JP3805297B2 - アレイ・アンテナシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の移動局に対するビームを切り換えるアレイ・アンテナのビーム切換を行うアレイ・アンテナシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動通信システムでは、限られた周波数帯域を用いて、多数の移動局が同時に通信を行うことができるようにするために、周波数の有効利用を図る必要がある。
【0003】
周波数有効利用のために、通信すべきエリアを複数のセルに分割し、セル毎に基地局を設置する。各セル内では、時分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)、符号分割多重(CDM)、直交化周波数分割多重(OFDM)等により、基地局とそのセル内に位置する各移動局との通信をそれぞれ独立して行う。このセル方式の採用により、同じ周波数帯域を再利用して、周波数が有効利用される。
【0004】
更に、セル方式移動通信システムにおいて、基地局アンテナにアレイ・アンテナを用い、セル内を基地局からの方向に基づいて複数のセクタに分割して通信を行うセル/セクタ通信方式を採用することにより、単なるセル方式と比較してセル当たりのセクタ数倍程度に、周波数利用効率を向上している。
【0005】
一方、移動局への通信は現在、高速化が求められており、今後の社会の変化及び技術の進歩に伴って、より高速化が要請されてくると考えられる。そこで、移動通信の通信速度のネックとなる、基地局と移動局間の通信速度の向上は、伝送速度を増加させるとともに、複数の移動局に対して同時刻に並行して通信可能とすることによって、実現できる。
【0006】
また、基地局側が保持している情報は、移動局側と比較して格段に大きいことや、移動局側の情報の生産性は通常、基地局側の持つ情報と比較して小さいことから、基地局と移動局間の通信は自ずと基地局から移動局への伝送量が大きく、移動局から基地局への伝送量が少ない、非対称通信になる。
【0007】
ここで、非対称通信を前提にセル/セクタ通信方式を見直すと、基地局の時間当たりの下り総伝送量をできるだけ上げられることが必要であり、基地局から移動局への回線、即ち下り回線の高速化とともに、なるべく多くの移動局に対して同時刻に通信可能な方式が重要になる。
【0008】
基地局から複数の移動局への通信を、ビーム指向性を切り換えることにより時分割で通信を行うシステムにおいては、それぞれの移動局にビームを振り向けるためにアレイ・アンテナの各アンテナエレメントに与える重み付け値を変更することにより、下り回線の切り替えを行っている。
【0009】
また、アダプティブアレイ・アンテナにおいて、複数のアレイ・アンテナ素子のそれぞれに接続された重み付け回路の重み付け値を受信品質情報によって制御して最適指向性に設定する重み付け制御器を設けて、伝搬路状態の高速の変動に対しても即座に正確な電波の到来方向を感知して、指向性制御を行うようにしたものがある(特許文献1)。
【0010】
また、移動体通信システムにおいて、ある基地局に対応するウエイト制御を、隣接する基地局に対応する復調手段の出力信号を参照信号として用いて重み付け値を算出するようにして、基地局切替時の通信効率を高く維持したまま、初期捕捉を短時間で行うようにしたものがある(特許文献2)。
【0011】
【特許文献1】
特許第3272961号公報
【特許文献2】
特開2001−285163号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来のアレイ・アンテナのビーム切換方法や、そのビーム切換を行うアレイ・アンテナを用いた移動通信システムでは、送信信号の時分割切り替えに対応してそのビーム指向性を決定するために送信信号に重み付けする重み値を変更する必要がある。この重み付け値はアンテナエレメント毎に異なるから、それらの変更に時間を要していた。一方、このビーム指向性の切換は、基地局から移動局毎の伝送量に見合った時間間隔で、下り回線の占有時間をこまめに変更できるようにすることが必要である。
【0013】
しかし、ビーム指向性に応じた重み値の変更に時間を要するから、下り回線の占有時間をこまめに変更することが困難であった。また、そのビーム指向性の変更ごとに、重み値の変更のためにデータ伝送を行えない時間が発生するから、基地局から実質的に伝送できる総伝送量が低下していた。
【0014】
そこで、本発明は、アレイ・アンテナから複数の移動局に対する指向性ビームの形成及びその指向性の切換を、重み付け値の書き込みとその読み出しとを互いに独立して行えるようにして、ビーム形成のための重み付け値の変更に実質的に制限されることなく、高速に行うことができるアレイ・アンテナシステムを提供することを目的とする。
【0015】
さらに、ビーム指向性を高速に切り替える場合に、各々の方向の信号の立ち上がり及び立ち下がりを滑らかに行うようにして、不要なスプリアスの発生を抑制し、かつ、ビーム指向性切り替え途中においてもその切り替え前後の方向以外に指向性を形成しない、即ち信号を放射あるいは受信しないアレイ・アンテナシステムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1のアレイ・アンテナシステムは、複数Nのアンテナエレメントを持つアレイ・アンテナを用いて指向性ビームを形成し、そのビームの指向性を切り替えて、前記アレイ・アンテナからの送信信号を時分割で複数Jの方向に送信するアレイ・アンテナシステムにおいて、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、シグナルバスにより供給されるシグナルデータに、指向性ビームの指向性を決定するための重み付け値により重み付けを行って、前記対応するアンテナエレメントに送信信号として供給するための、重み付け手段と、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、前記重み付け手段に供給する重み付け値を指向性ビーム用に記憶するとともに、それぞれ2重ポートメモリであり、その一方のポートは重み用アドレスバス及び重み用データバスに接続されて複数Jの方向各々に対応付けられるアドレス(以後、同一アドレス、という)に指向性ビームを形成する重み付け値が記憶され、その他方のポートは共通の読み出しアドレス信号が供給されて同一アドレスの重み付け値が読み出される、重み付け値記憶手段とを備え、
前記複数Nのアンテナエレメントにそれぞれ設けられている、前記重み付け値記憶手段の同一アドレスそれぞれに1つの指向性ビームを形成するための重み付け値が記憶されるとともに、前記シグナルバスにより供給されるシグナルデータの伝送されるべき方向の変更と同期して、前記重み付け値記憶手段の対応するアドレスに記憶されている重み付け値を読み出すことにより、前記シグナルデータを所定の方向に伝送し、
前記重み付け値記憶手段への重み付け値の書き込みと前記重み付け値記憶手段からの重み付け値の読み出しとを互いに独立して行う
ことを特徴とする。
【0017】
請求項2のアレイ・アンテナシステムは、複数Nのアンテナエレメントを持つアレイ・アンテナを用いて同時に第1ないし第M指向性ビームを形成し、各ビームの指向性を切り替えて、前記アレイ・アンテナからの送信信号を同時に複数Mの方向にかつ時分割で複数Jの方向に送信するアレイ・アンテナシステムにおいて、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、第1ないし第Mのシグナルバスにより供給されるシグナルデータに、第1ないし第M指向性ビームの指向性を決定するための重み付け値により重み付けを行って出力する、複数Mの重み付け手段と、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、前記複数Mの重み付け手段からの重み付けされたシグナルデータを加算し、前記対応するアンテナエレメントに送信信号として供給するための加算手段と、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、前記複数Mの重み付け手段に供給する重み付け値を第1ないし第M指向性ビーム用に記憶するとともに、それぞれ2重ポートメモリであり、その一方のポートは重み用アドレスバス及び重み用データバスに接続されて複数Jの方向各々に対応付けられるアドレス(以後、同一アドレス、という)に指向性ビームを形成する重み付け値が記憶され、その他方のポートは共通の読み出しアドレス信号が供給されて同一アドレスの重み付け値が読み出される、複数Mの重み付け値記憶手段とを備え、
前記複数Nのアンテナエレメントにそれぞれ設けられている、第1ないし第M指向性ビーム用の前記重み付け値記憶手段の同一アドレスそれぞれに各1つの指向性ビームを形成するための重み付け値が記憶されるとともに、前記第1ないし第Mのシグナルバスにより供給される各シグナルデータの伝送されるべき方向の変更と同期して、前記第1ないし第M指向性ビーム用の前記重み付け値記憶手段の対応するアドレスに記憶されている重み付け値を読み出すことにより、前記各シグナルデータをそれぞれ所定の方向に伝送し、
前記重み付け値記憶手段への重み付け値の書き込みと前記重み付け値記憶手段からの重み付け値の読み出しとを互いに独立して行う
ことを特徴とする。
【0019】
請求項3のアレイ・アンテナシステムは、請求項1または2に記載のアレイ・アンテナシステムにおいて、前記重み付け値記憶手段はそれぞれ、共通に供給されるタイミングパルス及びリセットパルスを受け、そのタイミングパルスをカウントしそのリセットパルスによりリセットされるカウンタをそれぞれ設け、前記共通の読み出しアドレス信号として、前記カウンタのカウント値を用いることを特徴とする。
【0020】
請求項4のアレイ・アンテナシステムは、請求項1ないし3に記載のアレイ・アンテナシステムにおいて、前記重み付け値記憶手段のそれぞれにバッファを設け、1つの指向性ビームを形成するための重み付け値が前記各バッファに蓄積された後に、当該重み付け値を各バッファから各重み付け値記憶手段に書き込むことを特徴とする。
【0021】
請求項5のアレイ・アンテナシステムは、請求項1ないし4に記載のアレイ・アンテナシステムにおいて、
さらに、前記複数Nのアンテナエレメントに対応して前記重み付け値記憶手段と前記重み付け手段との間に設けられており、前記重み付け手段へ供給する重み付け値の更新をその変更前の重み付け値から変更後の重み付け値に滑らかに行う、重み付け更新円滑化手段を備え、
重み付け値の更新に対応して、送信されるシグナルデータは、ある方向に向けて送信されているシグナルデータから、他の方向に向けて送信される異なるシグナルデータへ滑らかに変更されることを特徴とする。
【0022】
請求項6のアレイ・アンテナシステムは、請求項5に記載のアレイ・アンテナシステムにおいて、前記重み付け更新円滑化手段は、
第1係数を乗じた値と、前記変更前の重み付け値を最初の円滑化重み付け値としこの円滑化重み付け値に第2係数を乗じた値とを加算し、
その加算値を新たな円滑化重み付け値とする円滑化処理を繰り返し行うとともに、
各時点の円滑化重み付け値を前記重み付け手段に供給することを特徴とする。
【0023】
請求項7のアレイ・アンテナシステムは、請求項6に記載のアレイ・アンテナシステムにおいて、前記第1係数は0以上で1以下の係数αであり、前記第2係数は係数(1−α)であることを特徴とする。
【0024】
請求項8のアレイ・アンテナシステムは、請求項7に記載のアレイ・アンテナシステムにおいて、前記係数αは、前記重み付け値の更新の動作に伴い、時間の経過につれて異なる値に設定されることを特徴とする。
【0025】
請求項9のアレイ・アンテナシステムは、請求項5に記載のアレイ・アンテナシステムにおいて、前記重み付け更新円滑化手段は、
前記変更後の重み付け値に、前記重み付け値の更新の動作に伴い、時間の経過につれて異なる値に設定される第3係数を乗じた値と、
前記変更前の重み付け値に、前記重み付け値の更新の動作に伴い、時間の経過につれて異なる値に設定される第4係数を乗じた値とを加算し、
各時点における前記加算値を円滑化重み付け値として、前記重み付け手段に供給することを特徴とする。
【0026】
請求項10のアレイ・アンテナシステムは、請求項9に記載のアレイ・アンテナシステムにおいて、前記第3係数は0以上で1以下の係数βであり、前記第4係数は係数(1−β)であることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、アレイ・アンテナからの送信ビームを、そのビーム指向性を決定する重み付け値を変更する時間を実質的に不要として、そのビーム指向性を高速に切り替えできる。したがって、高速伝送移動通信システムの基地局として用いて、基地局から多数の移動局に対する下り回線で、ビームの高速切換により各々の移動局との通信を時分割で維持することができる。
【0028】
また、同時に複数M(Mは2以上)の指向性ビームを形成して、各指向性ビームをそれぞれ高速に切り替えることにより、更に多数の移動局との通信を時分割で並行して行うことができる。
【0029】
また、ビーム形成のための重み付け値を記憶する記憶手段として、2重ポートメモリを用いることにより、重み付け値の読み出しと書き込みとが相互に独立して行えるから、ビーム指向性の変更を考慮することなく、ビームの高速切換を継続することができる。
【0030】
また、重み付け値記憶手段はそれぞれ、共通に供給されるタイミングパルスをカウントしそのカウント値により読み出しアドレスが順次決定され、リセットパルスによりリセットされるから、指向性ビームは、順次時分割に繰り返し所要の方向に指向される。この制御のための信号線は、タイミングパルス用とリセットパルス用のみで済むから、構成が簡易である。
【0031】
また、重み付け値記憶手段のそれぞれにバッファを設け、1つの指向性ビームを形成するための重み付け値が前記各バッファに蓄積された後に、当該重み付け値を各バッファから各重み付け値記憶手段に書き込むことにより、N個のウエイトが書き変わる途中でのデータに基づくデータ送信を行うことがない。
【0032】
さらに、本発明によれば、アレイ・アンテナからの指向性ビームの指向性をある方向Iから他の方向Jに変更する場合に、ある方向I及び他の方向Jでの信号の立ち下がり及び立ち上がりが円滑に行われるから、信号の急変によるスプリアスの発生を抑制することができる。
【0033】
また、全てのアンテナエレメントで指向性変更前後の重み付けの同一線形和が用いられるため、指向性変更を円滑に行っても指向性変更前後の方向以外の方向にビームが形成されることがない。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムのシステム構成を示す図であり、図2はそのコントローラの内部構成の例を示す図である。また、図3は図1のアレイ・アンテナシステムの動作タイミングを示す図である。
【0036】
図1において、複数N個のアンテナエレメント6−1〜6−Nを所定の線上または面上に配置してアレイ・アンテナを構成する。このアレイ・アンテナを用いて、送信用及び受信用の指向性ビームを形成し、そのビームの指向性を切り替えて、複数の移動局と送受信を行う。なお、本発明では、以下、送信用についてのみ説明するが、必要とすれば受信用にも同様に適用することができる。
【0037】
各アンテナエレメント6−1〜6−Nに対応して、重み付け回路(Xwt)1−1〜1−N、2重ポートRAM2−1〜2−N、ディジタル/アナログ変換器(以下、D/A変換器)3−1〜3−N、変調器(MOD)4−1〜4−N、送受切替器(T/R)5−1〜5−N、カウンタ(CNT)7−1〜7−Nが設けられる。
【0038】
また、共通にコントローラ10が設けられており、コントローラ10からシグナルバスBUS−S、ウエイトデータバスBUS−WT、ウエイトアドレスバスBUS−WA、タイミングパルス線W−TP、及びリセットパルス線W−RPが、重み付け回路1−1〜1−N、2重ポートRAM2−1〜2−N、及びカウンタ7−1〜7−Nに、それぞれ結合されている。
【0039】
重み付け回路1−1〜1−Nには、シグナルバスBUS−Sを介してコントローラ10から、その時点で送信すべきシグナルデータがディジタル形式で共通に供給される。アレイ・アンテナからの送信は時分割で複数の移動局A〜Jに対して行われるから、シグナルバスBUS−S上のシグナルデータも各移動局に対応して時分割に切り替えて供給される。
【0040】
重み付け回路1−1〜1−Nは、シグナルバスBUS−Sで供給されたシグナルデータに、送信すべき移動局へビームを指向させるためのディジタル形式の複素の重み付け値(例えば、移動局Aであれば、重み付け値Wt−A)をそれぞれ乗算する。勿論、同じ移動局に対する各重み付け値Wt−Aは、各アンテナエレメント6−1〜6−Nに対応してそれぞれ異なる適正値が設定されている。なお、重み付け回路1−1〜1−Nには、2重ポートRAM2−1〜2−Nから読み出された重み付け値を記憶しておくバッファメモリを有している。なお、このバッファメモリを2重ポートRAMのポートP2側に設けるようにしてよい。
【0041】
2重ポートRAM2−1〜2−Nは、2つのポートP1、P2を持ち、両ポートP1、P2から同時にアクセスすることができる。
【0042】
本発明では、第1のポートP1を重み付け値Wt−A〜Wt−Jの書き込み用として使用し、ウエイトアドレスバスBUS−WAで指定されるアドレス0〜j−1にウエイトデータバスBUS−WTを介してコントローラ10から供給される重み付け値Wt−A〜Wt−Jを書き込む。
【0043】
また、第2のポートP2を重み付け値Wt−A〜Wt−Jの読み出し用として使用する。カウンタ7−1〜7−Nのカウント値を読み出しアドレスとして、アドレス0〜j−1に記憶されている重み付け値Wt−A〜Wt−Jを読み出して、重み付け回路1−1〜1−Nに供給する。
【0044】
2重ポートRAM2−1〜2−Nへの重み付け値Wt−A〜Wt−Jの書き込みと読み出しは、両ポートP1、P2から並行して、かつ他方の動作に関係なく、行うことができる。これにより、各移動局A−Jのための重み付け値を決定する動作と、実際に各移動局A−Jへのビームを形成する動作とを、独立して行える。
【0045】
カウンタ7−1〜7−Nは、タイミングパルス線W−TPのタイミングパルスTPをカウントしてカウントアップし、リセットパルス線W−RPのリセットパルスRPにより、そのカウント値がリセットされる。このカウンタ動作は、各カウンタ7−1〜7−Nで全く同じであるから、全ての重み付け回路1−1〜1−Nには常に同じアドレス0〜j−1の重み付け値Wt−A〜Wt−Jが供給される。
【0046】
D/A変換器3−1〜3−Nは、重み付け回路1−1〜1−Nでそれぞれ所定の重み付け値で重み付けされたシグナルデータをアナログ値に変換する。このアナログ値に変換されたシグナルデータに基づいて、搬送波を変調器4−1〜4−Nで変調し、送信信号を得る。即ち、変調器4−1〜4−Nは、送信機として機能する。これらの送信信号は、送受切替器5−1〜5−Nを経由して、各アンテナエレメント6−1〜6−Nから、特定の移動局に向けて送信される。
【0047】
図2のコントローラ10は、全体の制御を管理する送信情報管理部11と、所定周期のクロックCLKを発生するクロック発生部12と、送信情報管理部11からのタイミング情報TIと、クロックCLKに基づいて、タイミングパルスTP及びリセットパルスRPを発生するタイミングパルス生成部13と、送信情報管理部11から各移動局A〜J向けのシグナルデータSA〜SJを受け、タイミングパルスTP及びリセットパルスRPに同期して、シグナルデータSA〜SJを切り替えて順次シグナルバスBUS−Sに出力するシグナル選択部14とを有している。
【0048】
送信情報管理部11は、タイミング情報TIや、シグナルデータSA〜SJを、当該基地局の管理する移動局の移動、発生(当該基地局の圏内に入った)、消滅(当該基地局の圏外に出た)、その通信量などに応じて、コントロールする。
【0049】
また、送信情報管理部11は、各移動局A〜Jの位置に応じたビーム指向性を定めるための重み付け値Wt−A〜Wt−Jを2重ポートメモリ2−1〜2−Nの所定のアドレス0〜j−1に記憶させるために、ウエイトアドレスバスBUS−WAに特定の2重ポートメモリとそのアドレスを指定するアドレス(即ち、2−1〜2−N及び0〜j−1)を供給する。このアドレス指定と同期して、ウエイトデータバスBUS−WTに各移動局A〜J及びアドレス0〜j−1に応じた重み付け値Wt−A(1−N)〜Wt−J(1−N)を供給する。
【0050】
この重み付け値Wt−A〜Wt−Nの供給は、移動局が移動してそのビームの指向性が変更されるとき、新しい移動局が発生してそのための重み付け値を設定するとき、移動局が消滅したとき等に行われる。
【0051】
この第1の実施の形態のシステムの動作を、図3のタイミング図をも参照して、説明する。
【0052】
まず、2重ポートRAM2−1〜2−Nに、各移動局A〜Jへの指向性ビーム形成のための重み付け値が記憶される。移動局Aについてみると、各RAM2−1〜2−Nのアドレス0に、重み付け値Wt−A(1)〜Wt−A(N)が各ポートP1を介して順次シリアルに書き込まれる。引き続いて、移動局B〜Jについての重み付け値Wt−B(1)〜Wt−B(N)・・・Wt−J(1)〜Wt−J(N)が、各RAM2−1〜2−Nのアドレス1〜j−1に順次書き込まれる。これら重み付け値の書き込み中であっても並行して、読み出し用のポートP2を用いて、既に書き込まれている所要の重み付け値を読み出すことができる。
【0053】
次に、アレイ・アンテナから、各移動局へのシグナルデータの送信が行われる。送信は、各移動局A〜JへのシグナルデータSA〜SJの時分割送信に同期して、各重み付け回路1−1〜1−Nへの重み付け値Wt−A〜Wt−Jを切り換えることになる。
【0054】
最初に、リセットパルスRPがタイミングパルス生成部13から出力されると、カウンタ7−1〜7−Nのカウント値は一斉にリセットされ、そのカウント値countは0になる。したがって、RAM2−1〜2−Nからは、ポートP2からカウント値count0に応じてアドレス0の重み付け値Wt−Aが読み出される。一方、そのリセットRPは、シグナル選択部14にも供給され、移動局A用のシグナルデータSAが選択され、シグナルバスSUB−Sに出力される。
【0055】
これにより、各重み付け回路1−1〜1−Nでは、移動局A用のシグナルデータSAと重み付け値Wt−Aとが乗算されるから、送信ビームが移動局Aに指向されると共に、シグナルデータSAが送信される。
【0056】
次に、タイミングパルスTPが発生されると、カウンタ7−1〜7−Nのカウント値は1にカウントアップされ、各RAM2−1〜2−Nからはアドレス1に記憶されている移動局B用の重み付け値Wt−Bが読み出される。一方、そのタイミングパルスTPによりシグナル選択部14では同期してシグナルデータSBが選択されシグナルバスSUB−Bに出力される。
【0057】
これにより、各重み付け回路1−1〜1−Nでは、移動局B用のシグナルデータSBと重み付け値Wt−Bとが乗算されるから、送信ビームが移動局Bに指向されると共に、シグナルデータSBが送信される。
【0058】
タイミングパルスTPが出力される毎に、移動局C〜Jに順次送信ビームが指向されると共に、シグナルデータSC〜SJが送信されていく。
【0059】
送信すべき移動局が一巡すると、再びリセットパルスRPが発生され、移動局Aへビームが指向され、シグナルデータSAが送信される。以下、この動作が繰り返し行われて、移動局A〜Jへの時分割送信が行われる。
【0060】
各移動局へのビーム指向時間Ta〜Tjは、各移動局への送信すべきデータ量の多寡に応じて決定される。この指向時間Ta〜Tjは、送信情報管理部11で送信データ量に基づいて計算され、タイミング情報TIに含まれてタイミングパルス生成部13に与えられる。
【0061】
なお、この例では、指向時間Ta〜Tjは、各移動局A〜Jに応じて個々に決定されることとしているが、同一時間、例えば、クロックパルスCLKに基づいてそのクロックパルス間隔あるいはその整数倍にしてもよい。
【0062】
また、この例では、ある1つの指向性ビームを形成するための重み付け値(即ち、1セットの重み付け値;例えば、Wt−A(1)〜Wt−A(N))を、各RAM2−1〜2−Nの同一のアドレスに記憶させることとしているが、必ずしも同一のアドレスに限られない。1セットの重み付け値は、各RAM2−1〜2−Nにおいて、複数Jの方向各々に対応付けられているアドレスに記憶されていればよい。この場合、異なるアドレスに記憶されている、1セットの重み付け値が、各RAM2−1〜2−Nから、同時に読み出されることになる。
【0063】
さて、移動局のひとつ、例えば移動局Cがその場所を移動すると、そのビームの指向性を場所移動にあわせて変更することになる。このためには、移動局Cのビーム指向性を決定するための重み付け値Wt−C(1)〜Wt−C(N)を更新する必要がある。本発明では、2重ポートRAM2−1〜2−Nを重み付け記憶手段として使用しているから、重み付け値Wt−C(1)〜Wt−C(N)の更新を、シグナルデータSA〜SJの送信を行いつつ、並行して行うことができる。したがって、重み付け値Wt−C(1)〜Wt−C(N)を各RAM2−1〜2−Nのアドレス2に、各ポートP1を介して順次シリアルに書き込む。
【0064】
また、移動局のひとつ、例えば移動局Bが消滅すると、そのシグナルデータSBは送信されなくなり、各RAM2−1〜2−Nの重み付け値Wt−Bは不要となる。この場合、各RAM2−1〜2−Nの重み付け値Wt−C〜Wt−Jのアドレスを順次繰り上げることもできるが、その時間も大変なので、移動局B用に設定されていた時間Tbを実質的に零に見なせるようにできるだけ短い値に設定変更する。これにより、他の移動局用の重み付け値を設定変更する必要がない。
【0065】
また、新しい移動局Kが発生した場合には、移動局A〜Jが存在している場合には、この移動局Kを移動局Jの次に位置づける。このとき、移動局のひとつ、例えば移動局Bが消滅していると、新しい移動局Kを移動局Bの代わりに当てはめる。この場合、きわめて短い時間に設定されていた時間Tbを、移動局Kの送信すべきデータ量に合わせて所定の時間Tkに設定することになる。
【0066】
以上のように、重み付け値を記憶する記憶手段として、2重ポートメモリを用いることにより、重み付け値の読み出しと書き込みとが相互に独立して行えるから、ビーム指向性の変更を考慮することなく、ビームの高速切換を継続することができる。したがって、高速伝送移動通信システムの基地局として用いて、基地局から多数の移動局A〜Jに対する下り回線で、ビームの高速切換により各々の移動局との通信を時分割で維持することができる。また、移動局の移動のほか、その発生や消滅にも柔軟に対応することができる。
【0067】
また、重み付け値記憶手段はそれぞれ、共通に供給されるタイミングパルスをカウントしそのカウント値により読み出しアドレスが順次決定され、リセットパルスによりリセットされるから、指向性ビームは、順次時分割に繰り返し所要の方向に指向される。この制御のための信号線は、タイミングパルス用とリセットパルス用のみで済むから、構成が簡易である。
【0068】
図4は本発明の第2の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムのシステム構成を示す図である。
【0069】
図4において、2重ポートRAM2−1〜2−Nからの読み出しアドレスを、読み出しアドレスバスBUS−WA/Rを介してコントローラ10から供給される読み出しアドレスにより、指定するように構成されている。したがって、図1の第1の実施の形態とは、カウンタ7−1〜7−N及びタイミングパルス線W−TP、リセットパルス線W−RPが省略されている点で異なっている。勿論、この変更点に対応して、コントローラ10の内部構成も変更されるが、機能的にはほぼ同様であるのでその説明は省略する。その他の点は、同じである。
【0070】
図4の第2の実施の形態では、コントローラ10と各アンテナエレメントとの間に、図1ではタイミングパルス線W−TP、リセットパルス線W−RPのみでよかった信号線に代えて、読み出しアドレスバスBUS−WA/Rを必要とする。読み出しアドレスバスBUS−WA/Rの信号線数は、移動局数の増加に対応できるように準備しておく必要がある。
【0071】
しかし、この読み出しアドレスバスBUS−WA/Rの方式では、複数の移動局へのビーム切替の順序もコントローラ10での制御により任意に行える。また、移動局の消滅や発生にも容易に対応することができる。図1と図4のいずれの読み出し方式を用いるかは、移動局数等を考慮して決定することがよい。
【0072】
図5は本発明の第3の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムのシステム構成を示す図である。ただ、ここでは、全てのアンテナエレメントに対応して同じ構成となるので、1つのアンテナエレメント6−iに関する構成のみを示している。
【0073】
図5において、2重ポートRAM2−iのポートP1側に重み付け値を一旦記憶するためのバッファ8−iを設けている。このバッファ8−iには、1つの指向性ビーム、例えば移動局Iへのビームを形成するための重み付け値Wt−I(1)〜Wt−I(N)が書き込まれる。それらの重み付け値Wt−I(1)〜Wt−I(N)が各バッファ8−1〜8−Nの同一アドレスi−1に蓄積されたときに、当該重み付け値Wt−I(1)〜Wt−I(N)を各バッファ8−1〜8−Nから各2重ポートRAM2−iのアドレスi−1に一斉に書き込む。このために、ウエイトアドレスバスBUS−WAで指定されたバッファ8−1〜8−Nの所定の位置に、重み付け値Wt−I(1)〜Wt−I(N)が順次書き込まれる。その後、一斉にその重み付け値が、バッファ8−1〜8−Nから各2重ポートRAM2−iのアドレスi−1に記憶される。なお、各バッファ8−1〜8−Nには、移動局数分の記憶位置を設けているが、共通にひとつの記憶位置とし、順次移動局毎に、重み付け値を記憶させるようにしてもよい。
【0074】
このように、2重ポートRAM2−1〜2−Nのそれぞれに、バッファ8−1〜8−Nを設けることにより、ひとつの指向性ビームを形成するN個のウエイトが書き変わる途中で、シグナルデータに基づくデータ送信を行うという不都合を解消することができる。
【0075】
また、1セットの重み付け値を、これらバッファ8−1〜8−Nに順次シリアルに書き込んだ後に、全てのRAM2−1〜2−Nの同一アドレスに同時に書き込むことにより、そのビーム指向性を決定する重み付け値は同時刻に一斉に変更される。したがって、1セットの重み付け値のバッファ8−1〜8−Nへの順次書き込みを、低速のシリアル転送にて書き込んだとしても、アレイ・アンテナのビーム指向性を同一時刻に瞬時変更できる。
【0076】
このバッファ8−1〜8−Nを設ける点は、第1及び第2の実施の形態や、後述する他の実施の形態においても同様に適用することができる。
【0077】
図6は本発明の第4の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムのシステム構成を示す図である。この第4の実施の形態では、同時に複数Mの指向性ビーム(例として、2つの指向性ビーム、M=2)を形成して、その複数の指向性ビームを時分割で切り換えることにより、第1〜第3の実施の形態に比して、より多くの移動局との通信をおこなうものである。ここでは、全てのアンテナエレメント6−1〜6−Nに対応して同じ構成となるので、1つのアンテナエレメント6−1に関する構成のみを示している。
【0078】
図6において、各アンテナエレメントに対応して、重み付け回路1−1A〜1−NA及び2重ポートRAM2−1A〜2−NAを追加し、また、シグナルバスとして、第1のシグナルバスBUS−S1に加えてBUS−S2を設けている。更に、重み付け回路1−1〜重み付け回路1−N及び重み付け回路1−1A〜重み付け回路1−NAで重み付けされたシグナルデータを加算するための加算器9−1〜9−Nを設けている。
【0079】
2重ポートRAM2−1、2−1Aには、それぞれ異なった移動局用の重み付け値が記憶される。この例では、2重ポートRAM2−1には、移動局A、C、E・・・J用の重み付け値Wt−A、Wt−C、Wt−E・・・Wt−Jが記憶され、2重ポートRAM2−1Aには、移動局B、D、F・・・K用の重み付け値Wt−B、Wt−D、Wt−F・・・Wt−Kが記憶される。
【0080】
そして、シグナルバスBUS−S1及びシグナルバスBUS−S2には、2重ポートRAM2−1、2−1Aの重み付け値の記憶と対応して、シグナルデータSAとSB、SCとSD、SEとSF・・・SJとSKが供給される。
【0081】
そして、カウンタ7−1〜7−Nのカウント値countが0のときには、重み付け回路1−1〜1−NではシグナルデータSAと重み付け値Wt−Aが乗算され、重み付け回路1−1A〜1−NAではシグナルデータSBと重み付け値Wt−Bが乗算される。両重み付け回路1−1〜1−Nと1−1A〜1−NAの出力が加算器9−1〜9−Nで加算されてアンテナエレメント6−1〜6−Nに供給されることにより、アレイ・アンテナとして移動局Aと移動局Bへの指向性ビームが同時に形成され、移動局AにはシグナルデータSAが、移動局BにはシグナルデータSBが送信される。
【0082】
カウンタ7−1〜7−Nのカウント値countが順次大きくなるに連れて、移動局C、DとE、Fと・・・J、Kへの指向性ビームが同時に形成され、移動局C、E、・・・JにはシグナルデータSC、SE・・・SJが、移動局D、F、KにはシグナルデータSD、SF・・・SKが、それぞれ順次送信される。
【0083】
このように、同時に複数M(Mは2以上)の指向性ビームを形成して、各指向性ビームをそれぞれ高速に切り替えることにより、更に多数の移動局との通信を時分割にて行うことができる。
【0084】
この第4の実施の形態においても、図4の第2の実施の形態と同様に、2重ポートRAM2−1〜2−NAの読み出しアドレスの指定を読み出しアドレスバスBUS−WA/Rにより行うようにすることができる。
【0085】
なお、以上の各実施の形態では、重み付け値記憶手段として、2重ポートRAMを用いることとして、説明した。しかし、移動局の移動、発生及び消滅が少ない場合、あるいは移動局が一定の個所にとどまっている場合など、重み付け値の変更の頻度が少ない場合には、2重ポートRAMに代えてシングルポートRAMを用いることも可能である。また、2重ポートRAMに代えて、シングルポートRAMを2つ用いて、読み出し及び書き込みを相互に切り換えるように構成して、重み付け値の書き込み動作と読み込み動作を独立に行うようにしてもよい。
【0086】
図7は本発明の第5の実施の形態に係り、重み付け更新円滑化手段である重み付け更新円滑化回路を設けたアレイ・アンテナシステムのシステム構成を示す図であり、図8は本発明の第6の実施の形態に係り、その重み付け更新円滑化回路の第1の具体例を示す図であり、図9はその説明のための波形図である。また、図10は本発明の第7の実施の形態に係り、その重み付け更新円滑化回路の第2の具体例を示す図であり、図11はその説明のための波形図である。
【0087】
図7において、複数Nのアンテナエレメント6−1〜6−Nに対応して、重み付け値記憶手段2−1〜2−Nと重み付け手段1−1〜1−Nとの間に、重み付け更新円滑化回路(Wts)20−1〜20−Nを設けている。それ以外の点は、図1の第1の実施の形態と同様であるので、以下、重み付け更新円滑化回路20−1〜20−Nを中心として説明する。なお、重み付け更新円滑化回路20−1〜20−Nは、他の第2〜第4の実施の形態にも同様に適用することができる。
【0088】
第1〜第4の実施の形態では、アレイ・アンテナのビーム指向性を高速に切り替えることができる。このビーム指向性を高速に切り替える際に、重み付け値の変更により特定の方向へシグナルデータが急に発生したり、またシグナルデータが急に遮断されたりすることになるから、特定の方向で観測されるシグナルデータの立ち上がり及び立ち下がりは急速に行われる。ここで、シグナルデータの持つ周波数帯域と比較して、立ち上がり時間、立ち下がり時間が極端に短いと、シグナルデータの持つ周波数帯域以上の周波数成分を持つ信号が発生し、特定方向(ビーム指向性の切り替え前後の方向)に対して、不要なスプリアス放射が発生する場合がある。
【0089】
そこで、第5〜第7の実施の形態では、ビーム指向性を形成する重み付けの変更に工夫を凝らして、高速に指向性を切り替えても、各々の方向に対してシグナルデータの立ち上がり及び立ち下がりを円滑に行うようにして、不要なスプリアス放射の発生を抑制する。また、ビーム指向性の切り替え前後の方向以外にシグナルデータを放射しないようにする。
【0090】
図7の第5の実施の形態における重み付け更新円滑化回路20−1〜20−Nは、指向性ビームの指向性を方向Iから方向Jに変更する時に、重み付け手段1−1〜1−Nへ供給する重み付け値を、シグナルデータの伝送に支障を来さない短時間内に滑らかに更新する。即ち、方向Iへビーム指向性を形成するための重み付け値Wt−Iを滑らかに減少させ、同時に方向Jへビーム指向性を形成するための重み付け値Wt−Jを滑らかに増加させる。
【0091】
図8は、重み付け更新円滑化回路の第1の具体例を示す図であり、代表してアレイ・アンテナ6−1に対応する重み付け更新円滑化回路20−1について示している。
【0092】
重み付け更新円滑化回路20−1は、2重ポートRAM2−1から供給される重み付け値を記憶する新重み付け値メモリ21と、新重み付け値メモリ21に記憶された重み付け値に係数αを乗じる乗算器22と、乗算器22からの入力と他の入力とを加算する加算器23と、加算器23の出力を記憶し、重み付け回路1−1へ出力する円滑化重み付け値メモリ24と、円滑化重み付け値メモリ24の出力を所定時間ΔTだけ遅延する遅延回路25と、遅延回路25の出力に係数(1−α)を乗じ加算器23に他入力として供給する乗算器26とを備えている。係数αは、0以上で1以下である。この係数αは、複素数でも良く、この場合には絶対値が0以上で1以下である。
【0093】
また、α決定器27は、係数αを任意の値に設定したり、あるいは、係数αを重み付け値の更新の動作に伴い時間の経過につれて異なる値に設定する場合に用いられる。なお、円滑化重み付け値メモリ24は、重み付け回路1−1に重み付け値を記憶しておくバッファメモリを有している場合には、そのバッファメモリを利用することができる。また、新重み付け値メモリ21は、2重ポートRAM2−1のポートP2側に重み付け値を記憶しておくバッファメモリを有している場合には、そのバッファメモリを利用することができる。また、遅延回路25は、加算器23,円滑化重み付け値メモリ24,乗算器26で構成される閉ループの時定数を調整するものであるから、その閉ループの状態によっては不要とすることもできる。
【0094】
図8の重み付け更新円滑化回路20−1の動作を、図9の波形図を参照して、ビーム指向性を方向Iから方向Jに変更する場合の、重み付け値の更新について説明する。なお、図9では重み付け値Wt−I、Wt−Jは正規化して示している。
【0095】
さて、更新前の状態では、新重み付け値メモリ21及び円滑化重み付け値メモリ24には方向I用の重み付け値Wt−Iが記憶されており、したがって、重み付け回路1−1には重み付け値Wt−Iが供給されている。
【0096】
時点t1で更新動作が開始されると、シグナルデータは方向Iの移動局に向けた内容SIから方向Jの移動局に向けた内容SJに変更され、これと同期して新重み付け値メモリ21には2重ポートRAM2−1から方向J用の重み付け値Wt−Jが記憶される。一方、円滑化重み付け値メモリ24には方向I用の重み付け値Wt−Iが記憶されている。
【0097】
このとき、重み付け値Wt−Jと係数αとが乗算器22で乗算された値α・Wt−Jと、重み付け値Wt−Iと係数(1−α)とが乗算器26で乗算された値(1−α)・Wt−Iとが、加算器23で加算され、円滑化重み付けメモリ24に記憶される。
【0098】
したがって、円滑化重み付け値メモリ24の重み付け値は、(1−α)・Wt−I+α・Wt−J、に変化し、重み付け値{(1−α)・Wt−I+α・Wt−J}がシグナルデータに乗じられる。N個のアンテナエレメント全てにおいて、重み付け回路が線形回路であることから、方向Iに強度が(1−α)倍されて送信され、方向Jに強度がα倍されて送信される。次の処理ステップでは、円滑化重み付け値メモリ24の重み付け値は、(1−α)2・Wt−I+α((1−α)+1)・Wt−J、に変化し、重み付け値{(1−α)2・Wt−I+α((1−α)+1)・Wt−J}がシグナルデータに乗じられる。
【0099】
このような処理ステップが繰り返されて、円滑化重み付け値メモリ24の重み付け値は、重み付け値Wt−Iの成分が0に向かって収束し、重み付け値Wt−Jの成分が1に向かって収束していく。
【0100】
この更新における重み付け値Wt−I、Wt−Jの変化が、図9に例示的に実線で表示されている。更新動作の開始される時点t1において、重み付け値Wt−I及びWt−Jは、係数α分だけ減少及び増加し、その後時間とともに順次減少及び増加し、時点t2でほぼ0及び1に収束して、更新動作が終了する。更新後は重み付け値Wt−Jのみになる。
【0101】
この重み付け値の収束の過程において、シグナルデータに乗じられる重み付け値には、方向Iと方向J以外の方向に送信される重み付け値を含んでいないので、シグナルデータは、方向Iと方向Jのみに送信され、それ以外の方向には全く送信されない。
【0102】
この重み付け値の収束に要する時間t1−t2は係数αの値により決まるから、係数αがある程度大きければ、シグナルデータの伝送されるべき方向の変更時間間隔以内で更新後の重み付け値Wt−Jに収束する。
【0103】
さらに、α決定器27を設けて、シグナルデータの伝送されるべき方向の変更と同期して発生されるタイミングパルスTP及びリセットパルスRPの到来に応じて、係数αを変化させるようにしても良い。
【0104】
例えば、係数αが固定値で大きい場合には、重み付け値の収束に要する時間t1−t2は短くなるが、時点t1での重み付け値Wt−I、Wt−Jの変化が大きくなり、スプリアス成分が発生することも考えられる。このような事態を避けるために、時点t1では、係数αを0もしくは小さい値にし、その後係数αを大きくすることにより、図9中に破線で示すように、重み付け値Wt−I、Wt−Jの変化を小さい値から滑らかに変化させることができる。このように、重み付け値の更新の動作に伴い、時間の経過につれて係数αを、異なる値に設定することが好適である。
【0105】
図10は、重み付け更新円滑化回路の第2の具体例を示す図であり、代表してアレイ・アンテナ6−1に対応する重み付け更新円滑化回路20A−1について示している。
【0106】
重み付け更新円滑化回路20A−1は、2重ポートRAM2−1から供給される新重み付け値を記憶する新重み付け値メモリ31と、新重み付け値メモリ31に記憶されていた旧重み付け値を記憶する旧重み付け値メモリ32と、新重み付け値メモリ31に記憶された新重み付け値に係数βを乗じる乗算器33と、旧重み付け値メモリ32に記憶された旧重み付け値に係数(1−β)を乗じる乗算器34と、乗算器33からの入力と乗算器34からの入力とを加算する加算器35と、加算器35の出力を記憶し、重み付け回路1−1へ出力する円滑化重み付け値メモリ36と、係数βを重み付け値の更新の動作に伴い時間の経過につれて異なる値に設定するβ決定器37を備えている。係数βは、0以上で1以下である。また、この係数βは、複素数でも良く、この場合には絶対値が0以上で1以下である。β決定器37からの係数βは、シグナルデータの伝送されるべき方向の変更と同期して発生されるタイミングパルスTP及びリセットパルスRPの到来に応じて発生が開始され、直線形または非線形に変化される。
【0107】
また、円滑化重み付け値メモリ36は、重み付け回路1−1に重み付け値を記憶しておくバッファメモリを有している場合には、そのバッファメモリを利用することができる。また、新重み付け値メモリ31は、2重ポートRAM2−1のポートP2側にバッファメモリを重み付け値を記憶しておくバッファメモリを有している場合には、そのバッファメモリを利用することができる。
【0108】
図10の重み付け更新円滑化回路20A−1の動作を、図11の波形図を参照して、ビーム指向性を方向Iから方向Jに変更する場合の、重み付け値の更新について説明する。なお、図11では重み付け値Wt−I、Wt−Jは正規化して示している。
【0109】
さて、更新動作前には、円滑化重み付け値メモリ36には方向I用の重み付け値Wt−Iが記憶されており、したがって、重み付け回路1−1には重み付け値Wt−Iが供給されている。更新動作の最初に旧重み付け値メモリ32に方向I用の重み付け値Wt−Iが新重み付け値メモリ31から送られて記憶され、引き続いて新重み付け値メモリ31には2重ポートRAM2−1から方向J用の重み付け値Wt−Jが記憶される。
【0110】
時点t1で更新動作が開始されると、シグナルデータは方向Iの移動局に向けた内容SIから方向Jの移動局に向けた内容SJに変更され、これと同期して係数βは最初に0に設定される。したがって、旧重み付け値メモリ32からの方向I用の重み付け値Wt−Iが加算器35から出力され、円滑化重み付け値メモリ36には方向I用の重み付け値Wt−Iが記憶される。この状態は、変更前と変わりない。
【0111】
その後、β決定器37からの係数βが0から徐々に大きくなり、加算器35から出力される重み付け値は、(1−β)・Wt−I+β・Wt−J、となる。この係数βの時間変化は、直線的でもあるいは曲線的でも良いが、いずれにしても、更新動作の開始される時点t1での0から、更新が終了する時点t2で1になるように変化する。
【0112】
なお、時点t1での係数βは、必ずしも0である必要はなく、任意の小さい値でも良い。また、更新動作中(時点t1−t2)において、係数βが0以下もしくは1以上になっても構わない。
【0113】
この更新における重み付け値Wt−I、Wt−Jの変化が、図9に例示的に表示されている。更新動作の開始される時点t1において、旧重み付け値Wt−Iはそれ以前と変化なく、一方、新重み付け値Wt−Jは、0である。その後、時間とともに係数βを非直線的に、旧、新重み付け値Wt−I、Wt−Jの変化が速やかに行われ、かつ、その変化の時間微分が小さい値になるように、順次大きくする。時点t2で係数βが1に設定されることにより、旧、新重み付け値Wt−I、Wt−Jは0及び1になり、更新動作が終了する。
【0114】
この重み付け値の更新の過程において、シグナルデータに乗じられる重み付け値には、方向I及と方向J以外の方向に送信される重み付け値を含んでいないので、シグナルデータは、方向I及と方向Jのみに送信され、それ以外の方向には全く送信されない。また、係数βを滑らかに変更するから、重み付け値Wt−I、Wt−Jの変化も滑らかとなり、スプリアス成分を著しく減少させることができる。
【0115】
また、図10の重み付け更新円滑化回路20−1及び図10の重み付け更新円滑化回路20A−1において、重み付け値の更新動作の開始時点t1を、シグナルデータの変更(例えば、SIからSJへの変更)時点に若干先行させるようにしても良い。この場合には、重み付けデータの更新動作中t1−t2の間に、シグナルデータが例えばSIからSJに変更されることになる。これにより、更新動作に要する時間t1−t2によって、シグナルデータの伝送に影響が生じるような場合にも、その影響度を低くすることができる。
【0116】
【発明の効果】
本発明によれば、アレイ・アンテナからの送信ビームを、そのビーム指向性を決定する重み付け値を変更する時間を実質的に不要として、そのビーム指向性を高速に切り替えできる。したがって、高速伝送移動通信システムの基地局として用いて、基地局から多数の移動局に対する下り回線で、ビームの高速切換により各々の移動局との通信を時分割で維持することができる。
【0117】
また、同時に複数M(Mは2以上)の指向性ビームを形成して、各指向性ビームをそれぞれ高速に切り替えることにより、更に多数の移動局との通信を時分割にて行うことができる。
【0118】
また、ビーム形成のための重み付け値を記憶する記憶手段として、2重ポートメモリを用いることにより、重み付け値の読み出しと書き込みとが相互に独立して行えるから、ビーム指向性の変更を考慮することなく、ビームの高速切換を継続することができる。
【0119】
また、重み付け値記憶手段はそれぞれ、共通に供給されるタイミングパルスをカウントしそのカウント値により読み出しアドレスが順次決定され、リセットパルスによりリセットされるから、指向性ビームは、順次時分割に繰り返し所要の方向に指向される。この制御のための信号線は、タイミングパルス用とリセットパルス用のみで済むから、構成が簡易である。
【0120】
また、重み付け値記憶手段のそれぞれにバッファを設け、1つの指向性ビームを形成するための重み付け値が前記各バッファに蓄積された後に、当該重み付け値を各バッファから各重み付け値記憶手段に書き込むことにより、N個のウエイトが書き変わる途中でのデータに基づくデータ送信を行うことがない。
【0121】
さらに、本発明によれば、アレイ・アンテナからの指向性ビームの指向性をある方向Iから他の方向Jに変更する場合に、ある方向I及び他の方向Jでの信号の立ち下がり及び立ち上がりが円滑に行われるから、信号の急変によるスプリアスの発生を抑制することができる。
【0122】
また、全てのアンテナエレメントで指向性変更前後の重み付けの同一線形和が用いられるため、指向性変更を円滑に行っても指向性変更前後の方向以外の方向にビームが形成されることがない。したがって、指向性変更前後の方向以外の方向に、指向性切り替えに伴う影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムの構成図。
【図2】図1のコントローラの内部構成の例を示す図。
【図3】図1のアレイ・アンテナシステムの動作タイミングを示す図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムの構成図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムの構成図。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムの構成図。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムの構成図。
【図8】本発明の第6の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムの構成図。
【図9】図8の説明のための波形図。
【図10】本発明の第7の実施の形態に係るアレイ・アンテナシステムの構成図。
【図11】図10の説明のための波形図。
【符号の説明】
1−1〜1−N、1−1A〜1−NA 重み付け回路
2−1〜2−N、2−1A〜2−NA 2重ポートRAM
P1、P2 RAMのポート
3−1〜3−N D/A変換器
4−1〜4−N 変調器
5−1〜5−N 送受切替器
6−1〜6−N アンテナエレメント
7−1〜7−N カウンタ
8−1〜8−N バッファ
9−1〜9−N 加算器
10 コントローラ
11 送信情報管理部
12 クロック発生部
13 タイミングパルス生成部
14 シグナル選択部
BUS−S シグナルバス
BUS−WA ウエイトアドレスバス
BUS−WT ウエイトデータバス
BUS−WA/R 読み出しアドレスバス
W−TP タイミングパルス線
W−RP リセットパルス線
20−1〜20−N、20A−1〜20A−N 重み付け更新円滑化回路
21、31 新重み付け値メモリ
22、26、33、34 乗算器
23、35 加算器
24、36 円滑化重み付け値メモリ
25 遅延回路
27 α決定器
32 旧重み付け値メモリ
37 β決定器
Claims (10)
- 複数Nのアンテナエレメントを持つアレイ・アンテナを用いて指向性ビームを形成し、そのビームの指向性を切り替えて、前記アレイ・アンテナからの送信信号を時分割で複数Jの方向に送信するアレイ・アンテナシステムにおいて、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、シグナルバスにより供給されるシグナルデータに、指向性ビームの指向性を決定するための重み付け値により重み付けを行って、前記対応するアンテナエレメントに送信信号として供給するための、重み付け手段と、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、前記重み付け手段に供給する重み付け値を指向性ビーム用に記憶するとともに、それぞれ2重ポートメモリであり、その一方のポートは重み用アドレスバス及び重み用データバスに接続されて複数Jの方向各々に対応付けられるアドレス(以後、同一アドレス、という)に指向性ビームを形成する重み付け値が記憶され、その他方のポートは共通の読み出しアドレス信号が供給されて同一アドレスの重み付け値が読み出される、重み付け値記憶手段とを備え、
前記複数Nのアンテナエレメントにそれぞれ設けられている、前記重み付け値記憶手段の同一アドレスそれぞれに1つの指向性ビームを形成するための重み付け値が記憶されるとともに、前記シグナルバスにより供給されるシグナルデータの伝送されるべき方向の変更と同期して、前記重み付け値記憶手段の対応するアドレスに記憶されている重み付け値を読み出すことにより、前記シグナルデータを所定の方向に伝送し、
前記重み付け値記憶手段への重み付け値の書き込みと前記重み付け値記憶手段からの重み付け値の読み出しとを互いに独立して行う
ことを特徴とするアレイ・アンテナシステム。 - 複数Nのアンテナエレメントを持つアレイ・アンテナを用いて同時に第1ないし第M指向性ビームを形成し、各ビームの指向性を切り替えて、前記アレイ・アンテナからの送信信号を同時に複数Mの方向にかつ時分割で複数Jの方向に送信するアレイ・アンテナシステムにおいて、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、第1ないし第Mのシグナルバスにより供給されるシグナルデータに、第1ないし第M指向性ビームの指向性を決定するための重み付け値により重み付けを行って出力する、複数Mの重み付け手段と、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、前記複数Mの重み付け手段からの重み付けされたシグナルデータを加算し、前記対応するアンテナエレメントに送信信号として供給するための加算手段と、
前記複数Nのアンテナエレメントに対応して設けられ、前記複数Mの重み付け手段に供給する重み付け値を第1ないし第M指向性ビーム用に記憶するとともに、それぞれ2重ポートメモリであり、その一方のポートは重み用アドレスバス及び重み用データバスに接続されて複数Jの方向各々に対応付けられるアドレス(以後、同一アドレス、という)に指向性ビームを形成する重み付け値が記憶され、その他方のポートは共通の読み出しアドレス信号が供給されて同一アドレスの重み付け値が読み出される、複数Mの重み付け値記憶手段とを備え、
前記複数Nのアンテナエレメントにそれぞれ設けられている、第1ないし第M指向性ビーム用の前記重み付け値記憶手段の同一アドレスそれぞれに各1つの指向性ビームを形成するための重み付け値が記憶されるとともに、前記第1ないし第Mのシグナルバスにより供給される各シグナルデータの伝送されるべき方向の変更と同期して、前記第1ないし第M指向性ビーム用の前記重み付け値記憶手段の対応するアドレスに記憶されている重み付け値を読み出すことにより、前記各シグナルデータをそれぞれ所定の方向に伝送し、
前記重み付け値記憶手段への重み付け値の書き込みと前記重み付け値記憶手段からの重み付け値の読み出しとを互いに独立して行う
ことを特徴とするアレイ・アンテナシステム。 - 前記重み付け値記憶手段はそれぞれ、共通に供給されるタイミングパルス及びリセットパルスを受け、そのタイミングパルスをカウントしそのリセットパルスによりリセットされるカウンタをそれぞれ設け、前記共通の読み出しアドレス信号として、前記カウンタのカウント値を用いることを特徴とする、請求項1または2に記載のアレイ・アンテナシステム。
- 前記重み付け値記憶手段のそれぞれにバッファを設け、1つの指向性ビームを形成するための重み付け値が前記各バッファに蓄積された後に、当該重み付け値を各バッファから各重み付け値記憶手段に書き込むことを特徴とする、請求項1ないし3に記載のアレイ・アンテナシステム。
- 前記複数Nのアンテナエレメントに対応して前記重み付け値記憶手段と前記重み付け手段との間に設けられており、前記重み付け手段へ供給する重み付け値の更新をその変更前の重み付け値から変更後の重み付け値に滑らかに行う、重み付け更新円滑化手段を備え、
重み付け値の更新に対応して、送信されるシグナルデータは、ある方向に向けて送信されているシグナルデータから、他の方向に向けて送信される異なるシグナルデータへ滑らかに変更されることを特徴とする、請求項1ないし4に記載のアレイ・アンテナシステム。 - 前記重み付け更新円滑化手段は、
第1係数を乗じた値と、前記変更前の重み付け値を最初の円滑化重み付け値としこの円滑化重み付け値に第2係数を乗じた値とを加算し、その加算値を新たな円滑化重み付け値とする円滑化処理を繰り返し行うとともに、
各時点の円滑化重み付け値を前記重み付け手段に供給することを特徴とする、請求項5に記載のアレイ・アンテナシステム。 - 前記第1係数は0以上で1以下の係数αであり、前記第2係数は係数(1−α)であることを特徴とする、請求項6に記載のアレイ・アンテナシステム。
- 前記係数αは、前記重み付け値の更新の動作に伴い、時間の経過につれて異なる値に設定されることを特徴とする、請求項7に記載のアレイ・アンテナシステム。
- 前記重み付け更新円滑化手段は、
前記変更後の重み付け値に、前記重み付け値の更新の動作に伴い、時間の経過につれて異なる値に設定される第3係数を乗じた値と、
前記変更前の重み付け値に、前記重み付け値の更新の動作に伴い、時間の経過につれて異なる値に設定される第4係数を乗じた値とを加算し、
各時点における前記加算値を円滑化重み付け値として、前記重み付け手段に供給することを特徴とする、請求項5に記載のアレイ・アンテナシステム。 - 前記第3係数は0以上で1以下の係数βであり、前記第4係数は係数(1−β)であることを特徴とする、請求項9に記載のアレイ・アンテナシステム。
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