg型アダプターNo.6(5mmφ)を取り付けたものを採用する。試料台にサンプルを設置し、試料台の速度を6cm/minで上昇させ、本アダプターに錠剤が0.2mm進入する前後の応力を測定する。緩和パラメーターを下記の式に従って算出する。
【0054】
【数1】
Figure 0003805468
【0055】
(2)硬度測定条件
デジタル硬度計(Fujiwara製、型番024001)を用いてサンプルの硬度(kgf/cm2 )を測定する。このとき使用アダプターの直径は5mmである。従って、表示された値の5.092倍を単位面積当たりの硬度(kgf/cm2 )とする。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0057】
以下の実施例及び比較例における評価方法を下記に示す。
(A)緩和パラメータ測定条件
前記(1)の方法により測定した。
【0058】
(B)硬度測定条件
前記(2)の方法により測定した。
【0059】
(C)溶解性評価条件
下記の実施例及び比較例で得られた錠剤洗剤2錠を、予め20℃、30リットルの水道水を入れておいた2槽式洗濯機〔東芝(株)製銀河3.6(VH360S1 )〕に投入する。攪拌強度を強回転として1分間攪拌した後、脱水を行い、スパーテルで洗剤の残渣を掻き取り、室温にて風乾後の重量を測定した。本評価においてはその残渣重量が1.0g未満であることが好ましい。
【0060】
(D)形態安定性の評価条件
(D-1) 耐振動性
上記方法によって調製された錠剤3錠を50mlのスチロール瓶((株)井内盛栄堂製)に入れ蓋をした後、タイテック(株)製「Recipro Shaker SR-III 」(MFG No.4051354)に装着し、SPEED 8に振とう速度を設定し15分間振とうした。この後、2mmの篩いを用いて振とうによって発生した2mm未満の微粒子を除去し、残存した洗剤の重量を測定し、下記式によって残存率とした。本試験方法においては残存率が85%以上であることが好ましい。
【0061】
【数2】
Figure 0003805468
【0062】
(D-2) 保存安定性
20℃、湿度65%R.H.に1ヶ月保存後の形態の外観を観察した。膨潤やひび割れを起こさない状態が必要である。
【0063】
また、下記の実施例で用いた非晶質アルミノ珪酸塩の合成方法を以下に示す。
【0064】
合成例A−1
アルミン酸ナトリウム水溶液(Na2O 1.55 重量%、Al2O3 2.30重量%、Na2O/ Al2O3=1.11 (モル比) )1010gを40℃に加熱し、1500rpm の回転数で攪拌しながら、そこに、ケイ酸ナトリウム水溶液(Na2O 2.75 重量%、SiO2 7.88 重量%、SiO2/Na2O=2.96(モル比))700 gと塩化カルシウム2水和物 1.2gを20分間かけて滴下しつつ反応させた。滴下終了後、さらに15分間加熱処理を行い、その後、固体を濾別、洗浄した。得られた湿潤ケーキを、 105℃、300torr で10時間乾燥し、粉砕することによって、X線的に非晶質のアルミノケイ酸塩微粉末を得た。
得られた非晶質アルミノケイ酸塩の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、 Al2O3=21.1重量%、SiO2=57.2重量%、Na2O=20.8重量%、CaO =0.9 重量%であった(1.65Na2O・0.08CaO・Al2O3・4.75SiO2)。また、その吸油能は210 ml/100 g、0.1μm未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は12.3%、0.1 μm 以上 2.0μm 以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は72.1%、含有水分量は11重量%であった。
【0065】
合成例A−2
アルミン酸ナトリウム水溶液(Na2O:Al2O3 =20.3:28.2(重量比)のアルミン酸ナトリウム 100重量部にイオン交換水2000重量部を加えて調製したもの、Na2O=1.99重量%、 Al2O3=2.77重量%)800 gに、2倍の水で希釈した3号水ガラス溶液(市販3号水ガラス100 重量部にイオン交換水200 重量部を加えて調製したもの)100 gを20分間かけて滴下しつつ反応させた。滴下終了後、さらに60℃で20分間加熱処理を行い、その後、固体を濾別、洗浄した。得られた湿潤ケーキを120 ℃で12時間乾燥し、解砕機で微粉化して非晶質アルミノケイ酸塩を得た。得られた非晶質アルミノケイ酸塩の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、 Al2O3=27.2重量%、SiO2=51.2重量%、Na2O=21.6重量%であった(1.31 Na2O・Al2O3・3.2 SiO2) 。また、その吸油能は 200ml/100g、 0.1μm 未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は 8.2%、 0.1μm 以上、 2.0μm 以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は78.8%、含有水分量は9重量%であった。
【0066】
合成例A−3
イオン交換水55gに、合成例A−1と同様のモル比のアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度50重量%)51.05 gを加え、得られた溶液に、合成例A−2と同様に2倍の水で希釈した3号水ガラス水溶液 268.3gを、撹拌下、40℃にて、20分間かけて滴下しつつ反応させた。滴下終了後、50℃まで加熱し、同温度で30分間、さらに反応させた。得られた湿潤ケーキを 200℃にて6時間乾燥後、解砕機で微粉化し、アルミノケイ酸塩を得た。
得られた粉体の組成は、原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、Al2O3 =29.7重量%、SiO2=52.5重量%、Na2O=17.8重量%であった (0.99Na2O・Al2O3 ・3.0SiO2)。また、その吸油能は 210ml/ 100g、 0.1μm 未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は43%、0.1 μm 以上、2.0 μm 以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は45%、含有水分量は12重量%であった。
【0067】
合成例A−4
合成例A−2と同様に湿潤ケーキを調製し、得られた湿潤ケーキを 100℃、6時間乾燥し、解砕機で微粉化して非晶質アルミノケイ酸塩を得た。得られた非晶質アルミノケイ酸塩の組成は原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、Al2O3 =27.2重量%、SiO2=51.2重量%、Na2O=21.6重量%となった(1.31Na2O・Al2O3・3.2SiO2)。吸油能は 200ml/100 g、 0.1μm 未満の細孔径を持つ細孔容積の比率は 8.2%、 0.1μm以上、 2.0μm以下の細孔径を持つ細孔容積の比率は78.8%、含有水分量は28.5重量%であった。
【0068】
実施例1
表1〜4に示す配合組成に従って、粉末成分を均一に混合した後、更に表1〜4に示す酵素造粒物及び香料を後添加し、この配合物7.5gを内径25mmのシリンダーに採り打錠し、錠剤洗浄剤組成物を得た。このときの打錠圧は組得られた錠剤の硬度が23〜28kgf/cm2 に入るように打錠圧を調整して打錠した。得られた錠剤型洗浄剤組成物について上記の方法で評価を行い、その結果を表5〜8に示す。また、炭酸カリウムを用いる場合には、炭酸カリウム90重量%、ポリエチレングリコール(Mw=6000)10重量%を予めニーダーを用いて均一に撹拌し、ポリエチレングリコールにて炭酸カリウム表面をコートして使用した。
【0069】
【表1】
Figure 0003805468
【0070】
【表2】
Figure 0003805468
【0071】
【表3】
Figure 0003805468
【0072】
【表4】
Figure 0003805468
【0073】
*1:三菱化学(株)製 C12、C13 アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数3、流動点4℃
*2:三菱化学(株)製 C12、C13 アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数6.5 、流動点16℃
*3:三菱化学(株)製 C12〜C15 アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数7.2 、流動点21℃
*4:日本触媒化学工業(株)製 C12〜C14 第2級アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数3、流動点−56℃
*5:日本触媒化学工業(株)製 C12〜C14 第2級アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数7、流動点−3℃
*6:日本触媒化学工業(株)製 C12〜C14 第2級アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数15、流動点−15.3℃
*7:日本触媒化学工業(株)製エチレンオキシド、プロピレンオキシド付加アルコール、流動点−25℃
*8:日本触媒化学工業(株)製エチレンオキシド、プロピレンオキシド付加アルコール、流動点−26℃
*9〜13:明細書中の一般式(II)に記載の化合物であり、EOはまた、EO、POの次の数値はそれぞれ一般式(II)のp,q,r を示す。*9〜13において使用したアルコールを下記に示す。
*9 ラウリルアルコール(「カルコール2098」、花王(株)製)
*10 ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール及びパルミチルアルコールの重量比が74/24/2の混合アルコール
*11 ステアリルアルコール(「カルコール80」、花王(株)製)
*12 ヤシアルコール(「カルコール24」、花王(株)製)
*13 シェル社製「Linavol 911 」
*14:日本触媒化学工業(株)製 C12〜C14 第2級アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数40、流動点41℃
*15:日本触媒化学工業(株)製 C12〜C14 第2級アルコール、平均エチレンオキシド付加モル数50、流動点43℃
*16:BASF社製、流動点40℃
*17:BASF社製、流動点50℃
*18:日石洗剤(株)製アルキルベンゼンスルホン酸(「アルケンL」(アルキル鎖の炭素数10〜14)を48%NaOHを用いて中和後乾燥したもの
*19:三菱化学(株)製ドバノール25サルエート(C12〜C15硫酸塩)
*20:ヘキストジャパン(株)製Hostapur SAS 93
*21:東ソー(株)製、平均粒径3μm
*22:ヘキスト社製SKS−6、平均粒径27μm
*23:東ソー(株)製
*24:ダイセル化学工業(株)製
*25:シグマ社製、重量平均分子量= 10000、K値=12〜18
*26:シグマ社製、重量平均分子量= 40000、K値=26〜35
*27:シグマ社製、重量平均分子量=360000、K値=80〜100
*28:サビナーゼ12.0TW(ノボノルディスク社製)、リポラーゼ100T(ノボノルディスク社製)、セルザイム0.1T(ノボノルディスク社製)、ターマミル 60T (ノボノルディスク社製)の重量比2:1:1:1の混合物
*29:チバガイギー(株)製「チノパールCBS-X」
*30:下記表5の混合香料
【0074】
【表5】
Figure 0003805468
【0075】
【表6】
Figure 0003805468
【0076】
【表7】
Figure 0003805468
【0077】
【表8】
Figure 0003805468
【0078】
(結果)
表6〜8に示す通り、錠剤硬度を各組成で好ましい値に調整しても、40℃以上の流動点を有する非イオン性界面活性剤の使用する場合には緩和パラメーターが低下し溶解性が不良になる。又、(b)成分が不足している場合や無添加の場合には緩和パラメーターの低下や溶解性不良をきたしてしまう。更に、(b)成分の細孔径が細かすぎる場合や水分が多すぎる場合にはや非イオン性界面活性剤の溶出が抑制されるので溶解性が不良となる。

Claims (7)

  1. (a)流動点が40℃未満である非イオン性界面活性剤 1〜15重量%
    (b)吸油能が100ml/100g以上の非晶質アルミノケイ酸塩 1〜30重量%
    (c)陰イオン性界面活性剤 5〜50重量%
    を含有し、硬度が10〜70kgf/cm2 であり、更に5kgf/cm2 の荷重を負荷させた際の1秒後の応力の初期の応力に対する比率(緩和パラメーター)が85.0〜99.3%であることを特徴とする固体状洗剤組成物。
  2. 成分(b)が次式(I)で示される非晶質アルミノケイ酸塩である請求項1記載の固体状洗剤組成物。
    x(M2O)・y(MeO)・Al23・z(SiO2) (I)
    〔式中、x=0.5〜1.5、y=0〜0.1、z=2.0〜4.0、MはNa又はK、MeはCa又はMgを表す。〕
  3. 成分(b)が、水分量が5重量%以上20重量%以下、細孔径0.1μm未満の細孔の容積が全細孔容積の20%以下、且つ細孔径0.1μm以上2.0μm以下の細孔の容積が全細孔容積の50%以上の非晶質アルミノケイ酸塩である請求項1又は2記載の固体状洗剤組成物。
  4. 全界面活性剤中の陰イオン界面活性剤の比率が40重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の固体状洗剤組成物。
  5. 成分(a)と成分(b)の比率(重量比)が(a)/(b)=1/3〜5/1であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の固体状洗剤組成物。
  6. 成分(b)が、その製造工程におけるアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩の反応時に、無機酸、有機酸および酸性塩より選ばれる1種以上の酸剤を反応系に添加し、反応系の pH を8〜 14 としてアルミン酸アルカリ金属塩とケイ酸アルカリ金属塩を反応させることにより得られたものである、請求項1〜5の何れか1項記載の固体状洗剤組成物。
  7. 成分(b)のカルシウム捕捉能が120CaCO 3 mg/g以上である、請求項1〜6の何れか1項記載の固体状洗剤組成物。
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