JP3802596B2 - 電子カメラ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電子カメラ、より詳しくは、メカニカルシャッタを搭載し、固体撮像素子の駆動をフレーム蓄積モードで行うことにより、フレーム画像を得て、ICカード等の記録媒体に画像データを記録及び再生する電子カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は従来例の電子カメラ30の構成を示すブロック図である。
撮影する被写体像は結像するためのレンズ1、メカニカルシャッタ(以下、メカシャッタと略記)2、光学ローパスフィルタ(以下、光学LPFと略記)3を介して固体撮像素子としての電荷結合素子(以下、CCDと略記)4に結像され、CCD4によって光電変換され、撮像信号となる。
【0003】
CCD4は画素として機能するフォトダイオード部が、縦形オーバーフロードレイン構造のインターライン型CCDである。
CCD4から読み出された撮像信号は撮像プロセス回路5で信号処理される。この撮像プロセス回路5で信号処理された撮像信号は、A/Dコンバータ6でアナログの撮像信号がデジタルの信号に変換される。
【0004】
A/Dコンバータ6でデジタル変換された撮像信号はデジタル処理回路7でデジタル処理が行われる。例えば、撮像信号をメモリへ書き込む作業がここで行われ、撮像信号は画像データとして扱われる。
デジタル処理回路7でデジタル処理された画像データは、圧縮・伸長回路8にて画像圧縮、即ち、データ圧縮が行われる。
【0005】
圧縮・伸長回路8にて画像圧縮された画像データは、カードインタフェース(以下、カードI/Fと略記)9にて、記録媒体としてのICカード10へ記録をするためのデータ変換が行われる。
カードI/F9にてデータ変換された画像データは、中央演算処理装置(CPUと略記)20からの記録のコマンドによりICカード10へ記録される。
【0006】
さらに、デジタル処理回路7ではモニタ等で画像表示させるために、デジタル処理された画像データがD/Aコンバータ11を通され、デジタルの画像データがアナログの画像信号に変換される。
D/Aコンバータ11によってアナログ変換された画像信号は、ビデオ出力端子12からビデオ信号として出力され、モニタでの表示などに利用される。
以上が記録時の信号の流れを示す。
【0007】
再生時では、ICカード10から再生画像データを読み取り、カードI/F9にて画像データに変換する。
カードI/F9にてデータ変換された画像データは、圧縮・伸長回路8にて画像伸長、即ち、データ伸長が行われる。
圧縮・伸長回路8にて画像伸長された画像データは、デジタル処理回路7でデジタル処理が行われる。
【0008】
デジタル処理回路7でデジタル処理された画像データは、モニタ等で画像表示させるために、デジタル処理された画像データをD/Aコンバータ11に入力しデジタルの画像データがアナログの画像信号に変換される。
D/Aコンバータ11にてアナログ変換した画像信号は、ビデオ出力端子12からビデオ信号として出力される。
以上が再生時の信号の流れを示す。
【0009】
このような、記録及び再生のコントロールは全て、CPU20にて制御が行われる。
使用者は操作部22のレリーズボタンを操作することによって撮影したいタイミングで画像の記録を行うことができると共に、図示せぬ再生ボタンを操作することにより撮影した画像を再生することができる。
さらに、使用者へ表示部21によって電子カメラ30の状態を知らせることができる。
これらも、CPU20にて制御が行われている。
【0010】
CPU20ではさらに、最適な露出で画像を得るようにするために、測光センサ18にて測光情報を検出し測光回路19にて処理されたデータを基にレンズ系、撮像系を制御する。
例えば、レンズドライバ15はCPU20から得たデータを基に、レンズ1及びメカシャッタ2を制御している。
【0011】
信号発生器17は、CCD4及び撮像プロセス回路5を駆動させる信号を送る。
信号発生器17から、CCD4へ駆動させる信号の一部は、Vドライバ14にて処理が行われる。この駆動信号は垂直方向の駆動信号φVとしてCCD4へ送られる。
【0012】
また、CCD4で光電変換された光電荷の蓄積期間を可変にする(以下、素子シャッタと略す)の機能を用いることにより、メカシャッタ2を動作させることなく、短い露光期間で各フィールドの画像を得られるようにしている。つまり、適正な露光期間を越える露光期間での電荷を不要電荷排出のためのクロック(SUBと略記)で排出するようにしている。
【0013】
また、CCD4のブルーミング対策上、バイアス回路13にてCCD4の過剰電荷の消去能力を高めるために、SUBにDC電圧(SUB電圧VSUBと記す)を重畳させて、CCD4に印加するようにしている。
【0014】
ブルーミングはフォトダイオードに蓄積できる信号電荷量に限度があるため、照度の高い光のスポットが入射したときに、光電変換により生じた信号電荷がフォトダイオードから溢れだして隣接したフォトダイオードや電荷転送部に流れ込み、画像崩れを生じる現象である。
【0015】
図6は縦形オーバーフロードレイン構造のインターライン型CCDの構造を示すブロック図である。
図1の信号発生器17から発生する駆動信号で駆動する複数列の垂直シフトレジスタ100と、隣接するフォトダイオード101と、フォトダイオード101に蓄えられた信号電荷を垂直シフトレジスタ100に読出すトランスファーゲート領域102と、垂直シフトレジスタ100の一端に設けられた水平シフトレジスタ103と信号電荷を検出する信号検出器104で構成されている。
【0016】
図7は図6におけるA−A線の断面を示す。
N型半導体基板200は接合の浅いPウェルの第1領域201と接合の深いPウェルの第2領域202で形成されている。
第1領域201の接合N型領域が形成された領域部分はフォトダイオード、いわゆる光電変換領域203として作用する。
【0017】
第2領域202は埋込みチャネル204からなる垂直シフトレジスタ即ち転送電極205が形成される。
その主面は絶縁層206を介して転送電極205が配置されている。
光電変換領域203と埋込みチャネル204は高いP型不純物層からなるチャネルストップ領域207によって分離されている。
【0018】
また光電変換領域203と対応する埋込みチャネル204は間にトランスファーゲート領域208が配置されている。
さらに、光電変換領域203以外には金属層209で遮光されている。
ブルーミング抑制はN型半導体基板200と、Pウェルの第1領域201及び第2領域202との接合に逆バイアス電圧を印加し、光電変換領域203直下のPウェルの第1領域201を完全に空乏化(空乏層化)する。
【0019】
図8は図7におけるB−B線上の深さ方向における電位分布図を示している。
トランスファーゲート領域208がオン状態になると光電変換領域203のN型領域の電圧が曲線210のようにセットされる。このとき浅いPウェルの第1領域201は完全に空乏化するように基板電圧211を印加する。
【0020】
光電変換領域203で光情報を蓄積するときはトランスファーゲート領域208をオフ状態にする。
光電変換領域203のN型領域の電位は蓄積される電子によって曲線212のように浅くなる。
【0021】
しかし強い光が照射されても曲線212の状態の場合、光電変換領域203のN型領域と第1領域201の接合が順方向になり発生した信号は全てN型半導体基板200に排出されブルーミング抑制される。
縦形オーバーフロードレイン構造は基板電圧211によってブルーミング抑制ができ、基板電圧211をさらに大きくすることにより曲線213′のように発生した電荷を全て基板に掃きだすことが可能になる。
【0022】
このDCの制御は電子ボリューム(以下、EVRと略記)16にて行う。
EVR16は、CPU20からデータを受取り、適切なDC値を設定し、バイアス回路13へ供給する。
【0023】
図9は従来の記録時に至るまでのタイミングチャートである。
VDは垂直の同期信号である。ここで、1フィールドごとにCCD4から読みだされた画像を1〜7と番号付けする。
【0024】
フレーム蓄積を実現するためには例えば、CCD4の読出し信号SG1,SG2のように1フィールド交互に読出しが必要である。
これにより、1フレームの読出がされることになる。つまり、SG1にて奇数フィールドの電荷が読出されて、SG2にて偶数フィールドの電荷が読出されることになる。
【0025】
露光期間はSUBによって決定される。上述のようにSUBは不要電荷排出のためのクロックを表し、このクロックがOFFの期間が露光期間となるが、厳密には露光期間はこのクロックのOFF開始直後からCCD4の読出し信号SG1,SG2の立ち下がりの期間を示す。
【0026】
このように、CCD4から読出された信号は1フィールド後に(1フィールドの)映像信号として出力される。
映像信号は奇偶フィールド交互に出力され、最終的に奇偶フィールド1組即ち1フレーム画像とされる。
【0027】
また、上述のようにブルーミング抑制のためにSUBにはSUB電圧VSUBが印加されている。
記録動作を説明する。
【0028】
使用者は操作部22のレリーズボタンを操作すると、CPU20にて記録動作開始のためのトリガ信号であるTRIGが発生される。
TRIGの発生から1フィールド後に測光回路19のデータを基にレンズドライバ15にてメカシャッタ2を駆動させ、最適な露光期間を設定する。ここで、露光期間はSUBのOFF開始直後からメカシャッタ2が閉じられるまでの期間となる。この画像を3(ODD)と表す。
【0029】
その次のフィールドは、SUBはOFFのままメカシャッタ2が閉じられた状態を保持する。この画像を4(EVEN)と表す。
この場合、SG2によりCCD4から撮像プロセス回路5に出力される映像信号は、2つの画像の和の画像に対応したものとなる。つまり、3の画像、即ちSUBのOFF開始直後からメカシャッタが閉じられるまでの露光期間の画像(この画像を3(EVEN)と表す)と、上記SUBはOFFのままメカシャッタが閉じられている露光期間の画像4(EVEN)との和の画像に相当するものが映像信号として出力される。
【0030】
従って、
3(EVEN)+4(EVEN)
の画像が出力される。
ここで、4(EVEN)の画像はメカシャッタ2が閉じられるため画像信号の出力レベルは、
4(EVEN)=0
といえる。
【0031】
また、3(EVEN)の画像は3(ODD)の画像と同じ露光期間で得ているため、
3(ODD)=3(EVEN)
といえる。
従って、3(ODD)の画像と3(EVEN)の画像で1フレームの画像を構成することができる。記録は、上記の3(ODD)の画像と3(EVEN)の画像が記録される。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
メカシャッタ2を併用するフレーム蓄積の記録される画像において、図2のタイミングチャートの3(ODD)、3(EVEN)に相当するところが記録される画像となり、
3(ODD)=3(EVEN)
の関係とされる。
【0033】
ところが、CCD4に照度の高い光が入射したとき。即ち、高輝度の被写体を撮像したとき、上式は成立しなくなることが既に確認されている。
これは以下の理由のためとされている。
【0034】
電子のゆらぎによって、後述する基板電圧で決まるポテンシャル障壁を乗り越えて、不要電荷として、基板側に排出されてしまうためであるとされている。この不要電荷の排出量は時間経過に伴い増えるため、奇数フィールドと偶数フィールドの蓄積電荷量が一致しなくなる。
【0035】
実際の2つのフィールドの出力レベルは、
3(ODD)>3(EVEN)
となってしまう。
【0036】
即ち、記録される1フレームの画像において1つ目のフィールド画像と2つ目のフィールド画像に輝度差が生じてしまう。この場合常に、
1つ目のフィールド画像の信号レベル>2つ目のフィールド画像の信号レベルの状態として輝度差即ち信号レベル差が発生する。
従って、モニタで観察する時、再生時等において画質の低下を招く恐れがある。
【0037】
本発明の目的は、フレーム画像を構成する2つのフィールド画像の信号レベル差、即ち、輝度差がない画像を提供することにより、また、再生画像のモニタ観察時の画像の画質を向上することができる電子カメラを提供することである。
【0038】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の第1の電子カメラは、縦型オーバーフロードレイン構造を有し、フレーム画像の蓄積モードで駆動される固体撮像素子から第1フィールド画像を読み出した後に第2フィールド画像を読み出し、これら2つのフィールド画像から1フレームの画像を構成するとともに、露光期間は前記固体撮像素子の素子シャッタとメカニカルシャッタの併用により制御され、記録媒体へフレーム画像の記録及び再生を可能とする電子カメラであって、記録動作時に動作するメカニカルシャッタが閉じている期間中は、前記縦型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の基板電圧を下げるようにする制御手段を具備したことを特徴とする。
この構成により、メカシャッタの駆動によって、遮光期間のみ同時に基板電圧を下げることを実現する。
【0039】
また、本発明の第2の電子カメラは、 縦型オーバーフロードレイン構造を有し、フレーム画像の蓄積モードで駆動される固体撮像素子から第1フィールド画像を読み出した後に第2フィールド画像を読み出し、これら2つのフィールド画像から1フレームの画像を構成するとともに、露光期間は前記固体撮像素子の素子シャッタとメカニカルシャッタの併用により制御され、記録媒体へフレーム画像の記録及び再生を可能とする電子カメラであって、記録動作時に動作するメカニカルシャッタが閉動作開始時のフィールドの、次の1フィールド期間のみ、前記縦型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の基板電圧を下げるようにする制御手段を具備したことを特徴とする。
この構成により、トリガ信号によって2つ目のフィールド期間のみに基板電圧を下げることを実現する。
更に、本発明の第3の電子カメラは、縦型オーバーフロードレイン構造を有し、フレーム画像の蓄積モードで駆動される固体撮像素子から第1フィールド画像を読み出した後に第2フィールド画像を読み出し、これら2つのフィールド画像から1フレームの画像を構成するとともに、露光期間は前記固体撮像素子の素子シャッタとメカニカルシャッタの併用により制御され、記録媒体へフレーム画像の記録及び再生を可能とする電子カメラであって、通常は前記縦型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の基板電圧は下げた状態にあり、記録動作時に動作する前記固体撮像素子の可変蓄積期間とメカニカルシャッタの動作期間であるフィールド期間だけ、前記縦型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の基板電圧を上げるようにする制御手段を具備したことを特徴とする。
この構成により、通常は基板電圧を下げた状態のままで、トリガ信号によって1つ目のフィールド期間のみに基板電圧を上げることを実現する。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態はメカシャッタを閉じて記録媒体へ記録するための1フレームの画像を構成する2つのフィールド画像の輝度差を解消或いは抑制するように、固体撮像素子に印加されるSUBパルスに、時間的に制御されたDCバイアス電圧を加えて、記録した画像を表示する場合に2つのフィールド画像間で輝度差の少ない質の良い画像が得られるようにしたものである。
【0041】
第1の実施の形態の電子カメラの基本的な構成は図1の従来例の電子カメラ30の構成と同一であるので、異なるところのみ説明する。
【0042】
第1の実施の形態の電子カメラにおいては、CPU20による制御の下で電子ボリューム(EVR)16を経由してCCD4に印加するSUB電圧VSUB、即ち基板電圧のレベルを時間的に制御する。
【0043】
バイアス回路13は、本実施の形態ではメカシャッタ2の遮光期間のみ基板電圧を下げることにより、光電変換領域と基板間とのポテンシャル障壁を大きく(高く)し、この遮光期間に光電変換領域に蓄積された電荷が基板側に排出されるのを防止するようにしている。
【0044】
図2は第1の実施の形態の記録時に至るまでのタイミングチャートである。
動作内容は従来の技術で述べた内容と、CCD4に印加するSUBパルスのSUB電圧VSUBを時間的に変更する動作以外は殆ど同じであり、主に異なる部分の説明を行う。
【0045】
操作部22のレリーズボタンを操作することにより、CPU20にて記録開始のためのトリガ信号TRIGを発生し、このトリガ信号TRIGから1フィールド後に、測光回路19の測光データを基に最適な露光期間に達すると、CPU20はレンズドライバ15にメカシャッタ2の動作、即ちOPEN(開)からCLOSE(閉)への切り替え動作指示を出す。
【0046】
この切り替えのタイミング期間はSUBのクロックOFF後、即ち露光期間開始後からそのフィールド内のCCD4の読出し信号の期間内に動作する。
CPU20はメカシャッタ2の切り替え動作指示と同時に、SUB電圧VSUBの電圧値を直接制御する手段としての電子ボリューム(EVR)16へ電圧を下げる動作指示を出す。
【0047】
EVR16はCPU20より得たデータを基に電圧値を設定する。
この電圧値はバイアス回路13へ供給され、SUBクロックに重畳されているSUB電圧VSUBの電圧値のDCレベルを下げ、光電変換領域に蓄積された電荷が基板側に排出されるのを防止する。
【0048】
そして、メカシャッタ2のCLOSE(閉)した後の垂直の同期信号VDに同期したSG1により、CCD4から奇数フィールドの撮像信号が読み出され、撮像プロセサ回路5を経て3(ODD)の映像信号となり、A/Dコンバータ6等を経てこの3(ODD)の映像信号はICカード10に記録される。
【0049】
また、メカシャッタ2がCLOSE(閉)した状態で、次の1フィールド期間が経過すると、垂直の同期信号VDに同期したSG2により、CCD4から偶フィールドの撮像信号が読み出され、撮像プロセス回路5を経て3(EVEN)+4(EVEN)の映像信号となり、A/Dコンバータ6等を経てこの3(EVEN)+4(EVEN)の映像信号はICカード10に記録される。
【0050】
次のフィールドになると、CPU20は再びレンズドライバ15にメカシャッタ2の動作、即ちCLOSE(閉)からOPEN(開)への切り替え動作指示を出す。
切り替えのタイミング期間は1フィールド期間内(図2に示す5の画像のフィールド)であればよい。
【0051】
CPU20はメカシャッタ2の切り替え動作指示と同時に、SUB電圧VSUBの電圧値を直接制御する手段としての電子ボリューム(EVR)16へ電圧を元の電圧値に戻す動作指示を出す。
【0052】
EVR16はCPU20より得たデータを基に電圧値を設定する。
この電圧値はバイアス回路13、即ち時間的なSUB電圧設定手段へ供給され、SUBクロックに重畳されているDCレベルを初期の電圧値に戻す(上げる)。
【0053】
上記メカシャッタ2がCLOSE(閉)している遮光期間ではSUB電圧VSUBは下げられて光電変換された電荷は基板側に殆ど漏れない状態を保つように設定されているので、図2の4の画像の4(EVEN)は殆ど0となり、また3(EVEN)は3(ODD)と殆ど等しくなる。つまり、ICカード10に記録された1フレーム画像の奇偶フィールドの両画像は輝度差のない画像となる。
【0054】
このため、ICカード10に記録された1フレーム画像を再生してモニタの画面に表示した場合にも、奇偶フィールドの両画像は輝度差のない画質の良い画像となる。
従って、本実施の形態は以下の効果を有する。
【0055】
メカシャッタ2を併用したフレーム蓄積の記録において、記録されるフレーム画像を構成する2つのフィールド画像のうちメカシャッタ2で閉じられている露光期間中のSUB電圧VSUBを下げる制御を設けたため、記録されるフレーム画像を構成する2つのフィールド画像は輝度差のない画像が出力できる。
【0056】
さらに、SUB電圧VSUBを下げることはブルーミングの抑圧効果が下がることになるが、SUB電圧VSUBを下げている期間は、メカシャッタ2で閉じられている期間、即ち、遮光されている期間のため耐ブルーミング特性を損なうことがなく、最適条件のまま記録が可能である。
【0057】
(第2の実施の形態)
この電子カメラは、SUB電圧VSUB、即ち基板電圧のレベルを時間的に制御する手段を有する。その構成は図1と同様の構成であり、第1の実施の形態とはSUB電圧VSUBを変更する仕方が異なり、その他は第1の実施の形態と殆ど同じである。
図3は本実施の形態の記録時に至るまでのタイミングチャートである。
【0058】
動作内容は従来の技術で述べた内容と、CCD4に印加するSUBパルスのSUB電圧VSUB、即ち基板電圧のレベルを時間的に制御することを除けば、殆ど同じである。つまり、SUB電圧VSUBはメカシャッタ2のOPEN(開)からCLOSE(閉)への切り替え動作直後のVD(垂直同期信号)に同期して、電圧が下がるように設定されている。
【0059】
CPU20ではレンズドライバ15にメカシャッタ2の動作、即ちOPEN(開)からCLOSE(閉)への切り替え動作指示を出す。
切り替えのタイミング期間はSUBクロックOFF後、即ち露光期間開始後からそのフィールド内のCCD4の読出し信号の期間内に動作する。
【0060】
CPU20はメカシャッタ2の切り替え動作指示後、直後のVDを検出してSUB電圧VSUBの電圧値を直接制御する手段としてのEVR16へ電圧を下げる動作指示を出す。
EVR16はCPU20より得たデータを基に電圧値を設定する。
【0061】
この電圧値はバイアス回路13、即ち時間的なSUB電圧設定手段へ供給され、SUBクロックに重畳されているDCレベルを下げ、光電変換領域に蓄積された電荷が基板側に排出する(漏れる)ことを防止する。
CPU20では1フィールド期間のみ、このSUB電圧設定を維持するように制御する。
【0062】
CPU20は1フィールド期間終了後、SUB電圧の電圧値を直接制御する手段としてのEVR16へ電圧を元の電圧値に戻す動作指示を出す。
EVR16はCPU20より得たデータを基に電圧値を設定する。
【0063】
この電圧値はバイアス回路13へ供給され、SUBクロックに重畳されているDCレベルを初期の電圧値に戻す。
次の1フィールド期間内ではCPU20によって再びレンズドライバ15にメカシャッタ2の動作、即ちCLOSE(閉)からOPEN(開)への切り替え動作指示を出す。
【0064】
本実施の形態の電子カメラは、2つ目のフィールド期間はメカシャッタ2はCLOSE(閉)期間であることがあらかじめ判っているため、VDでSUB電圧VSUBの電圧値制御を管理することにより、処理シーケンスの簡略化が図られることを可能にしている。
【0065】
本実施の形態は以下の効果を有する。SUB電圧を下げる制御をVDに同期させることにより、メカシャッタ2と連動する必要がなく処理の簡素化を実現している。
さらに、SUB電圧VSUBの電圧変化するときに発生するノイズが露光期間中に発生することはないため、記録されるフレーム画像を構成する2つのフィールド画像にノイズの影響を受けることなく記録することが可能となる。
【0066】
(第3の実施の形態)
この電子カメラは、SUB電圧VSUB、即ち基板電圧のレベルを時間的に制御する手段を有する。その構成は図1と同様の構成であり、第1或いは第2の実施の形態とはSUB電圧VSUBを変更する仕方が異なり、その他は第1の実施の形態と殆ど同じである。
【0067】
図4は本実施の形態の記録時に至るまでのタイミングチャートである。
動作内容は従来の技術で述べた内容と、CCD4に印加するSUBパルスのSUB電圧VSUB、即ち基板電圧のレベルを時間的に制御することを除けば、殆ど同じである。つまり、SUB電圧VSUBは通常電圧を掛けない状態に設定されている。
【0068】
そして、記録される1フレーム画像のうち1つ目のフィールド画像のみSUB電圧VSUBを上げる制御を行う。
操作者が操作部22のレリーズボタンを操作することにより撮影が行われ、TRIG信号が発生される。
【0069】
TRIG信号が発生された次のフィールドから2フィールド分が、記録画像となるフィールド画像となる。
【0070】
CPU20はTRIG信号を検出してTRIG信号が発生された次のフィールド期間に、SUB電圧設定を行う。
CPU20はこの期間中のみ、SUB電圧VSUBの電圧値を直接制御する手段としてのEVR16へ電圧を上げる動作指示を出す。
【0071】
EVR16はCPU20より得たデータを基に電圧値を設定する。
この電圧値はバイアス回路13へ供給され、SUBクロックに重畳されているDCレベルを上げる。
【0072】
CPU20はこの期間終了後、再びSUB電圧の電圧値を直接制御する手段EVR16へ電圧を基に下げる動作指示を出す。
EVR16はCPU20より得たデータを基に電圧値を設定する。
この電圧値はバイアス回路13へ供給され、SUBクロックに重畳されているDCレベルを基に戻す。
【0073】
なお、このSUB電圧の制御はVDに同期したタイミング期間でも構わない。
本実施の形態の電子カメラは、記録される1フレーム画像のうち1つ目のフィールド期間はメカシャッタと併用して露光をしなければならないためSUB電圧の設定が必要であるが、それ以外の2つ目のフィールド期間及び記録しない他のフィールドはSUB電圧の設定は不要である。よって、必要なフィールドのみSUB電圧の供給を制限することを可能にしている。
【0074】
本実施の形態は以下の効果を有する。記録されるフレーム画像を構成する2つのフィールド画像のうちSUB電圧を上げることが必要な期間のみSUB電圧を供給しているため、記録以外の期間には高電圧の供給を不要としている。即ち、省電力化が可能である。
【0075】
(第4の実施の形態)
記録しようとする1フレーム画像を構成する2つのフィールド画像に起きる信号レベル差は高輝度の被写体の撮影の時のみ発生する現象であることを述べた。
そこで、図1に示すところの、測光センサ18にて高輝度の被写体を検出し、検出した情報を測光回路19にて、2つのフィールド画像に起きる信号レベル差が起きるくらいの高輝度の被写体であるかどうかを判定し、結果をCPU20に送る。
【0076】
CPU20は、測光回路19から撮影している被写体が高輝度であるという結果情報を得た場合、SUB電圧VSUBの電圧値の変更の動作指示を出す。SUB電圧VSUBの電圧値の変更の動作指示は第1ないし第3の実施の形態のいずれを採用しても良い。より具体的には通常の画像(記録媒体に記録していない画像)に対して、ブルーミング抑制のためにSUB電圧VSUBの電圧値を高くしている場合には第1或いは第2の実施の形態を適用でき、一方、通常はSUB電圧VSUBの電圧値を下げている場合には第3の実施の形態を適用することができる。
【0077】
CPU20は、測光回路19から撮影している被写体は高輝度ではない、即ち、信号レベル差は起きない明るさであるという結果情報を得た場合、SUB電圧VSUBの電圧値の変更の動作指示は送らない(従って、具体的には、SUB電圧VSUBの電圧値を高くしたまま或いは低くしたままの状態を維持することになる)。
【0078】
この場合の動作を図5を用いて説明する。図5は高輝度被写体を検出して、SUB電圧の設定を変えるところ動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS1で測光センサ18により撮影する被写体の輝度レベルを検出する。
【0079】
次のステップS2で測光回路19は測光センサ18から検出データを受けとり輝度レベルがどの位のレベルにあるのか処理を行う。
次のステップS3で測光回路19は高輝度レベルであるか否かの判断を行う。つまり測光回路19は測光センサ18から得た検出データが高輝度レベルの被写体であるか否かの判断を行う。そして、高輝度レベルの被写体であると判断した場合には次のステップS4に移る。
【0080】
ステップS4では測光回路19はCPU20へ高輝度であることを通知するデータを転送する。
次のステップS5では上記データを受け取ると、CPU20はEVR16向けのデータ変換を行い、その変換後にステップS6のようにCPU20はEVR16へデータ転送を行う。
【0081】
次のステップS7でEVR16はCPU20からのデータより適切なDC電圧を設定する。そして、次のステップS8で時間的バイアス回路13はEVR16からのDC電圧によって回路内部にてSUBクロックにDC電圧を重畳する(より、具体的には第1又は第2の実施の形態を適用した場合にはDC電圧を下げて重畳し、第3の実施の形態を適用した場合にはDC電圧を上げて重畳する)。
【0082】
ステップS3で、測光回路19は測光センサ18から得た検出データが高輝度被写体でないと判断した場合、上記の処理をすることなく終了する。
従って、被写体の状況に応じて判断をとり、必要な状況のみSUB電圧の電圧値の変更の動作を行うことが可能である。
【0083】
本実施の形態は以下の効果を有する。高輝度時のみに起きる現象のため高輝度時のみ機能が働くこととすることにより、通常被写体の撮影時における処理の簡素化が可能である。
【0084】
[付記]
1.被写体を撮影する固体撮像素子を有し、該固体撮像素子をフレーム画像の蓄積モードで駆動を行う信号発生器を備え、露光期間は前記固体撮像素子の可変光電荷蓄積期間とメカニカルシャッタの併用により制御され、記録媒体へフレーム画像の記録及び再生を可能とする電子カメラであって、
記録動作時に動作するメカニカルシャッタが閉じている期間中は、前記固体撮像素子の不要電荷排出のためのクロックに重畳させるDC電圧を下げるようにする制御手段を具備したことを特徴とする電子カメラ。
【0085】
(付記1の効果)
メカシャッタを併用したフレーム画像の蓄積モードの記録において、記録されるフレーム画像を構成する2つのフィールド画像のうちメカシャッタで閉じられている露光期間中のSUB電圧を下げる制御を設けたため、記録されるフレーム画像を構成する2つのフィールド画像は輝度差のない画像が出力できる。
さらに、SUB電圧を下げることはブルーミングの抑圧効果が下がることになるが、SUB電圧を下げている期間は、メカシャッタで閉じられている期間、即ち、遮光されている期間のため耐ブルーミング特性を損なうことがなく、最適条件のまま記録が可能である。
【0086】
2.被写体を撮影する固体撮像素子を有し、該固体撮像素子をフレーム画像の蓄積モードで駆動を行う信号発生器を備え、露光期間は前記固体撮像素子の可変光電荷蓄積期間とメカニカルシャッタの併用により制御され、記録媒体へフレーム画像の記録及び再生を可能とする電子カメラであって、
記録動作時に動作するメカニカルシャッタが閉動作開始時のフィールドの、次の1フィールド期間のみ、前記固体撮像素子の不要電荷排出のためのクロックに重畳させるDC電圧を下げるようにする制御手段を具備したことを特徴とする電子カメラ。
【0087】
(付記2の効果)
SUB電圧を下げる制御をVDに同期させることにより、メカシャッタと連動する必要がなく処理の簡素化を実現している。
さらに、SUB電圧を電圧変化するときに発生するノイズが露光期間中に発生することはないため、記録されるフレーム画像を構成する2つのフィールド画像にはノイズの影響を受けることなく記録が可能である。
【0088】
3.被写体を撮影する固体撮像素子を有し、該固体撮像素子をフレーム画像の蓄積モードで駆動を行う信号発生器を備え、露光期間は前記固体撮像素子の可変光電荷蓄積期間とメカニカルシャッタの併用により制御され、記録媒体へフレーム画像の記録及び再生を可能とする電子カメラであって、
通常は前記固体撮像素子の不要電荷排出のためのクロックに重畳させるDC電圧は下げた状態にあり、記録動作時に動作する前記固体撮像素子の可変光電荷蓄積期間とメカニカルシャッタの動作期間であるフィールド期間だけ、DC電圧を上げるようにする制御手段を具備したことを特徴とする電子カメラ。
【0089】
(付記3の効果)
記録されるフレーム画像を構成する2つのフィールド画像のうちSUB電圧を上げることが必要な期間のみSUB電圧を供給しているため、記録以外の期間の不要な高電圧の供給をなくしている。即ち、省電力化が可能である。
【0090】
4.高輝度被写体を検出し高輝度時のみ、上記固体撮像素子の不要電荷排出のためのクロックに重畳させるDC電圧を制御するように制御手段を具備したことを特徴とする付記1,2,3のいずれかに記載の電子カメラ。
(付記4の効果)
高輝度時のみに起きる現象のため高輝度時のみ機能が働くこととすることにより、通常被写体の撮影時における処理の簡素化が可能である。
【0091】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、メカシャッタと可変蓄積期間とを併用して固体撮像素子によりフレーム蓄積の画像を記録する電子カメラにおいて、メカシャッタを閉じて記録媒体へ記録するための1フレームの画像を構成する2つのフィールド画像の輝度差を解消或いは抑制するように、固体撮像素子に印加されるSUBパルスのDC電圧を時間的に制御するバイアス制御手段を設けているので、記録した画像を表示した場合にも2つのフィールド画像間で輝度差の少ない質の良い画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電子カメラ及び従来例の電子カメラの構成を示すブロック図。
【図2】図1の記録動作説明のタイミングチャートを示す図。
【図3】本発明の第2の実施の形態における記録動作説明のタイミングチャートを示す図。
【図4】本発明の第3の実施の形態における記録動作説明のタイミングチャートを示す図。
【図5】本発明の第4の実施の形態におけるSUB電圧設定の動作説明のフローチャートを示す図。
【図6】縦形オーバフロードレイン構造のインターライン型CCDの構造を示すブロック図。
【図7】図6のA−A線の断面の構造を示す図。
【図8】図7のB−B線上の深さ方向における電位分布を示す図。
【図9】従来例の記録動作説明のタイミングチャートを示す図。
【符号の説明】
1…レンズ
2…メカシャッタ
4…電荷結合素子(CCD)
5…撮像プロセス回路
6…A/Dコンバータ
7…デジタル処理回路
8…圧縮・伸長回路
9…カードI/F
10…ICカード
12…ビデオ出力端子
13…バイアス回路
14…Vドライバ
15…レンズドライバ
16…電子ボリューム(EVR)
17…信号発生器
18…測光センサ
19…測光回路
20…中央演算処理装置(CPU)
21…表示部
22…操作部
Claims (3)
- 縦型オーバーフロードレイン構造を有し、フレーム画像の蓄積モードで駆動される固体撮像素子から第1フィールド画像を読み出した後に第2フィールド画像を読み出し、これら2つのフィールド画像から1フレームの画像を構成するとともに、露光期間は前記固体撮像素子の素子シャッタとメカニカルシャッタの併用により制御され、記録媒体へフレーム画像の記録及び再生を可能とする電子カメラであって、
記録動作時に動作するメカニカルシャッタが閉じている期間中は、前記縦型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の基板電圧を下げるようにする制御手段を具備したことを特徴とする電子カメラ。 - 縦型オーバーフロードレイン構造を有し、フレーム画像の蓄積モードで駆動される固体撮像素子から第1フィールド画像を読み出した後に第2フィールド画像を読み出し、これら2つのフィールド画像から1フレームの画像を構成するとともに、露光期間は前記固体撮像素子の素子シャッタとメカニカルシャッタの併用により制御され、記録媒体へフレーム画像の記録及び再生を可能とする電子カメラであって、
記録動作時に動作するメカニカルシャッタが閉動作開始時のフィールドの、次の1フィールド期間のみ、前記縦型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の基板電圧を下げるようにする制御手段を具備したことを特徴とする電子カメラ。 - 縦型オーバーフロードレイン構造を有し、フレーム画像の蓄積モードで駆動される固体撮像素子から第1フィールド画像を読み出した後に第2フィールド画像を読み出し、これら2つのフィールド画像から1フレームの画像を構成するとともに、露光期間は前記固体撮像素子の素子シャッタとメカニカルシャッタの併用により制御され、記録媒体へフレーム画像の記録及び再生を可能とする電子カメラであって、
通常は前記縦型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の基板電圧は下げた状態にあり、記録動作時に動作する前記固体撮像素子の可変蓄積期間とメカニカルシャッタの動作期間であるフィールド期間だけ、前記縦型オーバーフロードレイン構造の固体撮像素子の基板電圧を上げるようにする制御手段を具備したことを特徴とする電子カメラ。
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