JP3804727B2 - Egrクーラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気ガスを再循環して窒素酸化物の発生を低減させるEGR装置に付属されて再循環用排気ガスを冷却するEGRクーラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車等のエンジンの排気ガスの一部をエンジンに再循環して窒素酸化物の発生を低減させるEGR装置が知られているが、このようなEGR装置では、エンジンに再循環する排気ガスを冷却すると、該排気ガスの温度が下がり且つその容積が小さくなることによって、エンジンの出力を余り低下させずに燃焼温度を低下して効果的に窒素酸化物の発生を低減させることができる為、エンジンに排気ガスを再循環するラインの途中に、排気ガスを冷却するEGRクーラを装備したものがある。
【0003】
図2は前記EGRクーラの一例を示す断面図であって、図中1は円筒状に形成されたシェルを示し、該シェル1の軸心方向両端には、シェル1の端面を閉塞するようプレート2,2が固着されていて、該各プレート2,2には、多数のチューブ3の両端が貫通状態で固着されており、これら多数のチューブ3はシェル1の内部を軸心方向に延びている。
【0004】
そして、シェル1の一方の端部近傍には、外部から冷却水入口管4が取り付けられ、シェル1の他方の端部近傍には、外部から冷却水出口管5が取り付けられており、冷却水9が冷却水入口管4からシェル1の内部に供給されてチューブ3の外側を流れ、冷却水出口管5からシェル1の外部に排出されるようになっている。
【0005】
更に、各プレート2,2の反シェル1側には、椀状に形成されたボンネット6,6が前記各プレート2,2の端面を被包するように固着され、一方のボンネット6の中央には排気ガス入口7が、他方のボンネット6の中央には排気ガス出口8が夫々設けられており、エンジンの排気ガス10が排気ガス入口7から一方のボンネット6の内部に入り、多数のチューブ3を通る間に該チューブ3の外側を流れる冷却水9との熱交換により冷却された後に、他方のボンネット6の内部に排出されて排気ガス出口8からエンジンに再循環するようになっている。
【0006】
図3は従来のEGRクーラの固着箇所を示す部分的な拡大断面図であって、チューブ3は、シェル1の内部でプレート2に対しろう付け11aにより固着され、プレート2は、シェル1の内部でシェル1に対しろう付け11bにより固着され、ボンネット6は、ボンネット6の内部でプレート2に対しろう付け11cにより固着されている。
【0007】
これらのろう付け11a,11b,11cは、夫々の固着箇所にろう材を挟み込んで仮に組付けたEGRクーラ全体を炉の中に入れて加熱し、これによって、ろう材を溶かして固着させるようにした炉内ろう付けで行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような炉内ろう付けで固着を行った場合、ろう付け11a,11b,11cを施したEGRクーラを加熱炉から出して冷却する際に、EGRクーラの外部から順次内部に向かって徐々に温度低下していく為、シェル1が温度低下して収縮する状態になっても、内部のチューブ3は未だ高温で膨脹したままの状態になっていて、熱収縮の差からろう付け11a,11b,11cを施した箇所に応力がかかり、ろう付け11a,11b,11cが健全な固着状態にならない虞れがあり、ろう付け11a,11b,11cに固着不良が生じてしまった場合には、ろう付け11a,11b,11cの箇所の耐久性が低下して亀裂が生じ易くなり、万一、そこから冷却水9が漏れてしまうと、冷却水9がエンジン側へ導かれて重大なトラブルを招く虞れもある。
【0009】
ところが、従来のろう付け11a,11b,11cを施した箇所は、全てシェル1及びボンネット6で囲まれている構造の内部にある為、耐圧試験等により単純な気密性の検査は行えても、ろう付け11a,11b,11cを施した箇所の健全性の良否を確実に検査することが困難であった。
【0010】
本発明は、上述の実情に鑑みて成されたもので、固着箇所の健全性の良否を確実に検査し得るようにしたEGRクーラを提供することによって、EGRクーラの耐久性及び安全性を大幅に向上することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、円筒状に形成されたシェルと、該シェルの軸心方向両端にシェル端面を閉塞するよう固着されたプレートと、該プレートの反シェル側にプレート端面を被包するよう固着されたボンネットと、前記シェルの内部を軸心方向に延び且つその両端を前記各プレートに貫通固着されたチューブとを備え、前記シェルの内部に冷却水を給排し且つ前記チューブ内には一方のボンネット側から他方のボンネット側に向けエンジンの排気ガスを通して該排気ガスと前記冷却水とを熱交換するようにしたEGRクーラであって、前記プレートの外周部に前記シェルと略同径で且つ該シェルの軸心方向内側に向けて延びる環状裾部を形成し、該環状裾部の先端部を更にプレート半径方向外側に屈折して環状リブを形成し、該環状リブのシェル側端面における半径方向内側に環状の段差部を形成し、該段差部に前記シェルの端部を突き合せて該シェルの外部側から固着し、前記環状裾部の外周部に前記ボンネットの固定側端部を外嵌装着し且つ該固定側端部の先端を前記環状リブの反シェル側端面に突き合せて前記ボンネットの外部側から固着し、エンジン側へ冷却水が導かれることをなくすよう構成したことを特徴とするものである。
【0012】
このようにすれば、最初にチューブの両端を各プレートに貫通固着し、その固着箇所の健全性の良否を確実に検査した上で、環状リブのシェル側端面における半径方向内側に形成した段差部にシェルの端部を突き合せて該シェルの外部側から固着し、環状裾部の外周部にボンネットの固定側端部を外嵌装着し且つ該固定側端部の先端を前記環状リブの反シェル側端面に突き合せてボンネットの外部側から固着することが可能となり、しかも、プレートとシェルとの固着箇所、並びにプレートとボンネットとの固着箇所の良否の検査を外部から容易に行うことが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明を実施する形態の一例を示す部分的な拡大断面図であって、図3と同様の箇所を示している。
【0015】
本形態例においては、多数のチューブ3の両端を貫通固着している各プレート12,12の外周部にシェル1と略同径で且つ該シェル1の軸心方向内側に向けて延びる環状裾部13を形成し、この環状裾部13の先端部を更にプレート12半径方向外側に屈折して環状リブ14を形成するようにしており、特に図示する例では、この環状リブ14のシェル1側端面における半径方向内側に環状の段差部15を形成した構成としてある。
【0016】
そして、多数のチューブ3を覆う円筒状のシェル1の両端は、前記環状リブ14のシェル1側端面に形成した段差部15に嵌め込んで突き合せた状態としてあり、前記環状リブ14のシェル1側端面とシェル1の端部とが成す隅部に前記シェル1の外部側からろう付け又は溶接を施すことにより固着部16を形成するようにしてある。
【0017】
また、ボンネット6は、その固定側端部を前記環状裾部13の外周部に外嵌装着し、且つその固定側端部の先端を環状リブ14の反シェル1側端面に突き合せた状態としてあり、前記ボンネット6の固定側端部の先端と環状リブ14の反シェル1側端面との突き合せ部分に溶接を施すことにより固着部18を形成するようにしてある。
【0018】
このように構成された本形態例のEGRクーラを製作するに際しては、最初にチューブ3の両端をプレート12,12に貫通させ、チューブ3とプレート12とが成す隅部にろう付けを施すことにより固着部19を形成してチューブ3の端部をプレート12に貫通固着し、前記固着部19の健全性の良否を目視や超音波等による非破壊検査で確実に検査する。
【0019】
前記固着部19の検査が完了したら、前記環状リブ14のシェル1側端面に形成した段差部15にシェル1の端部を嵌め込んで該シェル1の外部側からろう付け又は溶接を施すことにより固着部16を形成してプレート12とシェル1とを固着し、続いて、ボンネット6の固定側端部を前記環状裾部13の外周部に外嵌装着し、その固定側端部の先端を環状リブ14の反シェル1側端面に突き合せてボンネット6の外部側から溶接を施すことにより固着部18を形成してプレート12とボンネット6とを固着する。
【0020】
これらの固着部16,18の部分は、シェル1及びボンネット6の外部側に形成される為、目視や超音波等による非破壊検査で容易に検査することが可能となる。
【0021】
従って、上記形態例によれば、プレート12とシェル1の固着、並びにプレート12とボンネット6との固着を行う前に、チューブ3の端部とプレート12との固着部19の健全性の良否を確実に検査することができ、しかも、プレート12とシェル1との固着部16、並びにプレート12とボンネット6との固着部18についても全ての組付けが完了後に外部から健全性の良否を確実に検査することができるので、EGRクーラの耐久性及び安全性を大幅に向上することができる。
【0022】
また、特にプレート12とシェル1との固着部16がシェル1の外部側に形成される構造となることによって、万一、固着部16に亀裂が生じて水漏れが生じた場合を想定しても、冷却水9(図2参照)はシェル1の外部にしか漏れ出ることがなくなり、エンジン側へ導かれてしまうことが確実に回避されるので、重大なエンジンのトラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【0023】
尚、本発明のEGRクーラは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0024】
【発明の効果】
上記した本発明のEGRクーラによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0025】
(I)プレートとシェルの固着、並びにプレートとボンネットとの固着を行う前に、チューブの端部とプレートとの固着箇所の健全性の良否を確実に検査することができ、しかも、プレートとシェルとの固着箇所、並びにプレートとボンネットとの固着箇所についても全ての組付けが完了後に外部から健全性の良否を確実に検査することができるので、EGRクーラの耐久性及び安全性を大幅に向上することができる。
【0026】
(II)特にプレートとシェルとの固着箇所がシェルの外部側に形成される構造となることによって、万一、プレートとシェルとの固着箇所に亀裂が生じて水漏れが生じた場合を想定しても、冷却水はシェルの外部にしか漏れ出ることがなくなり、エンジン側へ導かれてしまうことが確実に回避されるので、重大なエンジンのトラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す部分的な拡大断面図である。
【図2】従来のEGRクーラの一例を示す断面図である。
【図3】図2のEGRクーラの部分的な拡大断面図である。
【符号の説明】
1 シェル
3 チューブ
6 ボンネット
12 プレート
13 環状裾部
14 環状リブ
15 段差部
16 固着部(固着箇所)
18 固着部(固着箇所)
19 固着部(固着箇所)
Claims (1)
- 円筒状に形成されたシェルと、該シェルの軸心方向両端にシェル端面を閉塞するよう固着されたプレートと、該プレートの反シェル側にプレート端面を被包するよう固着されたボンネットと、前記シェルの内部を軸心方向に延び且つその両端を前記各プレートに貫通固着されたチューブとを備え、前記シェルの内部に冷却水を給排し且つ前記チューブ内には一方のボンネット側から他方のボンネット側に向けエンジンの排気ガスを通して該排気ガスと前記冷却水とを熱交換するようにしたEGRクーラであって、前記プレートの外周部に前記シェルと略同径で且つ該シェルの軸心方向内側に向けて延びる環状裾部を形成し、該環状裾部の先端部を更にプレート半径方向外側に屈折して環状リブを形成し、該環状リブのシェル側端面における半径方向内側に環状の段差部を形成し、該段差部に前記シェルの端部を突き合せて該シェルの外部側から固着し、前記環状裾部の外周部に前記ボンネットの固定側端部を外嵌装着し且つ該固定側端部の先端を前記環状リブの反シェル側端面に突き合せて前記ボンネットの外部側から固着し、エンジン側へ冷却水が導かれることをなくすよう構成したことを特徴とするEGRクーラ。
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