JP3803600B2 - 住宅における玄関の床廻り構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物、主として集合住宅などの住宅における玄関の床廻り構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にマンションなどの集合住宅では、階上で発生する衝撃振動が、階下の居住空間へと振動騒音となって伝わり、居住空間の環境悪化、品質の低下を招く原因になるので、その遮音対策が大きな課題となっている。
【0003】
そこで、従来から種々の遮音対策が提案されているが、これらの遮音対策は、いずれも階上の居室やサニタリーにて発生する振動騒音の階下の居室への伝播を吸収低減する構造のものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、本出願の発明者等の実験、研究によれば、階上から階下の居室などに伝播する衝撃振動のうち、階上の玄関廻りにて発生する振動騒音(玄関にて人や荷物の出入りなどにより発生する衝撃騒音)が、階上から階下へ、あるいは同階の居室へと伝播する、振動騒音の無視できない発生要因になっていることが判明した。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、住宅の玄関の床廻り構造を改良して、玄関廻りに発生する衝撃騒音の階下や同階への伝播を可及的に低減して遮音効果を一層高めるようにした、新規な建物における玄関の床廻り構造を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のため、本請求項1記載の発明は、コンクリート躯体構造をもつ住宅において、玄関の床廻りの玄関躯体部分を、玄関床スラブと、該玄関床スラブ上にこれと一体に打設成形される持出梁とにより二重構造に構成し、前記玄関床スラブと持出梁との間に形成される空隙部に、発泡スチロールなどの遮音部材を装填し、前記持出梁の居室側の縁部上面には、上框を遮音板を介して接合し、この上框に、持出梁とは絶縁状態にある床構造体の端縁を隣接配置し、さらに持出梁の上面には、玄関床が敷設されることを特徴とし、また、本請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記玄関床スラブと、持出梁とは、それらと一体に打設成形される梁により一体に結合されてなることを特徴としており、前記特徴によれば、玄関への人や荷物の出入などにより、玄関の床廻りに発生した衝撃振動は、持出梁と玄関床スラブとにより二重構造の玄関躯体部分を経て建物のコンクリート躯体全域へと拡散伝播させることができ、しかもその衝撃振動は、その伝播過程で、発泡スチロールなどの遮音部材により減衰吸収されるので、前記衝撃振動は、玄関の床廻りのところで効果的に遮音されて、階下の居室などに振動騒音となって伝播されるのを可及的に低減することができる。また、玄関躯体部分は、同階の隣接する居室の床構造体に直接接触することがないので、玄関の床廻りの衝撃振動は、同階の居室への伝播も大幅に低減することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】
まず、図1〜5を参照して、本発明の第1実施例について説明する。
【0009】
図1は、本発明玄関の床廻り構造を備えた集合住宅の図2の1−1線に沿う一部破断平面図、図2は、図1の2−2線に沿う断面図、図3は、図1の3−3線に沿う拡大断面図、図4は、図1の4−4線に沿う拡大断面図、図5は、図4の5−5線に沿う断面図である。
【0010】
図1,2において、集合住宅の骨格を構成する、逆梁構造のコンクリート躯体Fは、水平方向に延びて、建物を複数の階層に区画する水平躯体部分Fhと、鉛直方向に延びて上下の水平躯体部分Fhを相互に連結する鉛直躯体部分Fvを備えている。
【0011】
水平躯体部分Fhは、上下階層に仕切る床スラブSfを備え、この床スラブSfの一戸の住宅Hを区画する周囲には、逆大梁Bb1が、その床スラブSfの中間部には縦横に逆小梁Bb2が上向きにそれぞれ一体に突設され、この建物のコンクリート躯体Fは所謂「逆梁構造」に構成されている。また、前記鉛直躯体部分Fvは、各居住空間の隅部に立設される躯体柱1と、並列する躯体柱1間を連結する、躯体外壁2および躯体隔壁3とを備えている。
【0012】
水平躯体部分Fhにより仕切られる各階層には複数戸の住宅Hが並列され、各住宅Hは躯体外壁2、躯体隔壁3により区画される。
【0013】
各階層において、並列される複数戸の住宅Hの玄関E側には、それらに沿って通路Pがコンクリート躯体Fと一体に打設形成されており、各戸の住宅Hは、該通路Pに隣接して玄関Eが構築され、各玄関Eは、躯体外壁2に開設した玄関口5を通して通路Pに連通される。そして、その玄関口5は開閉扉6により開閉される。
【0014】
つぎに、本発明に従う玄関の床廻り構造について、図1,2に、図3〜5を併せ参照して説明すると、玄関Eの床廻りの骨格を構成する玄関躯体部分Feは、逆大梁Bb1に隣接する玄関床スラブFe−Sfと、その玄関床スラブFe−Sf上に櫓状に一体に構築される持出梁Fe−Bとにより二重構造に形成されており、この持出梁Fe−Bは、上壁部分8と側壁部分9とを有していて、玄関床スラブFe−Sfと持出梁Fe−Bとの間には、密閉状の空隙部10が形成され、この空隙部10には、遮音板としての発泡スチロール11が装填される。
【0015】
しかして、前記持出梁Fe−Bは、玄関床スラブFe−Sfと共に、図示しない従来公知の型枠により建物のコンクリート躯体Fを打設成形する際に、それと一体に成形される。
【0016】
図4に示すように、持出梁Fe−Bの上面の、居室20との境界部には、遮音板12および受プレート13を介して上框14が接合される。持出梁Fe−Bの上面には、モルタル17を敷設し、その上にタイル18を接合して玄関床19が積層され、この玄関床19と上框14間の間隙は、バックアップ材15上のシーリング16により液密にシールされる。
【0017】
図4,5に示すように、前記玄関Eに隣接する居室20の床構造体Frは、コンクリート躯体Fの逆小梁Bb1上に、遮音板21を介して平行に横架される複数の大引ビーム22と、それらの大引ビーム22上にそれらと直交して横架固定され複数の根太23と、それらの根太23上に敷設される床板24とより構成される。床板24は、下地材24aに仕上板24bを一体に接着して構成され、該仕上板24bの端縁が、前記上框14に連接される。
【0018】
しかして、図5に示すように、大引ビーム22および床板24の端縁は、コンクリート躯体Fの鉛直躯体壁Fvとの間に小隙dが形成されて、直接接触することがなく絶縁状態にあり、これにより、玄関Eの床廻りに作用する衝撃振動が、該玄関Eに隣接する居室20に直接伝播しないようになっている。
【0019】
玄関Eの床廻りは、前記した構造を備えていることにより、該玄関Eへの人や荷物の出入などにより、玄関Eの床廻りに発生した衝撃振動は、持出梁Fe−Bと玄関床スラブFe−Sfとにより二重構造の玄関躯体部分Feを経て建物のコンクリート躯体F全域へと拡散伝播し、しかもその衝撃振動は、その伝播過程で、遮音部材である発泡スチロール11により減衰吸収されるので、前記衝撃振動は、玄関Eの床廻りのところで効果的に遮音されて、階下の居室などに振動騒音となって伝播されるのを可及的に低減することができる。また、玄関躯体部分Feは、同階の隣接する室20の床構造体Frに直接接触することがないので、玄関Eの床廻りの衝撃振動は、同階の居室20への伝播も大幅に低減することができる。
【0020】
つぎに、図6,7を参照して本発明の第2実施例について説明する。
【0021】
図6は、玄関とこれに隣接する居室の一部の縦断面図、図7は、図6の7−7線に沿う部分断面図であり、これらの図において、前記第1実施例と同じ要素には、同じ符号が付される。
【0022】
この第2実施例は、玄関Eの床廻りの玄関躯体部分Feを構成する持出梁Fe−Bの、居室20側の側壁部分9に打増部30が一体に成形され、この打増部30の上面に、複数の大引ビーム22の一端部が支持部材Suを介して高さ調整可能に支持される。支持部材Suは、打増部30の上面に遮音板32を介して支持される基板31と、この基板31上に起立される一対の螺杆33に螺合されるナット34により昇降調節可能に支持される、断面凹状の受部材35とより構成され、この受部材35に、凹状の遮音ゴム36を介して大引ビーム22が支持される。前記第1実施例と同じく、複数の大引ビーム22上には、複数の根太23が支持され、それらの根太23上に床板24が敷設され、床板24の一端は上框14に連接され、また、大引ビーム22の端面と、持出梁Fe−Bの側面間には、小隙dが形成されている。
【0023】
この第2実施例のものでは、打増部30を一体に形成した持出梁Fe−Bと、玄関床スラブFe−Sfとより玄関躯体部分Feを二重構造とすることができ、前記第1実施例のものと同じ効果を奏する。
【0024】
つぎに、図8〜10を参照して本発明の第3実施例について説明する。
【0025】
図8は、本発明玄関の床廻り構造を実施した住宅の一部の平面図、図9は、図8の9−9線に沿う断面図、図10は、図8の10−10線に沿う断面図でありこれらの図において、前記第1、第2実施例と同じ要素には、同じ符号が付される。
【0026】
この第3実施例は、アルコーブA付の玄関Eに本発明の床廻り構造を実施した場合であり、アルコーブA付の玄関躯体部分Feは、該玄関床スラブFe−Sfと、その上に密閉状の空隙部10を介して櫓状に一体に成形される持出梁Fe−Bとにより二重構造に形成されている。前記密閉状の空隙部10の中間部には、玄関EとアルコーブAとに跨がるように逆小梁Bb2が通っており、この逆小梁Bb2は、玄関躯体部分Feと持出梁Fe−Bの上壁部分8とを一体に結合する。前記密閉状の空隙部10内には、前記逆小梁Bb2の両側において、遮音部材である発泡スチロール11が装填されている。
【0027】
図9に示すように、玄関Eの両側、すなわち持出梁Fe−Bの両側において、それと平行に配置される複数の大引ビーム22は、コンクリート躯体Fの逆小梁Bb2上に支持され、また、図10に示すように、玄関Eの後方、すなわち持出梁Fe−Bの後方において、平行に配置される大引ビーム22は、持出梁Fe−Bの後側の側壁部分9の形成した打増部30と逆小梁Bb2間に支持部材Suを介して支持されている。そして、それらの大引ビーム22上には、それらと直交して複数の根太23が支持され、それらの根太23上に床板24が敷設される。大引ビーム22の端面は、前記第1,2実施例と同じく建物の躯体部分と接触することがない。
【0028】
玄関Eの床廻りは、前記した構造を備えていることにより、該玄関Eへの人や荷物の出入りなどにより、玄関Eの床廻りに発生した衝撃振動は、二重構造の持出梁Fe−Bおよび玄関床スラブFe−Sfと、それらを一体に結合する逆小梁Bb2を経て建物のコンクリート躯体F全域へと拡散伝播し、しかもその衝撃振動は、その伝播過程で、遮音部材である発泡スチロール11により減衰吸収されるので、前記衝撃振動は、玄関Eの床廻りのところで効果的に遮音されて、階下の居室などに振動騒音となって伝播されるのを可及的に低減することができるばかりでなく、玄関Eの床廻りは、同階の隣接する室20の床構造体Frに直接接触することがないので、玄関Eの床廻りの衝撃振動は、同階の居室への伝播も大幅に低減することができる。
【0029】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0030】
たとえば、前記実施例では、本発明を、逆梁構造の躯体を備えた集合住宅に実施した場合を説明したが、これを他の建物にも実施できることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本請求項各項記載の発明によれば、玄関の床廻りに発生した衝撃振動は、持出梁と玄関床スラブとにより二重構造の玄関躯体部分を経て建物のコンクリート躯体全域へと拡散伝播させることができ、しかもその衝撃振動は、その伝播過程で、発泡スチロールなどの遮音部材により減衰吸収されるので、前記衝撃振動は、玄関の床廻りのところで効果的に遮音されて、階下の居室などに振動騒音となって伝播されるのを可及的に低減することができる。また、玄関躯体部分は、同階の隣接する居室の床構造体に直接接触することがないので、玄関の床廻りの衝撃振動は、同階の居室への伝播も大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明玄関の床廻り構造を備えた集合住宅の図2の1−1線に沿う一部破断平面図(第1実施例)
【図2】図1の2−2線に沿う断面図
【図3】図1の3−3線に沿う拡大断面図
【図4】図1の4−4線に沿う拡大断面図
【図5】図4の5−5線に沿う断面図
【図6】玄関とこれに隣接する居室の一部の縦断面図(第2実施例)
【図7】図6の7−7線に沿う部分断面図
【図8】本発明玄関の床廻り構造に実施した住宅の一部の平面図(第3実施例)
【図9】図8の9−9線に沿う断面図
【図10】図8の10−10線に沿う断面図
【符号の説明】
10・・・・・・・・・・空隙部
11・・・・・・・・・・遮音部材(発泡スチロール)
12・・・・・・・・・・遮音板
14・・・・・・・・・・上框
19・・・・・・・・・・玄関床
20・・・・・・・・・・居室
Fr・・・・・・・・・・床構造体
Fe・・・・・・・・・・玄関躯体部分
Fe−B・・・・・・・・持出梁
Fe−Sf・・・・・・・玄関床スラブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物、主として集合住宅などの住宅における玄関の床廻り構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にマンションなどの集合住宅では、階上で発生する衝撃振動が、階下の居住空間へと振動騒音となって伝わり、居住空間の環境悪化、品質の低下を招く原因になるので、その遮音対策が大きな課題となっている。
【0003】
そこで、従来から種々の遮音対策が提案されているが、これらの遮音対策は、いずれも階上の居室やサニタリーにて発生する振動騒音の階下の居室への伝播を吸収低減する構造のものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、本出願の発明者等の実験、研究によれば、階上から階下の居室などに伝播する衝撃振動のうち、階上の玄関廻りにて発生する振動騒音(玄関にて人や荷物の出入りなどにより発生する衝撃騒音)が、階上から階下へ、あるいは同階の居室へと伝播する、振動騒音の無視できない発生要因になっていることが判明した。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、住宅の玄関の床廻り構造を改良して、玄関廻りに発生する衝撃騒音の階下や同階への伝播を可及的に低減して遮音効果を一層高めるようにした、新規な建物における玄関の床廻り構造を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のため、本請求項1記載の発明は、コンクリート躯体構造をもつ住宅において、玄関の床廻りの玄関躯体部分を、玄関床スラブと、該玄関床スラブ上にこれと一体に打設成形される持出梁とにより二重構造に構成し、前記玄関床スラブと持出梁との間に形成される空隙部に、発泡スチロールなどの遮音部材を装填し、前記持出梁の居室側の縁部上面には、上框を遮音板を介して接合し、この上框に、持出梁とは絶縁状態にある床構造体の端縁を隣接配置し、さらに持出梁の上面には、玄関床が敷設されることを特徴とし、また、本請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記玄関床スラブと、持出梁とは、それらと一体に打設成形される梁により一体に結合されてなることを特徴としており、前記特徴によれば、玄関への人や荷物の出入などにより、玄関の床廻りに発生した衝撃振動は、持出梁と玄関床スラブとにより二重構造の玄関躯体部分を経て建物のコンクリート躯体全域へと拡散伝播させることができ、しかもその衝撃振動は、その伝播過程で、発泡スチロールなどの遮音部材により減衰吸収されるので、前記衝撃振動は、玄関の床廻りのところで効果的に遮音されて、階下の居室などに振動騒音となって伝播されるのを可及的に低減することができる。また、玄関躯体部分は、同階の隣接する居室の床構造体に直接接触することがないので、玄関の床廻りの衝撃振動は、同階の居室への伝播も大幅に低減することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】
まず、図1〜5を参照して、本発明の第1実施例について説明する。
【0009】
図1は、本発明玄関の床廻り構造を備えた集合住宅の図2の1−1線に沿う一部破断平面図、図2は、図1の2−2線に沿う断面図、図3は、図1の3−3線に沿う拡大断面図、図4は、図1の4−4線に沿う拡大断面図、図5は、図4の5−5線に沿う断面図である。
【0010】
図1,2において、集合住宅の骨格を構成する、逆梁構造のコンクリート躯体Fは、水平方向に延びて、建物を複数の階層に区画する水平躯体部分Fhと、鉛直方向に延びて上下の水平躯体部分Fhを相互に連結する鉛直躯体部分Fvを備えている。
【0011】
水平躯体部分Fhは、上下階層に仕切る床スラブSfを備え、この床スラブSfの一戸の住宅Hを区画する周囲には、逆大梁Bb1が、その床スラブSfの中間部には縦横に逆小梁Bb2が上向きにそれぞれ一体に突設され、この建物のコンクリート躯体Fは所謂「逆梁構造」に構成されている。また、前記鉛直躯体部分Fvは、各居住空間の隅部に立設される躯体柱1と、並列する躯体柱1間を連結する、躯体外壁2および躯体隔壁3とを備えている。
【0012】
水平躯体部分Fhにより仕切られる各階層には複数戸の住宅Hが並列され、各住宅Hは躯体外壁2、躯体隔壁3により区画される。
【0013】
各階層において、並列される複数戸の住宅Hの玄関E側には、それらに沿って通路Pがコンクリート躯体Fと一体に打設形成されており、各戸の住宅Hは、該通路Pに隣接して玄関Eが構築され、各玄関Eは、躯体外壁2に開設した玄関口5を通して通路Pに連通される。そして、その玄関口5は開閉扉6により開閉される。
【0014】
つぎに、本発明に従う玄関の床廻り構造について、図1,2に、図3〜5を併せ参照して説明すると、玄関Eの床廻りの骨格を構成する玄関躯体部分Feは、逆大梁Bb1に隣接する玄関床スラブFe−Sfと、その玄関床スラブFe−Sf上に櫓状に一体に構築される持出梁Fe−Bとにより二重構造に形成されており、この持出梁Fe−Bは、上壁部分8と側壁部分9とを有していて、玄関床スラブFe−Sfと持出梁Fe−Bとの間には、密閉状の空隙部10が形成され、この空隙部10には、遮音板としての発泡スチロール11が装填される。
【0015】
しかして、前記持出梁Fe−Bは、玄関床スラブFe−Sfと共に、図示しない従来公知の型枠により建物のコンクリート躯体Fを打設成形する際に、それと一体に成形される。
【0016】
図4に示すように、持出梁Fe−Bの上面の、居室20との境界部には、遮音板12および受プレート13を介して上框14が接合される。持出梁Fe−Bの上面には、モルタル17を敷設し、その上にタイル18を接合して玄関床19が積層され、この玄関床19と上框14間の間隙は、バックアップ材15上のシーリング16により液密にシールされる。
【0017】
図4,5に示すように、前記玄関Eに隣接する居室20の床構造体Frは、コンクリート躯体Fの逆小梁Bb1上に、遮音板21を介して平行に横架される複数の大引ビーム22と、それらの大引ビーム22上にそれらと直交して横架固定され複数の根太23と、それらの根太23上に敷設される床板24とより構成される。床板24は、下地材24aに仕上板24bを一体に接着して構成され、該仕上板24bの端縁が、前記上框14に連接される。
【0018】
しかして、図5に示すように、大引ビーム22および床板24の端縁は、コンクリート躯体Fの鉛直躯体壁Fvとの間に小隙dが形成されて、直接接触することがなく絶縁状態にあり、これにより、玄関Eの床廻りに作用する衝撃振動が、該玄関Eに隣接する居室20に直接伝播しないようになっている。
【0019】
玄関Eの床廻りは、前記した構造を備えていることにより、該玄関Eへの人や荷物の出入などにより、玄関Eの床廻りに発生した衝撃振動は、持出梁Fe−Bと玄関床スラブFe−Sfとにより二重構造の玄関躯体部分Feを経て建物のコンクリート躯体F全域へと拡散伝播し、しかもその衝撃振動は、その伝播過程で、遮音部材である発泡スチロール11により減衰吸収されるので、前記衝撃振動は、玄関Eの床廻りのところで効果的に遮音されて、階下の居室などに振動騒音となって伝播されるのを可及的に低減することができる。また、玄関躯体部分Feは、同階の隣接する室20の床構造体Frに直接接触することがないので、玄関Eの床廻りの衝撃振動は、同階の居室20への伝播も大幅に低減することができる。
【0020】
つぎに、図6,7を参照して本発明の第2実施例について説明する。
【0021】
図6は、玄関とこれに隣接する居室の一部の縦断面図、図7は、図6の7−7線に沿う部分断面図であり、これらの図において、前記第1実施例と同じ要素には、同じ符号が付される。
【0022】
この第2実施例は、玄関Eの床廻りの玄関躯体部分Feを構成する持出梁Fe−Bの、居室20側の側壁部分9に打増部30が一体に成形され、この打増部30の上面に、複数の大引ビーム22の一端部が支持部材Suを介して高さ調整可能に支持される。支持部材Suは、打増部30の上面に遮音板32を介して支持される基板31と、この基板31上に起立される一対の螺杆33に螺合されるナット34により昇降調節可能に支持される、断面凹状の受部材35とより構成され、この受部材35に、凹状の遮音ゴム36を介して大引ビーム22が支持される。前記第1実施例と同じく、複数の大引ビーム22上には、複数の根太23が支持され、それらの根太23上に床板24が敷設され、床板24の一端は上框14に連接され、また、大引ビーム22の端面と、持出梁Fe−Bの側面間には、小隙dが形成されている。
【0023】
この第2実施例のものでは、打増部30を一体に形成した持出梁Fe−Bと、玄関床スラブFe−Sfとより玄関躯体部分Feを二重構造とすることができ、前記第1実施例のものと同じ効果を奏する。
【0024】
つぎに、図8〜10を参照して本発明の第3実施例について説明する。
【0025】
図8は、本発明玄関の床廻り構造を実施した住宅の一部の平面図、図9は、図8の9−9線に沿う断面図、図10は、図8の10−10線に沿う断面図でありこれらの図において、前記第1、第2実施例と同じ要素には、同じ符号が付される。
【0026】
この第3実施例は、アルコーブA付の玄関Eに本発明の床廻り構造を実施した場合であり、アルコーブA付の玄関躯体部分Feは、該玄関床スラブFe−Sfと、その上に密閉状の空隙部10を介して櫓状に一体に成形される持出梁Fe−Bとにより二重構造に形成されている。前記密閉状の空隙部10の中間部には、玄関EとアルコーブAとに跨がるように逆小梁Bb2が通っており、この逆小梁Bb2は、玄関躯体部分Feと持出梁Fe−Bの上壁部分8とを一体に結合する。前記密閉状の空隙部10内には、前記逆小梁Bb2の両側において、遮音部材である発泡スチロール11が装填されている。
【0027】
図9に示すように、玄関Eの両側、すなわち持出梁Fe−Bの両側において、それと平行に配置される複数の大引ビーム22は、コンクリート躯体Fの逆小梁Bb2上に支持され、また、図10に示すように、玄関Eの後方、すなわち持出梁Fe−Bの後方において、平行に配置される大引ビーム22は、持出梁Fe−Bの後側の側壁部分9の形成した打増部30と逆小梁Bb2間に支持部材Suを介して支持されている。そして、それらの大引ビーム22上には、それらと直交して複数の根太23が支持され、それらの根太23上に床板24が敷設される。大引ビーム22の端面は、前記第1,2実施例と同じく建物の躯体部分と接触することがない。
【0028】
玄関Eの床廻りは、前記した構造を備えていることにより、該玄関Eへの人や荷物の出入りなどにより、玄関Eの床廻りに発生した衝撃振動は、二重構造の持出梁Fe−Bおよび玄関床スラブFe−Sfと、それらを一体に結合する逆小梁Bb2を経て建物のコンクリート躯体F全域へと拡散伝播し、しかもその衝撃振動は、その伝播過程で、遮音部材である発泡スチロール11により減衰吸収されるので、前記衝撃振動は、玄関Eの床廻りのところで効果的に遮音されて、階下の居室などに振動騒音となって伝播されるのを可及的に低減することができるばかりでなく、玄関Eの床廻りは、同階の隣接する室20の床構造体Frに直接接触することがないので、玄関Eの床廻りの衝撃振動は、同階の居室への伝播も大幅に低減することができる。
【0029】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0030】
たとえば、前記実施例では、本発明を、逆梁構造の躯体を備えた集合住宅に実施した場合を説明したが、これを他の建物にも実施できることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本請求項各項記載の発明によれば、玄関の床廻りに発生した衝撃振動は、持出梁と玄関床スラブとにより二重構造の玄関躯体部分を経て建物のコンクリート躯体全域へと拡散伝播させることができ、しかもその衝撃振動は、その伝播過程で、発泡スチロールなどの遮音部材により減衰吸収されるので、前記衝撃振動は、玄関の床廻りのところで効果的に遮音されて、階下の居室などに振動騒音となって伝播されるのを可及的に低減することができる。また、玄関躯体部分は、同階の隣接する居室の床構造体に直接接触することがないので、玄関の床廻りの衝撃振動は、同階の居室への伝播も大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明玄関の床廻り構造を備えた集合住宅の図2の1−1線に沿う一部破断平面図(第1実施例)
【図2】図1の2−2線に沿う断面図
【図3】図1の3−3線に沿う拡大断面図
【図4】図1の4−4線に沿う拡大断面図
【図5】図4の5−5線に沿う断面図
【図6】玄関とこれに隣接する居室の一部の縦断面図(第2実施例)
【図7】図6の7−7線に沿う部分断面図
【図8】本発明玄関の床廻り構造に実施した住宅の一部の平面図(第3実施例)
【図9】図8の9−9線に沿う断面図
【図10】図8の10−10線に沿う断面図
【符号の説明】
10・・・・・・・・・・空隙部
11・・・・・・・・・・遮音部材(発泡スチロール)
12・・・・・・・・・・遮音板
14・・・・・・・・・・上框
19・・・・・・・・・・玄関床
20・・・・・・・・・・居室
Fr・・・・・・・・・・床構造体
Fe・・・・・・・・・・玄関躯体部分
Fe−B・・・・・・・・持出梁
Fe−Sf・・・・・・・玄関床スラブ
Claims (2)
- コンクリート躯体構造をもつ住宅において、
玄関(E)の床廻りの玄関躯体部分(Fe)を、玄関床スラブ(Fe−Sf)と、該玄関床スラブ(Fe−Sf)上にこれと一体に打設成形される持出梁(Fe−B)とにより二重構造に構成し、前記玄関床スラブ(Fe−Sf)と持出梁(Fe−B)との間に形成される空隙部(10)に、発泡スチロールなどの遮音部材(11)を装填し、前記持出梁(Fe−B)の居室(20)側の縁部上面には、上框(14)を遮音板(12)を介して接合し、この上框(14)に、持出梁(Fe−B)とは絶縁状態にある床構造体(Fr)の端縁を隣接配置し、さらに持出梁(Fe−B)の上面には、玄関床(19)が敷設されることを特徴とする、住宅における玄関の床廻り構造。 - 前記玄関床スラブ(Fe−Sf)と、持出梁(Fe−B)とは、それらと一体に打設成形される梁(Bb2)により一体に結合されてなることを特徴とする、前記請求項1記載の、住宅における玄関の床廻り構造。
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