JP3802655B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器に関するものである。本発明の熱交換器は、燃焼ガス等と水との間で熱交換を行うものとして特に好適であり、給湯器に採用する熱交換器として好ましいものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用給湯器や風呂の様な火炎によって水を加熱する機器には、熱交換器が内蔵されている。
これらの機器に内蔵される熱交換器は、銅パイプにフィンを取りつけた単純な構造のものが一般に利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、一つの給湯器から風呂や洗面所あるいは台所といった多数の箇所に給湯させる給湯システムの需要が高く、給湯器に内蔵する熱交換器は大容量化の要求が強い。その一方で給湯器の設置スペースに制約があり、熱交換器の外形はできるだけ小さくしなければならない。そのため熱交換器は、流体流路を高密度に内蔵する必要があり、且つ高い熱交換効率を有することが要求される。
しかしながら、従来技術の様な銅パイプにフィンを取りつけた構造の熱交換器では、流体流路の高密度化や、熱交換効率の向上に限界がある。
【0004】
また従来技術の熱交換器は、銅パイプを曲げ加工して水が通過する流体流路を構成するので、製造に手間を要する問題がある。特に従来技術の構造で流体流路の高密度化を図るためには、狭い容積の中で銅パイプを何度も何度も折り返して長い流路を作る必要があり、製造に著しい手間を要する問題がある。
そこで本発明者らは、これらの問題点を解決するために鋭意研究し、従来技術の銅パイプに代わって、板体によって流体流路を構成する熱交換器を開発した。本発明者らが開発した熱交換器を簡単に説明すると次の通りである。
【0005】
すなわち本発明者らが開発した熱交換器は、角形の筒状体と集合管部、集合管部から分岐された複数の流体流路及びフィンによって構成されている。この熱交換器の特徴は、板体によって流体流路を構成した点にある。すなわち流体流路は、凹溝が設けられた二枚の板体が重ね合わせられたものであり、凹溝同士によって一連の流体流路が構成されている。そして前記した流体流路(二枚の板体の組み合わせ)は、筒状体内に多数平行に並べて配されている。また入口側集合管部は、各流体流路を垂直方向に貫通し、入口側集合管部の貫通部分は、流体流路の流路の一端に開口している。出口側集合管部も同様であり、各流体流路を垂直方向に貫通し、出口側集合管部の貫通部分は、流体流路の他端に開口している。
そして流体流路同士の間には、フィンが溶接されている。例えば4個の流体流路30a,30b,30c,30dが配された熱交換器であれば、図14の様に3個のフィン31a,31b,31cが使用されることとなる。
【0006】
本発明者らが開発した熱交換器は、板状の流体流路を平行に配するものであるから、狭い容積内に多数の流体流路を内蔵することができる。また従来技術で必須であった銅パイプの曲げ加工も不要であり、製造も容易である。
しかしながら、上記した熱交換器を試作して実験を重ねる内、上記した熱交換器は、各流体流路の吸熱バランスを確保することが難しく、各流体流路の温度ばらつきが大きいことが分かった。また各流体流路を個別に見ても、水の昇温状態が理想的なものではないことが分かった。
【0007】
すなわち上記した構成の熱交換器は、伝熱面積を確保するために、流体流路にフィンが溶接されるが、筒状体へ熱が逃げることを防ぐためにフィンは、各流体流路の間だけに配する必要がある。従って図14の様に4個の流体流路30a,30b,30c,30dが配された場合にあっては、中央にある流体流路30b,30cには、両脇にフィン31a,31b又は31b,31cが溶接されるが、両端部の流体流路30a,30dには、一方の面だけにフィン31a又は31cが溶接されることとなる。
【0008】
そのため端部に位置する流体流路30a,30dには、中央部分に比べて約半分の数のフィンしか溶接されない。従って両端の流体流路30a,30dの伝熱面積は、中央のそれに比べて少なく、流体流路30a,30dを通過する水の昇温は劣る。
【0009】
また各流体流路を個別に見た場合、バーナ側に近い熱媒体導入側は、雰囲気温度が高いために昇温が急激であり、バーナ側から遠い熱媒体出口側は、雰囲気温度が低いために昇温が緩やかである。
この様な熱媒体導入側と熱媒体出口側における昇温カーブの相違は、いずれの形式の熱交換器でも生じる現象ではあるが、上記した構成の熱交換器は、流体流路ごとの温度の相違が大きいことと相まって、流体流路の各部の水温のコントロールが著しく困難となる。その結果、部分的に沸騰が生じたり、低水温の部位が生じるといった問題がある。
【0010】
そこで本発明は、上記した熱交換器をさらに改良し、吸熱バランスが取れて各流体流路の温度ばらつきが小さく、流体流路を流れる水温のコントロールが容易な熱交換器を開発することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そして上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、熱媒体が通過する筒状体と、二以上の板体の重ね合わせによって構成され板体同士の空隙を加熱又は冷却しようとする流体が流れる板状の流体流路と、該流体流路同士の間に設けられて流体流路に接するフィンを有し、筒状体内に前記板状の流体流路が並列に4列以上配された熱交換器であって、端部に位置する流体流路に接するフィンは、他のフィンに比べて伝熱面積が大きいことを特徴とする熱交換器である。
【0012】
本発明の熱交換器では、前述した熱交換器と同様に、流体流路同士の間に設けられて流体流路に接するフィンを有するが、端部に位置する流体流路に接するフィンは、他のフィンに比べて伝熱面積が大きいものが採用されている。そのため端部に位置する流体流路の全伝熱面積は増大し、中央部に配された流体流路の全伝熱面積に近い全伝熱面積が確保される。
【0013】
上記の発明をより具体化した請求項2に記載の発明は、端部に位置する流体流路に接するフィンは、他のフィンに比べて熱媒体通過方向に長いことを特徴とする請求項1記載の熱交換器である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、フィンの熱媒体通過方向の長さに変化を設け、端部に位置する流体流路に接するフィンの伝熱面積を中央部のそれに比べて大きくしたものである。
【0015】
また同様の具体的態様を示した請求項3に記載の発明は、端部に位置する流体流路に接するフィンは、他のフィンに比べて流体流路の間隔方向に長いことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、フィンの流体流路の間隔方向の長さに変化を設け、端部に位置する流体流路に接するフィンの伝熱面積を中央部のそれに比べて大きくしたものである。
【0017】
上記の発明をより具体化した請求項4に記載の発明は、フィンのピッチは熱媒体導入側に比べて熱媒体排出側が狭いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱交換器である。
【0018】
請求項4記載の発明は、フィンのピッチに変化を設けることにより、熱媒体導入側の伝熱面積を熱媒体排出側の伝熱面積に比べて小さくしたものである。
【0019】
また同様の具体的態様を示した請求項5に記載の発明は、フィンの熱媒体導入側端部には切り欠きが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱交換器である。
【0020】
請求項5記載の発明は、フィンの熱媒体導入側端部には切り欠きを設けることにより、熱媒体導入側の伝熱面積を熱媒体排出側の伝熱面積に比べて小さくしたものである。
【0021】
また上記した発明を改良した請求項記載の発明は、流体流路は、二以上の板体の重ね合わせによって構成され、少なくとも一つの板体の内面側には連続する凹溝が設けられ、該凹溝内を流体が流れることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の熱交換器である。
【0022】
本発明は、前述した開発経緯に基づいた構成であり、流体流路が二以上の板体の重ね合わせによって構成された熱交換器に適用したものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の熱交換器の分解斜視図である。図2は、図1の熱交換器で採用する流体流路の分解斜視図である。図3は、流体流路を構成する板体の集合管取りつけ部の拡大断面図である。図4は、流体流路を構成する板体の流路部の拡大断面図である。図5は、図1の熱交換器に採用されるフィンの斜視図である。図6は、図1の熱交換器の平面図である。図7は、図6のA−A断面図である。図8は、本発明の他の実施形態の熱交換器の図6相当位置での断面図である。図9は、図8の実施形態の熱交換器に採用されるフィンの斜視図である。図10乃至図12は、本発明の他の実施形態の熱交換器の図6相当位置での断面図である。図13は、本発明の他の実施形態の熱交換器に採用されるフィンの斜視図及び平面図である。
【0024】
図1において、1は、本発明の実施形態の熱交換器を示す。本実施形態の熱交換器1の基本構成は、前述の「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した熱交換器と同一であり、角形の筒状体2と入口側集合管部3と出口側集合管部4、4個の流体流路5及び3個のフィン6によって構成されている。
【0025】
順次説明すると、筒状体2は鋼板、錫びき鉄板、亜鉛びき鉄板、あるいはステンレススチール等の金属材料の薄板で作られたものであり、開口形状が長方形の筒体である。すなわち筒状体2は、長手の壁面7と、短辺側の壁面8によって囲まれた角筒状である。
筒状体2の両端の開口部分には、バーナや排気管等の他部材と接合するためのフランジ10,11が設けられている。
【0026】
入口側集合管部3及び出口側集合管部4は、いずれも断面形状が円形の管であり、側面には一定間隔ごとに開口12が設けられている。
【0027】
流体流路5は、図2の様に対掌形状の二枚の板体15,16が重ね合わされて構成されたものである。
すなわち板体15,16は、銅等の熱伝導に優れた素材をプレス加工して作られたものであり、一連の凹溝17が設けられている。凹溝17は、板体15,16の一つの角部から始まり、板体15,16の長手方向に伸び、端部で「U」字状に折り返して他端側に至り、これを繰り返して蛇行状に板体15,16の全域に広がっている。そして凹溝17は、始点の対角位置で終了している。
【0028】
板体15,16の凹溝17の始点部位及び終点部位の断面形状は、図3の通りであり、中心部分に開口20が設けられている。また開口20の端部は、バーリング加工がなされ、外側に向かって張り出している。凹溝17の他の部位の断面形状は、図4の様であり、凹溝17は、僅かな平面部21を挟んで設けられている。
【0029】
板体15,16同士は、溶接或いは端部同士を折り曲げることによって重ね合わされ、凹溝17同士が合致すると共に平面部21同士と周面部同士が液密に接合されている。その結果、凹溝17同士によって四面が閉鎖される。そして凹溝17同士によって形成される空隙により、蛇行状に板体15,16の全域に広がる一連の流路が形成される。なお、流体流路5は、板体15,16を別々にプレス加工して製造した後に重ね合わせても良いが、一枚の薄板に板体15と板体15の凹溝17を隣接してプレスし、両者の中間部を折り曲げて一体化することにより製作することも可能である。すなわち流体流路5は、図2に示すような二つの板体15,16を別個にプレスした後に両者を接合しても良く、また二つの板体15,16の各辺のいずれか同士が接合された展開形状の板体をプレス成形し、これを折り曲げることによって製作しても良い。
【0030】
フィン6は、図5に示す様なコルゲートフィン(波板状フィン)であり、銅等の熱伝導に優れた素材の薄板を適当な角度で互い違いの方向に折り返したものである。
【0031】
本実施形態の熱交換器1は、4組の流体流路5a,5b,5c,5d(いずれも板体15,16の組み合わせ)を有し、これらが角形の筒状体2内に、長手の壁面7と平行に並べて配されている。
そして各流体流路5の長手方向の端部18は、筒状体2の短辺側の壁面8に溶接されている。
【0032】
また各流体流路5の凹溝17の始点及び終点の開口20は、同一直線状に並び、これらを垂直方向に連通して入口側集合管部3と出口側集合管部4が挿入されている。入口側集合管部3及び出口側集合管部4には、前記した様に一定間隔に開口12が設けられており、この開口は、いずれも各流体流路5の凹溝17内に位置する。また凹溝17の開口20と入口側集合管部3及び出口側集合管部4との間は、水洩れしないように溶接されている。
【0033】
入口側集合管部3及び出口側集合管部4は、流体流路5を構成する板体15,16を垂直方向に貫いて連通し、短辺側の壁面8と平行に延びて長手の壁面7を貫通し、外部に引き出されている。
本実施形態の熱交換器1では、入口側集合管部3と出口側集合管部4は、筒状体2の短辺側の壁面8に近接した位置にあり、集合管部3,4は、短辺側の壁面8と接していることが望ましい。また両者を当接させることが構造上困難である場合には、両者の隙間d(図1)が5mm以内となる様に設計することが推奨される。
すなわち入口側集合管部3を筒状体2の短辺側の壁面8に近接した位置に設けることにより、入口側集合管部3は、筒状体2のバーナ側であって、短辺側の壁面8に近接した位置に配されるので、短辺側の壁面8近くの燃焼ガスは、入口側集合管部3によって遮られ、中央側に流れる。
【0034】
また出口側集合管部4を筒状体2の短辺側の壁面8に近接した位置に設けることにより、出口側集合管部4のバーナ側の部位は、局部的に高気圧になり、燃焼ガスが滞留し、燃焼ガスの大部分は、中央側に逃げる。
その結果、いずれの短辺側の壁面8近傍でも、燃焼ガスの通過量は少なく、短辺側の壁面8の温度上昇は小さい。また本来、短辺側の壁面8の近傍を通過する燃焼ガスは、筒状体2の中央部分に流れるので、流体流路に接して熱交換に寄与し、熱交換効率が向上する。
【0035】
またフィン6a,6b,6cは、流体流路5a,5b,5c,5d同士の間に配されており、折り曲げ部分が板体15,16の表面に溶接されている。すなわちフィン6aは、流体流路5a,5bの間にあって流体流路5a,5bの双方に溶接されている。またフィン6bは、流体流路5b,5cの間にあって流体流路5b,5cの双方に溶接されている。さらにフィン6cは、流体流路5c,5dの間にあって流体流路5c,5dの双方に溶接されている。なお、本実施形態の熱交換器1では、フィン6は、伝熱面積を増大させる機能の他、流体流路5を固定する機能も兼ね備えている。
【0036】
そしてここで肝心な点は、本実施形態の熱交換器1では、フィン6a,6b,6cの伝熱面積が異なり、端部に位置する流体流路5a,5dに接するフィン6a,6cは、中央のフィン6bに比べて伝熱面積が大きい点である。すなわち本実施形態の熱交換器1では、図7に示すように、中間部に設けられたフィン6bは、流体流路5aの表面にある5つの凸部(凹溝17の裏面)の内、バーナ側(熱媒体導入側)から数えて3つ目から5つ目までの長さであるのに対し、端部に位置する流体流路5a,5dに接するフィン6a,6cは5つの凸部全てに渡る長さを持つ。言い換えると、端部に位置する流体流路5a,5dに接するフィン6a,6cの熱媒体通過方向の長さは、中間部に設けられたフィン6bの熱媒体通過方向の長さの約2倍であり、フィン6a,6cは、中央のフィン6bに比べて約2倍の伝熱面積を持つ。
【0037】
また視点を変えると、中央のフィン6bは、バーナ側(熱媒体導入側)の伝熱面積が熱媒体排出側の伝熱面積に比べて小さいものであるといえる。
【0038】
次に本実施形態の熱交換器1の作用を説明する。本実施形態の熱交換器1は、給湯器等に内蔵される。そして入口側集合管部3が給水源に接続され、出口側集合管部4はカラン等の給湯栓に接続される。水は、入口側集合管部3から熱交換器1内に入る。そして水は、入口側集合管部3の開口12から3等分に分割されて各流体流路5に均等に導入される。水は、さらに各流体流路5の凹溝17によって構成される流体流路を並列的に流れ、出口側集合管部4に集められて給湯栓に至る。
【0039】
また熱交換器1の筒状体2は、ガスバーナ等の熱源に接続される。そしてガスバーナ等が発する燃焼ガス(熱媒体)は、筒状体2を軸方向に流れ、各流体流路5やフィン6に当たって熱交換を行う。
【0040】
ここで本実施形態の熱交換器1は、開発途上の熱交換器と同様に、中央にある流体流路5b,5cには両脇にフィン6a,6b,6cが溶接され、両端部の流体流路5a,5dには、一方の面だけにフィン6a,6cが溶接されているものの、両端部の流体流路5a,5dに溶接されたフィン6a,6cの熱媒体通過方向の長さは、中間部分のフィン6bの長さの約2倍であり、各流体流路5a,5b,5c,5dの全伝熱面積の差異は小さい。そのため各流体流路5a,5b,5c,5dの受熱量は、ほぼ均等であり、吸熱バランスが良い。
【0041】
また中央のフィン6bは、バーナ側(熱媒体導入側)の伝熱面積が熱媒体排出側の伝熱面積に比べて小さいものとなっているから、熱媒体導入側での水の昇温カーブは比較的緩やかなものとなる。逆に熱媒体排出側においては、比較的熱量の高い熱媒体が流れるため、昇温カーブはやや急なものとなる。そのため、流体流路5を流れる水の昇温カーブは、平滑化し理想に近いものとなる。さらに本実施形態の熱交換器1では、バーナの火力が強すぎる傾向となる筒状体2の中心部分であって、火炎に近接するバーナ側(熱媒体導入側)の位置にはフィンが無い。そのため火炎によってフィンが焼けたり変形するといった懸念もない。
【0042】
以上の実施形態では、フィン6の熱媒体通過方向の長さを異ならせることによってフィン6a,6b,6cの伝熱面積に変化をつけ、また中央に設けられたフィン6bのバーナ側(熱媒体導入側)部分を欠落させることにより、バーナ側の伝熱面積を熱媒体排出側の伝熱面積に比べて小さいものとした。
しかしながら、本発明はこの構成にこだわるものではなく、端部に位置する流体流路5a,5dに接するフィン6a,6cの伝熱面積を、中央のフィン6bの伝熱面積に対して大きなものとすれば、相当の作用効果が期待できる。またバーナ側(熱媒体導入側)の伝熱面積を熱媒体排出側の伝熱面積に比べて小さいものでありさえすれば相当の作用効果が期待できる。
【0043】
以下、他の方策によって端部に位置する流体流路5a,5dに接するフィン6a,6cの伝熱面積を、中央のフィン6bのそれに比べて増大させる構成、および他の方策によってバーナ側の伝熱面積を熱媒体排出側の伝熱面積に比べて減少させる構成について列記する。以下に説明する熱交換器1は、いずれも各流体流路5a,5b,5c,5dの受熱量がほぼ均等であり、吸熱バランスが良い。流体流路5を流れる水の昇温カーブは平滑である。
【0044】
図8は、中央のフィン6bのバーナ側(熱媒体導入側)部分に逆「U」字形の切り欠き25を設けたものである。図9は、本構成に使用するフィン6bの斜視図であり、切り欠き25は、流体流路5a,5dの長手方向全域に渡って設けられている。
本実施形態の熱交換器1では、中央のフィン6bは、切り欠き25の面積だけ伝熱面積が減少するので、相対的に端部に位置する流体流路5a,5dに接するフィン6a,6cの伝熱面積が、中央のフィン6bに比べて大きなものとなる。また、バーナ側(熱媒体導入側)の伝熱面積は熱媒体排出側の伝熱面積に比べて切り欠き25の面積だけ小さい。従って流体流路5を流れる水の昇温カーブは平滑である他、火炎によってフィンが焼けたり変形する懸念もない。
【0045】
図10は、流体流路5a,5b,5c,5dの間隔を不均一に設定したものであり、フィン6は、流体流路5の間隔に応じて幅が異なるものを配置したものである。すなわち図10に示す熱交換器1では、流体流路5a,5b,5c,5dの間隔X,Yの内、中間部の流体流路5b,5cの間隔Yは、端部の流体流路5a,5b又は5c,5dの間隔Xよりも短い。そのため中央のフィン6bは、幅が狭く伝熱面積が小さく、逆に端部に位置する流体流路5a,5dに接するフィン6a,6cは、中央のフィン6bに比べて幅が大きく伝熱面積が大きい。
【0046】
図11は、前記した流体流路5a,5b,5c,5dの間隔を不均一に設定する方策と、図7の様な中央に設けられたフィン6bのバーナ側(熱媒体導入側)部分を欠落させる方策とを併用した例である。すなわち図11に示す熱交換器1では、中間部の流体流路5b,5cの間隔Yは、端部の流体流路5a,5b又は5c,5dの間隔Xよりも短く端部に位置する流体流路5a,5dに接するフィン6a,6cは、中央のフィン6bに比べて伝熱面積が大きい。また、中央のフィン6bは、バーナ側(熱媒体導入側)の伝熱面積が熱媒体排出側の伝熱面積に欠落部分だけ小さく、水の昇温カーブは平滑であり、また火炎によってフィンが焼ける懸念もない。
【0047】
また図12は、前記した流体流路5a,5b,5c,5dの間隔を不均一に設定する方策と、図8の様な逆「U」字形の切り欠き25を設ける方策とを併用した例である。すなわち図12に示す熱交換器1では、中間部の流体流路5b,5cの間隔Yは、端部の流体流路5a,5b又は5c,5dの間隔Xよりも短く端部に位置する流体流路5a,5dに接するフィン6a,6cは、中央のフィン6bに比べて伝熱面積が大きい。また、中央のフィン6bは、バーナ側(熱媒体導入側)の伝熱面積が熱媒体排出側の伝熱面積に切り欠き25の面積だけ小さく、水の昇温カーブは平滑であり、また火炎によってフィンが焼ける懸念もない。
【0048】
また上記した例は、いずれもフィン6のピッチが熱媒体通過方向に一定であることを前提としたが、フィン6のピッチを熱媒体通過方向に変化させることによりバーナ側の伝熱面積を熱媒体排出側の伝熱面積に比べて小さいものとすることも可能である。
【0049】
図13は、フィン6のピッチを熱媒体通過方向に変化させた例を示すものである。本実施形態の熱交換器1では、フィン6は流体流路5a,5b,5c,5dの間にそれぞれ二つずつ配されている。フィン6は図13(a)の様に二つのフィンの組み合わせによって構成されている。図13(b)は、上側のフィン28の平面図であり、(c)は下側のフィン29の正面図である。すなわち流体流路5同士の隙間であって、バーナ側(熱媒体導入側)の部位には、図13(a)(b)の様にピッチの大きいフィン29が配されており、熱媒体排出側には、図13(a)(b)の様にピッチの小さなフィン28が配されている。本実施例の熱交換器1では、バーナ側に設けられたフィン29は、ピッチが大きいので、熱媒体排出側に比べて伝熱面積が小さい。
【0050】
以上述べた実施形態ではフィンはいずれもコルゲートフィンを採用したが、これ以外のフィンも勿論採用可能である。
【0051】
また以上述べた実施形態は、本発明の効果が最も顕著にあらわれる例として、対掌形状の板体15,16を重ね合わせたものを例示したが、板体のいずれか一方に凹溝があれば、他方の板体は平板状であっても良い。
【0052】
【発明の効果】
請求項1記載の熱交換器では、端部に位置する流体流路に接するフィンは、他のフィンに比べて伝熱面積が大きいものが採用されている。そのため本発明の熱交換器では、端部に位置する流体流路の全伝熱面積は増大し、中央部に配された流体流路の全伝熱面積に近い全伝熱面積が確保される効果があり、吸熱バランスに優れる効果がある。そのため熱交換器内の流体が部分的に沸騰するといった不具合は解消される。
【0053】
請求項2に記載の熱交換器は、フィンの熱媒体通過方向の長さに変化を設けることにより、端部に位置する流体流路に接するフィンの伝熱面積を中央部のそれに比べて大きくすることが可能となり、吸熱バランスに優れる効果がある。
【0054】
同じく請求項3に記載の熱交換器は、フィンの流体流路の間隔方向の長さに変化を設けることにより端部に位置する流体流路に接するフィンの伝熱面積を中央部のそれに比べて大きくすることが可能となり、吸熱バランスに優れる効果がある。
【0055】
請求項4記載の発明は、フィンのピッチに変化を設けることにより熱媒体導入側の伝熱面積が熱媒体排出側の伝熱面積に比べて小さなものとなり、昇温カーブが理想に近いものとなる効果がある。
【0056】
さらに請求項5記載の発明は、フィンの熱媒体導入側端部には切り欠きを設けて熱媒体導入側の伝熱面積が熱媒体排出側の伝熱面積に比べて小さくしたものであり、昇温カーブが理想に近いものとなる効果がある。
【0057】
請求項記載の熱交換器は、上記した効果に加えて、狭い容積内に多数の流体流路を内蔵することができる効果があり、製造も容易であるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の熱交換器の分解斜視図である。
【図2】 図1の熱交換器で採用する流体流路の分解斜視図である。
【図3】 流体流路を構成する板体の集合管取りつけ部の拡大断面図である。
【図4】 流体流路を構成する板体の流路部の拡大断面図である。
【図5】 図1の熱交換器に採用されるフィンの斜視図である。
【図6】 図1の熱交換器の平面図である。
【図7】 図6のA−A断面図である。
【図8】 本発明の他の実施形態の熱交換器の図6相当位置での断面図である。
【図9】 図8の実施形態の熱交換器に採用されるフィンの斜視図である。
【図10】 本発明の他の実施形態の熱交換器の図6相当位置での断面図である。
【図11】 本発明の他の実施形態の熱交換器の図6相当位置での断面図である。
【図12】 本発明の他の実施形態の熱交換器の図6相当位置での断面図である。
【図13】 本発明の他の実施形態の熱交換器に採用されるフィンの斜視図及び平面図である。
【図14】 開発途上の熱交換器の図6相当位置での断面図である。
【符号の説明】
1 熱交換器
2 筒状体
3 入口側集合管部
4 出口側集合管部
5a,5d 端部に位置する流体流路
5b,5c 中央にある流体流路
6a,6b,6c フィン
7 長手の壁面
8 短辺側の壁面
15,16 板体
17 凹溝

Claims (6)

  1. 熱媒体が通過する筒状体と、二以上の板体の重ね合わせによって構成され板体同士の空隙を加熱又は冷却しようとする流体が流れる板状の流体流路と、該流体流路同士の間に設けられて流体流路に接するフィンを有し、筒状体内に前記板状の流体流路が並列に4列以上配された熱交換器であって、端部に位置する流体流路に接するフィンは、他のフィンに比べて伝熱面積が大きいことを特徴とする熱交換器。
  2. 端部に位置する流体流路に接するフィンは、他のフィンに比べて熱媒体通過方向に長いことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
  3. 端部に位置する流体流路に接するフィンは、他のフィンに比べて流体流路の間隔方向に長いことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
  4. フィンのピッチは熱媒体導入側に比べて熱媒体排出側が狭いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱交換器。
  5. フィンの熱媒体導入側端部には切り欠きが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱交換器。
  6. 流体流路は、二以上の板体の重ね合わせによって構成され、少なくとも一つの板体の内面側には連続する凹溝が設けられ、該凹溝内を流体が流れることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の熱交換器。
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