JP3800818B2 - 建築物の床構造及びその施工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築物の床構造及びその施工方法に係り、特に、スチールハウスに実施して有効な床構造及びその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来のスチールハウスの床構造の一例を示す斜視図、図4はその縦断面図、図3は図2の側断面図である。
スチールハウスは、基本的には木造ツーバイフォー(2×4)住宅と部材構成を同じくしており、床骨組みには2×6〜2×10の形鋼を用いて構成している。
【0003】
具体的には、図3〜図5に示すように、床根太2にはリップ溝形鋼が、また、端根太3には軽溝形鋼が用いられており、床根太2は例えば455mm間隔で配設され、その両端部を端根太3のフランジ間に嵌入して接合される。そして、接合部にはリップ溝形鋼からなるスチフナ部材4を、端根太3のウェブに一方のフランジを当接し、また、スチフナ部材4のウェブを床根太2のウェブに背中合わせに当接して配設し、端根太3のウェブとスチフナ部材4のフランジ、及び床根太2とスチフナ部材4のウェブを、それぞれドリリングタッピンねじ(以下、ビスという)で接合して床フレーム1を構成する。
【0004】
この床フレーム1は、1階では布基礎21上に直接又は木製土台23を介して載置され、メカニカルアンカー又は布基礎21に埋込まれたアンカーボルトにより固定されて設置される。なお、22は布基礎21に設けた換気口である。
そして、設置された床フレーム1上に、床下張りとして構造用合板からなる床合板5を、その長手方向を床根太2と直交させて千鳥状に敷設し、150〜200mm間隔でビスを打ち、床面を構成する。
【0005】
このようにして構成された床面上に、防湿シート6を敷設し、ついで、軽溝形鋼からなる下枠8及び上枠(上枠は図示してない)、及びリップ溝形鋼からなる縦枠9で構成した壁フレーム7を立設する。なお、10は壁フレーム7の屋内側に取付けた石膏ボード、11は床合板5上に張られたフローリング、12は断熱材を内蔵し、端根太3及び壁フレーム7の屋外側に張られた面材である。
15は床根太2の間において、床合板5の下面に設置された例えばグラスウールからなる断熱材である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
スチールハウスは、上述のように薄鋼板からなる形鋼によって床フレーム1を構成しているため、上記のように床根太2の間において床合板5の下面に断熱材15を配設する方法では、床根太2が断熱材15を突抜けて露出する構造となっているので、熱橋による熱損失が大きく、必要な断熱材15の厚みを厚くすることが求められている。
【0007】
しかしながら、上記のような対策によって床全体の熱損失を抑制したとしても、冬季には床下に露出した床根太2が冷却され、特に、布基礎21に設けた換気口22から床下に流入する外気により激しく冷却される。これにより、床フレーム1に直接接触する床合板5を介してその直上にある壁フレーム7の下枠8が冷却され、壁パネルの内部に結露が生じるおそれがある。
【0008】
このような問題を解決するために、図6、図7に示すように、床合板5の直下だけでなく、床フレーム1の下面全体を断熱材15で覆って断熱補強を行うこともある。
このように構成すれば、断熱材15を厚くする必要はないが、施工に非常に多くの工数を要し、コストも高くなる。
【0009】
また、図8、図9に示すように、床根太2の下端部に、床下の全領域を覆う断熱材15をセットすることもある。このように構成することにより床下に床フレーム1が露出しないので、前述の壁パネル内の結露の問題や断熱補強の問題は解決し易いが、断熱材15の施工が面倒であるばかりでなく、断熱材15の施工後の設備配管作業や床下点検なとがきわめて困難である。
【0010】
さらに、図10に示すように、床合板5の上面に断熱材15を設置する方法は、上述の施工面などの問題は解決するが、冬季に床下に露出している床合板5の温度が低下し、このため床合板5に接触する壁フレーム7の下枠8の温度が一層低下して、壁パネル内に結露が生じるおそれがさらに増大する。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で壁パネル内の結露の発生を抑制することのできる建築物の床構造及びその施工方法を得ることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る建築物の床構造は、形鋼製の床根太、端根太等からなり基礎上に直接又は土台を介して設置された床フレーム上に床合板を取付け、該床合板上に形鋼製の壁フレームを取付けてなる床構造において、前記床合板の壁フレームを取付ける部分に木製ランナーを配設し、前記床合板の木製ランナーで区画された領域に直接又は防湿シートを介して断熱材を敷設したものである。
【0013】
また、上記の建築物の床構造において、床合板の木製ランナーで区画された領域に、透湿性を有する断熱材を直接敷設した。
【0014】
また、本発明に係る建築物の床の施工方法は、基礎又は土台上に形鋼からなる床フレームを設置する工程と、該床フレーム上に床合板を張り付ける工程と、該床合板上の壁フレームが取付けられる部分に木製ランナーを取付ける工程と、前記床合板上に直接又は防湿シートを介して床仕上げ用根太を取付ける工程と、該床仕上げ用根太の間に断熱材を敷設する工程と、前記木製ランナー上に形鋼からなる壁フレームを設置する工程とを備えたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る床構造の斜視図、図2は図1の縦断面図である。なお、図3〜図5で説明した従来技術と同じ部分にはれこと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
13は木造2×4用ランバー材からなる木製ランナーで、上面に防湿シート6が敷設された床合板5の外周(壁パネル7の取付部分)及び間仕切り壁(図示せず)の直下にあたる部分に設置して固定されており、木製ランナー13上には壁フレーム7及び間仕切り壁が設置される。
【0016】
14は床合板5上の木製ランナー13で区画された領域内に、所定の間隔で設置されてビス等により防湿シート6を介して床合板5に固定された木製の床仕上げ用根太(転ばし根太)で、これら床仕上げ用根太14の間の防湿シート6上には、例えばポリスチレンフォームからなる断熱材15が敷設され、木製ランナー13及び床仕上げ用根太14上には、床仕上げ材としてのフローリング11が張り付けられている。
【0017】
次に、上記のように構成した本実施の形態の施工手順の一例について説明する。なお、C−235×39×20×1.0(ウェブ高さ×フランジ幅×リップ幅×板厚)のリップ溝形鋼からなる床根太2、L−238×40×1.0(ウェブ高さ×フランジ幅×板幅)の軽溝形鋼からなる端根太3、及びC−89×39×12×1.0(ウェブ高さ×フランジ幅×板厚)のリップ溝形鋼からなるスチフナ部材4を接合した床フレーム1は、あらかじめ組立てられているものとする。
【0018】
(1)所定の間隔でアンカーボルトが埋込まれた幅150mmの鉄筋コンクリート製の布基礎21上に、断面寸法89×140mmの木製土台23を配設し、アンカーボルト、メカニカルアンカーにより固定する。
(2)木製土台23上に、床フレーム1を設置し、ビス、アンカーボルト等により固定する。なお、木製土台23を省略し、クリップアングル等を介して床フレーム1を直接布基礎21に取付けてもよい。
【0019】
(3)床フレーム1上に構造用合板からなる床合板5を載置してビス等により固定し、床合板5上に防湿シート6を敷設して床パネルを構成する。
(4)床パネル上の壁フレーム7及び間仕切り壁を取付ける部分に、断面寸法89×39mmの木造2×4用のランバー材からなる木製ランナー13を配置し、釘、ビス、ボルト等により固定する。
【0020】
(5)床パネル上の木製ランナー13で区画された領域内に、所定の間隔で木製の仕上げ用根太14を配置し、ビス等で固定する。
(6)仕上げ用根太14の間において、床合板5上に例えばポリスチレンフォームからなる断熱材15を敷設する。
【0021】
(7)木製ランナー13上に壁フレーム7及び間仕切り壁を設置し、ビス等により固定する。
(8)壁フレーム7の屋内側に面材である石膏ボード10を取付けたのち、木製ランナー13及び仕上げ用根太14上に床仕上げ材としてフローリング11を配設し、ビス等で固定する。
【0022】
以上、本実施形態の施工手順について説明したが、これはその一例を示すもので、適宜変更することができる。また、各部材の数値を示したが、これに限定するものではない。
【0023】
上記のように構成した本実施形態によれば、床パネル上に断熱材を敷設するだけなので、施工がきわめて容易でコストを低減することができ、また、他の施工業者の作業や床下点検などの妨げになることもない。
また、壁フレームの直下に木製ランナーを設けたので、床フレームが冷却されても壁フレームの下枠への伝達が抑制されるため、壁パネル内に結露が発生するのを抑制することができる。
【0024】
[実施の形態2]
本実施の形態は、基本的構成は実施の形態1の場合とほぼ同じであるが、実施の形態1における防湿シート6を省略し、仕上げ用根太14が取付けられた床合板5上に直接断熱材15を敷設するようにしたものである。断熱材15としては、グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材あるいは透湿性を有する樹脂系断熱材が用いられる。なお、樹脂系断熱材で透湿抵抗の高いものは微小な孔をあけるなどして透湿が可能なように処理する。
【0025】
本実施の形態においては、床合板上に防湿シートを敷設せず透湿性を有する断熱材を敷設したので、冬季に床下が高湿になった場合でも、室内の空調設備を運転することで、床下に結露が発生するのを抑制することができる。
また、冬季に室内が高湿になった場合は、室内の水蒸気が床下に透過して布基礎に設けた換気口から外部に排出されるため、壁パネル内へ侵入する水蒸気の量が減少し、壁パネル内の結露の発生が抑制される。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る建築物の床構造は、形鋼製の床根太、端根太等からなり基礎上に直接又は土台を介して設置された床フレーム上に床合板を取付け、この床合板上に形鋼製の壁フレームを取付けてなる床構造において、床合板上の壁フレームを取付ける部分に木製ランナーを配設し、床合板の木製ランナーで区画された領域に直接又は防湿シートを介して断熱材を敷設するようにしたので、施工がきわめて容易でコストを低減することができる。
また、壁フレームの直下に木製ランナーを設けたので、床フレームが冷却されても壁フレームの下枠への伝達が抑制されるため、壁パネル内の結露の発生を抑制することができる。
【0027】
また、上記の木製ランナーで区画された領域の床合板上に、透湿性を有する断熱材を直接敷設するようにしたので、夏季に床下が高湿になった場合でも、室内の空調設備を運転することで、床下に結露が発生するのを抑制することができる。
さらに、冬季に室内が高湿になった場合は、室内の水蒸気が断熱材を介して床下に透過、換気口から外部へ排出されるため、壁パネル内へ侵入する水蒸気の量が減少し、壁パネル内の結露の発生が抑制される。
【0028】
また、本発明に係る建築物の床の施工方法は、基礎又は土台上に形鋼からなる床フレームを設置する工程と、この床フレーム上に床合板を張り付ける工程と、床合板上の壁フレームが取付けられる部分に木製ランナーを取付ける工程と、床合板上に直接又は防湿シートを介して床仕上げ用根太を取付ける工程と、これら床仕上げ用根太の間に断熱材を敷設する工程と、木製ランナー上に形鋼からなる壁フレームを設置する工程とを備えたので、上記各効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の斜視図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】従来のスチールハウスの床構造の一例の斜視図である。
【図4】図3の縦断面図である。
【図5】図4の側断面図である。
【図6】従来のスチールハウスの床構造の他の例の縦断面図である。
【図7】図6の側断面図である。
【図8】従来のスチールハウスの床構造の他の例の縦断面図である。
【図9】図8の側断面図である。
【図10】従来のスチールハウスの床構造の他の例の縦断面図である。
【符号の説明】
1 床フレーム
2 床根太
3 端根太
4 スチフナ部材
5 床合板
6 防湿シート
7 壁フレーム
8 下枠
11 フローリング
13 木製ランナー
14 床仕上げ用根太
15 断熱材
21 布基礎
22 換気口
23 土台

Claims (3)

  1. 形鋼製の床根太、端根太等からなり基礎上に直接又は土台を介して設置された床フレーム上に床合板を取付け、該床合板上に形鋼製の壁フレームを取付けてなる床構造において、
    前記床合板上の壁フレームを取付ける部分に木製ランナーを配設し、前記床合板の木製ランナーで区画された領域に直接又は防湿シートを介して断熱材を敷設したことを特徴とする建築物の床構造。
  2. 床合板上に透湿性を有する断熱材を直接敷設したことを特徴とする請求項1記載の建築物の床構造。
  3. 基礎又は土台上に形鋼からなる床フレームを設置する工程と、
    該床フレーム上に床合板を張り付ける工程と、
    該床合板上の壁フレームが取付けられる部分に木製ランナーを取付ける工程と、
    前記床合板上に直接又は防湿シートを介して床仕上げ用根太を取付ける工程と、
    該床仕上げ用根太の間に断熱材を敷設する工程と、
    前記木製ランナー上に形鋼からなる壁フレームを設置する工程とを備えたことを特徴とする建築物の床の施工方法。
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