JP3799902B2 - 悪路判定装置および悪路判定方法 - Google Patents

悪路判定装置および悪路判定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、悪路判定装置および悪路判定方法に関し、詳しくは、車両が悪路を走行しているのを判定する悪路判定装置および悪路判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の悪路判定装置または悪路判定方法としては、エアバック装置などの乗員保護装置を起動する起動装置であって、加速度の最初のピークから次のピークまでの時間が所定時間以上になったときに悪路として判定するものが提案されている(例えば、特開平10−67295号公報など)。この装置では、悪路と判定されたときには、ピークから次のピークまでの時間での加速度の値に対して小さく重みを付けて取り扱うことにより、悪路走行時における悪路が起因して生じる加速度の振動成分を除去している。
【0003】
また、Gセンサからの信号に対して低周波のローパスフィルタ処理を行ない、フィルタ処理の後に波形が残るか否かにより悪路と車両の衝突を判定しようとするものも提案されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加速度の最初のピークから次のピークまでの時間により悪路を判定する場合、ピークの検出に時間を要すると共に2番目のピークを検出するまでの時間を要し、迅速に判定することができない場合が生じる。また、ローパスフィルタを用いる場合、判定に時間を要したり、衝突による波形がローパスフィルタで除去される場合も生じる。
【0005】
本発明の悪路判定装置および悪路判定方法は、迅速に悪路であるか否かを判定することを目的の一つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の悪路判定装置および悪路判定法法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の悪路判定装置は、
車両が悪路を走行しているのを判定する悪路判定装置であって、
前記車両の減速度を検出する減速度検出手段と、
該検出された減速度の第1極大値と、該第1極大値の次に生じる第1極小値とを検出する極大小値検出手段と、
該検出された第1極小値が負の値のとき、前記検出された第1極大値から前記減速度が値0となるまでの第1積分値と、該減速度が値0となってから前記第1極小値となるまでの第2積分値とを演算する積分演算手段と、
該演算された第1積分値と第2積分値とに基づいて悪路を判定する悪路判定手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の悪路判定装置では、極大極小値検出手段が、減速度検出手段により検出された車両の減速度の第1極大値と、この第1極大値の次に生じる第1極小値とを検出し、積分演算手段が、この検出された第1極小値が負の値のとき、検出された第1極大値から減速度が値0となるまでの第1積分値と、減速度が値0となってから第1極小値となるまでの第2積分値とを演算する。そして、悪路判定手段は、この演算された第1積分値と第2積分値とに基づいて悪路を判定する。本発明の悪路判定装置における悪路の判定は、悪路による減速度の変化が振動成分に由来することに基づいている。即ち、悪路による減速度の変化が振動成分に由来するから、第1極小値は負となることが多く、しかもその大きさは第1極大値ほどではないがある程度の値となる一方、車両の衝突による減速度の変化は振動成分に由来しないから、第1極小値が負となることが少なく、負の値をとったとしてもその大きさは小さいことに基づくのである。
【0009】
こうした本発明の悪路判定装置によれば、第1極小値までの検出により悪路か否かを判定するから、第2極大値を検出するものに比して迅速に悪路か否かを判定することができる。また、悪路による減速度の変化と衝突による減速度の変化の相違に基づいて判定するから、より確実に悪路であるか否かを判定することができる。
【0010】
本発明の悪路判定装置において、前記極大極小値検出手段は、前記減速度検出手段により検出された減速度に対して積分の基底として所定の複素関数を用いて積和演算する積和演算手段と、該積和演算の結果の実数部と虚数部とに基づいて位相を演算する位相演算手段と、該演算された位相に基づいて前記第1極大値と前記第1極小値とを判定する極大極小判定手段とを備えるものとすることもできる。第1極大値や第2極小値を検出する手法として、微分演算によるものもあるが、この手法、即ちウェーブレット変換を利用した手法を用いることにより、微分演算を行なわずに積和演算により求めるから、ノイズなどによるピークの誤検出を防止することができる。また、ウェーブレット変換では、時間的にも周波数的にも局在した関数を用いるから、第1極大値や第1極小値を迅速に検出することができる。この結果、悪路であるか否かの判定をより迅速に行なうことができる。この態様の本発明の悪路判定装置において、前記極大極小判定手段は、前記演算された位相が2πからゼロに変化するときを前記第1極大値として判定し、該変化した位相がπになるときを前記第1極小値として判定する手段であるものとすることもできる。
【0011】
また、本発明の悪路判定装置において、前記悪路判定手段は、前記第2積分値の絶対値の前記第1積分値に対する比が所定値以上のときに悪路と判定するものとすることもできる。
【0012】
本発明の悪路判定方法は、
車両が悪路を走行しているのを判定する悪路判定方法であって、
前記車両の減速度の第1極大値と、該第1極大値の次に生じる第1極小値とを検出し、該検出された第1極小値が負の値のとき、前記検出された第1極大値から前記減速度が値0となるまでの第1積分値と、該減速度が値0となってから前記第1極小値となるまでの第2積分値とに基づいて悪路を判定することを要旨とする。
【0013】
この本発明の悪路判定方法では、第1極小値までの検出により悪路か否かを判定するから、第2極大値を検出するものに比して迅速に悪路か否かを判定することができる。また、本発明の悪路判定装置と同様に、悪路による減速度の変化と衝突による減速度の変化の相違に基づいて判定するから、より確実に悪路であるか否かを判定することができる。
【0014】
こうした本発明の悪路判定方法において、前記車両の減速度に対して積分の基底として所定の複素関数を用いて積和演算し、該積和演算の結果の実数部と虚数部との位相が最初に2πからゼロに変化するときの減速度を第1極大値として検出し、該第1極大値を検出した後に前記位相がπになるときの減速度を第1極小値として検出するものとすることもできる。こうすれば、微分演算を行なわないから、ノイズなどによる第1極大値や第1極小値の誤検出を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は本発明の一実施例である悪路判定装置20の構成の概略を機能ブロックで示す構成図であり、図2は実施例の悪路判定装置20のハード構成の概略を示す構成図であり、図3は実施例の悪路判定装置20が車両10に搭載されている様子を例示する説明図である。実施例の悪路判定装置20は、図1に示すように、車両10の中央コンソール近傍に設置されて車両10の減速度を検出するGセンサ22と、このGセンサ22により検出された信号を入力すると共に信号の平滑処理を行なう信号入力部24と、平滑処理された信号の第1極大値とこの第1極大値の次に生じる第1極小値の時刻を検出する極大極小値検出部26と、信号入力部24により平滑処理された信号の第1極大値から信号が値0となるまでの第1積分値とこの信号が値0となったときから第1極小値までの第2積分値を演算する積分演算部28と、積分演算部28により演算された第1積分値と第2積分値とに基づいて悪路であるか否かを判定する悪路判定部30とを備える。
【0016】
実施例の悪路判定装置20のハード構成は、図2に示すように、Gセンサ22を除いて、CPU32を中心として構成されたマイクロコンピュータ31により構成されている。マイクロコンピュータ31は、CPU32の他、処理プログラムを記憶したROM34と、一時的にデータを記憶するRAM36と、入力処理回路38とを備える。図1に例示する実施例の悪路判定装置20の各部は、ROM34に記憶された処理プログラムが起動されたときに、ソフトウエアとハードウエアとが一体となって機能する。
【0017】
こうして構成された実施例の悪路判定装置20は、車両に搭載されたエアバック装置などの乗員保護装置の起動処理における前処理を行なうために用いられる。乗員保護装置の起動処理では、まず、車両の衝突が生じているのか車両が悪路を走行しているのかを判定する必要があるからである。したがって、実施例の説明としては、悪路を判定する悪路判定装置として構成し説明するが、乗員保護装置の一部に組み込まれるものとして考えても差し支えないのは勿論である。この場合、マイクロコンピュータ31は、乗員保護装置の電子制御ユニットとして機能する。図3において、車両の左右前方のサイドメンバに取り付けられて減速度を検出するGセンサ14,16は、乗員保護装置の起動処理に必要な信号を検出するものである。
【0018】
実施例の悪路判定装置20における信号入力部24は、Gセンサ22からの信号の平滑処理として、振動に起因する高周波成分を除去するためのカルマンフィルタ処理と、所定のサンプリング回数による移動平均を演算する移動平均処理とを行なう。なお、実施例では、サンプリング周波数を2k[Hz](サンプリング周期として0.5msec)とし、移動平均処理におけるサンプリング回数として10回とした。
【0019】
極大極小値検出部26は、信号入力部24により平滑処理された信号に対してウェーブレット変換を利用して第1極大値と第1極小値の時刻を検出する。図4は、極大極小値検出部26の構成の概略を機能ブロックで示す構成図である。極大極小値検出部26は、図示するように、入力された信号に対して積分の基底として所定の複素関数を用いて積和演算する積和演算部42と、積和演算の結果、即ちウェーブレット変換値の実数部Rと虚数部Iとに基づいてその大きさの位相θを演算する位相演算部44と、この演算された位相θに基づいて第1極大値の時刻と第1極小値の時刻とを判定する極大極小判定部46とを備える。以下に、極大極小値検出部26における第1極大値と第1極小値の時刻が検出できる原理について簡単に説明する。
【0020】
時系列信号X(t)のウェーブレット変換X(a,b)は、時間的にも周波数的にも局在した基本ウェーブレット関数ψ(t)を用意し、これを次式(1)に示すようにa倍スケール変換した後に原点をbだけシフト変換(並行移動)して得られる相似関数の組ψa,b(t)を基底関数とする式(2)に例示する展開となる。なお、スケール変換パラメータaは、変換周波数fに対して逆数に比例する関係を有している。
【0021】
【数1】
Figure 0003799902
【0022】
実施例では、基本ウェーブレット関数ψ(t)として、実数部Rに対して虚数部Iがπ/2だけ位相がずれた複素関数として次式(3)に示すGabor関数を用いた。ここで、式(3)中のωoは周波数fによって定まる定数(ωo=2πf)であり、αも定数である。
【0023】
【数2】
Figure 0003799902
【0024】
式(3)においてα=πとしたときのGabor関数の時間軸上の表現を図5に例示する。図示するように、Gabor関数は、時間軸上の−T〜Tの範囲に局在しており、実数部と虚数部の波形の位相がπ/2だけずれている。時系列信号X(t)に対するウェーブレット変換は、具体的には、スケール変換パラメータa(式(3)中ではωo)を適当に選択した関数と時系列信号X(t)との積和演算となる。演算の区間としては、波形が局在している範囲(図5中−T〜Tの範囲)である。この範囲をウインドウと呼ぶ。
【0025】
時系列信号X(t)のGabor関数によるウェーブレット変換X(a,b)は、Gabor関数が複素関数であることから複素数になる。図6にウェーブレット変換X(a,b)の実数部Rと虚数部Iと大きさPと位相θとの関係を示す。大きさPは次式(4)により算出され、位相θは式(5)により求められる。ここで、大きさPは、ウェーブレット変換X(a,b)の便宜的な大きさを意味し、無次元量である。また、位相θは、実数部Rと虚数部Iの大きさと符号とにより0〜2πの範囲になる。
【0026】
【数3】
Figure 0003799902
【0027】
図7は、時系列信号X(t)とウェーブレット変換X(a,b)の位相θ(t)との関係を例示する説明図である。図中、時系列信号X(t)の周波数は、区間Aが50[Hz]、区間Bが100[Hz]、区間Cが200[Hz]であり、時系列信号X(t)のサンプリング周波数は2k[Hz]である。位相θ(t)は、変換周波数fを125[Hz]を中心に周波数範囲を上下に1.5オクターブとし、1/2オクターブ毎に刻み、ウインドウの幅を変換周波数fの周期T(T=1/f)の2倍とした。なお、前述したように、変換周波数fは式(3)のGabor関数におけるωoとωo=2πfの関係を有しているから、位相θ(t)を求めるための積和演算は、時系列信号X(t)に対して変換周波数fから定まる定数ωoを代入して得られる式(3)のGabor関数を用いた演算となる。
【0028】
図示するように、時系列信号X(t)の周波数に近い変換周波数fの位相θ(t)では、時系列信号X(t)の振幅が極大(ピーク)となる時刻(図中t1,t3,t5)に2πからゼロに変化し、極小(ボトム)となる時刻(図中t2,t4,t6)にπとなる。これは次のように説明される。式(3)に示すGabor関数は、図5に例示するように、虚数部Iの波形は実数部Rの波形に対してπ/2だけズレている。いま、時系列信号X(t)の周波数に変換周波数fが略一致しているときを考える。時系列信号X(t)の振幅が極大のときには、時系列信号X(t)の波形とGabor関数の実数部Rの波形は重畳するようにマッチするから実数部Rにおける積和演算は正の値となるのに対し、虚数部Iの波形はπ/2だけずれているからその積和は値0となる。したがって、位相θは、式(5)により2πまたはゼロと演算される。式(3)の実数部Rと虚数部Iとの符号を適当に選択すれば、位相θ(t)は、極大の前後で2πからゼロに変化するようにすることができる。時系列信号X(t)の振幅が極小のときには、時系列信号X(t)の波形とGabor関数の実数部Rの波形は符号を違えて重畳するから実数部Rにおける積和演算は負の値となるのに対し、虚数部Iの積和は同様に値0となる。したがって、位相θは、式(5)によりπと演算される。なお、こうした関係は、時系列信号X(t)の周波数とウェーブレットの変換周波数fとが完全に一致している必要はなく、時系列信号X(t)の周波数の近傍の周波数以上の周波数を変換周波数fとすればよいことが図7からも理解される。
【0029】
極大や極小の検出の時間遅れtdは、図5の波形から解るように、時系列信号の波形がGabor関数の実数部Rの波形と重なるときに演算に必要な時間(演算区間)の半分、即ち周期Tとなる。例えば、変換周波数fが125[Hz]のときには、8msecとなる。時系列信号X(t)の極大や極小の時刻を検出するだけの目的であれば、図5に示すウインドウの全区間を演算区間とする必要はなく、実数部Rの波形のピークを中心により狭い範囲を演算区間としても良い。この場合、ウインドウの幅に対する演算区間の比をウインドウ係数Kという。図8にウインドウの幅とウインドウ係数Kとの関係を示す。検出の時間遅れtdとウインドウ係数Kとの関係は、td=K・Tである。例えば、変換周波数fが125[Hz]でウインドウ係数Kが0.125のときには、検出の時間遅れtdは1msecとなる。このようにウインドウ係数Kを小さくすると、検出の時間遅れtdを小さくすることができると共に演算量も少なくなる。
【0030】
変換周波数fは、実施例の悪路判定装置20が搭載される車両を用いて悪路走行実験や衝突実験などにより設定するのが望ましい。このことは、変換周波数fと検出の感度との関係から理解することができる。図9および図10は、車両の衝突の際にGセンサ22により検出された信号(減速度信号)と位相θ(t)との関係の一例を示す説明図である。図から解るように、変換周波数fが高い位相θ(t)、例えばf=250[Hz],354[Hz]の位相θ(t)では、ピーク時刻検出が敏感になり、ピークとは考えられないピーク(図9のピーク時刻tpの右側参照)をも検出する。逆に、変換周波数fが低い位相θ(t)、例えばf=44[Hz],63[Hz]の位相θ(t)では、ピーク時刻検出が鈍感になり、ピークを検出しない場合も生じる(図10のピーク時刻tp参照)。こうした関係は、車両の形状や重量などにより異なるものとなる。なお、図から推察できるように、変換周波数fは、乗用車に対しては100〜150[Hz]程度が妥当なものと考えられる。実施例では、変換周波数fとして125[Hz]を用いた。
【0031】
以上、ウェーブレット変換を利用して時系列信号における極大極の時刻や極小値の時刻を検出する原理について説明した。実施例の極大極小値検出部26では、信号入力部24により平滑処理されたGセンサ22からの信号を時系列信号として前述の原理に基づいて最初に検出された極大値の時刻を第1極大値の時刻として検出すると共にこの時刻の後に最初に検出された極小値の時刻を第1極小値の時刻として検出する。
【0032】
次に、こうして構成された実施例の悪路判定装置20の動作、即ち悪路を判定する動作について説明する。図11は、実施例の悪路判定装置20により実行される悪路判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、Gセンサ22により減速度が所定値(例えば、2Gや3Gなど)を越えたときに実行される。
【0033】
悪路判定処理ルーチンが実行されると、まず、平滑処理されたGセンサ22からの信号における第1極大値の時刻が検出されるのを待って(ステップS100)、第1積分値S1を演算するために、第1極大値の時刻t1からGセンサ22からの減速度Gの時間積分を開始する(ステップS102)。減速度Gの時間積分は、具体的には、第1極大値の時刻t1からサンプリングされ平滑処理された信号の値を加算処理することにより行なわれる。なお、信号の値にサンプリング周期を乗じて加算するものとしてもよいのは言うまでもない。なお、第1極大値の時刻の検出は、ウェーブレット変換における演算区間の半分の時間だけ遅れて行なわれるが、前述したようにウインドウ係数Kを0.125とすれば、その遅れ時間は1msecであるから、2〜3回分のサンプリングデータに遡って積分演算すればよい。
【0034】
次に、所定時間を経過する前に減速度Gが値0以下になったかを判定する(ステップS104,S106)。悪路における減速度Gの変化は、振動成分に起因すると考えられるから、通常は正の値の後に負の値になる。一方、車両の衝突における減速度Gの変化は、振動成分に起因しないから、通常は負の値にならない。この結果、減速度Gが所定時間経過しても負の値にならないときには悪路でないと判定できる。このステップS104,S106の処理は、この判定を行なう処理となり、所定時間経過を経過する前に減速度Gが値0以下にならなかったときには、悪路以外と判定して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。なお、所定時間は、車両の振動の減衰率などにより定まるものである。
【0035】
所定時間を経過する前に減速度Gが値0以下になったときには、その時刻の前までで時間積分の演算を終了し、その値を第1積分値S1とする(ステップS108)。そして、第2積分値S2を演算するために、減速度Gが値0以下となった時刻から減速度Gの時間積分を開始する(ステップS110)。この時間積分は、前述の時間積分と同様に、加算処理によって行なわれる。そして、第1極小値の時刻を検出するのを待って(ステップS112)、減速度Gの時間積分を終了し、その値を第2積分値S2とする(ステップS114)。第1極小値の時刻を検出するするときにも時間遅れが生じるが、時間積分の終了を検出した時刻に遡って行なえばよい。
【0036】
こうして第1積分値S1と第2積分値S2とを演算すると、第1積分値S1に対する第2積分値S2の比(S2/S1)の絶対値を閾値Srefと比較する(ステップS116)。前述したように、悪路における減速度Gの変化は振動成分に起因するから、第1極小値は負となるのが一般的である。しかし、車両の衝突の形態によっては、その減速度Gの第1極小値が負となる場合も生じ得る。そこで、悪路の判定をより確かなものとするために、積分値の比を閾値Srefと比較するのである。したがって、閾値Srefは、減速度Gの変化がより確かに悪路によるものであることを判定するために用いられるものであり、車両の形状や重量などにより設定されるものである。実施例では、閾値Srefを、悪路判定装置20を一般的な乗用車に搭載するものとして0.3とした。
【0037】
第1積分値S1に対する第2積分値S2の比(S2/S1)の絶対値が閾値Srefより大きいときには、悪路と判定して(ステップS118)、本ルーチンを終了し、第1積分値S1に対する第2積分値S2の比(S2/S1)の絶対値が閾値Sref以下のときには、悪路以外と判定して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。
【0038】
図12は、減速度Gと位相θとの関係を時系列に例示する説明図である。図示するように、減速度Gの第1極大値の時刻t1は、位相θが2πからゼロに変化する時刻として検出され、第1極小値t3は、位相θがπになる時刻として検出することができる。また、減速度Gが値0となる時刻t2は、減速度Gの値そのものから検出することができる。このように時刻t1〜t3を検出して減速度Gの第1積分値S1と第2積分値S2とを求め、その比から悪路を判定するのである。
【0039】
以上説明した実施例の悪路判定装置20によれば、減速度Gの第1極大値の時刻から減速度Gが値0となるまでの減速度Gの時間積分値(第1積分値S1)と、この減速度Gが値0となってから減速度Gの第1極小値の時刻までの減速度Gの時間積分値(第2積分値)に基づいて悪路を判定することができる。この結果、第1ピーク(第1極大値)から次のピーク(第2極大値)までの時間に基づいて悪路を判定するものに比して迅速に悪路を判定することができる。しかも、第1極大値や第1極小値の時刻を検出するのにウェーブレット変換を利用したから、検出までの時間を短時間とすることができる。また、ウェーブレット変換は、積和演算により行ない、微分演算を行なわないから、微分演算により極大値や極小値を判定するものに比してノイズに基づく誤検出を防止することができる。また、実施例の悪路判定装置20によれば、悪路における減速度Gの変化が振動成分に起因していることに基づいて悪路を判定するから、より的確に悪路を判定することができる。
【0040】
実施例の悪路判定装置20では、第1極大値の時刻や減速度Gが値0以下となる時刻,第1極小値の時刻の検出と第1積分値S1や第2積分値S2の演算を並行して行なったが、第1極小値の時刻を検出したときに、それまでに検出した第1極大値の時刻や減速度Gが値0以下となる時刻を用いて第1積分値S1と第2積分値S2とを演算するものとしてもよく、また、減速度Gが値0以下になる時刻を検出したときに、それまでに検出した第1極大値の時刻を用いて第1積分値S1を演算し、第1極小値の時刻を検出したときに、減速度Gが値0以下となる時刻を用いて第2積分値S2を演算するものとしてもよい。
【0041】
実施例の悪路判定装置20では、第1極大値の時刻や第1極小値の時刻を検出するのにウェーブレット変換を利用したが、ウェーブレット変換を利用しないものとしてもよい。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である悪路判定装置20の構成の概略を機能ブロックで示す構成図である。
【図2】 実施例の悪路判定装置20のハード構成の概略を示す構成図である。
【図3】 実施例の悪路判定装置20が車両10に搭載されている様子を例示する説明図である。
【図4】 実施例の極大極小値検出部26の構成の概略を機能ブロックで示す構成図である。
【図5】 Gabor関数の時間軸上の表現を例示する説明図である。
【図6】 ウェーブレット変換X(a,b)の実数部Rと虚数部Iと大きさPと位相θとの関係を示す説明図である。
【図7】 時系列信号X(t)とウェーブレット変換X(a,b)の位相θ(t)との関係を例示する説明図である。
【図8】 ウインドウの幅とウインドウ係数Kとの関係を示す説明図である。
【図9】 車両の衝突の際にGセンサ22により検出された信号(減速度信号)と位相θ(t)との関係を例示する説明図である。
【図10】 車両の衝突の際にGセンサ22により検出された信号(減速度信号)と位相θ(t)との関係を例示する説明図である。
【図11】 実施例の悪路判定装置20により実行される悪路判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図12】 減速度Gと位相θとの関係を時系列に例示する説明図である。
【符号の説明】
10 車両、14,16 Gセンサ、20 悪路判定装置、22 Gセンサ、24 信号入力部、26 極大極小値検出部、28 積分演算部、30 悪路判定部、31 マイクロコンピュータ、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 入力処理回路、42 積和演算部、44 位相演算部、46 極大極小判定部。

Claims (6)

  1. 車両が悪路を走行しているのを判定する悪路判定装置であって、
    前記車両の減速度を検出する減速度検出手段と、
    該検出された減速度の第1極大値と、該第1極大値の次に生じる第1極小値とを検出する極大小値検出手段と、
    該検出された第1極小値が負の値のとき、前記検出された第1極大値から前記減速度が値0となるまでの第1積分値と、該減速度が値0となってから前記第1極小値となるまでの第2積分値とを演算する積分演算手段と、
    該演算された第1積分値と第2積分値とに基づいて悪路を判定する悪路判定手段と
    を備える悪路判定装置。
  2. 請求項1記載の悪路判定装置であって、
    前記極大極小値検出手段は、
    前記減速度検出手段により検出された減速度に対して積分の基底として所定の複素関数を用いて積和演算する積和演算手段と、
    該積和演算の結果の実数部と虚数部とに基づいて位相を演算する位相演算手段と、
    該演算された位相に基づいて前記第1極大値と前記第1極小値とを判定する極大極小判定手段と
    を備える悪路判定装置。
  3. 前記極大極小判定手段は、前記演算された位相が2πからゼロに変化するときを前記第1極大値として判定し、該変化した位相がπになるときを前記第1極小値として判定する手段である請求項2記載の悪路判定装置。
  4. 前記悪路判定手段は、前記第2積分値の絶対値の前記第1積分値に対する比が所定値以上のときに悪路と判定する手段である請求項1ないし3いずれか記載の悪路判定装置。
  5. 車両が悪路を走行しているのを判定する悪路判定方法であって、
    前記車両の減速度の第1極大値と、該第1極大値の次に生じる第1極小値とを検出し、該検出された第1極小値が負の値のとき、前記検出された第1極大値から前記減速度が値0となるまでの第1積分値と、該減速度が値0となってから前記第1極小値となるまでの第2積分値とに基づいて悪路を判定する悪路判定方法。
  6. 前記車両の減速度に対して積分の基底として所定の複素関数を用いて積和演算し、該積和演算の結果の実数部と虚数部との位相が最初に2πからゼロに変化するときの減速度を第1極大値として検出し、該第1極大値を検出した後に前記位相がπになるときの減速度を第1極小値として検出する請求項5記載の悪路判定方法。
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