JP3799904B2 - 通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はビーコン信号を送受信するビーコン装置を有する複数の飛行船によって、通信ネットワークを構築する飛行船間の通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の通信ネットワークとしては、人工衛星または、地上の通信網を使ったものであるが、地上の通信網に使われる基幹の通信網は固定であり、無線通信に使用されるアンテナも一定の方向に、一定のビームとなっている。そのため、通信アンテナを相手の通信アンテナに指向させるためには、通常はビーコン装置は使用されていない。
【0003】
人工衛星で通信ネットワークを組む場合、衛星間の距離は通常、数百km〜数万kmとなり、もっとも距離の近い場合においても、衛星間通信には、高利得のアンテナを使用しており、そのビーム捕捉、追尾用には、高精度のビーコン装置が使用されている。ビーコン装置も大きい空間損失を補うため、細い一定のビーコン波を使用し、ビーコン波を走査し、捕捉、追尾動作を行っている。
【0004】
近年、空中に、そのうちでも特に、気象の影響を受けにくい成層圏に飛行船を滞留させ、その飛行船に通信機器を搭載し、空中に通信網を構築しようとしている。人工衛星を使用した通信の場合は、衛星と地上との距離が遠いため、通信の時間遅れがあることと、電波の伝播損失が大きくなるため、地上の受信アンテナを大きくしなければならない、という欠点がある。
地上の通信網は、有線または無線を使用し、構築されているが、広い範囲に有線で高速、大容量の通信網を構築するには、光ファイバーの敷設などを要し、多額の費用がかかる。また、無線を使用した地上の通信網では、ビルなど障害物の多い都市部では、支障が多い。また、広域をカバーすることも難しい。それに対して、飛行船を使用した通信網は、人工衛星に比べ、地上に近く、かつ、ビルなどの障害物より、高い位置にあるため、これらの欠点を解決できる利点がある。
【0005】
図1は、飛行船で通信網を構築した例を示した図である。
図において、1は飛行船であり、2は飛行船1を制御する地上管制局、3は飛行船1が位置、姿勢を計測するために使用するGPS衛星、4は飛行船1に搭載された地上との通信装置、5は飛行船1に搭載された飛行船間の通信を行う船間通信装置である。
【0006】
図1に示すように飛行船1に搭載された地上との通信装置4により、地上との通信を行う。しかし、一つの飛行船により、通信可能な実用範囲は、高度20kmの成層圏に滞留させた場合、地上で数百平方キロメートル程度となる。そこで、地上の通信網を使わず、広範囲の通信ネットワークを構築するには、複数の飛行船を空中に配置し、飛行船に搭載された飛行船間の通信を行う通信装置5により、飛行船間も通信を行う必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
飛行船間を高速で大量の通信を行うためには、使用周波数を高く(波長を短くして)して、広帯域伝送を可能とすることが必要である。また、飛行船は、充填気体と空気との比重差による浮力を利用し、飛行しているため、搭載機器については軽量化が必要とされる。よって、飛行船間の通信を行う通信装置5の送信出力を大きくすることは、機器重量が大きくなるためにしにくい。そのため、遠距離の通信を確保するためには、送受信用のアンテナの利得を高くするのが、一般的である。周波数が高く、利得が高いため、ビーム幅は狭くなる。したがって、複数の飛行船を配置し、通信ネットワークを構築する時には、▲1▼最初に、通信を行う相手の飛行船の通信装置5の送受信用アンテナをお互いに指向し、アンテナビームが常に相手の飛行船のアンテナを追尾するようにしなければならない、▲2▼また、飛行船間の距離はサービス区域の需要密度により、数十km〜数百kmまで変化する。これに比例して、空間損失の増減する。空間損失が増大しても、良好な通信を確保しなければならない、という課題があった。
【0008】
この発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、複数の飛行船を配置し、通信ネットワークを構築する時に、飛行船間の通信装置5の送受信用アンテナをお互いに指向できるようするとともに、距離に応じて、ビーム幅を変化させ、また、通信に適した通信波を使用することにより、通信ネットワークを常時確保できることを目的とした通信装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明による通信装置は、飛行船間距離が変化しても、距離に応じて、ビーム幅を変化させるビーコン装置を有し、飛行船停留範囲にビーコンビームが指向できるようにしたものである。
【0010】
第2の発明による通信装置は、ビーコン装置のビーコン波にレーザ光、ミリ波帯の電波、あるいは赤外線を使用したものである。
【0011】
第3の発明による通信装置は、ビーコン装置として飛行船間の距離が遠くになるに従ってビーコンのビーム幅を狭くするようにしたものである。
【0012】
第4の発明による通信装置は、上記ビーコン装置として飛行船の位置を検出し、飛行船を管制する地上管制局にから送信される通信相手の位置信号を受信し、当該位置にビーコンを送受信するようにした手段を設けたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明によるビーコン装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は飛行船で通信網を構築した例を示す図、図2は飛行船に搭載された飛行船間の通信を行う通信装置の構成例を示した図、図3は飛行船に搭載された飛行船間の通信を行う通信装置にレーザ光を使用した一例の構成を示した図、図4は船間通信装置の駆動の一例を説明する図である。図5は船間距離とビーム幅の関係を示す図である。図において1は飛行船、2は地上管制局、3はGPS衛星、4は通信装置、5は船間通信装置、6は送信器、7はビーコン送信器、8は混合器、9はアンテナ又は送信・受信光学系、10は分配器、11は受信器、12は追尾センサ、13はジンバル、14はヨー駆動機構、15はピッチ駆動機構である。
【0014】
図1、図2、図3、図4、図5により、実施の形態1での動作を示す。飛行船で構成される通信ネットワークは、図1に示すように飛行船1に搭載された地上との通信装置4により、地上との通信を行う。しかし、一つの飛行船により、通信可能な実用範囲は、高度20kmの成層圏に滞留させた場合、地上で数百平方キロメートル程度となる。そこで、地上の通信網を使わず、広範囲の通信ネットワークを構築するには、複数の飛行船1を空中に配置し、飛行船1に搭載された飛行船間の通信を行う通信装置5により、飛行船間も通信を行う必要がある。図1には、2機の飛行船のみを示したが、もちろん、必要とする通信網の範囲で、機数は増える。図2に飛行船に搭載された飛行船間の通信を行う通信装置5の構成例を示したが、飛行船間の通信を行う通信装置5の送信出力を大きくすることは、機器重量が大きくなるためにしにくい。そのため、遠距離の通信を確保するためには、送受信用のアンテナ9の利得を高くするのが、一般的である。利得が高くなると、アンテナビームは狭くなり、指向性を持つ。したがって、通信ネットワークを構成するためには、通信を行う相手の飛行船の船間通信装置5の送受信用のアンテナ9を常にお互いに指向する必要がある。飛行船は、飛行制御のため、姿勢検出の手段を有している。姿勢検出には、ジャイロ、GPS衛星3からの信号受信などにより、行われる。
【0015】
また、飛行船を管制している地上管制局2により、飛行船の位置が検出できる。したがって、通信を行う相手の飛行船1の概略方向には、船間通信装置5のアンテナ9を、船間通信装置5の全体を機械的に駆動できるヨー駆動装置14およびピッチ駆動機構15により、指向することは可能である。しかし、前述したように、通信用のビームは通信品質を確保するために狭いため、正確に相手のアンテナに指向することは、これだけではできない。
【0016】
そこで通信用のビームとは、別のビーコンと呼ばれる通信ビームより、ビーム幅の広い追尾用ビームを船間通信装置5に組み込み、ビーコンを検知し、アンテナの方向を正確に正対できるように制御している。その仕組を図3で説明する。
相手の船間通信装置5からの送信波には、通信用信号とビーコン信号がある。受信されたビームは、アンテナ9を通過後、分配器10により、追尾用のビーコン信号と通信用の受信信号に分岐される。
【0017】
追尾センサ12は、例えば、Si CCD(Silicon Charge Coupled Device)のようなX−Yの2軸(平面)に多数配列された素子により、ビーコン信号ビームの指向方向を検出し、この検出信号が、アンテナ追尾機構の指向制御情報となり、絶えず追尾センサの中央に受信波ビームが位置するようにフィードバックがかけられる。
このようして、ビーコン信号により、通信用受信信号ビームが受信できるようになる。なお、ここでは、ビームの駆動を機械的に行う方式で示したが、電子的、光学的に行うこともできる。
【0018】
最初に地上管制局2から、相手の飛行船位置を指示された時に、ビーコン信号が受信できなければ、通信用信号が受信できず、通信ネットワークが構築できない。しかし、地上管制局2などからの飛行船位置は計測誤差を含んでおり、図5に示すように相手との飛行船間距離R1で位置誤差範囲S1以上のビームの広がりがなければ、相手の飛行船に向けた時に確実に捕捉することはできない。
【0019】
飛行船船間距離がR2になった時、飛行船間距離R1の時のビーム広がりS1のままであると、ビームが捕捉するのに必要なビームS1以上に距離R2では、広がり、相手が受信する信号強度は弱くなり、送信パワーを大きくしなければならなくなる。そこで船間の距離に応じて、ビーコンのビーム幅を制御し、送信パワーを変えることなしに、確実に捕捉できるようにした。
ビーコンのビーム幅は焦点距離を変えることなどにより、簡単に制御可能である。
【0020】
アンテナの見かけの利得Gは、θをビーム幅、Kを装置に決まる一定値とすると、
【0021】
G=K/θ2
【0022】
信号強度 S は、
【0023】
【0024】
となり、船間距離Rが遠くになるにしたがい、S1を見込む角度が一定になるように、ビーコンビーム幅:θを狭くすれば、信号強度は、一定となる。
【0025】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2は、飛行船は、大気減衰の少ない高度で使用されるため、他との干渉の少ないビーコン波にレーザ波を使用するものである。また、通信用信号と波長帯をあわせることで、装置の低コストが図れる。
【0026】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3は、飛行船は、大気減衰の少ない高度で使用されるため、他との干渉の少ないビーコン波にミリ波帯の電波を使用するものである。
【0027】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4は、飛行船は、大気減衰の少ない高度で使用されるため、他との干渉の少ないビーコン波に赤外線を使用するものである。
成層圏は、地上近くと比べ、空気密度、水蒸気量が少ないので、伝播損失が少なく、飛行船間の通信の減衰が少ない。また、地上の他の通信に対しては、対流圏を通過することにより、減衰が大きくなるため、干渉、妨害を与えることが少なくなる効果がある。また、波長が短いため、帯域が広くとれる効果もある。
【0028】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、飛行船が、空中に配置され、地上管制局などの指示により、相手の飛行船に船間通信装置のアンテナを指向した時に、走査せずに、確実に船間通信が確保できるようになるとともに、船間距離が離れても、ビーコン回線の性能が維持できる。また、通信用信号の種類に応じて、波長を変えることで装置の低コストが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 飛行船で通信網を構築した例を示す図である。
【図2】 飛行船に搭載された飛行船間の通信を行う通信装置の構成例を示した図である。
【図3】 飛行船に搭載された飛行船間の通信を行う通信装置にレーザ光を使用した一例の構成を示した図である。
【図4】 船間通信装置の駆動の一例を説明する図である。
【図5】 船間距離とビーム幅の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 飛行船、2 地上管制局、3 GPS衛星、4 通信装置、5 船間通信装置、6 送信器、7 ビーコン送信器、8 混合器、9 アンテナ、
10 分配器、11 受信器、12 追尾センサ、13 ジンバル、14 ヨー駆動機構、15 ピッチ駆動機構。
Claims (4)
- 通信ネットワークを構築する複数の飛行船に備えられた通信装置であって、
前記通信装置は、通信用信号を出力する通信用送信器と、追尾用のビーコン信号を出力するビーコン送信器と、前記通信用送信器と前記ビーコン送信器とに接続され前記通信用信号と前記ビーコン信号とを送信する共用の送信手段と、通信用信号を入力する通信用受信器と、ビーコン信号を入力して当該ビーコン信号の指向方向を検出し当該ビーコン信号を追尾する追尾センサと、前記通信用受信器と前記追尾センサとに接続され前記通信用信号と前記ビーコン信号とを受信する共用の受信手段とを備え、
前記ビーコン送信器は、通信する相手飛行船と自らの飛行船との距離である飛行船間距離に応じて前記ビーム幅を制御し、
前記追尾センサは前記相手飛行船から受信したビーコン信号の指向方向を検出し、当該ビーコン信号を追尾して前記受信手段の指向方向を制御することを特徴とする通信装置。 - 前記ビーコン送信器は、前記相手飛行船の位置と前記飛行船間距離に基づき、前記飛行船間距離が遠くになるに従い前記ビーコン信号のビーム幅が狭くなるように前記ビーム幅を制御し、前記相手飛行船の位置を指向方向にして前記ビーコン信号を送信することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
- 前記ビーム幅は、前記相手飛行船の位置に含まれる計測誤差と前記飛行船間距離に基づき算出されるビーム幅以上の値であることを特徴とする請求項2記載の通信装置。
- 前記ビーコン送信器はビーコン波にレーザ光、ミリ波あるいは赤外線を用いたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の通信装置。
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