JP3803982B2 - 盗難防止システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、共振回路が組み込まれたタグを監視すべき物品に付設し、相対抗して配置された送受信アンテナ間を前記タグ付き物品が通過すると、送信アンテナから送出された電波を前記共振回路が受信して共振を起こすので、その共振回路から共振電波が再放射され、その共振電波を受信アンテナが受信することによって、タグ付き物品の通過を検知する盗難防止システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
前記盗難防止システムでは、例えば8.2MHZ 近辺の短波帯が利用されるが、この帯域内には、熱雑音、蛍光灯やOA機器からの電磁波、通信信号等がノイズとして混入しやすく、又送信アンテナから放射される電波が微弱なこともあって、共振電波の信号検知条件が極めて悪い。
ノイズの影響を少なくするには、電波の送信出力を増大したり、共振回路を大型化したり、或いは検知エリアを縮小するなど考えられるが、出力電波をむやみに増加することは許されないし、共振回路を大きくすればタグがそれだけ大型になって目立ち易くなるため好ましいことではない。
ましてや検知エリアの縮小は、検知エリアの拡大希望に逆行することとなり、実現させることが難かしい。
そこで従来において、例えば、特開昭61−118897号公報に記載の如く、スレッショルドレベルの設定を、ノイズレベルに対応して可変ならしめ、そのスレッショルドレベルを超えた波形のみを有効な検知信号とみなす技術や、特開昭63−126094号公報記載の如く、一つのタグに、共振周波数の異なる二種類の共振回路を組み込むと共に、送出する電波に掃引を掛け、掃引の一周期毎に4回の再放射電波を受信した場合を有効として検知信号を出力する技術が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前者の技術は、共振電波のレベルが低いと検知できないばかりか、電源投入時におけるパルス状の急峻な振幅変化を有するノイズを共振信号として誤認検知してしまうので、検知精度は決して高いとはいえないし、後者の技術は、一周期内に発生した単発の信号はノイズとして無視し、確実な再放射電波のみを検知するので検知精度を高くできるが、タグが二倍の大きさになってかさばり、目立ち易くなってしまう。
又、いずれの技術も、受信電波を共振信号の周波数に対応したバンドパスフィルタを通過させて波形の強調を図ってはいるものの、共振信号とノイズとを識別する機能がないため、例えば短波放送やCW妨害波に対しては、図7に例示するように、受信されたままの波形(図7のa)は勿論、バンドパスフィルタを通過させて不要な電波を除去した波形(図7のb)にしても、共振信号の波形かノイズなのかを判別することができず、依然として誤作動の原因が残されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、検知精度を向上させ、誤作動の可能性を極限にまで抑えた難防止システムであって、その構成は、送信アンテナから、所定周波数間を周期的に掃引させた一定振幅の信号を送出させ、受信アンテナが受信した信号から、予め基準信号として登録されている再放射電波のモデル波形の周期と略一致する信号を抽出し、その波形を所定値とを比較することにより物品の通過を認識する解析手段を設け、前記基準信号と一致する波形は、受信した信号の一定期間の波形をサンプリングし、そのサンプリングされた一定期間の波形のデータと登録されている基準信号とを、時間軸に対して夫々等ピッチで複数に分割し、前記基準信号の各ポイントにおける値と、それらのポイントに対応するデータとを個々に積算してそれらの和を算出し、その算出された値と所定値との比較により検出すること、及び、前記算出された値と所定値との比較は、基準信号をサンプリングされた一定期間の波形に対して1ポイントづつずらせて繰り返し実行した結果に対して一括して行なうことにある。
そして前記解析手段としては、受信した信号から帯域通過フィルタで帯域外のノイズを除去し、それをA/D変換してデジタル処理する技術を採用できる。
尚、ここで所定値とは、信号がタグから発せられた波形か否かを判別するための限界値をいい、一定期間とは、基準波形の期間(時間)をいう。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に係る盗難防止装置の実施一例を、図面に基づいて説明する。
図1は盗難防止装置のブロック図であり、1は送信用アンテナ、2は受信用アンテナで、いずれも中央部を一回クロスさせたループ式が採用させている。
送信アンテナ1には、第1のコンピュータ3にインプットされている周波数データに基づいて、DDS(デジタル・ダイレクト・シンセサイザ)4から出力された7.4〜8.9MHZ のHF帯を周期的に掃引させた一定振幅の信号が増幅部5及び整合回路6を介して入力され、電波が送出されるようになっている。
【0006】
一方受信アンテナ2は、前記送信アンテナから送出された電波に加え、各種ノイズとともに、送受信アンテナ間を通過したタグ7に内蔵されている共振回路7aから再放射された電波を受信する。
受信された信号は、図2に例示したフローチャートに従って処理される。
受信信号は、先ずS1にて、整合回路8、増幅部9を介して検波部10に送られ、その検波部10で、前記送信アンテナ1に入力された信号を利用して同期検波が行なわれる。
続くS2では、フィルタ部11(実施例では帯域通過フィルタを用いているが、その他ローパスフィルタ、ハイパスフィルタを使用してもかまわない)を通過させることにより、再放射電波(送信アンテナの電波を受けてタグから発せられた電波)の帯域に含まれない信号を除去した後、A/D変換部12でデジタル信号に変換されると共に、S3で一定期間毎の波形をサンプリングしてメモリに格納し、S4以降のステップで、その格納された波形のデータを一つづつ順に読み出して解析手段としての解析処理部13へと送り、その解析処理部13において解析処理される。
前記解析処理部13を構成する演算部15には、予めタグ7に内蔵されている共振回路7aから再放射される共振信号のモデル波形としての基準信号が記憶されたメモリ回路15aが付属されており、解析処理部13で、前記受信アンテナ2が受信した信号の中から、予め基準信号として登録されている再放射電波のモデル波形と略一致する波形が抽出され、その波形が所定値と比較される。
【0007】
前記解析処理について詳しく説明すると、基準信号に略一致した波形の抽出及びその波形と所定値との比較は、S4により、演算部15において前記基準信号のデータとサンプリングされた一定期間の波形のデータ(図3のa)を、時間軸に対して1181ポイントに等分し、各ポイントの値を拾って記憶させる(図3のb)と共に、図示は省略するが、前記登録されている基準信号の1〜80の各ポイントにおける値と、それらのポイントに対応するデータにおける1〜80の各ポイントの値とを個々に積算してそれらの和を算出した結果(図4)がメモりされ、続いて基準信号を、サンプリングした一定期間のデータに対して1ポイントずらし、前記と同様に積和演算を実行し(図5のa)、更に1ポイントずらせて同様に積和演算を実行し(図5のb)、これを1101回繰り返し、各結果がメモリされる。
1101回の組み合わせに対する演算処理が終了したことをS5にて確認すると、S6により、前記メモリされている結果が一括して読み出され、検出部16において、任意に決定された所定値Lと前記演算結果の値とを比較して、算出値が所定値Lより大きい波形を検出する(図6)。
【0008】
所定値より大きい算出値の波形が検出された場合は、前記送受信アンテナ間にタグが存在すると判断され、S7にて、第2のコンピュータ14を介して報知手段17を作動させる。
算出値が所定値より大きい波形が検出されなかった場合は、S8において、サンプリングされた別の受信データが読み出され、データ更新後、前記S4以降の解析処理が1101回繰り返し実行される。
尚、基準信号を、サンプリングした一周期のデータに対して1ポイントづらせて積和演算する毎に所定値と比較することもできる。
前記第1のコンピュータ3からは、第2のコンピュータ14及び演算部15に対してトリガ信号が出力されるようになっており、又前記報知手段としては、ランプの点滅、ベルやブザーによる警報、その他ドアロック等が候補として挙げられる。
【0009】
このように、解析手段において、基準信号の各ポイントにおける値と、それらのポイントに対応するサンプリングデータにおける各ポイントの値とを個々に積算してそれらの和を算出することにより、基準信号に合致した共振信号のみが強調され、その強調された波形の検出によってタグの有無が判別されるから、S/N比が悪くても、ノイズ成分が抑制されて検知精度は飛躍的に向上し、誤認の虞れはなくなる。
尚、前記所定値は、共振信号のみが確実に判別される実験値に基づいて決定されるもので、共振信号と基準信号とが合致する範囲に幅を持たせ、類似する波形までも検知されるようにすることができる。
【0010】
前記実施例は、基準信号のデータを80ポイント、サンプリング信号を1181ポイントに夫々等分したが、基準信号のデータやサンプリング信号を分割するポイントの数は任意に決定できる。
【0011】
尚、送信アンテナと受信アンテナとは、例えば受信側を2回クロスさせたり、一方のアンテナに、異なる配置のアンテナ素子を相互に切り換えて使用されるタイプを採用するなど、形態や大きさ、使用周波数帯域等は実施例に限定されるものでなく、解析手段や報知手段等は使用状況に応じて適宜変更可能であって、他の手段と組み合わせたり、ノイズ対策以外の機能を付加してもかまわない。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、受信した信号の中から、予め基準信号として登録されているモデル波形の周期と略一致した信号のみを抽出し、その波形を所定値と比較しているから、波形の異なる信号は一切排除され、ノイズに埋もれた低いレベルの共振信号もピックアップできるので、検知精度及びその能力は極めて高い。
又信号の解析において、基準信号の各ポイントにおける値と、それらのポイントに対応するデータにおける各ポイントの値とを個々に積算してそれらの和を算出し、その算出された値と所定値との比較により検出すれば、処理が早く正確であるし、1ポイントづつずらせて繰り返し実行すれば、一掃引中に含まれる総ての信号を対象として検知するので、タグのばらつきによって共振周波数がずれていても検知漏れをなくせるし、フィルタで再放射電波の帯域に含まれない信号を除去すれば、検知精度がより向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る盗難防止システムのブロック図である。
【図2】 解析処理のフローチャート図である。
【図3】 受信信号のサンプリング例を示す説明図である。
【図4】 演算処理の説明図である。
【図5】 演算処理の説明図である。
【図6】 検出例の説明図である。
【図7】 従来例の説明図である。
【符号の説明】
1・・送信用アンテナ、2・・受信用アンテナ、3・・第1のコンピュータ、4・・DDS、5・・増幅部、6・・整合回路、7・・タグ、7a・・共振回路、8・・整合回路、9・・増幅部、10・・検波部、11・・フィルタ部、12・・A/D変換部、13・・解析処理部、14・・第2のコンピュータ、15・・演算部、15a・・メモリ回路、16・・検知部、17・・報知手段、L・・所定値。
Claims (3)
- 共振回路が組み込まれたタグを監視対象物品に付設し、相対抗して配置された送受信アンテナ間を前記タグ付き物品が通過すると、送信アンテナから送出された電波を前記共振回路が受信して共振を起こし、その共振回路から共振電波が再放射されるので、その共振電波を受信アンテナが受信することによって、タグ付き物品の通過を検知する盗難防止システムにおいて、前記送信アンテナから、所定周波数間を周期的に掃引させた一定振幅の信号を送出させ、受信アンテナが受信した信号から、予め基準信号として登録されている再放射電波のモデル波形の周期と略一致する信号を抽出し、その波形を所定値と比較することにより物品の通過を認識する解析手段を設け、前記基準信号と一致する波形が、受信した信号の一定期間の波形をサンプリングし、そのサンプリングされた一定期間の波形のデータと登録されている基準信号とを、時間軸に対して夫々等ピッチで複数に分割し、前記基準信号の各ポイントにおける値と、それらのポイントに対応するデータとを個々に積算してそれらの和を算出し、その算出された値と所定値との比較により検出されることを特徴とする盗難防止システム。
- 共振回路が組み込まれたタグを監視対象物品に付設し、相対抗して配置された送受信アンテナ間を前記タグ付き物品が通過すると、送信アンテナから送出された電波を前記共振回路が受信して共振を起こし、その共振回路から共振電波が再放射されるので、その共振電波を受信アンテナが受信することによって、タグ付き物品の通過を検知する盗難防止システムにおいて、前記送信アンテナから、所定周波数間を周期的に掃引させた一定振幅の信号を送出させ、受信アンテナが受信した信号から、予め基準信号として登録されている再放射電波のモデル波形の周期と略一致する信号を抽出し、その波形を所定値と比較することにより物品の通過を認識する解析手段を設け、前記基準信号と一致する波形が、受信した信号の一定期間の波形をサンプリングし、そのサンプリングされた一定期間の波形のデータと登録されている基準信号とを、時間軸に対して夫々等ピッチで複数に分割し、前記基準信号の各ポイントにおける値と、それらのポイントに対応するデータとを個々に積算してそれらの和を算出し、その算出された値と所定値との比較により検出され、その算出された値と所定値との比較が、基準信号をサンプリングされた一定期間の波形のデータに対して1ポイントづつずらせて繰り返し実行した結果に対して一括して行なわれることを特徴とする盗難防止システム。
- 前記解析手段が、受信した信号からフィルタで再放射電波の帯域に含まれない信号を除去し、それをAD変換してデジタル処理する請求項1又は2に記載の盗難防止システム。
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