JP3805168B2 - 冷凍装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍装置に関するものであって、特に冷媒回路内に、残留冷凍機油、冷凍機油以外の油、水分、空気、磨耗金属粉、ゴミ等のコンタミ物質が存在する場合においても、電動膨張弁の作動不良を抑制することが可能な冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、減圧機構及び蒸発器を備えた冷媒回路に冷媒を循環させて、蒸発器で吸収した熱量を凝縮器へ移送して放出する冷凍サイクルを構成するものであり、上記減圧機構としては、冷媒流量が制御可能な電動膨張弁が従来から用いられている。この電動膨張弁について説明すると、図4において、30は本体ケーシングであり、上部ケーシング30aと下部ケーシング30bとから成っている。この下部ケーシング30b内には、図における上下方向の軸上において、下部ケーシング30bの底面側に開口する第1冷媒流路21と、この第1冷媒流路21と略直角に交差して下部ケーシング30bの側面に開口する第2冷媒流路22とが形成されている。
【0003】
一方、上記第1冷媒流路21と略同軸上にはスライド孔20が設けられ、そしてこのスライド孔20は、ニードル23を上下に摺動自在に支持している。また上記上部ケーシング30aの内側面には、上記ニードル23の中心軸を回転中心として、磁石28が回転自在に設けられると共に、この磁石28にはスペーサ29及び雌ネジ26が一体的に設けられている。そして上記ニードル23は、バネ27によって上記スペーサ29に対して下向きに付勢されると共に、止メ金具23aによってその下方位置を規制されている。さらに同図において25で示される雄ネジは、外側面が上記雌ネジ26と螺合される一方、内側面は上記ニードル23を上下方向に摺動自在に支持するように構成され、下部ケーシング30bに下端側を固着して設けられている。
【0004】
上記構成の電動膨張弁では、その使用状態において、上部ケーシング30aの外周側を取り巻くようにしてコイル(図示せず)が配置される。そしてこのコイルと上記磁石28とを駆動源とするパルスモータが構成されて、一体的に設けられた磁石28、スペーサ29及び雌ネジ26が、その回転子39として機能する。ところで上記のように雌ネジ26と雄ネジ25とは互いに螺合して設けられているから、上記回転子39はその回転に伴って本体ケーシング30内を上下に移動する。そしてニードル23は上記回転子39を構成するスペーサ29に対してバネ27及び止メ金具23aによって位置規制されているので、コイルに投入されたパルスに応じて上記ニードル23が本体ケーシング30に対して上下に移動することになる。
【0005】
上記のように構成された電動膨張弁の弁室38においては、ニードル23が上下方向に移動することによって弁座14と弁部13との間隙の広さが変化し、これに従って冷媒通路37を通過する冷媒の流量が変化する。そしてこのような弁室38を備えることによって、第1冷媒流路21と第2冷媒流路22との間を流通する冷媒流量が調節可能な電動膨張弁が構成されている。そしてこのように構成された電動膨張弁を用いた冷媒装置では、圧縮機吐出温度(例えば、吐出管温度や凝縮温度等)に応じて減圧機構を制御できる冷凍サイクルを構成することが可能となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、圧縮機の摺動部では、厳しい条件下では金属接触が生じている。金属接触部は、200℃を越えるような高温となるため、冷凍機油や冷凍サイクル内に残存した残留冷凍機油、冷凍機油以外の油、水分、空気、磨耗金属粉、ゴミ等のコンタミ物質を劣化させ、高粘度のスッラジを発生させる。一方、HFC冷媒は、このようにして生じたスッラジとは溶け合わない。HFC液冷媒と溶け合わずに冷媒から分離したスッラジは、電動膨張弁のニードル23等の冷凍回路内の狭隘な冷媒回路に付着し易い。
【0007】
上記したように、電動膨張弁の内部には、ニードル23の他に、ニードル23を駆動するためのパルスモータ、回転運動をニードル23の直線運動に換えるためのネジ部25、26が組み込まれている。このニードル23やネジ部25、26に、高粘度のスッラジが付着すると、ニードル23の駆動が妨げられ、膨張弁による冷媒流量が制御不能となり、圧縮機の温度上昇による焼損や、液バックによる軸受け焼け等の故障が生じることになる。
【0008】
例えば、圧縮機起動後、高低圧の差圧が大きくなるに従い、冷凍回路内が均圧した状態からニードル23上流側の圧力が次第に上昇すると、膨張弁内部でも差圧が生じて、液冷媒がスライド孔20を通って、上部ケーシング30a内部に流れ込むことになる。上部ケーシング30a内部には、永久磁石28やそれを駆動するためのネジ部25、26が備えられている。スライド孔20から、一方の流れは均圧穴を通って、永久磁石28と上部ケーシング30aの間を通って、上部ケーシング30a上部の空間に流れ込む。またもう一方の流れは、スライド孔20からニードル23の軸方向上部に向かって流れ、反転して雄ネジ25と雌ネジ26の間を通って、一旦上部ケーシング30a下部に到達してから、永久磁石28と上部ケーシング30aの間を通って、上部ケーシング30a上部の空間に流れ込むことになる。圧縮機が停止して、ニードル23の上流部の圧力が低下してくると、上部ケーシング30a上部の高圧の液冷媒が、起動時と逆の流れを作って、ニードル23の上流に流れてくることになる。
【0009】
スライド孔20にコンタミ物質やスラッジが溜まると、高粘度のコンタミ物質がニードル23の駆動を妨げる。また、雄ネジ25と雌ネジ26の間にスッラジが溜まると、ネジ部25、26の摺動がスムーズに行なえなくなり、ニードル23の駆動が妨げられる。また、永久磁石28と上部ケーシング30aとのギャップにコンタミ物質が溜まっても、ニードル23の駆動が妨げられることとなる。これらスライド孔20、ネジ部25、26、永久磁石28と上部ケーシング30aの間のギャップを通過する冷媒流量や頻度が多ければ多いほど、付着するコンタミ物質量が多くなり、ニードル23の駆動が妨げられることとなる。この結果、圧縮機での異常な液圧縮や過熱が生じることとなる。
【0010】
この発明は上記した従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、冷媒回路内に、残留冷凍機油、冷凍機油以外の油、水分、空気、磨耗金属粉、ゴミ等のコンタミ物質が存在する場合においても、このコンタミ物質に起因する電動膨張弁の作動不良を抑制することが可能な冷凍装置及び冷媒制御方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで請求項1の冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、電動膨張弁、蒸発器を有する冷凍装置において、電動膨張弁の開度を、コンタミ物質に起因する作動不良が生じたときの運転制御開度から、通常の運転制御時の一回の制御開度変化量よりも大きな開度変化量でもって、周期的に増減させるコンタミ除去運転モードを備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項1の冷凍装置においては、電動膨張弁の開度を大きく変化させていることから、比較的大きな圧力変動が生じる。そしてこのときの圧力変動に起因して生じるドライビングフォースにより、付着しているコンタミ物質を剥がして除去することができる。
【0013】
また請求項2の冷凍装置は、コンタミ除去運転モードにおける電動膨張弁の開度変化量は、全開開度に対して、3%〜25%の範囲内であることを特徴としている。
【0014】
請求項3の冷凍装置は、コンタミ除去運転モードにおける電動膨張弁の開度は、コンタミ物質に起因する作動不良が生じたときの運転制御開度よりも開度が小さくなるように変化させることを特徴としている。
【0015】
上記請求項2又は請求項3の冷凍装置によれば、付着しているコンタミ物質を確実に剥がして除去することができるし、またその実施に好適である。
【0016】
請求項4の冷凍装置は、上記において使用する冷媒は、HFC系冷媒であることを特徴としている。
【0017】
請求項5の冷凍装置は、上記HFC系冷媒は、R410A、R407C、R134a、R32、R32を50重量%以上含んだ混合冷媒のいずれかであることを特徴としている。
【0018】
請求項6の冷凍装置は、上記において使用する冷凍機油は、合成油であることを特徴としている。
【0019】
請求項7の冷凍装置は、冷凍機油は、エーテル系油、エステル系油、アルキルベンゼン系油、ポリアルキレングリコール(PAG)系油のいずれか、又はこれらの内の2種以上の混合油であることを特徴としている。
【0020】
上記請求項4〜請求項7の冷凍装置によれば、コンタミ除去運転モードを設ける効果が一段と顕著に現れる。特に、HFC系冷媒は、大きな圧力変化が生じても、圧縮機の吐出温度、凝縮温度、蒸発温度等の温度変化が大きくならない性質を有しているので、上記コンタミ除去運転モードの実施に好適である。
【0021】
請求項8の冷凍装置は、コンタミ除去運転モードにおける電動膨張弁の開度変化は、3〜12分間隔で行なうことを特徴としている。
【0022】
請求項9の冷凍装置は、コンタミ除去運転モードは、所定時間、例えば30分〜120分間(請求項10)だけ継続することを特徴としている。
【0023】
上記請求項8〜請求項10の冷凍装置によれば、付着しているコンタミ物質を確実に剥がして除去することができるし、またその実施に好適である。
【0024】
請求項11の冷凍装置は、既設連絡配管を使用するか否か等の冷凍装置の設置状況に応じて、上記コンタミ除去運転モードの実行の要否、実行時期、実行頻度等を定めるモード設定手段を設けたことを特徴としている。
【0025】
請求項11の冷凍装置によれば、コンタミ除去運転を行なったり、その実施を省略したり、あるいは設置直後の段階にコンタミ除去運転を行なうというように、冷凍装置の設置状況に応じて、コンタミ除去運転を制御できるので、使用上の利便性が向上する。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の冷凍装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
まず、この発明の実施の形態において、最も効果が得られるのは、既設の空気調和機を撤去して、新たな空気調和機を設置する場合に、ビル、マンション等の壁面に埋設された既設連絡配管を再利用するような場合である。すなわち、このような場合には、既設連絡配管内にコンタミ物質として既設空気調和機の冷凍機油が残留していることが多く、この残留冷凍機油が、新たな空気調和機に対して、冷凍機油以外の油、水分、空気、磨耗金属粉、ゴミ等と共にコンタミ物質として悪影響を及ぼす可能性が大いにあるためである。このような悪影響は、新たに設置される空気調和機が、冷媒としてHFC系冷媒を使用し、また冷凍機油として合成油を使用する場合に生じ易いのである。以下、このような場合を想定して実施の形態について説明する。
【0028】
空気調和機においては、図1に示すように、圧縮機1の吐出側と吸込側とを四路切換弁2の1次ポートに接続すると共に、四路切換弁2の2次ポートに室外熱交換器3、電動膨張弁4、室内熱交換器5を順に接続して冷媒回路が構成さている。なお、図1において、7、8は室外機10と室内機11とを接続する連絡配管であり、マンション、ビル等においては、通常は壁面内に埋設されている。
【0029】
図1に示す既設の空気調和機の冷媒及び油回収運転を行なうが、この冷媒及び油回収運転に際しては、最初に四路切換弁2を暖房運転モードに切換え、暖房運転(配管加熱運転)を行なう。この暖房運転は、約10分〜20分間行なう。暖房運転を開始すると、凝縮器として機能する室内熱交換器5及びその周辺の連絡配管7、8の温度が次第に上昇する。そして、室内熱交換器5の温度が30°C以上になった状態を10分間以上確保して暖房運転を終了する。このように室内熱交換器5の温度が30°C以上になった状態は、冷媒回路内の冷凍機油、及びその他のコンタミ物質が冷媒と溶解する温度以上に冷媒を昇温させた状態である。そしてこの暖房運転の終了後、冷媒温度が低下しない内に、例えば30分以内のできるだけ早い時期に、冷媒及び油回収運転を開始する。すなわち、四路切換弁2を冷房運転モードに切換えると共に、液閉鎖弁6を閉鎖した状態で冷房運転を行い、冷媒を室外熱交換器3に回収する。この冷媒及び油回収運転は、公知のポンプダウン運転と同様なものであり、約1〜20分間行なう。
【0030】
上記の冷凍装置によれば、冷媒回路内の冷凍機油やコンタミ物質が冷媒と溶解する温度以上に冷媒を昇温させた状態で冷媒及び油回収運転を行なうので、残された冷媒配管、特に連絡配管7、8内の清浄度を確保することができる。従って、上記のように既設の空気調和機の冷媒及び油回収運転を行なった後、新たな空気調和機を設置する場合にも、従来のように既設連絡配管7、8内の洗浄を行なう必要がなくなり、この既設連絡配管7、8をそのまま新たな空気調和機のための連絡配管として利用でき、そのため新たな空気調和機の設置コストを大幅に低減することが可能となる。
【0031】
上記方法による冷媒及び油回収運転のなされる既設の空気調和機においては、通常は冷媒として、ルームエアコンやパッケージエアコンの場合にはR22、低温用エアコンの場合にはR502、大型チラータイプのエアコンの場合にはR12やR22が使用され、また冷凍機油としては、鉱油(スニソ油、アルキルベンゼン油、これらの混合油)が使用される。その一方、新たに設置される空気調和機においては、ルームエアコンやパッケージエアコンの場合にはR410A、R407C、R32、R32を少なくとも50wt%(あるいは60wt%)以上含む混合冷媒、低温用エアコンの場合にはR404A、大型チラータイプのエアコンの場合にはR134a、R404A、R407Cが使用され、また冷凍機油としては主として合成油(エーテル油、エステル油、アルキルベンゼン油、ポリアルキレングリコール(PAG)油、これらの2種又は3種の混合油、鉱油、鉱油と前記2種又は3種の混合油)が使用される。このようにHFC系冷媒を使用する場合には、この既設連絡配管内の残留コンタミ物質をできるだけ除去しておく必要があるので、上記した冷媒及び油回収運転方法を実施しておけば、電動膨張弁4で構成された減圧機構において、冷媒が蒸発した後のスラッジ等による詰まりが生じ易く、これによって冷凍サイクルに異常が発生するという問題の発生を抑制できる。すなわち、圧縮機1の吐出温度上昇による異常停止や、電動膨張弁4の作動不良による圧縮機1の故障を抑制することが可能となるのである。
【0032】
次に、新たに設置する空気調和機において、実施するコンタミ除去運転モードについて説明する。図2には、その制御フローチャートを、また図3には、その作動状態のタイミングチャートをそれぞれ示している。なお、図3は、電動膨張弁4の開度、高低圧差(差圧)、凝縮温度、吐出温度、圧縮機周波数の変化していく状態を時間の経過と共に示している。まず、図2に基づいて、図3と対比しながら、制御手順の概略について説明する。まず空気調和機の運転を開始すると、従来の制御ロジックに従った運転制御がなされる(ステップS1)。次に運転開始後、30分〜60分が経過すると(図3の t2 )、ステップS2において、現在の電動膨張弁4の開度が適正な開度であるか否かの判断をする。すなわち、従来の制御ロジックにおいては、運転開始後、外気温度、負荷(室内温度と設定温度との差)等に基づいてインバータ圧縮機1の基準周波数を設定し、この周波数に対して圧縮機1の吐出温度が一定になるような値として電動膨張弁4の開度が設定されるが、上記ステップS2においては、現在の開度P0 が上記のようにして与えられた設定開度の許容範囲内にあるか否かを判断するのである(図3の t2 〜 t3 )。現在の開度P0 が設定開度の許容範囲内にある場合には、ステップS3において、異常回数カウンタをN=0にして、ステップS1に移行する。ステップS2において、現在の開度P0 が設定開度の許容範囲内にない場合には(図3の t3 以降)、ステップS4において、異常回数カウンタに1を加算してステップS5に移行する。そして1回目の異常であれば、ステップS6において、コンタミ除去運転モードIでの運転を行い、この運転終了後、ステップS1へと移行する。このコンタミ除去運転については、後述するが、この運転によって電動膨張弁4の開度が設定開度の許容範囲内に戻れば、異常回数カウンタは0になるが(ステップS3)、そうでなければ、ステップS4において、N=2となり、ステップS5、7を経てステップS8へと移行する。このステップS8においてはコンタミ除去運転モードIIでの運転が行なわれ、その後、ステップS1へと戻ることになる。なおこのコンタミ除去運転モードIIについても後述する。そしてそれでも電動膨張弁4の開度が設定開度の許容範囲内に戻らなければ、ステップS4において、異常回数カウンタがN=3となり、ステップS5、7からステップS9へと移行し、アラーム表示がなされ、上記ステップS1へと戻ることになる。なお、ステップS9におけるアラーム表示と共に、インターネットにアラームを表示させる信号を送信する。
【0033】
上記ステップS2において、現在の開度P0 が設定開度の許容範囲内にない場合には、電動膨張弁4において、コンタミ物質に起因する作動不良が生じていると判断して、コンタミ除去運転モードIでの運転を行なう訳であるが、次にその内容について、図3に基づいて説明する。この運転においては基本的には、電動膨張弁4の開度を周期的に増減させる制御がなされる。すなわち、現在の開度P0 と、それよりも一定開度P1 だけ狭い開度(P0 −P1 )との間で開度を周期的に増減させるのである。この開度変化量P1 は、全開開度に対して、3%〜25%、好ましくは9%〜25%、さらに好ましくは17%〜25%の範囲内から適宜選択する。この開度変化量P1 は、通常の運転制御時の一回の開度変化量(開度制御量)よりもはるかに大きいものであり、そのため図3に示しているように、圧縮機1の吐出温度、凝縮温度、圧縮機1の高低圧差も比較的大きく脈動する。そして電動膨張弁4の開度の増減は、時間にして30分〜120分間だけ継続し、また増減回数としては10〜30回だけ行なう(図3の t3 〜 t5 )。なお、このとき圧縮機1の運転周波数は、通常運転時よりも低下させておく。
【0034】
上記コンタミ除去運転によれば、電動膨張弁4の弁部前後の冷媒流れは大きく変動する。すなわち開度が小さい場合、すなわち流量が少ない場合(P0 −P1)には、弁部前後の差圧が大きくなり、弁部からは、ガスに近い冷媒が高速で流出する。このとき高速で流出する冷媒のドライビングフォースでもって、弁部、及びその周辺に付着しているコンタミ物質を剥離させる。また、開度が大きくなると(P0 )、液に近い冷媒が低速で流出することになるが、上記剥離したコンタミ物質をこの液に近い冷媒に溶解させ、電動膨張弁4の外部へと排出するのである。そして上記のようにコンタミ物質(及び不純物)が除去されることから、電動膨張弁4の作動不良が解消され、通常の運転制御を行なうことが可能となる(図3の t5 以降)。
【0035】
上記コンタミ除去運転モードIIは、上記開度変化量P1 を約2倍にしたもので、より確実にコンタミ物質を除去するために設けられている運転モードである。なお、上記両コンタミ除去運転モードI、IIにおいて、その運転中には、圧縮機1の吐出温度が規制値を越えるような場合には、開度変化量P1 を減少させ、圧縮機1の吐出温度の異常上昇を抑制するのが好ましい。
【0036】
上記実施の形態においては、電動膨張弁4の開度を所定開度(P1 =全開開度の3%〜25%)だけ減少させているが、これは逆に増加させるような制御(P0 +P1 )としてもよい。また、現在の開度P0 を中心として、それから±1.5%〜12.5%(±P1 /2)の範囲内の特定量(例えば、±12.5%)だけだけ増減させる制御を行なってもよい。
【0037】
また、電動膨張弁4の開度そのものを制御対象とするのではなく、次のような特性値を制御対象とし、このような状態を得るべく電動膨張弁4の開度を変化させてもよい。すなわち、コンタミ除去運転モードにおける電動膨張弁4の開度を、圧縮比(ここに圧縮比とは、吐出圧力/吸入圧力の絶対圧力比で示す)が10%〜40%、好ましくは20%〜40%、さらに好ましくは30%〜40%の範囲内の特定量だけ変化するように変化させてもよい。また、凝縮温度が6°C〜10°C、好ましくは8°C〜10°C、さらに好ましくは10°Cの範囲内の特定量だけ変化するように、電動膨張弁4の開度を変化させてもよい。あるいは、圧縮機1の吐出温度が6°C〜10°C、好ましくは8°C〜10°C、さらに好ましくは10°Cの範囲内の特定量だけ変化するように、電動膨張弁4の開度を変化させてもよい。このような場合にも、電動膨張弁4の開度を現在の開度P0 から減少させる方向に制御したり、現在の開度P0 から増加させる方向に制御したり、あるいは現在の開度P0 から増減させる方向に制御できる。このような場合にも、上記と略同様の作用効果が得られる。
【0038】
上記実施の形態においては、既設連絡配管7、8を利用して新たな空気調和機を設置する場合について説明している。すなわち、設置の当初からコンタミ物質が存在しているとの前提に立脚している。そのため、図2のフローチャートに示す制御を運転開始直後から実行するようにしているが、既設連絡配管7、8を利用せず、全く新規な場所に空気調和機を設置するような場合には、設置して100〜500時間の運転を行なった後で、図2に示す制御を実行すればよい。このような事態を想定して、既設連絡配管7、8を使用する場合と使用しない場合との運転状態を切換えるためのモード設定手段を設けておくのが好ましい。具体的には、運転状態を切換えるために、切離可能なジャンパー線、切換スイッチ、リモコン選択等を設けておくのである。
【0039】
上記実施の形態においては、コンタミ除去運転モードにおいて、圧縮機1の運転周波数を低下させているが、コンタミ除去運転モードにおいて、圧縮機1の運転周波数を上昇させると共に、脈動させるのも有効である。すなわち、運転周波数の脈動による圧力変動によって、コンタミ物質(詰まり物、堆積物等)を除去するのである。
【0040】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば上記においては、既設の空気調和機がHCFC系の冷媒と鉱油とを使用したものであり、また新たに設置される空気調和機がHFC系の冷媒と合成油とを使用する場合に好適であるとの説明をしたが、既設の空気調和機がHFC系の冷媒と合成油とを使用したものであり、また新たに設置される空気調和機がHFC系の冷媒と合成油とを使用する場合にも好適である。なお既設、新設の両空気調和機がHCFC系の冷媒と鉱油とを使用したものである場合にも、その適用が可能である。もっとも、HFC系冷媒は、大きな圧力変化が生じても、圧縮機1の吐出温度、凝縮温度、蒸発温度等の温度変化が大きくならない性質を有しているので、上記コンタミ除去運転モードの実施に好適である。また、上記における開度変化量、圧縮比、凝縮温度、吐出温度に関する数値は測定誤差を含まない実質的な数値であって、例えば、サーミスタにおいては±2°C程度の誤差のあるような場合があるが、このような場合にはこの誤差を含まない数値であると理解されたい。
【0041】
【発明の効果】
請求項1の冷凍装置によれば、電動膨張弁の開度を大きく変化させていることから、比較的大きな圧力変動が生じ、そしてこのときの圧力変動に起因して生じるドライビングフォースにより、付着しているコンタミ物質を剥がして除去することができる。従って、冷媒回路内に、残留冷凍機油、冷凍機油以外の油、水分、空気、磨耗金属粉、ゴミ等のコンタミ物質が存在する場合においても、このコンタミ物質に起因する電動膨張弁の作動不良を抑制することが可能となる。
【0042】
請求項2又は請求項3の冷凍装置によれば、付着しているコンタミ物質を確実に剥がして除去することができるし、またその実施に好適である。従って、コンタミ物質に起因する電動膨張弁の作動不良を確実に抑制することが可能となる。
【0043】
請求項4〜請求項7の冷凍装置によれば、コンタミ除去運転モードを設ける効果が一段と顕著に現れる。特に、HFC系冷媒は、大きな圧力変化が生じても、圧縮機の吐出温度、凝縮温度、蒸発温度等の温度変化が大きくならない性質を有しているので、上記コンタミ除去運転モードの実施に好適である。
【0044】
請求項8〜請求項10の冷凍装置によれば、付着しているコンタミ物質を確実に剥がして除去することができるし、またその実施に好適である。従って、コンタミ物質に起因する電動膨張弁の作動不良を確実に抑制することが可能となる。
【0045】
請求項11の冷凍装置によれば、コンタミ除去運転を行なったり、その実施を省略したり、あるいは設置直後の段階にコンタミ除去運転を行なうというように、冷凍装置の設置状況に応じて、コンタミ除去運転を制御できるので、使用上の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の冷凍装置を説明するための空気調和機の冷媒回路図である。
【図2】上記空気調和機における運転状態を説明するためのフローチャートである。
【図3】上記空気調和機における運転状態を説明するためのタイムチャートである。
【図4】電動膨張弁を説明するための図で、(a)は断面図、(b)は弁部近傍の拡大断面図
である。
【符号の説明】
1 圧縮機
3 室外熱交換器
4 電動膨張弁
5 室内熱交換器
6 液閉鎖弁
7 連絡配管(既設連絡配管)
8 連絡配管(既設連絡配管)
Claims (11)
- 圧縮機、凝縮器、電動膨張弁、蒸発器を有する冷凍装置において、電動膨張弁の開度を、コンタミ物質に起因する作動不良が生じたときの運転制御開度から、通常の運転制御時の一回の制御開度変化量よりも大きな開度変化量でもって、周期的に増減させるコンタミ除去運転モードを備えたことを特徴とする冷凍装置。
- 上記コンタミ除去運転モードにおける電動膨張弁の開度変化量は、全開開度に対して、3%〜25%の範囲内であることを特徴とする請求項1の冷凍装置。
- 上記コンタミ除去運転モードにおける電動膨張弁の開度は、コンタミ物質に起因する作動不良が生じたときの運転制御開度よりも開度が小さくなるように変化させることを特徴とする請求項1又は請求項2の冷凍装置。
- 上記において使用する冷媒は、HFC系冷媒であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの冷凍装置。
- 上記HFC系冷媒は、R410A、R407C、R134a、R32、R32を60重量%以上含んだ混合冷媒のいずれかであることを特徴とする請求項4の冷凍装置。
- 上記において使用する冷凍機油は、合成油であることを特徴とする請求項4又は請求項5の冷凍装置。
- 上記冷凍機油は、エーテル系油、エステル系油、アルキルベンゼン系油、ポリアルキレングリコール系油のいずれか、又はこれらの内の2種以上の混合油であることを特徴とする請求項6の冷凍装置。
- 上記コンタミ除去運転モードにおける電動膨張弁の開度変化は、3〜12分間隔で行なうことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかの冷凍装置。
- 上記コンタミ除去運転モードは、所定時間継続することを特徴とする請求項8の冷凍装置。
- 上記所定時間を、30分〜120分とすることを特徴とする請求項9の冷凍装置。
- 既設連絡配管を使用するか否か等の冷凍装置の設置状況に応じて、上記コンタミ除去運転モードの実行の要否、実行時期、実行頻度等を定めるモード設定手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかの冷凍装置。
Priority Applications (1)
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