JP3800348B2 - 往復動内燃機関用圧力リング及びピストン装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、往復動内燃機関及び空気圧縮機用圧力リング及びピストン装置に係わり、更に詳しくはブローバイ量とオイル消費量を同時に低減することが出来る往復動内燃機関及び空気圧縮機用圧力リング及びピストン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、リングとシリンダとの摩擦力低減のために、ピストンリングの使用数をできる限り少なくするという傾向になってきた。
一般に、往復動内燃機関用に用いられるピストンは、燃焼室側からの高圧燃焼ガスがクランク室側に流出するいわゆるブローバイを防止するための少なくとも一本の圧力リングと、クランク室側からの潤滑油が燃焼室側に侵入して消費されるいわゆるオイルアップを抑制するためのオイルリングとを有する。
これまでは圧力リングとしてトップリング、セカンドリング、そしてオイルリングの構成が普通であり、その圧力リングを一本にしようとすることである。
圧力リングの作用として、ブローバイを防止することの他にオイル消費の低減の作用もこれまで以上に必要になってきた。
【0003】
現在実用されている圧力リング一本、オイルリング一本の組合せは実公平1−22916号公報に開示されている。図7に示すように、ピストンヘッドに最も近く位置する圧力リング14として、図6に示すように一方の合い口端部3の外周面2と燃焼室側に面する側面8とに寄った隅部に、該側面と外周面と及び合い口端部とに開放された凹部44を有し、他方の合い口端部3′には前記凹部44に対向する位置に、装着状態で該凹部44に収容されて着座する凸部55を突設させたダブルアングル構造の合い口を有する圧力リング14により、ブローバイはトップ、セカンドリングを用いた組合せと同等の性能を示し、オイル消費は特にハイブースト時において大幅に低減された。15は組合せオイルリングを示す。
【0004】
このことは、クランク室側からのオイル消費については、ピストンが下降する時に、図8のように圧力リング14の上側面がリング溝の上側壁面6に密着している場合であり、図6から判るように出口がリング溝壁面で塞がれているためオイルの燃焼室への流入は無くオイル消費は大幅に低減された。
しかし、図7から判るようにピストンが上昇する時に、圧力リング14の下側面がリング溝の下側壁面11に密着している場合であり、図6の合い口端面3の隙間から侵入し圧力リング14の合い口隙間3′とピストンとシリンダとの隙間へガスの抜け道があることによりブローバイについては改善の余地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記に鑑み、摩擦力低減のための圧力リングとオイルリング計二本のリングとするために、一本の圧力リングで、ブローバイ量をさらに低減させ、そのことが運転時のピストン、シリンダ、リングの相互の関係によりオイル消費量にも影響し、ブローバイ量とオイル消費量を同時に大幅に低減させる圧力リングを提供することが本発明の解決しようとする課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するためには、圧力リングの下側面がリング溝下側壁面に密着している場合、合い口端面の隙間を無くすか、圧力リングの合い口隙間とシリンダとピストンとの隙間との連通を無くすようにすること、即ち流体の入口を無くすか、出口を無くすかであり、鋭意研究の結果、以下のような手段に想到した。
【0007】
本発明による往復動内燃機関用圧力リングは、一方の合い口端部の外周面と燃焼室側に面する側に寄った隅部に形成され、前記燃焼室側の側面22、外周面および合い口端部とに開放された凹部23と、合い口端部の外周面とクランク室側に面する側に寄った隅部に形成され、前記クランク室側の側面24、外周面および合い口端部とに開放された凹部25と、他の合い口端部の前記二つの凹部に対向する位置に形成され、装着状態で該二つの凹部に収容されて着座する二つの凸部27,28を有する。凸部の燃焼室側およびクランク室側の側面22,24に対する燃焼室側の側面22およびクランク室側の側面24から外周面29に向かって傾斜する傾斜面33,33’の角度θはそれぞれ15〜35度である。また、二つの凹部23,25の間には、凹部の燃焼室側の側面22およびクランク室側の側面24から外周面21に向かって傾斜する傾斜面32,32’と外周面21が交わることにより軸方向幅h 20 0.1mm以上の面26が形成される。
【0008】
装着状態では、凸部27,28の傾斜面33,33’が、凹部23,25の傾斜面32,32’と対向し、且つ二つの凹部間の面26が二つの凸部27,28の外周面29の間に配置され外周面の一部を構成する。
【0009】
本発明は、さらに、圧力リングとオイルリングを備えたピストン装置を提供する。
【0010】
【作用】
この種の合い口構造をなす圧力リングの装着状態を図4及び図5に示す。図4ではピストンが上昇する時に、圧力リングの下側面がリング溝下側壁面に密着している場合であり、高圧側からの高圧ガスはリング溝上側壁面と圧力リングの上側面との間の間隙を通して圧力リングの背後空間に流入するが、クランク室側の凸部の下壁面がリング溝下側壁面に密着し、前記二つの凹部が交わる部分が、前記凸部の外周面と同一平面になり、装着状態での二つの凹部と二つの凸部の接する面に隙間が生じないので高圧ガスの漏れはない。
図5ではピストンが下降する時に、圧力リングの上側面がリング溝の上側面に密着するが、この場合も前記と同様の作用によりクランク室側からのオイルは圧力リングの背後空間に流入するが、クランク室側の凹部および凸部の接する面に隙間が生じないので、出口がないためオイル消費は抑制される。
【0011】
【実施例】
本発明の一例による往復動内燃機関用圧力リング20は、図1〜図3に示す如く、一方の合い口端部の外周面21と燃焼室側に面する側に寄った隅部に、燃焼室側の側面22、外周面21および合い口端部とに開放された凹部23と、合い口端部の外周面21とクランク室側に面する側に寄った隅部に、前記クランク室側の側面24、外周面21および合い口端部とに開放された凹部25の二つの凹部を有する。二つの凹部間には、凹部23、25の燃焼室側の側面22およびクランク室側の側面24から外周面21に向かって傾斜する傾斜面32、32’が外周面21と交わることにより外周面の一部となる面26が形成される。圧力リング20の他方の合い口端部には二つの凹部23、25に対向する位置に、装着状態で該二つの凹部23、25に収容されて着座する二つの凸部27、28を有す。ピストンのシリンダボア内への装着時には凸部27、28の燃焼室側の側面22およびクランク室側の側面24から外周面29に向かって傾斜する傾斜面33、33’が、前記凹部23、25の傾斜面32、32’と対向した状態で、凹部23、25に凸部27、28が収容されて着座する。また、面26は二つの凸部27、28の外周面29の間に配置され外周面の一部を構成する。
【0012】
この種の合い口構造を有す圧力リング20を備えたピストンをシリンダボア内へ装着した状態を図4及び図5に示す。図4は、ピストン13が上昇する時に、圧力リング20の下側面24がリング溝下側壁面11に密着している場合であり、高圧側からの高圧ガスはリング溝上側壁面6と圧力リング20の上側面30との間の間隙を通して圧力リング20の背後空間9に流入するが、クランク室側の凸部の下側面31がリング溝下側壁面11に密着し、二つの凹部23、25間の面26が、凸部の外周面29と同一平面になり、装着状態での二つの凹部23、25と二つの凸部27、28の接する面32、32′、および33、33′に隙間が生じないので高圧ガスの漏れはない。図5はピストンが下降する時を示すが、圧力リング20の上側面30がリング溝の上側面6に密着している場合も前記と同様の作用によりクランク室側からのオイルは圧力リング20の背後空間9に流入するが、クランク室側の凹部および凸部の接する面に隙間が生じないので、出口がないためオイル消費は抑制される。
【0013】
次に、圧力リング20の各部の寸法関係を説明する。図2に示すように、凹部23、25及び凸部27、28の円周方向の長さm5、m5はリングのサイズにもよるが、ラビリンス効果をもたせるために1mm以上は必要である。凹部23、25及び凸部27、28の厚さ方向の長さa15、a15はリングの厚さa1とa15との差が0.5mm以上になるように設定する。これは、引き抜き線材を利用すると線材の各角部は丸味をもったR形状となっている。その部分を避けるために0.5mm以上必要である。二つの凹部23,25間に形成され、外周面の一部を構成する面26の軸方向幅h20は0.1mm以上とする。平面部h20のシリンダ内壁面と接触し摺動する外周摺動面の幅はその先端が鋭い線接触で理論的にはその機能は成り立つが、実際は接触する保証をする為には平面部分が必要であり、それは0.1mm以上あれば可能である。その場合、凸部27、28の角度θは15〜35度になる。ここで、凸部の角度θとは、図2に示すように凸部27、28の燃焼室側の側面22およびクランク室側の側面24に対する傾斜面33、33’の角度である。
【0014】
次に実験例を示す。
図1に示すような圧力リング20を図5のように装着し、シリンダボア径82.5mm、4気筒ガソリン、1800ml4サイクルエンジンで、オイル消費量(gr/H)とブローバイ量(リットル/min)を測定した。
比較例として従来例として説明した図6に示す圧力リングを装着した。
オイルリングは従来公知の鋼製組合せオイルリングを使用した。
その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
本発明の圧力リングを使用することにより、オイル消費量とブローバイ量を従来のダブルアングルリングに比較し、大幅に低減できることが判った。
【0017】
【発明の効果】
本発明の圧力リングを使用することにより、オイル消費量及びブローバイ量共に大幅に低減することができた。また、二本のリングで三本リングの機能を充分果たすことができるため、ピストンの長さを短くすることができ、それに対応してシリンダも小さくすることが可能となり、軽量化にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の部分見取図である。
【図2】本発明の一例の各部の寸法を示す部分見取図である。
【図3】本発明の一例の使用状態時の合い口部を示す断面図である。
【図4】本発明の一例のピストン上昇行程での断面図である。
【図5】本発明の一例のピストン下降行程での断面図である。
【図6】従来技術のピストンリングの部分斜視図である。
【図7】従来技術のピストンリングのピストン上昇行程時を示す断面図である。
【図8】従来技術のピストンリングのピストン下降行程時を示す断面図である。
【符号の説明】
3 合い口端面
3′ 合い口隙間
6 リング溝上側壁面
11 リング溝下側壁面
20 圧力リング
21 一方の合い口端部の外周面
22 燃焼室側の側面
24 クランク室側の側面
27、28 凸部
29他方の合い口端部の外周面
30 上側面
31 クランク室側の凸部の下側面
32、32′、33、33′ 凹部と凸部が接する面
Claims (2)
- 一方の合い口端部の外周面と燃焼室側に面する側に寄った隅部に形成され、前記燃焼室側の側面(22)、外周面および合い口端部とに開放された凹部(23)と、合い口端部の外周面とクランク室側に面する側に寄った隅部に形成され、前記クランク室側の側面(24)、外周面および合い口端部とに開放された凹部(25)と、他の合い口端部の前記二つの凹部に対向する位置に形成され、装着状態で該二つの凹部に収容されて着座する二つの凸部(27,28)を有する往復動内燃機関用ピストン装置において、前記凸部の燃焼室側およびクランク室側の側面(22,24)に対する燃焼室側の側面(22)およびクランク室側の側面(24)から外周面(29)に向かって傾斜する傾斜面(33,33’)の角度θがそれぞれ15〜35度であり、前記二つの凹部(23,25)の間に、凹部の燃焼室側の側面(22)およびクランク室側の側面(24)から外周面(21)に向かって傾斜する傾斜面(32,32’)と外周面(21)が交わり軸方向幅h 20 0.1mm以上の面(26)が形成され、装着状態で前記凸部(27,28)の傾斜面(33,33’)が、凹部(23,25)の傾斜面(32,32’)と対向し、且つ前記二つの凹部間の面(26)が二つの凸部(27,28)の外周面(29)の間に配置され外周面の一部を構成することを特徴とする往復動内燃機関用ピストン装置。
- 外周に一本の圧力リングと一本のオイルリングを有する往復動内燃機関用ピストン装置であって、前記圧力リングとして、請求項1記載の圧力リングを備えていることを特徴とする往復動内燃機関用ピストン装置。
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JPH08296737A JPH08296737A (ja) | 1996-11-12 |
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1995
- 1995-04-24 JP JP12045195A patent/JP3800348B2/ja not_active Expired - Fee Related
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