JP3803732B2 - 重質炭化水素油の水素化処理触媒、その製造方法及びそれを用いた重質炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

重質炭化水素油の水素化処理触媒、その製造方法及びそれを用いた重質炭化水素油の水素化処理方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として重質炭化水素油からなる原料を水素化処理する触媒、該触媒の製造方法及びこれを用いた重質炭化水素油の水素化処理方法に関し、特に石油精製分野において低温で水素化処理を行うことを可能にする高活性な水素化処理触媒、該触媒の製造方法及び重質炭化水素油の水素化処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
石油精製の分野において、水素化処理はきわめて重要な技術であり、改質や精製方法に広く使用されている。たとえば、水素共存下に原料油中の硫黄化合物を反応させて除去する水素化脱硫処理、同様に窒素化合物を除去する水素化脱窒素処理、原料油中の炭化水素を分解して軽質化する水素化分解処理、原料油中の芳香族炭化水素をはじめとする不飽和炭化水素を水素化する水添処理等に利用されている。本発明において水素化処理とはこれら水素化を伴う処理全般を指すものとする。これらの水素化処理においては触媒を用いて高温、高圧下で反応を進行させるが、反応条件を低温、低圧にすることによってプロセスの経済性を向上させるため、触媒の活性が高いことが望まれる。
【0003】
水素化処理に用いられる水素化処理触媒は、通常、金属酸化物等の多孔質で表面積の大きい物質を担体として、水素化活性を有する金属ないし化合物を担持した担持触媒である。一般に、貴金属を用いた触媒は水素化活性が高いが、硫黄分等の物質による被毒を受けやすい。一方、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン等の金属の硫化物を主体とする硫化物触媒は、貴金属触媒に比べると水素化活性は高くないが、硫黄の被毒に強いことが知られている。水素化処理においては、その目的、原料等に応じて様々な触媒が選択され用いられる。
【0004】
このように現在にいたるまで、水素化処理触媒として多くの種類の触媒が用いられている。しかしながら近年の環境保全に対する要求の高まりを背景として、経済性を向上させる目的および環境に対する負荷を低減する目的で、さらに高活性であり、かつ高い耐硫黄性と長い触媒寿命を兼ね備えた触媒が切望されている現状にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水素化処理触媒として、前述した2種類の触媒、即ちモリブデン、タングステン、ニッケル、コバルト等、周期律表第6族元素または周期律表第8〜10族卑金属元素の化合物を含有する触媒と、ロジウム、パラジウム、白金等の周期律表第8〜10族貴金属元素を含有する触媒を単に混合しただけでは、両者の特長を兼ね備えた高性能の水素化触媒は得られない。
【0006】
高活性の水素化触媒を得るためには、主活性成分である周期律表第8〜10族卑金属元素の化合物からなる反応活性点の近傍に、選択的に周期律表第8〜10族貴金属元素を存在させることが重要であり、これにより、周期律表第8〜10族貴金属上で水素が活性化され、反応活性点へ水素を効率的にスピルオーバーさせることができる。この水素のスピルオーバーによって反応活性点上の水素が増加して、水素化反応活性の向上とともに、被毒物となる硫黄化合物の水素化促進による耐硫黄性の向上、および活性低下の原因となるコークの水素化促進による長寿命化が図れる。これにより高価な貴金属の使用量を低く抑えながら触媒性能を高めることができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の発明者らは周期律表第8〜10族卑金属元素化合物からなる反応活性点の近傍に、周期律表第8〜10族貴金属元素を選択的に存在させることが重要であり、これにより高価な貴金属の使用量を低く抑えながら触媒性能を高めることができることに着目し、高性能の水素化処理触媒を得るため鋭意研究を重ねた結果、反応活性点となる触媒の成分が還元を受ける際の挙動が水素化処理の触媒活性と密接な関係を有し、特定の還元特性を有する水素化処理触媒のみが高活性を有することを見出し、またこのような還元特性を有する触媒を得るための方法を見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は周期律表第8〜10族卑金属元素から選ばれる少なくとも一つの元素の化合物(A)と、周期律表第8〜10族貴金属元素から選ばれる少なくとも一つの元素の化合物(B)とを含有し、かつ化合物(A)に帰属する昇温還元法の還元ピーク温度が500℃以下であることを特徴とする重質炭化水素油の水素化処理触媒、該触媒の製造方法及びこれを用いた重質炭化水素油の水素化処理方法である。このような還元特性を有する触媒は、担体に化合物(A)を担持し還元処理を行った後、化合物(B)の溶液と接触させることにより得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の水素化処理触媒は、周期律表第8〜10族卑金属元素から選ばれる少なくとも一つの元素の化合物(A)と、周期律表第8〜10族貴金属元素から選ばれる少なくとも一つの元素の化合物(B)の2成分を必須成分として含有する。ここに周期律表による族番号は1989年IUPAC無機化学命名法改訂版による長周期型周期律表に基づくものである。なお本発明において、ある元素の化合物にはその元素の単体も含むものとする。
【0010】
周期律表第8〜10族卑金属元素とは鉄、コバルト、ニッケルを指し、その中ではコバルト、ニッケルが好ましい。
【0011】
また触媒の(A)成分としては、周期律表第8〜10族卑金属元素が必須成分であるが、これと周期律表第6族元素を混合して用いても良い。
【0012】
周期律表第6族元素とはクロム、モリブデン、タングステンを指すものであり、その中ではモリブデン、タングステンが好ましく、モリブデンがさらに好ましい。
【0013】
これら元素の化合物(A)の形態は任意であるが、好ましくは酸化物、金属であり、さらに好ましくは金属である。また触媒中の(A)成分の含有量は任意であるが、酸化物とした場合の重量換算で、触媒全量(担体を含む)に対して1〜50重量%が好ましい。さらに好ましくは2〜30重量%である。なおこの酸化物とは、化学式で表示するとそれぞれFe34、Co34NiOであり、無水物として換算する。
【0014】
周期律表第8〜10族貴金属元素とはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金を指すが、その中ではルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金が好ましい。さらに好ましくはロジウム、パラジウム、白金であり、最も好ましくはロジウムである。これら元素の化合物の形態は任意であるが、好ましくは金属である。また(B)成分として一種類の周期律表第8〜10族貴金属元素を用いても良いが、複数の周期律表第8〜10族貴金属元素を用いることが好ましい。とくにロジウムと、パラジウムおよび/または白金を共存させて用いることが好ましい。触媒中の(B)成分の含有量は任意であるが、金属とした場合の重量換算で、触媒全量(担体を含む)に対して0.05〜10重量%が好ましい。さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
【0015】
触媒中の(A)成分と(B)成分との含有割合は、金属として(B)/(A)が10重量%以下、特に5重量%以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の水素化処理触媒は、必要に応じ、(A),(B)両成分以外の成分を含有しても良い。その他の成分としては、第6族元素の他、担体となる成分および非化学量論的組成を有する金属酸化物を好ましく例示できる。非化学量論的組成を有する金属酸化物としては、ランタンおよびランタニドの酸化物が好ましく、ランタン、セリウム、サマリウムの酸化物がさらに好ましい。
【0017】
本発明の水素化処理触媒は担体を含有することが必須ではないが、活性成分の表面積を増大させて効率的に反応を行うことが可能になる点などから担体を含有することが好ましい。担体は任意であり、通常用いられる担体を使用できる。多孔質で表面積の大きなアルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、ジルコニア等の金属酸化物、シリカアルミナ、アルミナボリア等の複合金属酸化物、各種の粘土鉱物、活性炭等が挙げられる。
【0018】
さらに担体はイオン交換能を有する物質を含むことが好ましい。イオン交換能を有する物質としては、ゼオライト、各種のモレキュラーシーブ、シリコアルミノフォスフェートを代表とするメタロアルミノフォスフェート、粘土鉱物等を例示することができる。中でもゼオライト、粘土鉱物が好ましい。好ましいゼオライトとしてはフォージャサイト(Xゼオライト、Yゼオライト、超安定Yゼオライト)、モルデナイト、βゼオライト、ペンタシル型ゼオライト(MFI等)、フェリエライト、Lゼオライト、Aゼオライト等が挙げられる。さらに好ましくは、フォージャサイト、モルデナイト、βゼオライト、MFI、フェリエライト、Lゼオライトである。好ましい粘土鉱物としては、3層構造を有するスメクタイト(モンモリロナイト(ベントナイト、活性白土、酸性白土等を含む)、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイト等)、2層構造を有するカオリナイト、セピオライト等が挙げられる。これらの中では、合成されたスメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイト)、セピオライト、特にサポナイト、スチブンサイトが好ましい。
【0019】
また、必要に応じ担体はバインダーを含んでも良い。バインダーの種類は任意であるが、成型性に優れ、調製後の耐熱性が高いものが好ましい。アルミナゾル、ベーマイト、シリカゾル、各種の粘土鉱物などを好適に用いることができる。
【0020】
担体を用いる場合、化合物(A)の担持法は含浸法、共沈法、混練法等、任意であるが、好ましい方法として含浸法(Incipient wetness法、浸漬法等)、イオン交換法、気相担持法(CVD法等)等が挙げられる。担持させる原料化合物の形態は担持法によって異なるが、含浸法、イオン交換法の場合、水溶性の塩化物、硝酸塩、酢酸塩等が好ましく用いられる。
【0021】
化合物(B)の担持法は含浸法、共沈法、混練法等、任意であるが、好ましい方法として含浸法(Incipient wetness法、浸積法等)、イオン交換法、気相担持法(CVD法等)、後で定義するイオン交換金属析出法等が挙げられ、特に好ましい担持法は、イオン交換金属析出法である。担持させる原料化合物の形態は担持法によって異なるが、含浸法、イオン交換法、イオン交換金属析出法の場合、水溶性の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、アンミン錯体等が好ましく用いられる。なお、化合物(B)は、その一部をイオン交換金属析出法で担持し、一部を含浸法、イオン交換法などの他の担持法で担持しても良い。
【0022】
(A),(B)両成分の担持順序は任意であり、どちらを先に担持しても良く同時に担持しても良いが、化合物(A)を先に担持し、化合物(B)を後に担持する方が好ましい。
【0023】
各成分を担持した後の触媒は、還元処理を行うが、酸化処理を行なった後、還元処理を行うことが好ましい。酸化処理には特に制限はなく任意の方法を採用できるが、好ましくは酸素による酸化処理であり、具体的には空気中ないし酸素を含むガス中で加熱する方法である。温度は200〜700℃が好ましく、300〜650℃がさらに好ましい。還元処理には特に制限はなく任意の方法を採用できるが、好ましくは水素による還元処理であり、具体的には水素中ないし水素を含むガス中で加熱する方法である。還元温度は200〜700℃が好ましく、300〜650℃がさらに好ましい。
【0024】
前述のとおり本発明の主眼は、(A)成分からなる触媒の反応活性点の近傍に選択的に(B)成分の貴金属を存在させ、該貴金属上で水素を活性化させて反応活性点へ水素を効率的にスピルオーバーさせることにより反応活性点上の水素を増加させ、水素化反応活性、耐硫黄性の向上、および長寿命化を図ることであるが、このような触媒性能を有する本発明の水素化処理触媒は、含有する(A)成分化合物に帰属する昇温還元法の還元ピーク温度が500℃以下であることにより特徴づけられている。
【0025】
この昇温還元法は触媒の還元挙動を評価する手法として有効な手段であり、触媒の還元され易さを知ることができる。そしてこの手法により、(A)成分化合物の還元され易さと水素化処理における反応活性との間に相関があり、本発明の触媒の場合、昇温還元法の還元ピーク温度が500℃以下である触媒が高活性であることが見出された。ここに昇温還元法の還元ピーク温度とは、触媒を水素還元雰囲気中で一定の速度で昇温した時に温度を横軸に、熱伝導度検出器からの信号強度を縦軸にして得られる昇温還元曲線におけるピーク温度である。昇温還元法による還元ピーク温度の具体的な測定法は次のとおりである。
【0026】
(1)内径5mm±0.5mmの石英管に、空気中120℃±10℃で8時間以上乾燥した触媒0.15g±0.01gを充填する。触媒はコーツウールで保持する。熱電対を触媒部近傍に設置し触媒部の温度を測定する。
【0027】
(2)乾燥空気気流(流量20ml/分±2ml/分)中で400℃±10℃で2時間以上前処理を行う。
【0028】
(3)乾燥空気気流を水素/アルゴン混合ガス気流(水素50〜70容量%/アルゴン50〜30容量%、流量20ml/分±2ml/分)に切り替える。
【0029】
(4)混合ガス気流(流量20ml/分±2ml/分)中で10℃/分±0.5℃/分の昇温速度に制御して一定昇温速度で1000℃まで昇温する。水素消費に伴う混合ガスの組成変化を熱伝導度検出器により連続的に検出し、その信号をレコーダーを用いて記録させチャートを得る。設定した昇温速度から水素消費に伴う混合ガスの組成変化と温度の相関を得る。
【0030】
得られた昇温還元曲線のチャートの一例を図1に示す。図1の縦軸は熱伝導度検出器からの信号強度であるが、昇温還元法において水素消費に相当する値である。また図1の横軸は時間の経過を示すが、一定の速度で昇温しているのでその時点での触媒部温度に相当する値である。本発明では、信号強度(水素消費量に対応)が最も高いピークを与える時の触媒部温度を還元ピ−ク温度と定義する。図1において、還元ピーク温度は(▲1▼)では373℃であり(▲2▼)では512℃である。
【0031】
なお、周期律表第8〜10族貴金属元素を含有する触媒では、その含有量等の条件によって周期律表第8〜10族貴金属元素の還元に起因するピークが現れるので、本発明の(A),(B)2成分からなる触媒においては、周期律表第8〜10族貴金属元素の還元に起因するピークが最大となることがある。しかし周期律表第8〜10族貴金属元素の還元に起因するピークは300℃未満に現れるので、本発明では300℃未満に現れるピークは周期律表第8〜10族貴金属元素の還元に起因するピークとみなし、本発明における化合物(A)に帰属する昇温還元法の還元ピーク温度は、300℃以上のピークの内で最大のピークを与える温度と定義する。
【0032】
本発明の水素化処理触媒は、上記測定法により測定された(A)成分化合物に帰属する昇温還元法の還元ピーク温度が500℃以下であることを特徴とするものであるが、好ましくは450℃以下であり、400℃以下がさらに好ましく、特に好ましくは390℃以下であり、最も好ましくは380℃以下である。
【0033】
このような触媒を得るために、本発明の水素化処理触媒は、ここに定義するイオン交換金属析出法で調製することが好ましい。この方法は次の工程よりなる。
(1)担体に、化合物(A)を担持する。
(2)還元処理を行う。
(3)化合物(B)の溶液を接触させる。
【0034】
(1)の工程において、担持法は任意であり、前述した担持法を採用できる。また化合物(A)だけでなく、その他の成分を担持しても良い。またもう一方の触媒成分である化合物(B)の一部を同時に担持しても良い。
【0035】
(2)の工程において、還元処理の方法は任意であり、水素の他、各種の還元剤を用いることができるが、好ましい還元処理は水素による還元処理である。この工程での還元処理温度は化合物(A)の種類によって異なるが、周期律表第8〜10族卑金属では200〜700℃が好ましく、300〜650℃がさらに好ましい。 (2)の工程では、(1)の工程で担持した化合物(A)の一部あるいは全部が金属状態に還元されることが重要である。
【0036】
(3)の工程において、(2)の工程で得られた還元処理後の触媒に化合物(B)の溶液を接触させる。接触の方法は任意であるが、(2)の工程で得られた還元処理後の触媒を溶液中に浸す方法、(2)の工程で得られた還元処理後の触媒に溶液を注ぐ方法が好ましく例示できる。(2)の工程で得られた還元処理後の触媒を溶液中に浸す方法では、浸しておく時間は1分〜1日、特に2分〜5時間が好ましい。接触させる温度は0〜100℃、特に10〜80℃が好ましい。用いる溶液の種類は任意であるが、主たる溶媒は水であることが好ましい。また接触させる化合物(B)の形態は任意であるが、主たる溶媒が水である場合、水溶性の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、アンミン錯体等が好ましく用いられる。このときの濃度は0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%が好ましい。さらにこの工程の操作は不活性ガス中で行われることが望ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが好ましい。この工程において、金属状態に還元された成分(A)の化合物と化合物(B)が反応し、金属上に周期律表第8〜10族貴金属元素が金属として析出する。この方法をイオン交換金属析出法と呼ぶ所以である。
【0037】
さらにこの後、還元処理を行うことが好ましい。この処理によって、活性点が安定化される。
【0038】
このイオン交換金属析出法により、周期律表第8〜10族貴金属元素を活性点の近傍に選択的に存在させることができる結果、高価な貴金属の使用量を少なくすることができる。好ましい例として、ロジウムを担持した場合、ロジウムの量は0.01〜2重量%とすることができる。さらに好ましくは0.02〜1重量%である。このロジウムの効果を補強するため、パラジウムおよび/または白金を共存させることが望ましい。パラジウム、白金の担持量は、触媒全量に対して好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
【0039】
本発明の触媒により水素化処理される原料油は重質炭化水素油である。本発明で言う重質炭化水素油とは、日本工業規格の JIS K2254 石油製品−蒸留試験方法(1990年改正)の常圧法蒸留試験方法により測定された90容量%留出温度が、390℃を越える炭化水素油を指す。この重質炭化水素油の例は原油を常圧蒸留装置(トッパー)で蒸留した際に留出せずに残る残油留分であり、これには常圧残油、減圧残油、減圧軽油が含まれる。なお、重質炭化水素油が重質であるために該試験方法の常圧法蒸留試験方法で90容量%留出温度が測定できない場合には、該試験方法の減圧法蒸留試験方法により測定された結果から求められる常圧換算留出温度によって90容量%留出温度を決定するものとする。
【0040】
また本発明の触媒は、水素化脱硫処理、水素化脱窒素処理、水素化分解処理、芳香族炭化水素や不飽和炭化水素の水添処理等、重質炭化水素油の各種の水素化処理に広範囲に適用できる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
【0042】
(触媒調製1)
合成多孔質サポナイト(スメクトンSA、クニミネ工業株式会社)に、まず以下のイオン交換法でコバルトとパラジウムを担持した。120℃で乾燥した多孔質サポナイト10gに対して0.2モル/リットルの硝酸コバルトと0.005モル/リットルの硝酸パラジウム(II)混合水溶液1リットルの割合で混合し80℃以上の温度で1.5時間撹拌した。その後ろ過し、試料10gに対して蒸留水2リットルとエタノール100ミリリットルで洗浄した。120℃で乾燥後、空気中400℃で4時間焼成した。得られた担持触媒を水素65容量%/アルゴン35容量%混合ガス気流中600℃で30分間還元した。その後、不活性ガス中で0.002モル/リットルの塩化ロジウム水溶液に室温で、10分間接触させた(イオン交換金属析出法)。120℃で8時間乾燥後、空気中400℃で4時間焼成し、水素65容量%/アルゴン35容量%混合ガス気流中600℃で30分間還元した。得られた触媒を触媒▲1▼とした。
【0043】
(触媒調製2)
合成多孔質サポナイトに、まず以下のイオン交換法でコバルトとパラジウムを担持した。120℃で乾燥した多孔質サポナイト10gに対して0.2モル/リットルの硝酸コバルトと0.005モル/リットルの硝酸パラジウム(II)混合水溶液1リットルの割合で混合し80℃以上の温度で1.5時間撹拌した。その後ろ過し、試料10gに対して蒸留水2リットルとエタノール100ミリリットルで洗浄した。120℃で乾燥後、空気中400℃で4時間焼成した。得られた担持触媒に、ロジウム担持量が0.1重量%となるようにIncipient wetness法で塩化ロジウム水溶液を含浸した。120℃で8時間乾燥後、空気中400℃で4時間焼成し、水素65容量%/アルゴン35容量%混合ガス気流中600℃で30分間還元した。得られた触媒を触媒▲2▼とした。
触媒調製1,2で製造した触媒▲1▼,▲2▼の金属担持量を表1に示す。
【0044】
[実施例1]
(昇温還元法測定)
触媒▲1▼を用いて昇温還元法の測定を行った。測定には市販の装置(TP−2000、株式会社大倉理研)を用いた。内径5mmの石英管に、空気中120℃で8時間乾燥した触媒0.15gを充填し、コーツウールで保持した。熱電対を触媒部近傍に設置し触媒部の温度を測定した。乾燥空気気流中(流量20ml/分)で400℃で2時間前処理を行った後、乾燥空気気流を水素/アルゴン混合ガス気流(水素65容量%/アルゴン35容量%、流量20ml/分)に切り替え、混合ガス気流中で10℃/分の昇温速度に制御して一定昇温速度で1000℃まで昇温した。水素消費に伴う混合ガスの組成変化を熱伝導度検出器により連続的に検出し、レコーダーを用いてその信号を記録しチャートを得た。結果を図1(▲1▼)に示す。
【0045】
(水素化脱硫実験)
固定床流通式反応装置を用いて触媒▲1▼による水素化脱硫実験を行った。原料油は中東産原油の減圧軽油留分を用いた。硫黄含有量は2.2重量%であり、90容量%留出温度は547℃(減圧法蒸留試験方法により測定した常圧換算留出温度の値)であった。触媒▲1▼をリアクターに充填し、水素気流中で180℃に昇温した後、原料油をフィードし反応温度に昇温して反応を開始した。反応条件を表2に示す。反応開始72時間後の生成油を分析して脱硫率を求めた。結果を表1に示す。
【0046】
[比較例1]
触媒▲1▼の代わりに触媒▲2▼を用い、実施例1と同様に昇温還元法の測定を行った。結果を図1(▲2▼)に示す。また触媒▲2▼を用い、実施例1と同様に水素化脱硫実験を行った。結果を表1に示す。
【0047】
[比較例2]
触媒▲1▼の代わりに市販の減圧軽油用水素化脱硫触媒(触媒▲3▼とする)を用い、実施例1と同様に昇温還元法の測定を行った。結果を図1(▲3▼)に示す。また触媒▲3▼を用い、実施例1と同様に水素化脱硫実験を行った。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
触媒の金属担持量及び水素化脱硫実験結果
【0049】
【表2】
水素化脱硫実験条件
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、周期律表第8〜10族卑金属元素から選ばれる少なくとも一つの元素の化合物(A)と、周期律表第8〜10族貴金属元素から選ばれる少なくとも一つの元素の化合物(B)とを含有する触媒において、化合物(A)に帰属する昇温還元法の還元ピーク温度を500℃以下としたことにより、水素化反応活性の向上、長寿命化が可能となり、また高価な貴金属の使用量を低くして、高性能の重質炭化水素油の水素化処理触媒が提供される。またこのような高性能の水素化処理触媒はイオン交換金属析出法等の方法で容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】触媒を水素還元雰囲気中で一定の速度で昇温した時に得られる昇温還元曲線である。
横軸:温度
縦軸:熱伝導度検出器からの信号強度
▲1▼:触媒▲1▼の昇温還元曲線
▲2▼:触媒▲2▼の昇温還元曲線
▲3▼:触媒▲3▼の昇温還元曲線

Claims (5)

  1. 周期律表第8〜10族卑金属元素から選ばれる少なくとも一つの元素の化合物(A)と、周期律表第8〜10族貴金属元素から選ばれる少なくとも一つの元素の化合物(B)とを含有し、かつ化合物(A)に帰属する昇温還元法の還元ピーク温度が500℃以下であることを特徴とする重質炭化水素油の水素化処理触媒。
  2. 化合物(A)に周期律表第6族元素から選ばれる少なくとも一つの元素の化合物を混合して使用することを特徴とする請求項1記載の重質炭化水素油の水素化処理触媒。
  3. 化合物(B)の少なくとも一部がロジウム化合物である請求項1または2に記載の水素化処理触媒。
  4. 担体に化合物(A)を担持し、還元処理を行った後、化合物(B)の溶液と接触させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素化処理触媒の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の水素化処理触媒を用いて重質炭化水素油を水素化することを特徴とする重質炭化水素油の水素化処理方法。
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