JP3799650B2 - 炉蓋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は種々の被処理物を加熱し溶融させる為の炉において、炉本体の上部を塞ぐために用いられている炉蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
被処理物の例として廃棄物を溶融させる為の炉は、廃棄物を収容してそれを加熱し溶融させる為の炉本体と、その炉本体の上部を塞ぐ炉蓋とから構成される。炉蓋には廃棄物投入口とガス排出口とが設けられている(例えば特公昭58−37371号公報参照)。
【0003】
上記のような廃棄物溶融炉では、上記廃棄物投入口から投入した廃棄物を上記加熱手段により加熱して溶融させる場合、炉蓋により炉内の熱の散逸を抑制しエネルギー損失を抑制できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記炉の操業時、炉蓋は高温例えば炉蓋上面において500℃程度となる。この為、炉蓋に変形や破損などが生じて寿命を短くする問題点があった。又上記炉蓋には上記廃棄物投入口やガス排出口を始めとしてその他に点検口や副資材の投入口、或いはそれらに関連する各種機器など多くの付属機器が備えられ、それらは種々の点検や操作を必要とする。しかし上記のように炉蓋の上面は非常に高い温度となっているため、それらの点検や操作の作業は非常に危険を伴うという問題点があった。
【0005】
そこで出願人会社においては炉蓋の上面の上方位置に作業員の乗る為の足場を設け、その足場の下では炉蓋の上面の全面に冷却水をミスト状にして吹きかけるようにすることを考えた。こうすることにより、炉蓋を冷却できるのでその変形や破損などの傷みを抑制して長寿命化を図ることができる。又、炉蓋上の設備の点検や操作の作業は上記足場の上に乗って容易に行え、しかもその場合、上記冷却により炉蓋上面が比較的低い温度に保たれるので、足場への熱輻射は少なくて足場の温度が低く保たれ、足場上での作業を安全に行うことを可能に出来る。
【0006】
しかし上記のように冷却水をミスト状にして炉蓋の全面に吹きかける手段では、多量の冷却水が必要で高いランニングコストがかかる問題点があった。又全面への冷却水の吹き掛けの為に多数のスプレーノズルが必要で、ノズル詰まり事故が生じ易い問題点があった。
【0007】
本件出願の炉蓋は上記従来技術の問題点を解決する為に提供するものである。
本件出願の目的は、炉内において被処理物を加熱し溶融させる場合に炉内からの熱の散逸を抑制して熱エネルギーの損失を抑制する為に用いることの出来る炉蓋を提供することである。
他の目的は、炉蓋を冷却水で冷やしてその変形や破損の発生を抑制し長寿命化を図り得るようにすることである。
他の目的は、炉蓋上に足場を設けてその上で炉蓋上の設備の点検や操作を行う場合、炉蓋上面を冷やすことにより炉蓋上面からの熱輻射を少なくして、上記点検や操作の作業を安全に行い得るようにすることである。
他の目的は、上記炉蓋を冷却する場合、炉蓋上面のうちの高位置の上面に供給する冷却水を、上面に沿っての流下の過程で広く拡散させて上面の広い領域を濡らしながら流下させるようにして、比較的少ない量の冷却水での上面の冷却を可能にし、ランニングコストを低く抑え得るようにすることである。
他の目的は、炉蓋上面上への冷却水の供給を行う場合、供給口の数が少なくて足りるようにして、供給口に係る事故を低減化できるようにすることである。
他の目的は、炉蓋上面において冷却水を広く拡散させる為の手段の形成を、非常に簡易に行い得るようにすることである。
他の目的は、冷却水による炉蓋上面の冷却の場合、炉蓋において熱負荷の高い箇所は冷却水のミストでもって熱交換率高く冷却し、大きな冷却効果を与え得るようにすることである。
他の目的は、上記冷却水による炉蓋上面の冷却の場合、熱負荷の低い箇所は流水によって熱交換率低く冷却し、過剰冷却を防止して炉からの熱エネルギーの損失を低く抑え得るようにすることである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明における炉蓋は、炉蓋上面冷却用の冷却水供給手段を備える炉蓋において、炉蓋の上面は冷却水が流下するよう傾斜させ、上記冷却水供給手段は、冷却水を炉蓋の上面のうちの高位置の上面に供給するようにし、炉蓋の上面には、金網を炉蓋の上面に沿わせる状態で備えさせ、上記金網における多数の網目を夫々囲んでいる各素線にあっては、上記夫々の素線における、一方が他の素線の上方に位置し、他方が他の素線の下方に位置し、各素線の一部が炉蓋の上面に接し得るような状態で夫々傾斜状になっている多数の素線を、炉蓋の上面を流下する冷却水の流れを遮ってその流れを拡散させる為の多数の堰部材として備えさせたものである。
また好ましくは、炉蓋上面冷却用の冷却水供給手段を備える炉蓋において、炉蓋の上面は冷却水が流下するよう傾斜させ、上記冷却水供給手段は、冷却水を炉蓋の上面のうちの高位置の上面に供給するようにし、炉蓋の上面には、エキスパンドメタルを炉蓋の上面に沿わせる状態で備えさせ、上記エキスパンドメタルにおける多数の網目を夫々囲んでいる各素線にあっては、上記夫々の素線における、一方が他の素線の上方に位置し、他方が他の素線の下方に位置し、各素線の一部が炉蓋の上面に接し得るような状態で夫々傾斜状になっている多数の素線を、炉蓋の上面を流下する冷却水の流れを遮ってその流れを拡散させる為の多数の堰部材として備えさせたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本願発明の実施の形態を示す図面について説明する。図1において、1は溶融炉として例示する廃棄物溶融炉である。該溶融炉1は例えば1日あたり30トン程度の焼却灰を溶融してスラグ化する能力を有するものであり、その直径は例えば4m程度である。上記溶融炉1としてはその他に30〜120トン程度の能力を有するものもあり、それらの直径は4〜7m程度である。2は溶融炉1の炉本体を示し、炉底3と炉側壁4とから構成している。それら炉底3及び炉側壁4は夫々の基材となる鋼板製の炉底板3a及び炉側板4aと、それらの上面及び内面を覆う耐火物のライニング3b,4bとから構成してある。5は溶融物排出口、6は溶融物排出口5における溶融物或いはそこで固化したものを加熱する為の補助加熱用電極である。
【0010】
次に7は上記炉本体2の上方の開口部を炉内の熱の散逸及び炉内のガスの外部への漏出を阻止する為に閉ざす為の炉蓋を示す。該炉蓋7について図2、図3をも参照して説明する。該炉蓋7は上記炉底3や炉側壁4と同様に基材8とその内面を覆うライニング9とから構成している。基材8は例えば鋼板で形成され、ライニング9は耐火物である。炉蓋7に備えられた構成のうち符号11〜21で示す構成は周知の廃棄物溶融炉において知られた構成を示す。即ち、11は加熱用の電極を挿入する為の電極口、12は電極の電気絶縁を図る為の絶縁筒、13は絶縁筒12を保持する為の保持筒で、耐熱性を有し且つ透水性の無い硬質材例えば鋼板製であり、その下端は基材8に対して水の漏れのないように固着してある。14は廃棄物の投入口、15はその周囲に備えた廃棄物の案内筒、16は排ガスの排出口、17はその周囲に備えた排ガス案内筒、18は点検口、19はその周囲に備えた案内筒、20は副資材投入口、21はその周囲に備えた副資材案内筒を夫々示す。上記各案内筒15,17,19,21は何れもその内部が炉内の高温に晒される為、基材15a,17a,19a,21aとその内面を覆うライニング15b,17b,19b,21bとで構成している。それらの基材は上記保持筒13と同様の性質を有する材料例えば鋼板で形成しており、各々の下端を上記基材8に対して水の漏れのないように固着している。ライニングは上記ライニング9と同様のものが用いられている。尚図示はしないが炉蓋7には上記した構成の他に、測温口、サンプリング口、及びそれらや上記構成に伴う各種の機器が備えられている。次に22は炉内の被処理材を加熱する為の加熱手段として例示するアーク加熱用の電極である。23,24は夫々基材8に固着した吊耳及び吊片を夫々示す。
【0011】
次に26は炉蓋7の上面を示す。該上面26は冷却水が流下するように傾斜させてある。流下させる目的は、上面26の一部に冷却水を供給すれば他の部分は上記一部の箇所から流下する冷却水によって冷却できるようにする為である。上記上面26は例えばその中央部26aを最も高くし周囲に向かって順次低くなるように形成した例を示す。
【0012】
図4、図5に示す28,28,28・・・は上面26を流下する冷却水の流れを遮ってその流れを拡散させる為の堰部材を示し、上面26を流下してくる冷却水を各所で繰り返し遮ってその拡散を行わせる為に炉蓋7の上面26に多数を散設している。それらの堰部材28は、冷却水が上面26を狭い幅の定常的な流れで流下することを阻止してその冷却水が幅広い領域を流下するようにする為に、冷却水量が少ない場合に上面26の上において冷却水が収束した流れを作り易くなる場所、例えば傾斜の角度が10〜30゜となる場所に散設している。各堰部材28の向きは、上面26を流下する冷却水の流れを遮ることが出来るようにする為に上面26における冷却水の流下方向と交差する状態にしている。各堰部材28の上面26からの配設の高さは、上面26に沿って流下する冷却水を遮る為に数mmの高さとなっている。そして上面26との関係は、遮られた冷却水が堰部材28の下を潜ったり上を乗り越えたりするよう、図5に示すように一部の堰部材28は上面26に接しており、他の堰部材28は上面26との間に隙間が出来ている。
【0013】
上記多数の堰部材28は金網29でもって構成した例を示し、その金網29における素線(金網の格子を形成する各素片)を上記堰部材28として利用している。該金網29としては例えば図4、図5に示すようなエキスパンドメタルを用い、多数の堰部材28が上面26の上に散設状態となるようにする為に、金網29を上面26に沿わせ、複数箇所を上面26に例えばスポット溶接することによって止め付けてある。ねじ止めによる止め付けであっても良い。該金網29の目の大きさは、細かい方が後述のように冷却水を拡散させる効果が大きい。しかし目が細かいと冷却水内のごみなどが目に詰まりやすくなる。従ってそれら両者を勘案して決めるのがよい。例えば図4に示す寸法L1、L2が夫々23mm、50mmのエキスパンドメタルでも十分に効果があることが確かめられている。上記金網29は、多数の堰部材28が流下する冷却水に対して前述のような位置関係となってその拡散が効率的に行われ得るようにする為に、図4の上下方向が上面26の傾斜方向となるように配設するのがよい。尚上記多数の堰部材28は、上記エキスパンドメタルに代えて、クリンプ金網と称して知られている金網を用いて構成しても良い。
【0014】
次に炉蓋7の周囲に設けられた31は冷却水の飛散防止及び流出防止の為の周壁を示し、その下端は基材8に対して水の漏れのないように固着している。32は上面26に沿って流下した冷却水が溜まる排水溜りを示し、上面26の最下部となる周辺部に出来ている。33は排水口で、上記排水溜り32に連通している。34は排水口33からの排水不良等の為に上面26上に過剰に冷却水が溜まった場合にそれを排出する為のオーバーフロー口を示す。
【0015】
次に35は炉蓋上面冷却用の冷却水供給手段で、炉蓋7の上面26に対して該上面26を冷却する為の冷却水を供給する為のものであり、冷却水を炉蓋7の上面26のうちの高位置の上面に供給するようにしている。上面26のうちの高位置の上面への冷却水の供給の目的は、高位置に供給した冷却水によってそこを冷却すると共に、その冷却水を上面26に沿って流下させ、その流下過程で冷却を行わせる為である。上記上面26のうちの高位置とは、そこに冷却水を供給するとその冷却水が他の場所に流下していくようになる場所をさし、例えば本例の炉蓋7では前記中央部26aである。冷却水供給手段35の詳細を以下に説明する。36は冷却水を分配する為のヘッダで、周壁31の内面に沿わせて配設している。37はヘッダ36に冷却水を供給する為の給水口を示す。38は冷却水を炉蓋の上面26のうちの高位置にまでもたらす為の枝管で、元部は着脱自在の接続具39を介してヘッダ36に接続し、先部38aは炉蓋上面26のうちの高位置例えば中央部26aの上方位置において保持筒13の周囲に位置させてある。40は枝管38の先部38aに備えさせた冷却水の供給口で、先部38aから冷却水を上面26に供給する為のものであり、冷却水をミストにして散布するようにしたスプレーノズルを例示する。尚投入口14、ガス排出口16、点検口18は高温のガスが流通したり回り込んだりし、それらの周囲の案内筒15,17,19はその高温のガスに晒される。従ってそれらが過熱することを防止する為に、他の枝管38bをそれらの案内筒15,17,19の周囲に配設して、案内筒15,17,19に向けての冷却水の供給を行い得るようにしてある。40bは枝管38bに備えさせた冷却水の供給口で、冷却水をミストにして散布するようにしたスプレーノズルを例示する。
【0016】
次に42はその上に作業員が乗って、炉蓋7の上に備えられている種々の設備の点検や操作の作業を行う為の足場を示し、作業を安全にしかも作業性良く行い得るようにする為に上面が水平な状態となるように設けている。又上記足場42は上記ノズル40,40bから噴出される冷却水のミストが飛散することを防止する為のカバーにもなっており、例えば鋼板で形成されている。43は上記足場42を支え得る為の支持片で、下端は炉蓋7の基材8の上面に固着され、その上端上に上記足場42を取付けている。
【0017】
上記廃棄物溶融炉の操業を説明する。炉のスタートは周知の如く予めいくらかのベースメタル44を電極22からのアークにより溶かすことによって行う。炉がスタートしたならば、被処理物である廃棄物46例えば都市ごみ焼却残査(焼却灰)、都市ごみ焼却集塵灰、プラスチック廃棄物、下水汚泥等の非金属廃棄物を投入手段により投入口14から投入する。この投入は例えば連続的に行う。間欠的でも良いが、その場合は炉内のガス圧力の大きな変動を防止するために少量ずつ行うと良い。投入された廃棄物46は上記アークの熱によって加熱される。又、溶融状態にあるベースメタル44の上に形成されるスラグ45の層(温度は例えば1300〜1400℃)から伝わる熱によっても加熱される。加熱された廃棄物46は溶融し減容化する。上記廃棄物44の多くの部分は溶融によりスラグ45と化し、他の一部は種々のガスと化してダストと共にガス排出口16から排出され処理装置に向かう。又上記溶融した廃棄物中の金属分はその重みで沈降してベースメタル44中に混入する。次々と投入される上記廃棄物46の溶融により上記スラグ45の量が増大すると、そのスラグ45は例えばオーバーフローによって排出口5から順次排出される。排出されたスラグは、例えば細粒化等の固化処理を行う。尚ベースメタル44の量が多くなってその排出が必要となった場合は、スラグ45の排出後、例えば炉を図1の右方向に傾動させて排出口5から排出する。
【0018】
上記操業の場合、炉蓋7の内面は炉内の高温の雰囲気(例えば1000〜1100℃)に晒される。しかし炉蓋7は以下に述べるように冷却水でもって冷すことによりその変形や破損の発生が抑制される。即ち、炉蓋7の上においては冷却水を図示外の供給源からヘッダ36に供給し、枝管38,38bを通して複数のノズル40,40bから噴出させる。噴出される冷却水の温度は例えば30℃程度である。ノズル40から噴出されたミスト状の冷却水は電極22の周囲の保持筒13の外周面やその下方の中央部26aの上面に吹き掛かる。即ち炉蓋7上において最も熱負荷の高い部分に吹き掛かる。冷却水がミストの状態で吹き掛けられることにより、保持筒13や中央部26aにおける基材8は熱交換率高く冷却され、大きな冷却効果でもってその過熱が防止される。又ノズル40bから噴出されたミスト状の冷却水は案内筒15,17,19の基材15a,17a,19aの外周面に吹き掛かり、それらを大きな冷却効果でもって冷却する。
【0019】
上記保持筒13に吹き掛けられた冷却水は、保持筒13の外周面を伝い降りて基材8の上面26に至る。上面26の中央部26aではそこの傾斜が緩いので、上記伝い降りた冷却水はその中央部26aの上面上に広がり、そこの傾斜によって下方へ向けて流下を始める。その流下の過程において中央部26aにおける基材8を冷却し、基材8を通してライニング9が冷却される。上記流下により多数の堰部材28の配設された場所に至った冷却水は、その流下に伴い図4、図5に矢印51で示す如く堰部材28に当って流れが遮られ拡散される。例えば、当った冷却水の一部は図4に矢印52で示すように横方向にそらされ、他の一部は図5に矢印53で示すように堰部材28の下を潜り、更に他の一部は矢印54で示すように堰部材28の上を乗り越える。このような作用が冷却水の流下に伴い多数の堰部材28の箇所で繰り返し生ずる。従って冷却水はその量が比較的少なくても上面26上において広範囲に広がらせられ、上面26を広範囲に濡らしながら流下する。その結果、冷却水量が比較的少なくても炉蓋7の基材8はその全体が片寄り少なく冷却され、その下のライニング9も片寄り少なく冷却される。このような冷却により炉蓋7の変形や部分的な破損の発生が抑制される。尚案内筒15,17,19の外周面に吹き掛けられた冷却水もそれらを伝い降り、上面26を上記のように拡散されながら流下してそこの冷却を行う。
【0020】
上記のように流下する冷却水によって基材8が冷却される場合、流水による冷却である為、熱交換率が比較的低い。しかし上記上面26に沿って冷却水が流下する場所は電極22からの距離が保持筒13に比べ大きくなっている為、保持筒13に比べ熱負荷が低い。従って必要充分な冷却を行うことが出来る。例えば上面26の温度は100℃程度である。そればかりか炉蓋7の過剰冷却を防止できて炉内からの熱エネルギーの損失を低く抑えることが出来る。
【0021】
上記のように上面26を流下して炉蓋7の冷却を行った冷却水は排水溜り32に至り、排水口33から排水される。排水される冷却水の温度は例えば35〜40℃である。尚上記冷却水の量は、上面26の1m2あたり1分間で30リットル程度である。これは、全面にミスト状に冷却水を吹き掛ける場合には、1m2あたり1分間で100リットル程度の冷却水が必要であったのに比べ、必要冷却水量を約4分の1にまで減少させられることであり、ランニングコストを非常に安くすることが出来る。
【0022】
上記上面26上での冷却水の流下の場合、中央部26aは上記のように傾斜が緩く又そこは面積が狭いので、上記保持筒13を伝い降りた冷却水はその中央部26aにおける上面の広い領域を覆いながら流下してそこを冷却する。しかしその中央部26aにも多数の堰部材28を配設して流下する冷却水の拡散を行わせるようにしても良い。
【0023】
上記炉の操業の場合、上記の如く基材8を冷却して低温化することにより、基材8から足場42へ向けて輻射される熱量が少なく保たれ、足場42の昇温を抑制する。その結果、足場42の上面の温度はそこでの作業員の作業に支障をきたさない低い温度例えば30℃程度に保たれ、そこでの作業を安全に行うことが出来る。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本願発明にあっては、溶融炉において被処理物を加熱し溶融させる場合、炉蓋7をその炉本体2に被せることにより、炉内からの熱の散逸を抑制して熱エネルギーの損失を抑制出来る効果がある。
しかも上記炉内で加熱を行う場合、炉蓋7をその上面26から冷却水で冷やすことができるので、炉蓋7は変形や破損の発生が抑制される。その結果、炉蓋7を長寿命に利用できる効果がある。
更に上記のように炉蓋7の上面26は冷却水で冷やされるので、該上面26は比較的低温となり、そこからの熱輻射が少ない特長がある。
更に本願発明にあっては、上記冷却水による炉蓋7の上面26の冷却の場合、冷却水は炉蓋上面26のうちの高位置の上面26aに供給することにより、その供給された冷却水が上面26に沿って流下する過程で、それを炉蓋の上面26に散設された多数の堰部材28でもって繰り返し拡散させることが出来る。
繰り返すと、炉蓋の上面26に散設された多数の素線、即ち、一方が他の素線の上方に位置し、他方が他の素線の下方に位置し、各素線の一部が炉蓋の上面に接し得るような状態で夫々傾斜状になっている多数の素線を堰部材28として炉蓋の上面に多数配設したものであるから、炉蓋の上面を流下する冷却水を繰り返し拡散させることが出来る。
従って、冷却水は上面26の広い領域に広がって、夫々の網目の内側を効率よく濡らしながら流下させることが出来る。このことは上面26における多数の網目内の冷却を比較的少ない量の冷却水で効率よく行えることであり、冷却のランニングコストを低く抑え得る効果がある。
その上本願発明にあっては、炉蓋上面において冷却水を広く拡散させる為の手段の形成を、非常に簡易に行い得るようにできる。即ち、炉蓋の上面26に多数の堰部材28を配設させるものであっても、多数の堰部材28は、炉蓋の上面に沿わせる金網における多数の素線で構成するものであるから、
炉蓋上面において冷却水を広く拡散させる為の手段の構成は、非常に簡易で、整然と行い得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 廃棄物溶融炉の縦断面図。
【図2】 炉蓋の平面図(足場を除去した状態を示す)。
【図3】 炉蓋の縦断面図(図2におけるIII−III線位置の断面図)。
【図4】 炉蓋上面において冷却水が流下する状態を説明する為の平面図。
【図5】 炉蓋上面において冷却水が流下する状態を説明する為の縦断面図。
【符号の説明】
7 炉蓋
28 堰部材
29 金網
Claims (2)
- 炉蓋上面冷却用の冷却水供給手段を備える炉蓋において、
炉蓋の上面は冷却水が流下するよう傾斜させ、
上記冷却水供給手段は、冷却水を炉蓋の上面のうちの高位置の上面に供給するようにし、
炉蓋の上面には、
金網を炉蓋の上面に沿わせる状態で備えさせ、
上記金網における多数の網目を夫々囲んでいる各素線にあっては、
上記夫々の素線における、一方が他の素線の上方に位置し、他方が他の素線の下方に位置し、各素線の一部が炉蓋の上面に接し得るような状態で夫々傾斜状になっている多数の素線を、
炉蓋の上面を流下する冷却水の流れを遮ってその流れを拡散させる為の多数の堰部材として備えさせたことを特徴とする炉蓋。 - 炉蓋上面冷却用の冷却水供給手段を備える炉蓋において、
炉蓋の上面は冷却水が流下するよう傾斜させ、
上記冷却水供給手段は、冷却水を炉蓋の上面のうちの高位置の上面に供給するようにし、
炉蓋の上面には、
エキスパンドメタルを炉蓋の上面に沿わせる状態で備えさせ、
上記エキスパンドメタルにおける多数の網目を夫々囲んでいる各素線にあっては、
上記夫々の素線における、一方が他の素線の上方に位置し、他方が他の素線の下方に位置し、各素線の一部が炉蓋の上面に接し得るような状態で夫々傾斜状になっている多数の素線を、
炉蓋の上面を流下する冷却水の流れを遮ってその流れを拡散させる為の多数の堰部材として備えさせたことを特徴とする炉蓋。
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